(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
透明性基板上に薄膜層を形成してなる基板において前記薄膜層の一部を直線状に除去することで形成されてなる加工溝の位置および形状を、前記加工溝の撮像画像に基づいて測定する装置であって、
水平面内において第1の方向に離間して備わり、かつ前記水平面内において前記第1の方向と直交する第2の方向に前記基板を搬送する1対の主搬送部と、
前記第1の方向において移動しつつ鉛直上方を撮像可能な撮像手段を備え、前記1対の主搬送部によって下方から支持された前記基板が搬送経路の途中に位置している際に、前記撮像手段によって前記基板を下方から撮像する撮像部と、
を備え、
前記1対の主搬送部がそれぞれ、前記第2の方向において互いに離間するとともに、それぞれに鉛直上方に向いた吸着パッドを備える複数の基板保持部を有しており、前記加工溝の延在方向を前記第1の方向と一致させてなる姿勢の前記基板を、前記複数の基板保持部の各々の前記吸着パッドを前記基板の前記薄膜層が形成されていない裏面側の対向する2つの端部に沿って吸着させることによって下方からそれぞれに支持しつつ搬送するようになっており、
前記加工溝が前記第1の方向に沿った前記撮像手段の撮像可能範囲に位置するように前記一対の主搬送部によって前記基板を配置させた状態で、前記撮像手段を前記第1の方向に沿って移動させつつ断続的または連続的に前記加工溝を撮像するようになっており、
前記複数の基板保持部の配置間隔が前記第2の方向における前記撮像部の撮像ピッチと等しい、
ことを特徴とする形状測定装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されているような加工装置においてP2工程を行う場合、通常は、先に行われたP1工程によって形成された直線状の溝(以下、P1ラインとも称する)に沿って、つまりはP1ラインに対し一定距離だけ離間させて、直線状の溝(以下、P2ラインとも称する)を形成する。このP1ラインからP3ライン間は発電に寄与しないデッドエリアとなる。このデッドエリアを可能な限り狭くすることが発電エリアの拡大につながり、変換効率アップが期待できる。ただし、P1工程においては、経年変化や温度変化などが原因となって、使用する加工装置の可動部分の動作精度に劣化が生じた結果、P1ラインが厳密には直線とならず、部分的に変位したり湾曲したりしていることがある。また、P2工程の際の熱処理のためガラス基板に歪みが生じ、P1ラインの直線性も損なわれる。そのような曲線状のP1ラインに対してP2ラインを直線状に形成とすると、デッドエリアが増大し発電効率が悪くなることが考えられる。このため、P2工程においては、P1ラインに沿ってP2ラインを形成するために、P1ラインの形状に倣ってP2ラインを変位や湾曲等させつつ形成することが必要となる。
【0008】
係る場合のP2工程は、例えば、パターニングツールを、基板に対して第1の方向(P1ラインの延在方向)に相対移動させつつ、P1ラインの変位や湾曲に倣って第1の方向に直交する第2の方向にも相対移動させることによって実現される。
【0009】
この場合、P2ラインを精度良く形成するには、その前提として、P1ラインの形成位置および形状(変位や湾曲の状態)を把握しておく必要がある。例えば、P1ラインの両端部分の位置を測定する程度では、必ずしもP1ラインの形状が把握できたことにはならない。
【0010】
なお、特許文献2には、P1ラインを撮像装置が開示されている。しかしながら、当該装置の場合、スクライブ方向と直交する方向にのみ撮像手段が移動可能であるので、P1ラインをその延在方向全般にわたって測定することは行い得ない。
【0011】
一方で、P1ラインは1つの基板に対し多数本形成されるが、タクトタイムの短縮というという観点からは、複数本のP1ラインの測定が同時並行的に行えるのが好ましい。
【0012】
本願発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、P1ラインについてその延在方向全般にわたる位置および形状の測定を好適に行える形状測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、透明性基板上に薄膜層を形成してなる基板において前記薄膜層の一部を直線状に除去することで形成されてなる加工溝の位置および形状を、前記加工溝の撮像画像に基づいて測定する装置であって、水平面内において第1の方向に離間して備わり、かつ前記水平面内において前記第1の方向と直交する第2の方向に前記基板を搬送する1対の主搬送部と、前記第1の方向において移動しつつ鉛直上方を撮像可能な撮像手段を備え、前記1対の主搬送部によって下方から支持された前記基板が搬送経路の途中に位置している際に、前記撮像手段によって前記基板を下方から撮像する撮像部と、を備え、前記1対の主搬送部
がそれぞれ、前記第2の方向において互いに離間するとともに、それぞれに鉛直上方に向いた吸着パッドを備える複数の基板保持部を有しており、前記加工溝の延在方向を前記第1の方向と一致させてなる姿勢の前記基板を、
前記複数の基板保持部の各々の前記吸着パッドを前記基板の前記薄膜層が形成されていない裏面側の対向する2つの端部
に沿って吸着させることによって下方からそれぞれに支持しつつ搬送するようになっており、前記加工溝が前記第1の方向に沿った前記撮像手段の撮像可能範囲に位置するように前記一対の主搬送部によって前記基板を配置させた状態で、前記撮像手段を前記第1の方向に沿って移動させつつ断続的または連続的に前記加工溝を撮像する
ようになっており、
前記複数の基板保持部の配置間隔が前記第2の方向における前記撮像部の撮像ピッチと等しい、ことを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1に記載の形状測定装置であって、
前記撮像部が前記第2の方向に離散的に配置された複数の前記撮像手段を備え、前記複数の基板保持部の配置間隔を前記複数の前記撮像手段の配置間隔と一致させてなる、ことを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項2に記載の形状測定装置であって
、前記複数の前記撮像手段の配置間隔を前記基板における前記加工溝の形成間隔の整数倍と一致させてな
る、ことを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、請求項3に記載の形状測定装置であって、前記撮像部において撮像対象とする前記加工溝を前記複数の前記撮像手段の配置間隔と一致する箇所に位置する加工溝のみとする、ことを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、請求項1に記載の形状測定装置であって、前記撮像部が前記第2の方向に離散的に配置された複数の前記撮像手段を備え、前記複数の前記撮像手段の配置間隔を前記基板における前記加工溝の形成間隔の整数倍と一致させてなる、ことを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の形状測定装置であって、前記撮像手段は、前記第1の方向において往復移動する際に往復双方向において撮像を行うことが可能であり、前記撮像手段が前記往復双方向のいずれかにおいて撮像を行う都度、前記1対の主搬送部によって前記基板を所定距離だけ搬送することにより、異なる前記加工溝について順次に撮像を行う、ことを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の形状測定装置であって、前記1対の主搬送部の間であって、かつ、前記第2の方向において前記撮像部を挟む位置に、それぞれが複数の従動ローラを有する1対の補助搬送部、をさらに備え、前記複数の従動ローラは、前記第1の方向を回転軸として回転自在に設けられてなり、前記基板が前記1対の主搬送部によって搬送される際に前記基板に前記裏面側から当接しつつ従動回転する、ことを特徴とする。
【0020】
請求項8の発明は、請求項7に記載の形状測定装置であって、前記1対の補助搬送部のそれぞれが、前記基板を前記形状測定装置の外部との間で搬入出する複数の搬入出用ローラをさらに備え、前記搬入出用ローラは、前記1対の主搬送部が前記基板を搬送する際の前記基板の裏面の高さ位置よりも上方の支持位置と、前記高さ位置よりも下方の退避位置との間で昇降自在とされてなり、前記支持位置にて前記基板を支持しつつ回転することにより、前記基板の搬入出を行い
、前記撮像部による撮像を行うときには、前記退避位置に退避する、ことを特徴とする。
【0021】
請求項9の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の形状測定装置であって、前記1対の主搬送部の間であって、かつ、前記第2の方向において前記撮像部を挟む位置に、それぞれが複数の搬入出用ローラを有する1対の補助搬送部、をさらに備え、前記搬入出用ローラは、前記1対の主搬送部が前記基板を搬送する際の前記基板の裏面の高さ位置よりも上方の支持位置と、前記高さ位置よりも下方の退避位置との間で昇降自在とされてなり、前記支持位置にて前記基板を支持しつつ回転することにより、前記基板の搬入出を行い、前記撮像部による撮像を行うときには、前記退避位置に退避する、ことを特徴とする。
【0022】
請求項10の発明は、透明性基板上に薄膜層を形成してなる基板において前記薄膜層の一部を直線状に除去することで形成されてなる加工溝を撮像する装置であって、水平面内において第1の方向に離間して備わり、かつ前記水平面内において前記第1の方向と直交する第2の方向に前記基板を搬送する1対の主搬送部と、前記第1の方向において移動しつつ鉛直上方を撮像可能な撮像手段を備え、前記1対の主搬送部によって下方から支持された前記基板が搬送経路の途中に位置している際に、前記撮像手段によって前記基板を下方から撮像する撮像部と、を備え、前記1対の主搬送部
がそれぞれ、前記第2の方向において互いに離間するとともに、それぞれに鉛直上方に向いた吸着パッドを備える複数の基板保持部を有しており、前記加工溝の延在方向を前記第1の方向と一致させてなる姿勢の前記基板を、
前記複数の基板保持部の各々の前記吸着パッドを前記基板の前記薄膜層が形成されていない裏面側の対向する2つの端部
に沿って吸着させることによって下方からそれぞれに支持しつつ搬送するようになっており、前記加工溝が前記第1の方向に沿った前記撮像手段の撮像可能範囲に位置するように前記1対の主搬送部によって前記基板を配置させた状態で、前記撮像手段を前記第1の方向に沿って移動させつつ断続的または連続的に前記加工溝を撮像する
ようになっており、
前記複数の基板保持部の配置間隔が前記第2の方向における前記撮像部の撮像ピッチと等しい、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
請求項1ないし請求項10の発明によれば、形状測定装置または撮像装置が、基板の搬送をその裏面端部を保持することによって行うとともに、撮像手段を加工溝の延在方向に沿って基板の一方端部から他方端部にかけて移動させつつ加工溝を撮像するように構成されてなることで、撮像さらには形状測定を行いたい加工溝を適宜に選択しつつ、その形状を延在方向全般に渡って広範囲に測定することができる。これにより、加工溝の形成位置情報が精度良く得られるので、後段の工程における加工処理を、加工溝の形成位置に精度良く倣わせて行うことが可能となる。
【0024】
特に、請求項
1ないし請求項9の発明によれば、形状測定装置が、基板の搬送をその裏面端部を吸着保持することによって行うとともに、撮像手段を加工溝の延在方向に沿って基板の一方端部から他方端部にかけて移動させつつ加工溝を撮像するように構成されてなることで、加工溝の形状を延在方向全般に渡って広範囲に測定することができる。
【0025】
特に、請求項3ないし請求項6の発明によれば、複数の加工溝の測定を効率的に行うことが出来る。
【発明を実施するための形態】
【0027】
<装置の概要>
図1は、本実施の形態に係る形状測定装置1の斜視図である。
図2は、形状測定装置1の上面図である。
図3および
図4はそれぞれ、主搬送部3によって測定対象基板(以下、単に基板とも称する)Wが保持された状態の形状測定装置1の斜視図および上面図である。なお、
図1および以降の図面においては、撮像部4による撮像方向をX軸方向とし、主搬送部3による基板Wの搬送方向をY軸方向とし、鉛直方向をZ軸方向とする右手系のXYZ座標を付している。
【0028】
本実施の形態に係る形状測定装置1は、概略的にいえば、ガラスなどの透明な下地基板(透明性基板)上に薄膜層を形成してなる基板Wの薄膜層を部分的に除去する加工を行うに先立って、当該基板Wに先に形成されてなる加工溝の位置および形状を測定するための装置である。以下、このような加工溝についてその位置および形状を測定することを、単に、形状測定とも称する。係る形状測定は、別の味方をすれば、設計上の形成位置からのP1ラインの変位を測定しているともいえる。
【0029】
例えば、形状測定装置1は、CIS(CuInSe
2)やCIGS(Cu(In
1−xGa
x)Se
2)といったカルコパイライト系薄膜太陽電池の製造プロセスにおいて、いわゆるP2工程に先立ち、すでに形成されたP1ラインの測定に使用することが出来る。
【0030】
なお、P2工程までのカルコパイライト系薄膜太陽電池の代表的な製造プロセスは、以下の工程を含んでいる。形状測定装置1は、このうちの工程iv)を行うに先立ち、P1ラインの位置および形状を特定するのに好適な装置である。
【0031】
i)透明なガラス基板の上にMo層を形成する。;
ii)複数の太陽電池セル間の絶縁を確保するために、レーザー光の照射によってMo層の一部を直線状に除去して基板Wを露出させることにより複数の直線状の加工溝(P1ライン)を形成するパターニング加工を行う(P1工程)。;
iii)P1ラインが形成されたMo層の上にCIGS光吸収層を形成する。;
iv)P1ラインから一定距離を保ちつつパターニングツールを移動させてCIGS光吸収層を除去することにより、P1ラインに沿った(P1ラインの形状に倣った)複数の直線状の加工溝(P2ライン)を形成するパターニング加工を行う(P2工程)。
【0032】
P1ラインは、設計上は直線状のラインとして想定されているが、実際のP1ラインは、P1工程に用いる装置の駆動精度などの限界から、設計上の位置から不規則に変位し、微小な湾曲等が存在する曲線として形成されてなる。それゆえ、P1ラインを精度良くP1ラインに倣わせて形成するには、P1ラインの形成位置を精度良く特定することが求められる。
【0033】
図5は、主搬送部3によって基板Wが保持された状態の形状測定装置1のY軸方向負側におけるZX側面図である。より詳細には、
図3ないし
図5は、形状測定を開始する前の基板Wの保持状態を例示している。
図6および
図7はそれぞれ、補助搬送部5を省略した形状測定装置1の斜視図および上面図である。
【0034】
図1ないし
図7に示すように、本実施の形態に係る形状測定装置1は概略、平板状の基台2の上に、1対の主搬送部3(第1主搬送部3Aおよび第2主搬送部3B)と、撮像部4と、1対の補助搬送部5(第1補助搬送部5Aおよび第2補助搬送部5B)とを、設けた構成を有する。
【0035】
1対の主搬送部3をなす第1主搬送部3Aと第2主搬送部3Bとは、X軸方向において離間しており、形状測定の際にX軸方向において対向する基板Wの2つの端部を裏面側から支持しつつ当該基板Wを水平方向に搬送する。X軸方向負側に備わるのが第1主搬送部3Aであり、X軸方向正側に備わるのが第2主搬送部3Bであるとする。第1主搬送部3Aと第2主搬送部3Bとは、X軸方向について対称な構成を有する。
【0036】
なお、形状測定装置1において、基板Wは、Mo層が形成された側の面(表面)を上面側とし、Mo層が形成されていない側の面(裏面)を下面側とし、かつ、P1ラインがX軸方向に延在する向きで搬送される。
【0037】
撮像部4は、基板Wに形成されたP1ラインを、基板Wの搬送経路の途中においてその裏面側から、水平面内において主搬送部3による搬送方向であるY軸方向と直交するX軸方向に沿って、撮像する。
【0038】
1対の補助搬送部5は、装置外部との間の基板Wの搬入・搬出を行うとともに、主搬送部3による基板Wの搬送に際してこれを補助する。
【0039】
第1補助搬送部5Aと第2補助搬送部5Bとは、Y軸方向において離間しており、Y軸方向負側に備わるのが第1補助搬送部5Aであり、Y軸方向正側に備わるのが第2補助搬送部5Bであるとする。第1補助搬送部5Aと第2補助搬送部5Bとは、Y軸方向について対称な構成を有する。そして、
図2からわかるように、第1補助搬送部5Aと第2補助搬送部5Bとの間に、撮像部4が設けられてなる。
【0040】
係る構成を有する形状測定装置1においては、複数のP1ラインが形成された基板Wを主搬送部3によってピッチ送りしつつ、撮像部4によって基板Wの裏面側からP1ラインをその延在方向全般にわたって撮像し、得られた撮像結果に基づいて、基板Wに形成されたP1ラインの位置および形状を測定することができる。
【0041】
以下、形状測定装置1の要部の構成について、より詳細に説明する。
【0042】
<主搬送部>
互いに対をなす2つの主搬送部3である第1主搬送部3Aと第2主搬送部3Bとは、X軸方向において離間配置されてなる。第1主搬送部3Aと第2主搬送部3Bとはそれぞれ、基板Wを保持しつつ移動する基板搬送体31と、Y軸方向に沿って延在するように設けられてなり、基板搬送体31を案内する搬送ガイド部32とを備える。搬送ガイド部32は、Y軸方向において離間する1対の脚部30に支持されている。
【0043】
図8は、第2主搬送部3Bの斜視図であり、
図9は、基板搬送体31および基板保持部33の詳細斜視図である。上述のように、第1主搬送部3Aと第2主搬送部3Bとは、X軸方向について対称であるので、以降、
図8および
図9に示した第2主搬送部3Bに2つの主搬送部3を代表させてその構成を説明する。
【0044】
主搬送部3は、リニアモータ駆動によって基板搬送体31を搬送ガイド部32に沿って移動自在に構成されてなる。具体的には、搬送ガイド部32が、1対の案内部材であるリニアウェイ321と、リニアサーボモータ322と、リニアスケール323とを備える一方、基板搬送体31には、リニアウェイ321に係合する脚部311が設けられてなるとともに、リニアスケール323から位置情報を読み取る図示しないヘッド部が備わっている。
【0045】
さらに、
図7、
図8、
図9などに示すように、それぞれの主搬送部3の基板搬送体31には、複数の基板保持部33が、搬送ガイド部32の延在方向であるY軸方向に沿って略等間隔に設けられてなる。かつ、第1主搬送部3Aに備わる基板保持部33と第2主搬送部3Bに備わる基板保持部33とは、X軸方向において対向配置されてなる。換言すれば、基板保持部33は基板搬送体31において櫛歯状に設けられてなる。なお、それぞれの主搬送部3における基板保持部33の間隔は、基板Wに形成されてなるP1ラインを撮像部4によって撮像する際の撮像ピッチと同じであるのが好ましい。
【0046】
そして、それぞれの基板保持部33には、開口部を鉛直上方(Z軸正方向)に向ける態様にて吸着パッド34が設けられてなるとともに、吸着パッド34と連通する吸引孔341が備わっている。吸引孔341は、図示しない吸引手段と接続された吸引配管を接続可能に設けられてなる。
【0047】
ここで、第1主搬送部3Aの吸着パッド34と第2主搬送部3Bの吸着パッド34とは、基板WにおいてP1ラインが延在する方向をX軸方向と一致させた場合に、両者が基板Wを下方から吸着可能な間隔にて配置されてなる。これにより、本実施の形態に係る形状測定装置1においては、基板Wが上方から複数の基板保持部33の吸着パッド34上に載置された状態で、図示しない吸引手段によって吸引配管および吸引孔341を介してそれぞれの吸着パッド34に対して負圧が与えられることで、それぞれの吸着パッド34が基板Wの裏面端部を下方から吸着保持するようになっている。結果として、
図3および
図4に例示するような、基板保持部33による基板Wの保持が実現される。ただし、
図3および
図4においては、基板Wに形成されてなるP1ラインの図示を省略している。このように、それぞれの基板保持部33に備わる吸着パッド34が基板Wの裏面側端部を吸着保持してなる状態で、2つの基板搬送体31が互いに同期しつつ搬送ガイド部32に沿って移動することで、基板WがY軸方向に搬送される。
【0048】
加えて、
図9に示すように、それぞれの基板搬送体31には、第1補助搬送部5Aによって装置外部から搬入された基板Wを2つの主搬送部3の間で位置決めするための構成要素として、1対の第1位置決めローラ35と、1対の第2位置決めローラ36とが備わっている。1対の第1位置決めローラ35および1対の第2位置決めローラ36はいずれも、基板搬送体31においてY軸方向に互いに離間させて設けられてなる。
【0049】
第1位置決めローラ35は、基板WのX軸方向の両側端部であって当該側端部のY軸方向両端位置において基板Wに対し側方から当接することにより、主搬送部3によって基板Wを保持・搬送する際の基板WのX軸方向における位置を調整するために備わる。
【0050】
より詳細には、第1位置決めローラ35は、図示しないガイド付きシリンダによってX軸方向に進退自在に設けられてなる。2つの主搬送部3に設けられた合計4つの第1位置決めローラ35が進退動作し、基板WのX軸方向側端部に対する当接と離隔とを適宜に行うことによって、基板WはX軸方向において位置決めされる。
【0051】
一方、第2位置決めローラ36は、基板WのY軸方向の両側端部であって当該側端部のX軸方向両端位置において基板Wに対し側方から当接することにより、主搬送部3によって基板Wを保持・搬送する際の基板WのY軸方向における位置を調整するために備わる。
【0052】
より詳細には、第2位置決めローラ36は、ロータリーアクチュエータ361によってZ軸方向を回動軸として回動自在に設けられてなり、X軸方向を向いたときに基板WのY軸方向側端部かつX軸方向両端の位置に当接するようになっている。
図9においては、Y軸方向負側の第2位置決めローラ36がX軸負方向に向き、Y軸方向正側の第2位置決めローラ36がY軸正方向に向いた状態を例示している。2つの主搬送部3に設けられた合計4つの第2位置決めローラ36が回動動作し、基板WのY軸方向側端部に対する当接と離隔とを適宜に行うことによって、基板WはY軸方向において位置決めされる。
【0053】
これら第1位置決めローラ35および第2位置決めローラ36によって所定の保持位置に位置決めされた基板Wが、上述のように基板保持部33に備わる吸着パッドによって吸着保持される。
【0054】
<撮像部>
図10は、補助搬送部5を省略した形状測定装置1のY軸方向負側におけるZX側面図であり、
図11は、撮像部4の斜視図であり、
図12は、カメラ固定部41の斜視図である。
【0055】
図5、
図6、
図10などからわかるように、撮像部4は、第1補助搬送部5Aと第2補助搬送部5Bとの間であって、主搬送部3による基板Wの搬送位置(搬送高さ位置)よりも低い位置に、設けられてなる。撮像部4は、カメラ固定部41と、X軸方向に沿ってカメラ固定部41を案内するカメラガイド部42とを主として備える。カメラガイド部42は、基台2の上に固設されてなり、X軸方向に沿って、第1主搬送部3Aの脚部30の間から、第2主搬送部3Bの脚部30の間までの範囲において延在する。
【0056】
より詳細には、撮像部4は、リニアモータ駆動によってカメラガイド部42に沿って移動自在に構成されてなる。具体的には、
図11などに示すように、カメラガイド部42が、1対の案内部材であるリニアウェイ421と、リニアサーボモータ422と、リニアスケール423とを備える一方、カメラ固定部41には、リニアウェイ421に係合する脚部411が設けられてなるとともに、リニアスケール423から位置情報を読み取るヘッド部412が備わっている。
【0057】
また、
図7、
図11、
図12などからわかるように、カメラ固定部41には、複数の(本実施形態では3つの)ラインカメラ43が、それぞれY軸方向に沿って離間させて設けられてなる。それぞれのラインカメラ43は、鉛直上方(Z軸正方向)であって、Y軸方向に長手方向を有する線状の範囲を撮像可能に配置されてなる。個々のラインカメラ43は、短手方向において変位する加工溝が少なくとも1つ、その撮像可能範囲に収まるように、設けられてなる。例えば、P1ラインの幅がおおよそ数十μm程度であり、設計上の形成位置からの変位が数十μm程度であり、かつ、ピッチが数mm程度である場合であれば、Y軸方向の数百μm〜数mm程度の範囲を撮像可能に設けられてなるのが好ましい。
【0058】
なお、Y軸方向におけるラインカメラ43の配置ピッチは、基板WにおけるP1ラインの形成ピッチの整数倍とされてなる。本実施の形態では、ラインカメラ43の配置ピッチは、基板WにおけるP1ラインの形成ピッチの15倍に設定されているものとする。
【0059】
また、ラインカメラ43は、カメラ固定部41がX軸正方向とX軸負方向とで往復移動する際に、その往復双方向において、撮像を行えるようになっている。
【0060】
撮像部4が以上の構成を有することで、本実施の形態に係る形状測定装置1においては、それぞれのラインカメラ43の上方にP1ラインが位置するように基板Wが主搬送部3によって搬送された状態で、カメラ固定部41をX軸正方向または負方向に移動させつつラインカメラ43によって断続的にまたは連続的に撮像することができるようになっている。そして、係る撮像を行った際の、それぞれのラインカメラ43のX軸方向における撮像位置と、当該撮像位置で得られた撮像画像から直接に、あるいは適宜の画像処理を施すことなどによって特定される、P1ラインのY軸方向における存在位置や線幅との組合せからなるデータセット群が、撮影対象とされたP1ラインの位置および形状を表すデータとして図示しない記憶部に記憶され、後段の加工処理(例えばP2ライン形成処理)に利用されるようになっている。撮像を連続的に行うか、あるいは断続的に行うか、および後者の場合の撮像間隔などは、必要とするP1ラインの形状の精度や、データの演算処理を行う図示しない演算処理装置(コンピュータ)の演算能力と要求されるタクトタイムとのバランスなどから適宜に定めればよい。
【0061】
なお、本実施の形態に係る形状測定装置1においては、撮像部4に、複数のラインカメラ43に加えて複数の(本実施形態では3つの)エリアカメラ44が備わっている。より詳細には、一のエリアカメラ44と一のラインカメラ43とがY軸方向において同一の位置となるように設けられてなる。エリアカメラ44は、ラインカメラ43による撮像が良好に行えない場合や、ラインカメラ43によってはP1ラインの位置を特定するのが困難な場合などに、補助的に用いられる。ただし、エリアカメラ44を備えるのは、本実施の形態において必須ではない。
【0062】
<補助搬送部>
互いに対をなす2つの補助搬送部5である第1補助搬送部5Aと第2補助搬送部5Bとは、
図2などに示すように、X軸方向において第1主搬送部3Aと第2主搬送部3Bとの間に設けられてなるとともに、Y軸方向において撮像部4を挟んで配置されてなる。
【0063】
第1補助搬送部5Aは、装置外部からの基板Wの搬入を担うとともに、形状測定の途中で主搬送部3が基板WをY軸正方向に向けて搬送する際には、撮像部4よりもY軸方向負側でかつ基板Wの中央部分においてその搬送を補助する。また、第2補助搬送部5Bは、形状測定の途中で主搬送部3が基板WをY軸正方向に向けて搬送する際に、撮像部4よりもY軸方向正側でかつ基板Wの中央部分においてその搬送を補助するとともに、係る搬送の後には装置外部への基板Wの搬出を担う。
【0064】
図13は、第1補助搬送部5Aの斜視図である。
図14は、第1補助搬送部5AのY軸方向負側におけるZX側面図である。
図15は、第1補助搬送部5AのX軸方向正側におけるYZ側面図である。上述のように、第1補助搬送部5Aと第2補助搬送部5Bとは、Y軸方向について対称であるので、以降、
図13ないし
図15に示した第1補助搬送部5Aに2つの補助搬送部5を代表させてその構成を説明する。
【0065】
図5、
図14、および
図15などに示すように、それぞれの補助搬送部5は、基台2の上に固設されたテーブル状の支持台50の上に、複数の第1補助ローラ51と複数の第2補助ローラ52とを備える。概略的にいえば、第1補助ローラ51は、形状測定装置との外部との間で基板Wの搬入出を担うものであり、第2補助ローラ52は、主搬送部3による基板の搬送の際にこれを補助する役割を担うものである。
【0066】
複数の第1補助ローラ51は、Y軸方向において離間配置された、それぞれが水平面内においてX軸方向に延在する複数のシャフト51Aに、所定の間隔で固設されてなる。本実施の形態では、1つの補助搬送部5につき8個のシャフト51Aが備わり、それぞれのシャフト51Aに8個の第1補助ローラ51が設けられてなる。それぞれのシャフト51Aは、中央部分で2つの回転機構51Bに軸支されるとともに、2つの端部側をシャフト支持部材51Cによって下方側から軸支されてなる。これらの構成により、複数の第1補助ローラ51は、それぞれのシャフト51Aを回転機構51Bによって回転させることで、水平面内で同一の向きおよび回転速度にて同期回転するようになっている。なお、本実施の形態においては、X軸方向負側から正側を見た場合に、第1補助ローラ51および第2補助ローラ52が反時計回りに回転する場合を、第1補助ローラ51が順方向に回転する、と規定する(第2補助ローラ52も同様とする)。
【0067】
X軸方向における第1補助ローラ51の配置位置は、全てのシャフト51Aにおいて同一となっている。結果として、複数の第1補助ローラ51は、水平面内において格子状に配置されてなる。本実施の形態においては、64個の第1補助ローラ51が縦横8個ずつ格子状に配置されてなる。
【0068】
より詳細には、
図2および
図15に示すように、第1補助搬送部5AのY軸方向においてもっとも負側に位置するシャフト51Aに固設された第1補助ローラ51は、支持台50よりもY軸方向負側に突出している。同様に、第2補助搬送部5BのY軸方向においてもっとも正側に位置するシャフト51Aに固設された第1補助ローラ51は、支持台50よりもY軸方向正側に突出している。
【0069】
加えて、シャフト支持部材51Cは、支持台50のX軸方向における中央部分に設けられ昇降機構51Dに連結されてなる。昇降機構51Dは、Z軸方向の所定範囲で昇降自在とされてなる。これにより、昇降機構51Dを昇降動作させることによって、全ての第1補助ローラ51を同時にZ軸方向に昇降させることが可能となっている。
【0070】
以降、昇降機構51Dが上昇することで、それぞれの第1補助ローラ51がZ軸方向においてもっとも高い位置を取るときを、第1補助ローラ51が支持位置にあるとする。第1補助ローラ51が支持位置にあるとき、その最上端の位置は、吸着パッド34の最上端の位置よりも高くなる。なお、後述するように、支持位置とは、基板Wの搬入および搬出を行う際の第1補助ローラ51の高さ位置である。
【0071】
一方、昇降機構51Dが下降することで、それぞれの第1補助ローラ51がZ軸方向においてもっとも低い位置を取るときを、第1補助ローラ51が退避位置にあるとする。第1補助ローラ51が退避位置にあるとき、その最上端の位置は、吸着パッド34の最上端の位置よりも低くなる。なお、退避位置とは、撮像部4による撮像を行うべく、主搬送部3によって基板Wが搬送される際の第1補助ローラ51の高さ位置である。
【0072】
換言すれば、全ての第1補助ローラ51は、昇降機構51Dの昇降動作によって、支持位置と退避位置との間で移動自在とされてなり、基板を搬入および搬出する際には支持位置に配置され、形状測定を行うときは退避位置に配置されるようになっている。
【0073】
複数の第2補助ローラ52は、X軸方向に沿って離間配置された、それぞれが水平面内においてY軸方向に延在する複数の細い角棒状のローラ支持部材52Aに、所定の間隔で設けられた、X軸方向を回転軸とする回転自在なフリーローラである。それぞれのローラ支持部材52Aは、支持台50に固設された3つの脚部52Bによって支持されている。なお、ローラ支持部材52Aは、昇降機構51Dが昇降動作を行って第1補助ローラ51が支持位置と退避位置との間で昇降する際に、シャフト51Aやシャフト支持部材51Cと干渉しないように設けられてなる。
【0074】
本実施の形態では、1つの補助搬送部5につき13個のローラ支持部材52Aが備わり、それぞれのローラ支持部材52Aに7個の第2補助ローラ52が設けられてなる。
【0075】
より詳細には、
図2、
図13、および
図15に示すように、第1補助搬送部5Aのそれぞれのローラ支持部材52Aは、Y軸方向の正側において撮像部4の上方にまで突出している。同様に、第2補助搬送部5Bのそれぞれのローラ支持部材52Aは、Y軸方向の負側において撮像部4の上方にまで突出している。それぞれの突出部分の端部にも、第2補助ローラ52が設けられてなる。ただし、
図2からもわかるように、この突出部分においては、細い角棒状をなしているローラ支持部材52AはX軸方向における各ラインカメラ43の移動位置の上方に位置するものの、第2補助ローラ52は干渉しないようになっているので、ラインカメラ43の撮像可能範囲においては、ローラ支持部材52Aのみ、その一部を塞ぐことになるが、ラインカメラ43がX軸方向を移動する間の撮像を断続的なものとするとともに、その撮像位置をローラ支持部材52Aの配置位置を除外して設定することで、係る配置関係に基づく不具合は回避できる。あるいは、ローラ支持部材52Aの配置位置は固定されているので、ラインカメラ43による撮像画像から、その配置位置に応じた一定の位置に形成されるローラ支持部材52Aの像を除外することでも、係る配置関係に基づく不具合は回避できる。
【0076】
それぞれの第2補助ローラ52は、その最上端の位置が吸着パッド34の最上端の位置と略同じとなるように設けられてなる。これにより、基板Wが吸着パッド34によって下方から支持されつつ主搬送部3によって搬送されている間、第2補助ローラ52は下方側から基板Wの裏面に当接し、移動する基板Wとの摩擦に伴って従動回転する。結果として、第2補助ローラ52は、基板Wが主搬送部3によって搬送されている間、基板Wの中央部分にて基板Wを下方から支持してその搬送を補助する役割を果たしている。係る第2補助ローラ52を備えることにより、主搬送部3のみによる搬送では基板Wに撓みが生じ得る場合であっても、基板Wをより平坦に保って搬送し、形状測定に供することが出来る。
【0077】
<形状測定装置の動作>
次に、以上のような構成を有する形状測定装置1の動作と、その際の各部の配置関係について説明する。具体的には、基板Wの搬入、P1ラインの形状測定、および、基板Wの搬出について、順に説明する。
【0078】
まず、基板Wの搬入に際しては、第1補助搬送部5Aの第1補助ローラ51を上昇させて支持位置に配置する。そして、回転機構51Bを動作させて、全ての第1補助ローラ51を順方向に回転させる。これにより、形状測定装置1は、基板Wの搬入が可能な状態となる。
【0079】
形状測定装置1が係る状態になると、前工程でP1ライン形成済みの基板Wが、P1ラインの延在方向がX軸方向となる姿勢にて装置外部からコンベア等によって搬送され、回転する第1補助ローラ51上にY軸方向負側から載置される。すると、基板Wは、手前側にある第1補助ローラ51から順に下方から当接支持されつつ、当該第1補助ローラ51の回転によってY軸正方向へと搬送されていく。これにより、形状測定装置1に対する基板Wの搬入が実現される。
【0080】
基板Wの搬送方向先端部が第1補助搬送部5AのY軸方向において最も撮像部4寄りの第1補助ローラ51上にまで到達すると、回転機構51Bの動作は停止される。これにより、基板Wは、第1補助ローラ51によって支持された状態で静止する。係る静止の後、昇降機構51Dを動作させて、第1補助ローラ51を退避位置へと下降させると、基板Wも併せて下降するが、その途中において、基板Wの裏面は吸着パッド34(および第2補助ローラ52)と接触する。これにより、基板Wは第1補助ローラ51からは離隔し、その裏面を吸着パッド34(および第2補助ローラ52と)によって支持されるようになる。換言すれば、基板Wを裏面から支持していた第1補助ローラ51を支持位置から退避位置へと移動させることで、基板Wが第1補助ローラ51から主搬送部3へと受け渡されたことになる。
【0081】
このように基板Wが主搬送部3に受け渡されると、2つの主搬送部3のそれぞれに備わる1対の第1位置決めローラ35と、1対の第2位置決めローラ36とを作動させることによって、基板Wの正確な位置決めが行われる。より詳細には、第1位置決めローラ35をX軸方向に進退動作させることによってX軸方向の位置決めが行われ、第2位置決めローラ36をZ軸方向を回動軸として回動動作させることによってY軸方向の位置決めが行われる。
【0082】
係る位置決めが完了すると、吸着パッド34により基板Wが吸着保持される。これにより、
図3および
図4に例示する基板Wの保持状態が実現される。
【0083】
このように基板Wが吸着パッド34により吸着保持された時点で、P1ラインの形状測定が開始される。
【0084】
図16は、形状測定装置1においてP1ラインを測定する際の基板Wとラインカメラ43の配置関係の変化を模式的に示す図である。なお、図示の簡単のために、
図16(a)〜
図16(e)のうち
図16(a)においてのみ破線にてP1ラインLを例示し、
図16(b)〜
図16(e)ではP1ラインの図示を省略している。また、
図16(a)においてP1ラインLは直線として図示しているが、実際のP1ラインは、微小な湾曲等が存在する曲線として形成されてなる。また、カメラ固定部41がその可動範囲のうちX軸方向の負側端部にあるときの各ラインカメラ43の位置が、形状測定を開始する際の各ラインカメラ43の初期位置であるとする。
【0085】
本実施の形態に係る形状測定装置1には、上述のように撮像部4に3つのラインカメラ43が備わっているので、1度に3つのP1ラインを撮像することが可能である。
図16においてはそれら3つのラインカメラ43をY軸方向の正側より順にラインカメラ43a、43b、43cとする。
【0086】
より詳細には、上述したように、撮像部4におけるラインカメラ43の配置ピッチは、基板WにおけるP1ラインの形成ピッチの15倍となっているので、最初に撮像される3本のP1ラインLは互いに15本ずつ離れている。Y軸方向において最も正側に設けられたP1ラインL(L1)をラインカメラ43aの撮像対象とした場合、その15本先のP1ラインL(L16)がラインカメラ43bの撮像対象となり、さらに15本先の31本目のP1ラインL(L31)がラインカメラ43cの撮像対象となる。
【0087】
図16(a)は、
図3および
図4に例示した場合と同様、形状測定開始前の基板Wの保持状態を模式的に示す上面図である。
【0088】
形状測定を開始するにあたっては、初めに、
図16(a)において矢印AR1にて示すように、最初の撮像対象となるP1ラインLが、撮像部4の3つのラインカメラ43それぞれの撮像可能範囲に位置するところまで、主搬送部3が基板WをY軸正方向へと搬送する。
図16(b)に搬送後の基板Wとラインカメラ43との配置関係を示す。
【0089】
係る形状測定の際の主搬送部3による基板Wの搬送は、吸着パッド34が基板Wを吸着保持した状態の基板搬送体31を、搬送ガイド部32に沿ってY軸正方向へと移動させることで実現される。加えて、係る搬送の際には、第2補助ローラ52が基板Wの裏面側に当接し、かつ、基板Wの移動に伴って従動回転する。これにより、基板Wはスムーズに搬送される。例えば、基板Wに撓みが生じ得る場合にも、スムーズな搬送が行える。なお、このとき、第1補助ローラ51は退避位置にあるので、基板Wと接触することはない。
【0090】
図17は、3本のP1ラインL1、L16、L31を撮像対象とすべく基板Wを移動させた後の、基板Wと、主搬送部3の基板保持部33および吸着パッド34と、ラインカメラ43(43a、43b、43c)とのZX面内における配置関係を示す図である。このとき、
図17に示すように、ZX面内においては、それぞれのラインカメラ43a、43b、43cの鉛直上方位置と、撮像対象であるP1ラインL1、L16、L31の位置とが、一致している。また、各ラインカメラ43のY軸方向におけるピッチをD1とし、各基板保持部33のY軸方向におけるピッチ(つまりは各吸着パッド34の)ピッチをD2とするとき、両者は、上述のように、D2=D1をみたすように設定されてなる。
【0091】
図17に示す状態で、
図16(b)に矢印AR2にて示すように各ラインカメラ43を同時にX軸正方向に移動させながら(より厳密にはカメラ固定部41を移動させながら)、各ラインカメラ43a、43b、43cによって、基板Wの裏面側より、撮像対象たるP1ラインL1、L16、L31を断続的または連続的に撮像する。これにより、3本のP1ラインL1、L16、L31について、基板WのX軸方向の両端部間にわたっての広範囲な撮像が実現される。
図16(c)に撮像後の基板Wとラインカメラ43との配置関係を示す。
【0092】
係る撮像が完了すると、次に撮像対象とするP1ラインをそれぞれのラインカメラ43の撮像範囲に位置させるべく、
図16(c)に矢印AR3にて示すように、主搬送部3によって再び基板Wが移動させられる。このときの主搬送部3による基板Wの移動距離は、一の基板Wについて測定対象とするP1ラインの総本数をどのように定めるかによって、適宜に定められてよい。
図16(d)に搬送後の基板Wとラインカメラ43との配置関係を示す。
【0093】
タクトタイムを短縮したい場合など、全てのP1ラインの撮像が不要であるような場合であれば、例えば、ラインカメラ43のピッチに合致するピッチにて存在するP1ラインLのみを撮像対象とする態様であってもよい。本実施の形態のように、3つのラインカメラ43がピッチD1で備わっている場合であれば、主搬送部3によってY軸正方向に距離3D1だけ基板Wを移動させることによって、最初に撮像した3本のP1ラインと同様、15本間隔での撮像を繰り返し行うことができる。
【0094】
あるいは、全てのP1ラインを撮像対象とするのであれば、最初に撮像した3本のP1ラインにそれぞれ隣り合う3本のP1ラインを撮像すべく、主搬送部3によってY軸正方向に距離D1/15だけ基板Wを移動させればよい。
【0095】
このように、主搬送部3の移動距離を適宜に定めることで、種々の態様にて測定対象を設定することが可能である。
【0096】
なお、撮像対象とするP1ラインの位置によっては、そのX軸方向両端部の位置が吸着パッド34による吸着位置となっている場合もある。この場合、その部分についてはP1ラインの撮像が行えないものの、当該両端部を除いた、X軸方向に延在する当該P1ラインの大部分については、撮像が可能であるので、実用上は問題はない。
【0097】
基板Wの移動がなされると、今度は、
図16(d)に矢印AR4にて示すように各ラインカメラ43を同時にX軸負方向に移動させながら(より厳密にはカメラ固定部41を移動させながら)、各ラインカメラ43a、43b、43cによって、基板Wの裏面側より、新たな撮像対象たる3本のP1ラインLを断続的または連続的に撮像する。これにより、係る3本のP1ラインLについて、基板WのX軸方向の両端部間にわたっての撮像が実現される。
図16(e)に撮像後の基板Wとラインカメラ43との配置関係を示す。
【0098】
係る撮像が完了すると、次に撮像対象とするP1ラインをそれぞれのラインカメラ43の撮像範囲に位置させるべく、
図16(e)に矢印AR5にて示すように、主搬送部3によって再び基板Wが移動させられる。以降、撮像対象たるP1ラインLの撮像が全て完了するまで、同様の処理を順次に繰り返せばよい。
【0099】
このような態様にて形状測定を行うことで、本実施の形態に係る形状測定装置1によれば、複数のP1ラインが形成されてなる基板Wについて、測定したいP1ラインを適宜に選択しつつ、その形状を延在方向全般に渡って広範囲に測定することが可能である。これにより、P1ラインの形成位置情報が精度良く得られるので、後段のP2工程におけるP2ラインの形成を、P1ラインの形成位置に精度良く倣わせて行うことが可能となる。
【0100】
なお、形状測定の開始当初、基板Wの搬送は第1補助搬送部5Aに備わる第2補助ローラ52によって補助されているが、基板Wの搬送が進み、基板Wが撮像部4の上方を通過するにつれて、その役割は徐々に第2補助搬送部5Bに備わる第2補助ローラ52に引き継がれて行く。
【0101】
全ての撮像が完了すると、基板Wは、主搬送部3によって、その搬送方向最後端部が第2補助搬送部5BのY軸方向において最も撮像部4寄りの第1補助ローラ51上に到達するところまで搬送される。
【0102】
基板Wが当該位置まで到達すると、吸着パッド34による基板Wの吸着を解除するともに、第2補助搬送部5Bの第1補助ローラ51を退避位置から支持位置まで上昇させる。この上昇途中で、第2補助搬送部5Bの第1補助ローラ51が基板Wの裏面に当接することにより、基板Wは、主搬送部3から第2補助搬送部5Bへと受け渡される。
【0103】
第1補助ローラ51が支持位置に到達すると、回転機構51Bを動作させて、第1補助ローラ51を順方向に回転させる。すると、基板Wは、当該第1補助ローラ51の回転によってY軸正方向へと搬送されていき、そのY軸方向先端部側から、装置外に備わるコンベア等へと受け渡される。これにより、形状測定装置1からの基板Wの搬出が実現される。
【0104】
以上、説明したように、本実施の形態によれば、P1ラインの形状を測定する形状測定装置1が、基板の搬送を主にその裏面端部を吸着保持することによって行うとともに、ラインカメラをP1ラインの延在方向に沿って基板の一方端部から他方端部にかけて移動させつつP1ラインを撮像するように構成されてなることで、複数のP1ラインが形成されてなる基板について、測定したいP1ラインを適宜に選択しつつ、その形状を延在方向全般に渡って広範囲に測定することが可能である。これにより、P1ラインの形成位置情報が精度良く得られるので、後段のP2工程におけるP2ラインの形成を、P1ラインの形成位置に精度良く倣わせて行うことが可能となる。
【0105】
<変形例>
上述の実施の形態においては、Y軸方向におけるラインカメラ43の配置ピッチや基板保持部33の配置ピッチを固定的なものとして取り扱っているが、形状測定装置1は、これらの配置ピッチを可変に構成されていてもよい。係る場合、測定対象たる基板WにおけるP1ラインの形成ピッチに応じて、ラインカメラ43や基板保持部33のピッチを調整することが可能となる。これにより、種々の基板Wを対象とするP1ライン測定が可能となる。
【0106】
上述の実施の形態においては、第1補助ローラ51が回転機構51Bによって回転するものとしているが、これに代わり、第1補助ローラ51も第2補助ローラ52と同様、基板の搬入および搬出の際に、移動する基板に当接することで従動回転するようになっていてもよい。係る場合、装置外部の搬送機構が基板を形状測定開始位置まで搬入し、形状測定後の基板を測定終了位置から搬出することになる。