特許第6145993号(P6145993)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ マックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6145993-オイルパルス工具 図000002
  • 特許6145993-オイルパルス工具 図000003
  • 特許6145993-オイルパルス工具 図000004
  • 特許6145993-オイルパルス工具 図000005
  • 特許6145993-オイルパルス工具 図000006
  • 特許6145993-オイルパルス工具 図000007
  • 特許6145993-オイルパルス工具 図000008
  • 特許6145993-オイルパルス工具 図000009
  • 特許6145993-オイルパルス工具 図000010
  • 特許6145993-オイルパルス工具 図000011
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6145993
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】オイルパルス工具
(51)【国際特許分類】
   B25B 21/02 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   B25B21/02 J
【請求項の数】2
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-245439(P2012-245439)
(22)【出願日】2012年11月7日
(65)【公開番号】特開2014-94416(P2014-94416A)
(43)【公開日】2014年5月22日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006301
【氏名又は名称】マックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100074918
【弁理士】
【氏名又は名称】瀬川 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100157912
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 健
(72)【発明者】
【氏名】森村 好一郎
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕
【審査官】 須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2000−117650(JP,A)
【文献】 特開2004−130465(JP,A)
【文献】 特開昭63−074575(JP,A)
【文献】 特開2000−317855(JP,A)
【文献】 特表平10−502300(JP,A)
【文献】 特開昭61−070190(JP,A)
【文献】 特許第3382043(JP,B2)
【文献】 特許第4820027(JP,B2)
【文献】 特許第3615125(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B21/00−21/02
F04C2/30−2/352
F04C18/30−18/352
F04C18/48−18/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オイルを充填密封した筒状のライナと、
前記ライナ内に回転可能に支持されるメインシャフトと、
前記メインシャフトの側部に出没可能に配置されたブレードと、
を備え、
前記ライナの内部を前記メインシャフトと前記ブレードにより分割して複数の油室を形成し、前記ライナを回転させることにより前記複数の油室間に圧力差を生じさせてトルクを発生させるオイルパルス工具であって、
前記ライナの内周面には、前記ブレードを摺動させるためのブレード摺動面が両端の開口部付近に形成されるとともに、この両側のブレード摺動面の間にはブレード摺動面に対して外径方向に凹陥した内壁面が形成され、
前記内壁面は、前記油室の壁部を形成する油室形成部と、前記油室形成部の間に設けられて前記ブレード摺動面と略同じ出量となるように内径方向に突出したライナシール部と、を備え、
前記油室形成部を円弧面で形成するとともに、前記ライナシール部は、前記ライナに対して同心円となる円の一部を利用した円弧面で形成され、
前記油室形成部と前記ライナシール部との間には、前記油室形成部及び前記ライナシール部の円弧面とは別の曲面で形成されて前記ライナの中心方向へと膨出する接続部が設けられ
前記油室形成部と前記接続部と前記ライナシール部とが、交互に逆方向に突出して滑らかに連続していることを特徴とする、オイルパルス工具。
【請求項2】
前記メインシャフトの外周面には、前記ライナシール部と当接するメインシャフトシール部が突出形成されており、当該メインシャフトシール部に連続する立ち上がり部が曲面で形成されていることを特徴とする、請求項記載のオイルパルス工具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、オイルを充填密封した筒状のライナの中央部にメインシャフトを配したオイルパルスユニットを回転させ、オイルパルスユニットを回転させたときに生じる油圧によって瞬間的なトルクを発生させてネジ締め作業をするオイルパルス工具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のオイルパルス工具は、筒状のライナと、ライナの内部に挿入された状態で回転するメインシャフトと、メインシャフト外周に挿入されて径方向に突出可能なブレードと、を備え、モータによってライナを回転させて、油室内部のオイルを圧縮し、油圧を受けるブレードによってメインシャフトの回転トルクを発生させることを基本構成としている。
【0003】
ここで、従来のオイルパルス工具においては、ライナのシール部は、ライナの内壁からリブ状に突出させて形成されていた(例えば、特許文献1〜3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3382043号公報
【特許文献2】特許第4820027号公報
【特許文献3】特許第3615125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記したような従来のオイルパルス工具では、オイルパルスユニットを回転させたときのライナのシール部とメインシャフトのシール部(またはブレード)と間の隙間変化が急であるため、トルクの立ち上がりや抜けが急になる。金属同士の衝突がなく、低騒音であるオイルパルス機構であるが、このような急激なトルク変化が起きると、打撃の反動がねじや被締結部材に伝わり、それらの振動が音の発生に繋がるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、オイルパルスユニットを回転させたときに油圧の立ち上がりや抜けを緩やかにすることで、急激なトルク変化に伴う反動や、ねじや被締結部材が発する発生音、振動を低減することができるオイルパルス工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0008】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0009】
すなわち、請求項1に記載のオイルパルス工具は、オイルを充填密封した筒状のライナと、前記ライナ内に回転可能に支持されるメインシャフトと、前記メインシャフトの側部に出没可能に配置されたブレードと、を備え、前記ライナの内部を前記メインシャフトと前記ブレードにより分割して複数の油室を形成し、前記ライナを回転させることにより前記複数の油室間に圧力差を生じさせてトルクを発生させるオイルパルス工具であって、前記ライナの内周面には、前記ブレードを摺動させるためのブレード摺動面が両端の開口部付近に形成されるとともに、この両側のブレード摺動面の間にはブレード摺動面に対して外径方向に凹陥した内壁面が形成され、前記内壁面は、前記油室の壁部を形成する油室形成部と、前記油室形成部の間に設けられて前記ブレード摺動面と略同じ出量となるように内径方向に突出したライナシール部と、を備え、前記油室形成部を円弧面で形成するとともに、前記ライナシール部は、前記ライナに対して同心円となる円の一部を利用した円弧面で形成され、前記油室形成部と前記ライナシール部との間には、前記油室形成部及び前記ライナシール部の円弧面とは別の曲面で形成されて前記ライナの中心方向へと膨出する接続部が設けられ、前記油室形成部と前記接続部と前記ライナシール部とが、交互に逆方向に突出して滑らかに連続していることを特徴とする。
【0010】
【0011】
【0012】
(請求項
請求項に記載の発明は、上記した請求項記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0013】
すなわち、前記メインシャフトの外周面には、前記ライナシール部と当接するメインシャフトシール部が突出形成されており、当該メインシャフトシール部に連続する立ち上がり部が曲面で形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の発明は上記の通りであり、油室形成部にはライナシール部と連続する接続部が曲面で形成されているため、ライナを回転させた時にライナシール部とメインシャフトシール部(またはブレード)とが近付くにつれて徐々に隙間面積が減少するので、トルクの立ち上がりや抜けを緩やかにすることができ、急激なトルク変化に伴う反動や発生音、振動を低減することができる。また、反動が小さくなることで、モータへの負荷を軽減でき、また、カムアウトやビットの破損も発生しづらくなる。
【0015】
また、油室形成部を円弧面で形成するとともに、前記接続部が前記油室形成部の円弧面とは別の曲面で形成されているため、前記接続部から前記ライナシ−ル部へと至る面が滑らかに連続しているので、さらにトルクの変動を緩やかにすることができる。
【0016】
請求項記載の発明は、メインシャフトの外周面には、前記ライナシール部と当接するメインシャフトシール部が突出形成されており、メインシャフトシール部に連続する立ち上がり部が曲面で形成されている。このため、ライナシール部とメインシャフトシール部とが近付くにつれて徐々に隙間面積が減少するので、トルクの立ち上がりや抜けを緩やかにすることができ、急激なトルク変化に伴う反動や発生音、振動を低減することができる。また、反動が小さくなることで、モータへの負荷を軽減でき、また、カムアウトやビットの破損も発生しづらくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】オイルパルスドライバの側面図である。
図2】オイルパルスドライバを側面から見た一部拡大断面図である。
図3】オイルパルスユニットを側面から見た断面図である。
図4】オイルパルスユニットのA−A断面図である。
図5】ライナの斜視図である。
図6】ライナの断面図であって、(a)は補助線なし、(b)は内壁面の形状を説明するための補助線を付した図である。
図7】トルク変化を従来品と比較したグラフ、及び、ライナシール部とメインシャフトシール部との間の隙間面積の変化を従来品と比較したグラフである。
図8】オイルパルスドライバが発生する振動と音とを従来品と比較したグラフである。
図9】変形例に係るライナの断面図であって、(a)は補助線なし、(b)は内壁面の形状を説明するための補助線を付した図である。
図10】変形例に係るメインシャフトの(a)斜視図、(b)断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施形態について、オイルパルス工具としてオイルパルスドライバ10を例にして、図を参照しながら説明する。
【0019】
本実施形態に係るオイルパルスドライバ10は、オイルを充填密封した筒状のライナ26の中央部にメインシャフト27を配したオイルパルスユニット21をモータ12に作動連結させ、オイルパルスユニット21の回転時に生じる油圧により周期的なトルクを発生しメインシャフト27を回転させてネジ締め作業をするものであり、図1及び図2に示すように、モータ12を含む駆動部11と、遊星歯車減速機構を備えた減速部13と、オイルパルスユニット21を備えたパルス部20と、を前後に直列に配してハウジング14に収容したものである。
【0020】
ハウジング14の下方にはグリップ15が設けられ、グリップ15に設けられたトリガ16が操作されることによりモータ12が回転し、回転したモータ12がオイルパルスユニット21を駆動するようになっている。オイルパルスユニット21を駆動すると、後述するように、オイルパルスユニット21の中央に配置されたメインシャフト27がオイルパルスにより衝撃的に回転する。なお、グリップ15の下部には充電可能なバッテリ17が着脱可能に配置されており、モータ12の電源として使用される。
【0021】
モータ12の前方には、減速部13を構成する遊星歯車減速機構が配置され、遊星歯車減速機構に含まれる遊星歯車がモータ12の出力軸に直結した歯車軸に噛合させられている。これにより、モータ12が作動したときに、モータ12の駆動力が遊星歯車減速機構によって減速され、減速されたモータ12の駆動力が減速部13の前方に配置されたオイルパルスユニット21に伝達される。
【0022】
図3に示すように、オイルパルスユニット21は、両端に設けられたロアキャップ23とアッパーキャップ22及びライナキャップ24とで閉じられた円筒状のライナケース25の内部にメインシャフト27とライナ26とを配置し、オイルを充填したものである。
【0023】
メインシャフト27は、後端がアッパーキャップ22に回転可能に軸支され、前側部はロアキャップ23に貫通支持されている。メインシャフト27の前端はライナケース25の前方に突出し、図示しないビット等を装着可能となっている。
【0024】
なお、図4に示すように、メインシャフト27の側部には直径方向にブレード溝27cが貫通形成され、このブレード溝27cに1対のブレード28が出没可能に配置されている。この1対のブレード28は、ブレードスプリング29を介して伸縮自在に連結されており、常にライナ26の内面に当接するように付勢されている。
【0025】
そして、ライナ26の内部にはオイルが密封されており、このオイルが密封されたライナ26の内部を前記メインシャフト27と前記ブレード28により分割して4つの油室30を形成している。本実施形態に係るオイルパルスドライバ10は、モータ12の駆動力によってライナ26が回転すると、この4つの油室30間に圧力差が生じ、この圧力差によってトルクを発生させるように形成されている。
【0026】
ライナ26は、図5に示すような金属製の筒状部材であり、このライナ26の内周面には、ブレード28を摺動させるためのブレード摺動面26aが両端の開口部付近に形成されるとともに、この両側のブレード摺動面26aの間にはブレード摺動面26aに対して外径方向に凹陥した内壁面26bが形成されている。
【0027】
この内壁面26bは、油室30の壁部を形成する油室形成部26cと、油室形成部26cの間に設けられてブレード摺動面26aと略同じ出量となるように連続して内径方向に突出したライナシール部26eと、を備え、更に、油室形成部26cの端部には、ライナシール部26eと連続する接続部26dが形成されている。
【0028】
図6に示すように、油室形成部26cは計4箇所に設けられており、ライナシール部26eもこの4箇所の油室形成部26cの間に計4箇所に設けられている。そして、接続部26dは、油室形成部26cの両端(ライナシール部26eの両端)に計8箇所に設けられている。
【0029】
本実施形態においては、4箇所の油室形成部26cは、図6(b)に示すように、それぞれが同じ直径の円R1の一部を利用した円弧面で形成されている。この円R1は、ライナ26の中心に対して偏心した円である。
【0030】
一方、ライナシール部26eは、図6(a)に示すように、上下の2箇所と左右の2箇所とに設けられている。左右の2箇所のライナシール部26eは、図6(b)に示すように、ライナ26に対して同心円となる円R2の一部を利用した円弧面で形成されている。また、上下の2箇所のライナシール部26eは、図6(b)に示すように、ライナ26の中心に対して偏心した偏心円R3の一部を利用した円弧面で形成されている。
【0031】
そして、この油室形成部26cとライナシール部26eとの間に設けられた接続部26dは、油室形成部26cの円弧面及びライナシール部26eの円弧面とは別の曲面で形成されている。具体的には、本実施形態の接続部26dは、ライナ26の中心方向へと膨出する円弧面で形成されている。これによって接続部26dからライナシール部26eへと至る面が滑らかに連続するようになっている。
【0032】
なお、前記メインシャフト27の外周面には、ライナシール部26eと当接するメインシャフトシール部27aが突出しており、このメインシャフトシール部27aとライナシール部26eとが対向する位置までライナ26を回転させることで油室30をほぼ密閉できるように形成されている。
【0033】
このように形成されたオイルパルスドライバ10は、以下のように作用する。
【0034】
すなわち、オイルパルスドライバ10でネジ締め作業を行なうときは、トリガ16を引き操作してモータ12を回転させ、遊星歯車を介して減速された回転力がオイルパルスユニット21に伝達される。これにより、ライナ26が回転すると、ブレード28がオイルの圧力を受けることによりメインシャフト27が回転する。このように、メインシャフト27に負荷がかかっていないときはオイルの抵抗のみでメインシャフト27が回転する。
【0035】
一方、メインシャフト27に対する負荷が高くなると、ライナ26の回転に対してメインシャフト27の回転が遅れるようになり、図4に示すように、ライナシール部26eとメインシャフトシール部27a(またはブレード28)とが近付くにつれて、ライナシール部26eとメインシャフトシール部27a(またはブレード28)との間の隙間面積が小さくなることで、オイルが逃げることができなくなり、オイルが圧縮される。このようにオイルを圧縮することで油圧を発生させ、油圧により瞬発的にメインシャフト27を回転させる。このように、一定周期で大きなトルクを発生させることにより、ネジ等を強力に締め込ませる。
【0036】
このとき、本実施形態の油室形成部26cは円弧面で形成され、更には、接続部26dが曲面で形成されているため、油室形成部26cからライナシール部26eへと至る面が滑らかに連続するようになっているため、ライナ26が回転してライナシール部26eとメインシャフトシール部27a(またはブレード28)とが近付くにつれて、徐々に隙間面積が減少するようになっている。このため、トルクの立ち上がりや抜けを緩やかにすることができ、急激なトルク変化に伴う反動や発生音、振動を低減することができる。また、反動が小さくなることで、モータ12への負荷を軽減でき、また、カムアウトやビットの破損も発生しづらくなる。
【0037】
図7は本実施形態に係るオイルパルスドライバ10のトルク変化を従来品と比較したグラフ、及び、ライナシール部26eとメインシャフトシール部27aとの間の隙間面積の変化を従来品と比較したグラフである。なお、従来品とは、特許文献1〜3に示されるようなライナシール部(ライナの内壁からリブ状に突出させて形成したライナシール部)を備えたオイルパルスドライバである。このグラフからも明らかなように、本実施形態に係るオイルパルスドライバ10は、従来品と比較してトルクの最大値はほとんど変わらないものの、トルクの立ち上がりや抜けが緩やかになっている。また、従来品においては、オイルが抜けた後にトルクが振動していることから、オイルが抜けた後の反動でメインシャフト27が揺れてしまい、正転逆転を繰り返していることが分かる。この点、本実施形態に係るオイルパルスドライバ10は、このような動きが抑制されている。
【0038】
また、図8は本実施形態に係るオイルパルスドライバ10が発生する振動と音とを従来品と比較したグラフである。このグラフからも明らかなように、本実施形態に係るオイルパルスドライバ10は、従来品と比較して振動や音が著しく抑制されていることが分かる。これは、上記したような急激なトルク変化に伴う反動や発生音を低減することができ、また、メインシャフト27が正転逆転を繰り返すことによる振動も抑制することができるためである。
【0039】
このように、本実施形態によれば、油室形成部26cの端部にはライナシール部26eと連続する接続部26dが曲面で形成されているため、ライナシール部26eとメインシャフトシール部27a(またはブレード28)とが近付くにつれて徐々に隙間面積が減少するので、トルクの立ち上がりや抜けを緩やかにすることができ、急激なトルク変化に伴う反動や発生音、振動を低減することができる。また、反動が小さくなることで、モータへの負荷を軽減でき、また、カムアウトやビットの破損も発生しづらくなる。
【0040】
なお、上記した実施形態においては、4箇所の油室形成部26cは、それぞれが別の円R2の一部を利用した円弧面で形成されていることとしたが、本発明の実施形態としてはこれに限らない。例えば、図9に示すように、4箇所の油室形成部26cのうちの2つは同一の円R5の一部を利用した円弧面で形成し、残りの2つは同じ直径の別の円の一部を利用した円弧面で形成してもよい。このときも、ライナシール部26eは、ライナ26に対して同心円となる円R4の一部を利用した円弧面で形成すればよい。
【0041】
また、上記した実施形態においては、接続部26dをライナ26の中心方向へと膨出する円弧面で形成したが、本発明の実施形態としてはこれに限らない。例えば、図9に示すように、油室形成部26cの端部とライナシール部26eの端部とを結ぶ緩やかな曲面として形成してもよい。また、特に図示しないが、リブ状に突出させたライナシール部26eの角部に円弧面や面取り形状を設け、これを接続部26dとしてもよい。
【0042】
また、上記した実施形態においては、接続部26dを曲面とすることで隙間面積の変化を小さくしたが、これに代えて、あるいはこれと合わせて、メインシャフトシール部27aに連続する立ち上がり部27bを曲面で形成してもよい。例えば、図10に示すように、メインシャフト27の外周面の一部を円弧状に抉った形状とすることで、メインシャフトシール部27aを突出させるとともに、このメインシャフトシール部27aの立ち上がり部27bを曲面で形成してもよい。このように形成した場合でも、ライナシール部26eとメインシャフトシール部27aとが近付くにつれて徐々に隙間面積が減少するので、トルクの立ち上がりや抜けを緩やかにすることができ、急激なトルク変化に伴う反動や発生音、振動を低減することができる。また、反動が小さくなることで、モータ12への負荷を軽減でき、また、カムアウトやビットの破損も発生しづらくなる。
【符号の説明】
【0043】
10 オイルパルスドライバ
11 駆動部
12 モータ
13 減速部
14 ハウジング
15 グリップ
16 トリガ
17 バッテリ
20 パルス部
21 オイルパルスユニット
22 アッパーキャップ
23 ロアキャップ
24 ライナキャップ
25 ライナケース
26 ライナ
26a ブレード摺動面
26b 内壁面
26c 油室形成部
26d 接続部
26e ライナシール部
27 メインシャフト
27a メインシャフトシール部
27b 立ち上がり部
27c ブレード溝
28 ブレード
29 ブレードスプリング
30 油室
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10