(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
周知のように、車輪を軸支する車輪支持部材を、ストラットにより支持するストラット式サスペンションが広く用いられており、これらストラット式サスペンションは、車体構造のストラットタワーに取付けられている。
【0003】
図13は、従来のストラット式サスペンション装置100を、車体150に取り付けた状態の概略構成の一例を示す図である。
ストラット式サスペンション装置100は、例えば、ストラット101と、車輪WHを回転可能に軸支するナックル(車輪支持部材)140と、ロアアーム141とを備えている。
【0004】
ストラット101は、ショックアブソーバ110と、ストラットマウント120と、コイルスプリング130とを備えている。
ショックアブソーバ110は、シリンダと、シリンダから伸び車体150側に取付けられるストラットロッドとを備えている。
【0005】
シリンダは、下部がナックル140に連結され、ストラットロッドは、上部がストラットマウント120を介して、車体150に連結されている。
また、コイルスプリング130は、ショックアブソーバ110の周囲に配置されていて、上部がストラットロッド側を支持するとともに、下部がシリンダ側を支持するように配置されている。
【0006】
車体150は、例えば、ホイールハウス151と、ホイールハウス151に形成されたストラットタワー152と、上部サイドメンバ156とを備えている。
ストラットタワー152は、ホイールハウス151に対応するストラットハウジング153と、ストラット取付部を構成するストラット取付壁部154とを有し、ストラット取付壁部154は、ショックアブソーバ110の軸線と略直交する面により形成されている。
【0007】
ショックアブソーバ110は、ストラットロッドが、ストラットマウント120を介してストラット取付壁部154に取付けられており、ストラット101からの荷重、すなわちショックアブソーバ110からの荷重が、ストラットマウント120を介してストラット取付壁部154に伝達するようになっている。
【0008】
また、シリンダは、ナックル140の上部に連結されており、ナックル140は、下部がロアアーム141の先端側に連結され、ロアアーム141の基端側は車体150側に連結されている。
【0009】
かかる従来のストラット式サスペンション装置100では、ストラット101からの荷重がストラットマウント120を介してストラット取付壁部154に付加された場合に、ストラット取付壁部154において大きな面外変形が発生する可能性があるという問題があった。
【0010】
そこで、車体側において、ストラットタワーとサイドメンバとを連結部材で連結し、ストラットタワー上部と連結部材の一部を重ね合わせて二重構造にするとともに、それぞれの周縁部にフランジを形成することで、剛性を向上する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
一方で、ストラットからストラットタワーのストラット取付壁部に伝達される荷重に起因するストラット取付壁部における面外変形の発生を、簡単な構成によって、車体重量及び製造コストの増加をできる限り抑制して、効率的に抑制することが可能な技術に対する強い要請がある。
【0013】
そこで、発明者は、簡単な構成によりストラット取付壁部における面外変形が抑制可能とされ、ひいては車体重量及び製造コストの増加を抑制することが可能な技術を鋭意研究した結果、ストラットからストラット取付壁部に伝達される荷重を、この荷重に沿う方向の取付壁部によりストラット取付壁部に伝達することにより、ストラット取付壁部における面外変形を効率的に抑制することが可能であるとの知見を得た。
【0014】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、簡単な構成により、ストラットからストラット取付壁部に伝達される荷重が、ストラット取付壁部と直交する方向に作用するのを低減することにより、ストラット取付壁部において発生する面外変形を効率的に抑制することが可能なストラットマウント、ストラット及びサスペンション装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に記載の発明は、車輪を軸支する車輪支持部材を支持するストラットを、車体に取付けるストラットマウントであって、前記ストラットを前記車体の左右部分に配置されたストラットタワーに形成されたストラット取付壁部に対して取付ける取付壁部は、前記ストラットの軸方向に沿って形成され、前記ストラットをストラットタワーに取付ける取付部材が
、前記取付壁部の周方向に3個以上配置される軸方向取付部を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項6に記載の発明は、車輪を軸支する車輪支持部材を支持するストラットであって、前記請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のストラットマウントを備えることを特徴とする。
【0017】
請求項7に記載の発明は、サスペンション装置であって、請求項6に記載のストラットを備えることを特徴とする。
【0018】
この発明に係るストラットマウント、ストラット及びサスペンション装置によれば、取付壁部が、ストラットの軸方向に沿って形成された軸方向取付部を備えているので、ストラット取付壁部に面外方向の力が作用することが抑制される。
取付壁部が、周方向に
3個以上の取付部材が配置可能とされているので、ストラットからの荷重を、ストアットタワーに安定して伝達することができ、その結果、ストラット取付壁部において発生する面外変形を効率的かつ安定して抑制することができる。
【0019】
この明細書において、軸方向取付部とは、取付壁部の全体を構成していてもよいし、取付壁部の位置が軸方向取付部とされていてもよい。
【0020】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のストラットマウントであって、前記取付壁部は、前記軸方向から見て円筒に形成された円筒壁部を
備えていることを特徴とする。
【0021】
この発明に係るストラットマウントによれば、取付壁部が円筒壁部を備え、円筒壁部は、周方向に
3個以上の取付部材が配置可能とされているので、ストラットからの荷重を、ストアットタワーに安定して伝達することができ、その結果、ストラット取付壁部において発生する面外変形を効率的かつ安定して抑制することができる。
【0022】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のストラットマウントであって、前記取付壁部が、前記軸方向から見て多角形に形成された多角筒壁部を
備えていることを特徴とする。
【0023】
この発明に係るストラットマウントによれば、取付壁部が多角筒壁部を備え、多角筒壁部が、周方向に
3個以上の取付部材が配置可能とされているので、ストラットからの荷重を、ストアットタワーに安定して伝達することができ、その結果、ストラット取付壁部において発生する面外変形を効率的かつ安定して抑制することができる。
【0024】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のストラットマウントであって、前記取付壁部は、下方に前記ストラット取付壁部に軸方向荷重を伝達する幅広壁部を備えることを特徴とする。
【0025】
この発明に係るストラットマウントによれば、取付壁部が、周方向に複数の取付部材が配置可能とされているので、ストアットタワーに安定して伝達する。また、取付壁部が幅広壁部を備えているので、ストラットからの荷重を受ける取付部材に生じるせん断応力を低減して、ストラット取付壁部に直接作用する力を低減することができる。その結果、ストラット取付壁部において発生する面外変形を効率的かつ安定して抑制することができる。
【0026】
請求項5に記載の発明は、前記請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のストラットマウントであって、前記取付壁部は、前記車体又は車両装備品と対応して形成された対応形状部を有することを特徴とする。
【0027】
この発明に係るストラットマウントによれば、取付壁部が、車体又は車両装備品と対応する対応形状部を有しているので、車体に特有の形状部が形成され、又は車両装備品が配置される場合であっても、ストラットからの荷重を分散して、異なる方向から安定して車体に付加することができる。
【発明の効果】
【0028】
この発明に係るストラットマウント、ストラット及びサスペンション装置によれば、取付壁部が軸方向取付部を備えているので、ストラットからの荷重が、ストラット取付壁部に沿う方向に作用される。その結果、ストラット取付壁部において発生する面外変形を、効率的に抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、
図1から
図4を参照して、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、第1の実施形態に係るストラット式サスペンション装置(サスペンション装置)の概略構成の一例を示す図であり、符号1はストラット式サスペンション装置を、符号7は車体を、符号10はストラットを示している。
【0031】
ストラット式サスペンション装置1は、
図1に示すように、例えば、ストラット10と、車輪WHを回転可能に軸支するナックル(車輪支持部材)2と、ロアアーム3とを備えていて、ストラット10は、上部が車体7に連結されるとともに、下部がナックル2の上部に連結されていて、ストラット10からの荷重を車体7に伝達するように構成されている。
また、ナックル2の下部は、ロアアーム3の先端側に連結されていて、ロアアーム3の基端側は車体7側に連結されている。
【0032】
車体7は、例えば、ホイールハウス71と、ホイールハウス71に形成されたストラットタワー72と、上部サイドメンバ76とを備えている。
ストラットタワー72は、ホイールハウス71に対応するストラットハウジング73と、ストラット取付部を構成するストラット取付壁部74とを有し、ストラット取付壁部74は、円筒壁部を備えた構成とされている。
【0033】
ストラット10は、
図2に示すように、例えば、ショックアブソーバ11と、コイルスプリング15と、ストラットマウント20とを備えている。
ショックアブソーバ11は、例えば、シリンダ12と、シリンダから伸び進退自在に構成されたストラットロッド13とを備え、シリンダ12は、下部に形成された取付ブラケット12Aにナックル2に
取り付けられ、ストラットロッド13は、ストラットマウント20を介してストラット取付壁部74に取付けられている。
【0034】
コイルスプリング15は、上部ブラケット15Aを介してストラットロッド13に連結されるとともに、下部ブラケット15Bを介してシリンダ12に連結されていて、上部ブラケット15Aと下部ブラケット15Bの間を伸張するように配置されており、コイルスプリング15に発生した振動が、ショックアブソーバ11によって緩衝されるように構成されている。
【0035】
ストラットマウント20は、
図3に示すように、例えば、取付壁部21と、ストッパ部材22と、弾性体23と、ベアリング24とを備えており、ストッパ部材22は、有底筒状とされていて、底部中央には、ストラットロッド13が通過可能な貫通孔が形成されている。
【0036】
また、ストラットロッド13に、上部ブラケット15A、ベアリング24、ストッパ部材22をこの順に嵌挿して、ストラットロッド13の先端に形成されたネジ13Aにナット13Tを装着することにより、ストラットマウント20がストラットロッド13に取付けられている。
【0037】
取付壁部21は、例えば、高張力鋼板からなり、円筒壁部(軸方向取付部)21Aと、円筒壁部21Aの上部に接続される上面壁部21Bとを備え、上面壁部21Bの中央には、ストッパ部材22を挿入する貫通孔21Hが形成されている。
【0038】
円筒壁部21Aは、ストラット10の軸線Oと平行な円筒形状に形成されている。
また、円筒壁部21Aには、ストラットマウント20をストラット取付壁部74に取付けるための取付ボルト(取付部材)Tを挿入する貫通孔21Tが形成されていて、円筒壁部21Aの内側(下方側)面には、貫通孔21Tと対応する位置に取付ボルトTを取付けるナット21Sが溶接されている。
【0039】
また、円筒壁部21Aに挿入された取付ボルトTは、例えば、円筒壁部21Aを軸線O方向から見た断面において、円筒壁部21Aの法線方向に配置されるようになっている。
【0040】
取付ボルトTが装着される貫通孔21Tは、例えば、ストラット10の軸線O周りに120°間隔で3つ配置されていて、取付ボルトTの軸線がストラット10の軸線Oに向かう(通過する)ように構成されている。
なお、ストラット10の軸線Oに対する3つの貫通孔21Tの周方向位置は、ストラット10からの荷重の向きや取付ボルトTの取付け作業等を考慮して、任意に設定可能である。
【0041】
ストラット取付壁部74は、
図4に示すように、例えば、円筒壁部74Aと、円筒壁部74Aの上部に形成された上面壁部74Bとを備え、ストラットハウジング73はホイールハウス71に接続され、円筒壁部74Aには、取付ボルトTを装着するための3つの貫通孔74Tが形成されていて、上面壁部74Bの中央には貫通孔74Hが形成されている。
【0042】
ストラット取付壁部74に形成された貫通孔74T及び貫通孔74Tを、ストラットマウント20の取付壁部21に形成された貫通孔21H及び貫通孔21Tと合わせた状態で、取付ボルトTを装着することにより、取付ボルトTがナット21Sと締結されて、ストラット10が、車体7に連結されるようになっている。
【0043】
また、
図4(B)、
図4(C)に示すように、円筒壁部21Aに形成された貫通孔21T及びナット21Sは、例えば、円筒壁部21Aにおいて、ストラット10の軸線Oの周りに120°間隔で形成されていて、円筒壁部21Aの接線方向の分力が互いに相殺されるようになっている。
なお、3つの取付ボルトTが装着する場合に、円筒壁部21Aに対して、どのように配置するかは、任意に設定可能な事項である。
【0044】
第1の実施形態に係るストラットマウント20、ストラット10及びストラット式サスペンション装置1によれば、ストラットマウント20の取付壁部21が、円筒壁部21Aを備えていて、ストラット10が、ストラット10の軸線方向に沿って形成された円筒壁部21Aによりストラット取付壁部74に取付け可能とされているので、ストラット10からストラットタワー72に付加される荷重が、ストラット取付壁部74の面と直交する方向に作用するのが抑制されて、ストラット取付壁部74の法線方向の力を低減することができる。
【0045】
その結果、簡単な構成によって、ストラットの重量及び製造コストの増加、及び車体重量の増加を抑制しつつ、ストラット10から付加される荷重に起因するストラット取付壁部74における面外変形を効率的に低減することができる。
【0046】
次に、
図5、
図6を参照して、本発明の第2の実施形態に係るストラットマウント30について説明する。
図5は、第2の実施形態に係るストラットマウント30の取付壁部の概略構成を示す図であり、
図6は、
図5における矢視X−Xにおける横断面図であり、ストラットマウント30及び取付構造の一例を示す図である。
【0047】
ストラットマウント30が、ストラットマウント20と異なるのは、取付壁部21に代えて、
図5に示すように、円筒形状とされた円筒壁部(軸方向取付部)31Aと、上面壁部31Bと、凹部31Cとを備えた取付壁部31を備えている点である。その他は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0048】
また、取付壁部31には、例えば、平面視ストラット10の軸廻りに120°間隔に、取付部材を装着する3つの貫通孔31Tが形成され、上面壁部31Bには、貫通孔31Hが形成されている。
【0049】
凹部31Cは、円筒壁部31Aに上方から下方に向かってくぼんで形成されていて、軸線O方向の下側には底部31Dが形成されている。そして、この底部31Dは、ストラットマウント30をストラットタワー8に取付けた場合に、ストラット取付壁部81に形成された内方に突出する凸部と当接して、ストラット10からの荷重をストラット取付壁部81に伝達可能とされている。
【0050】
なお、
図6に示すように、ストラットマウント30が、ストラットタワー8のストラット取付壁部81に取付けられた場合に、3つの取付ボルトTは、円筒壁部31Aに対して直交する方向に配置されるようになっている。
【0051】
第2の実施形態に係るストラットマウント30によれば、取付壁部31が、軸線方向に沿って形成された円筒壁部31Aを備えているので、ストラット10からストラットタワー8に付加される荷重が、ストラット取付壁部81の面と直交する方向に作用するのが抑制されて、ストラット取付壁部81の法線方向の力を低減することができる。
その結果、ストラット取付壁部81の面外変形を抑制することができる。
【0052】
また、取付壁部31が凹部31Cを備えているので、取付壁部31が凹部31Cにより補強されるので、面外変形を効率的に抑制することができる。また、取付壁部31が凹部31Cを備えていることにより、ストラットマウント30を、ストラットタワー8に容易かつ効率的に取付けることができる。
【0053】
また、凹部31Cの軸線O方向の下方に底部31Dが形成されているので、ストラット10からの荷重を、ストラット取付壁部に直接付加することが抑制され、ストラットタワー8の面外変形を効率的に抑制することができる。
なお、凹部31Cの底部31Dをストラット取付壁部81と当接させるかどうかは、任意に設定することができる。
【0054】
次に、
図7を参照して、本発明の第3の実施形態に係るストラットマウント35について説明する。
図7は、第3の実施形態に係るストラットマウント35の取付壁部36の概略構成を示す図である。
【0055】
ストラットマウント35が、ストラットマウント20と異なるのは、円筒壁部21Aに代えて、取付壁部36が、
図7に示すような軸緯線O方向から見て六角形の六角筒壁部(軸方向取付部)(多角形筒壁部)36Aを備えている点である。
【0056】
六角筒壁部36は、例えば、高張力鋼板からなり、
図7に示すように、貫通孔36Tが形成された第1側壁部36Aと、第1側壁部36Aと交互に形成され貫通孔36Tが形成されていない第2側壁部36Bと、上面壁部36Cとを備えており、第1側壁部36Aと第2側壁部36Bは、それぞれ3つずつ配置されている。
【0057】
上面壁部36Cには、貫通孔36Hが形成されていて、貫通孔36Hには、ストッパ部材22及びストラットのロッド13が挿通可能とされている。
【0058】
貫通孔36Tは、平面視、ストラット10の軸線Oの周りに120°間隔で配置されている。ストラットマウント35は、貫通孔36Tと、ストラット取付壁部83の貫通孔83Tを対応させて、取付ボルトTにより取り付けられるようになっている。
このとき、取付ボルトTの軸線は、六角筒壁部36の第1側壁部36Aと直交して配置されるようになっている。
【0059】
第3の実施形態に係るストラットマウント35によれば、六角筒壁部36が平面の集合により形成されるので、六角筒壁部36を容易に加工することができる。
また、ストラットマウント35を、容易かつ効率的にストラットタワーに位置決めするとともに、ストラットタワーに効率的に取付けることができる。
なお、六角筒壁部36に代えて、辺の数が6つではない多角形筒壁部(各側壁部の形状、大きさが相違する場合、辺の長さが異なる非対称な多角筒壁部を含む)を用いて取付壁部を構成してもよい。
【0060】
次に、
図8を参照して、本発明の第4の実施形態に係るストラットマウント38について説明する。
図8は、第4の実施形態に係るストラットマウント38の取付壁部39の概略構成を示す斜視図である。
【0061】
ストラットマウント38が、ストラットマウント35と異なるのは、
図9に示すように、取付壁部39が、例えば、六角筒壁部36の下方に、六角筒壁部36と接続される有底円筒壁部40を備えている点である。その他は、第3の実施形態と同様であるので、同じ符号を付して説明を省略する。
【0062】
ストラットマウント38によれば、有底円筒壁部40の上面40Aを、ストラット取付壁部と当接させることにより、ストラット10からの荷重が、ストラット取付壁部に直接付加されることが抑制され、ストラットタワーの面外変形を効率的に抑制することができる。
【0063】
また、取付壁部39が有底円筒壁部40を備えているので、取付壁部39が補強されて、ストラットタワーの面外変形を効率的に抑制することができる。
なお、有底円筒壁部40の上面40Aをストラット取付壁部と当接させるかどうかは、任意に設定することができる。
【0064】
次に、
図9、
図10を参照して、本発明の第5の実施形態に係るストラットマウント42について説明する。
図9は、第5の実施形態に係るストラットマウント42の取付壁部の概略構成を示す図であり、
図10は、ストラットマウント42及び取付構造の一例を示す縦断面図を示している。
【0065】
ストラットマウント42が、第1の実施形態に係るストラットマウント20と異なるのは、取付壁部21に代えて、取付壁部43を備えており、取付壁部43は、
図9に示すように、円筒壁部(軸方向取付部)43Aと、有底円筒壁部43Bと、上面壁部43Cとを備えている点である。
【0066】
取付壁部43は、例えば、平面視ストラット10の軸線O周りに120°間隔に、取付部材を装着する3つの貫通孔43Tが形成され、上部壁部43Cには貫通孔43Hが形成されている。その他は、第1の実施形態と同様であるので説明を省略する。
【0067】
ストラットマウント42によれば、有底円筒壁部43の上面43Dを、ストラット取付壁部82の段差部82Aと当接させることにより、ストラット10からの荷重が、ストラット取付壁部82に直接付加されることが抑制され、ストラットタワー8Aの面外変形を効率的に抑制することができる。
【0068】
また、取付壁部42が有底円筒壁部43Bを備えているので、取付壁部43が補強されて、ストラットタワーの面外変形を効率的に抑制することができる。
なお、有底円筒壁部43の上面43Dをストラット取付壁部82と当接させるかどうかは、任意に設定することができる。
【0069】
次に、
図11を参照して、本発明の第6の実施形態に係るストラットマウント44について説明する。
図11は、第6の実施形態に係るストラットマウント44がストラット取付壁部83に取付けられた状態の概略構成を示す図である。
【0070】
ストラットマウント44は、例えば、
図11に示すように、一部異形とされた対応形状付円筒壁部45を備えていて、対応形状付円筒壁部45は、円筒壁部45Aと、例えば、車両組立工程において装着されるオイルリザーブタンク(車両装備品)Rとの干渉を避けるために形成された対応形状部45Kとを有する構成とされている。
また、対応形状付円筒壁部45には、貫通孔45Hと、貫通孔45Tが形成されている。その他は、第1の実施形態と同様であるので、説明を省略する。
【0071】
第6の実施形態に係るストラットマウント44によれば、対応形状付円筒壁部45が対応形状部45Kを備えていることにより、車体に形成された凹凸及び車両装備品との干渉を抑制しつつストラット取付壁部83に発生する面外変形を、効率的に抑制することができる。
【0072】
次に、
図12を参照して、本発明の第7の実施形態に係るストラットマウント46について説明する。
図12は、第7の実施形態に係るストラットマウント46がストラット取付壁部84に取付けられた状態の概略構成を示す図である。
【0073】
ストラットマウント46は、例えば、
図12に示すように、一部異形とされ上部サイドメンバ76との接続壁部を有するストラット取付壁部84と対応する対応形状付円筒壁部47を備えていて、対応形状付円筒壁部47は、円筒壁部45Aと、例えば、車両組立工程において装着されるオイルリザーブタンク(車両装備品)Rとの干渉を避けるために形成された対応形状部45Kと、接続壁部45Bとを有する構成とされている。
また、対応形状付円筒壁部47には、貫通孔45Hと、貫通孔45Tが形成されている。
【0074】
第7の実施形態に係るストラットマウント46によれば、対応形状付円筒壁部47が対応形状部45K及び接続壁部45Bを備えていることにより、車体に形成された凹凸及び車両装備品との干渉を抑制しつつストラット取付壁部84に発生する面外変形を、効率的に抑制することができる。
【0075】
なお、第6、第7の実施形態では、円筒壁部45Aと、対応形状部45Kとを有する対応形状付円筒壁部45、47について説明したが、円筒壁部45Aに代えて、多角筒壁部や軸線O方向から見て閉じた曲線からなる取付壁部に適用してもよいことは、いうまでもない。
【0076】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更をすることが可能である。
【0077】
例えば、上記の実施形態においては、ストラット10が、ストラット式サスペンション装置1に適用される場合について説明したが、例えば、ダブルウィッシュボーン等の他の形式のサスペンション装置に対しても任意に適用することができる。
【0078】
また、例えば、前部車体構造、後部車体構造に係るストラットタワーのいずれに適用するか、ストラットを操舵装置、駆動軸と接続されるかどうかは、任意に設定することができる。
【0079】
また、上記の実施形態においては、取付部材が取付ボルトTである場合について説明したが、スタッドボルトやせん断キー等を取付部材として用いてもよい。また、用いる取付部材の数、位置は、任意に設定することができる。
また、円筒壁部、閉じた曲線からなる取付壁部、多角筒壁部等を、任意に組み合わせた構成としてもよい。
【0080】
また、上記実施の形態においては、すべての取付ボルトTが、軸方向取付部に配置される場合について説明したが、一部の取付ボルトTが、軸方向取付部以外に配置される構成としてもよい。
【0081】
また、上記の実施形態においては、ストラット10を支持する取付ボルトTが、ストラット取付壁部の法線方向に配置(略垂直方向に取付ける取付ボルトTを除く)されて、ストラット10を取付ける場合について説明したが、取付ボルトTの方向や、ストラット10の軸線Oと交差させるかどうか、ストラットの軸線Oとの交差角度をどうするか等は任意に設定してもよい。
【0082】
また、上記実施の形態においては、取付壁部21、31、36、39、43が、高張力鋼板により形成されている場合について説明したが、取付壁部21、31、36、39、43を、例えば、高張力鋼以外の鋼板、マグネシウム(合金を含む)、アルミニウム(合金を含む)、カーボン樹脂、FRP等とするかどうかは、任意に選択してもよいし、かかる場合に、それぞれの材料に適したプレス加工以外の任意の加工方法を選択してもよい。