特許第6145849号(P6145849)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145849
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】キナーゼ阻害剤
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20170607BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20170607BHJP
   A61K 31/4545 20060101ALI20170607BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20170607BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20170607BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20170607BHJP
   A61P 11/00 20060101ALI20170607BHJP
   A61P 11/06 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   C07D471/04 101
   C07D471/04CSP
   A61K31/437
   A61K31/4545
   A61K31/496
   A61K31/5377
   A61P43/00 111
   A61P11/00
   A61P11/06
【請求項の数】14
【全頁数】130
(21)【出願番号】特願2014-545230(P2014-545230)
(86)(22)【出願日】2012年12月5日
(65)【公表番号】特表2015-502948(P2015-502948A)
(43)【公表日】2015年1月29日
(86)【国際出願番号】EP2012074450
(87)【国際公開番号】WO2013083606
(87)【国際公開日】20130613
【審査請求日】2015年11月27日
(31)【優先権主張番号】11192894.1
(32)【優先日】2011年12月9日
(33)【優先権主張国】EP
(31)【優先権主張番号】12187932.4
(32)【優先日】2012年10月10日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】514143839
【氏名又は名称】チエシ ファルマスーティシ エス.ピー.エー.
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ヴァン ニエル,モニク ボディル
(72)【発明者】
【氏名】レイ,ニコラス チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】アルカラズ,リリアン
(72)【発明者】
【氏名】パンチャル,テリー アーロン
(72)【発明者】
【氏名】ジェニングス,アンドリュー シュテファン ロバート
(72)【発明者】
【氏名】アルマーニ,エリザベッタ
(72)【発明者】
【氏名】クリドランド,アンドリュー ピーター
(72)【発明者】
【氏名】フレイ,クリストファー
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2015−500260(JP,A)
【文献】 特許第5791708(JP,B2)
【文献】 国際公開第2013/083206(WO,A1)
【文献】 国際公開第2010/094956(WO,A1)
【文献】 特表2009−526037(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/121366(WO,A1)
【文献】 国際公開第2011/124930(WO,A1)
【文献】 特表2007−503393(JP,A)
【文献】 特表2006−517580(JP,A)
【文献】 特表2010−520245(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1.式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩:
【化1】

(I)
式(I)中;
Wは、NまたはOから選択されるヘテロ原子であり、このNは、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルで置換され;
Yは、以下からなる群より選択され:−S(O)−基(式中、pは、0、1、または2である);−O(CR−基;−(CR−基;−NR−基;−OC(O)−基;−OC(O)NH−基;および−OC(O)O−基;
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、フッ素、またはC−Cアルキルであるか;あるいは、それぞれ、RとR、またはRとRは、それらが結合した炭素原子と一緒になって、単環式飽和三〜六員炭素環を形成してもよく、形成された環は、C−Cアルキル基、ヒドロキシル基、またはハロ基で随意に置換され;
nは、0、1,2、または3であり;
は、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、またはハロ基で随意に置換され;
は、以下の(IIb)或いは(IIc)であり
【化2】
式中
は、各存在において独立して、水素、−CH、または−Cであり;
およびRは、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−SR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;および/またはRとRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、飽和五〜七員環系を形成してもよく、該飽和五〜七員環は、1つ以上の−OR基、−CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で随意に置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、該飽和五〜七員環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、該窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルはどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換されてもよく
およびXは、それぞれ独立して、−(CH)−基または窒素原子であり;
およびR10は、独立して、−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、または式(IIIa)もしくは(IIIb)のラジカルであり
【化3】
式中、qは、1または2であり;かつR24およびR25は、独立して、水素またはC−Cアルキルであるか、あるいはR24とR25は、それらが結合した窒素と一緒になって、六員の複素環を形成し、形成された環は、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を随意に含有し;
12、およびR13は、独立して、水素、C−Cアルキル、またはハロゲンであり;
Aは、環原子を5個、6個、または7個有する二価シクロアルキレンラジカルであり;該シクロアルキレン環は、WおよびYと結合しており、かつフェニル環または環原子を5個もしくは6個有する単環式ヘテロアリール環と縮合しており、このフェニルまたはヘテロアリール環は、1つまたは2つのR27基で随意に置換され;
27は、各存在において独立して、以下からなる群より選択され:C−Cアルキル、ハロゲン、およびシアノ;
は、式(IVa)、(IVb)、または(IVc)のラジカルであり:
【化4】
式中
14は、以下からなる群より選択され:−F、−CHOMe、および−CFCF
15およびR16は、独立して、−CHまたは−Cであり;
17は、以下からなる群より選択され:孤立電子対、水素、−CF、−NRE1F1、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、またはヘテロアリール、この群において、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、またはヘテロアリールのどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;あるいは
17は、一般式(V)の基であり
【化5】
式中、
20は、以下からなる群より選択され:−F、−CH、−C、−CHOH、−CHOMe、−CFCF、−CHSCH、−SCH、および−SC
21は、−CHまたは−Cであり;
あるいは、
上記で定義されるとおりのR20とR21は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、単環式飽和三〜七員環を形成してもよく;
E1およびRF1は、それぞれ独立して、C−Cアルキルであり、このC−Cアルキルは、C−Cアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;あるいは、RE1とRF1は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、単環式または二環式の飽和五〜十一員環系を形成してもよく、該単環式または二環式の飽和五〜十一員環は、1つ以上の−OR基、−CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で随意に置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、該単環式または二環式の飽和五〜十一員環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、該窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され;
は、独立して、各存在において、水素、−CH、または−Cであり;
18は、以下からなる群より選択され:孤立電子対、水素、アリール、ヘテロアリール、−(C−Cアルキル)、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル);この群において、アリール、ヘテロアリール、−(C−Cアルキル)、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、または(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル)のどれでも、以下の基で随意に置換されてもよく:−CN、−OH、ハロ、−COOR、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cシクロアルキル)、−S−(C−Cアルキル)、−S−(C−Cシクロアルキル)、−NR、−N(R)(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)(C−Cシクロアルキレン)−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−O−(C−Cアルキレン)−NR、−O−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S−(C−Cアルキレン)−NR、−S−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−N(R)C(O)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)C(O)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−OR、−C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)C(O)N(R)、−C(O)N(R)、−N(R)C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−O−(C−Cアルキレン)−OR、−O−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−S−(C−Cアルキレン)−OR、−S−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)S(O)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−OR、−S(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−S(O)N(R)、−N(R)S(O)、−N(R)C(O)R、OR、SR、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル);これら列挙される基において、基の中の、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−(C−Cアルキレン)−、−(C−Cシクロアルキレン)−、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)カルボニルの部分はどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;
およびRは、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;あるいは、RとRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、単環式または二環式の飽和五〜十一員環系を形成してもよく、該単環式または二環式の飽和五〜十一員環は、1つ以上の−OR基、−CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で随意に置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、該単環式または二環式の飽和五〜十一員環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、該窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルはどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;および/または、RとRは、それらが接続した窒素と連結した基の−(C−Cアルキレン)−または−(C−Cシクロアルキレン)−部分にある1個の炭素原子と連結して、環原子を最大で6個有する飽和環を形成してもよく;
は、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;
は、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、ヒドロキシル基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;
19は、以下からなる群より選択され:水素、−CF、−NR、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、およびヘテロアリール、この群において、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、またはヘテロアリールのどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;あるいは
19は、一般式(V)の基であり
【化6】
式中、R20、R21、R、およびRは、上記で定義されるとおりであり;
、z、z、およびzは、独立して、ただし形成される環が芳香族系であるような組み合わせで、以下からなる群より選択され:C、N、S、O、−CH−基、および−NH−基;
Tは、−N=または−CR28=であり;
28は、H、ハロ、−CH、または−CNであり;
22は、H、ハロ、−CH、または−CNであり;
ただし:
=−CH−、z=−C−、z=−O−、z=−N−、R18が孤立電子対であり、R17が一般式(V)の基であり、かつR21が−CHまたは−Cである場合;R20は、−F、−CHOMe、または−CFCFであり;
=−CH−、z=−C−、z=−N−、z=−N−、R17が一般式(V)の基であり、R21が−CHまたは−Cであり、かつR20が−CH、−C、−CHOH、−CHSCH、−SCH、または−SCであり、かつR18がフェニル環である場合;
このフェニル環は、以下からなる群より選択される基で置換され:−CN、COOR、C−Cシクロアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cシクロアルキル)、−S−(C−Cアルキル)、−S−(C−Cシクロアルキル)、−NR、−N(R)(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)(C−Cシクロアルキレン)−NR、−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−O−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S−(C−Cアルキレン)−NR、−S−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−N(R)C(O)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)C(O)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−OR、−C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)C(O)NR、−C(O)NR、−N(R)C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR−N(R)C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−O−(C−Cアルキレン)−OR、−O−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−S−(C−Cアルキレン)−OR、−S−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)S(O)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−OR、−S(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−S(O)N(R)、−N(R)S(O)、−N(R)C(O)R、SR、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル);これら列挙される基において、基の中の、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−(C−Cアルキレン)−、−(C−Cシクロアルキレン)−、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)カルボニルの部分はどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;
または、このフェニル環は、−(C−Cアルキレン)−NRまたは−O−(C−Cアルキレン)−NRである基で置換され、この基において、RおよびRは、両方ともが水素であることはなく、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、−OR基、−CN基、またはハロ基で置換され;あるいは、RとRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、単環式または二環式の飽和五〜十一員環系を形成してもよく、該単環式または二環式の飽和五〜十一員環は、1つ以上の−OR基、−CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、該単環式または二環式の飽和五〜十一員環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、該窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルはどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;
または、このフェニル環は、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)基で置換され、この基は、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、またはハロ基で置換され;
または、このフェニル環は、−OR基で置換され、式中、Rは、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;
または、このフェニル環は、C−Cアルキル基で置換され、この基は、C−Cシクロアルキル基、OR基、またはハロ基で置換され;
かつ
19がモルホリン環であり、Tが−CR28=または−N=である場合;R22は、もし芳香環においてT基に対してオルト位に存在するならば、−CHまたは−CNである。
【請求項2】
以下の式(Ia)の化合物であり、式中、以下の、A環の前記シクロアルキレン部分にある、W基と連結した番号(1)で区別される不斉炭素中心が、以下に示す絶対配置を有する、請求項1に記載の式(I)の化合物:
【化7】
(Ia)
またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項3】
以下の式(Ib)の化合物であり、式中、以下の、A環の前記シクロアルキレン部分にある、W基およびY基と連結した、それぞれ番号(1)および(2)で区別される不斉炭素中心が、以下に示す絶対配置を有する、請求項1または2に記載の式(I)の化合物:
【化8】
(Ib)
またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項4】
式(I)中、Aは、以下からなる群より選択される基である、請求項1から3のいずれか1項に記載の式(I)の化合物:
【化9】


またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項5】
式(I)中、Wは、NHまたはOである、請求項1から4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項6】
式(I)中、Yは、−S(O)−、−O(CR−基、−(CR−、または−NR−基であり;pはゼロであり、かつnは、0、1、または2である、請求項1から5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩。
【請求項7】
式(I)中、Rは、以下の式(IVb)のラジカルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物:
【化10】
式中、z=−CH−、z=C、zおよびzはNであり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【化11】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、R21は−CHであり、かつ式(IVb)中、
18はフェニルであり、これは、−(C−Cアルキレン)−NRまたは−O−(C−Cアルキレン)−NRである基で置換され、この基において、RおよびRは、両方ともが水素であることはなく、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、OR基、CN基、またはハロ基で置換され;あるいは、RとRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、単環式または二環式の飽和五〜十一員環系を形成してもよく、該単環式または二環式の飽和五〜十一員環は、1つ以上のOR基、CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、該単環式または二環式の飽和五〜十一員環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、該窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され、このアルキルまたはシクロアルキルのどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、CN基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;
または、式(IVb)中、R18はフェニルであり、これは(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)基で置換され、この基はC−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、またはハロ基で置換され;
または、式(IVb)中、R18はフェニルであり、これはC−Cアルキル基で置換され、この基はC−Cシクロアルキル基、−OR基、またはハロ基で置換され;
または、式(IVb)中、R18はフェニルであり、これは−CN基、−O−(C−Cアルキル)基、−NR基、−O−(C−Cアルキレン)−OR基、−S−(C−Cアルキレン)−OR基、−(C−Cヘテロシクロアルキル)基で置換され、これら列挙される基において、基の中の、C−Cアルキル、−(C−Cアルキレン)−、−(C−Cヘテロシクロアルキル)部分のどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、またはハロ基で随意に置換されてもよい。
【請求項8】
式(I)中、Rは、以下の式(IVb)のラジカルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物:
【化12】
式中、z=−CH−、z=C、zおよびzはNであり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【化13】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、かつR21は−CHであり、かつ式(IVb)中、R18はヘテロアリール環であり、これは(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)基で随意に置換され、この基は、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、またはハロ基で随意に置換され;または、R18は、ヘテロアリール環であり、これは−(C−Cアルキレン)−NR基または−O−(C−Cアルキレン)−NR基で随意に置換される。
【請求項9】
式(I)中、Rは、以下の式(IVb)のラジカルである、請求項1から6のいずれか1項に記載の式(I)の化合物:
【化14】
式中、z=−CH−、z=C、zおよびzはNであり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【化15】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、かつR21は−CHであり、かつ式(IVb)中、R18は、−(C−Cアルキル)基であり、これは、−OH基、ハロ基、または−NR基で随意に置換されるか;または(C−Cヘテロシクロアルキル)基もしくは(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)基であり、これは、C−Cアルキル基、ハロ基、または−OH基で随意に置換されてもよい。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物を、1種以上の薬学的に許容可能なキャリアとともに含む、薬学的組成物。
【請求項11】
p38MAPキナーゼ活性の阻害が有効である疾患または症状の治療に使用するための、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項12】
前記疾患または症状は、慢性好酸球性肺炎、喘息、COPD、成人型呼吸促迫症候群(ARDS)、他の薬物療法による気道過敏の増悪、または肺高血圧症に関連した気道疾患である、請求項11に記載のp38MAPキナーゼ活性の阻害が有効である疾患または症状の治療に使用するための、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項13】
p38MAPキナーゼ活性の阻害が有効である疾患または症状の治療用医薬の製造における、請求項1から9のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項14】
前記疾患または症状は、慢性好酸球性肺炎、喘息、COPD、成人型呼吸促迫症候群(ARDS)、他の薬物療法による気道過敏の増悪、または肺高血圧症に関連した気道疾患である、請求項13に記載の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、治療、特に気道の疾患の治療において抗炎症剤として有用な、p38MAPK阻害剤である化合物および組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)は、二重リン酸化によりキナーゼ基質を活性化するプロリン指向性セリン/トレオニンキナーゼファミリーを構成する。p38MAPキナーゼは、4種のヒトアイソフォーム、p38α、p38β、p38γ、およびp38δがあることが知られている。p38キナーゼは、サイトカイン抑制性抗炎症薬結合タンパク質(CSBP)、ストレス活性化タンパク質キナーゼ(SAPK)、およびRKとしても知られており、リン酸化(Stein et al., Ann. Rep. Med Chem., 1996, 31, 289−298)(非特許文献1)ならびに転写因子(ATF−2、MAX、CHOP、およびC/ERPbなど)および他のキナーゼ(MAPKAP−K2/3またはMK2/3など)の活性化の動因であるとともに、p38キナーゼ自身も物理的および化学的ストレス(例えばUV、浸透圧ストレス)、炎症促進性サイトカイン、ならびに細菌リポ多糖類(LPS)により活性化される(Herlaar E. & Brown Z., Molecular Medicine Today, 1999, 5, 439−447)(非特許文献2)。p38リン酸化産物は、腫瘍壊死因子α(TNFα)およびインターロイキン−(IL)−1などの炎症性サイトカイン、ならびにシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)の産生を仲介することが示されている。IL−1およびTNFαは、IL−6およびIL−8など他の炎症促進性サイトカインの産生を刺激することも知られている。
【0003】
IL−1およびTNFαは、様々な細胞(単球またはマクロファージなど)で産生される生体物質である。IL−1は、免疫調節および他の生理的状態(炎症など)において重要であると考えられる様々な生命活動を仲介することが実証されている(例えば、Dinarello et al., Rev. Infect. Disease, 1984, 6, 51)(非特許文献3)。TNF(特にTNFα)の過剰なまたは無制御な産生は、多数の疾患の仲介および深刻化に関与しており、TNFが概して炎症効果の原因または一因であると思われる。IL−8は、単核球、線維芽細胞、内皮細胞、およびケラチン生成細胞を含む複数種の細胞により産生される走化性因子である。内皮細胞でのIL−8産生は、IL−1、TNF、またはリポ多糖類(LPS)により誘導される。IL−8は、in vitroで多数の機能を刺激する。IL−8は、好中球、T−リンパ球、および好塩基球にとって化学誘引物質となる性質を有することが示されている。IL−8産生の増加は、in vivoで好中球が炎症部位に化学遊走する原因でもある。
【0004】
p38は、複数種のさらなる炎症促進性タンパク質(例えば、IL−6、GM−CSF、COX−2、コラゲナーゼ、およびストロメライシン)の合成および/または作用にとって、上記のIL−1、TNF、およびIL−8に加えて必要なものであり、p38を介したシグナル伝達の阻害は、免疫系の過剰で破壊的な活性化を制御するのに非常に効果的な機序となることが予想される。この予想は、p38キナーゼ阻害剤について記載された強力で多種多様な抗炎症活性により支持される(Badger et al., J. Pharm. Exp. Thera., 1996, 279, 1453−1461; Griswold et al, Pharmacol. Comm., 1996, 7, 323−229)(非特許文献4および5)。詳細には、p38キナーゼ阻害剤は、リウマチ様関節炎の治療薬候補として記載されている。p38活性化と慢性炎症および関節炎との関連だけでなく、気道疾患、特にCOPDおよび喘息の発病にp38の役割を関連づけるデータもある。ストレス刺激(タバコの煙、感染症、または酸化作用物質など)は、肺環境内で炎症を引き起こす可能性がある。p38の阻害剤は、LPS誘導型および卵白アルブミン誘導型の気道TNF−α・IL−1β、IL−6、IL−4、IL−5、およびIL−13を阻害することが示されている(Haddad et al, Br. J. Pharmacol., 2001, 132(8), 1715−1724; Underwood et al, Am. J. Physiol. Lung Cell. Mol. 2000, 279, 895−902; Duan et al., 2005 Am. J. Respir. Crit. Care Med., 171, 571−578; Escott et al Br. J. Pharmacol., 2000, 131, 173−176; Underwood et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 2000, 293, 281−288)(非特許文献6〜10)。そのうえさらに、p38の阻害剤は、LPS、オゾン、またはシガレット煙の動物モデルにおいて、好中球増加およびMMP−9放出を顕著に阻害する。肺において関連していると思われるp38キナーゼを阻害することの将来的な利益を強調する前臨床データも非常に数多く存在する(Lee et al., Immunopharmacology, 2000, 47, 185−200)(非特許文献11)。したがって、p38活性化の治療的阻害は、気道の炎症を制御するのに重要であると思われる。
【0005】
様々な疾患におけるp38MAPK経路の意義についての総説が、P. Chopra et al.によりまとめられている(Expert Opinion on Investigational Drugs, 2008, 17(10), 1411−1425)(非特許文献12)。本発明の化合物は、以下のようなp38介在疾患の治療に用いることができると思われる:慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、慢性または急性の気管支収縮、気管支炎、急性の肺損傷および気管支拡張、肺動脈高血圧、結核、肺癌、炎症全般(例えば、炎症性腸疾患)、関節炎、神経炎症、疼痛、発熱、繊維性疾患、肺の障害および疾患(例えば、過酸素症による肺胞損傷)、循環器疾患、虚血後再灌流傷害およびうっ血性心不全、心筋症、脳卒中、虚血、再灌流傷害、腎臓再灌流傷害、脳浮腫、神経外傷および脳外傷、神経変性疾患、中枢神経系障害、肝疾患および腎炎、胃腸管症状、潰瘍性疾患、クローン病、眼疾患、眼科症状、緑内障、眼の組織の急性損傷および眼外傷、糖尿病、糖尿病性腎障害、皮膚関連症状、感染症による筋肉痛、インフルエンザ、内毒素ショック、毒素性ショック症候群、自己免疫疾患、移植片拒絶、骨吸収疾患、多発性硬化症、乾癬、湿疹、女性生殖器系障害、病的(ただし非悪性)症状(血管腫、上咽頭血管線維腫、および無血管性骨壊死など)、癌を含む良性および悪性の腫瘍/新生物、白血病、リンパ腫、全身性紅斑性狼瘡(SLE)、新生物を含む血管新生、出血、凝血、放射線障害、および/または転移。活性TNFの慢性的な放出は、悪液質および食欲不振を引き起こす可能性があり、さらにTNFは致命的となる可能性がある。TNFは、感染症にも関与してきている。そのような感染症として、例えば、マラリア、マイコバクテリア感染症、および髄膜炎が上げら得る。感染症として、HIV、インフルエンザウイルス、およびヘルペスウイルスなどのウイルス感染も挙げられるが、多数あるなかでも特に、単純ヘルペスウイルス1型(HSV−1)、単純ヘルペスウイルス2型(HSV−2)、サイトメガロウイルス(CMV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)、エプスタイン・バーウイルス、ヒトヘルペスウイルス6型(HHV−6)、ヒトヘルペスウイルス7型(HHV−7)、ヒトヘルペスウイルス8型(HHV−8)、仮性狂犬病、および鼻気管炎、が挙げられる。
【0006】
既知のP38キナーゼ阻害剤についての総説は、G. J. Hanson (Expert Opinions on Therapeutic Patents, 1997, 7, 729−733)、J Hynes et al. (Current Topics in Medicinal Chemistry, 2005, 5, 967−985)、C. Dominguez et al (Expert Opinions on Therapeutics Patents, 2005, 15, 801−816)、およびL. H. Pettus & R. P. Wurtz (Current Topics in Medicinal Chemistry, 2008, 8, 1452−1467)(非特許文献13〜16)によりまとめられている。トリアゾロピリジンモチーフを含有するP38キナーゼ阻害剤が、例えば、国際公開第07/091152号、国際公開第04/072072号、国際公開第06/018727号(特許文献1〜3)から、当該分野で知られている。
【0007】
国際公開第2010/094956号(特許文献4)は、式(I)のトリアゾロピリジン誘導体をp38MAPキナーゼ阻害剤であるとして開示する:
【0008】
【化1】
【0009】
式(I)の化合物において、Aは、随意に置換される二価アリーレンラジカル、ヘテロアリーレンラジカル、環原子が5〜6個の(C−C)二価シクロアルキレンラジカル、またはピペリジニレン(pyperidinylene)ラジカルを表す。
【0010】
これらの化合物は、気道疾患の治療において抗炎症剤として有用であると述べられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】国際公開第07/091152号
【特許文献2】国際公開第04/072072号
【特許文献3】国際公開第06/018727号
【特許文献4】国際公開第2010/094956号
【特許文献5】欧州特許出願公開第0505321号
【特許文献6】国際公開第2006009741号
【特許文献7】欧州特許第1609789号
【特許文献8】国際公開第2008033999号
【特許文献9】国際公開第2010077836号
【特許文献10】国際公開第2008125014号
【特許文献11】国際公開第2008034008号
【特許文献12】国際公開第20110189167号
【特許文献13】国際公開第2010068258号
【特許文献14】国際公開第2011042389号
【特許文献15】国際公開第2006133006号
【特許文献16】国際公開第2008/043019号
【特許文献17】国際公開第2009022633号
【特許文献18】国際公開第2008063287号
【特許文献19】国際公開第2010108058号
【特許文献20】国際公開第2010022076号
【特許文献21】国際公開第2001004115号
【特許文献22】米国特許公開第2004/192653号
【特許文献23】米国特許公開第2006/35922号
【特許文献24】国際公開第2011070368号
【特許文献25】国際公開第2009/048474号
【特許文献26】国際公開第2009/150614号
【特許文献27】米国特許公開第2008/113967号
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Stein et al., Ann. Rep. Med Chem., 1996, 31, 289−298
【非特許文献2】(Herlaar E. & Brown Z., Molecular Medicine Today, 1999, 5, 439−447
【非特許文献3】Dinarello et al., Rev. Infect. Disease, 1984, 6, 51
【非特許文献4】Badger et al., J. Pharm. Exp. Thera., 1996, 279, 1453−1461
【非特許文献5】Griswold et al, Pharmacol. Comm., 1996, 7, 323−229
【非特許文献6】Haddad et al, Br. J. Pharmacol., 2001, 132(8), 1715−1724
【非特許文献7】Underwood et al, Am. J. Physiol. Lung Cell. Mol. 2000, 279, 895−902
【非特許文献8】Duan et al., 2005 Am. J. Respir. Crit. Care Med., 171, 571−578
【非特許文献9】Escott et al Br. J. Pharmacol., 2000, 131, 173−176
【非特許文献10】Underwood et al., J. Pharmacol. Exp. Ther. 2000, 293, 281−288
【非特許文献11】Lee et al., Immunopharmacology, 2000, 47, 185−200
【非特許文献12】P. Chopra et al., Expert Opinion on Investigational Drugs, 2008, 17(10), 1411−1425)
【非特許文献13】G. J. Hanson, Expert Opinions on Therapeutic Patents, 1997, 7, 729−733
【非特許文献14】J Hynes et al., Current Topics in Medicinal Chemistry, 2005, 5, 967−985
【非特許文献15】C. Dominguez et al, Expert Opinions on Therapeutics Patents, 2005, 15, 801−816
【非特許文献16】L. H. Pettus & R. P. Wurtz, Current Topics in Medicinal Chemistry, 2008, 8, 1452−1467
【非特許文献17】Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use by Stahl and Wermuth (Wiley−VCH, Weinheim, Germany, 2002)
【非特許文献18】Pro−drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14, ACS Symposium Series (T. Higuchi and V.J. Stella)
【非特許文献19】Bioreversible Carriers in Drug Design, Pergamon Press, 1987 (ed. E. B. Roche, American Pharmaceutical Association; C.S. Larsen and J. OEstergaard, Design and application of prodrugs, In Textbook of Drug Design and Discovery, 3rd Edition, 2002, Taylor and Francis)
【非特許文献20】Design of Prodrugs by H. Bundgaard(Elsevier,1985)
【非特許文献21】T.W. Green; Protective Groups in Organic Synthesis (Wiley, N.Y. 1981)
【非特許文献22】J. Med Chem., 2007, 50, 4016
【非特許文献23】Bulletin des Societes Chimiques Belges, 1987, 96, 675−709
【非特許文献24】Organic & Biomolecular Chemistry, 2006, 4,4158−4164
【非特許文献25】Chemistry−A European Journal, 2011, 17, 6606−6609, S6606/1−S6606/38
【非特許文献26】Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: 1985, 2039−44
【非特許文献27】Journal of Organic Chemistry, 2007, 72, 669−671
【非特許文献28】Tetrahedron Letters, 2011, 52, 1310−1312
【非特許文献29】Organic Letters, 2002, 4, 3423−3426
【非特許文献30】Angewandte Chemie, International Edition, 2006, 45, 98−101
【非特許文献31】Chimia, 2007, 61, 169−171
【非特許文献32】(Eyles JE, Williamson ED and Alpar HO. 1999, Int J Pharm, 189(1):75−9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、炎症性および閉塞性の気道疾患の治療において有用である新規の強力なp38分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ阻害剤を同定することである。
【0014】
本発明の別の目的は、吸入投与で閉塞性または炎症性の呼吸器疾患を有効に治療できるようになる適切な開発可能性特徴を示す新規の強力なp38分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ阻害剤を同定することである。そのような特徴は、具体的な性質を調節する多数の異なるやり方で達成可能であることが理解されるはずである;例えば、そのような特徴は、薬の有効量が少量であり従って副作用が限られていることにより達成可能であり、または肺での作用期間が長いことにより投与頻度を下げることが可能となることで達成可能である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の化合物は、p38αキナーゼを含むp38分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(「p38MAPK」、「p38キナーゼ」、または「p38」)の阻害剤であり、TNFα産生およびIL−8産生を含むサイトカイン産生およびケモカイン産生の阻害剤である。本発明の化合物は、炎症性疾患、特にアレルギー性および非アレルギー性の気道疾患、より詳細には閉塞性または炎症性の気道疾患(慢性閉塞性肺疾患(「COPD」)および喘息など)の治療において、多数の治療用途がある。したがって、本発明の化合物は、鼻または口からの吸入により肺へ送達するのが特に適切である。
【0016】
本発明に従って、式(I)の化合物、またはその薬学的に許容可能な塩が提供される:
【0017】
【化2】
(I)
【0018】
式(I)中;
Wは、NまたはOから選択されるヘテロ原子であり、このNは、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルで置換され;
【0019】
Yは、以下からなる群より選択され:−S(O)−基(式中、pは、0、1、または2である);−O(CR−基;−(CR−基;−NR−基;−OC(O)−基;a−OC(O)NH−基;および−OC(O)O−基;
【0020】
、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、フッ素、またはC−Cアルキルであるか、あるいはそれぞれ、RとR、またはRとRは、それらが結合した炭素原子と一緒になって、単環式飽和三〜六員炭素環を形成してもよく、形成された環は、C−Cアルキル基、ヒドロキシル基、またはハロ基で随意に置換され;
【0021】
nは、0、1、2、または3であり;
【0022】
は、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、ヒドロキシル基、シアノ基、またはハロ基で随意に置換され;
【0023】
は、以下の(IIa)〜(IIc)から選択される基であり;
【0024】
【化3】
【0025】
式中
は、−(C−Cアルキレン)−NR、−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−NR、−N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、または−Rであり;
【0026】
およびRは、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−SR基、−NR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;あるいは、RとRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環系を形成してもよく、この単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環は、1つ以上の−OR基、−CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で随意に置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、この単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、含有された窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルはどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;
【0027】
は、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、OR基、CN基、またはハロ基で随意に置換され;
【0028】
は、各存在において独立して、水素、−CH、または−Cであり;
【0029】
およびRは、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−SR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;および/またはRとRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、飽和五〜七員複素環系を形成してもよく、この飽和五〜七員複素環は、1つ以上の−OR基、−CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で随意に置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、この飽和五〜七員複素環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、含有された窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルはどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;
【0030】
26は、水素、−CH、または−Cであり;
【0031】
およびXは、それぞれ独立して、−(CH)−基または窒素原子であり;
【0032】
およびR10は、独立して、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル(これは随意に置換される)、五または六員の単環式ヘテロアリール(これは随意に置換される)、または式(IIIa)もしくは(IIIb)のラジカルであり
【0033】
【化4】
【0034】
式中、qは、1または2であり;かつR24およびR25は、独立して、水素またはC−Cアルキルであるか、あるいはR24とR25は、それらが結合した窒素と一緒になって、六員の複素環を形成し、形成された環は、NおよびOから選択されるさらなるヘテロ原子を随意に含有し;
【0035】
11、R12、およびR13は、独立して、水素、C−Cアルキル、またはハロゲンであり;
【0036】
Aは、環原子を5個、6個、または7個有する二価シクロアルキレンラジカルであり;このシクロアルキレン環は、WおよびYと結合しており、かつフェニル環または環原子を5個もしくは6個有する単環式ヘテロアリール環と縮合しており、このフェニルまたはヘテロアリール環は、1つまたは2つのR27基で随意に置換され;
【0037】
27は、各存在において独立して、以下からなる群より選択され:C−Cアルキル、ハロゲン、およびシアノ;
【0038】
は、式(IVa)、(IVb)、または(IVc)のラジカルであり:
【0039】
【化5】
【0040】
式中
14は、以下からなる群より選択され:−F、−CHOMe、および−CFCF
【0041】
15およびR16は、独立して、−CHまたは−Cであり;
【0042】
17は、以下からなる群より選択され:孤立電子対、水素、−CF、−NRE1F1、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、またはヘテロアリール、この群において、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、またはヘテロアリールのどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;あるいは
【0043】
17は、一般式(V)の基であり
【0044】
【化6】
【0045】
式中
20は、以下からなる群より選択され:−F、−CH、−C、−CHOH、−CHOMe、−CFCF、−CHSCH、−SCH、および−SC
【0046】
21は、−CHまたは−Cであり;
【0047】
あるいは、
上記で定義されるとおりのR20とR21は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、単環式飽和三〜七員環を形成してもよく;
【0048】
E1およびRF1は、それぞれ独立して、C−Cアルキルであり、このC−Cアルキルは、C−Cアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;あるいは、RE1とRF1は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環系を形成してもよく、この単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環は、1つ以上の−OR基、−CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で随意に置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、この単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、含有された窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され;
【0049】
は、独立して、各存在において、水素、−CH、または−Cであり;
【0050】
18は、以下からなる群より選択され:孤立電子対、水素、アリール、ヘテロアリール、−(C−Cアルキル)、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル);この群において、アリール、ヘテロアリール、−(C−Cアルキル)、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、または(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル)のどれでも、以下の基で随意に置換されてもよく:−CN、−OH、ハロ、−COOR、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cシクロアルキル)、−S−(C−Cアルキル)、−S−(C−Cシクロアルキル)、−NR、−N(R)(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)(C−Cシクロアルキレン)−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−O−(C−Cアルキレン)−NR、−O−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S−(C−Cアルキレン)−NR、−S−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−N(R)C(O)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)C(O)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−OR、−C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)C(O)N(R)、−C(O)N(R)、−N(R)C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−O−(C−Cアルキレン)−OR、−O−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−S−(C−Cアルキレン)−OR、−S−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)S(O)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−OR、−S(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−S(O)N(R)、−N(R)S(O)、−N(R)C(O)R、OR、SR、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル);これら列挙される基において、基の中の、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−(C−Cアルキレン)−、−(C−Cシクロアルキレン)−、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)カルボニルの部分はどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;
【0051】
およびRは、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;あるいは、RとRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環系を形成してもよく、この単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環は、1つ以上の−OR基、−CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で随意に置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、この単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、含有された窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルはどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;および/または、RとRは、それらが接続した窒素と連結した基の−(C−Cアルキレン)−または−(C−Cシクロアルキレン)−部分にある1個の炭素原子と連結して、環原子を最大で6個有する飽和環を形成してもよく;
【0052】
は、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;
【0053】
は、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、ヒドロキシル基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;
【0054】
19は、以下からなる群より選択され:水素、−CF、−NR、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、およびヘテロアリール、この群において、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、またはヘテロアリールのどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;あるいは
【0055】
19は、一般式(V)の基であり
【0056】
【化7】
【0057】
式中、R20、R21、R、およびRは、上記で定義されるとおりであり;
【0058】
、z、z、およびzは、独立して、ただし形成される環が芳香族系であるような組み合わせで、以下からなる群より選択され:C、N、S、O、−CH−基、および−NH−基;
【0059】
Tは、−N=または−CR28=であり;
【0060】
28は、H、ハロ、−CH、または−CNであり;
【0061】
22は、H、ハロ、−CH、または−CNであるが;
【0062】
ただし:
=−CH−、z=−C−、z=−O−、z=−N−、R18が孤立電子対であり、R17が一般式(V)の基であり、かつR21が−CHまたは−Cである場合;R20は、−F、−CHOMe、または−CFCFであり;
【0063】
=−CH−、z=−C−、z=−N−、z=−N−、R17が一般式(V)の基であり、R21が−CHまたは−Cであり、かつR20が−CH、−C、−CHOH、−CHSCH、−SCH、または−SCであり、かつR18がフェニル環である場合;
【0064】
このフェニル環は、以下からなる群より選択される基で置換され:−CN、−COOR、C−Cシクロアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cシクロアルキル)、−S−(C−Cアルキル)、−S−(C−Cシクロアルキル)、−NR、−N(R)(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)(C−Cシクロアルキレン)−NR、−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−O−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S−(C−Cアルキレン)−NR、−S−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−N(R)C(O)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)C(O)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−OR、−C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)C(O)NR、−C(O)NR、−N(R)C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR−N(R)C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−O−(C−Cアルキレン)−OR、−O−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−S−(C−Cアルキレン)−OR、−S−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)S(O)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−OR、−S(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−S(O)N(R)、−N(R)S(O)、−N(R)C(O)R、SR、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル);これら列挙される基において、基の中の、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−(C−Cアルキレン)−、−(C−Cシクロアルキレン)−、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)カルボニルの部分はどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;
【0065】
または、このフェニル環は、−(C−Cアルキレン)−NRまたは−O−(C−Cアルキレン)−NRである基で置換され、この基において、RおよびRは、両方ともが水素であることはなく、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、−OR基、−CN基、またはハロ基で置換され;あるいは、RとRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環系を形成してもよく、この単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環は、1つ以上の−OR基、−CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、この単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、含有された窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルはどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;
【0066】
または、このフェニル環は、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)基で置換され、この基は、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、またはハロ基で置換され;
【0067】
または、このフェニル環は、−OR基で置換され、式中、Rは、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、−OR基、−CN基、またはハロ基で随意に置換され;
【0068】
または、このフェニル環は、C−Cアルキル基で置換され、この基は、C−Cシクロアルキル基、OR基、またはハロ基で置換され;
【0069】
かつ
19がモルホリン環であり、Tが−CR28=または−N=である場合;R22は、もし芳香環においてT基に対してオルト位に存在するならば、−CHまたは−CNである。
【0070】
別の態様において、本発明は、本発明の化合物を、1種以上の薬学的に許容可能なキャリアおよび/または賦形剤と合わせて含有する薬学的組成物を含む。特に好適であるのは、肺投与用に吸入に適合させた組成物である。
【0071】
別の態様において、本発明は、p38MAPキナーゼ活性の阻害が有効である疾患または症状を治療するための、本発明の化合物の使用を含む。閉塞性または炎症性の気道疾患の治療は、好適な用途である。閉塞性または炎症性の気道疾患は、全ての形態のものが、本発明の化合物で治療できる可能性があるが、特に、慢性好酸球性肺炎、喘息、COPD、慢性気管支炎を含むCOPD、COPD関連または無関連の肺気腫または呼吸困難、不可逆性進行性気道閉塞を特徴とするCOPD、成人型呼吸促迫症候群(ARDS)、他の薬物療法による気道過敏の増悪および肺高血圧症に関連した気道疾患、嚢胞性線維症を含む慢性炎症性疾患、気管支拡張、ならびに肺線維症(特発性)からなる群より選択される閉塞性または炎症性の気道疾患が、本発明の化合物で治療できる可能性がある。p38キナーゼ阻害剤は、肺に局所的に(例えば、吸入および鼻腔内送達により)投与されても、全身的経路を介して(例えば、経口、静脈内、および皮下送達)投与されても、有効性が期待される。
【発明を実施するための形態】
【0072】
用語法
本明細書中使用される場合、「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子を含む。
【0073】
本明細書中使用される場合、「C−Cアルキル」(式中、xおよびyは整数である)という用語は、x〜y個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖のアルキルラジカルを示す。従って、例えば、xが1であり、yが6である場合、この用語には、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、およびn−ヘキシルが含まれる。
【0074】
本明細書中使用される場合、「C−Cアルキレン」(式中、xおよびyは整数である)という用語は、合計で2の遊離原子価を有するC−Cアルキルラジカル(二価のメチレンまたはエチレンラジカルなど)を示す。
【0075】
本明細書中使用される場合、「炭素環の」という用語は、環原子を最大で16個有し、その全てが炭素である、単環式、二環式、または三環式ラジカルを示し、この用語には、アリールおよびシクロアルキルが含まれる。
【0076】
本明細書中使用される場合、「C−Cシクロアルキル」(式中、zおよびkは整数である)という用語は、z〜k個の炭素原子を有する単環式飽和炭素環ラジカルを示し、この用語には、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれる。「C−Cシクロアルキル」という用語の範囲には、1個の炭素原子上に2価の遊離原子価を有するラジカルも含まれ、このラジカルは、C−Cアルキル、C−Cアルキレン、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキレン、C−Cヘテロシクロアルキル、C−CヘテロシクロアルキルC−Cアルキル、C−CヘテロシクロアルキルC−Cシクロアルキル、または(C−C)ヘテロシクロアルキルカルボニル基のどれに対しても、1個の炭素に存在する2個の水素原子と置き換わることで連結することができる。このような状況では、このラジカルは、それが連結したC−Cアルキル、C−Cアルキレン、C−Cシクロアルキル、C−Cシクロアルキレン、C−Cヘテロシクロアルキル、C−CヘテロシクロアルキルC−Cアルキル、C−CヘテロシクロアルキルC−Cシクロアルキル、または(C−C)ヘテロシクロアルキルカルボニル基と一緒になってgem−二置換またはスピロ系を形成する。
【0077】
「C−Cシクロアルキレンラジカル」という用語は、以下の、1,3−シクロペンチレン、1,4−シクロヘキシレン、および1,4−シクロヘプチレンのように、環の異なる炭素原子に2価の遊離原子価を有するC−Cシクロアルキルラジカルを示す:
【0078】
【化8】
【0079】
本明細書中使用される場合、「アリール」という無条件の用語は、単環式または二環式の芳香族炭素環ラジカルを示し、この用語には、共有結合で直接連結した2つの単環式芳香族炭素環を有するラジカルが含まれる。そのようなラジカルの例として、フェニル、ビフェニル、およびナフチルがある。
【0080】
本明細書中使用される場合、「ヘテロアリール」という無条件の用語は、S、N、およびOから選択されるヘテロ原子を1個以上含有する、単環式または二環式の芳香族ラジカルを示し、この用語には、そのような単環を2つ、またはそのような単環を1つと単環式アリール環を1つ有し、2つの環が結合を共有することで縮合しているラジカルが含まれる。五、六員のヘテロアリールの代表例として、以下がある:チエニル、フリル、ピロリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イソチアゾリル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサジアゾリル、ピリジニル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、およびトリアジニル。八、十員のヘテロアリールの代表例として、以下がある:ベンゾチエニル、ベンゾフリル、ベンゾイミダゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾイソチアゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾトリアゾリル、インドリル、およびインダゾリル。
【0081】
本明細書中使用される場合、「複素環」または「ヘテロシクロ」という無条件の用語は、S、N、およびOから選択されるヘテロ原子を1個以上含有する、単環式、二環式、または三環式の、芳香族ではない飽和ラジカルに関する。詳細には、「C−Cヘテロシクロアルキル」という用語は、単環式(C−C)シクロアルキル基の中の少なくとも1つの環炭素原子がヘテロ原子(例えばN、NH、S、またはO)と置き換わっているものを示す。(C−C)ヘテロシクロアルキルの例として、ピロリジニル、チアゾリジニル、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニルが挙げられる。
【0082】
同様に、「C−Cヘテロシクロアルキレン」という用語は、二価のC−Cヘテロシクロアルキルラジカルを示し、このC−Cヘテロシクロアルキルは上記で定義されるとおりである。
【0083】
「C−CヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」という用語は、上記の「C−Cアルキル」基の中の1個以上の水素原子が1つ以上の「C−Cヘテロシクロアルキル」基と置き換わっているものを示す。「C−CヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」という用語の範囲には、「C−Cアルキル」基の中の1個の炭素原子に連結した2個の水素原子が1つの「C−Cヘテロシクロアルキル」基と置き換わっている系も含まれる。こうして、そのようなラジカルは、gem−二置換「C−CヘテロシクロアルキルC−Cアルキル」系(1,2−ジメチル−ピロリジン−2−イルラジカルなど)を形成する。
【0084】
「C−CヘテロシクロアルキルC−Cシクロアルキル」という用語は、上記の「C−Cシクロアルキル」基の中の1個以上の水素原子が1つ以上の「C−Cヘテロシクロアルキル」基と置き換わっているものを示す。
【0085】
「(C−C)シクロアルキルカルボニル」という表現は、(C−C)シクロアルキル−CO−基を示し、この基の中の「(C−C)シクロアルキル」基は、上記で定義される意味を有する。
【0086】
「(C−C)ヘテロシクロアルキルカルボニル」という表現は、(C−C)ヘテロシクロアルキル−CO−基を示し、この基の中の「(C−C)ヘテロシクロアルキル」基は、上記で定義される意味を有する。
【0087】
本明細書中、任意のアリールまたはヘテロアリール部分に適用される「置換される」という用語は、その用語が登場する文脈で特に記載がない限り、少なくとも1つの置換基で置換されることを意味し、置換基は、例えば、(C−C)アルキル、(C−C)フルオロアルキル、(C−C)アルコキシ(芳香環の隣接炭素原子上のメチレンジオキシ置換およびエチレンジオキシ置換を含む)、(C−C)フルオロアルコキシ、(C−C)アルコキシ−(C−C)アルキル、ベンジルオキシ−(C−C)アルキル、(C−C)アルコキシ−(C−C)アルコキシ、ベンジルオキシ−(C−C)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C−C)アルキル、ヒドロキシ(C−C)アルコキシ、ヒドロキシ(C−C)アルキルチオ、メルカプト、メルカプト(C−C)アルキル、(C−C)アルキルチオ、シクロプロピル、ハロ(フルオロおよびクロロを含む)、O−ベンジル、ニトロ、ニトリル(シアノ)、−COOH、テトラゾリル、−COOR、−COR、−SO、−CONH、−SONH、−CONHR、−SONHR、−CONR、−SONR、−NH、−NHR、−NR、−OCONH、−OCONHR、−OCONR、−NHCOR、−NHCOOR、−NRCOOR、−NHSOOR、−NRSOOR、−NHCONH、−NRCONH、−NHCONHR−NRCONHR、−NHCONR、または−NRCONRから選択され、式中、RおよびRは、独立して、(C−C)アルキル基であるか、またはRとRは、同じ窒素に結合している場合、その窒素と一緒になって、環状アミノ基(モルホリニル基、ピペリジニル基、またはピペラジニル基など)を形成してもよい。「随意の置換基」は、上記に包含される置換基のうちの1つが可能である。
【0088】
本発明の化合物は、1種以上の幾何異性体、光学異性体、鏡像異性体、ジアステレオ異性体、および互変異性体の形で存在することが可能であり、そのような異性体として、シスおよびトランス形、E−およびZ−形、R−、S−、およびmeso−形、ケトおよびエノール形が挙げられるが、それらに限定されない。特に記載がない限り、特定の化合物についての記述には、異性体のラセミ混合物および他の混合物も含めて、そのような異性体が全て含まれる。そのような異性体は、適宜、既知の方法(例えば、クロマトグラフィー技術および再結晶技術)を使用または応用して、混合物から分離することができる。そのような異性体は、適宜、既知の方法(例えば不斉合成)を使用または応用して、調製することができる。
【0089】
明細書全体を通じて、構造式の定義におけるアスタリスク「*」の使用は、ラジカル基が、分子の他の部分に結合する結合点を示す。
【0090】
本明細書中使用される場合、「塩」という用語は、塩基付加塩、酸付加塩、およびアンモニウム塩を含む。簡単に言うと、上記の本発明の化合物で酸性のもは、塩基、例えばアルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウム);アルカリ土類金属水酸化物(例えば、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、および水酸化マグネシウム);他の有機塩基(例えば、N−メチル−D−グルカミン、コリン、トリス(ヒドロキシメチル)アミノ−メタン、L−アルギニン、L−リシン、N−エチルピペリジン、ジベンジルアミンなど)を用いて、薬学的に許容可能な塩をはじめとする塩を形成することができる。本発明の化合物で塩基性のものは、無機酸(例えば、塩酸または臭化水素酸などのハロゲン化水素酸、硫酸、硝酸、またはリン酸など)、および有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、サリチル酸、クエン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、ベンゼンスルホン酸、グルタミン酸、乳酸、およびマンデル酸など)を用いて、薬学的に許容可能な塩をはじめとする塩を形成することができる。化合物(I)で塩基性窒素を有するものは、薬学的に許容可能な対イオン(例えば、アンモニウムイオン、塩素イオン、臭素イオン、酢酸イオン、ギ酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、コハク酸イオン、ヘミコハク酸イオン、ナフタレン−ビススルホン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、キシナホ酸イオンなど)を用いて、四級アンモニウム塩を形成することもできる。塩の総説については、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use by Stahl and Wermuth (Wiley−VCH, Weinheim, Germany, 2002)(非特許文献17)を参照。
【0091】
本発明の化合物は、水和物、および溶媒和物の形で調製することが可能であると予測される。本明細書中、請求項も含めて、「本発明に関係する化合物」または「本発明の化合物」または「本化合物」などのどの記述にも、そのような化合物の塩、水和物、および溶媒和物が含まれる。「溶媒和物」という用語は、本明細書中、本発明の化合物および化学量論的量の1種以上の薬学的に許容可能な溶媒分子(例えば、エタノール)を含む分子複合体を記載するのに用いられる。「水和物」という用語は、この溶媒が水である場合に用いられる。
【0092】
本発明の個々の化合物には、複数の多形が存在する可能性があり、異なる晶癖または共晶癖で得られる可能性があるが、それらも「本発明の化合物」という用語の意味に含まれるものとする。
【0093】
本化合物は、そのプロドラッグの形でも投与することができる。すなわち、本化合物のある誘導体は、それ自身で活性があるかもしれないし、それ自身はほとんどまたはまったく活性がないかもしれないが、身体に投与されたときに、例えば、加水切断により、所望の活性を有する本発明の化合物に変換され得る。そのような誘導体を、「プロドラッグ」と称する。プロドラッグの使用についてのさらなる情報は、Pro−drugs as Novel Delivery Systems, Vol. 14, ACS Symposium Series (T. Higuchi and V.J. Stella)およびBioreversible Carriers in Drug Design, Pergamon Press, 1987 (ed. E. B. Roche, American Pharmaceutical Association; C.S. Larsen and J. OEstergaard, Design and application of prodrugs, In Textbook of Drug Design and Discovery, 3rd Edition, 2002, Taylor and Francis)(非特許文献18および19)で得ることができる。
【0094】
本発明によるプロドラッグは、例えば、式(I)の化合物に存在する適切な官能基を、例えば、Design of Prodrugs by H. Bundgaard(Elsevier,1985)(非特許文献20)に記載されるとおり、「前駆部分(pro−moiety)」として当業者に既知である特定の部分で置換することにより、生成させることができる。そのような例として、カルボキシル基(アンピシリンのプロドラッグであるピバンピシリンで用いられる−CO−O−CH−O−CO−tBuなど)、アミド(−CO−NH−CH−NAlk)、またはアミジン(−C(=N−O−CH)−NH)のプロドラッグを挙げることができる。
【0095】
発明の態様
本明細書中以下、式(I)の化合物について記載される好適な基または実施形態は全て、それぞれ互いに組み合わせることができ、以下に定義されるとおりの式(IA)、(IB)、(Ia)、(Ib)、または(Ic)の化合物にも、変更すべきところは変更して、同様に適用できるものとする。
【0096】
1つの実施形態において、式(Ia)の化合物が提供され、この化合物は、上記で定義されるとおりの式(I)の化合物において、以下の、A環のシクロアルキレン部分にある、W基と連結した番号(1)で区別される不斉炭素中心が、以下に示す絶対配置を有するものである:
【0097】
【化9】
(Ia)
【0098】
別の実施形態において、式(Ib)の化合物が提供され、この化合物は、上記で定義されるとおりの式(I)の化合物において、以下の、A環のシクロアルキレン部分にある、W基およびY基と連結した、それぞれ番号(1)および(2)で区別される不斉炭素中心が、以下に示す絶対配置を有するものである:
【0099】
【化10】
(Ib)
【0100】
さらなる実施形態において、式(Ic)の化合物が提供され、この化合物は、上記で定義されるとおりの式(I)の化合物において、以下の、A環のシクロアルキレン部分にある、W基およびY基と連結した、それぞれ番号(1)および(2)で区別される不斉炭素中心が、以下に示す絶対配置を有するものである:
【0101】
【化11】
(Ic)
【0102】
1つの実施形態において、Wは、NHまたはOである。さらなる実施形態において、WはNHである。
【0103】
1つの実施形態において、Yは、−S(O)、−O(CR−基、−(CR−基、または−NR−基であり;pは、ゼロであり、かつnは、0、1、または2である。別の実施形態において、Yは、−S(O)−または−O(CR基であり、または;pは、ゼロであり、かつnは、0または1である。さらなる実施形態において、Yは、−O(CR−基であり、かつnは0である。
【0104】
1つの実施形態において、R、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素、フッ素、またはC−Cアルキルである。別の実施形態において、R、R、R、およびRは、水素である。
【0105】
1つの実施形態において、Rは、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルである。
【0106】
1つの実施形態において、Rは、水素である。
【0107】
1つの実施形態において、Aは、環原子を5個または6個有する二価シクロアルキレンラジカルであり、このシクロアルキレン環は、WおよびYと結合しており、かつフェニル環と、または環原子を5個もしくは6個有する単環式ヘテロアリール環と縮合しており、このフェニル環またはヘテロアリール環は、1つまたは2つのR24基で随意に置換される。
【0108】
さらなる実施形態において、Aは、以下からなる群より選択される基である:
【0109】
【化12】
【0110】
またさらなる実施形態において、Aは、以下の基である:
【0111】
【化13】
【0112】
さらなる実施形態において、Aは、以下の基である:
【0113】
【化14】
【0114】
1つの実施形態において、R27は、存在しないか、またはもし存在する場合は、各存在において独立して、以下からなる群より選択され:C−Cアルキル、−F、−Cl、およびシアノ;さらなる実施形態において、R27は、存在しないか、またはもし存在する場合は、各存在において独立して、メチルまたは−Fである。さらなる実施形態において、R27は、存在しない。
【0115】
1つの実施形態において、Rは、以下の式(IIa)の基である:
【0116】
【化15】
【0117】
1つの実施形態において、R11は水素である。
【0118】
1つの実施形態において、R26は、水素、−CH、または−Cであり;別の実施形態において、R26は、水素または−CHであり;さらなる実施形態において、R26は、水素である。
【0119】
1つの実施形態において、Rは、−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)、−N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、または−Rであり;別の実施形態において、Rは、−Rである。
【0120】
1つの実施形態において、Rは、−CH−OMeである。
【0121】
別の実施形態において、Rは、式(IIb)の基であり:
【0122】
【化16】
【0123】
1つの実施形態において、Xは、窒素原子または−CH−基であり;別の実施形態において、Xは、窒素原子であり;別の実施形態において、Xは、−CH−基である。
【0124】
1つの実施形態において、R12は水素である。
【0125】
1つの実施形態において、Rは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル(これは随意に置換される)、五または六員の単環式ヘテロアリール(これは随意に置換される)である。さらなる実施形態において、Rは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキルである。またさらなる実施形態において、Rは、C−Cアルキル、例えば、イソプロピルである。別の実施形態において、Rは、フェニルであり、これは1または2個のハロゲン原子(例えば、塩素)で随意に置換される。
【0126】
別の実施形態において、Rは、式(IIIa)または(IIIb)のラジカルである
【0127】
【化17】
【0128】
別の実施形態において、Rは、式(IIc)の基である:
【0129】
【化18】
【0130】
1つの実施形態において、Xは、窒素原子または−CH−基であり;別の実施形態において、Xは、−CH−基である。
【0131】
1つの実施形態において、R13は水素である。
【0132】
1つの実施形態において、R10は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル(これは随意に置換される)、五または六員の単環式ヘテロアリール(これは随意に置換される)である。さらなる実施形態において、R10は、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキルである。またさらなる実施形態において、R10は、C−Cアルキルである。
【0133】
別の実施形態において、R10は、式(IIIa)または(IIIb)のラジカルである
【0134】
【化19】
【0135】
1つの実施形態において、Rは、式(IVa)のラジカルである:
【0136】
【化20】
【0137】
1つの実施形態において、R14は、以下からなる群より選択される:−F、−CHOMe、および−CFCF
【0138】
1つの実施形態において、R15およびR16は、独立して、−CHまたは−Cであり;別の実施形態において、R15およびR16は、−CHである。
【0139】
別の実施形態において、Rは、式(IVb)のラジカルである:
【0140】
【化21】
【0141】
1つの実施形態において、R17は、以下からなる群より選択され:孤立電子対、水素、−CF、-NRE1F1、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、またはヘテロアリール、この群において、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、またはヘテロアリールのどれでも、メチル基、イソプロピル基、またはハロ基で随意に置換されてもよい。別の実施形態において、R17は、以下からなる群より選択される:孤立電子対、水素、−CF、モルホリン、シクロヘキシル、フェニル、またはピリジル。
【0142】
別の実施形態において、R17は、一般式(IV)の基である
【0143】
【化22】
【0144】
1つの実施形態において、R20は、以下からなる群より選択され:−F、-CH;−CHOH、−CHOMe、および−CHSCH;別の実施形態において、R20は、以下からなる群より選択され:−CH、−CHOH、および−CHOMe。さらなる実施形態において、R20は−CHである。
【0145】
1つの実施形態において、R21は−CHである。
【0146】
別の実施形態において、上記で定義されるとおりのR20とR21は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、シクロヘキサン環またはシクロプロピル環を形成してもよく;さらなる実施形態において、上記で定義されるとおりのR20とR21は、それらが結合した炭素原子と一緒になって、シクロプロピル環を形成してもよい。
【0147】
1つの実施形態において、RE1およびRF1は、それぞれ独立して、C−Cアルキルであり、このC−Cアルキルは、C−Cアルキル基、−OR基、CN基、またはハロ基で随意に置換される。さらなる実施形態において、RE1およびRF1は、それぞれ独立して、C−Cアルキルである。
【0148】
別の実施形態において、RE1とRF1は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、単環式または二環式の飽和五〜六員環系を形成し、形成された環系は、随意に酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、含有された窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換される。さらなる実施形態において、RE1とRF1は、それらが結合した窒素原子と一緒になって、モルホリン、ピラン、フラン、ピペリジン、ピロリジン、またはピペラジンを形成し、可能な場合は、こうした環を形成する窒素原子は、メチルで随意に置換される。
【0149】
1つの実施形態において、R18は、フェニルであり、このフェニルは、以下の基で随意に置換され:−CN、OH、ハロ、COOR、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−O−(C−Cアルキル)、−O−(C−Cシクロアルキル)、−S−(C−Cアルキル)、−S−(C−Cシクロアルキル)、−NR、−N(R)(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)(C−Cシクロアルキレン)−NR、−(C−Cアルキレン)−NR、−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−O−(C−Cアルキレン)−NR、−O−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S−(C−Cアルキレン)−NR、−S−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−N(R)C(O)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)C(O)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−OR、−C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)C(O)N(R)、−C(O)N(R)、−N(R)C(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)C(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−O−(C−Cアルキレン)−OR、−O−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−S−(C−Cアルキレン)−OR、−S−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cアルキレン)−NR、−N(R)S(O)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−NR、−S(O)N(R)−(C−Cアルキレン)−OR、−S(O)N(R)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cアルキレン)−OR、−N(R)S(O)−(C−Cシクロアルキレン)−OR、−S(O)N(R)、−N(R)S(O)、−N(R)C(O)R、OR、SR、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル)、これら列挙される基において、基の中の、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、−(C−Cアルキレン)−、−(C−Cシクロアルキレン)−、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)、(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cシクロアルキル)、および(C−Cヘテロシクロアルキル)カルボニルの部分はどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、−OR基、またはハロ基で随意に置換されてもよい。
【0150】
別の実施形態において、R18は、−(C−Cアルキル)または−(C−Cシクロアルキル)である。
【0151】
1つの実施形態において、z=−CH−、z=C、zおよびzはNであり;別の実施形態において、z=O、z=C、zおよびzはNであり;さらなる実施形態において、z=−CH−、zおよびzはNであり、かつzは−CH−であり;さらなる実施形態において、z=N、zはCであり、zはNであり、かつzはOであり;またさらなる実施形態において、z=N、zはCであり、zはOであり、かつzはNである。
【0152】
さらなる実施形態において、Rは、式(IVb)のラジカルであり:
【0153】
【化23】
【0154】
式中、z=O、z=C、zはNであり、zはNであり、R18は孤立電子対であり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【0155】
【化24】
【0156】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、かつR21は−CHである。
【0157】
別の実施形態において、Rは、式(IVb)のラジカルであり:
【0158】
【化25】
【0159】
式中、z=N、z=C、zはNであり、zはOであり、R18は孤立電子対であり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【0160】
【化26】
【0161】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、かつR21は−CHである。
【0162】
さらなる実施形態において、Rは、式(IVb)のラジカルであり:
【0163】
【化27】
【0164】
式中、z=−CH−、z=N、zはNであり、zは−C−であり、R18は水素であり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【0165】
【化28】
【0166】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、かつR21は−CHである。
【0167】
さらなる実施形態において、Rは、式(IVb)のラジカルであり:
【0168】
【化29】
【0169】
式中、z=−CH−、z=N、zはNであり、zは−C−であり、R18は水素であり、かつR17は、アリールであり、これは(C−C)アルキル基で随意に置換される。
【0170】
さらなる実施形態において、Rは、式(IVb)のラジカルであり:
【0171】
【化30】
【0172】
式中、z=−CH−、z=C、zおよびzはNであり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【0173】
【化31】
【0174】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、かつR21は−CHである。
【0175】
別の実施形態において、Rは、式(IVb)のラジカルである:
【0176】
【化32】
【0177】
式中、z=−CH−、z=C、zおよびzはNであり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【0178】
【化33】
【0179】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、かつR21は−CHであり、かつ式(IVb)中、
【0180】
18はフェニルであり、これは、−(C−Cアルキレン)−NRまたは−O−(C−Cアルキレン)−NRである基で置換され、この基において、RおよびRは、両方ともが水素であることはなく、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、OR基、CN基、またはハロ基で置換され;あるいは、RとRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環系を形成してもよく、この単環式または二環式の飽和五〜十一員環は、1つ以上のOR基、CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、この単環式または二環式の飽和五〜十一員複素環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、含有された窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され、このアルキルまたはシクロアルキルのどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、CN基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;
【0181】
または、式(IVb)中、R18はフェニルであり、これは(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)基で置換され、この基はC−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、またはハロ基で置換され;
【0182】
または、式(IVb)中、R18はフェニルであり、これはC−Cアルキル基で置換され、この基はC−Cシクロアルキル基、−OR基、またはハロ基で置換され;
【0183】
または、式(IVb)中、R18はフェニルであり、これは−CN基、−O−(C−Cアルキル)基、−NR基、−O−(C−Cアルキレン)−OR基、−S−(C−Cアルキレン)−OR基、−(C−Cヘテロシクロアルキル)基で置換され、これら列挙される基において、基の中の、C−Cアルキル、−(C−Cアルキレン)−、−(C−Cヘテロシクロアルキル)部分のどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、またはハロ基で随意に置換されてもよい。
【0184】
さらなる実施形態において、Rは、式(IVb)のラジカルであり:
【0185】
【化34】
【0186】
式中、z=−CH−、z=C、zおよびzはNであり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【0187】
【化35】
【0188】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、かつR21は−CHであり、かつR18はヘテロアリール環であり、これは(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)基で随意に置換され、この基は、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、またはハロ基で随意に置換され;または、R18はヘテロアリール環であり、これは−(C−Cアルキレン)−NR基または−O−(C−Cアルキレン)−NR基で随意に置換される。
【0189】
さらなる実施形態において、Rは、式(IVb)のラジカルであり:
【0190】
【化36】
【0191】
式中、z=−CH−、z=C、zおよびzはNであり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【0192】
【化37】
【0193】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、かつR21は−CHであり、かつR18は、−(C−Cアルキル)基であり、これは、−OH基、ハロ基、または−NR基で随意に置換されるか;または、(C−Cヘテロシクロアルキル)基もしくは(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)基であり、これは、C−Cアルキル基、ハロ基、または−OH基で随意に置換されてもよい。
【0194】
さらなる実施形態において、Rは、式(IVc)のラジカルである:
【0195】
【化38】
【0196】
1つの実施形態において、R19は、以下からなる群より選択され:水素、−CF、−NR、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、およびヘテロアリール、この群において、−(C−Cシクロアルキル)、−(C−Cヘテロシクロアルキル)、アリール、またはヘテロアリールのどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、またはハロ基で随意に置換されてもよい。別の実施形態において、R19は、以下からなる群より選択され:水素、−CF、モルホリン、シクロヘキシル、フェニル、またはピリジル、この群において、モルホリン、シクロヘキシル、フェニル、またはピリジルのどれでも、メチル基、−F基、または−Cl基で随意に置換されてもよい。
【0197】
別の実施形態において、R19は、一般式(V)の基である
【0198】
【化39】
【0199】
1つの実施形態において、Tは−N=である。別の実施形態において、Tは、−CR28=である。
【0200】
1つの実施形態において、R22は、H、F、−Cl、−CH、または−CNであり;別の実施形態において、R22は、HまたはFである。
【0201】
1つの実施形態において、R23は、H、F、−Cl、−CH、または−CNであり;別の実施形態において、R23は、−Clである。
【0202】
1つの実施形態において、式(IA)の化合物が提供され、式(IA)中、WはNHであり、Yは、−O(CR−基であり、かつnは0であり、Aは以下の基であり:
【0203】
【化40】
【0204】
は、式(IIb)の基であり:
【0205】
【化41】
【0206】
式中、Xは、−CH−基であり;R12は、水素であり;Rは、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル(これは随意に置換される)、または五または六員の単環式ヘテロアリール(これは随意に置換される)であり;
【0207】
は、式(IVb)のラジカルであり:
【0208】
【化42】
【0209】
式中、z=−CH−、z=C、zおよびzはNであり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【0210】
【化43】
【0211】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、かつR21は−CHであり、かつR18は−(C−Cアルキル)基であり、これは、−OH基、ハロ基、または−NR基で随意に置換されるか;または、(C−Cヘテロシクロアルキル)基もしくは(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)基であり、これは、C−Cアルキル基、ハロ基、または−OH基で随意に置換されてもよい。
【0212】
1つの実施形態において、式(IB)の化合物が提供され、式(IB)中、WはNHであり、Yは−O(CR−基であり、かつnは0であり、Aは以下の基であり:
【0213】
【化44】
【0214】
は、式(IIb)の基であり:
【0215】
【化45】
【0216】
式中、Xは、−CH−基であり;R12は水素であり;RはC−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、フェニル(これは随意に置換される)、または五または六員の単環式ヘテロアリール(これは随意に置換される)であり;
【0217】
は、式(IVb)のラジカルであり:
【0218】
【化46】
【0219】
式中、z=−CH−、z=C、zおよびzはNであり、かつR17は、一般式(V)の基であり
【0220】
【化47】
【0221】
式中、R20は−CHまたは−CHOHであり、かつR21は−CHであり、かつ式(IVb)中、
【0222】
18はフェニルであり、これは、−(C−Cアルキレン)−NRまたは−O−(C−Cアルキレン)−NRである基で置換され、この基において、RおよびRは、両方ともが水素であることはなく、各存在において独立して、水素、C−Cアルキル、またはC−Cシクロアルキルであり、このC−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルは、OR基、CN基、またはハロ基で置換され;あるいは、RとRは、それらが結合した窒素原子と一緒になって、単環式または二環式の飽和五〜十一員環系を形成してもよく、この単環式または二環式の飽和五〜十一員環は、1つ以上のOR基、CN基、ハロ基、C−Cアルキル基、またはC−Cシクロアルキル基で置換され、これらのC−CアルキルおよびC−Cシクロアルキルは、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、CN基、またはハロ基で随意に置換され;かつ、随意に、この単環式または二環式の飽和五〜十一員環は、酸素または窒素であるさらなるヘテロ原子を含有し、含有された窒素原子は、C−CアルキルまたはC−Cシクロアルキルで随意に置換され、このアルキルまたはシクロアルキルのどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、CN基、またはハロ基で随意に置換されてもよく;
【0223】
または、式(IVb)中、R18はフェニルであり、これは(C−Cヘテロシクロアルキル)−(C−Cアルキル)基で置換され、この基はC−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、またはハロ基で置換され;
【0224】
または、式(IVb)中、R18はフェニルであり、これはC−Cアルキル基で置換され、この基はC−Cシクロアルキル基、−OR基、またはハロ基で置換され;
【0225】
または、式(IVb)中、R18はフェニルであり、これは−CN基、−O−(C−Cアルキル)基、−NR基、−O−(C−Cアルキレン)−OR基、−S−(C−Cアルキレン)−OR基、−(C−Cヘテロシクロアルキル)基で置換され、これら列挙される基において、基の中の、C−Cアルキル、−(C−Cアルキレン)−、−(C−Cヘテロシクロアルキル)部分のどれでも、C−Cアルキル基、C−Cシクロアルキル基、OR基、またはハロ基で随意に置換されてもよい。
【0226】
1つの実施形態において、式(I)の化合物は、以下からなる一覧より選択されるか、またはその薬学的に許容可能な塩である:
1−(5−tert−ブチル−2−(4−メトキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−{5−tert−ブチル−2−[3−(2−ヒドロキシエチルスルファニル)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−{5−tert−ブチル−2−[3−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(5−tert−ブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−3−(1−p−トリル−1H−ピラゾール−4−イル)−尿素;
1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(3−tert−ブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(1−tert−ブチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−{5−tert−ブチル−2−[3−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イルメチル)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素、および
1−(5−tert−ブチル−2−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素。
【0227】
別の実施形態において、式(I)の化合物は、以下からなる一覧より選択されるか、またはその薬学的に許容可能な塩である:
1−(5−tert−ブチル−2−(4−メトキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−{5−tert−ブチル−2−[3−(2−ヒドロキシエチルスルファニル)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−{5−tert−ブチル−2−[3−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(5−tert−ブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−3−(1−p−トリル−1H−ピラゾール−4−イル)−尿素;
1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(3−tert−ブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(1−tert−ブチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−{5−tert−ブチル−2−[3−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イルメチル)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素、および
1−(5−tert−ブチル−2−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(4−シアノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(5−tert−ブチル−2−ピペリジン−4−イル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−7−フルオロ−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−3−(2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−尿素;
1−(1−tert−ブチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−[(1S,4R)−7−フルオロ−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(5−tert−ブチル−2−{3−[2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−{5−tert−ブチル−2−[1−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−1H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−{5−tert−ブチル−2−[2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素;
1−{5−tert−ブチル−2−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2−クロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2−クロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素;
1−(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−尿素;
1−[5−tert−ブチル−2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−シクロヘキシル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素;
1−(5−tert−ブチル−2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−2H−ピラゾール−3−イル)−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−尿素。
【0228】
用途
上記のとおり、本発明の化合物はp38MAPK阻害剤であり、したがって、p38酵素の阻害が有効である疾患または症状の治療に有用であると思われる。そのような疾患および症状は文献で既知であり、いくつかについては既に上記で述べた。しかしながら、本化合物は、概して抗炎症剤として有用であり、特に呼吸器疾患の治療に有用である。詳細には、本化合物は、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性気管支炎、肺繊維症、肺炎、急性呼吸促迫症候群(ARDS)、肺気腫、または喫煙誘導性肺気腫、内因性(非アレルギー性)および外因性(アレルギー性)喘息、軽度喘息、中等度喘息、重度喘息、ステロイド抵抗性喘息、好中球性喘息、気管支炎性喘息、運動誘発性喘息、職業性喘息、ならびに細菌感染、嚢胞性線維症、肺線維症、および気管支拡張を受けて誘導される喘息の治療に用いることができる。
【0229】
本発明は、p38酵素の阻害が有効である任意の疾患または症状を予防および/または治療するための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0230】
さらなる態様において、本発明は、p38酵素の阻害が有効である任意の疾患または症状を予防および/または治療するための医薬を調製するための、本発明の化合物の使用を提供する。
【0231】
そのうえ、本発明は、p38酵素の阻害が有効である任意の疾患を予防および/または治療する方法を提供し、この方法は、そのような治療を必要としている患者に本発明の化合物を治療上有効量で投与することを含む。
【0232】
組成物
上記のとおり、本発明に関係する化合物は、p38キナーゼ阻害剤であり、複数の疾患、例えば、気道の炎症性疾患の治療に有用である。そのような疾患の例は、上述されており、喘息、鼻炎、アレルギー性気道症候群、気管支炎、および慢性閉塞性肺疾患が挙げられる。
【0233】
任意の特定患者についての具体的な用量レベルは、様々な要因に依存するだろうということが理解されるだろう。そのような要因として、用いられる具体的な化合物の活性、年齢、体重、全身の健康状態、性別、食事、投与時間、投与経路、排出率、併用薬、および治療中の特定疾患の重篤度が挙げられる。最適な用量レベルおよび投薬頻度は、医薬分野で必要とされるとおりの臨床試験で決められるだろう。一般に、経口投与の場合の一日量の範囲は、1回の投与でまたは分割投与の合計で、ヒトの体重1kgあたり約0.001mg〜約100mg、たいていは1kgあたり0.01mg〜約50mg、例えば、1kgあたり0.1〜10mgの範囲内に収まるだろう。一般に、吸入投与の場合の一日量の範囲は、1回の投与でまたは分割投与の合計で、ヒトの体重1kgあたり約0.1μg〜約1mg、好ましくは1kgあたり0.1μg〜50μgの範囲内に収まるだろう。一方で、場合によっては、これらの範囲外の投薬量を用いる必要があるかもしれない。本発明の目的に関して、吸入投与が好適である。
【0234】
本発明に関係する化合物は、化合物の薬物動態の性質と調和する任意の経路で投与できるように調製することができる。経口投与可能な組成物は、錠剤、カプセル剤、粉末、顆粒、ロゼンジ、液剤またはゲル剤(経口、外用、または滅菌非経口の、溶液または懸濁液など)の形をとることができる。経口投与用の錠剤およびカプセル剤は、単位用量を表す形をとることができ、従来の賦形剤、例えば、結合剤(例えば、シロップ、アラビアゴム、ゼラチン、ソルビトール、トラガカント、またはポリビニルピロリドン);増量剤(例えば、ラクトース、糖、トウモロコシデンプン、リン酸カルシウム、ソルビトール、またはグリシン);打錠潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、またはシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモデンプン)、または使用可能な湿潤剤(ラウリル硫酸ナトリウムなど)を含有することができる。錠剤は、通常の薬務で周知の方法に従って被覆されてもよい。経口液状製剤は、例えば、水性または油性の、懸濁液、溶液、乳濁液、シロップ、またはエリキシル剤の形をとってもよいし、使用時に水または他の適切なビヒクルで再構成する乾燥製品として存在してもよい。そのような液状製剤は、従来の添加剤、例えば、懸濁剤(例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、グルコースシロップ、ゼラチン、硬化食用脂肪);乳化剤(例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアラビアゴム);非水性ビヒクル(食用油を含んでもよい)、例えば、アーモンド油、分画ココナッツ油、油性エステル(グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコールなど);保存料(例えば、p−ヒドロキシ安息香酸メチルもしくはプロピルまたはソルビン酸)、ならびに所望であれば、従来の香味剤または着色剤を含有してもよい。
【0235】
皮膚への外用塗布の場合、本薬物は、クリーム、ローション、または軟膏にすることができる。本薬物に利用できるクリームまたは軟膏配合物は、当該分野で既知である、例えば、一般的な薬学教科書(英国薬局方など)に記載されるとおりの従来の配合物である。
【0236】
本活性成分は、滅菌媒体に含まれた状態で、非経口投与することもできる。用いるビヒクルおよび濃度に依存して、本薬物は、ビヒクルに懸濁するか溶解するかのいずれかが可能である。有利なことに、アジュバント(局所麻酔剤、保存料、および緩衝剤など)をビヒクルに溶解させることができる。
【0237】
また一方、気道の炎症性疾患の治療の場合、本発明の化合物は、吸入(例えば、鼻スプレー、または乾燥粉末もしくはエーロゾルの吸入器など)用にも配合できる。吸入による送達の場合、本活性化合物は、好ましくは、微小粒子の形をしている。微小粒子は、噴霧乾燥法、凍結乾燥法、および微粒子化を含む様々な技術で調製することができる。エーロゾルの生成は、例えば、圧力駆動型ジェット噴霧器または超音波噴霧器を用いて、好ましくは推進剤駆動型定量エーロゾルまたは推進剤を用いない微粒子化活性化合物投与(例えば、吸入カプセル剤または他の「乾燥粉末」送達システムでの投与)を用いて、行なうことができる。
【0238】
例として、本発明の組成物は、ネブライザーで送達する用の懸濁液として、または液体推進剤に含まれたエーロゾル(例えば、加圧式定量噴霧吸入器(PMDI)用のもの)として調製することができる。PMDIで用いるのに適した推進剤は、当業者に既知であり、そのような推進剤として、CFC−12、HFA−134a、HFA−227、HCFC−22(CCl)、およびHFA−152(CHおよびイソブタン)が挙げられる。
【0239】
本発明の好適な実施形態において、本発明の組成物は、粉末吸入器(DPI)を用いた送達用の乾燥粉末の形をしている。DPIの種類は多数知られている。
【0240】
投与による送達用の微小粒子は、送達および放出を補助する賦形剤とともに配合することができる。例えば、乾燥粉末配合物において、微小粒子は、DPIから肺への流動を補助する巨大キャリア粒子と配合することができる。適切なキャリア粒子は既知であり、そのようなキャリア粒子としてラクトース粒子が挙げられる;キャリア粒子は、90μmより大きい空気力学的質量中央径を有することができる。
【0241】
エーロゾル系配合物の場合、例として以下が挙げられる:
本発明の化合物 24mg/缶
レシチン、NF液状、濃縮、 1.2mg/缶
トリクロロフルオロメタン、NF 4.025g/缶
ジクロロジフルオロメタン、NF 12.15g/缶。
【0242】
本活性化合物は、用いる吸入器システムに依存して、記載のとおりに服用させることができる。本活性化合物に加えて、投与形態は、さらに、賦形剤、例えば、推進剤(例えば、定量エーロゾルの場合のFrigen)、表面活性物質、乳化剤、安定剤、保存料、香味剤、増量剤(例えば、粉末吸入器の場合のラクトース)など、または、適切な場合は、さらなる活性化合物を含有することができる。
【0243】
吸入を目的とする場合、患者にとって適切な吸入技術を用いて、最適な粒子径のエーロゾルを生成および投与することができる非常に多数のシステムを利用することができる。定量エーロゾル用、特に粉末吸入器の場合の、補助具(スペーサー、エキスパンダー)およびナシ型容器(例えばNebulator(登録商標)、Volumatic(登録商標))、ならびに膨れる噴霧を発する自動装置(Autohaler(登録商標))に加えて、多数の技術解決策(例えば、ディスクヘラー(登録商標)、ロタディスク(登録商標)、Turbohaler(登録商標)、または、例えば、欧州特許出願公開第0505321号(特許文献5)に記載されるとおりの吸入器)を利用できる。さらに、本発明の化合物は、多室型装置で送達することができるので、薬剤を併用して送達することが可能である。
【0244】
合剤
炎症性疾患、特に呼吸器疾患の予防および治療のため、他の化合物を本発明に関係する化合物と併用することができる。したがって、本発明は、治療上有効量の本発明の化合物、および1種以上の他の治療薬を含む薬学的組成物にも関する。本発明の化合物との併用療法に適した治療薬として、以下が挙げられるが、それらに限定されない:(1)コルチコステロイド(プロピオン酸フルチカゾン、フロ酸フルチカゾン、フロ酸モメタゾン、ジプロピオン酸ベクロメタゾン、シクレソニド、ブデソニド、GSK 685698、GSK 870086、QAE 397、QMF 149、TPI−1020など);(2)β2−アドレナリン受容体アゴニスト(サルブタモール、アルブテロール、テルブタリン、フェノテロールなど)、および長時間作用型β2−アドレナリン受容体アゴニスト(サルメテロール、インダカテロール、ホルモテロール(フマル酸ホルモテロールを含む)、アルホルモテロール、カルモテロール、GSK 642444、GSK 159797、GSK 159802、GSK 597501、GSK 678007、AZD3199など);(3)コルチコステロイド/長時間作用型β2アゴニスト合剤(サルメテロール/プロピオン酸フルチカゾン(アドベア/セレタイド)、ホルモテロール/ブデソニド(シムビコート)、ホルモテロール/プロピオン酸フルチカゾン(フルティフォーム)、ホルモテロール/シクレソニド、ホルモテロール/フロ酸モメタゾン、ホルモテロール/ジプロピオン酸ベクロメタゾン、インダカテロール/フロ酸モメタゾン、インダカテロール/QAE 397、GSK 159797/GSK 685698、GSK 159802/GSK 685698、GSK 642444/GS K685698、GSK 159797/GSK 870086、GSK 159802/GSK 870086、GSK 642444/GSK 870086、アルホルモテロール/シクレソニドなど);(4)抗コリン剤、例えば、ムスカリン3(M3)受容体アンタゴニスト(臭化イプラトロピウム、臭化チオトロピウム、アクリジニウム(LAS−34273)、NVA−237、GSK 233705、ダロトロピウム、GSK 573719、GSK 961081、QAT 370、QAX 028、EP−101など);(5)M3−抗コリン性/β2−アドレナリン受容体アゴニストの二重薬理作用物(GSK961081、AZD2115、およびLAS190792など);(6)ロイコトリエン修飾薬、例えば、ロイコトリエンアンタゴニスト(モンテルカスト、ザフィルルカスト、またはプランルカストなど)、またはロイコトリエン生合成阻害剤(ジロートンまたはBAY−1005など)、またはLTB4アンタゴニスト(アメルバントなど)、またはFLAP阻害剤(GSK 2190914、AM−103など);(7)ホスホジエステラーゼIV(PDE−IV)阻害剤(経口または吸入による)、例えばロフルミラスト、シロミラスト、オグレミラスト、ONO−6126、テトミラスト、トフィミラスト、UK500,001、GSK 256066など;(8)抗ヒスタミン薬、例えば、選択的ヒスタミン1(H1)受容体アンタゴニスト(フェキソフェナジン、セチリジン、ロラタジン、またはアステミゾールなど)、または二重H1/H3受容体アンタゴニスト(GSK 835726、GSK 1004723など)、または選択的ヒスタミン4(H4)受容体アンタゴニスト(ZPL3893787など);(9)鎮咳剤(コデインまたはデキストロメトルファンなど);(10)粘液溶解薬(例えば、Nアセチルシステインまたはフドステインなど);(11)去痰薬/粘液作動修飾薬、例えば、アンブロキソール、高張液(例えば生理食塩水またはマンニトール)、または界面活性剤;(12)ペプチド粘液溶解薬、例えば、遺伝子組換えヒトデオキシリボヌクレアーゼI(doRNA分解酵素−αおよびrhDNA分解酵素)またはヘリシジン;(13)抗生物質(例えば、アジスロマイシン、トブラマイシン、およびアズトレオナム);(14)非選択的COX−1/COX−2阻害剤(イブプロフェンまたはケトプロフェンなど);(15)COX−2阻害剤(セレコキシブおよびロフェコキシブなど);(16)VLA−4アンタゴニスト(国際公開第97/03094号および国際公開第97/02289号(特許文献6および7)に記載のものなど);(17)TACE阻害剤およびTNF−α阻害剤、例えば、抗TNFモノクローナル抗体(レミケードおよびCDP−870など)およびTNF受容体免疫グロブリン分子(エンブレルなど);(18)マトリックスメタロプロテアーゼの阻害剤(例えば、MMP−12);(19)ヒト好中球エラスターゼ阻害剤(ONO−6818、または国際公開第2005/026124号、国際公開第2003/053930号、および国際公開第06/082412号(特許文献8〜10)に記載のものなど);(20)A2bアンタゴニスト(国際公開第2002/42298号(特許文献11)に記載のものなど);(21)ケモカイン受容体機能の修飾薬(例えば、CCR3およびCCR8のアンタゴニストなど);(22)他のプロスタノイド受容体の作用を修飾する化合物(例えば、トロンボキサンAアンタゴニスト);DP1アンタゴニスト(MK−0524など)、CRTH2アンタゴニスト(ODC9101およびOC000459およびAZD1981など)、およびDP1/CRTH2混合アンタゴニスト(AMG 009およびAMG853など);(23)PPARアゴニスト、例えば、PPARαアゴニスト(フェノフィブラートなど)、PPARδアゴニスト、PPARγアゴニスト(ピオグリタゾン、ロシグリタゾン、およびバラグリタゾンなど);(24)メチルキサンチン(テオフィリンまたはアミノフィリンなど)およびメチルキサンチン/コルチコステロイド合剤(テオフィリン/ブデソニド、テオフィリン/プロピオン酸フルチカゾン、テオフィリン/シクレソニド、テオフィリン/フロ酸モメタゾン、およびテオフィリン/ジプロピオン酸ベクロメタゾンなど);(25)A2aアゴニスト(欧州特許第1052264号および欧州特許第1241176号(特許文献12および13)に記載のものなど);(26)CXCR2またはIL−8アンタゴニスト(SCH 527123またはGSK 656933など);(27)IL−R信号伝達修飾薬(キネレットおよびACZ 885など);(28)MCP−1アンタゴニスト(ABN−912など)。
【0245】
本発明は、本発明の化合物を単独で、または1種以上の薬学的に許容可能なキャリアおよび/または賦形剤と組み合わせて、またはそれらとの混合物として含む薬学的組成物、および装置を含むキットにも関し、この装置は、単回または複数回投与用粉末吸入器、定量吸入器、またはネブライザーが可能である。
【0246】
合成法
本発明の1つの態様において、この節で記載される一般合成経路に従った、本発明の化合物の調製プロセスが提供される。以下の反応スキームにおいて、特に記載がない限り、記載される基は、式(I)の化合物について報告されたものと同じ意味を有する。
【0247】
当業者は、合成経路をさらなる本発明の化合物の提供に適合させる目的で、適宜、実験で具体的に記載される条件を適切に変更してもよい。そのような変更として、異なる化合物を生成させるのに適切な出発物質の使用、反応溶媒および反応温度の変更、反応剤を同様な化学的役割を持つものと置き換えること、反応条件および試薬に敏感な官能基を保護/脱保護する段階の導入または削除、ならびに分子骨格にさらに官能基を導入するための特定の合成段階の導入または削除を挙げることができるが、これらに限定されない。
【0248】
実施例およびスキームの、使用可能であり、記載され、および報告されるプロセスは、本発明の化合物の調製に利用可能な合成法の範囲を制限するものとしてみなされないはずである。
【0249】
記載されるプロセスは、所望の本発明の化合物がどれでも得られるように、当業者に既知の任意の適切な改変を通じて、適切に修飾しやすいので、特別有利である。そのような改変も、本発明の範囲に包含される。
【0250】
上記の全てから、当業者には明らかなはずであるが、記載される基のどれでも、そのまま、または任意の適切に保護された形で存在できる。
【0251】
詳細には、中間体および化合物に存在する官能基で望ましくない副反応および副生成物を生じる可能性があるものは、アルキル化、アシル化、カップリング、またはスルホニル化を行なう前に、適切に保護する必要がある。同様に、保護した基で行なうその後の脱保護は、これらの反応の完了を受けて行なわれるだろう。
【0252】
本発明において、特に記載がない限り、「保護基」という用語は、その基が結合した基の機能を保存するのに適した保護的基を示す。典型的には、保護的基は、アミノ、ヒドロキシル、またはカルボキシル官能基を保存するのに用いられる。したがって、適切な保護基として、例えば、ベンジル、ベンジルオキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、アルキル、またはベンジルエステルなどを挙げることができ、そうした保護基は周知である[一般参照として、T.W. Green; Protective Groups in Organic Synthesis (Wiley, N.Y. 1981)を参照](非特許文献21)。
【0253】
同様に、上記の基の任意のもの(例えば、カルボニル、ヒドロキシル、またはアミノ基など)に対する選択的保護および脱保護は、有機合成化学で一般に用いられる非常によく知られた方法により達成することができる。
【0254】
式(I)の化合物またはその化合物のピリジン環N−オキシド体の随意の塩形成は、遊離酸性基または遊離アミノ基のどれかを対応する薬学的に許容可能な塩に適切に変換することで、行なうことができる。この場合も、本発明の化合物の最適な塩形成のために採用される操作条件は、全て、当業者の一般知識の範囲内にある。
【0255】
上記の全てから、明らかなはずであるが、上記プロセスは、適切な本発明化合物の調製のためのどのようなプロセスの改変も含めて、反応条件を特定の必要に適合させるべく、例えば、場合に応じた適切な縮合剤、溶媒、および保護的基を選択することにより、都合良く修飾することができる。
【0256】
例えば、本発明の式(I)の化合物は、スキーム1に示す経路に従って調製することができる:
【0257】
【化48】
【0258】
スキーム1
一般式(I)の化合物は、適切な溶媒(ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、DMF、またはアセトニトリルなど)中、塩基(ジイソプロピルエチルアミン、または水酸化ナトリウムなど)の存在下、ある温度範囲、好ましくは室温〜100℃の範囲で、一般式(1b)の化合物を、一般式(1c1)または(1c2)の化合物と反応させることにより、調製することができる。
【0259】
一般式(1c1)および(1c2)の化合物は、文献で既知であるか、そうでなければ既知の文献手順(例えば、国際公開第2006009741号、欧州特許第1609789号、国際公開第2008033999号)(特許文献6〜8)に従って、一般式(1d)のアミンから調製することができる。
【0260】
あるいは、一般式(1d)の化合物は、文献で既知であるか、そうでなければ適切な文献手順(例えば、国際公開第2010077836号(特許文献9)、特許文献6、国際公開第2008125014号(特許文献10)、J. Med Chem., 2007, 50, 4016, Bulletin des Societes Chimiques Belges, 1987, 96, 675−709, Organic & Biomolecular Chemistry, 2006, 4,4158−4164(非特許文献22〜24))を応用することで当業者により合成することができる。
【0261】
一般式(1da)の化合物、すなわち式(1d)中、Rが式(IVb)の基であり、かつR17、R18、z、z、z、およびzが上記で定義されるとおりの化合物は、適切な溶媒(メタノール、エタノール、または酢酸など)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜100℃の範囲で、適切な還元剤(塩化スズ(II)、鉄、または水素ガスなど)を適切な触媒(パラジウム炭素など)とともに用いて、式(1e)の化合物から調製することができる。
【0262】
【化49】
(1e)
【0263】
一般式(1e)の化合物は、文献で既知であるか、そうでなければ文献手順(例えば、国際公開第2008034008号、国際公開第20110189167号、国際公開第2010068258号(特許文献11〜13))を用いて、当業者により調製することができる。
【0264】
あるいは、上記で定義されるとおりの一般式(1da)の化合物は、適切な溶媒(ジクロロメタン、メタノール、エタノール、または酢酸など)中、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、適切な脱保護条件(塩酸、トリフルオロ酢酸、または触媒(例えば、パラジウム炭素)を用いた水素化など)を用いて、式(1f)の化合物、
【0265】
【化50】
(1f)
【0266】
(式中、R17、R18、z、z、z、およびzは、上記で定義されるとおりであり、かつ式中、PGは、当業者に既知である適切な適合性保護基(ベンジル、ベンジルカルバミン酸基、またはtert−ブチルカルバミン酸基など)である)から調製することができる。
【0267】
一般式(1f)の化合物は、適切な溶媒(トルエンまたはテトラヒドロフランなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜150℃の範囲で、適切な条件を用いて、例えば塩基(炭酸カリウムまたはジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下で、まったはブッフバルト条件(触媒(Pd(OAc)など)、試薬(2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルなど)、および塩基(ナトリウムtert−ブトキシドなど)を用いる)下で、下に示す式(1g)の化合物、
【0268】
【化51】
(1g)
【0269】
【化52】
(1h)
【0270】
(式中、R17、R18、z、z、z、およびzは、上記で定義されるとおりである)を、上記に報告されるとおりの式(1h)の化合物(式中、PGは当業者に既知である適切な保護基(ベンジル、ベンジルカルバミン酸基、またはtert−ブチルカルバミン酸基など)である)と反応させることで調製することができる。
【0271】
一般式(1g)および(1h)の化合物は、文献で既知であるか、そうでなければ適切な文献手順(例えば、国際公開第2011042389号(特許文献14)、Chemistry−A European Journal, 2011, 17, 6606−6609, S6606/1−S6606/38(非特許文献25))を応用することで、当業者により調製することができる。
【0272】
一般式(1b)の化合物は、スキーム2に示す経路に従って調製することができる。
【0273】
【化53】
【0274】
スキーム2
一般式(1b)の化合物は、一般式(2a)の化合物を、一般式(2b)、(2c)、または(2d)の化合物と反応させることで調製することができ、スキーム2中、Gは、適切なカップリング反応(求核置換または金属触媒を用いたクロスカップリング)を促進できるように選択された、当業者に既知である適切な化学特性基である:例えば、Yが−O−、−S−、または−NR−であるような場合、Gの例として、直接連結した、または−(CR−基を介して結合したのいずれかである、ハロゲンまたは適切な脱離基(メシレート基またはトリフレート基など)を挙げることができる。用いられるカップリング条件の例として、適切な溶媒(N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、1,4−ジオキサン、またはアセトニトリルなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜150℃の範囲での、塩基(水素化ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシドなど)および1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンの使用を挙げることができる。例えば、Yが−O−であり、かつGが−OHまたは−SHであるような場合、このカップリングを行なう方法として、適切な溶媒(テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサンなど)中、ある温度範囲、好ましくは−10℃〜100℃の範囲での、光延条件(アゾジカルボン酸ジエチル/トリフェニルホスフィン)を挙げることができる。例えば、Yが、−O−、−S−、または−NR−であり、かつGが、ハロゲン、トリフレート基、またはボロン酸/ボロン酸エステルなどの基であるような場合、このカップリングを行なう方法として、適切な溶媒(テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、またはN,N−ジメチルホルムアミドなど)中、ある温度範囲、好ましくは−10℃〜150℃の範囲で、塩基(炭酸セシウムなど)の存在下、適切な試薬(キサントホスまたは1,10−フェナントロリンなど)の存在下、金属(例えば、パラジウムまたは銅)触媒を用いたカップリング条件下で行なうものを挙げることができる。例えば、Yが−O−であり、かつGが、−COOMe、−COOH、イソシアン酸基、−OCOCl、または−NHCOOCHCClなどの基であるような場合、このカップリングを行なう条件の例として、適切な溶媒(ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、またはN,N−ジメチルホルムアミドなど)中、ある温度範囲、好ましくは−10℃〜150℃の範囲での、塩基(水素化ナトリウムまたはトリエチルアミンなど)またはカップリング試薬(HATUなど)の使用を挙げることができる。
【0275】
式(2b)の化合物は、文献で既知であるか、そうでなければ、適切な文献手順(例えば国際公開第2006133006号(特許文献15))を応用することで、当業者により調製することができる。
【0276】
式(2c)の化合物は、スキーム3に記載の経路に従って調製することができる:
【0277】
【化54】
【0278】
スキーム3
上記で定義されるとおりの一般式(2c)の化合物は、適切な溶媒(ジクロロメタンまたはエタノールなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜100℃の範囲で、適切な酸化体(クロラミンT、四酢酸鉛、または二酢酸フェニルヨウ素(III)など)を用いて、上記のとおりの一般式(3e)の化合物から調製することができる。
【0279】
一般式(3e)の化合物は、適切な溶媒(エタノールまたはテトラヒドロフランなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜80℃の範囲で、一般式(3a)の化合物を一般式(3c)のアルデヒドと反応させることにより、調製することができる。
【0280】
式(3a)および(3c)の化合物は、文献で既知であるか、そうでなければ文献の方法を用いて当業者により調製することができる。
【0281】
あるいは、式(2c)の化合物は、適切な溶媒(テトラヒドロフラン、トルエン、またはNMPなど)中または無溶媒で、ある温度範囲、好ましくは室温〜120℃の範囲で、適切な脱水剤、例えばバージェス試薬、トリフェニルホスフィンとヘキサクロロエタン、オキシ塩化リン、酢酸、または光延条件(アゾジカルボン酸ジエチル/トリフェニルホスフィン/トリメチルシリルアジド)を用いて、式(3d)の化合物から調製することができる。
【0282】
式(3d)の化合物は、適切な溶媒(ジクロロメタンまたはアセトニトリルなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜150℃の範囲で、塩基(ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下、適切なアシル化/脱水剤(トリフェニルホスフィン/トリクロロアセトニトリル/HOBt/2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム=ヘキサフルオロホスフェートまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなど)を用いて、式(3a)の化合物を一般式(3b1)の化合物と反応させることにより、調製することができる。
【0283】
あるいは、式(3d)の化合物は、適切な溶媒(ジクロロメタンまたはTHFなど)中、ある温度範囲、好ましくは−10℃〜溶媒の沸点の範囲で、塩基(ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下、式(3a)の化合物を一般式(3b2)の化合物と反応させることにより、調製することができる。
【0284】
式(3b1)および式(3b2)の化合物は、文献で既知であるか、そうでなければ適切な文献手順を応用することで当業者により調製することができる。
【0285】
式(2d)の化合物は、スキーム4の経路に従って調製することができる:
【0286】
【化55】
【0287】
スキーム4
一般式(2d)の化合物は、適切な溶媒(ジクロロメタンまたはエタノールなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜100℃の範囲で、適切な酸化体(クロラミンT、四酢酸鉛、または二酢酸フェニルヨウ素(III)など)を用いて、一般式(4e)の化合物から調製することができる。
【0288】
一般式(4e)の化合物は、適切な溶媒(エタノールまたはテトラヒドロフランなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜80℃の範囲で、一般式(4a)の化合物を一般式(4c)のアルデヒドと反応させることにより、調製することができる。
【0289】
式(4a)および(4c)の化合物は、文献で既知であるか、そうでなければ文献の方法を用いて当業者により調製することができる。
【0290】
あるいは、式(2d)の化合物は、適切な溶媒(テトラヒドロフラン、トルエン、またはNMPなど)中または無溶媒で、ある温度範囲、好ましくは室温〜120℃の範囲で、適切な脱水剤、例えばバージェス試薬、トリフェニルホスフィンとヘキサクロロエタン、オキシ塩化リン、酢酸、または光延条件(アゾジカルボン酸ジエチル/トリフェニルホスフィン/トリメチルシリルアジド)を用いて、式(4d)の化合物から調製することができる。
【0291】
式(4d)の化合物は、適切な溶媒(ジクロロメタンまたはアセトニトリルなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜150℃の範囲で、塩基(ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下、適切なアシル化/脱水剤(トリフェニルホスフィン/トリクロロアセトニトリル/HOBt/2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム=ヘキサフルオロホスフェートまたは1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミドなど)を用いて、式(4a)の化合物を一般式(4b1)の化合物と反応させることにより、調製することができる。
【0292】
あるいは、式(4d)の化合物は、適切な溶媒(ジクロロメタンまたはTHFなど)中、ある温度範囲、好ましくは−10℃〜溶媒の沸点の範囲で、塩基(ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下、式(4a)の化合物を一般式(4b2)の化合物と反応させることにより、調製することができる。
【0293】
式(4b1)および式(4b2)の化合物は、文献で既知であるか、そうでなければ適切な文献手順を応用することで当業者により調製することができる。
【0294】
あるいは、式(2c)の化合物は、スキーム5の経路に従って調製することができる:
【0295】
【化56】
【0296】
スキーム5
一般式(2c)の化合物は、適切な溶媒(トルエンまたはDMFなど)中、ある温度範囲、好ましくは周辺温度〜150℃の範囲での、適切な触媒(例えば、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)または酢酸パラジウム(II))を用いたカップリングなどの、カップリング方法を用いることで、一般式(5b)の化合物(式中、Gはハロゲンなどの基である)を、一般式(5c)の化合物(式中、Gは、ハロゲン、ボロン酸、ボロン酸エステル、または有機スタンナン基などの基である)と反応させて調製することができる。
【0297】
式(5b)の化合物は、溶媒(DMFまたはテトラヒドロフランなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜100℃の範囲で、例えば、適切なハロゲン化剤(N−ブロモスクシンイミドまたはN−ヨードスクシンイミドなど)を用いて、一般式(5a)の化合物から調製することができる。
【0298】
式(5a)の化合物は、溶媒(エタノールなど)中または無溶媒で、中性、塩基性、または酸性条件下、ある温度範囲、好ましくは室温〜100℃の範囲で、試薬(オルトギ酸トリエチルなど)を用いて、一般式(3a)の化合物から調製することができる。式(3a)の化合物は、上記のとおり調製することができる。
【0299】
当然のことながら、当業者は、スキーム5に記載の方法を応用して、式(4a)の化合物を用いて式(2d)の化合物を得ることができる。
【0300】
一般式(2aa)の化合物、すなわち式(2a)中、Y=O、かつW=NHである化合物は、スキーム6に示す経路に従って調製することができる:
【0301】
【化57】
【0302】
スキーム6
例えば、一般式(2aa)の化合物は、国際公開第2008/043019号(特許文献16)に記載されるとおりに調製することができる。一般式(2aa)の化合物は、適切な脱保護条件(メタノールと水の混合液中で水酸化ナトリウムを用いる、またはジクロロメタン中でトリフルオロ酢酸を用いるなど)を用いて、一般式(6a1)または(6a2)の化合物(式中、PGは、当業者に既知である適切な保護基(トリフルオロ酢酸基またはtert−ブチルカルバミン酸基など)である)から調製することができる。
【0303】
一般式(6a1)および一般式(6a2)の化合物は、一般式(6b)の化合物から調製することができる。
【0304】
一般式(6a1)中、PGがアミド、好ましくはトリフルオロアセトアミドである化合物は、RuCl[S,S−Tsdpen(p−シメン)]を用いて、特許文献16に記載されるとおりに、一般式(6b)の化合物から調製することができる。
【0305】
一般式(6a2)中、PGがアミド、好ましくはトリフルオロアセトアミドである化合物は、RuCl[R,R−Tsdpen(p−シメン)]を用いて、特許文献16に記載されるとおりに、一般式(6b)の化合物から調製することができる。式(6b)の化合物は、図示するとおりの異性体に偏っていてもよいし、反対の鏡像異性体であってもよいし、ラセミ体でもよいことが、理解されるだろう。
【0306】
(6d)の鏡像異性体の両方を用いて、さらにRuCl[R,R−Tsdpen(p−シメン)]またはRuCl[S,S−Tsdpen(p−シメン)]を用いることで、(2a)の立体中心のどのような組み合わせも調製できることが、当業者には理解できるだろう。化合物(2aa)は、立体中心を定義せずに描かれているが、スキーム2に示すとおり、どのような組み合わせでも得ることができる。
【0307】
式(6b)の化合物は、適切な溶媒(メタノール/水など)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜溶媒の沸点の範囲で、適切な酸化体(過マンガン酸カリウムおよび硫酸マグネシウムなど)を用いて、式(6c)の化合物から調製できる。
【0308】
【化58】
(6c)
【0309】
式(6c)の化合物は、図示するとおりの異性体に偏っていてもよいし、反対の鏡像異性体であってもよいし、ラセミ体でもよいことが、理解されるだろう。
【0310】
式(6c)の化合物は、溶媒(メタノールまたはジクロロメタンなど)中、ある温度範囲、好ましくは0℃〜溶媒の沸点の範囲で、塩基(トリエチルアミンまたはジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下、トリフルオロ酢酸エチルまたは二炭酸ジtert−ブチルを用いて、式(6d)の化合物(式中、PGは適切な保護基(トリフルオロ酢酸基またはtert−ブチル炭酸基など)である)から調製できる。
【0311】
【化59】
(6d)
【0312】
式(6d)の化合物は、図示するとおりの異性体に偏っていてもよいし、反対の鏡像異性体であってもよいし、ラセミ体でもよいことが、理解されるだろう。
【0313】
式(6d)の化合物は、文献で既知であり、文献の方法を応用することで当業者により調製することができる(例えば、S−(+)−1−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレンについては、Journal of the Chemical Society, Perkin Transactions 1: 1985, 2039−44を参照、(S)−(+)−8−アミノ−5,6,7,8−テトラヒドロキノリンについては、Journal of Organic Chemistry, 2007, 72, 669−671を参照、および1−アミノインダンについては、Tetrahedron Letters, 2011, 52, 1310−1312を参照)(非特許文献26〜28)。
【0314】
一般式(Ib)の化合物、すなわち式(I)中、Y=NRかつW=NHであり、かつA、R、R、およびRは、上記で定義されるとおりである化合物は、スキーム7に示す経路に従って調製することができる:
【0315】
【化60】
【0316】
スキーム7
上記で定義されるとおりの一般式(Ib)の化合物は、適切な溶媒(ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、DMF、またはアセトニトリルなど)中、塩基(ジイソプロピルエチルアミンまたは水酸化ナトリウムなど)の存在下、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、一般式(7b)の化合物(式中、Y=NRかつW=NHである)を一般式(1c1)の化合物と反応させることにより、調製することができる。
【0317】
一般式(7b)の化合物は、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、適切な脱保護条件(メタノール中で水酸化ナトリウムを用いる、ジクロロメタン中でトリフルオロ酢酸を用いる、または触媒水素化(例えばエタノール中でパラジウム炭素を用いる)など)を用いて、一般式(7a)の化合物(式中、Y=NRかつW=NHであり、かつ式中、PGは、適切な保護基(トリフルオロアセトアミド、tert−ブチルカルバミン酸基、またはベンジルカルバミン酸基など)である)から調製することができる。
【0318】
一般式(7a)の化合物は、適切な溶媒(1,2−ジクロロエタン、メタノール、または酢酸など)中、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、適切な還元剤(トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素ナトリウムなど)を用いて、一般式(7d)の化合物と一般式(6b)の化合物から調製することができる。
【0319】
あるいは、一般式(7a)の化合物は、適切な溶媒(DMF、テトラヒドロフラン、またはアセトニトリル/など)中、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、適切な塩基(ジイソプロピルエチルアミンまたは炭酸カリウムなど)を用いることで、一般式(7d)の化合物と一般式(7g)の化合物から調製することができ、式中、PGは、当業者に既知である適切な保護基(トリフルオロアセトアミド、tert−ブチルカルバミン酸基、およびベンジルカルバミン酸基など)であり、かつGは、求核置換などの反応を促進し得るように選択された当業者に既知である適切な化学特性基(例えば、ハロゲンまたは適切な置換基を有する酸素原子(メシレート基またはトリフラート基)など)である。
【0320】
式(7g)の化合物は、適切な溶媒(ジクロロメタンまたはアセトニトリルなど)中、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、反応条件(四臭化炭素とトリフェニルホスフィン、またはメタンスルホニルクロリドとジイソプロピルエチルアミンなど)を用いて、式(6a)の化合物から調製することができる。
【0321】
あるいは、式(7a)の化合物は、溶媒(DMF、トルエン、またはテトラヒドロフランなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜150℃の範囲で、随意に触媒(ヨウ化銅(I)またはトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)など)を存在させて、随意に試薬(2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチルなど)を存在させて、塩基(ジイソプロピルエチルアミン、ナトリウムtert−ブトキシド、または水素化ナトリウムなど)を用いて、一般式(7h)の化合物を、(2b)、(2c)、および(2d)の化合物と反応させることにより、調製することができる。
【0322】
式(7h)の化合物は、適切な溶媒(1,2−ジクロロエタン、メタノール、または酢酸など)中、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、適切な還元剤(トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウムまたは水素化ホウ素ナトリウムなど)を用いて、式(7k)の化合物を、式(6b)の化合物と反応させることにより、調製することができ;式中、PGは、当業者に既知である適切な保護基(トリフルオロアセトアミド、tert−ブチルカルバミン酸基、およびベンジルカルバミン酸基など)である。
【0323】
あるいは、式(7h)の化合物は、適切な溶媒(DMF、テトラヒドロフラン、またはアセトニトリルなど)中、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、適切な塩基(ジイソプロピルエチルアミンまたは炭酸カリウムなど)を用いて、式(7k)の化合物に対して式(7g)の化合物を用いることで、調製することができ;式中、PGは、当業者に既知である適切な保護基(トリフルオロアセトアミド、tert−ブチルカルバミン酸基、およびベンジルカルバミン酸基など)であり、かつGは、求核置換反応を促進し得るように選択された当業者に既知である適切な化学特性基(例えば、ハロゲンまたは適切な置換基を有する酸素原子(メシレート基またはトリフラート基)など)である。
【0324】
一般式(7d)の化合物は、適切な溶媒(DMF、テトラヒドロフラン、またはアセトニトリルなど)中、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、適切な塩基(ジイソプロピルエチルアミンまたは炭酸カリウムなど)を用いて、一般式(7e)の化合物と一般式(7f)の化合物から調製することができ、式中、Gは、求核置換反応を促進し得るように選択された当業者に既知である適切な化学特性基(例えば、ハロゲンまたは適切な置換基を有する酸素原子(メシレート基またはトリフラート基)など)である。
【0325】
式(7e)の化合物および式(7f)の化合物は、文献で既知であるか、そうでなければ文献手順を用いて当業者により調製することができる(例えばOrganic Letters, 2002, 4, 3423−3426)(非特許文献29)。
【0326】
式(1ba)の化合物、すなわち式(1b)中、Y=(CRかつW=NHである化合物は、スキーム8に示す経路に従って調製することができる。
【0327】
【化61】
【0328】
スキーム8
式(1ba)の化合物は、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、適切な脱保護条件(メタノール中で水酸化ナトリウムを用いる、ジクロロメタン中でトリフルオロ酢酸を用いる、または水素ガスに触媒を作用させる(例えばエタノール中でパラジウム炭素を用いる)など)を用いて、式(8c)の化合物(式中、PGは、当業者に既知である適切な保護基(トリフルオロアセトアミド、tert−ブチルカルバミン酸基、およびベンジルカルバミン酸基など)である)から調製することができる。
【0329】
式(8c)の化合物は、適切な溶媒(メタノールまたはエタノールなど)中、酸(HClなど)を存在させてまたは存在させずに、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、触媒(パラジウム炭素など)の存在下で水素ガスを用いて、式(8b)の化合物(式中、PGは、当業者に既知である適切な保護基(トリフルオロアセトアミド、tert−ブチルカルバミン酸基、およびベンジルカルバミン酸基など)である)から調製することができる。
【0330】
式(8b)の化合物は、適切な溶媒(NMP、トルエン、またはDMFなど)中、ある温度範囲、好ましくは0〜100℃の範囲で、適切な触媒(テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)または酢酸パラジウムなど)、および塩基(ジイソプロピルエチルアミン、ナトリウムtert−ブトキシド、または炭酸セシウムなど)を用いたクロスカップリングなどの反応により、式(8a)の化合物と式(8f)の化合物から調製することができる。あるいは(8b)の化合物は、文献の手順(例えば、国際公開第2009022633号(特許文献17)に報告される手順)を応用して調製することができる。
【0331】
式(8f)の化合物は、文献で既知であるか、そうでなければ文献手順(例えば、国際公開第2008063287号(特許文献18))を応用して当業者により調製することができる。
【0332】
式(8a)の化合物は、溶媒(ジクロロメタンまたはクロロホルムなど)中、ある温度範囲、好ましくは0℃〜溶媒の沸点の範囲で、適切な塩基(ピリジンまたは2,6−ビス(tert−ブチル)−4−メチルピリジンなど)の存在下、トリフラート化剤(トリフリン酸無水物など)を用いて、式(6b)の化合物から調製することができる。あるいは、(8a)の化合物は、文献の手順(例えば、特許文献17に記載の手順)を応用することで調製することができる。
【0333】
本発明の式(Id)の化合物、すなわち式(I)中、Y=OかつW=Oであり、かつR、R、およびAは、上記で定義されるとおりである化合物は、スキーム9に示す経路に従って調製することができる:
【0334】
【化62】
【0335】
スキーム9
一般式(Id)の化合物は、適切な溶媒(DMF、テトラヒドロフラン、またはアセトニトリルなど)中、ある温度範囲、好ましくは0℃〜100℃の範囲で、適切な塩基(ジイソプロピルエチルアミン、炭酸カリウム、または水素化ナトリウムなど)を用いて、一般式(9b)の化合物(式中、Y=OかつW=Oである)と一般式(9d)の化合物(式中、Gは適切な化学特性基(ハロゲンまたはアルコキシなど)である)から調製することができる。
【0336】
式(9b)の化合物は、式(9a)の化合物と、式(2b)、(2c)、または(2d)の化合物から調製することができる。式(9a)の化合物は、文献で既知であり、文献の方法を応用して当業者により調製することができる(例えば、Angewandte Chemie, International Edition, 2006, 45, 98−101およびChimia, 2007, 61, 169−171)(非特許文献30および31)。
【0337】
式(9d)の化合物は、文献で既知であり、文献の方法を用いて当業者により調製することができる。あるいは、式(9d)の化合物は、溶媒(ジクロロメタン、ジオキサン、またはテトラヒドロフランなど)中、ある温度範囲、好ましくは0℃〜溶媒の沸点の範囲で、塩基(水酸化ナトリウムまたはジイソプロピルエチルアミンなど)を随意に存在させて、クロロギ酸アルキル、ジアルキル無水物、またはホスゲンなどを用いて、式(1d)の化合物から調製することができる。
【0338】
本発明の式(Ie)の化合物、すなわち式(I)中、Y=SかつW=NHである化合物は、スキーム10に示す経路に従って調製することができる:
【0339】
【化63】
or: または
【0340】
スキーム10
一般式(Ie)の化合物は、適切な溶媒(ジメチルスルホキシド、1,4−ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、またはアセトニトリルなど)中、塩基(ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下、ある温度範囲、好ましくは室温〜100℃の範囲で、式(1c1)または(1c2)の化合物を用いて、一般式(10h)の化合物(式中、Y=SかつW=NHである)から調製することができる。
【0341】
式(10h)の化合物(式中、Y=SかつW=NHである)は、ある温度範囲、好ましくは室温〜溶媒の沸点の範囲で、脱保護条件(メタノール中でヒドラジンを用いるなど)を用いて、式(10g)の化合物から調製することができる。
【0342】
式(10g)の化合物(式中、Y=Sである)は、式(10f)の化合物を、式(2b)、式(2c)、または式(2d)の化合物と反応させることにより、調製することができる。用いられるカップリング条件の例として、適切な溶媒中(N,N−ジメチルホルムアミド、トルエン、1,4−ジオキサン、またはアセトニトリルなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜150℃の範囲での、塩基(水素化ナトリウムまたはカリウムtert−ブトキシドなど)および1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノンの使用を挙げることができる。このカップリングを行なう代替方法として、適切な溶媒(テトラヒドロフランまたは1,4−ジオキサンなど)中、ある温度範囲、好ましくは−10℃〜150℃の範囲での、光延条件(アゾジカルボン酸ジエチル/トリフェニルホスフィン)または金属(例えば、パラジウム)触媒を用いたカップリング条件を挙げることができる。
【0343】
式(10f)の化合物は、溶媒(メタノールなど)中、酢酸の存在下、ある温度範囲、好ましくは室温〜溶媒の沸点の範囲で、ジチオトレイトール、リン酸一カリウム、炭酸カリウムを用いて、式(10e)の化合物から調製することができる。
【0344】
式(10e)の化合物は、酢酸中、ある温度範囲、好ましくは室温〜100℃の範囲で、2−ニトロベンゼンスルフェニルクロリドを用いて、式(10d)の化合物から調製することができる。
【0345】
式(10d)の化合物は、溶媒(テトラヒドロフランなど)中、ある温度範囲、好ましくは0℃〜溶媒の沸点の範囲で、フタルイミド、トリフェニルホスフィン、およびアゾジカルボン酸ジイソプロピルを用いて、式(10c)の化合物から調製することができる。
【0346】
式(10c)の化合物は、溶媒(メタノールなど)中、ある温度範囲、好ましくは0℃〜溶媒の沸点の範囲で、還元剤(水素化ホウ素ナトリウムなど)を用いて、式(10b)の化合物から調製することができる。
【0347】
式(10b)の化合物は、溶媒(テトラヒドロフランなど)中、ある温度範囲、好ましくは0℃〜溶媒の沸点の範囲で、塩基(ジイソプロピルエチルアミンなど)の存在下、tert−ブタンチオールを用いて、式(10a)の化合物から調製することができる。
【0348】
式(10a)の化合物は、文献で既知であり、文献の方法を用いて当業者により調製することができる(例えば3−ブロモ−インダン−1−オンは、国際公開第2010108058号(特許文献19)を参照。
【0349】
あるいは、一般式(1bb)の化合物、すなわち式(1b)中、Y=CHかつW=NHである化合物は、スキーム11に示す経路に従って調製することができる:
【0350】
【化64】
【0351】
スキーム11
一般式(1bb)の化合物は、溶媒(メタノールなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜100℃の範囲で、水酸化ナトリウム水溶液などの当該分野で既知の方法を用いて、保護基PGを外すことにより、一般式(11b)の化合物から調製することができる。
【0352】
式(11b)の化合物は、適切な溶媒(エタノールなど)中、ある温度範囲、好ましくは室温〜70℃の範囲、および大気圧〜4Barrの圧力下で、適切な触媒(パラジウム担持活性炭など)の存在下、一般式(11a)の化合物を適切な還元剤(例えば、水素ガス)と反応させることにより、調製することができる。
【0353】
式(11a)の化合物は、適切な溶媒(テトラヒドロフランなど)中、ある温度範囲、好ましくは−10℃〜100℃の範囲で、適切な塩基(水素化ナトリウムなど)の存在下、適切な基質(R−CH−P(O)(OMe)など)を用いて、ウィッティッヒ反応(またはホーナー・ワズワース・エモンズ法など、よく似た改変方法の1つ)などの反応により、一般式(6a)の化合物から調製することができる。
【0354】
−CH−P(O)(OMe)などの化合物は、ある温度範囲、好ましくは0℃〜100℃の範囲で、一般式R−CH−Hal(式中、Halは、−Brまたは−Clなどのハロゲンを表す)の化合物を、亜リン酸トリメチルなどの化合物と反応させることにより、合成することができる。
【0355】
−CH−Halなどの化合物は、適切な溶媒(四塩化炭素など)中、ある温度範囲、好ましくは0℃〜80℃の範囲で、触媒(AIBNなど)の存在下、試薬(N−ブロモスクシンイミドなど)を用いる、ラジカルハロゲン化などの反応により、式R−CHの化合物から合成することができる。R−CH−Halなどの化合物は、ハロゲン化条件(ジクロロメタン中、四臭化炭素およびトリフェニルホスフィンを用いるなど)または活性化条件(ジクロロメタン中、塩基(ジイソプロピルアミンなど)の存在化、塩化メタンスルホニルを用いるなど)を用いることにより、式R−CH−OHの化合物からも合成することができる。
【0356】
−CHおよびR−CH−OHなどの化合物は、化合物(2b)、化合物(2c)、および化合物(2d)について上記で概要を述べた方法により、調製することができる。
【0357】
実験の全般的な詳細
実験の節で用いられる略語:AcOH=酢酸;aq.=水性;DCM=ジクロロメタン;DIAD=アゾジカルボン酸ジイソプロピル;DIPEA=ジイソプロピルエチルアミン;DMAP=N,N−ジメチルアミノピリジン;DMF=N,N−ジメチルホルムアミド;DMSO=ジメチルスルホキシド;EDC=1−エチル−3−(3’−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩;EtOAc=酢酸エチル;EtOH=エタノール;EtO=ジエチルエーテル;EtN=トリエチルアミン;EtNiPr=ジイソプロピルエチルアミン;FCC=フラッシュカラムクロマトグラフィー;h=時間;HATU=2−(7−アザ−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート;HOBt=1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール;HPLC=高速液体クロマトグラフィー;IMS=工業用メチル化アルコール;LCMS=液体クロマトグラフィー質量分析;NaOH=水酸化ナトリウム;MeCN=アセトニトリル;MeOH=MeOH;min=分;NH=アンモニア;NMR=核磁気共鳴;RT=室温;Rt=滞留時間;sat.=飽和;SCX−2=強陽イオン交換クロマトグラフィー;TFA=トリフルオロ酢酸;THF=テトラヒドロフラン;HO=水;IMS=工業用メチル化アルコール;キサントホス=4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)−9,9−ジメチルキサンテン;X−Select=Waters X−select HPLCカラム;IPA=プロパン−2−オール;LDA=リチウムジイソプロピルアミド;MDAP=質量基準自動精製;MeOH=メタノール;PhP=トリフェニルホスフィン;TBAF=テトラブチルアンモニウムフルオリド。
【0358】
以下の手順において、各出発物質の後に、中間体/実施例番号についての記載が通常提供される。このように書くのは、化学関連の当業者を手助けするためにすぎない。出発物質は、必ずしも記載されるバッチから調製されている必要はない。
【0359】
「同様な」または「類似の」手順の使用という記載がなされる場合、当業者にとっては当然のことであるが、そのような手順には、些細な変更、例えば、反応温度、試薬/溶媒量、反応時間、後処理条件、またはクロマトグラフィー精製条件の変更が含まれてもよい。
【0360】
構造式の命名は、MDL Inc製のAutonom 2000 Nameソフトウェアを用いて決定した。Autonomを用いて構造式を命名することができなかった場合は、ACD/Labs Release 12.00 Product Version 12.5(Build 45133、2010年12月16日)の、ACD/Nameソフトウェアユーティリティー部分を用いた。化合物の立体構造決定は、重要な中間体については、特許文献16に記載のデータとの比較に基づいている。全ての反応は、特に記載がない限り、無水条件で、窒素またはアルゴン雰囲気下で行なった。特に記載がない限り、全ての変換は、周辺温度(室温)で行なった。
【0361】
NMRスペクトルは、Varian Unity Inova 400分光計で、5mmの三重共鳴インバース検出プローブを用いて400MHzで操作して、またはBruker Avance DRX 400分光計で、5mmの三重共鳴インバース検出TXIプローブを用いて400MHzで操作して、またはBruker Avance DPX 300分光計で、5mmの標準二重周波数プローブを用いて300MHzで操作して、測定した。化学シフトは、テトラメチルシラン(δ=0ppm)に対するppmで示す。J値は、全てHz単位で示す。NMRスペクトルは、DataChord Spectrum Analystバージョン4.0.b21またはSpinWorksバージョン3を用いて帰属を行なった。
【0362】
生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィーで精製した場合、「フラッシュシリカ」は、0.035〜0.070mm(220〜440メッシュ)のクロマトグラフィー用シリカゲル(例えばFlukaシリカゲル60)、および上限10p.s.iまでの窒素圧をかけることによるカラム溶出の促進、またはCombiFlash(登録商標)Companion精製システムの使用、またはBiotage SP1精製システムの使用を示す。溶媒および市販の試薬は全て、入手した状態のままで用いた。
【0363】
分取HPLCにより精製された化合物とは、特に記載がない限り、C18逆相カラム(100×22.5mm内径、粒子径7μmのGenesisカラム)、またはフェニルヘキシルカラム(250×21.2mm内径、粒子径5μmのGeminiカラム)を用いて、UV検出220〜254nm、流速5〜20mL/分で、水/アセトニトリル(0.1%TFAまたは0.1%ギ酸含有)または水/MeOH(0.1%TFAまたは0.1%ギ酸含有)で100−0から0−100%まで勾配をつけながら溶出させるか、またはC18逆相カラム(19×250mm、XBridge OBD、粒子径5μm)を用いて、水/アセトニトリル(0.1%NHOH含有)で100−0から0−100%まで勾配をつけながら溶出させるか、またはChiralPak ICカラム(10×250mm内径、粒子径5μm)を用いて精製したものである。必要な生成物を含有する画分(LCMS分析で同定)をプールし、有機溶媒をエバポレートして除去し、残った水性残渣を凍結乾燥させることで、最終生成物を得た。分取HPLCにより精製された生成物は、特に記載がない限り、遊離塩基、ギ酸塩、またはTFA塩として単離された。
【0364】
使用した液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)およびHPLCシステムは以下のとおり:
【0365】
方法 1
Waters Platform LC四重極質量分析器およびC18逆相カラム(30×4.6mm、Phenomenex Luna、粒子径3μm)を用い、溶出にはA:水+0.1%ギ酸、B:アセトニトリル+0.1%ギ酸を用いる。勾配は以下のとおり:
【0366】
【表1】
【0367】
検出−MS、ELS、UV(MSから200μL分割し、直列のHP1100 DAD検出器で検出)。MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0368】
方法2
Waters ZMD四重極質量分析器およびC18逆相カラム(30×4.6mm、Phenomenex Luna 粒子径3μm)を用い、溶出にはA:水+0.1%ギ酸、B:アセトニトリル+0.1%ギ酸を用いる。勾配は以下のとおり:
【0369】
【表2】
【0370】
検出−MS、ELS、UV(MSから200μL分割し、直列のWaters 996 DAD検出器で検出)。MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0371】
方法3
Waters ZMD四重極質量分析器およびC18逆相カラム(30×4.6mm Phenomenex Luna、粒子径3μm)を用い、溶出にはA:水+0.1%ギ酸、B:アセトニトリル+0.1%ギ酸を用いる。勾配は以下のとおり:
【0372】
【表3】
【0373】
検出−MS、ELS、UV(MSから200μL分割し、直列のHP1100 DAD検出器で検出)。MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0374】
方法4
VG Platform II四重極分析器およびC18逆相カラム(30×4.6mm、Phenomenex Luna、粒子径3μm)を用い、溶出にはA:水+0.1%ギ酸、B:アセトニトリル+0.1%ギ酸を用いる。勾配は以下のとおり:
【0375】
【表4】
【0376】
検出−MS、ELS、UV(ESI源から200μL分割し、直列のHP1050DAD 検出器で検出)。MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0377】
方法5
Waters micromass ZQ2000四重極質量分析器およびAcquity BEH C18 1.7um 100×2.1mm、Acquity BEH Shield RP18 1.7um100×2.1mm、またはAcquity HSST3 1.8um 100×2.1mmを用い、40℃に維持する。溶出にはA:水+0.1%ギ酸、B:アセトニトリル+0.1%ギ酸を用いる。勾配は以下のとおり:
【0378】
【表5】
【0379】
検出−MS、UVPDA。MSイオン化法−エレクトロスプレー(陽イオンおよび陰イオン)。
【0380】
方法6
Phenomenex Gemini C18逆相カラム(250×21.20mm、粒子径5μm)を用い、溶出にはA:水+0.1%ギ酸;B:CHCN+0.1%ギ酸を用いる。勾配−20分かけて90%A/10%Bから2%A/98%Bへ、流速は18mL/分。検出−波長254nmに設定した直列のUV検出器。
【0381】
方法7
Agilent 1260 Infinity精製システム。カラム:XSELECT CSH PrepC18 OBD、粒子径5μm、30×150mm、RT。溶出には、A:水+0.1%ギ酸、B:CHCN+0.1%ギ酸を用いる。勾配−22分かけて90%A/10%Bから2%A/95%Bへ、流速は60mL/分。検出−直列のAgilent 6100シリーズシングル四重極LC/MS。
【0382】
当業者には当然のことであるだろうが、「部分ギ酸塩」という表現が用いられる場合、その表現は、塩基性化合物が部分的にギ酸塩に変換されており、したがってギ酸対イオンを1当量より少ない量で含有する誘導体を区別することを意図する。正確な塩/遊離塩基の比は、付随するNMS分析により与えられる。
【実施例1】
【0383】
1−(5−tert−ブチル−2−(4−メトキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0384】
【化65】
【0385】
a.2,2,2−トリフルオロ−N−(S)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル−アセトアミド(中間体1a)
【0386】
【化66】
【0387】
(S)−(1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)アミン(Alfa Aesar;25.0g、170mmol)およびトリエチルアミン(35.5mL、255mmol)をMeOH(250mL)に溶解させ、この溶液に、RTで、トリフルオロ酢酸エチル(24.2mL、204mmol)を滴下して、18時間撹拌した。混合物を、体積が約1/3になるまで濃縮し、次いでDCM(200mL)と水(200mL)で分配した。水層をDCM(3×)で抽出し、有機層を1つにまとめて、ブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、減圧濃縮して、表題化合物を得た(41.1g、169mmol、99%)。1H NMR(400MHz,CDCl):1.80−1.95(3H,m),2.05−2.15(1H,m),2.75−2.90(2H,m),5.18−5.25(1H,q,J 5.0Hz),6.38−6.48(1H,br s),7.12−7.16(1H,m),7.20−7.26(3H,m)。
【0388】
b.2,2,2−トリフルオロ−N−((S)−4−オキソ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アセトアミド(中間体1b)
【0389】
【化67】
【0390】
中間体1a(41.1g、169mmol)をアセトン(1.0L)に溶解させ、氷冷して、この溶液に、硫酸マグネシウム一水和物(46.6g、338mmol)の水(500mL)溶液を加えた。過マンガン酸カリウム(80.1g、507mmol)を、小分けして(10.0gずつ)45分かけて加えた。次いで、混合物を18時間撹拌した。チオ硫酸ナトリウム五水和物(126g、510mmol)の水(400mL)溶液を加え、反応物を30分間撹拌した。混合物を約300mLまで濃縮し、次いで、水(1.0L)、セライト(60g)、およびEtOAc(1.0L)を順に加えた。混合物を十分に撹拌し、次いでセライトパッドで濾過した。水層をEtOAc(3×)で抽出し、有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、減圧濃縮して、表題化合物を得た(36.6g、142mmol、84%)。1H NMR(400MHz,CDCl):2.20−2.30(1H,dddd,J 13.3,10.0,8.8,4.5Hz),2.43−2.52(1H,dddd,J 13.3,7.2,4.6,4.6Hz),2.67−2.77(1H,ddd,J 17.4,10.1,4.6Hz),2.78−2.88(1H,ddd,J 17.4,7.1,4.6Hz),5.39−5.47(1H,td,8.5,4.5Hz),7.32−7.37(1H,d,J 7.7Hz),7.44−7.49(1H,t,J 7.6Hz),7.59−7.64(1H,td,J 7.6,1.4Hz),8.03−8.07(1H,dd,J 7.7,1.4Hz)。
【0391】
c.2,2,2−トリフルオロ−N−((1S,4R)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アセトアミド(中間体1c)
【0392】
【化68】
【0393】
脱気したDMF(アルゴン吹き込み、100mL)を、中間体1b(8.00g、31.3mmol)および[N−[(1R,2R)−2−(アミノ−κN)−1,2−ジフェニルエチル]−4−メチルベンゼンスルホンアミダト−κN]クロロ[(1,2,3,4,5,6−η)−1−メチル−4−(1−メチルエチル)ベンゼン]−ルテニウム(Strem Chemicals Inc.;594mg、0.93mmol)に加えた。氷冷したギ酸(2.34mL、62.6mmol)にトリエチルアミン(8.66mL、62.6mmol)をゆっくりと加え、20分間撹拌し、次いでこれを上記のDMF溶液に加えた。反応物を18時間60℃に加熱した。冷却してから、混合物をDCM(200mL)と水(600mL)で分配した。水層をDCM(3×)で抽出し、有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、減圧濃縮した。FCC(0−100%EtOAc含有シクロヘキサンを用いる)により精製して、表題化合物を得た(7.10g、27.4mmol、88%)。1H NMR(400MHz,CDCl):1.88−1.92(1H,d,J 4.8Hz),1.98−2.18(4H,m),4.80−4.88(1H,m),5.165−5.24(1H,m),6.70−6.80(1H,br s),7.25−7.30(1H,m),7.30−7.40(2H,m),7.45−7.50(1H,m)。
【0394】
d.(1R,4S)−4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール(中間体1d)
【0395】
【化69】
【0396】
中間体1c(3.43g、13.2mmol)をMeOH/水(2:1、50mL)に溶解させて氷冷し、この溶液に、水酸化ナトリウム(2.10g、53.0mmol)を加えて、3.5時間撹拌した。混合物をSCX−2カートリッジにロードし、MeOHで溶出させ、次いで2MのNH含有MeOHで溶出させて、表題化合物を得た(2.30g、13.2mmol、99%)。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.66−1.90(4H,m),3.71−3.77(1H,t,J5.4Hz),4.46−4.54(1H,t,J5.4Hz),7.14−7.22(2H,m),7.32−7.38(1H,m),7.40−7.46(1H,m)。
【0397】
e.イソ酪酸N’−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ヒドラジド(中間体1e)
【0398】
【化70】
【0399】
5−フルオロ−2−ヒドラジニル−ピリジン(手順については、国際公開第2010022076号(特許文献20)を参照;2.08g、16.4mmol)、イソ酪酸(1.82mL、19.6mmol)、およびHOBt水和物(251mg、1.64mmol)をDCM(50mL)に溶解させ、この溶液に、EDC(3.76g、19.6mmol)を加え、得られる橙色を室温で18時間撹拌した。飽和NaHCO水溶液(50mL)を加え、混合物を15分間激しく撹拌した。有機物を飽和NaHCO水溶液(50mL)で洗い、疎水性フリットで濾過し、減圧濃縮すると、淡褐色固体が残った。この固体をEtO(50mL)に懸濁させて濾過し、EtO(25mL)で洗うと、白色固体(1.48g、46%)が残った。エーテル洗液を減圧濃縮し、残渣をEtO(10mL)に懸濁させ、濾過し、EtO(2×2mL)で洗うと、白色固体(330mg、10%)が残った。これらの固体を1つにまとめた(1.81g、56%)。1H NMR(400MHz,CDCl):1.23(6H,d),2.50(1H,sept),6.65(1H,dd),6.80(1H,d),7.29(1H,ddd),7.77(1H,br s),8.01(1H,d)。
【0400】
f.6−フルオロ−3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン(中間体1f)
【0401】
【化71】
【0402】
中間体1e(1.81g、9.18mmol)、トリフェニルホスフィン(4.83g、18.4mmol)、およびトリエチルアミン(5.12mL、36.7mmol)をTHF(25mL)に溶解させ、この溶液に、0℃で、ヘキサクロロエタン(4.36g、18.4mmol)を2回に分けて、1分の間隔をあけて、加えた。得られる淡褐色溶液をRTまで昇温させ、次いで2時間撹拌した。得られる黄色懸濁液を濾過し、THF(2×25mL)で洗った。有機物を1つにまとめて、SCX−2カートリッジ(DCM−MeOH(1:1,100mL)およびMeOH(50mL)で洗い、次いで生成物を2MのNH含有MeOHで溶出させる)で精製し、淡黄色固体を得た(1.60g、97%、PhP=Oが約2.5%混入)。1H NMR(400MHz,CDCl):1.53(6H,d),3.32(1H,sept),7.15(1H,ddd),7.75(1H,ddd),7.84(1H,m)。
【0403】
g.(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−cis−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルアミン(中間体1g)
【0404】
【化72】
【0405】
水素化ナトリウム(60%含有鉱物油、466mg、11.65mmol)を乾燥DMF(5mL)に懸濁させ、この懸濁液に中間体1d(634mg、3.88mmol)を少しずつ加え、混合物をRTで20分間撹拌した。次いで、中間体1f(535mg、2.99mmol)を少しずつ加え、混合物を60℃で4時間加熱した。反応物を冷却し、水でクエンチし、EtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(NaSO)、エバポレートし、SCX−2(MeOHで溶出させ、次いで2MのNH含有MeOHで溶出させる)で精製して、表題化合物を得た(274mg、79%)。LCMS(方法1):Rt1.76分、m/z180[MH]。
【0406】
h.1−(5−tert−ブチル−2−(4−メトキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(実施例1)
中間体1g(87mg、0.27mmol)、DIPEA(318μL、1.86mmol)、および[5−tert−ブチル−2−(4−メトキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(手順については、国際公開第2001004115号(特許文献21)を参照;260mg、0.62mmol)をDMF(5mL)に溶解させ、この溶液を60℃で2時間加熱した。冷却してから、溶液をSCX−2カートリッジに通し、MeOHで溶出させ、次いで2MのNH含有MeOHで溶出させて、粗表題化合物を得た。HPLC(55−98%HO含有MeCN(0.1%NH))によりさらに精製して、表題化合物を無色粉末として得た(35mg、9.5%)。LCMS(方法5):Rt4.46分、m/z594[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.21(9H,s),1.31−1.35(6H,dd,J 5.8),1.76−1.93(3H,m),2.01−2.08(2H,m),3.47−3.57(1H,m),3.75(3H,s),4.75−4.81(1H,m),5.48(1H,t,J 3.9),6.26(1H,s),6.98−7.05(3H,m),7.09−7.13(1H,m),7.09−7.13(6H,m),7.62−7.65(1H,d,J 9.98)。
【実施例2】
【0407】
【化73】
【0408】
1−(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
中間体1g(100mg、0.31mmol)および(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(手順については、米国特許公開第2004/192653号(特許文献22)を参照;102mg、0.31mmol)を1,4−ジオキサン(3.0mL)に溶解させ、この溶液に、ジイソプロピルエチルアミン(54μL、0.31mmol)を加えた。反応物を、18時間100℃に加熱した。冷却してから、混合物を、EtOAc(50mL)と水(50mL)で分配した。水層をEtOAc(3×)で抽出し、有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、減圧濃縮した。FCC(0−10%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により精製し、続いてHPLC(10−98%MeCN含有HO、0.1%ギ酸)により精製して、表題化合物を得た(63mg、0.13mmol、41%)。LCMS(方法5:Rt3.71分,m/z502[MH]。1H NMR(400MHz,CDCl):1.24(9H,s),1.41−1.44(3H,d,J 6.9),1.45−1.48(3H,d,J 6.9),1.90−2.00(1H,m),2.04−2.17(2H,m),2.22−2.30(1H,m),3.18−3.29(1H,sp,J 6.9),3.72(3H,s),5.08−5.15(1H,td,J 8.8,5.2),5.16−5.21(1H,t,J 3.8),5.45−5.55(1H,br d,J 7.4),6.02(1H,s),6.60−6.68(1H,br s),6.99−7.04(1H,dd,J 9.9,2.1),7.24−7.28(2H,m),7.30−7.36(1H,m),7.36−7.44(2H,m),7.56−7.60(1H,d,J 9.9)。
【実施例3】
【0409】
1−{5−tert−ブチル−2−[3−(2−ヒドロキシエチルスルファニル)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0410】
【化74】
【0411】
a.ジ−tert−ブチル=1−{3−[(2−{[tert−ブチル(ジメチル)シリル]オキシ}エチル)スルファニル]フェニル}ヒドラジン−1,2−ジカルボキシラート(中間体3a)
【0412】
【化75】
【0413】
3−ブロモチオフェノール(1.00g、5.29mmol)、ブロモエトキシジメチルシリルエーテル(1.36mL、6.35mmol)、および炭酸カリウム(1.46g、10.58mmol)をアセトン(15mL)に加え、この混合物をRTで一晩撹拌した。混合物を濾過し、エバポレートし、残渣を減圧乾燥させ、次いで乾燥THF(15mL)に溶解させた。−78℃で、nBuLi(1.6Mヘキサン溶液、4.5mL、7.28mmol)を滴下し、10分間撹拌した。−78℃で、アゾジカルボン酸ジtert−ブチル(1.54g、6.68mmol)を一度に加え、20分間撹拌した。次いで、混合物を、2時間かけてRTまで昇温させた。混合物を、飽和塩化アンモニウム溶液(15mL)と酢酸エチル(3×15mL)で分配した。有機抽出物を1つにまとめてブライン(20mL)で洗い、乾燥させ(NaSO)、減圧濃縮した。残渣を、FCC(0−20%酢酸エチル含有ペンタンを用いる)により精製して、表題化合物を淡黄色油状物として得た(1.68g、64%)。1H NMR(400MHz,CDCl):0.04(6H,s),0.84(9H,s),1.48(18H,m),3.04(2H,t),3.79(2H,t),7.14−7.24(2H,m),7.42(1H,s)。
【0414】
b.2−[3−(5−アミノ−3−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル)フェニルスルファニル]−エタノール。(中間体3b)
【0415】
【化76】
【0416】
中間体3a(1.68g、3.37mmol)、ピバロイルアセトニトリル(0.42g、3.37mmol)および濃HCl溶液(1.7mL)をエタノール(10mL)に加え、この混合物を3時間加熱還流させた。冷却してから、pHを約7に調整し(飽和NaHCO水溶液を用いる)、混合物を水(20mL)とEtOAc(3×20mL)で分配した。有機抽出物を1つにまとめてブライン(20mL)で洗い、乾燥させ(NaSO)、減圧濃縮した。残渣を、FCC(20−80%EtOAc含有ペンタンで溶出させる)により精製して、表題化合物を淡黄色油状物として得た(458mg、47%)。LCMS(方法1):Rt2.35分,m/z292[MH]。
【0417】
c.{5−tert−ブチル−2−[3−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル。(中間体3c)
【0418】
【化77】
【0419】
中間体3b(176mg、0.60mmol)およびDIPEA(0.31mL、1.81mmol)をTHF(10mL)に溶解させ、この溶液にトリクロロクロロギ酸エチル(0.1mL、0.78mmol)を加え、混合物を3時間撹拌した。次いで、混合物を水(15mL)とEtOAc(3×20mL)で分配し、有機抽出物を1つにまとめて乾燥させ(NaSO)、減圧濃縮した。残渣から溶解分を除去(シクロヘキサン)し、濾過して、表題化合物を黄色固体として得た(280mg、100%)。LCMS(方法1):Rt3.93分,m/z466/468[MH
【0420】
d.1−{5−tert−ブチル−2−[3−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素。(実施例3)
中間体1g(100mg、0.31mmol)をDMF(2mL)とDIPEA(165μL、0.97mmol)の混合液に溶解させ、この溶液と中間体3c(145mg、0.31mmol)を60℃で2時間加熱した。冷却してから、混合物をSCX−2カートリッジにロードし、MeOHで溶出させ、次いで2MのNH含有MeOHで溶出させて、粗生成物を得た。FCC(0−10%[2MのNH含有MeOH]含有DCMで溶出させる)によりさらに精製し、続いてHPLC(30−95%MeCN含有HO(0.1%HCOH)で溶出させる)により精製することで、表題化合物を無色粉末として得た(45mg)。LCMS(方法5):Rt4.22分,m/z640[MH]。1H NMR(400MHz,CDCl):1.33(9H,s),1.42−1.47(6H,m),1.89−1.97(1H,m),2.04−2.13(2H,m),2.21−2.28(1H,m),3.09(2H,m),3.24(1H,m),3.73(2H,m),5.08(1H,m),5.19(1H,m,),5.78(1H,m),6.38(1H,s),6.92(1H,br s),7.01(1H,dd,J 1.92,9.77),7.24−7.34(6H,m),7.40−7.43(2H,m),7.54−7.75(2H,m)。
【実施例4】
【0421】
1−{5−tert−ブチル−2−[3−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0422】
【化78】
【0423】
a.5−tert−ブチル−2−{3−[2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イルアミン(中間体4a)
【0424】
【化79】
【0425】
3−(5−アミノ−3−tert−ブチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェノール(手順については、米国特許公開第2006/35922号(特許文献23)を参照;500mg、2.16mmol)、2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−エタノール(439μL、3.25mmol)、およびトリフェニルホスフィン(1.13g、4.32mmol)をTHF(10.0mL)に溶解させ、この溶液にDIAD(847μL、4.32mmol)をゆっくりと加え、72時間撹拌した。反応混合物を、EtOAc(75mL)とHO(75mL)で分配し、水層をEtOAc(3×)で抽出した。有機層を1つにまとめて乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧エバポレートした。FCC(5−60%EtOAc含有シクロヘキサンを用いる)により精製して、やや純度の劣る表題化合物を得た(1.26g)。これは、それ以上精製することなく次の反応に用いた。LCMS(方法4):Rt2.77,m/z360[MH]。
【0426】
b.(5−tert−ブチル−2−{3−[2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イル)−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体4b)
【0427】
【化80】
【0428】
出発物質に、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチルおよび中間体4aを用いて、実施例3の工程Cについて記載したのと類似の手順により、表題化合物を調製した。LCMS(方法4):Rt3.85,m/z536[MH]。
【0429】
c.1−(5−tert−ブチル−2−{3−[2−(テトラヒドロ−ピラン−2−イルオキシ)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(中間体4c)
【0430】
【化81】
【0431】
出発物質に、中間体4bおよび中間体1gを用いて、実施例1の工程hについて記載したのと類似の手順により、表題化合物を調製した。LCMS(方法1):Rt3.63分,m/z=708[MH]。
【0432】
d.1−{5−tert−ブチル−2−[3−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(実施例4)
中間体4c(124mg、0.17mmol)のMeOH(3.0mL)溶液に、para−トルエンスルホン酸ピリジニウム(44.0mg、0.17mmol)を加えた。2時間後、追加のpara−トルエンスルホン酸ピリジニウム(100mg、0.39mmol)を加え、反応物を12時間撹拌した。次いで、反応物を2時間55℃に加熱し、次いで、冷却して、減圧で溶媒の体積を約1/3に減らした。残渣を、EtOAc(50mL)と飽和NaHCO溶液(50mL)で分配した。水層をEtOAc(3×)で抽出し、次いで、有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、減圧エバポレートした。生成物をFCC(0−10%MeOH含有DCMを用いる)により精製し、次いでHPLC(C18 X−selectカラム、10−98%MeCN含有HO、0.1%ギ酸)によりさらに精製して、表題化合物を得た(50.0mg、0.08mmol、47%)。LCMS(方法5):Rt4.04分,m/z624[MH]。1H NMR(400MHz,CDCl):1.30(9H,s),1.40−1.44(3H,d,J 6.9Hz),1.44−1.47(3H,d,J 6.9Hz),1.84−1.98(1H,m),2.00−2.10(2H,m),2.18−2.26(1H,m),3.16−3.26(1H,sp,J 6.9Hz),3.87−3.92(2H,m),4.03−4.07(2H,m),5.01−5.09(1H,td,J 8.9,5.3Hz),5.14−5.17(1H,t,J 4.0Hz),5.47−5.52(1H,br d,J 8.7Hz),6.29(1H,s)6.60(1H,br s),6.80−6.84(1H,m),6.96−7.00(1H,dd,J 9.9,2.1Hz),7.07−7.11(2H,m),7.23−7.30(5H,m),7.38−7.40(1H,d,J 1.6Hz),7.53−7.57(1H,d,J9.9Hz)。
【実施例5】
【0433】
1−(5−tert−ブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0434】
【化82】
【0435】
a.2,2,2−トリフルオロ−N−((1S,4S)−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アセトアミド(中間体5a)
【0436】
【化83】
【0437】
中間体1b(8.00g、31.1mmol)および[N−[(1S,2S)−2−(アミノ−κN)−1,2−ジフェニルエチル]−4−メチルベンゼンスルホンアミダト−κN]クロロ[(1,2,3,4,5,6−η)−1−メチル−4−(1−メチルエチル)ベンゼン]−ルテニウム(Strem Chemicals Inc.;0.06g、0.93mmol)を乾燥DMF(100mL)に溶解させ、この溶液全体に、アルゴンを10分間吹き込んだ。ギ酸(2.4mL、62.2mmol)およびEtN(8.60mL、62.2mmol)を予め混合しておき、これを加えて、混合物を50℃で24時間撹拌した。混合物を室温に冷却し、約25mLに濃縮した。水(70mL)を加えて、生じた沈殿を濾過し、DCM(3×30mL)およびジエチルエーテル(30mL)で洗うと、固体(4.75g)が残った。濾液をデカンテーションで分けると、暗色固体が残った。続いて、FCC(0−30%EtOAc含有シクロヘキサンを用いる)により精製して、固体が得られた。これを最初に得られた固体とまとめて、ベージュ色固体として表題化合物を得た(5.93g、74%)。H NMR(400MHz,d−DMSO):1.60−1.83(2H,m),2.06−2.17(2H,m),4.60(1H,m),5.08(1H,m),5.28(1H,d),7.07(1H,m),7.25(1H,ddd),7.28(1H,ddd),7.50(1H,dd),9.78(1H,d)。
【0438】
b.(1S,4S)−4−アミノ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール(中間体5b)
【0439】
【化84】
【0440】
中間体5a(5.55g、21.4mmol)をMeOH(50mL)に溶解させ、この灰色溶液に、NaOH(1.28g、32.1mmol)の水(15mL)溶液を加え、混合物を室温で3日間撹拌した。NaOH(1.28g、32.1mmol)をさらに加え、褐色溶液を5時間撹拌した。溶液をSCX−2カラムに直接添加し、MeOHで洗い、2MのNH含有MeOHで溶出させ、減圧濃縮すると、灰色固体が残った。固体をDCM(50mL)に加え、超音波処理して懸濁させ、次いで濾過し、減圧乾燥させると、淡灰色固体が残った(2.93g、84%)。H NMR(400MHz,d−DMSO):1.41−1.64(2H,m),2.02−2.13(2H,m),3.82(1H,dd),4.55(1H,dd),5.08(1H,br s),7.13−7.22(2H,m),7.35−7.49(2H,m)。
【0441】
c.(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルアミン(中間体5c)
【0442】
【化85】
【0443】
水素化ナトリウム(60%含有鉱物油、1.07g、26.8mmol)を乾燥DMF(20mL)に懸濁させ、この懸濁液に、窒素下、室温で、中間体5b(1.89g、11.6mmol)を2分かけて少しずつ加え、得られる褐色溶液を20分間撹拌した。中間体1f(1.60g、8.93mmol)を加え、溶液を60℃で2時間撹拌した。暗褐色溶液を室温に冷却し、減圧濃縮した。残渣をSCX−2(MeOH(200mL)で洗い、2MのNH含有MeOHで溶出させる)により精製すると、暗褐色発泡物が残った(3.21g)。FCC(2−10%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)によりさらに精製して、褐色発泡物を得た(2.11g、76%)。H NMR(400MHz,d−DMSO):1.37(3H,d),1.39(3H,d),1.59(1H,m),1.91(1H,m),2.11(1H,m),2.33(1H,m),3.58(1H,sept),3.96(1H,dd),5.55(1H,dd),7.18−7.37(4H,m),7.51(1H,d),7.68(1H,d),8.20(1H,d)。
【0444】
d. (5−tert−ブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体5d)
【0445】
【化86】
【0446】
5−tert−ブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イルアミン(Atlantic、141mg、1.00mmol)およびEtN(279μL、2.00mmol)をMeCN(2mL)に懸濁させ、この懸濁液に、RTで、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(207μL、1.50mmol)を4回に分けて1分間かけて加えた(注意:発熱して約40℃になる)。得られる懸濁液を1時間撹拌した。懸濁液を濾過し、固体をMeCN(3mL)で洗い、濃縮すると、黄色〜褐色ペースト状物が残った。FCC(0−2.5%MeOH含有DCMを用いる)により精製して、もみ革色発泡物を得た(232mg、73%)。1H NMR(400MHz,CDCl):1.42(9H,s),4.86(2H,s)。
【0447】
e.1−(5−tert−ブチル−[1,3,4]オキサジアゾール−2−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(実施例5)
中間体5d(83.1mg、0.263mmol)、中間体5c(80.6mg、0.250mmol)、およびDIPEA(54.4μL、0.313mmol)をDMF(2mL)に溶解させ、この溶液を125℃で45分間撹拌した。冷却してから、混合物を減圧濃縮して、褐色油状物を得た。油状物を水(5mL)に懸濁させ、DCM(2×5mL)で抽出した。有機物を1つにまとめて疎水性フリットで濾過し、減圧濃縮すると、褐色油状物が残った。FCC(0−8%MeOH含有EtOAcを用いる)により精製し、続いて溶解分を除去(ジエチルエーテル)して、もみ革色固体を得た(99.6mg)。HPLC(10−98%MeCN含有HO、0.1%HCOH)によりさらに精製して、表題化合物を綿状白色固体として得た(25.9mg、21%)。LCMS(方法5):Rt3.77分,m/z490[MH]。1H NMR(400MHz,CDCl):1.39(9H,s),1.52(3H,d),1.55(3H,d),2.00(1H,m),2.21−2.36(2H,m),2.43(1H,m),3.32(1H,sept),5.28−5.34(2H,m),7.12(1H,dd),7.30−7.38(3H,m),7.47−7.50(2H,m),7.73(1H,d),8.35(1H,br s),8.49(1H,br d)。
【実施例6】
【0448】
1−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−3−(1−p−トリル−1H−ピラゾール−4−イル)−尿素
【0449】
【化87】
【0450】
a.4−ニトロ−1−p−トリル−1H−ピラゾール(中間体6a)
【0451】
【化88】
【0452】
4−トリルボロン酸(544mg、4.00mmol)、4−ニトロピラゾール(226mg、2.00mmol)、酢酸銅(II)(545mg、3.00mmol)および4Åのモレキュラーシーブ(1.5g)をDCM(15mL)に加え、そこに、RTで、ピリジン(0.32mL、4mmol)を加え、5時間撹拌した。混合物をセライト濾過し、DCMで洗い、次いで、乾固するまでエバポレートした。残渣を、FCC(0−30%酢酸エチル含有シクロヘキサンで溶出させる)により精製し、表題化合物を白色固体として得た(126mg、31%)。LCMS(方法3):Rt3.93分,m/z204.1[MH]。
【0453】
b.4−アミノ−1−p−トリル−1H−ピラゾール(中間体6b)
【0454】
【化89】
【0455】
中間体6a(212mg、1.04mmol)を、エタノール(20mL)に溶解させ、次いで、水素雰囲気下で、10%パラジウム炭素を用いて4時間水素化した。次いで、混合物をセライト濾過し、エタノールで洗い、乾固するまでエバポレートした。残渣を、FCC(0−10%MeOH含有DCMで溶出させる)により精製し、表題化合物を淡褐色固体として得た(154mg、86%)。LCMS(方法3):Rt1.92分,m/z174.1[MH]。
【0456】
c.(1−p−トリル−1H−ピラゾール−4−イル)−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体6c)
【0457】
【化90】
【0458】
中間体6b(150mg、0.87mmol)をDCM(10mL)に溶解させ、氷浴で冷却し、次いで、トリエチルアミン(0.18mL、1.30mmol)およびクロロギ酸トリクロロエチル(0.15mL、1.08mmol)で順に処理した。混合物を冷却しながら45分間撹拌し、次いで、乾固するまでエバポレートした。残渣を、FCC(0−30%酢酸エチル含有シクロヘキサンで溶出させる)により精製し、表題化合物をベージュ色固体として得た(286mg、95%)。LCMS(方法3):Rt4.25分,m/z348/350/352[MH]。
【0459】
d.1−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−3−(1−p−トリル−1H−ピラゾール−4−イル)−尿素(実施例6)
中間体6c(65.0mg、0.19mmol)、中間体5c(50.0mg、0.155mmol)、およびDIPEA(0.127mL、0.8mmol)をDMF(1mL)に溶解させ、この溶液を110℃で75分間加熱し、そして50℃で64時間加熱した。冷却してから、混合物を乾固するまで濃縮し、残渣を、FCC(0−10%MeOH含有DCMで溶出させる)により精製し、純度の低い生成物を得た(63mg)。HPLC(方法6)によりさらに精製して、表題化合物を白色固体として得た(45mg、56%)。LCMS(方法5):Rt4.06分,m/z522.1[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.36−1.41(6H,m),1.76−1.85(1H,m),1.98−2.08(1H,m),2.13−2.28(2H,m),2.33(3H,s),3.59(1H,quintet,J 6.8),4.96−5.03(1H,m),5.62(1H,t,J 4.6),6.74(1H,d,J 8.5),7.24(1H,dd,J 9.9,2.1),7.26−7.46(6H,m),7.62−7.66(2H,m),7.68(1H,s),7.70(1H,dd,J 9.9,0.8),8.24(1H,br d),8.26(1H,s),8.31(1H,s)。
【実施例7】
【0460】
【化91】
【0461】
1−(4−クロロ−3−トリフルオロメチル−フェニル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
出発物質に、4−クロロ−3−(トリフルオロメチル)アニリン(Aldrich)を用いて、実施例5について記載したのと類似の手順により、表題化合物を調製した。LCMS(方法5):Rt4.72分,m/z544[MH];1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.38(3H,d),1.40(3H,d),1.83(1H,m),2.04(1H,m),2.21(2H,m),3.58(1H,sept),5.00(1H,m),5.62(1H,m),6.84(1H,d),7.24(1H,dd),7.30−7.41(3H,m),7.44(1H,d),7.56(1H,d),7.58(1H,d),7.70(1H,d),8.13(1H,m),8.24(1H,d),8.83(1H,s)。
【実施例8】
【0462】
【化92】
【0463】
1−(3−tert−ブチル−[1,2,4]オキサジアゾール−5−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
出発物質に、3−tert−ブチル−1,2,4−オキサジアゾール−5−アミン(Enamine)を用いて、実施例5について記載したのと類似の手順により、表題化合物を調製した。LCMS(方法5):Rt4.12分,m/z490[MH];1H NMR(400MHz,CDCl):1.25(9H,s),1.50(3H,d),1.54(3H,d),1.99(1H,m),2.22−2.34(2H,m),2.52(1H,m),3.29(1H,sept),5.27(1H,ddd),5.36(1H,dd),7.16(1H,dd),7.32−7.41(3H,m),7.49(1H,d),7.52(1H,d),7.75(1H,dd),8.64(1H,d),8.76(1H,s)。
【実施例9】
【0464】
【化93】
【0465】
1−(1−tert−ブチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
出発物質に、1−tert−ブチル−1H−ピラゾール−4−アミン(Enamine)を用いて、実施例5について記載したのと類似の手順により、表題化合物を調製した。LCMS(方法5):Rt3.50分,m/z488[MH];1H NMR(400MHz,CDCl):1.46(3H,d),1.49(3H,d),1.56(9H,s),1.89(1H,m),2.10−2.27(2H,m),2.38(1H,m),3.28(1H,sept),5.22(1H,ddd),5.28(1H,dd),5.49(1H,br s),6.63(1H,br s),7.14(1H,dd),7.26−7.36(3H,m),7.39(1H,d),7.45(1H,d),7.48(1H,m),7.60(1H,d),7.71(1H,s)。
【実施例10】
【0466】
1−[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0467】
【化94】
【0468】
a.2−(5−アミノ−3−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル)−エタノール(中間体10a)
【0469】
【化95】
【0470】
4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンニトリル(5.00g、40.0mmol)、濃HCl(0.1mL)、および2−ヒドラジノエタノール(2.98mL、44.0mmol)をエタノール(40mL)に溶解させ、この溶液を20時間還流させた。次いで、反応混合物を減圧濃縮した。得られる油状固体を、シクロヘキサン(30mL)で洗い、MeOH(5mL)とHO(5mL)の混合液に溶解させ、凍結乾燥させて、表題化合物を白色粉末として得た(7.13g、97%)。LCMS(方法3):Rt0.43分,m/z184[MH]。
【0471】
b.5−tert−ブチル−2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−2H−ピラゾール−3−イルアミン(中間体10b)
【0472】
【化96】
【0473】
中間体10a(1.00g、5.46mmol)、tert−ブチル−ジメチル−クロロシラン(823mg、5.46mmol)、およびイミダゾール(774mg、11.38mmol)をDMF(9mL)に溶解させ、この溶液を、窒素雰囲気下、RTで18時間撹拌した。反応混合物に、追加のtert−ブチル−ジメチル−クロロシラン(823mg、5.46mmol)およびイミダゾール(774mg、11.38mmol)を加え、6時間撹拌した。反応混合物を、飽和NHCl水溶液(10mL)とDCM(10mL)で希釈した。層を分離させ、水層をDCM(3×10mL)で抽出した。有機層を1つにまとめて乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮し、FCC(0−50%EtOAc含有シクロヘキサンを用いる)により精製して、表題化合物を得た(1.15g、70%)。LCMS(方法3):Rt3.06、3.23分,m/z298[MH]。
【0474】
c.{5−tert−ブチル−2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−2H−ピラゾール−3−イル}−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体10c)
【0475】
【化97】
【0476】
中間体10b(1.14g、3.85mmol)およびEtN(0.80mL、5.77mmol)をTHF(38mL)に溶解させ、この溶液に、0℃で、クロロギ酸2,2,2−トリクロロ(583μL、4.23mmol)を滴下し、次いで1時間かけてRTまで昇温させた。反応混合物をさらに18時間放置した。混合物を、飽和NHCl水溶液(10mL)とDCM(10mL)で希釈した。層を分離させ、水層をDCM(3×10mL)で抽出した。有機層を1つにまとめて乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮し、FCC(0−30%EtOAc含有シクロヘキサンを用いる)により3回精製して、表題化合物を黄色油状物として得た(354mg、19%)。Rf=0.6(50%EtOAc含有シクロヘキサン);1H NMR(300MHz,CDCl):0.02(s,6H),0.81(s,9H),1.23(s,9H),3.88(t,J=4.5Hz,2H),4.15(t,J=4.5Hz,2H),4.77(s,2H),6.16(s,1H),8.30(br s,1H)。
【0477】
d.1−{5−tert−ブチル−2−[2−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−エチル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(中間体10d)
【0478】
【化98】
【0479】
中間体10c(176mg、0.37mmol)、中間体1g(100mg、0.31mmol)、およびDIPEA(0.16mL、0.93mmol)を、THF(2mL)に溶解させ、この溶液を60℃で19時間加熱した。反応混合物を、HO(5mL)とDCM(5mL)で希釈した。層を分離させ、水層をDCM(3×5mL)で抽出した。有機層を1つにまとめて乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮し、次いで、FCC(0−5%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により精製し、表題化合物を白色粉末として得た(108mg、19%)。Rf=0.4(5%[2MのNH含有MeOH]含有DCM);LCMS(方法3):Rt4.27分,m/z646[MH]。
【0480】
e.1−[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(実施例10)
【0481】
中間体10d(100mg、0.15mmol)のTHF(2mL)溶液に、RTで、TBAF(1MのTHF溶液、0.23mL、0.23mmol)を加え、10分間撹拌した。反応混合物を、HO(5mL)とDCM(5mL)で希釈した。層を分離させ、水層をDCM(3×5mL)で抽出した。有機層を1つにまとめて乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮し、次いでFCC(0−5%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により精製した。残渣を水で洗い、HPLC(30%−100%MeCN含有HO、0.1%ギ酸)により精製して、表題化合物を白色粉末として得た(47mg、57%)。Rf=0.2(5%[2MのNH含有MeOH]含有DCM)LCMS(方法5):Rt3.59分,m/z532[MH]。1H NMR(400MHz,CDCl):1H NMR(300MHz,CDCl):1.25(s,9H),1.43(d,J=6.9Hz,3H),1.46(d,J=6.9Hz,3H),1.92−2.30(m,4H),3.25(p,J=6.9Hz,1H),3.95(t,J=4.7Hz,2H),4.15(dd,J=5.3,3.5Hz,2H),5.09−5.16(m,1H),5.92(d,J=8.0Hz,1H),6.12(s,1H),6.92(dd,J=9.8,1.9Hz,1H),7.22−7.27(m,2H),7.33(td,J=5.8,3.0Hz,1H),7.40(s,1H),7.43(br s,2H),7.47(d,J=7.8Hz,1H),7.70(s,1H)。
【実施例11】
【0482】
【化99】
【0483】
1−[5−tert−ブチル−2−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0484】
出発物質に、[4−(5−アミノ−3−tert−ブチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]メタノール(手順については、国際公開第2011070368号(特許文献24)を参照)を用いて、実施例3に記載したのと同様な手順を用いて、表題化合物を調製した。LCMS(方法5):Rt4.01分,m/z594.2[MH];1H NMR(400MHz,CDCl):1.30(9H,s),1.37−1.40(3H,d,J 6.9Hz),1.40−1.43(3H,d,J 6.9Hz),1.84−1.96(1H,m),2.00−2.10(2H,m),2.16−2.25(1H,m),3.17−3.24(1H,sp,J 6.9Hz),4.60(2H,s),5.01−5.09(1H,td,J 9.0,5.6Hz),5.14−5.19(1H,t,J 3.9Hz),5.70−5.78(1H,br s),6.32(1H,s),6.86(1H,br s),6.95(1H,dd,J 9.8,2.0Hz),7.23−7.31(5H,m),7.39−7.46(4H,m)。
【実施例12】
【0485】
1−{5−tert−ブチル−2−[3−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イルメチル)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0486】
【化100】
【0487】
a.1−(3−ブロモ−ベンジル)−4,4−ジフルオロ−ピペリジン(中間体12a)
【0488】
【化101】
【0489】
3−ブロモベンジルブロミド(3.43g、13.73mmol)、4,4−ジフルオロ−ピペリジン塩酸塩(2.20g、13.97mmol)、および炭酸カリウム(4.82g、34.86mmol)を、アセトニトリル(50mL)に加え、この混合物をRTで16時間撹拌した。混合物を濾過し、エバポレートして、残渣を水(30mL)とEtOAc(3×30mL)で分配した。有機抽出物を1つにまとめて水で洗い(2×50mL)、乾燥させた(NaSO)。溶媒をエバポレートし、表題化合物を無色油状物として得た(3.96g、99%)。LCMS(方法1):Rt1.89分,m/z290/292[MH]。
【0490】
b.ジ−tert−ブチル=1−{3−[(4,4−ジフルオロピペリジン−1−イル)メチル]フェニル}ヒドラジン−1,2−ジカルボキシラート(中間体12b)
【0491】
【化102】
【0492】
中間体12a(1.98g、6.82mmol)の乾燥THF(15mL)溶液を、窒素下、−78℃で撹拌しながら、そこにn−ブチルリチウム(1.6Mのヘキサン溶液、4.5mL、7.28mmol)を滴下した。混合物を−78℃で10分間撹拌し、次いで、アゾジカルボン酸ジtert−ブチル(1.73g、7.51mmol)を1回で加えた。混合物を−78℃で20分間撹拌し、次いで、20分かけてRTまで昇温させた。次いで、混合物を飽和塩化アンモニウム溶液(15mL)と酢酸エチル(3×20mL)で分配した。有機抽出物を1つにまとめてブライン(20mL)で洗い、乾燥させた(NaSO)。溶媒をエバポレートして、残渣をFCC(0−100%EtOAc含有ペンタンで溶出させる)により精製し、表題化合物を淡黄色油状物として得た(1.30g、43%)。LCMS(方法1):Rt2.54分,m/z442[MH]。
【0493】
c.5−tert−ブチル−2−[3−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イルメチル)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イルアミン。(中間体12c)
【0494】
【化103】
【0495】
中間体12b(1.30g、2.94mmol)、ピバロイルアセトニトリル(0.37g、2.94mmol)、および濃HCl(1.5mL)を、エタノール(10mL)に加え、この混合物を3時間加熱還流させた。混合物を冷却して、飽和NaHCO水溶液で約pH7にし、混合物を水(15mL)とEtOAc(3×15mL)で分配した。有機抽出物を1つにまとめてブライン(20mL)で洗い、乾燥させた(NaSO)。溶媒をエバポレートして、残渣をFCC(0−100%EtOAc含有ペンタンで溶出させる)により精製し、表題化合物を淡黄色固体として得た(450mg、43%)。LCMS(方法1):Rt1.93分,m/z349[MH]。
【0496】
d.{5−tert−ブチル−2−[3−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イルメチル)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル。(中間体12d)
【0497】
【化104】
【0498】
中間体12c(200mg、0.57mmol)およびDIPEA(0.31mL、1.81mmol)をTHF(5mL)に溶解させ、この溶液にクロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(0.077mL、0.57mmol)を加え、混合物を3時間撹拌した。次いで、混合物を水(10mL)とEtOAc(3×15mL)で分配し、有機抽出物を1つにまとめて、乾燥させた(NaSO)。溶媒をエバポレートして、残渣からペンタンで溶解分を除去し、濾過して、表題化合物を黄色固体として得た(215mg、72%)。LCMS(方法1):Rt2.89分,m/z523/525[MH
【0499】
e.1−{5−tert−ブチル−2−[3−(4,4−ジフルオロ−ピペリジン−1−イルメチル)−フェニル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素。(実施例12)
中間体12dおよび中間体1gを用いて、実施例1の工程hに記載したのと類似の手順で、表題化合物を調製した。LCMS(方法5):Rt2.52分,m/z697[MH];1H NMR(300MHz,CDCl):1.33(9H,s),1.48(6H,dd,J 7.0,13.0Hz),1.90−2.15(8H,m),2.24−2.31(1H,m),2.56(4H,br s),3.21−3.31(1H,m),3.59(2H,br s),5.06−5.13(1H,m),5.18−5.21(1H,m),5.34(1H,br s),6.30(1H,br s),6.36(1H,br s),7.03−7.06(1H,m),7.29(4H,br s),7.39−7.47(3H,m),7.53(1H,br s),7.62−7.65(1H,m)。
【実施例13】
【0500】
1−(5−tert−ブチル−2−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素、ギ酸塩
【0501】
【化105】
【0502】
a.5−tert−ブチル−2−(4−メトキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イルアミン(中間体13a)
【0503】
【化106】
【0504】
無水エタノール(170mL)と氷酢酸(5.0mL)の混合液に、4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンニトリル(14.28g、114mmol)および4−メトキシフェニルヒドラジン(19.89g、114mmol)を溶解させ、次いで3時間加熱還流させ、それからRTで一晩放置した。得られる赤/褐色固体を濾別し、次いで、濾液を水(500mL)で希釈し、pH=5になるまで、880アンモニア水溶液で塩基性にした。この水溶液をジエチルエーテル(3×)で抽出した。有機物を1つにまとめて乾燥させ(MgSO)、減圧エバポレートして褐色油状物とした。溶解分を除去(ペンタン)し、表題化合物を明紫/褐色固体として得た(23.07g、94.1mmol、82%)。LCMS(方法1):Rt2.87分,m/z246/247[MH]。
【0505】
b.4−(5−アミノ−3−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル)−フェノール(中間体13b)
【0506】
【化107】
【0507】
中間体13a(10.0g、40.8mmol)をDCM(80.0mL)に溶解させ、三塩化アルミニウム(28.0g、204.0mmol)を少しずつ加えた。反応物を4時間加熱還流させた。追加の三塩化アルミニウム(28.0g、204.0mmol)を少しずつ加え、反応物を一晩加熱還流させた。冷却してから、混合物を、注意しながら、飽和NaHCO水溶液(300mL)に少しずつ加えた。混合物を酢酸エチル(300mL)で抽出し、分離させた。水層を減圧濾過し、pH=7になるまで、1NのHClで酸性にした。次いで、この水層を酢酸エチルで再抽出し、有機抽出物を乾燥させ(MgSO)、減圧エバポレートした。FCC(0−40%EtOAc含有DCMを用いる)により精製して、表題化合物を得た(5.0g、21.6mmol、53%)。LCMS(方法1):Rt2.77分,m/z232/233[MH]。
【0508】
c.5−tert−ブチル−2−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イルアミン(中間体13c)
【0509】
【化108】
【0510】
中間体13b(1.15g、5.0mmol)、2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エタノール(864mg、6.0mmol)、およびトリフェニルホスフィン(2.62g、10.0mmol)をTHF(10mL)に溶解させ、この溶液に、アゾジカルボン酸ジイソプロピル(2.0g、10.0mmol)を滴下し、75分間撹拌した。混合物をジエチルエーテル(50mL)で希釈し、10%クエン酸水溶液(2×)で抽出した。水層を1つにまとめて、pH=9になるまで固形炭酸カリウムで塩基性にした。次いで、水層を酢酸エチル(3×)で抽出した。酢酸エチル層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(NaSO)、減圧エバポレートした。FCC(0−12%[9:1のMeOH/880アンモニア]含有DCMを用いる)による精製。得られる生成物を結晶化(ジエチルエーテル)させて、表題化合物を得た(270mg、0.756mmol、15%)。LCMS(方法1):Rt2.31,1.72分,m/z358/359[MH]。
【0511】
d.(5−tert−ブチル−2−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イル)−N,N−ビス−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体13d)
【0512】
【化109】
【0513】
中間体13c(115mg、0.34mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(129mg、1.0mmol)をTHF(4mL)に溶解させ、この溶液にクロロギ酸トリクロロエチル(144mg、0.68mmol)を滴下し、2時間撹拌した。この混合物を酢酸エチル(25mL)で希釈し、水、ブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、減圧エバポレートして、表題化合物を得た(240mg、0.34mmol、100%)。LCMS(方法1):Rt3.02分,m/z708[MH]。
【0514】
e.1−(5−tert−ブチル−2−{4−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素、ギ酸塩(実施例13)
DMF(0.50mL)とジイソプロピルエチルアミン(110mg、0.85mmol)の混合液に、中間体1g(95mg、0.295mmol)および中間体13d(175mg、0.33mmol)を加え、これを3時間60℃に加熱した。溶液をSCX−2カートリッジにロードし、MeOHで洗い、2MのNH含有MeOHで溶出させた。得られる残渣を、HPLC(C18 X−selectカラム、10−30%MeCN含有HO、0.1%ギ酸)で精製して、表題化合物を得た(15mg、6.4%)。LCMS(方法5):Rt3.34分,m/z=706.4[MH]。1H NMR(400MHz,CDCl):1.34(9H,s),1.48(6H,dd,J 7.0,16.4Hz),1.90−2.30(4H,m),2.40(3H,s),2.75(8H,br s),2.91(2H,t,J 5.3Hz),3.28(1H,m),4.11(2H,t,J 5.3Hz),5.10(1H,m),5.20(1H,t,J 4.0Hz),6.16(1H,br d),6.39(1H,s),6.89(2H,d,J 9.0Hz),7.04(1H,dd,J 2.1,10.0Hz),7.18(1H,br s),7.25−7.34(2H,m),7.36−7.40(3H,m),7.47(1H,m),7.60(1H,d,J 10.1Hz),8.14(1H,br s)。
【実施例14】
【0515】
1−[5−tert−ブチル−2−(4−シアノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0516】
【化110】
【0517】
a.4−(5−アミノ−3−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル)−ベンゾニトリル(中間体14a)
【0518】
【化111】
【0519】
4−シアノフェニルヒドラジン塩酸塩(1.70g、10.0mmol)および4,4−ジメチル−3−オキソペンタンニトリル(1.31g、10.5mmol)をEtOH(25mL)に懸濁させ、このクリーム状懸濁液を4時間還流撹拌し、次いで、RTで64時間撹拌し、そして再び24時間還流撹拌した。溶液をRTに冷却し、減圧濃縮し、水(50mL)とEtOAc(75mL)で分配した。有機物をブライン(50mL)で洗い、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧濃縮すると、橙色固体が残った(2.28g、95%)LCMS(方法3):Rt3.45分,m/z241[MH]。
【0520】
b.[5−tert−ブチル−2−(4−シアノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−カルバミン酸 2,2,2−トリクロロ−エチルエステル (中間体 14b)
【0521】
【化112】
【0522】
中間体14a(2.28g、9.49mmol)をEtOAc(25mL)とNaOH水溶液(1M、23.7mL、23.7mmol)の混合液に懸濁させ、この懸濁液に、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(1.57mL、11.4mmol)を2分かけて滴下した。沈殿が生じるが15分後には再溶解し、そうして得られる橙色溶液をRTで90分間撹拌した。クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(0.391mL、2.85mmol)を加え、橙色混合物をRTで16時間撹拌した。層を分離させ、水層をEtOAc(25mL)で抽出した。有機物を1つにまとめてブライン(25mL)で洗い、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧濃縮すると、橙色〜赤色油状物が残った。シクロヘキサンから再結晶させて、オフホワイト色固体を得た(3.12g、79%)。LCMS(方法3):Rt4.46分,m/z415,417[MH]。
【0523】
c.1−[5−tert−ブチル−2−(4−シアノ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素。(実施例14)
中間体14b(61.6mg、0.148mmol)、中間体5c(43.4mg、0.135mmol)、およびDIPEA(0.029mL、0.169mmol)を、ジオキサン−DMF(3:1、2.0mL)に溶解させ、この溶液を60℃で18時間撹拌した。水(3mL)を加え、次いで、混合物をDCM−MeOH(9:1、2×3mL)で抽出した。有機物を1つにまとめて疎水性フリットで濾過し、減圧濃縮すると、橙色油状物が残った。FCC(2−8%MeOH含有DCMを用いる)操作を行ない、凍結乾燥させて、表題化合物を白色固体として得た(35.0mg、44%)。LCMS(方法5):Rt4.46分,m/z589[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.28(9H,s),1.37(3H,d,J 7.1),1.39(3H,d,J 7.1),1.75(1H,m),2.01(1H,m),2.09−2.22(2H,m),3.57(1H,sept,J 6.9),4.88(1H,m),5.58(1H,t,J 4.5),6.38(1H,s),7.06(1H,d,J 8.2),7.23(1H,dd,J 9.9,2.2),7.27(1H,d,J 7.3),7.29−7.38(2H,m),7.42(1H,d,J 7.5),7.69(1H,dd,J 9.9,0.9),7.75(2H,d,J 8.9),7.96(2H,d,J 8.7),8.21(2H,s)。
【実施例15】
【0524】
【化113】
【0525】
1−[5−tert−ブチル−2−(4−ヒドロキシメチル−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4S)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
出発物質に、[4−(5−アミノ−3−tert−ブチル−1H−ピラゾール−1−イル)フェニル]メタノール(手順については、特許文献24を参照)を用いて、実施例5に記載したのと同様な手順を用いて、表題化合物を調製した。LCMS(方法5):Rt4.01分,m/z594.2[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.27(9H,s),1.37(3H,d,J 7.2),1.38(3H,d,J 7.2),1.74(1H,m),2.01(1H,m),2.11−2.16(2H,m),3.56(1H,m),4.55(2H,d,J 3.1),4.89(1H,m),5.29(1H,s),5.57(1H,t,J 3.9),6.33(1H,s),7.04(1H,d,J 8.1),7.22(1H,dd,J 9.9,2.1),7.35−7.44(8H,m),7.68(1H,m),8.02(1H,s),8.21(1H,d,J 2.0)。
【実施例16】
【0526】
1−(5−tert−ブチル−2−ピペリジン−4−イル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0527】
【化114】
【0528】
a.4−ヒドラジノ−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(中間体16a)
【0529】
【化115】
【0530】
1−CBZ−4−ピペリドン(2.92g、12.5mmol)およびヒドラジン水和物(2.01mL、18.8mmol)をMeOH(25mL)に溶解させ、この溶液を50℃で30分間撹拌し、次いで、RTに冷却して、NaBH(1.18g、31.3mmol)を加えた(CARE:ガスが発生し発熱して約45℃になる)。溶液を、RTで30分間撹拌し、次いで50℃で18時間撹拌した。溶液を冷却して減圧濃縮し、水(25mL)に懸濁させ、DCM(2×25mL)で抽出した。有機物を1つにまとめて疎水性フリットで濾過し、減圧濃縮すると、透明油状物が残った。FCC(0−10%[2HNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により、表題化合物を透明油状物として得た(1.80g、58%)。LCMS(方法3):Rt2.03分,m/z250[MH]。
【0531】
b.4−(5−アミノ−3−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(中間体16b)
【0532】
【化116】
【0533】
中間体16a(1.80g、7.22mmol)、4,4−ジメチル−3−オキソペンタンニトリル(1.08g、8.66mmol)、およびHCl(4Mのジオキサン溶液、2.70mL、10.8mmol)をEtOH(25mL)に溶解させ、この黄色溶液を4時間還流撹拌した。溶液を冷却して、SCX−2カートリッジ(50g)に添加し、MeOH(100mL)で洗った。生成物を、2MのNH含有MeOH(100mL)で溶出させ;減圧濃縮すると、黄色油状物が残った(772mg)。FCC(0−5%MeOH含有DCMを用いる)により、表題化合物を黄色ガム状物として得た(550mg、21%)。LCMS(方法3):Rt2.88分,m/z357[MH]。
【0534】
c.4−[3−tert−ブチル−5−(2,2,2−トリクロロ−エトキシカルボニルアミノ)−ピラゾール−1−イル]−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(中間体16c)
【0535】
【化117】
【0536】
中間体16b(550mg、1.54mmol)をNaOH水溶液(1M、3.85mL、3.85mmol)とEtOAc(5mL)の混合液に溶解させ、この溶液に、RTで、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(0.32mL、2.31mmol)を2分かけて加え、次いで、混合物を30分間激しく撹拌した。水層をEtOAc(10mL)で抽出し、次いで、有機物を1つにまとめてブライン(10mL)で洗い、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮すると、黄色〜褐色油状物が残った。FCC(0−30%EtOAc含有シクロヘキサンを用いる)により、表題化合物を白色発泡物として得た(337mg、41%)。LCMS(方法3):Rt4.81分,m/z531、533[MH]。
【0537】
d.4−(3−tert−ブチル−5−{3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−ウレイド}−ピラゾール−1−イル)−ピペリジン−1−カルボン酸ベンジルエステル(中間体16d)
【0538】
【化118】
【0539】
中間体16c(337mg、0.634mmol)、中間体1g(195mg、0.603mmol)、およびDIPEA(0.131mL、0.754mmol)をDMF(5mL)に溶解させ、この褐色溶液を100℃で90分間撹拌した。溶液を冷却して減圧濃縮し、水(5mL)に懸濁させ、DCM(2×5mL)で抽出した。有機物を1つにまとめて疎水性フリットで濾過し、減圧濃縮すると、褐色ガム状物が残った。FCC(4.5%MeOH含有DCMを用いる)により、表題化合物を黄色〜褐色油状物として得た(364mg、86%)。LCMS(方法3):Rt3.96分,m/z705[MH]。
【0540】
e.1−(5−tert−ブチル−2−ピペリジン−4−イル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ−[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(実施例16)
中間体16d(165mg、0.234mmol)、Pd/C(10%、16mg)、および2MのNH含有MeOH(0.117mL、0.234mmol)をEtOH(5mL)に懸濁させ、この懸濁液に、N下で、脱気してHパージする操作を2回行い、次いで、この懸濁液をRTで8時間撹拌した。懸濁液をセライト濾過し、次いで、フィルターケーキをEtOH(10mL)で洗った。有機物を1つにまとめて減圧濃縮して、体積を約0.5mLにし、次いで、SCX−2カートリッジ(5g)に添加して、MeOH(5mL)で洗った。生成物を2MのNH含有MeOH(25mL)で溶出させ;減圧濃縮すると、淡黄色固体が残った。この固体から、ジエチルエーテル(10mL)で溶解分を除去すると、もみ革色固体(121mg)が残った。この物質の半分を、HPLC(XBridge C18、25−98%MeCN含有HO、0.1%NHOH)により精製し、凍結乾燥させて、表題化合物を白色固体として得た(20.0mg、15%)。LCMS(方法5):Rt3.16分,m/z571[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.16(9H,s),1.33(3H,d,J 6.8),1.35(3H,d,J 6.8),1.68(2H,m),1.79(2H,m),1.91(2H,m),2.09(2H,m),2.47(2H,m),2.98(2H,d,J 12.3),3.50(1H,sept,J 6.8),3.92(1H,m),4.82(1H,m),5.51(1H,t,J 4.5),5.97(1H,s),6.88(1H,d,J8.6),7.14(1H,dd,J 9.9,2.1),7.26(1H,m),7.31−7.38(3H,m),7.65(1H,dd,J 9.8,0.8),8.07(1H,br s),8.18(1H,d,J 2.0)。
【実施例17】
【0541】
【化119】
【0542】
1−[5−tert−ブチル−2−(1−メチル−ピペリジン−4−イル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
実施例16(半精製物質、想定64.8mg、0.114mmol)およびホルムアルデヒド(37%水溶液、0.092mL、1.14mmol)をDCM(2mL)に加え、この混合物をRTで10分間撹拌し、次いでAcOH(0.013mL、0.227mmol)およびNaBH(OAc)(48.1mg、0.227mmol)を順に加え、溶液をRTで1時間撹拌した。溶液を減圧濃縮して体積を約0.5mLにし、SCX−2カートリッジ(2g)に添加し、MeOH(15mL)で洗った。生成物を2MのNH含有MeOH(10mL)で溶出させ;減圧濃縮すると、淡黄色固体(82.6mg)が残った。HPLC(XBridge C18、30−98%MeCN含有HO、0.1%NHOH)操作を行い、凍結乾燥させて、表題化合物を白色固体として得た(30.8mg、46%)。LCMS(方法5):Rt3.18分,m/z585[MH+]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.21(9H,s),1.38(H,d,J 6.8),1.40(3H,d,J 6.8),1.75(2H,t,J 12.2),1.91−2.04(6H,m),2.07−2.17(2H,m),2.18(3H,s),2.87(2H,d,J 10.6),3.58(1H,sept,J 6.8),3.88(1H,m),4.88(1H,m),5.56(1H,t,J 4.7),6.02(1H,s),6.89(1H,d,J 8.6),7.19(1H,dd,J 9.8,2.1),7.31(1H,m),7.36−7.43(3H,m),7.70(1H,d,J 9.8),8.06(1H,s),8.22(1H,d,J 2.0)。
【実施例18】
【0543】
【化120】
【0544】
1−[5−tert−ブチル−2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
実施例10(136mg、0.26mmol)およびEtN(0.11mL、0.77mmol)をDCM(2.5mL)に溶解させ、撹拌しながら、この溶液に、N下、0℃で、塩化メシル(31μL、0.31mmol)を加えた。15分後、反応混合物をRTに昇温させた。15分後、HO(5mL)およびDCM(5mL)を加えた。層を分離させ、水層をDCMで抽出した。有機物を1つにまとめて乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。得られる残渣をTHF(2.5mL)に溶解させ、次いでDIPEA(49μL、0.28mmol)およびモルホリン(67μL、0.77mmol)を順に加えた。得られる混合物を21時間加熱還流させた。反応混合物をRTに冷却し、次いでHO(5mL)およびDCM(5mL)を加えた。層を分離させ、水層をDCM(3×5mL)で抽出した。有機物を1つにまとめて乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮した。残渣を、FCC(0−10%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により精製し、次いで、分取HPLC(Gemini C18カラム、20%−98%MeCN含有HO、0.1%HCOH、20分)により精製し、凍結乾燥させて、表題化合物を白色粉末として得た(64mg、41%)。LCMS(方法5):Rt3.21分,m/z601[MH]。1H NMR(400MHz,CDCl):1.22(9H,s),1.47(3H,d,J 6.9),1.50(3H,d,J 6.9),2.00−2.12(3H,m),2.25−2.31(1H,m),2.53−2.56(4H,m),2.68−2.70(2H,m),3.28(1H,m),3.80(4H,t,J 4.7),4.16(2H,t,J 4.7),5.12−5.15(1H,m),5.20(1H,d,J 4.2),5.46(1H,d,J 8.8),5.89(1H,s),7.09(1H,dd),7.27−7.30(2H,m),7.36−7.40(1H,m),7.45(1H,d,J 2.0),7.47(1H,d,J 7.9),7.67(1H,dd,J 9.9,0.8),9.43(1H,s)。
【実施例19】
【0545】
1−(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−7−フルオロ−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0546】
【化121】
【0547】
a.(1R,4S)−4−アミノ−6−フルオロ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−オール(中間体19a)
【0548】
【化122】
【0549】
2,2,2−トリフルオロ−N−((1S,4R)−7−フルオロ−4−ヒドロキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル)−アセトアミド(国際公開第2009/048474号(特許文献25)に記載のものと同様な手順で合成)(2.31g、8.34mmol)のMeOH(22.5mL)溶液に、水酸化ナトリウム(0.834g、20.8mmol)の水(15mL)溶液を加え、混合物をRTで65時間撹拌した。混合物を減圧濃縮し、次いで、SCX−2カートリッジ(50g)に添加し、メタノールで洗い、次いで、塩基性成分を0.2-1Mのアンモニア含有メタノールで溶出させた。生成物含有画分を1つにまとめ、減圧濃縮した。残渣を、FCC(0−10%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により精製し、表題化合物を得た(1.29g、86%)。1H NMR(300MHz,d−DMSO):1.60−2.15(6H,m),3.62−3.71(1H,m),4.49(1H,t,J 4.7),5.15(1H,br s),6.98(1H,dt,J 8.6,2.8),7.28(1H,dd,J 10.7,2.8),7.36(1H,dd,J 8.6,6.2)。
【0550】
b.(1S,4R)−7−フルオロ−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イルアミン(中間体19b)
【0551】
【化123】
【0552】
Ar下、中間体19a(837mg、4.62mmol)を乾燥DMF(15mL)に溶解させ、次いで、NaH(60%含有鉱物油、556mg、13.9mmol)を加え、混合物を15分間撹拌した。中間体1f(893mg、4.99mmol)を加え、反応物を60℃で2時間加熱した。反応物を冷却し、水を加えてクエンチし、DCM(4×30mL)で抽出した。有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(NaSO)、濾過し、減圧濃縮した。残渣を、FCC(0−20%[2MのNH含有MeOH]含有DCMで溶出させる)により精製し、表題化合物を得た(429mg、27%)。LCMS(方法3):Rt1.96,m/z363[MNa]。
【0553】
c.1−(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−7−フルオロ−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(実施例19)
中間体19b(85.0mg、0.250mmol)および(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(特許文献22、99mg、0.300mmol)を、1,4−ジオキサン(3mL)とDIPEA(70μL、0.400mmol)の混合液に溶解させた。反応物を1.75時間加熱還流させ、次いで、追加の(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(35mg、0.100mmol)およびDIPEA(3滴)を加えた。それから4時間後、混合物を減圧濃縮した。残渣を、FCC(0−15%MeOH含有DCMを用いる)により精製し、純度の低い生成物を得た(82mg)。HPLC(C18 X−selectカラム、40−98%MeCN含有HO、0.1%HCOH)により2回さらに精製し、凍結乾燥させて、表題化合物を白色粉末として得た(44mg、34%)。LCMS(方法5):Rt3.83分,m/z520.1[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.21(9H,s),1.35−1.43(6H,m),1.85−2.25(4H,m),3.51−3.62(4H,m),4.80−4.91(1H,m),5.50−5.57(1H,m),6.02(1H,s),7.09(1H,d,J 8.8),7.11−7.17(2H,m),7.20(1H,dd,J 9.6,2.2),7.44−7.50(1H,m),7.69(1H,d,J 9.6),8.22(1H,br d),8.40(1H,s)。
【実施例20】
【0554】
1−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−3−(2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−尿素
【0555】
【化124】
【0556】
a.(2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体20a)
【0557】
【化125】
【0558】
2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(手順については、国際公開第2009/150614号(特許文献26)を参照、346mg、2.00mmol)を、水(1mL)とEtOAc(4mL)の混合液に溶解させ、撹拌しながら、この溶液にNaOH(107mg、2.67mmol)を加えた。混合物を0℃に冷却し、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(385μL、2.80mmol)を加えた。撹拌を0℃で30分間続け、次いでRTで2時間続けた。混合物を水とEtOAcで分配した。有機相をブラインで洗い、減圧で乾固するまで濃縮し、表題化合物を橙色残渣として得た。LCMS(方法3):Rt3.90分,m/z348,350[MH]。
【0559】
b.1−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−3−(2−p−トリル−2H−ピラゾール−3−イル)−尿素(実施例20)
中間体1g(50.0mg、0.16mmol)、中間体20a(54.0mg、0.16mmol)、およびDIPEA(54.0μL、0.31mmol)をDMF(2.5mL)に加え、この混合物を1時間100℃に加熱した。冷却してから、混合物をEtOAcと水で分配し、次いで、EtOAc(3×)で抽出した。有機抽出物を1つにまとめて、飽和NaHCO水溶液、ブラインで洗い、減圧エバポレートした。残渣を、FCC(0−10%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により精製し、ベージュ色固体(30mg)を得た。HPLC(5−98%MeCN含有HO、0.1%HCOH)によりさらに精製し、凍結乾燥させて、表題化合物を白色固体として得た(17mg、20%)。LCMS(方法5):Rt3.68分,m/z522[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.35−1.40(6H,m),1.81−1.98(2H,m),2.02−2.15(2H,m),2.37(3H,s),3.57(1H,sept,J 6.6),4.83(1H,m),5.52(1H,t,J 4.2),6.40(1H,d,J 1.8),7.16(1H,dd,J 9.6,2.2),7.21−7.42(8H,m),7.51(1H,d,J 1.8),7.67(1H,d,J 9.6),8.20(1H,m),8.29(1H,m),8.45(1H,br s)。
【実施例21】
【0560】
【化126】
【0561】
1−(1−tert−ブチル−1H−ピラゾール−4−イル)−3−[(1S,4R)−7−フルオロ−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
出発物質に、1−tert−ブチル−1H−ピラゾール−4−アミン(Enamine)および中間体19bを用いて、実施例5について記載したのと類似の手順により、表題化合物を調製した。LCMS(方法5):Rt3.65分,m/z506.2[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.36−1.42(6H,m),1.49(9H,s),1.84−2.25(4H,m),3.57(1H,sept,J 7.0),4.80−4.89(1H,m),5.50−5.55(1H,m),6.72(1H,d,J 8.8),7.09−7.21(3H,m),7.37(1H,d,J 0.8),7.43−7.49(1H,m),7.69(1H,d),7.77(1H,d),8.14(1H,s),8.21(1H,d)。
【実施例22】
【0562】
1−(5−tert−ブチル−2−{3−[2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素ギ酸塩
【0563】
【化127】
【0564】
a.5−tert−ブチル−2−(3−トリイソプロピルシラニルオキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イルアミン(中間体22a)
【0565】
【化128】
【0566】
3−(5−アミノ−3−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル)−フェノール(915mg、3.96mmol)およびイミダゾール(646mg、9.50mmol)をDMF(15mL)に溶解させ、この溶液に、0℃で、トリイソプロピルシリルクロリド(1.02mL、3.96mmol)を加えた。反応物をRTで週末中撹拌し、次いで、EtOAcと水で分配した。次いで、水層をEtOAc(3×)で抽出した。有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧エバポレートした。残渣を、FCC(0−40%EtOAc含有シクロヘキサンを用いる)により精製し、表題化合物を得た(1.53g、99%)。LCMS(方法4):Rt4.78分,m/z388[MH]。
【0567】
b.[5−tert−ブチル−2−(3−トリイソプロピルシラニルオキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体22b)
【0568】
【化129】
【0569】
中間体22a(1.53g、3.96mmol)およびDIPEA(2.75mL、15.8mmol)をTHF(40mL)に溶解させ、この溶液に、0℃で、クロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(1.09mL、7.92mmol)を加えた。反応物をRTで3時間撹拌し、次いでEtOAcと水で分配した。次いで、水層をEtOAc(3×)で抽出した。有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧エバポレートした。残渣を、FCC(0−50%EtOAc含有シクロヘキサンを用いる)により精製し、表題化合物を得た(2.22g、99%)。LCMS(方法4):Rt5.55分,m/z560、562[MH]。
【0570】
c.1−[5−tert−ブチル−2−(3−トリイソプロピルシラニルオキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(中間体22c)
【0571】
【化130】
【0572】
中間体1g(223mg、0.69mmol)およびDIPEA(240μL、1.38mmol)を1,4−ジオキサン(6.0mL)に溶解させ、この溶液に、中間体22b(390mg、0.69mmol)を加えた。反応物を3時間60℃に加熱し、そして一晩45℃に加熱した。反応物を冷却して、EtOAcと水で分配した。次いで、水層をEtOAc(3×)で抽出した。有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧エバポレートした。残渣を、FCC(0−10%MeOH含有DCMを用いる)により精製し、表題化合物を得た(258mg、50%)。LCMS(方法2):Rt4.93分,m/z736[MH]。
【0573】
d.1−[5−tert−ブチル−2−(3−ヒドロキシ−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(中間体22d)
【0574】
【化131】
【0575】
中間体22c(258mg、0.35mmol)のTHF(5.0mL)溶液に、0℃で、TBAF(1MのTHF溶液、350μL、0.35mmol)を加えた。反応物を1時間撹拌し、次いでEtOAcと水で分配した。次いで、水層をEtOAc(3×)で抽出した。有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧エバポレートした。残渣を、FCC(0−10%MeOH含有DCMを用いる)により精製し、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(150mg、75%)。LCMS(方法1):Rt4.11分,m/z580[MH]。1H NMR(400MHz,d−MeOD):1.30(9H,s),1.42(3H,d,J 6.9),1.45(3H,d,J 6.9),1.88−2.16(3H,m),2.20−2.30(1H,m),3.51(1H,sept,J 6.9),4.90(1H,dd,J 8.9,5.6),5.45(1H,t,J 4.1),6.33(1H,s),6.84(1H,ddd,J 8.3,2.6,0.8),6.88−6.94(2H,m),7.19−7.26(2H,m),7.26−7.33(4H,m),7.61(1H,d,J 10.0),8.01(1H,s)。
【0576】
e.1−(5−tert−ブチル−2−{3−[2−(4−ヒドロキシ−ピペリジン−1−イル)−エトキシ]−フェニル}−2H−ピラゾール−3−イル)−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素ギ酸塩(実施例22)
中間体22d(75.0mg、0.13mmol)、4−ヒドロキシ−1−ピペリジン−エタノール(28.0mg、0.19mmol)、およびPhP(68.0mg、0.26mmol)をTHF(1.5mL)に溶解させ、この溶液に、0℃で、DIAD(51.0μL、0.260mmol)を加えた。反応物をRTで週末中撹拌し、次いで、EtOAcと水で分配した。水層をEtOAc(3×)で抽出した。有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧エバポレートした。残渣を、FCC(0−10%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により精製した。HPLC(C18 X−selectカラム、25−98%MeCN含有HO、0.1%HCOH)によりさらに精製し、凍結乾燥させて、表題化合物を白色粉末として得た(57mg、62%)。LCMS(方法5):Rt3.32分,m/z707.4[MH]。1H NMR(400MHz,d−MeOD):1.31(9H,s),1.42(3H,d,J 6.8),1.45(3H,d,J 6.8),1.62−1.72(2H,m),1.86−2.04(4H,m),2.04−2.14(1H,m),2.21−2.30(1H,m),2.69−2.79(2H,m),3.11−3.19(4H,m),3.51(1H,sept,J 6.9),3.70−3.78(1H,m),4.26(2H,t,J 5.3),4.89(1H,dd,J 8.9,5.8),5.45(1H,t,J 4.1),6.33(1H,s),7.05(1H,ddd,J 8.4,2.7,0.8),7.09−7.13(2H,m),7.19−7.25(3H,m),7.26−7.33(2H,m),7.42(1H,t,J 8.1),7.61(1H,dd,J 9.7,0.6),8.01(1H,d,J 1.7),8.42(1H,br s)。
【実施例23】
【0577】
1−[5−tert−ブチル−2−(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0578】
【化132】
【0579】
a.2−(3−ブロモ−フェニル)−5−tert−ブチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(中間体23a)
【0580】
【化133】
【0581】
3−ブロモフェニルヒドラジン塩酸塩(5.00g、22.4mmol)および4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンニトリル(4.29g、33.6mmol)を無水エタノール(55mL)に加え、この混合物を18時間還流撹拌し、冷却し、次いで、減圧濃縮した。残渣を飽和NaHCO水溶液(50mL)に懸濁させ、EtOAc(3×50mL)で抽出した。有機物を1つにまとめて乾燥させ(NaSO)、減圧濃縮した。残渣を、FCC(0−5%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により精製し、表題化合物を得た(3.56g、54%)。LCMS(方法1):Rt3.33分,m/z294,296[MH]。
【0582】
b.ジ−tert−ブチル(1−(3−ブロモフェニル)−3−tert−ブチル−1H−ピラゾール−5−イルイミドジカルボナート(中間体23b)
【0583】
【化134】
【0584】
中間体23a(1.50g、5.10mmol)およびN,N−ジメチル−4−アミノピリジン(31mg、0.26mmol)をDCM(30mL)に溶解させ、この溶液に、ジカルボン酸ジ−tert−ブチル(3.33g、15.3mmol)を加え、混合物をRTで20時間撹拌した。混合物をDCMで希釈し、水で洗い、次いで乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮した。残渣を、FCC(0−2.5%MeOH含有DCMを用いる)により精製し、表題化合物を得た(1.97g、78%)。1H NMR(400MHz,d−MeOH):1.33(27H,s),6.13(1H,s),7.25(1H,d J 3.9),7.28(1H,d J 8.0),7.35−7.40(1H,m),7.41−7.47(1H,m)。
【0585】
c.[5−tert−ブチル−2−(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−カルバミン酸tert−ブチルエステル(中間体23c)
【0586】
【化135】
【0587】
中間体23b(900mg、1.80mmol)、モルホリン(240mg、2.70mmol)、カリウム−tert−ブトキシド(303mg、2.70mmol)、2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル(87mg、0.18mmol)、およびトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(81mg、0.09mmol)をTHF(9mL)に加え、この混合物に、マイクロ波を照射して20分間100℃にした。反応物を水で希釈し、EtOAc(×2)で抽出した。有機物を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧エバポレートした。残渣を、FCC(0−100%EtOAc含有シクロヘキサンを用いる)により精製し、表題化合物を得た(290mg、40%)。LCMS(方法7):Rt3.94分,m/z401[MH]。
【0588】
d.5−tert−ブチル−2−(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イルアミン(中間体23d)
【0589】
【化136】
【0590】
中間体23c(290mg、0.725mmol)およびTFA(3mL)をDCM(4mL)に溶解させ、この溶液をRTで1時間撹拌した。反応混合物をSCX−2カートリッジ(10g)に添加し、MeOHで洗った。生成物を、2MのNH含有MeOHで溶出させ;減圧濃縮して、表題化合物を得た(190mg、86%)。LCMS(方法1):Rt2.29分,m/z301[MH]。
【0591】
e.[5−tert−ブチル−2−(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体23e)
【0592】
【化137】
【0593】
中間体23d(190mg、0.63mmol)およびDIPEA(244mg、1.89mmol)をTHF(10mL)に溶解させ、この溶液にクロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(175mg、0.82mmol)を滴下し、混合物をRTで1.5時間撹拌した。混合物を水で希釈し、EtOAc(×2)で抽出した。有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧エバポレートした。残渣を、FCC(0−50%EtOAc含有シクロヘキサンを用いる)により精製し、表題化合物を得た(140mg、46%)。LCMS(方法4):Rt3.94,m/z475[MH]。
【0594】
f.1−[5−tert−ブチル−2−(3−モルホリン−4−イル−フェニル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(実施例23)
中間体1g(64mg、0.20mmol)、中間体23e(140mg、0.29mmol)、およびDIPEA(103mg、0.80mmol)をDMF(2mL)に溶解させ、この溶液を60℃で1時間撹拌した。反応混合物をSCX−2カートリッジ(25g)に添加し、MeOHで洗った。生成物を2MのNH含有MeOHで溶出させ;減圧濃縮して、残渣を得た。FCC(0−10%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)、続いてHPLC(C6−Phカラム、10−70%MeCN含有HO、0.1%HCOH)操作を行ない、凍結乾燥させて、表題化合物を白色粉末として得た(46mg、38%)。LCMS(方法5):Rt4.39分,m/z649.2[MH]。1H NMR(400MHz,d−MeOH):1.30(9H,s),1.44(6H,m),1.85−2.05(2H,m),2.05−2.16(1H,m),2.19−2.29(1H,m),3.15(4H,t,J 3.8),3.47−3.56(1H,m),3.76(4H,t,J 4.9),4.86−4.92(1H,m),5.44(1H,t,J 4.3),6.32(1H,s),6.91(1H,d,J 8.1),7.00−7.05(2H,m),7.19−7.38(6H,m),7.60(1H,d,J 9.5),8.00(1H,d,J 1.6)。
【実施例24】
【0595】
1−{5−tert−ブチル−2−[1−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−1H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0596】
【化138】
【0597】
a.5−tert−ブチル−2−[1−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−1H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イルアミン(中間体24a)および5−tert−ブチル−2−[2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イルアミン(中間体24b)
【0598】
【化139】
【0599】
5−tert−ブチル−2−(1H−インダゾール−6−イル)−2H−ピラゾール−3−イルアミン(米国特許公開第2008/113967号(特許文献27)、200mg、0.78mmol)をDMF(10mL)に溶解させて、溶液とした。4−(2−クロロエチル)モルホリン塩酸塩(160mg、0.86mmol)およびKCO(276mg、2.0mmol)を加え、混合物を50℃で一晩加熱した。混合物をRTまで放冷し、次いでEtOAc/水で分配し、EtOAcで抽出した。有機物を1つにまとめてNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。FCC(0−10%MeOH含有EtOAcを用いる)により精製して、2種の生成物を得た。最初の溶出物:5−tert−ブチル−2−[1−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−1H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イルアミン(中間体24a;134mg、57%)を黄色固体として得た。LCMS(方法1):Rt1.81,m/z369[MH]。2番目の溶出物:5−tert−ブチル−2−[2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イルアミン(中間体24b;86mg、30%)を黄色固体として得た。LCMS(方法1):Rt1.68,m/z369[MH]。H NMR nOeを用いた立体異性体の構造の確認。
【0600】
b.{5−tert−ブチル−2−[1−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−1H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イル}−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体24c)
【0601】
【化140】
【0602】
中間体24a(134mg、0.36mmol)をTHF(10mL)に溶解させて、溶液とした。DIPEA(125μL、0.72mmol)を加え、続いてクロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(50μL、0.36mmol)のTHF(2mL)溶液を滴下した。混合物をRTで4時間撹拌し、次いでEtOAc/水で分配し、EtOAcで抽出した。有機物を1つにまとめてNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。FCC(0−10%MeOH含有EtOAcを用いる)により精製して、表題化合物(200mg、99%)を無色膜状物として得た。LCMS(方法4):Rt2.59,m/z543,545[MH]。
【0603】
c.1−{5−tert−ブチル−2−[1−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−1H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(実施例24)
中間体1g(71mg、0.22mmol)および中間体24c(100mg、0.18mmol)を用いて、実施例1と同様な手順で、表題化合物をオフホワイト色固体として調製した(65mg、50%).LCMS(方法5):Rt3.40分,m/z717[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.30(9H,s),1.37(3H,d,J 6.9),1.38(3H,d,J 6.9),1.80−1.97(2H,m),2.05−2.10(2H,m),2.41(4H,br s),2.75(2H,br s),3.49(4H,br s),3.56(1H,sept,J 6.9),4.52(2H,m),4.79−4.85(1H,m),5.52(1H,t,J 4.5),6.40(1H,s),7.06(1H,d,J 8.5),7.13(1H,dd,J 9.7,2.0),7.22−7.29(4H,m),7.36−7.39(1H,m),7.68(1H,d,J 9.7),7.83(1H,s),7.87(1H,d,J 8.5),8.13−8.19(3H,m)。
【実施例25】
【0604】
1−{5−tert−ブチル−2−[2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素
【0605】
【化141】
【0606】
a.{5−tert−ブチル−2−[2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イル}−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体25a)
【0607】
【化142】
【0608】
中間体24b(86mg、0.23mmol)のTHF(10mL)溶液に、DIPEA(80μL、0.46mmol)を加え、続いてクロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(32μL、0.23mmol)のTHF(2mL)溶液を滴下した。混合物をRTで4時間撹拌し、次いでEtOAc/水で分配し、EtOAcで抽出した。有機物を1つにまとめてNaSOで乾燥させ、濾過し、減圧濃縮した。FCC(0−20%MeOH含有EtOAcを用いる)により精製して、表題化合物(32mg、26%)を黄色固体として得た。LCMS(方法4):Rt2.64,m/z543,545[MH]。
【0609】
b.1−{5−tert−ブチル−2−[2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−インダゾール−6−イル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−[(1S,4R)−4−(3−イソプロピル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(実施例25)
【0610】
中間体1g(23mg、0.07mmol)および中間体25a(32mg、0.06mmol)を用いて、実施例1と同様な手順で、表題化合物をオフホワイト色固体として調製した(16mg、47%)。LCMS(方法5):Rt3.43分,m/z717[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.29(9H,s),1.37(3H,d,J 6.1),1.38(3H,d,J 6.1),1.81−1.97(2H,m),2.03−2.13(2H,m),2.42(4H,t,J 4.3),2.85(2H,t,J 6.3),3.50−3.60(5H,m),4.56(2H,t,J 6.3),4.80−4.86(1H,m),5.52(1H,t,J 4.3),6.36(1H,s),7.11(1H,d,J 8.5),7.14−7.19(2H,m),7.25−7.30(3H,m),7.36−7.39(1H,m),7.65(1H,m),7.68(1H,d,J 9.8),7.83(1H,d,J 9.0),8.16(1H,s),8.20(1H,m),8.48(1H,s)。
【実施例26】
【0611】
1−[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素
【0612】
【化143】
【0613】
a.[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体26a)
【0614】
【化144】
【0615】
水(1mL)とEtOAc(4mL)の混合液に中間体10a(367mg、2.0mmol)を加え、この混合物にNaOH(107mg、2.67mmol)を加え、続いてクロロギ酸2,2,2−トリクロロ(385μL、2.80mmol)を加えた。反応混合物をRTで2時間撹拌し、次いでEtOAcを追加して希釈した。有機層を、水、続いてブラインで洗い、乾燥させ、減圧濃縮した。得られる残渣を、FCC(0−80%EtOAc含有DCMを用いる)により精製し、表題化合物(466mg、65%)を無色油状物得た。これは放置しておくと固化した。
LCMS(方法3):Rt3.73分,m/z358、360[MH]。
【0616】
b.2,6−ジクロロ−安息香酸N’−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ヒドラジド(中間体26b)
【0617】
【化145】
【0618】
(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ヒドラジン(手順については、特許文献20を参照;1.0g、7.87mmol)および2,6−ジクロロ−ベンゾイル(1.65g、7.87mmol)をDCM(50mL)に溶解させ、この溶液にDIPEA(2.73mL、15.7mmol)を滴下した。反応混合物をRTで30分間撹拌し、次いで、DCMと水の混合液に懸濁させた。得られる懸濁液を濾過して固体を集め、水で洗い、風乾して、表題化合物(1.66g、71%)を白色固体として得た。LCMS(方法3):Rt3.04分,m/z300,302[MH]。
【0619】
c.3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−6−フルオロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン(中間体26c)
【0620】
【化146】
【0621】
中間体26b(1.65g、5.50mmol)、トリフェニルホスフィン(2.88g、11.0mmol)、およびトリエチルアミン(3.06mL、22.0mmol)をTHF(50mL)に加え、撹拌しながら、この混合物に、RTで、ヘキサクロロエタン(2.60g、11.0mmol)を5分かけて少しずつ加えた。反応混合物をRTで18時間撹拌し、次いで、RTで72時間放置した。得られる懸濁液を濾過し、濾液を減圧濃縮してFCC(SCX−2カートリッジを用いる)で精製した。カートリッジをMeOHで洗い、生成物を2MのNH含有MeOHで溶出させて、表題化合物(1.44g、93%)をベージュ色固体として得た。LCMS(方法3):Rt3.08分,m/z282,284[MH]。
【0622】
d.(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルアミン(中間体26d)
【0623】
【化147】
【0624】
水素化ナトリウム(60%含有鉱物油、298mg、7.44mmol)を無水DMF(15mL)に溶解させ、撹拌しながら、この溶液に、アルゴン雰囲気下、RTで、中間体1d(404mg、2.48mmol)を加えた。反応混合物をRTで15分間撹拌し、次いで、中間体26c(0.70g、2.48mmol)を加え、60℃で撹拌を1時間続けた。冷却してから、反応混合物に飽和NHCl水溶液と水(1:1)を注意しながら加えてクエンチし、EtOAc(×3)で抽出した。有機層を1つにまとめて、飽和NaHCO水溶液、続いてブラインで洗い、乾燥させ、減圧濃縮した。得られる残渣をFCC(0−20%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により精製し、表題化合物(345mg、33%)を褐色残渣として得た。LCMS(方法3):Rt2.34分,m/z425、427.[MH]。
【0625】
e.1−[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素(実施例26)
中間体26a(100mg、0.279mmol)、中間体26d(108mg、0.254mmol)、およびDIPEA(73μL、0.419mmol)をジオキサン(2.5mL)に加え、この混合物を60℃で42時間撹拌し、次いで、RTで72時間放置した。揮発分を減圧濃縮し、得られる残渣をFCC(0−10%MeOH含有DCMを用いる)により精製し、続いてMDAP(方法7)により精製して、表題化合物(23mg、14%)を白色固体として得た。LCMS(方法5):Rt4.19分,m/z634[MH]。1H NMR(400MHz,DMSO):1.21(9H,s),1.79−2.16(4H,m),3.62−3.70(2H,m),3.94(2H,t,J=6.0Hz),4.78−4.88(1H,m),4.99(1H,br s),5.55(1H,t,J=4.2Hz),6.05(1H,s),7.07(1H,d,J=8.6Hz),7.23−7.30(1H,m),7.31−7.38(4H,m),7.70−7.74(1H,m),7.74−7.80(2H,m),7.91(1H,d,J=9.9Hz),7.98(1H,d,J=2.1Hz),8.19(1H,s)。
【実施例27】
【0626】
【化148】
【0627】
1−[5−tert−ブチル−2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素ギ酸塩
実施例26(38mg、0.06mmol)およびメタンスルホニルクロリド(7.0μL、0.09mmol)をDCM(1mL)に溶解させ、撹拌しながら、この溶液にDIPEA(31μL、0.18mmol)を加えた。反応混合物をRTで1時間撹拌し、次いで、DCMで希釈し、水、続いて飽和NaHCO水溶液およびブラインで洗い、乾燥させ、減圧濃縮した。得られる残渣をTHF(2mL)に溶解させ、モルホリン(26μL、0.30mmol)で処理した。反応混合物を60℃で18時間加熱し、次いで揮発分を減圧濃縮した。得られる残渣をDCMと水で分配した。有機層をブラインで洗い、乾燥させ、減圧濃縮した。得られる残渣をMDAP(方法7)により精製して、表題化合物(13mg、30%)をオフホワイト色固体として得た。LCMS(方法5):Rt3.56分,m/z703[MH]。1H NMR(400MHz,DMSO):1.20(9H,s),2.15−1.82(4H,m),2.41−2.35(4H,m),2.61(2H,t,J=7.1Hz),3.53(4H,t,J=4.6Hz),3.98(2H,t,J=7.1Hz),4.79−4.88(1H,m),5.55(1H,t,J=4.2Hz),6.02(1H,s),6.95(1H,d,J=8.6Hz),7.24−7.30(1H,m),7.31−7.39(4H,m),768−7.80(3H,m),7.91(1H,d,J=9.9Hz),7.98(1H,d,J=2.1Hz),8.24(2H,s)。
【実施例28】
【0628】
1−[5−tert−ブチル−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素ギ酸塩
【0629】
【化149】
【0630】
a.メタンスルホン酸2−[3−tert−ブチル−5−(3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−ウレイド)−ピラゾール−1−イル]−エチルエステル(中間体28a)
【0631】
【化150】
【0632】
実施例26(350mg、0.55mmol)、メタンスルホニルクロリド(55μL、0.72mmol)、およびDIPEA(288μL、1.65mmol)をDCM(4mL)に加え、この混合物をRTで45分間撹拌した。追加のメタンスルホニルクロリド(15μL)を加え、撹拌を30分間続けた。追加のメタンスルホニルクロリド(15μL)を加え、撹拌を20分間続けた。反応混合物をDCMと水で分配した。有機層をブラインで洗い、層分離装置に通して乾燥させ、減圧濃縮して、表題化合物(0.33g、84%)を淡黄色固体として得た。LCMS(方法3):Rt3.77分,m/z712,714.[MH]。
【0633】
b.1−[5−tert−ブチル−2−(2−ジメチルアミノ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素(実施例28)
中間体28a(110mg、0.15mmol)およびジメチルアミン(2.0MのTHF溶液、1.54mL、3.09mmol)を無水THF(2mL)に加え、この混合物をバイアルに密閉して、60℃で18時間撹拌した。揮発分を減圧濃縮し、得られる残渣をMDAP(方法7)により精製して、表題化合物を得た(44mg、43%)。LCMS(方法5):Rt3.50分,m/z661[MH]。1H NMR(400MHz,DMSO):1.19(9H,s),1.83−2.14(4H,m),2.18(6H,s),2.59(2H,t,J=6.9Hz),3.96(2H,t,J=6.9Hz),4.79−4.87(1H,m),5.53(1H,t,J=4.0Hz),6.01(1H,s),6.92(1H,d,J=8.7Hz),7.22−7.28(1H,m),7.30−7.38(4H,m),7.68−7.78(3H,m),7.90(1H,dd,J=9.9,0.8Hz),7.96(1H,d,J=2.0Hz),8.15(1H,s),8.44(1H,s)。
【実施例29】
【0634】
【化151】
【0635】
1−[5−tert−ブチル−2−(2−ピペリジン−1−イル−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素ギ酸塩
出発物質に、中間体28aおよびピペリジンを用いて、実施例28に記載したのと同様な手順を用いて、表題化合物を調製した。LCMS(方法5):Rt3.73分,m/z701[MH]。1H NMR(400MHz,DMSO):1.20(9H,s),1.30−1.39(2H,m),1.51−1.41(4H,m),1.81−2.16(4H,m),2.34−2.43(4H,m),2.60(2H,t,J=7.1Hz),3.97(2H,t,J=7.1Hz),4.79−4.88(1H,m),5.55(1H,t,J=4.2Hz),6.02(1H,s),6.92(1H,d,J=8.6Hz),7.20−7.31(1H,m),7.31−7.39(4H,m),7.69−7.79(3H,m),7.91(1H,dd,J=9.9,0.8Hz),7.97(1H,d,J=2.0Hz),8.16(1.5H,s),8.28(1H,s)。
【実施例30】
【0636】
【化152】
【0637】
1−{5−tert−ブチル−2−[2−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−エチル]−2H−ピラゾール−3−イル}−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素ギ酸塩
出発物質に、中間体28aおよび1−メチル−ピペラジンを用いて、実施例28に記載したのと同様な手順を用いて、表題化合物を調製した。LCMS(方法5):Rt3.41分,m/z716.5[MH]。1H NMR(400MHz,DMSO):1.20(9H,s),1.82−2.12(4H,m),2.14(3H,s),2.25−2.45(8H,m),2.60(2H,t,J=7.15Hz),3.96(2H,t,J=7.1Hz),4.79−4.88(1H,m),5.55(1H,t,J=4.2Hz),6.02(1H,s),6.90(1H,d,J=8.6Hz),7.24−7.30(1H,m),7.31−7.40(4H,m),7.68−7.79(3H,m),7.91(1H,d,J=9.9Hz),7.98(1H,d,J=2.0Hz),8.16(1.5H,s),8.22(1H,s)。
【実施例31】
【0638】
1−[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2−クロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素
【0639】
【化153】
【0640】
a.2−クロロ−安息香酸N’−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ヒドラジド(中間体31a)
【0641】
【化154】
【0642】
(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ヒドラジン(手順については、特許文献20を参照;1.0g、7.87mmol)および2−クロロ−ベンゾイルクロリド(1mL、7.87mmol)をDCM(50mL)に溶解させ、この溶液にDIPEA(2.74mL、15.75mmol)を滴下した。反応混合物をRTで1時間撹拌し、次いで水で洗った。有機層を層分離装置に通して乾燥させ、次いで減圧濃縮して、表題化合物(1.95g、93%)を褐色固体として得た。LCMS(方法3):Rt2.82分,m/z266[MH]。
【0643】
b.3−(2−クロロ−フェニル)−6−フルオロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン(中間体31b)
【0644】
【化155】
【0645】
中間体31a(1.95g、7.34mmol)、トリフェニルホスフィン(3.85g、14.68mmol)、およびトリエチルアミン(4.12mL、29.36mmol)を無水THF(60mL)に加え、撹拌しながら、この混合物に、RTで、ヘキサクロロエタン(3.47g、14.68mmol)を少しずつ加えた。反応混合物をRTで3.5時間撹拌した。得られる懸濁液を濾過し、固体をEtOで洗った。濾液を減圧濃縮し、得られる残渣をFCC(SCX−2カートリッジを用いる)で精製した。カートリッジをMeOHで洗い、生成物を2MのNH含有MeOHで溶出させ、表題化合物(1.81g、定量的)を淡黄褐色固体として得た。LCMS(方法3):Rt2.96分,m/z248[MH]。
【0646】
c.(1S,4R)−4−[3−(2−クロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルアミン(中間体31c)
【0647】
【化156】
【0648】
中間体1d(1.19g、7.31mmol)の無水DMF(30mL)溶液を撹拌しながら、アルゴン雰囲気下、RTで、そこに水素化ナトリウム(60%含有鉱物油、840mg、21.9mmol)を少しずつ加えた。次いで、中間体31b(1.81g、7.31mmol)を加え、撹拌を60℃で1.5時間続けた。冷却してから、反応混合物に飽和NHCl水溶液を注意しながら加えてクエンチし、EtOAc(×2)で抽出した。有機層を1つにまとめてブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、減圧濃縮した。得られる残渣をFCC(0−10%MeOH含有DCMを用いる)により精製し、表題化合物(1.48g、52%)を褐色発泡物として得た。LCMS(方法3):Rt0.42分および2.33分,m/z391.[MH]。
【0649】
d.1−[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2−クロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素(実施例31)
中間体26a(340mg、0.95mmol)、中間体31c(372mg、0.95mmol)、およびDIPEA(248μL、1.43mmol)をジオキサン(5mL)に加え、この混合物を70℃で18時間撹拌した。RTに冷却してから、反応混合物をDCMと水で分配した。有機層を層分離装置に通して乾燥させ、次いで減圧濃縮した。得られる残渣をFCC(0−10%MeOH含有DCMを用いる)により精製し、表題化合物(536mg、94%)を褐色固体として得た。こうして得られた化合物の一定分量(100mg)をMDAP(方法7)によりさらに精製して、表題化合物を得た(45mg)。LCMS(方法5):Rt4.08分,m/z600[MH]。1H NMR(400MHz,DMSO):1.20(9H,s),1.81−2.19(4H,m),3.66(2H,d,J=6.1Hz),3.93(2H,t,J=6.0Hz),4.78−4.84(1H,m),4.98(1H,br s),5.51(1H,t,J=4.3Hz),6.05(1H,s),7.06(1H,d,J=8.6Hz),7.23−7.30(1H,m),7.32−7.38(4H,m),7.60(1H,td,J=7.5,1.3Hz),7.68(1H,td,J=7.7,1.9Hz),7.73(2H,td,J=7.5,1.3Hz),7.82−7.92(2H,m),8.17(1H,s)。
【実施例32】
【0650】
【化157】
【0651】
1−[5−tert−ブチル−2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−{(1S,4R)−4−[3−(2−クロロ−フェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル}−尿素ギ酸塩
実施例31(100mg、0.17mmol)、メタンスルホニルクロリド(38μL、0.33mmol)、およびDIPEA(87μL、0.50mmol)をDCM(1mL)に加え、この混合物をRTで45分間撹拌した。追加のメタンスルホニルクロリド(20μL)を加え、RTで撹拌を20分間続けた。反応混合物をDCMで希釈し、水(×2)、続いてブラインで洗い、層分離装置に通して乾燥させ、減圧濃縮した。得られる残渣をTHF(1mL)に溶解させ、モルホリン(73μL、0.83mmol)で処理した。追加のモルホリン(73μL、0.83mmol)およびTHF(1mL)を加え、反応混合物を60℃で18時間加熱した。冷却してから、揮発物を減圧濃縮し、得られる残渣をMDAP(方法7)により精製して、表題化合物(46mg、41%)をオフホワイト色固体として得た。LCMS(方法5):Rt3.50分,m/z669[MH]。1H NMR(400MHz,DMSO):1.20(9H,s),1.83−2.19(4H,m),2.35−2.41(4H,m),2.61(2H,t,J=7.1Hz),3.54(4H,t,J=4.6Hz),3.99(2H,t,J=7.1Hz),4.79−4.88(1H,m),5.52(1H,t,J=4.2Hz),6.03(1H,s),6.94(1H,d,J=8.6Hz),7.24−7.31(1H,m),7.32−7.39(4H,m),7.69(1H,td,J=7.7,1.8Hz),7.68(1H,td,J=7.7,1.8Hz),7.72−7.78(2H,m),7.84−7.92(2H,m),8.18(1H,s),8.22(1H,s)。
【実施例33】
【0652】
1−(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−尿素
【0653】
【化158】
【0654】
a.(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−カルバミン酸2,2,2−トリクロロ−エチルエステル(中間体33a)
【0655】
【化159】
【0656】
5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イルアミン(0.5g、3.26mmol)のEtOAc(10mL)溶液を、NaOH水溶液(1M、5.87mmol)で処理し、続いてクロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(0.54mL、3.92mmol)で処理して、反応混合物をRTで1時間撹拌した。混合物をEtOAc(10mL)と水(2×10mL)で分配した。有機層を乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮した。残渣を、FCC(0−100%EtOAc含有シクロヘキサンを用いる)により精製し、表題化合物を淡橙色ガム状物として得た(0.915g、86%)。LCMS(方法3):Rt3.88分,m/z328/330[MH]。
【0657】
b.1−(5−tert−ブチル−2−メチル−2H−ピラゾール−3−イル)−3−{(1S,4R)−4−[3−((S)−2−メチル−ピペリジン−1−イル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−尿素(実施例33)
中間体33a(70mg、0.21mmol)、中間体26d(90mg、0.21mmol)、およびDIPEA(55μL、0.32mmol)をジオキサン(1mL)に溶解させ、この溶液を70℃で18時間加熱した。混合物を減圧濃縮し、残渣をMDAP(方法7)により精製して、表題化合物をガラス状固体として得た(38mg、29%)。LCMS(方法5):Rt4.37分,m/z604.2[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.20(9H,s),1.83−2.15(4H,m),3.56(3H,s),4.79−4.88(1H,m),5.55(1H,t,J 4.6Hz),6.01(1H,s),6.86(1H,d,J 8.5Hz),7.23−7.29(1H,m),7.31−7.37(4H,m),7.69−7.79(3H,m),7.91(1H,dd,J 9.7,0.9Hz),7.98(1H,d,J 2.2Hz),8.23(1H,s)。
【実施例34】
【0658】
1−[5−tert−ブチル−2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−シクロヘキシル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素部分ギ酸塩
【0659】
【化160】
【0660】
a.シクロヘキサンカルボン酸N’−(5−フルオロ−ピリジン−2−イル)−ヒドラジド(中間体34a)
【0661】
【化161】
【0662】
5−フルオロ−2−ヒドラジニル−ピリジン(手順については、特許文献20を参照;1.00g、7.87mmol)、シクロヘキサンカルボン酸(1.21g、9.44mmol)、およびHOBt・HO(166mg、0.787mmol)の溶液に、N下、0℃で、EDC(1.81g、9.44mmol)を加え、次いで、混合物を0℃で15分間撹拌し、そしてRTで17時間撹拌した。水を加え、続いて、有機物を単離し、0℃に冷却し、次いで、得られる懸濁液を濾過すると、表題化合物が白色固体として残った(1.16g、62%)。1H NMR(400MHz,CDCl):1.21−1.38(3H,m),1.45−1.55(2H,m),1.66−1.73(1H,m),1.80−1.96(4H,m),2.22(1H,tt,J 11.6,3.5Hz),6.62−6.66(2H,m),7.29(1H,ddd,J 9.2,7.9,3.1Hz),7.55(1H,d,J 4.2Hz),8.03(1H,d,J 2.9Hz)。
【0663】
b.3−シクロヘキシル−6−フルオロ−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン(中間体34b)
【0664】
【化162】
【0665】
中間体34a(1.15g、4.83mmol)、トリフェニルホスフィン(2.54g、9.67mmol)、およびトリエチルアミン(2.68mL、19.3mmol)を乾燥THF(17mL)に溶解させ、この溶液に、N下、0℃で、ヘキサクロロエタン(2.28g、9.67mmol)を加え、混合物を0℃で15分間撹拌し、そしてRTで6時間撹拌した。水を加え、次いで、有機物をブラインで洗い、乾燥させ(MgSO)、減圧濃縮した。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、0−100%EtOAc含有シクロヘキサン)により、表題化合物をオフホワイト色固体として得た(330mg、31%)。1H NMR(400MHz,CDCl):1.36−1.55(3H,m),1.78−2.00(5H,m),2.05−2.14(2H,m),2.97(1H,tt,J=11.5,3.5Hz),7.16(1H,ddd,J=10.0,7.5,2.3Hz),7.76(1H,dd,J=10.0,4.9,0.9Hz),7.85(1H,ddd,J=3.5,2.2,0.9Hz)。
【0666】
c.(1S,4R)−4−(3−シクロヘキシル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イルアミン(中間体34c)
【0667】
【化163】
【0668】
中間体1d(171mg、1.05mmol)および水素化ナトリウム(60%分散油、120mg、3.00mmol)を乾燥DMF(2mL)に溶解させ、この不透明褐色溶液を、アルゴン下、RTで30分間撹拌した。中間体34b(219mg、1.00mmol)を加え、得られる暗色溶液を60℃で2時間撹拌した。溶液を冷却して減圧濃縮し、MeOH(2mL)に再溶解させ、SCX−2カートリッジに添加し、MeOHで洗った。生成物を2MのNH含有MeOHで溶出させ;減圧濃縮すると、褐色油状物が残った。フラッシュクロマトグラフィー(シリカ25g、2−10%[2MのNH含有MeOH]含有DCM)により、黄色油状物を得た。MeCN−水(1:2、3mL)から凍結乾燥させると、表題化合物が淡黄色固体として残った(203mg、56%)。LCMS(方法3):Rt2.29分,m/z363[MH]。
【0669】
d.1−[5−tert−ブチル−2−(2−ヒドロキシ−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−シクロヘキシル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素(中間体34d)
【0670】
【化164】
【0671】
中間体26a(94.2mg、0.263mmol)、中間体34c(90.6mg、0.250mmol)、およびDIPEA(0.054mL、0.31mmol)を乾燥ジオキサン(3mL)に溶解させ、この褐色溶液を75℃で16時間撹拌した。溶液を冷却して減圧濃縮し、水(3mL)に懸濁させ、DCM(2×3mL)で抽出した。有機物を1つにまとめて疎水性フリットで濾過し、減圧濃縮すると、暗褐色油状物が残った。フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、3−9%MeOH含有DCM)により、淡黄色固体を得た。MDAP(方法7)により、オフホワイト色固体を得た(72mg、50%)。LCMS(方法5):Rt3.98分,m/z572.4[MH]。
【0672】
e.1−[5−tert−ブチル−2−(2−モルホリン−4−イル−エチル)−2H−ピラゾール−3−イル]−3−[(1S,4R)−4−(3−シクロヘキシル−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ)−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−1−イル]−尿素部分ギ酸塩(実施例34)
中間体34d(71mg、0.12mmol)、塩化メシル(29mg、0.25mmol)、およびDIPEA(0.065mL、0.37mmol)をDCM(2mL)に溶解させ、この溶液を0℃で30分間撹拌した。水(2mL)および飽和NaHCO水溶液(2mL)を加えた。水層をDCM(2mL)で抽出し、次いで、有機物を1つにまとめて疎水性フリットで濾過し、減圧濃縮すると、淡黄色ガム状物が残った。
【0673】
このガム状物をDMF(1mL)に溶解させ、モルホリン(0.054mL、0.62mmol)を加え、次いで75℃で16時間撹拌した。溶液を冷却して減圧濃縮し、MeOH(1mL)に再溶解させ、SCX−2カートリッジ(5g)に添加し、MeOHで洗った。生成物を2MのNH含有MeOHで溶出させ;減圧濃縮すると、黄色ガム状物が残った。分取HPLC(Gemini C18、10−60%MeCN含有水、0.1%HCOH、20分)操作を行い、所望の画分を凍結乾燥させて、白色固体を得た(14.9mg、19%)。LCMS(方法5):Rt3.46分,m/z641.4[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO:1.20(9H,s),1.27−1.38(1H,m),1.44−1.55(2H,m),1.58−1.77(3H,m),1.80−1.86(2H,m),1.92−2.21(6H,m),2.39(4H,t,J=4.4Hz),2.62(2H,t,J=7.1Hz),3.29(1H,tt,J=11.3,3.7Hz),3.54(4H,t,J=4.5Hz),4.00(2H,t,J=7.1Hz),4.88(1H,td,J=8.4,5.7Hz),5.59(1H,t,J=4.3Hz),6.03(1H,s),7.03(1H,d,J=8.6Hz),7.18(1H,dd,J=9.8,2.1Hz),7.31(1H,td,J=7.1,2.0Hz),7.35−7.43(3H,m),7.69(1H,dd,J=9.8,0.8Hz),8.23(1H,d,J=2.0Hz),8.31(1H,s),8.33(0.3H,s)。
【実施例35】
【0674】
1−(5−tert−ブチル−2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−2H−ピラゾール−3−イル)−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−尿素
【0675】
【化165】
【0676】
a.3−(5−アミノ−3−tert−ブチル−ピラゾール−1−イル)−プロパン−1−オール(中間体35a)
【0677】
【化166】
【0678】
4,4−ジメチル−3−オキソ−ペンタンニトリル(0.7g、5.58mmol)のエタノール(IMS級、5mL)溶液を、3−ヒドラジノ−プロパン−1−オール二塩酸塩(1g、6.13mmol)で処理し、続いて濃HCl(0.05mL)で処理して、反応混合物を18時間加熱還流させた。混合物を減圧濃縮し、残渣を、FCC(0−10%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により精製して、表題化合物を白色ガム状固体として得た(0.94g、85%)。LCMS(方法3):Rt0.42分,m/z198[MH]。
【0679】
b.[5−tert−ブチル−2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−2H−ピラゾール−3−イル]−カルバミン酸2,2,2−トリクロロエチルエステル(中間体35b)
【0680】
【化167】
【0681】
中間体35a(0.94g、4.76mmol)のEtOAc(15mL)溶液をNaOH水溶液(1M、8.58mmol)で処理し、続いてクロロギ酸2,2,2−トリクロロエチル(0.79mL、5.72mmol)で処理し、RTで1.5時間撹拌した。2層を分離させ、有機層を水(2×10mL)で洗い、乾燥させ(MgSO)、濾過し、減圧濃縮して、表題化合物を白色固体として得た(1.12g、63%)。LCMS(方法3):Rt3.72分,m/z372/374[MH]。
【0682】
c.1−(5−tert−ブチル−2−(3−ヒドロキシ−プロピル)−2H−ピラゾール−3−イル)−3−{(1S,4R)−4−[3−(2,6−ジクロロフェニル)−[1,2,4]トリアゾロ[4,3−a]ピリジン−6−イルオキシ]−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−1−イル]−尿素(実施例35)
【0683】
【化168】
【0684】
中間体35b(200mg、0.54mmol)、中間体26d(228mg、0.54mmol)、およびDIPEA(140μL、0.80mmol)をジオキサン(2mL)に加え、この混合物を70℃で18時間撹拌した。反応混合物をRTに冷却し、DCM(10mL)で希釈し、水(2×10mL)で洗った。水層をDCMで抽出し、有機物を1つにまとめて層分離装置に通し、減圧濃縮して、得られる残渣をFCC(0−5%[2MのNH含有MeOH]含有DCMを用いる)により精製し、表題化合物を得た(270mg、76%)。このうちの50mgを試料としてMDAP(方法7)により精製して、表題化合物をガラス状固体として得た(17mg)。LCMS(方法5):Rt4.24分,m/z648.4[MH]。1H NMR(400MHz,d−DMSO):1.20(9H,s),1.79−1.87(2H,m),1.88−2.14(4H,m),3.41(2H,t,J=5.9Hz),3.91(2H,t,J=7.2Hz),4.58(1H,br s),4.79−4.87(1H,m),5.55(1H,t,J=4.2Hz),6.03(1H,s),6.93(1H,d,J=8.8Hz),7.23−7.29(1H,m),7.32−7.38(4H,m),7.69−7.79(3H,m),7.91(1H,dd,J=9.6Hz,0.9Hz),7.98(1H,d,J=1.7Hz),8.17(1H,s)。
【0685】
生物試験
P38α酵素阻害試験
Alphascreen(登録商標)(Perkin Elmer)を利用したキナーゼ活性試験により、化合物の阻害活性を明らかにした。キナーゼ反応物を、25mMのHEPES(pH7.5)、10mMのMgCl、100μMのNaVO、2mMのDTT、0.05mg/mlのTween20、100pMのp38α(Invitrogen、PV3304)、1%のDMSO、および0.3μg/mlのATF−2融合タンパク質(New England Biolabs、9224)で構成した。化合物を、これらの反応物条件下、25℃で2時間インキュベートしてから、250μMのATPを添加して、キナーゼの活動を開始させた。反応体積は20uLであった。25℃で1時間後、25mMのHEPES(pH7.5、62.5mMのEDTA、0.05%のTritonX−100、10%のBSA、および0.83ng/uLの抗phospho−ATF2抗体(Abcam、ab28812)を含有)10uLを添加して、反応を停止させた。検出は、Alphascreen Donorビーズ(Perkin Elmer 6765300)およびタンパク質AAlphascreen Acceptorビーズ(Perkin Elmer 6760137)の添加(両方とも最終濃度は20ug/ml)に続く発光を測定することで行なった。濃度反応曲線からIC50値を求めた。
【0686】
結果を以下の表に示す:
【0687】
【表6】
【0688】
上記表中、p38α結合能(IC50値)は、以下のとおりに示す:7000−500nM「+」;500−100nM「++」;100−10nM「+++」;<10nM「++++」。
【0689】
LPS刺激によるPBMCのTNFα放出試験
標準的な密度勾配遠心分離技法を用いて、健常な献血者の血液から、末梢血単核球(PBMC)を単離した。クエン酸塩添加血をHistopaque(登録商標)の上に重層し、遠心分離した。密度勾配界面からPBMCを取り出し、リン酸緩衝食塩水(PBS)で洗浄した。PBMCを、RPMI 1640培養液(血清を含まず)に懸濁させ、96ウェルプレートに分注し、加湿インキュベーターに入れて、37℃で3時間インキュベートした。インキュベーション後、培養液を交換(1%ウシ胎児血清を含有する培養液と)し、96ウェルプレートを、試験化合物または適切なビヒクルの存在下、37℃で1時間インキュベートした。次いで、LPS(10ng/ml)、または適切なビヒクル対照を細胞に添加し、96ウェルプレートを、インキュベーターに戻して、18時間入れておいた。細胞を含まない上清を取り出し、R&D Systems製のELISAキットを用いて、TNFαレベルについて試験した。
【0690】
各試験化合物の用量反応曲線を作成し、各実験における化合物の効果を、対照のTNFα放出に対する阻害割合で表した。用量反応曲線をプロットして、化合物の結合能(IC50)を求めた。化合物は、少なくとも3回の別個の実験で試験した。
【0691】
結果を以下の表に示す:
【0692】
【表7】
【0693】
上記表中、p38α結合能(IC50値)は、以下のとおりに示す:>1000nM「+」;1000−100nM「++」;100−10nM「+++」;<10nM「++++」。試験した化合物は全て、<1000nMのIC50値を示した。
【0694】
COPDの前臨床マウスモデル−タバコ煙誘導型肺炎症。
これまでの研究により、気管支肺胞洗浄(BAL)により回復する炎症細胞の個数は、4日間連続して毎日タバコ煙(TS)に曝露してから24時間後に顕著に増加することが確立されている。この時点を、本明細書で報告する研究に用いることができる。
【0695】
マウスをTSに曝露させるプロトコル、気管支肺胞洗浄液(BALF)を得るプロトコル、および細胞百分率計数用のサイトスピンスライドを調製するプロトコルについて、概要を以下に記載する。
【0696】
マウスを4日間連続して毎日タバコ煙に曝露させるプロトコル
この曝露プロトコルでは、マウスを、1グループ5匹として、透明なポリカーボネート製の個室(27cm×16cm×12cm)に入れて曝露させる。シガレットからのTSを、100ml/分の流速で曝露用個室に流入させる。高濃度のTSに繰返し曝露させることで生じる可能性がある問題をどのようなものでも最小限にする目的で、マウスのTS曝露は、曝露期間の間に徐々に増加させて最大でシガレット6本までとする。4日間にわたって用いた曝露のスケジュールは以下のとおりである:
1日目:シガレット5本(約25分曝露)
2日目:シガレット7本(約35分曝露)
3日目:シガレット9本(約45分曝露)
4日目:シガレット9本(約45分曝露)
【0697】
別の1群のマウスは、対照として、毎日同じ時間だけ空気に曝露させる(TS曝露なし)。
【0698】
気管支肺胞洗浄(BAL)分析
気管支肺胞洗浄は、以下のとおり行なう:気管に10mm長のルアー付きステンレス鋼カニューレを挿入する。リン酸緩衝食塩水(PBS)を洗浄液に用いる。1mlシリンジを用いて、3回、0.4mlの量を穏やかに注入および吸引し、次いで、エッペンドルフ管に入れて、その後の測定まで氷上で保存する。
【0699】
細胞計数:
洗浄液を遠心して細胞と分離し、上清をデカンテーションで移してその後の分析用に凍結させる。細胞ペレットを、体積既知のPBSに再懸濁させ、一定分量を染色して(チュルク染色)、顕微鏡観察下、血球計算器を用いて計数することにより、総合細胞数を計算する。
【0700】
細胞百分率計数を、以下のとおり行なう:
残りの細胞ペレットを希釈して、1mlあたり約10個の細胞濃度にする。それを500μlの量でサイトスピンスライドの漏斗に入れ、800rpmで6分間(RCF=72.26×g)遠心する(Shandon Cytospin 3)。スライドを風乾させ、ライト・ギムザ染色を用いてその指示どおりに染色する。スライドが乾燥したらカバーを滑らせて、光学顕微鏡を用いて細胞百分率計数を行なう。光学顕微鏡を用い、偏りのない操作者によって約400個の細胞が計数される。標準的な形態計測技術を用いて細胞を区別する。
【0701】
薬物治療
マウスおよびラットなどの齧歯類は、絶対鼻呼吸生物であるので、吸入用の試験物質(治療薬など)を経口送達すると、肺を適切に曝露させることができない。そのため、齧歯類における治療薬の肺への送達は、一般に、鼻腔内、気管内、または鼻のみもしくは全身のエーロゾル曝露のいずれかによる吸入により行なわれる。
【0702】
鼻のみもしくは全身のエーロゾル曝露方法は、大量の試験物質を用いるので、一般に、常用的な薬理学的有効性検査というよりも吸入毒物学研究向きである。気管内投与は、試験物質がほとんど全て肺に送達されるので、非常に効率的な送達方法であるが、侵襲的な技術である。特にマウスで研究する場合、気管が細いため、気管内投与は技術的に難しくもある。鼻腔内経路は、気管内経路ほど侵襲的ではないので、上記のような4日間のマウスモデルの繰返し投与研究に特に適切である。鼻腔内投与後、投与量の約50%が肺に送達される(Eyles JE, Williamson ED and Alpar HO. 1999, Int J Pharm, 189(1):75−9)(非特許文献32)。
【0703】
経口吸入の代替経路として、マウスに、試験化合物含有ビヒクル(0.2%tween80含有生理食塩水)を鼻腔内投与する。対照群のマウスには、空気またはTSに曝露される1時間前に、ビヒクルを与える。
【0704】
データ処理および統計分析:
結果は全て、各動物ごとの個別のデータ点として表し、平均値は、各群について計算する。正規性検定が正であるので、治療群間に統計上有意な差があるかについて検定する目的で、多重比較のため、データを一元配置分散分析法(ANOVA)で処理し、続いてボンフェローニ法で補正する。<0.05の「p」値を統計上有意であると判断する。阻害割合は、以下の式を用いて細胞データのExcelスプレッドシートで自動計算する:
【0705】
【数1】
【0706】
他のパラメーターについての阻害データは、上記の式を用いて手作業で計算する。
【0707】
本発明の化合物を上記のタバコ煙誘導型肺炎症モデルで試験することで、COPDの動物モデルにおける化合物の抗炎症効果を評価することができる。