【実施例1】
【0014】
以下、本発明の一実施例を図面を参照して説明する。
図1において符号1は錠箱を示し、この錠箱1内には全体を符号2で示す反転ラッチ機構と、同じく全体を符号3で示す開扉補助杆が設けられている。
【0015】
上記反転ラッチ機構2は周知であるから、前記特許文献3を参照して簡単に説明すると、ラッチ機構2は、特許文献の第2図に示すように、少なくとも錠箱のフロント板から突出する部分の水平投影形状が平行四辺形の一部をなすラッチヘッド(1)を有する。
【0016】
なお、括弧を付した符号、或いは括弧内の符号は、特許文献3の図面の符号を示す(以下同じ)。
【0017】
そして、同図に示すように、ラッチヘッド(1)は、平行四辺形の対角線の交点を中心とする鉛直な第1回動軸(5:本願明細書に添付した
図1では符号4)の周りを回動自在に支承されている。
【0018】
上記のように構成された所謂反転ラッチ機構のラッチヘッド2aは、特許文献3の第2図及び第3図に示すように、斜面(1a、1b)が扉の回動するにつれストライク孔の開口端縁との係合の態様が変わり、係止面と斜面とが入れ替わる。
【0019】
本願明細書に添付した
図1に戻って、この図面において符号5、5はそれぞれ係止レバーを示し、
図1における一対の係止レバー5、5は、夫々その中央部を錠箱の側板に垂直な第2回動軸6の周りを回動自在に支承されている。
【0020】
また、上記係止レバー5、5は連動機構7によって相互に連携され、係止レバー5、5の中間にある図示しない水平面に関し面対称に回動する。
【0021】
更にまた、各係止レバー5の前端部(
図1で左端部)のラッチヘッド2a側の隅部は支持端8が割り当てられている。
【0022】
加えて、上記係止レバー5、5はねじりコイルばね9の弾力により、上記一通の支持端8、8が相互に近接する方向に付勢されている。
【0023】
また、各係止レバー5の第2回動軸6に関し支持端8と反対側の端部は操作端11となっている。
【0024】
そして、
図1に示す待機時、すなわち、閉扉時にはこれらの操作端11、11はカム体12の付番しない平面部に当接しており、この状態では、一対の係止レバー5、5の支持端8、8が相互に近接する方向に付勢され、これらが夫々ラッチヘッド2aの側面に形成された図示しない溝に係合して、ラッチヘッド2aの第1回動軸周りの角度位置を保つ。
【0025】
一方、
図2、
図4及び
図6に示すように、図示の実施例における開扉補助杆3は中空の枠体であり、錠箱の側面及び付番しない案内機構により、フロント板14に垂直な前後方向(図で左右方向)に移動可能に案内されている。
【0026】
そして、
図2に示すよう、傾斜面15を形成した前端部を扉枠16側に設けられた鉛直なローラ17に係合可能に臨ませている。
【0027】
他方、
図1に示すように、係止レバー15の内端部と開扉補助杆3の内端部との間に前記カム体12が設けられている。
【0028】
図示の実施例におけるカム体12は、錠箱の側面に対する投影が側面の一部を弦によって切欠いた厚板ブロック下方にアーム状の第1作動部18を一体に接続した形状である。
【0029】
この第1作動部18は、
図5に示すようにカム体12が時計方向に回動したとき、
図2及び
図6に示すように、圧縮コイルばね19を介して開扉補助杆3を前方に押し出す。
【0030】
また、
図1に示すカム体の平面部と円周面との接続部が係止レバーの操作端11を制御する第2作動部となっている。
【0031】
更にまた、
図1に示すように、カム体12にはその中心軸に沿って異形孔21(図示の実施例では方形孔)が形成されており、この異形孔21を通る図示しない操作軸の一端部及び/又は両端には、図示しないレバーハンドル、或いはノブが装着される。なお、
図2において符号Dは扉を示す。
【0032】
上記のように構成されたこの発明によるラッチ装置は、
図1及び
図2に示す閉扉状態からハンドル又はノブを操作してカム体12を開扉方向(図で時計方向)に回動させると、
図3及び
図4に示すように、開扉補助杆の傾斜面15がローラ17に当接する以前に、カム体12が少し時計方向に回動する。
【0033】
そのため、係止レバーの上方の操作端11がカム体の平面部から離間する一方、下方の操作端11がカム体12の平面部と円周部の接続部によって上方に押し上げられ、一対の係止レバーレバー5、5は、連動して、前端部が少し拡開する。
【0034】
つまり、この時点において係止レバーの支持端8との図示しない係止溝との係合が解け、ラッチヘッド2aが自由になる。
【0035】
更にハンドル又はノブを操作してカム体12を時計方向に一杯に回動させると、
図5及び
図6に示すように、開扉補助杆13の傾斜面15がローラ17に乗り上がるので、ローラ17が開扉補助杆13に及ぼす反力により扉Dが少し開き(
図4参照)、その隙間から空気が室内に流入して気圧差が解消され、以後軽く扉が開く。
【0036】
なお、扉が開放方向に付勢された後5との係合を解くことにすると、ラッチヘッド2aと係止レバーの支持端8との間に抉りが生じるので、ラッチヘッドの解放後に扉を開放方向に付勢する図示の実施例の方が好ましい。