特許第6146145号(P6146145)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146145
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】自動販売機の商品見本展示装置
(51)【国際特許分類】
   G07F 9/02 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   G07F9/02 A
   G07F9/02 B
【請求項の数】1
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2013-120418(P2013-120418)
(22)【出願日】2013年6月7日
(65)【公開番号】特開2014-99153(P2014-99153A)
(43)【公開日】2014年5月29日
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】特願2012-230540(P2012-230540)
(32)【優先日】2012年10月18日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161562
【弁理士】
【氏名又は名称】阪本 朗
(72)【発明者】
【氏名】葛山 悟
(72)【発明者】
【氏名】臼杵 博昭
(72)【発明者】
【氏名】後藤 友宏
(72)【発明者】
【氏名】山崎 剛
(72)【発明者】
【氏名】中川 大輔
【審査官】 大谷 謙仁
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−113340(JP,A)
【文献】 特開平05−073765(JP,A)
【文献】 特開2006−330910(JP,A)
【文献】 特開2004−145599(JP,A)
【文献】 特開平02−008991(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00−9/10
G09F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体キャビネットの前面を開閉する外扉に形成されたディスプレイ室内に配設され、複数の商品見本を展示するステージを有するディスプレイ台を備えた自動販売機の商品見本展示装置において、
前記ディスプレイ台は複数の商品見本を展示するステージを有する商品載置台および前記商品載置台を保持する左右一対のブラケットからなり、
前記ディスプレイ台のステージに商品見本を嵌合保持する嵌合部を形成する薄板鋼板製のフレームを備え、当該フレームの前方域を開放、若しくはフレームの前方域を切欠いて開口部を形成してなり、かつ、前記商品載置台のフレームの前方域を覆う光透過性材料からなるプレートを前記商品載置台のステージの下面に設けたことを特徴とする自動販売機の商品見本展示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、自動販売機における本体キャビネットの商品収納庫内に缶入り飲料,ペットボトル入り飲料などの商品をコールド,ホット状態に区分して保存し、外扉のディスプレイ室内に設置したディスプレイ台上に複数の商品見本を左右に並べて展示した自動販売機の商品見本展示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の自動販売機の商品見本展示装置について図12を用いて説明する。図12は一般的な缶入り飲料,ペットボトル入り飲料を販売する自動販売機の斜視図である。図に示すように、この自動販売機は、前面が開放した断熱筐体として形成された本体キャビネット10と、本体キャビネット10の前面に開閉可能に支持された外扉20とからなる。本体キャビネット10の商品収納庫の前面は開閉可能な断熱内扉30によって閉塞されている。本体キャビネット10の商品収納庫内には、断熱仕切壁により左右方向に複数の商品収納室に区分され、各商品収納室には商品を横倒し状態で収納するとともに下端部に商品搬出機構を有する商品収納ラックが収設され、また、各商品収納室の下端には、当該各商品収納室を冷却若しくは加熱して商品収納ラックに収納した商品をコールド,ホット状態に保存する冷却/加熱ユニットが配設されている。本体キャビネット10の下部は機械室として形成され、冷却/加熱ユニットの冷却ユニットと冷媒配管を介して接続される圧縮機,凝縮器などの冷凍機コンデンシングユニットが配設されている。
【0003】
前記外扉20の前面の上部域は透明板40で覆われ、この透明板40と外扉20に開閉可能に支持された中扉60との間の空間がディスプレイ室50として形成されている。前記中扉60の前面には、本体キャビネット10の商品収納庫内に収納した商品に対応した複数の商品見本80を左右に一列に並べて載置したディスプレイ台70が上下方向に3段並べて取付けられている。前記透明板40には、各ディスプレイ台70と対峙する位置に商品選択ボタンユニット90が設けられ、商品選択ボタンユニット90は、ディスプレイ台70に載置された各商品見本80に対応して左右に一列に並べて設けた商品選択ボタン901を有している。前記外扉20の前面には、硬貨投入口201、紙幣挿入口202、返却レバー203、ロック付ハンドル204、硬貨返却口205、および商品取出口206などが設けられ、前記外扉20の前面には、前記硬貨投入口201に連通する硬貨識別装置207、前記紙幣挿入口202に連通する紙幣識別装置208などが設けられている。
【0004】
前記ディスプレイ台70は、良く知られているように、中扉60に固定された左右一対のブラケットと、この左右一対のブラケットに着脱自在に装着される商品載置台とからなる。前記商品載置台は、縦断面略コ字形で下方が開放した横長箱状体の内部に蛍光灯などの照明光源が設けられ、その上面壁には商品見本80を嵌合保持する開口した嵌合部が左右方向に複数並設されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
前記商品見本80は光透過材料により形成された中空状の本体部に商品のデザインが施されるとともに当該本体部の底面に光導入部が設けられている。前記商品見本80は前記ディスプレイ台70の商品載置台に形成した嵌合部に嵌合保持され、ディスプレイ台70の内部に設けた照明光源からの光がディスプレイ台70の開口した嵌合部と商品見本80の底部に形成した光導入部とを通して本体部の内部に照射されることにより恰も発光しているように展示される。前記商品見本80は立体、具体的には、缶,瓶,ペットボトルなどの容器形状に一致させた中空状の本体部を備えた立体状の商品見本や、前記中空状の本体部を縦方向に半分に切断した半割り状の商品見本などが一般的である。
【0006】
また、ディスプレイ台70の前面壁に、アクリル樹脂により横長帯状に形成された冷温情報表示部材および価格情報表示部材を前後に重ね合わせて配設することにより、ディスプレイ台70の上面壁に展示された複数の商品見本80のコールド,ホット状態(冷温情報)および価格情報を表示するのが一般的である。この横長帯状の冷温情報表示部材に代えて、冷温情報が表示された無端の帯状冷温情報表示体を設け、この帯状冷温情報表示体を前記ディスプレイ台70にその左右両端で折り返して架け渡し、ディスプレイ台70の前面に露出した帯状冷温情報表示体に重ねて横長帯状の価格情報表示部材を配設したものも知られている(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3644301号公報
【特許文献2】特開2005−293458号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載された自動販売機の商品見本展示装置においては、前記ディスプレイ台70の商品載置台に形成した嵌合部に嵌合保持された商品見本80が、ディスプレイ台70の内部に設けた照明光源からの光によりその内部から照射されることにより恰も発光しているように展示される点で優れている。しかしながら、商品見本80を展示するディスプレイ台70はディスプレイ室50に露出していることから、利用者が商品見本80を見て購入商品を選択する場合に利用者の目に留まることとなる。この場合、見栄えを良くするためにディスプレイ台70の商品展示台が白色塗料により塗装されているとはいえ、ディスプレイ室50に占めるディスプレイ台70の商品載置台の割合が比較的大きいことからディスプレイ台70の商品載置台自体が目立ってしまい商品見本80が霞んでしまうという問題を有する。この問題を解決するため、ディスプレイ台70を透明な合成樹脂成形品とすることが考えられるが、この場合にはディスプレイ台を大幅に設計変更せねばならないとともに成形のための金型費が嵩むという問題を有する。
【0009】
そこで、本発明は上記の点に鑑みなされたものでありディスプレイ台を大幅に設計変更することなくディスプレイ台に展示された商品見本の光による演出が可能な自動販売機の商品見本展示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するため請求項1に係る発明は、本体キャビネットの前面を開閉する外扉に形成されたディスプレイ室内に配設され、複数の商品見本を展示するステージを有するディスプレイ台を備えた自動販売機の商品見本展示装置において、前記ディスプレイ台は複数の商品見本を展示するステージを有する商品載置台および前記商品載置台を保持する左右一対のブラケットからなり、前記ディスプレイ台のステージに商品見本を嵌合保持する嵌合部を形成する薄板鋼板製のフレームを備え、当該フレームの前方域を開放、若しくはフレームの前方域を切欠いて開口部を形成してなり、かつ、前記商品載置台のフレームの前方域を覆う光透過性材料からなるプレートを前記商品載置台のステージの下面に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明の請求項1に係る発明によれば、本体キャビネットの前面を開閉する外扉に形成されたディスプレイ室内に配設され、複数の商品見本を展示するステージを有するディスプレイ台を備えた自動販売機の商品見本展示装置において、前記ディスプレイ台は複数の商品見本を展示するステージを有する商品載置台および前記商品載置台を保持する左右一対のブラケットからなり、前記ディスプレイ台のステージに商品見本を嵌合保持する嵌合部を形成する薄板鋼板製のフレームを備え、当該フレームの前方域を開放、若しくはフレームの前方域を切欠いて開口部を形成してなり、かつ、前記商品載置台のフレームの前方域を覆う光透過性材料からなるプレートを前記商品載置台のステージの下面に設けたことにより、プレートを有色、例えば、販売商品のキャラクターの色,販売商品をイメージした色とすることによってディスプレイ室内を光により演出することが可能となる。また、プレートを商品見本の冷温情報に一致した暖色系,寒色系の色とすることによりホット,コールド状態を表示することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態1に係る自動販売機の商品見本展示装置の要部斜視図である。
図2図1に示したディスプレイ台の分解斜視図である。
図3】ディスプレイ台の組立て状態を示し、(a)は商品載置台を商品展示位置にセットした状態の側面図、(b)は商品載置台をメンテナンス位置に移動させた状態の側面図である。
図4図2に示したホルダーの取付状態を示し、(a)はホルダーを取付金具に取り付けた状態の側面図、(b)は(a)の分解図である。
図5】本発明の実施の形態2に係る自動販売機の商品見本展示装置の要部斜視図である。
図6図5のディスプレイ台の分解図である。
図7】本発明の実施の形態3に係る自動販売機の商品見本展示装置の要部斜視図である。
図8】商品載置台、ブラケットおよび押え金具の拡大斜視図である。
図9図7に示したディスプレイ台の分解斜視図である。
図10図7のディスプレイ台を外扉に取付けて商品展示位置にセットした状態を示し、(a)は外扉の前方斜め上方から見た斜視図、(b)は外扉の背面斜め上方から見た斜視図である。
図11図7のディスプレイ台を外扉に取付けてメンテナンス位置に移動させた状態を示し、(a)は外扉の前方斜め上方から見た斜視図、(b)は外扉の背面斜め上方から見た斜視図である。
図12】本発明が対象とする自動販売機の一例を示し、(a)はその正面図、(b)は外扉を開放した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品見本展示装置について添付図面を参照して説明する。ここで、本発明の実施の形態に係る自動販売機の商品見本展示装置が従来装置と相違する点は特にディスプレイ台の周辺であるので、ここでは従来装置と相違するディスプレイ台の周辺について説明することとし、また、自動販売機の全体構成は図12に示したものと同一であるので適宜図12を参照しつつ説明を行う。
(実施の形態1)
図1において、1は本発明に係るディスプレイ台であり、商品載置台2およびブラケット3からなる。4は冷温情報,価格情報が表示された商品情報表示部材4であり、この実施の形態では後述するようにディスプレイ台1(商品載置台2)から分離されている。5は前記商品情報表示部材4が装着されるホルダーである。このホルダー5は、図12に示した商品選択ボタン901を有する商品選択ボタンユニット90を構成する取付金具91(図4にて詳述する)に取り付けられている。6はディスプレイ台1に組み付けられたプレートである。
【0019】
前記ディスプレイ台1は、図2の分解図から分かるように、横長の商品載置台2および左右一対のブラケット3,3とからなり、これらの商品載置台2および左右一対のブラケット3,3はそれぞれ薄板鋼板製になる。前記商品載置台2は、上面を形成するステージ21と、当該ステージ21の左右端縁に連なる左右側壁22,22と、前記ステージ21の後縁から立ち上がる複数の取付片23とからなる。前記商品載置台2のステージ21には、商品見本80が嵌合係止される複数、この実施の形態1では12個からなる略円形状の嵌合部24を形成するフレーム25が形成されている。前記複数のフレーム25の後方域は一体的に連結されたステージ平面として形成されるとともに塵埃が溜まるのを防止する抜き穴211が形成される一方、複数のフレーム25のそれぞれ前方域はフレーム25の前縁を残して切り落とされて開放(空白として形成)されている。また、ステージ21の左右両端には側壁22,22に連なる係合板部26,26が設けられ、当該係合板部26,26には下方に押し出し形成されたストッパ261およびクランプ(ナイロンリベットなど)CPの挿通孔262が形成されている。
【0020】
前記商品載置台2の左右側壁22,22にはそれぞれ内側に向って突出する支持軸221が従来と同様に設けられている。この支持軸221は、図3の(a)も参照すると理解できるように、横断面D字状に形成されてD字の直線部分が水平面として上方に位置するように左右側壁22,22に固着されている。また、左右側壁22,22の前縁には内方に向うストッパ片222,222が突出形成されている。前記ステージ21の後縁から立ち上がる複数の取付片23は、中身飲料を抜いた実物の商品(例えば、円柱形状の実缶)を両腕で抱え込むように保持する保持具(不図示)を取り付けるものである。前記取付片23および当該取付片23に取り付けられる保持具は、例えば、特開平10−79078号公報に記載されて公知のものであり、商品見本のみを展示する場合には無くても良いものである。
【0021】
前記商品載置台2とともにディスプレイ台1を構成する左右一対のブラケット3,3は商品載置台2を支持する腕木として機能するものである。この左右一対のブラケット3,3は左右対称に形成されているので、ここでは図の右側のブラケット3について説明し、適宜左側のブラケット3を参照しつつ説明する。
【0022】
前記ブラケット3には、その板面に前記商品載置台2の左右側壁22,22に形成された支持軸221を嵌合支持する異形溝31(図3も参照)が形成され、また、ブラケット3の上縁には内側を向くように突出した係止片32が折り曲げて形成され、さらにブラケット3の後縁には内側を向く背板33(左側のブラケット3を参照)が折り曲げて形成され、当該背板33には背面側に突出するとともに下方に延在した係合爪331(図3参照)が切り起こしにより形成されている。前記異形溝31は、図3を参照すると理解できるように、前記支持軸221を回転可能に支える前半域の円弧状溝部311と、前記円弧状溝部311に連ねて後半域に形成され、前記支持軸221の移動を拘束して商品載置台2を展示位置に保持するスライド溝部312と、前記円弧状溝部311とスライド溝部312との中間位置からブラケット3の上縁に切欠き開口した挿脱溝部313とを組み合わせて形成されている。前記円弧状溝部311は支持軸221より一回り大きな円弧状に形成され、また、前記スライド溝部312の高さ寸法hは支持軸221の高さrよりも僅かに大きな寸法に定められている。なお、ブラケット3の前縁下部に前方に突出するとともに内側に折り曲げて形成した保護片34にはナイロンリベット341(図3参照)が取り付けられている。
【0023】
前記ディスプレイ台1に組み付けられるプレート6は、商品載置台2のステージ21よりも一回り小さい横長のガラス若しくはプラスチック成形品になる。このプレート6には商品載置台21のフレーム25に対応して12個の抜き穴61が形成され、左右端部および後端にはクランプCLの係止孔62が形成されている。前記抜き穴61は、商品載置台21のフレーム25の外郭に略一致する大きさに形成されている。この抜き穴61の大きさは、商品載置台21のフレーム25により形成される嵌合部24に商品見本80を嵌合させた際に商品見本80の嵌合部に当接することがない大きさ、つまり、商品見本80の嵌合保持に悪影響を与えない大きさであれば良いものである。前記プレートは商品載置台2におけるステージ21の下面に挿入、すなわち、前記商品載置台2におけるステージ21の左右両端に形成した係合板部26,26と、左右側壁22,22の前縁に形成した内方に向うストッパ片222,222との間からステージ21の下面に挿入される。そして、プレートの左右端部および後端に形成した係止孔62に、前記ステージ21の左右両端の係合板部26,26に形成した挿通孔262およびステージ21の後端に形成した挿通孔(参照符号省略)を介してクランプCLを差し込むことによってプレート6が商品載置台2に一体化される。前記プレート6は透明であっても良いが、プレート6を有色、例えば、販売商品をイメージした色,販売商品のキャラクターの色、若しくは商品見本80の冷温情報に一致した暖色系,寒色系の色に着色されたものとすることもできる。なお、プレート6の左右端部の後方側は商品載置台2の係合板部26,26形成されたストッパ261を逃げるために切欠かれている。
【0024】
次に、図2に示すディスプレイ台1の組立てについて図3をも参照しつつ説明すると、まず、左右一対のブラケット3,3をディスプレイ室の中扉60(図12参照)に取付ける。このブラケット3,3の中扉60への取付けは、ブラケット3,3の後端面に切り起しにより形成された係合爪331を中扉60の所定位置に設けた角穴に挿入係止させる。これによりブラケット3,3が中扉60の所定位置に固定される。次いで、中扉60に固着された左右一対のブラケット3,3に対して、プレート6が一体化された商品載置台2を、左右一対のブラケット3,3の上方から被せるように装着する。この場合、商品載置台2の左右側壁22,22に内側に向けて突出する支持軸221をブラケット3,3の挿脱溝部313に対峙させた上で、商品載置台2をブラケット3,3に被せる。そして、商品載置台2のステージ21の内壁がブラケット3,3の上縁に当接すると、支持軸221がブラケット3,3の異形溝31に嵌合した状態で商品載置台2がブラケット3,3に一体化される。この状態で商品載置台2を後方(中扉60側)にスライドさせると、支持軸221が異形溝31のスライド溝部312に移動し、前記支持軸221における水平面がスライド溝部312の平坦な上縁に対峙する。前記商品載置台2を後方にスライドさせる途中において、商品載置台2のステージ21の両端の係合板部26に形成されたストッパ261がブラケット3,3の上縁に内側を向くように形成された係止片32を乗り越える。そして、商品載置台2の後端が中扉60に当接するまでスライドさせると商品載置台2の係合板部26に形成されたストッパ261がブラケット3,3の係止片32,32の後方側に落とし込まれる。この場合、前記商品載置台2のステージ21(の内壁)がそれぞれの係止片32,32を乗り越えることができるように、支持軸221の水平面とスライド溝部312の平坦な上縁との間には遊びが形成されているものである。前記商品載置台2の係合板部26に形成されたストッパ261がブラケット3,3の係止片32,32の後方に落し込まれると前記商品載置台2の支持軸221が異形溝31のスライド溝部312に移動した状態、つまり、商品載置台2が商品展示位置にセットされた状態(図3の(a))であり、図1はこのように商品載置台2が商品展示位置にセットされた状態を示している。図1からも分かるように、商品載置台2のステージ21は商品見本80に隠れて見えず、そして、前記商品載置台2のステージ21における複数のフレーム25のそれぞれ前方域がフレーム25の前縁を残して切り落とされて開放(空白として形成)されていることから商品見本80は空中に浮かんでいるように展示されるものである。
【0025】
図3の(a)に示すように商品載置台2を商品展示位置にセットした状態から商品載置台2を若干持ち上げる、つまり商品載置台2の係合板部26に形成されたストッパ261がブラケット3,3の上縁に内側を向くように形成された係止片32,32に引っ掛からないように上方に持ち上げたうえで商品載置台2を前方にスライド移動させると、商品載置台2の左右側壁22,22に形成した支持軸221がブラケット3,3の異形溝31における後半域のスライド溝部312から前半域の円弧状溝部311に移動する。前記支持軸221が円弧状溝部311に達すると商品載置台2の前方への移動が阻止されるので、支持軸221が円弧状溝部311、つまり、メンテナンス位置に到達したことを知ることができる。そこで、商品載置台2を、前記支持軸221を支点として前方側に回動させると商品載置台2がメンテナンス位置で前傾するように傾倒し始める。そして、商品載置台2の左右側壁22,22に形成したストッパ片222,222(図2参照)がブラケット3,3の保護片34に取り付けたナイロンリベット341に当接すると商品載置台2は前傾姿勢に傾倒した状態に保持される(図3の(b)参照)。
【0026】
図3の(b)に示すように、商品載置台2を前傾姿勢に傾倒した状態で、中扉60の拭き作業や商品載置台2のステージ21に溜まった塵埃を払い落とす清掃作業、若しくは商品載置台2に展示された商品見本80の交換などのメンテナンス作業が行われる。この場合、商品載置台2は中扉60から離れており、また、前傾姿勢に傾倒していることから、そのメンテナンス作業を簡単に行うことができる。清掃や商品見本80の交換などメンテナンス作業を完了した後は商品載置台2を元の位置に戻す。この作業は前記と逆の手順、つまり、商品載置台2を、支持軸221を支点として商品見本80が起立状態となるように回動させた上で、中扉60に向けてスライド移動させる。そして、支持軸221をブラケット3,3の異形溝31におけるスライド溝部312に嵌合させて商品載置台2を商品見本80の商品展示位置にセットする。
【0027】
さて、前記ディスプレイ台1(商品載置台2)から分離された商品情報表示部材4は、図2に示すように左右に二分割されている。この商品情報表示部材4は乳白色(光透過性)のポリカーボネート樹脂により横長帯状に形成されるとともにディスプレイ台1に展示される商品見本80に対応する冷温情報41と価格情報42が横並びに表示された表示領域が上下に区分され、当該上下の表示領域にそれぞれ異なる冷温情報41と価格情報42を互いに逆さにして表示してなる。この実施の形態では、右側の商品情報表示部材4の上部の表示領域には「HOT」の文字が、そして、下部の表示領域には「COLD」の文字が互いに逆さまに表示され、左側の商品情報表示部材4の上部の表示領域には「COLD」の文字が、そして、下部の表示領域には「HOT」(図ではホルダー5に隠れて見えない)の文字が互いに逆さまに表示されている。なお、図には明示されていないが、冷温情報41は、商品のホット状態を表すパターンとして暖色(赤色)の背景色に白抜きの「HOT」の文字が施され、商品のコールド状態を表すパターンとして寒色(青色)の背景色に白抜きの「COLD」の文字が施されているものである。前記冷温情報41と横並びに表示された価格情報(¥120)は白色の背景色に黒色にて印刷されている。なお、43は隣接する商品情報(冷温情報41,価格情報42)との間の上下縁部に形成された凹状の係合溝であり、後述するホルダー5の係止爪54に係合するものである。
【0028】
前記商品情報表示部材4が装着されるホルダー5は横長の薄板鋼板製になり、横断面U字状の保持部51(図4も参照)が形成されている。この保持部51の溝幅は、横長帯状の商品情報表示部材4の板厚よりも若干大きく形成されている。前記ホルダー5には保持部51における前壁の上端から前方に向う庇部52が形成され、この庇部52の前縁には3個の係止爪521が折り曲げにより下方に向けて形成されている。前記保持部51の後壁の上端は折返しによりダブルホールドされている。また、前記保持部51の後壁には切り起こしにより形成された固定片53が設けられ、この固定片53にはねじ挿通穴531が形成されている。なお、ホルダー5の保持部51における溝下部には当該溝底の切り起こしにより係止爪54(図2では保持部51の下部を円弧状に切り欠いたように見える箇所であり、引出し線を点線で示している)が形成され、この係止爪54に前述した商品情報表示部材4の上下縁部に形成した係合溝43が係合することにより商品情報表示部材4が左右方向に移動するのを防止している。
【0029】
上記構成になるホルダー5は、図4(商品選択ボタンユニット90を構成する取付金具91にホルダー5を取り付けた状態の側面断面図)に示すように、商品選択ボタンユニット90を構成する取付金具91に取り付けられている。ここで、前記ホルダー5の取り付けに先立ち商品選択ボタンユニット90について説明すると、この商品選択ボタンユニット90は、周知のように、商品選択ボタン901を組み込んだ樹脂成形品としてなる断面半月状の釦ケース900に覆われた不図示のベース基板にプリント基板が固定され、このプリント基板には商品選択ボタン901により作動するスイッチ素子,販売可能表示用/売切表示用の発光ダイオード,入出力制御用IC,外部接続用コネクタなどの各種部品が実装されている。前記プリント基板の外部接続用コネクタは背面側に突出しており、前記ベース基板に背面側に突出して形成されたボスに囲繞されており、取付金具91の背後から制御信号伝送用ハーネスのカプラが接続されるように構成されている。さらに、ベース基板には背面側に突出するとともにインサートナットが埋設されたボスを備え、取付金具91の背後からねじS1を前記ボス内に埋設されたインサートナットに螺合させることにより商品選択ボタンユニット90が透明板40に取り付けられる。なお、透明板40および取付金具91には前記ベース基板の背後の突出するボスが貫通する貫通穴が形成されているものである。
【0030】
前記商品選択ボタンユニット90の取付金具91は、上部フランジ911と下部フランジ912を有する略C字状に形成され、前記下フランジ912内には制御信号伝送用ハーネスが引き回されるように構成されているのは周知のとおりである。この実施の形態の取付金具91は、上フランジ911に前述したホルダー5の係止爪521が係合する係合孔(不図示)が形成され、下フランジ912に前記ホルダー5の固定片53が当接するストッパ片912aが設けられ、このストッパ片912aにねじ穴(不図示)がタップされている。
【0031】
さて、前記ホルダー5の商品選択ボタンユニット90を構成する取付金具91への取り付けは、ホルダー5の庇部52の前縁に形成された係止爪521を取付金具91における上フランジ911に形成した係合孔(不図示)に嵌め込んだ後、ホルダー5の固定片53を下フランジ912のストッパ片912aに当接させたうえで固定片53に形成したねじ挿通孔531を介して不図示のねじをストッパ片912aに形成したねじ穴に螺合させる。これによりホルダー5が商品選択ボタンユニット90の取付金具91に取り付けられる。このように、商品選択ボタンユニット90の取付金具91に取り付けられたホルダー5の横断面U字状の保持部51に前述した商品情報表示部材4が装着される。前記ホルダー5の保持部51に商品情報表示部材4を装着すると、商品情報表示部材4に上下に区分された表示領域のうちの上方の表示領域がホルダー5の保持部51の上方に露出する一方、下方の表示領域が保持部51に隠れる。
【0032】
なお、ディスプレイ台1(商品展示台2)の内部には、照明光源としてのLEDユニット(不図示)が配設され、当該LEDユニットの白色LEDからの光が商品載置台2のステージ21に形成した嵌合部24を介して上方側の商品見本80の内部に照射されるとともに商品載置台2のフレーム25の前方域を覆うプレート6に照射され、また、下方側の商品見本80に照射されるように構成されているものである。
【0033】
前述した本発明の実施の形態1に係る自動販売機の商品見本展示装置によれば、本体キャビネット10の前面を開閉する外扉20に形成されたディスプレイ室50内に配設され、複数の商品見本80を展示する商品載置台2および前記商品載置台2を保持する左右一対のブラケット3,3からなるディスプレイ台1を備えた自動販売機の商品見本展示装置において、ディスプレイ台1を構成する商品載置台2は、その上面のステージ21に商品見本80を嵌合保持する嵌合部24を形成するフレーム25を備え、当該フレーム25の前方域を切欠いて開放してなることにより、ディスプレイ台1を構成する商品載置台2の嵌合部24に商品見本80を嵌合保持させた場合、前記嵌合部24を形成するフレーム25は商品見本80に隠れてディスプレイ室50内に露出することがない、つまり、利用者が商品見本80を見て購入商品を選択する場合にも利用者の目に留まることがないので、従来のように商品載置台2によって商品見本80が霞んでしまうということを防止することができ、さらに、ディスプレイ台1を構成する商品載置台2は、その上面のステージ21に商品見本80を嵌合保持する嵌合部24を形成するフレーム25を備え、当該フレーム25の前方域を切欠いて開放するという、従来のディスプレイ台の商品載置台に対して僅かの設計変更のみで恰も商品見本80が空中に浮かんでいるように展示することが可能である。
【0034】
さらに加えて前述した本発明の実施の形態1に係る自動販売機の商品見本展示装置によれば、本体キャビネット10の前面を開閉する外扉20に形成されたディスプレイ室50内に配設され、複数の商品見本80を展示する商品載置台2および前記商品載置台2を保持する左右一対のブラケット3,3からなるディスプレイ台1を備えた自動販売機の商品見本展示装置において、ディスプレイ台1を構成する商品載置台2は、その上面のステージ21に商品見本80を嵌合保持する嵌合部24を形成するフレーム25を備え、当該フレーム25の前方域を切欠いて開放してなり、かつ、前記商品載置台2のフレーム25の前方域を覆う光透過性材料からなるプレート6を設けたことにより、プレート6を有色、例えば、販売商品のキャラクターの色,販売商品をイメージした色とすることによってディスプレイ室50内を光により演出することが可能となる。また、プレート6を商品見本80の冷温情報に一致した暖色系,寒色系の色とすることによりホット,コールド状態を表示することも可能である。
【0035】
なお、前述した実施の形態1では、プレート6の抜き穴61を、商品載置台21のフレーム25の外郭に略一致する大きさに形成したものについて説明したが、抜き穴61の大きさを商品載置台21のフレーム25の外郭よりも一回り大きく形成してフレーム25の外縁と抜き穴61の孔縁との間に前面側に凸の湾曲状の隙間を設け、当該隙間に薄いシート状の商品見本を差し込んで展示するように構成することもできる。
【0036】
また、前述した実施の形態1では、商品情報表示部材4は左右に二分割されたものについて説明したが、例えば、個々の商品見本80に対応する個別のものとすることもできるものである。さらに、冷温情報41と価格情報42が横並びに表示された商品情報表示部材4を用いたものについて説明したが、従来と同様に冷温情報が表示された冷温情報表示部材と価格情報が表示された価格情報表示部材とを設け、これらの冷温情報表示部材および価格情報表示部材を前後に重ね合わせるものであっても良いものである。
(実施の形態2)
図5および図6は、本発明の実施の形態2に係る自動販売機の商品見本展示装置を示す。この実施の形態2に係る自動販売機の商品見本展示装置が実施の形態1に係る自動販売機の商品見本展示装置の相違する点は、実施の形態1に係る自動販売機の商品見本展示装置においてはディスプレイ台1(商品載置台2)から冷温情報,価格情報が表示された商品情報表示部材4が分離されているのに対し、ディスプレイ台1Aを構成する商品載置台2Aに冷温情報,価格情報を表示する部材が一体に形成されている点であり、左右一対のブラケット3,3を含むその他の構成については同一であるので、同一の符号を付して重複する説明について省略する。
【0037】
図5および図6において、1Aは本発明に係るディスプレイ台であり、横長の商品載置台2Aおよび左右一対のブラケット3,3からなる。7は価格情報71が表示された価格情報表示部材であり、前記ディスプレイ台1(商品載置台2)に装着されるものである。8は冷温情報が表示された無端の帯状冷温情報表示体であり、前記前記ディスプレイ台1(商品載置台2)に架け渡して配設されるものである。なお、価格表示部材7および帯状冷温情報表示体8は特許文献2に記載されているものと同一であるので、詳細な説明は特許文献2に譲り、ここでは簡略な説明にとどめる。
【0038】
前記ディスプレイ台1Aを構成する商品載置台2Aは薄板鋼板製になり、上面を形成するステージ21Aと、当該ステージ21Aの左右端縁に連なる左右側壁22,22と、前記ステージ21Aの前縁に連なる前面壁27と、前記ステージ21の後縁に連なる後面壁(不図示)からなる。前記商品載置台2Aのステージ21Aには、商品見本81(この実施の形態2では缶,瓶,ペットボトルなどの容器形状に一致させた中空状の本体部を縦方向に半分に切断した半割り状の商品見本)が嵌合係止される複数、この実施の形態2では12個からなる略半円形状の嵌合部24Aを形成するフレーム25Aが形成されている。前記複数のフレーム25Aのそれぞれ前方域はフレーム25Aの前縁およびステージ21の前縁211を残して切り欠いた開口部210として形成されている。また、ステージ21Aの左右両端に設けられた係合板部26A,26Aには下方に押し出し形成されたストッパ261A,261Aが前後方向に並設されている。
【0039】
前記ステージ21Aの前面壁27の下端は前方側に折り曲げて形成したガイド部27aが設けられるとともに各商品見本80に対応して複数( 本実施の形態では12個)の透光穴27b が設けられている。前記ステージ21Aの後面壁(不図示)の下端にも前方側に折り曲げて形成したガイド部が形成されている。 前記価格情報表示部材7は前記商品載置台2Aの前面壁27に沿うように横長の透明なポリカーボネート樹脂からなり、前記前面壁27の透光穴27bに対応して価格情報71(例えば、¥120)が表示されている。この価格情報表示部材7は前記商品載置台2Aの前面壁27のガイド部27aに装着されるものである。
【0040】
前記帯状冷温情報表示体8は透光性フィルムからなる無端の帯状体として形成され、その外面における周方向に沿った上方域には冷温情報8a(「HOT」および「COLD」の文字)が表示されている。この冷温情報8aは、図には明示されていないが、商品のホット状態を表すパターンとして暖色(赤色)の背景色に白抜きの「HOT」の文字として、また、商品のコールド状態を表すパターンとして寒色(青色)の背景色に白抜きの「COLD」の文字として印刷されている。なお、「HOT」および「COLD」の文字と背景色は帯状冷温情報表示体8の周方向の略半周分ずつに区分して施されている。この帯状冷温情報表示体8は前方側半周部分が商品載置台2Aの前面壁27の前方側を通り、後方側半周部分が商品載置台2Aの後面壁の前方側を通るように前面壁27のガイド部27aおよび後面壁のガイド部に支持される態様で商品載置台2Aの左右両端で折り返すように架け渡される。この場合、商品載置台2Aの前面壁27のガイド部27aに装着される価格表示部材7は帯状冷温情報表示体8の前方側に配置される。
【0041】
この実施の形態2のディスプレイ台1Aの組立ては、実施の形態1と同様に、まず、左右一対のブラケット3,3をディスプレイ室の中扉60(図12参照)に取り付ける。次いで、中扉60に固着された左右一対のブラケット3,3に対して商品載置台2Aを、左右一対のブラケット3,3の上方から被せるように装着する。ここで、商品載置台2Aの左右側壁22A,22Aに内側に向けて突出する支持軸221Aをブラケット3,3の異形溝31に挿入して商品載置台2Aとブラケット3,3とを一体化したうえで商品載置台2Aを商品展示位置にセットする点は実施の形態1と同様であるが、唯一次の点が異なる。それは、ステージ21Aの左右両端に設けられた係合板部26A,26Aに前後方向に並設したストッパ261A,261Aによりブラケット3,3に形成した係止片32,32を挟むように構成した点である。
【0042】
図5は前記商品載置台2Aを商品展示位置にセットした状態を示している。図5からも分かるように、商品載置台2Aのステージ21Aは商品見本81に隠れて見えず、そして、前記商品載置台2Aのステージ21Aにおける複数のフレーム25Aのそれぞれ前方域がフレーム25Aの前縁を残して切り欠いた開口部210として形成されていることから、商品見本81は空中に浮かんでいるように展示されるものである。
【0043】
なお、実施の形態2では、実施の形態1のプレート6を省略したが、実施の形態2にも前記プレート6を追加装備できるものである。
【0044】
前述した本発明の実施の形態2に係る自動販売機の商品見本展示装置によれば、本体キャビネット10の前面を開閉する外扉20に形成されたディスプレイ室50内に配設され、複数の商品見本81を展示する商品載置台2Aおよび前記商品載置台2Aを保持する左右一対のブラケット3,3からなるディスプレイ台1Aを備えた自動販売機の商品見本展示装置において、ディスプレイ台1Aを構成する商品載置台2Aは、その上面のステージ21Aに商品見本81を嵌合保持する嵌合部24Aを形成するフレーム25Aを備え、当該フレーム25Aの前方域を切欠いて開口部210として形成してなることにより、ディスプレイ台1Aを構成する商品載置台2Aの嵌合部24Aに商品見本81を嵌合保持させた場合、前記嵌合部24Aを形成するフレーム25Aは商品見本81に隠れてディスプレイ室50内に露出することがない、つまり、利用者が商品見本81を見て購入商品を選択する場合にも利用者の目に留まることがないので、従来のように商品載置台2Aによって商品見本81が霞んでしまうということを防止することができ、さらに、ディスプレイ台1Aを構成する商品載置台2Aは、その上面のステージ21Aに商品見本81を嵌合保持する嵌合部24Aを形成するフレーム25Aを備え、当該フレーム25Aの前方域を切欠いて開口部210を形成するという、従来のディスプレイ台の商品載置台に対して僅かの設計変更のみで恰も商品見本81が空中に浮かんでいるように展示することが可能である。
(実施の形態3)
図7乃至図11は、本発明の実施の形態3に係る自動販売機の商品見本展示装置を示す。この実施の形態3に係る自動販売機の商品見本展示装置が実施の形態1に係る自動販売機の商品見本展示装置の相違する点は、実施の形態1に係る自動販売機の商品見本展示装置のディスプレイ台1を構成する商品載置台2のステージ21が水平面として構成されているのに対し、ディスプレイ台1Bを構成する商品載置台2Bのステージ21Bが前下がりに傾斜した傾斜面として形成されている点、および実施の形態1に係る自動販売機の商品見本展示装置のディスプレイ台1を構成するブラケット3,3が中扉60に固定されているのに対し、左右一対のブラケット3B,3Bが外扉20に固定され、ディスプレイ台1B(商品載置台2B)が外扉20に装着されている点であり、商品情報表示部材4が装着されるホルダー5を、商品選択ボタンユニット90を構成する取付金具91に取り付ける構成については同一であるので、この実施の形態3ではその説明を割愛する。
【0045】
図7において、1Bは本発明に係るディスプレイ台であり、商品載置台2Bおよびブラケット3B,3B(図9も参照)からなる。6Bはディスプレイ台1Bに組み付けられたプレートである。
【0046】
前記商品載置台2Bは、横長平板状で前下がりに傾斜したステージ21Bと、当該ステージ21Bの左右端縁から背面側に折り曲げられた閉塞壁201Bに連なる左右側壁22B,22Bとからなる。前記商品載置台2Bのステージ21Bには、立体状商品見本82が嵌合係止される複数、この実施の形態3では10個からなる略楕円形状の嵌合部24Bを形成するフレーム25Bが形成されている。前記複数のフレーム25の上方(後方)域は一体的に連結されたステージ平面として形成されるとともに塵埃が溜まるのを防止する抜き穴211Bが形成され、また、ステージ平面の上端には後述するプレート6Bの係合爪611Bが差し込まれる挿通孔212Bが点在(この実施の形態では中央部分と、この中央部分から左右にフレーム3個分離れた箇所)して形成される一方、複数のフレーム25Bのそれぞれ下方(前方)域はフレーム25Bの前縁を残して切り落とされて開放域(空白域として形成)されている。また、ステージ21Bの左右両端には閉塞壁201Bに連なる係合板部26B,26Bが設けられ、当該係合板部26B,26Bにはプレート6Bを固着するクランプ(ナイロンリベットなど)CPの挿通孔262Bが形成されている。
【0047】
前記商品載置台2Bの左右側壁22B,22Bは、その上縁から直角に折り曲げられた天板部220(図8も参照)が前記ステージ21Bの閉塞壁201Bの下縁に連ねる態様で形成され、その板面には内側に向って突出する支持軸221Bが設けられている。この支持軸221Bは、実施の形態1と同様に横断面D字状(図3の(a)参照)に形成されてD字の直線部分が水平面として上方に位置するように左右側壁22B,22Bに固着されている。なお、222Bは左右側壁22,22の前縁から内方に向けて折り曲げられたストッパ片である。
【0048】
前記商品載置台2Bのステージ21Bにフレーム25Bにより形成された略楕円形状の嵌合部24Bに嵌合保持される商品見本82は、良く知られているように光透過材料により中空状に形成された本体部に商品のデザインが施されるとともに当該本体部の下方側がステージ21Bの傾斜角度に合わせて斜めにカットされ、かつ、そのカットされた底面に前記嵌合部24Bに嵌合する嵌合部が設けられている。
【0049】
前記商品載置台2Bとともにディスプレイ台1Bを構成する左右一対のブラケット3B,3Bは商品載置台2Bを支持する腕木として機能するものである。この左右一対のブラケット3B,3Bは、図9にも示すように、左右対称に形成されているので、ここでは図の右側のブラケット3Bについて図8を参照しつつ説明する。なお、図8において、400は外扉20(図12参照)の上部域に開口した窓穴を背面側から覆う透明板40を取付けるための押え金具である。この種の押え金具400は特開2010−128549号公報にも開示されているように周知のものであり、透明板40の周囲を取り囲むように上下左右に設けられ(図8では正面視右側の押え金具を示す)、後端(不図示)が外扉20の扉枠にねじで固定され、前端のフランジ410と外扉20の窓穴周縁との間に透明板40を挟持固定するものである。
【0050】
前記ブラケット3Bは、図8に示すように、その板面に前記商品載置台2Bの左右側壁22B,22Bに取付けられた支持軸221Bを嵌合支持する異形溝31Bが形成されたブラケット本体3B1と、ブラケット本体3B1の下縁から外方に延在するとともに延在端部を上方に折り曲げられた係止部3B2とからなる。前記異形溝31Bは、それぞれブラケット本体3B1の上縁に開口した深溝からなる前半域の拘束溝部312Bおよび浅溝からなる後半域のスライド溝部311Bの組み合わせからなる。前記異形溝31Bのうち、前半域の拘束溝部312Bは前記支持軸221Bの前後方向への移動を拘束して商品載置台2Bを展示位置に保持するものであり、拘束溝部312Bの前後方向の寸法h1は支持軸221Bの径よりも僅かに大きく形成されている。前記異形溝31Bのうち、後半域のスライド溝部311Bはその溝縁に沿って前記支持軸221Bの後方への移動をガイドするとともに当該支持軸221Bを回転可能に支えるものである。なお、ブラケット本体3B1の後方側上縁には内方を向くフランジ3B11が形成されている。
【0051】
前記ブラケット3Bにおける係止部3B2の板面には外方に突出するとともに前方に延在した係止爪3B21が切り起こしにより形成され、また、係止部3B2の前端にも同様の係止爪3B21が形成され、前後一対の係合爪3B21,3B21の間にダボ係合孔3B22が穿孔されている。一方、前記ブラケット3Bが係止固定される押え金具400の板面には前後一対の係合穴部410,410が形成され、これらの係合穴部410,410の間に内側(ディスプレイ室50内側)に突出するダボ突起420が形成されている。前記係合穴部410,410は前端部に鉛直線方向に切り込んだうえで絞り加工を施したものであり、前記ブラケット3Bの係止部3B2における係合爪3B21が嵌まり込む大きさの凹部を備えるとともにその前方が開口してなるものである。前記押え金具400には、前後一対の係合穴部410,410とこれらの係合穴部410,410の間に設けられたダボ突起420の組が、商品見本82の展示レイアウトに応じて上下方向に複数段設けられている。
【0052】
ここで、前記ブラケット3Bは次のようにして押え金具400に係止固定される。すなわち、前後一対の係止爪3B21,3B21を係合穴部410,410の凹部に嵌め込んだ状態でブラケット3Bを前方にスライドさせると前後一対の係止爪3B21,3B21が係合穴部410,410の開口を貫通して押え金具400の板面の背後に進入する。この場合、押え金具400の板面に形成したダボ突起420が前記ブラケット3Bの係止部3B2の板面に当接しているので、前後一対の係止爪3B21,3B21が広がるように撓むことによってダボ突起420と係止部3B2との間にばね力を付与している。そして、前記係止部3B2に穿孔したダボ係合孔3B22がダボ突起420に到達すると前後一対の係止爪3B21,3B21のばね力によりダボ突起420がダボ係合孔3B22に嵌り込む。これによりブラケット3Bが押え金具400に係止固定される。
【0053】
前記ディスプレイ台1Bに組み付けられるプレート6Bは、商品載置台2Bのステージ21Bよりも一回り小さい横長のガラス若しくはプラスチック成形品になる。このプレート6Bは商品載置台21Bのフレーム25Bに対応してカットされた10個の切欠き61Bを備えた櫛状に形成され、左右端部にクランプCLの係止孔62Bが形成されている。前記切欠き61Bは商品載置台21Bのフレーム25Bの外郭に略一致する大きさに形成されている。また、切欠き61Bにより形成された櫛の歯のうち、中央の歯およびこの中央の歯から左右に3個目の歯の先端(自由端)には係合爪61Bが形成されている。
【0054】
前記プレート6Bは商品載置台2Bにおけるステージ21Bの下面に挿入、すなわち、図8に示すようにプレート6Bをステージ21Bの斜め下方に配置させた状態でプレート6Bにおける櫛の歯をステージ21の下面に挿入する。この場合、プレート6Bにおける左右両端の櫛の歯を前記ステージ21Bの左右両端の係合板部26B,26Bに対応させて挿入すると、他の歯が隣接するフレーム25Bの間に配置される状態となる。そして、プレート6Bにおける所定の櫛の歯に形成された係合爪611Bをステージ21Bにおけるステージ平面の上端に形成された挿通孔212Bに挿入させたうえで前記ステージ21Bの左右両端の係合板部26B,26Bに形成した挿通孔262Bを介してクランプCLを差し込むことによってプレート6Bが商品載置台2Bに一体化される。
【0055】
次に、図7に示したディスプレイ台1Bのディスプレイ室50への組付けについて説明すると、まず、左右一対のブラケット3B,3Bを押え金具400(図8参照)に係止固定する。右側のブラケット3Bの押え金具400への係止固定については前述したとおりであり、これに倣って左側のブラケット3Bも押え金具400(この場合、左側の押え金具)に係止固定する。次いで、押え金具400に係止された左右一対のブラケット3B,3Bの上方から商品載置台2Bを被せるように装着する。この場合、商品載置台2Bの左右側壁22B,22Bに内側に向けて突出する支持軸221Bをブラケット3B,3Bの上縁に開口した異形溝31Bに対峙させたうえで、商品載置台2Bをブラケット3B,3Bに被せる。そして、商品載置台2Bの左右側壁22B,22Bにおける天板部220がブラケット3Bの上縁に形成したフランジ3B11に当接すると、支持軸221Bが異形溝31Bの拘束溝部312Bに嵌合した状態で商品載置台2Bがブラケット3B,3Bに装着される。この場合、左右側壁22B,22Bの天板部220がブラケット3Bのフランジ3B11に当接することにより商品載置台2Bが支持軸221Bを中心に後傾することが阻止される一方、左右側壁22B,22Bのストッパ片222B,222Bがブラケット3Bのブラケット本体3B1における前縁と当接することにより商品載置台2Bが支持軸221Bを中心に前傾することが阻止される。このように、支持軸221Bが拘束溝部312Bに嵌合すると商品載置台2Bがブラケット3Bに拘束された状態となる。この状態は商品載置台2Bが商品展示位置にセットされた状態であり、図10に商品展示位置にセットされた商品載置台2Bを示している。
【0056】
図10に示すように商品展示位置にセットされた商品載置台2Bをメンテナンス位置に移動させる場合、商品載置台2Bを支持軸221Bを中心に後傾するように若干の力を加えつつ、支持軸221Bが異形溝31Bを構成する拘束溝部312Bからスライド溝部311Bに連なる溝縁に沿って移動するように商品載置台2Bを上方へ持ち上げる。支持軸221Bが拘束溝部312Bの溝縁を摺動する間は左右側壁22B,22Bのストッパ片222B,222Bがブラケット3Bのブラケット本体3B1における前縁と干渉して商品載置台2Bの後傾が妨げられるが、支持軸221Bが拘束溝部312Bからスライド溝部311Bへ連なる溝縁に到達するとストッパ片222B,222Bがブラケット本体3B1における前縁との干渉から抜け出して商品載置台2Bが支持軸221Bを中心として後傾し始める。この場合、左右側壁22B,22Bの天板部220はブラケット本体3B1のフランジ3B11よりも上方へ移動しているので、フランジ3B11と干渉することなくブラケット本体3B1の後縁側に回り込む。支持軸221Bをスライド溝部311Bの下縁に沿って後方にスライドさせる段階ではストッパ片222B,222Bがブラケット本体3B1の前縁の上縁に当接しているので商品載置台2Bは除々に後傾し、支持軸221Bがスライド溝部311Bの後縁に当接した段階ではストッパ片222B,222Bがブラケット本体3B1の前縁の上縁との当接が解除されてストッパ片222B,222Bがブラケット本体3B1のフランジ3B11の上に乗る状態となる。すなわち、商品載置台2Bが商品展示位置にセットされた状態から略90度だけ後方に回転した状態となる。
【0057】
ここで、左右側壁22B,22Bのストッパ片222B,222Bがブラケット本体3B1のフランジ3B11の上に乗る状態では後傾した商品載置台2Bの重心位置が支持軸221Bよりも後方側に位置することから支持軸221Bが浮き上がるように後傾を続けるが、ブラケット本体3B1の後縁側に回り込んだ左右側壁22B,22Bの天板部220がブラケット本体3B1の後縁に当接すると支持軸221Bがスライド溝部311Bの後縁と干渉して商品載置台2Bの後傾が阻止される。つまり、商品載置台2Bが商品展示位置にセットされた状態から後傾姿勢に傾倒したメンテナンス位置に保持される(図11参照)。
【0058】
さて、図10は商品展示位置にセットされた商品載置台2Bのステージ21Bに形成された嵌合部24Bに商品見本82が装着されて展示される状態を示している。この図10からも分かるように、商品載置台2Bに形成された複数のフレーム25Bは商品見本82に隠れて見えず、そして、複数のフレーム25Bのそれぞれ前方域および隣接するフレーム25Bの間が開放された空白域に光透過材料からなるプレート6Bが存在し、当該プレート6が無色透明である場合には商品見本82があたかも空中に浮かんでいるように展示されるものである。また、プレート6Bを有色、例えば、販売商品のキャラクターの色,販売商品をイメージした色とすることによってディスプレイ室50内を光により演出することが可能となり、さらに、プレート6Bを商品見本の冷温情報に一致した暖色系,寒色系の色とすることによりホット,コールド状態を表示することも可能である。なお、この実施の形態ではプレート6Bを装着した例について説明したが、プレート6Bを省くこともできるものである。
【0059】
前述した本発明の実施の形態3に係る自動販売機の商品見本展示装置によれば、本体キャビネット10の前面を開閉する外扉20に形成されたディスプレイ室50内に配設され、複数の商品見本82を展示するステージ21Bを有するディスプレイ台1Bを備えた自動販売機の商品見本展示装置において、前記ディスプレイ台1B(商品載置台2B)のステージ21Bに商品見本82を嵌合保持する嵌合部24Bを形成するフレーム25Bを備え、当該フレーム25Bの前方域を開放してなることにより、ディスプレイ台1Bを構成する商品載置台21Bの嵌合部24Bに商品見本82を嵌合保持させた場合、前記嵌合部24Bを形成するフレーム25Bは商品見本82に隠れてディスプレイ室50内に露出することがない、つまり、利用者が商品見本82を見て購入商品を選択する場合にも利用者の目に留まることがないので、従来のように商品載置台によって商品見本が霞んでしまうということを防止することができ、さらに、ディスプレイ台1Bを構成する商品載置台2Bは、その上面のステージ21Bに商品見本82を嵌合保持する嵌合部24Bを形成するフレーム25Bを備え、当該フレーム25Bの前方域を開放するという、従来のディスプレイ台の商品載置台に対して僅かの設計変更のみで恰も商品見本82が空中に浮かんでいるように展示することが可能である。
【0060】
なお、前記各実施の形態では商品見本80,81,82を嵌合保持する嵌合部24,24A,24Bを形成するフレーム25,25A,25Bが切れ目のない連続したものについて説明したが、フレーム25,25A,25Bは必ずしも連続したものではなく、切れ目を有するものでも良いものであり、前述した実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【符号の説明】
【0061】
1,1A,1B…ディスプレイ台、2,2A,2B…商品展示台、3,3B…ブラケット、4…商品情報表示部材、5…ホルダー、6,6B…プレート、7…価格情報表示部材、8…帯状冷温情報表示体、20…外扉、21,21A,21B…ステージ、22,22A,22B…側壁、24,24A,24B…嵌合部、25,25A,25B…フレーム、27…前面壁、50…ディスプレイ室、80,81,82…商品見本、210…開口部、211,221B…支持軸。
図1
図2
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図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12