特許第6146070号(P6146070)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146070
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】棒金開封装置
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20170607BHJP
   B26B 27/00 20060101ALI20170607BHJP
   B65B 69/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   G07D9/00 481Z
   B26B27/00 E
   B65B69/00 Z
【請求項の数】2
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-55058(P2013-55058)
(22)【出願日】2013年3月18日
(65)【公開番号】特開2014-182458(P2014-182458A)
(43)【公開日】2014年9月29日
【審査請求日】2016年3月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000145068
【氏名又は名称】株式会社寺岡精工
(74)【代理人】
【識別番号】100094226
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100087066
【弁理士】
【氏名又は名称】熊谷 隆
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 修
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭58−133282(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07D 9/00
B26B 27/00
B65B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒金の包装体を解体して硬貨を取り出す棒金開封装置において、
前記棒金の一方端面を当接するガイド部材と、
前記ガイド部材と所定の間隔を保って設置されるカッターと、を備え、
前記ガイド部材には、前記棒金の外周面をカッターの刃に押し付ける指を挿入する指挿入部を設け、
且つ、前記ガイド部材とカッターとの間に形成される隙間を保持部とし、
前記棒金の一方端面を前記ガイド部材に当接させて回動しながら前記カッターによってカットした棒金の一方端部の包装材が、前記保持部に保持されることを特徴とする棒金開封装置。
【請求項2】
前記ガイド部材は、前記棒金の一方端面に設けたカール部の内側に露出している硬貨の面に当接する凸部を更に備えたことを特徴とする請求項1に記載の棒金開封装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒金(包装硬貨)の包装体を切断して硬貨を取り出す際に用いる棒金開封装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、POSレジスタや券売機などに接続された自動釣銭機へ釣銭を補充するために、棒金(同一金種の硬貨を一定枚数だけ棒状にまとめて包装体により包装したもの)の包装体をカッター(例えば特許文献1参照)によって開封し、開封した硬貨を釣銭として前記自動釣銭機に補充するようにしている。
【0003】
棒金は、積層した硬貨をシート材で形成した包装体により包むと共に、包装体の両端部を内側にカール(湾曲)することで、構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭61−074507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、棒金の包装体をカッターによって開封する際、切り取った包装体の一部が、取り出した硬貨と共に釣銭補充時に自動釣銭機内に混入する場合があった。
【0006】
このようなことが生じると、自動釣銭機で釣銭が払い出される際に、混入した包装体の切り屑(例えば切り取った包装体端部のカールしている部分等)が硬貨詰まりを生じさせてしまうという問題等が発生する恐れがあった。
【0007】
本発明は上述の点に鑑みてなされたものでありその目的は、棒金の包装体を容易に開封でき、且つ棒金の包装体を開封した際に包装体の切り屑を保持できて釣銭機内に混入させること等がない棒金開封装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、棒金の包装体を解体して硬貨を取り出す棒金開封装置において、前記棒金の一方端面を当接するガイド部材と、前記ガイド部材と所定の間隔を保って設置されるカッターと、を備え、前記ガイド部材には、前記棒金の外周面をカッターの刃に押し付ける指を挿入する指挿入部を設け、且つ、前記ガイド部材とカッターとの間に形成される隙間を保持部とし、前記棒金の一方端面を前記ガイド部材に当接させて回動しながら前記カッターによってカットした棒金の一方端部の包装材が、前記保持部に保持されることを特徴としている。
この構成によれば、棒金の一方端面をガイド部材に当接して回動するだけで、包装体を容易に切り取って開封でき、同時に開封した際に生じる包装体の切り屑(切り取った包装体端部等)が保持されるので、この切り屑がバラした硬貨と共に釣銭の補充時に釣銭機内に混入してしまうこと等を確実に防止できる。これにより、包装体の端部が釣銭機内に混入し、釣銭を払い出すときに硬貨詰まりを生じさせるといったようなトラブルを防止できる。
また、本発明の棒金開封装置の前記ガイド部材は、前記棒金の一方端面に設けたカール部の内側に露出している硬貨の面に当接する凸部を更に備えたことを特徴とする。
この構成によれば、ガイド部材に設けられた凸部の先端面に棒金の露出する硬貨の面が当接するので、包装体の端部を潰すことがなく、ガイド部材の面から所定の高さ浮かせてカットする(または弱い力でガイド部材の面に当接させてカットする)ことができる。これによって棒金の回転が容易に行え、カットした包装体端部を確実に保持させることができる。
前記凸部の高さや保持部の隙間寸法を、カッターによって切り取られた切り屑が挟持される寸法に形成しておけば、切り取られた切り屑が確実にこの棒金開封装置に挟持されるので、好適である。
なおこの棒金開封装置は、バラした硬貨を釣銭機内に補充する場合だけに利用されるものではなく、それ以外にも、単に棒金を開封して直接手渡しで釣銭を渡す場合などにも利用できることは言うまでもない。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、棒金の包装体を容易に開封でき、且つ棒金の包装体を開封した際に生じる包装体の切り屑を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】棒金開封装置1の斜視図である。
図2】棒金開封装置1を下側から見た斜視図である。
図3】棒金開封装置1を下側から見た分解斜視図である。
図4】棒金開封装置1の平面図である。
図5】棒金開封装置1の側断面図(図4のA−A断面図)である。
図6】棒金開封装置1の先端側部分の拡大側断面図である。
図7】棒金開封装置1による棒金200の開封方法説明図である。
図8】棒金開封装置1による棒金200の開封方法説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は本発明の一実施形態にかかる棒金開封装置1の斜視図、図2は棒金開封装置1を下側から見た斜視図、図3は棒金開封装置1を下側から見た分解斜視図、図4は棒金開封装置1の平面図、図5は棒金開封装置1の側断面図(図4のA−A断面図)、図6は棒金開封装置1の先端側部分の拡大側断面図である。なお以下の説明において、下記する把持部10からガイド部材100側に向かう方向を「先端側」、その反対側に向かう方向を「後端側」ということとする。
【0012】
これらの図に示すように、棒金開封装置1は、棒状のカッター部70と、カッター部70の先端近傍に取り付けられるガイド部材100(第1,第2ガイド部材110,150)とを具備して構成されている。
【0013】
この棒金開封装置1は、携帯して持ち歩けるものであり、POSレジスタや券売機又は自動販売機等に組み付けられた釣銭機の近傍に備え付けても邪魔にならない小型形状となっている。なお、この実施形態においては携帯して持ち歩けるものを示したが本発明はこれに限らず、把持部10に替えて装置内に据え付けを可能とする基材部とし、釣銭機などに組付けた棒金開封装置1としてもよい。
【0014】
カッター部70は、図3に示すように、細長で平板状の把持部10の長手方向先端部にカッター取付部30を設けて構成されている。
【0015】
把持部10は合成樹脂製であり、この棒金開封装置1を片手で掴むのに好適な所定長に形成されている。そしてカッター取付部30を設ける側の端部には、カッター取付部30の一部を構成する円形の載置部11が一体に成形されている。把持部10の中央近傍部分には、ガイド部材固定用の2つのビス挿通孔15が形成されている。また載置部11下面から把持部10の下面にわたる位置には、下記する軸係止部材60を所定距離前後方向にスライド自在に収納する直線状で凹状の挿入部17が形成されている。また載置部11の略中央には、図6に示すように、下記する固定ピン50の固定軸53を挿入する内径寸法の軸支孔13が形成されている。軸支孔13の下端は、前記挿入部17の内底面に開口している。
【0016】
カッター取付部30は、円板状で外周に刃を有する金属製のカッター(以下この例では「回転刃」という)31を、図6に示すように、前記把持部10の先端に設けた載置部11上に載置し、その上に合成樹脂製の保護カバー40を載置し、さらに保護カバー40上に設置した合成樹脂製の固定ピン50の固定軸53を、前記保護カバー40に設けた貫通孔45と、前記回転刃31の中央に設けた軸支孔33と、前記載置部11に設けた軸支孔13に貫通し、載置部11の下面から突出した固定軸53を載置部11の下面側に設置した合成樹脂製の軸係止部材60によって係止することで構成されている。このとき回転刃31の外周の一部(先端側の一部)は外部(前方)に露出する。
【0017】
ここで固定ピン50は、円形のピン本体部51と、ピン本体部51の下面中央に設けられる略円柱状の固定軸53とを一体成形して構成されている。固定軸53の先端近傍位置には、外径を小さくしたリング状の凹部からなる係止部55が設けられている。
【0018】
保護カバー40は、図1に示すように、回転刃31の外径よりも外径が少し大きい略円板状のカバー部41と、カバー部41の外周から半径方向外方に向けて突出する平板細長のレバー部43とを具備し、さらにレバー部43の先端上面に操作部44を設けて構成されている。カバー部41の略中央には、図6に示すように、前記固定ピン50の固定軸53を挿通する貫通孔45が設けられている。貫通孔45は、カッター部70の長手方向に向けて細長い長円形状に形成されている。つまり保護カバー40は、固定軸53に対して長手方向に所定寸法前後動可能に取り付けられる。
【0019】
次に回転刃31の軸支孔33は、前記固定軸53を回転自在に挿入できる寸法に形成されている。つまり回転刃31は固定軸53を中心に回動する。
【0020】
軸係止部材60は、例えば図2に示すように、略細長平板状で、前記挿入部17に前後方向にスライド自在に挿入されており、その先端側には前記固定軸53の係止部55を係止する係止用スリット61が設けられ、後端側には下方向に突出する操作部63が設けられている。係止用スリット61は、T字状のスリットの先端側が軸係止部材60の先端辺に至って、軸係止部材60の先端を2つに分割している。また係止用スリット61の前記固定軸53の係止部55を係止する部分は、スリットの幅を広げて、例えば係止部55の外径と略同一内径の円形孔状にしている(図示せず)。この係止用スリット61によって容易に軸係止部材60先端の分割された部分を広げて前記固定軸53の係止部55を係止できる構成となっている。
【0021】
以上の説明から明らかなように、回転刃31は、載置部11の軸支孔13に軸支された固定ピン50の固定軸53によって回転自在に軸支されている。そして図示の状態では、回転刃31の外周の一部(先端側の一部)が外部(前方)に露出しているが、保護カバー40の操作部44を先端側(図6の矢印C方向)に向けて押圧すれば、保護カバー40全体が貫通孔45の隙間寸法分だけ先端側にスライド移動し、カバー部41が回転刃31の外周全体を覆う。これによって不使用時の回転刃31の保護・安全が図られる。
【0022】
なお、軸係止部材60の操作部63を後端側(図6の矢印D方向)に向けて引っ張れば、係止用スリット61によって分割されている軸係止部材60の先端部分が開き、係止用スリット61から固定軸53の係止部55が外れ、これによって固定ピン50を取り外して回転刃31を取り替えることができる。
【0023】
次にガイド部材100は、例えば図1に示すように、凸部形成部材170を取り付けた第1ガイド部材110の上に、前記回転刃31を挟んで、第2ガイド部150を取り付けることで構成されている。
【0024】
第1ガイド部材110は金属板製であり、例えば図3に示すように、平板を略矩形状に形成して構成されている。そして第1ガイド部材110の先端側の辺の中央にはU字状に凹む指挿入部111が形成され、一方第1ガイド部材110の後端側の辺の両端部からは一対の取付部113,115が突出している。第1ガイド部材110の中央と、取付部113,115の中央には、それぞれ小孔からなるビス挿入孔117が形成されている。一対の取付部113,115は、それらの面が、第1ガイド部材110の面よりも所定寸法上方に位置するように、それらの根元部分に屈曲部119,121を設けている。屈曲部119,121は、階段状に2回逆方向に直角に屈曲することで形成されている。
【0025】
第2ガイド部材150は金属板製であり、細長平板状に形成して構成されている。そして第2ガイド部材150の先端側の辺の中央には、略U字状に凹む棒金挿入部151が形成され、また棒金挿入部151の根元側中央部分には、略円形で前記保護カバー40のカバー部41全体を露出するカバー部露出部153が形成され、さらにカバー部露出部153の根元側中央部分には、細長スリット状で前記保護カバー40のレバー部43全体を露出するレバー部露出部155が形成されている。なおカバー部露出部153とレバー部露出部155を合わせて保護カバー露出部157と言うこととする。さらに第2ガイド部材150の前記把持部10の一対のビス挿通孔15に対向する位置と、前記第1ガイド部材110の取付部113,115の一対のビス挿入孔117に対向する位置に、それぞれねじ孔からなるビスねじ込み孔159が形成されている。棒金挿入部151は、各種硬貨の棒金を挿入できるように、各種硬貨の径を受け付ける寸法形状となっている。
【0026】
凸部形成部材170は金属材を円柱薄板状に形成して構成されている。凸部形成部材170の中央にはねじ孔からなるビスねじ込み孔171が形成されている。
【0027】
そして棒金開封装置1を組み立てるには、例えば図3において、まず予め第1ガイド部材110の上面中央に凸部形成部材170を載置し、第1ガイド部材110の下面側から第1ガイド部材110中央のビス挿入孔117にビス191を挿入して凸部形成部材170のビスねじ込み孔171にねじ込んで両者を一体化する。これによって第1ガイド部材110の上面中央に凸部が形成される。
【0028】
次にカッター部70の上面に第2ガイド部材150を載置し、カッター部70の下面側から2つのビス挿通孔15にそれぞれビス193を挿入して第2ガイド部材150の各ビスねじ込み孔159にねじ込んで両者を一体化する。
【0029】
そしてカッター部70のカッター取付部30の下面側に前記第1ガイド部材110を配置し、その際第1ガイド部材110の一対の取付部113,115の上面を第2ガイド部材150の下面に当接し、取付部113,115のビス挿入孔117と、第2ガイド部材150の一対のビスねじ込み孔159の位置を一致させ、第1ガイド部材110の下面側から2つのビス挿入孔117にそれぞれビス195を挿入して第2ガイド部材150の各ビスねじ込み孔159にねじ込んで両者を一体化する。これによって棒金開封装置1が完成する。なお上記組立手順はその一例であり、他の各種異なる組立手順を用いて組み立てても良いことはいうまでもない。
【0030】
以上のようにして構成された棒金開封装置1は、例えば図3図6に示すように、把持部10と、把持部10の長手方向先端部に設置される第1ガイド部材110と、第1ガイド部材110の上面と所定の間隔を保ち第1ガイド部材110と平行に設置される回転刃31と、回転刃31の上部に配置される第2ガイド部材150とを具備して構成されている。そして第1ガイド部材110と回転刃31の間に形成される隙間及びこの隙間の前方(凸部形成部材170の外周面に至るまで)の部分を保持部Sとする。保持部Sの一部を形成する第1ガイド部材110と回転刃31の間の隙間寸法(高さ寸法)は、下記する棒金200のカール部203の直径寸法よりも若干小さい寸法に形成されている。
【0031】
そしてこの棒金開封装置1を用いて棒金200を開封するには、図7に示すように、まず棒金200の一方端部を棒金開封装置1の第2ガイド部材150の棒金挿入部151内に挿入し、前記棒金200の一方端面を第1ガイド部材110の上面(凸部形成部材170の上面を含む)に当接する。ここで棒金200は、前述のように、積層した硬貨をシート材(合成樹脂フイルム、紙等)で形成した包装体201により包むと共に、シート材の両端部(図7では一端部側のみ示す)を内側にカールすることで、カール部203を形成して構成されている。
【0032】
このため棒金200の一方端部は、カール部203の内側に露出している硬貨の面が、凸部(凸部形成部材170)の先端面に当接し、同時にカール部203が凸部の外周を囲む位置に位置して第1ガイド部材110の表面に軽く当接している(又は表面から少し離れている)。
【0033】
そして指300を第1ガイド部材110の指挿入部111内に挿入して、棒金200の外周面を回転刃31方向に所定の力で押圧し、これによって棒金200の包装体201の外周面(カール部203の上部)に回転刃31の刃先を押し当てる。
【0034】
そして棒金200の上部を手で掴んで回転すれば、棒金200の回転方向とは逆方向に回転刃31が回転しながら、同時に包装体201が円周状に切断されていく。そして棒金200を1回転すると、カール部203がその上部の包装体201から切り取られ、包装体201が開封される。
【0035】
そして図8に示すように、切り取られたカール部203を第1ガイド部材110上に残して、開封された棒金200が取り去られる。切り取られたカール部203は、その一部が保持部S内の回転刃31と第1ガイド部材110間の隙間に入り込んでいる。この隙間は前述のようにカール部203の直径よりも少し狭いので、カール部203は挟持される。特にこの例では、前記切断工程において、指300によって棒金200が回転刃31に押し付けられるので、カール部203にも前記隙間に入り込むような力が加わっており、従って前記切断工程を行うだけで、カール部203の一部はスムーズに前記隙間に入り込み、挟持される。従って切り取られたカール部203は確実にこの棒金開封装置1に保持される。
【0036】
このようにこの棒金開封装置1によれば、棒金200の一方端面を第1ガイド部材110に当接して回動するだけで、様々な貨幣種の棒金の包装体201を容易に切り取って開封でき、同時に開封した際に生じる包装体201の切り取ったカール部203(切り屑)を保持できるので、切り取ったカール部203がバラした硬貨と共に釣銭の補充時に釣銭機内に混入してしまうこと等を確実に防止できる。これにより、包装体203の切り屑が釣銭機内に混入し、釣銭を払い出すときに硬貨詰まりを生じさせるといったようなトラブルが発生しなくなる。特にカール部203は様々な貨幣種の棒金において略同一の高さとなっており所定の剛性を有するので、このカール部203をカットして保持部Sに保持するように構成することで、様々な貨幣種の棒金の切り取ったカール部203の保持を容易且つ確実に行うことができる。
【0037】
また前記切断工程の際、第1ガイド部材110には凸部形成部材170による凸部が設けられているので、包装体201のカール部203を凸部の外周を囲む位置に位置させて第1ガイド部材110の面から浮かせる(または弱い力で第1ガイド部材110の上面に当接させる)ことができる。これによって棒金200の回転が容易に行え、容易に包装体201をカットすることができる。
【0038】
また包装体201をカットする際、前述のように、指300で棒金200を押圧して外周面を回転刃31に押し付けるので、この点からも包装体201のカットが容易且つスムーズに行える。
【0039】
さらに第2ガイド部材150によって、棒金200の長手方向に直交する面方向(水平方向)の位置決めを行い、また第1ガイド部材110によって棒金200の長手方向(垂直方向)の位置決めを行っているので、棒金200の回転刃31に対する位置決めが容易且つ正確に行え、棒金200の開封と、カットしたカール部203の保持とを何れも確実に行うことができる。
【0040】
以上本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。なお直接明細書及び図面に記載がない何れの形状や構造や材質であっても、本願発明の作用・効果を奏する以上、本願発明の技術的思想の範囲内である。例えば上記棒金開封装置1では、第1ガイド部材110と第2ガイド部材150と凸部形成部材170によってガイド部材100を構成したが、凸部形成部材170を省略しても良いし、第2ガイド部材150を省略しても良い。即ち第1ガイド部材110だけでも棒金200の一方端面を当接することで棒金200の長手方向の位置決めガイドができるし、これを回転することで回転刃31による包装体201のカットもでき、さらに回転刃31と第1ガイド部材110の間にカール部203を挟持する保持部Sも形成することができる。
【0041】
また上記棒金開封装置1では、カッターとして回転刃31を用いたが、本発明はこれに限定されず、回転しない固定刃を用いても良い。固定刃を用いても、これに触れる棒金200を回転することで、包装体201をカットすることができる。なお、カッター取付部30の構造も種々の変形が可能であり、要は第1ガイド部材110と所定の間隔を保ってカッターが設置される取付構造であればよい。
【0042】
また前記保持部Sの一部を構成する第1ガイド部材110と回転刃31の間の隙間は、必ずしも切り取ったカール部203の厚みより狭くなくても良い。この場合、前記隙間にカール部203を挟持することはできないが、載置・保持することはできる。また回転刃31の刃先と凸部形成部材170の外周間の隙間を狭く設定することで、この隙間部分でカール部203を挟持するようにすることもできる。
【0043】
また上記棒金開封装置1においては、第1ガイド部材110に凸部形成部材170を取り付けることで凸部を形成したが、第1ガイド部材110自体を湾曲変形するなどして凸部を形成しても良い。
【0044】
また上記棒金開封装置1では、第1,第2ガイド部材110,150と凸部形成部材170を金属製としたが、合成樹脂としても良い。また上記例で合成樹脂製とした部材を金属製としても良い。
【0045】
また、本発明の棒金開封装置1の実施形態において携帯して持ち歩けるものを示したが、本発明はこれに限らず、把持部10に替えて装置内に据え付けを可能とする基材部とし、釣銭機などに組付けた棒金開封装置1としてもよい。
【0046】
以上の説明に関し、さらに以下の項を開示する。
(付記1)
請求項1に記載の棒金開封装置であって、前記カッターは回転刃によって構成され、この回転刃が前記棒金の一方端部近傍の包装材を回転しながらカットすることを特徴とする棒金開封装置。このようにカッターとして回転刃を用いれば、棒金を回転することで同時に回転刃が回転し、容易且つスムーズに包装材をカットすることができる。
(付記2)
請求項1に記載の棒金開封装置であって、前記棒金の包装体は、積層した硬貨をシート材で包むと共に、その両端部を内側にカールするカール部を設けて形成されており、前記カッターによってカットされ前記保持部に保持されるのは、前記包装体の一方のカール部であることを特徴とする棒金開封装置。カール部は所定の剛性を有するので、このカール部(切り屑)をカットして保持部に保持するように構成することで、その保持を容易且つ確実に行うことが可能となる。
(付記3)
請求項1に記載の棒金開封装置であって、前記ガイド部材は、前記棒金の一方端面を当接する第1ガイド部材の他に、前記棒金の一方端部を挿入してガイドする第2ガイド部材を有し、これら第1,第2ガイド部材が、前記カッターの上下にそれぞれ配置されることを特徴とする棒金開封装置。第2ガイド部材によって、棒金の長手方向に直交する面方向の位置決めが行え、また第1ガイド部材によって棒金の長手方向の位置決めが行える。これらのことから、カッターに対する棒金の位置決めが容易且つ正確に行え、棒金の開封と、包装体の切り屑の保持とを確実に行うことができる。
(付記4)
請求項1に記載の棒金開封装置であって、前記ガイド部材には、前記棒金の外周面を前記カッターの刃に押し付ける指を挿入する指挿入部を設けたことを特徴とする棒金開封装置。これによって、容易に棒金の外周面をカッターの刃に押し付けることが可能となり、さらに容易且つスムーズに棒金の包装材をカットすることが可能となる。
【符号の説明】
【0047】
1…棒金開封装置 10…把持部
11…載置部 13…軸支孔
15…ビス挿通孔 17…挿入部
30…カッター取付部 31…回転刃(カッター)
33…軸支孔 40…保護カバー
41…カバー部 43…レバー部
44…操作部 45…貫通孔
50…固定ピン 51…ピン本体部
53…固定軸 55…係止部
60…軸係止部材 61…係止用スリット
63…操作部 70…カッター部
100…ガイド部材 110…第1ガイド部材(ガイド部材)
111…指挿入部 113,115…取付部
117…ビス挿入孔 119,121…屈曲部
150…第2ガイド部材(ガイド部材) 151…棒金挿入部
153…カバー部露出部 155…レバー部露出部
157…保護カバー露出部 159…ビスねじ込み孔
170…凸部形成部材(凸部) 171…ビスねじ込み孔
191,193,195…ビス 200…棒金
201…包装体 203…カール部
300…指 S…保持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8