特許第6146178号(P6146178)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146178
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】不揮発性メモリ
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/15 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   G11C11/15 110
【請求項の数】8
【全頁数】39
(21)【出願番号】特願2013-146994(P2013-146994)
(22)【出願日】2013年7月12日
(65)【公開番号】特開2015-18592(P2015-18592A)
(43)【公開日】2015年1月29日
【審査請求日】2016年6月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111763
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100163832
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 直哉
(72)【発明者】
【氏名】浅野 正通
(72)【発明者】
【氏名】高島 洋
【審査官】 後藤 彰
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2011/0280073(US,A1)
【文献】 国際公開第2009/031231(WO,A1)
【文献】 特開2013−125567(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2008/0151652(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G11C 11/15
G11C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
不揮発性メモリセルにより構成された不揮発性メモリセルアレイを有する不揮発性メモリであって、
前記不揮発性メモリセルは、
揮発性記憶部と第1および第2の不揮発性記憶部とを有し、
前記揮発性記憶部は、
互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号とする第1および第2のインバータからなるフリップフロップと、
前記第1のインバータの出力ノードとビット線との間に介挿された第1のスイッチと、
前記第2のインバータの出力ノードと反転ビット線との間に介挿された第2のスイッチとを有し、
前記第1の不揮発性記憶部は、前記第1のインバータの出力ノードと前記ビット線との間に直列に介挿された第1の閾素子および第1の抵抗変化型素子を有し、
前記第2の不揮発性記憶部は、前記第2のインバータの出力ノードと前記反転ビット線との間に直列に介挿された第2の閾素子および第2の抵抗変化型素子を有し、
前記第1の不揮発性記憶部では、前記第1の閾素子が前記第1のインバータの出力ノード側に、前記第1の抵抗変化型素子が前記ビット線側に設けられ、
前記第2の不揮発性記憶部では、前記第2の閾素子が前記第2のインバータの出力ノード側に、前記第2の抵抗変化型素子が前記反転ビット線側に設けられており、
前記第1および第2のインバータは、Pチャネルの電界効果トランジスタおよびNチャネルの電界効果トランジスタからなるCMOSインバータであり、
前記不揮発性メモリセルにおいて前記揮発性記憶部から前記不揮発性記憶部にデータを書き込むストアを行う場合には、前記第1および第2のスイッチをOFFとし、電源電圧が前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流すことが可能な印加電圧よりも大きく、かつ、基準ビット線電圧と前記電源電圧および前記基準ビット線電圧間の差電圧の両方が前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流すことが可能な印加電圧よりも大きくなるように電圧値が決定された前記電源電圧と前記基準ビット線電圧を発生し、前記電源電圧を前記揮発性記憶部に供給するとともに、前記基準ビット線電圧を前記ビット線および前記反転ビット線に供給し、
前記不揮発性メモリセルにおいて前記不揮発性記憶部から前記揮発性記憶部にデータを書き込むリコールを行う場合には、前記第1および第2のスイッチをOFFとし、前記ビット線および前記反転ビット線に前記第1および第2のインバータのNチャネル電界効果トランジスタをONさせない所定の電圧を与えた状態において、前記揮発性記憶部に対する電源電圧を0Vから通常動作時の電源電圧まで立ち上げることを特徴とする不揮発性メモリ。
【請求項2】
前記リコール時に、前記第1または第2のインバータの出力ノードに介在する拡散層とその背景である半導体基板との間の接合が順方向バイアスされるときの当該出力ノードの電圧を下限値とし、かつ、この下限値に前記Nチャネル電界効果トランジスタの閾値電圧を加えた電圧を上限値とする範囲内の電圧をビット線および反転ビット線に与えることを特徴とする請求項1に記載の不揮発性メモリ。
【請求項3】
不揮発性メモリセルにより構成された不揮発性メモリセルアレイを有する不揮発性メモリであって、
前記不揮発性メモリセルは、
揮発性記憶部と第1および第2の不揮発性記憶部とを有し、
前記揮発性記憶部は、
互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号とする第1および第2のインバータからなるフリップフロップと、
前記第1のインバータの出力ノードとビット線との間に介挿された第1のスイッチと、
前記第2のインバータの出力ノードと反転ビット線との間に介挿された第2のスイッチとを有し、
前記第1の不揮発性記憶部は、前記第1のインバータの出力ノードと前記ビット線との間に直列に介挿された第1の閾素子および第1の抵抗変化型素子を有し、
前記第2の不揮発性記憶部は、前記第2のインバータの出力ノードと前記反転ビット線との間に直列に介挿された第2の閾素子および第2の抵抗変化型素子を有し、
前記第1の不揮発性記憶部では、前記第1の抵抗変化型素子が前記第1のインバータの出力ノード側に、前記第1の閾素子が前記ビット線側に設けられ、
前記第2の不揮発性記憶部では、前記第2の抵抗変化型素子が前記第2のインバータの出力ノード側に、前記第2の閾素子が前記反転ビット線側に設けられており、
前記第1および第2のインバータは、Pチャネルの電界効果トランジスタおよびNチャネルの電界効果トランジスタからなるCMOSインバータであり、
前記不揮発性メモリセルにおいて前記揮発性記憶部から前記不揮発性記憶部にデータを書き込むストアを行う場合には、前記第1および第2のスイッチをOFFとし、電源電圧が前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流すことが可能な印加電圧よりも大きく、かつ、基準ビット線電圧と前記電源電圧および前記基準ビット線電圧間の差電圧の両方が前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流すことが可能な印加電圧よりも大きくなるように電圧値が決定された前記電源電圧と前記基準ビット線電圧を発生し、前記電源電圧を前記揮発性記憶部に供給するとともに、前記基準ビット線電圧を前記ビット線および前記反転ビット線に供給し、
前記不揮発性メモリセルにおいて前記不揮発性記憶部から前記揮発性記憶部にデータを書き込むリコールを行う場合には、前記第1および第2のスイッチをOFFとし、前記ビット線および前記反転ビット線に前記揮発性記憶部の通常動作時の電源電圧よりも高い電圧を与えた状態において、前記揮発性記憶部に対する電源電圧を0Vから通常動作時の電源電圧まで立ち上げることを特徴とする不揮発性メモリ。
【請求項4】
不揮発性メモリセルを行列状に配列した不揮発性メモリセルを有する不揮発性メモリにおいて、
前記不揮発性メモリセルは、
揮発性記憶部と第1および第2の不揮発性記憶部とを有し、
前記揮発性記憶部は、
互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号とする第1および第2のインバータからなるフリップフロップと、
前記第1のインバータの出力ノードとビット線との間に介挿された第1のスイッチと、
前記第2のインバータの出力ノードと反転ビット線との間に介挿された第2のスイッチとを有し、
前記第1の不揮発性記憶部は、前記第1のインバータの出力ノードと前記ビット線との間に直列に介挿された第1の閾素子および第1の抵抗変化型素子を有し、
前記第2の不揮発性記憶部は、前記第2のインバータの出力ノードと前記反転ビット線との間に直列に介挿された第1の閾素子および第2の抵抗変化型素子を有し、
前記不揮発性メモリは、
データ線および反転データ線と、
前記不揮発性メモリセルアレイの不揮発性メモリセルの各列のビット線と前記データ線の間に各々介挿された各スイッチと各列の反転ビット線と前記反転データ線の間に各々介挿された各スイッチとを有するカラムゲートと、
通常動作時には、書込データに応じた電圧であって、前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流さない程度の低い電圧をデータ線および前記反転データ線に出力し、前記不揮発性メモリセルアレイにおいて前記揮発性記憶部から前記第1および第2の不揮発性記憶部にデータを書き込むストア時と、前記不揮発性メモリセルアレイにおいて前記第1および第2の不揮発性記憶部から前記揮発性記憶部にデータを書き込むリコール時には、前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流す基準ビット線電圧を前記データ線および前記反転データ線に出力する書込回路と、
通常動作時に前記不揮発性メモリセルアレイにおいて行アドレスが示す行に属する各不揮発性メモリセルの前記第1および第2のスイッチをONとし、前記ストア時および前記リコール時には、前記不揮発性メモリセルアレイの全ての不揮発性メモリセルの前記第1および第2のスイッチをOFFとする行デコーダと、
通常動作時に前記不揮発性メモリセルアレイにおいて列アドレスが示す列の各不揮発性メモリセルが接続されたビット線および反転ビット線を前記データ線および前記反転データ線に各々接続させるための前記カラムゲートの制御を行う手段であって、前記ストア時時および前記リコール時には、前記不揮発性メモリセルアレイのストア対象またはリコール対象である各不揮発性メモリセルが接続されたビット線および反転ビット線を前記カラムゲートにより前記データ線および前記反転データ線に各々接続し、当該不揮発性メモリセルの揮発性記憶部に電源電圧を供給するための制御を行う列デコーダとを具備し、
前記第1の不揮発性記憶部では、前記第1の閾素子が前記第1のインバータの出力ノード側に、前記第1の抵抗変化型素子が前記ビット線側に設けられ、
前記第2の不揮発性記憶部では、前記第2の閾素子が前記第2のインバータの出力ノード側に、前記第2の抵抗変化型素子が前記反転ビット線側に設けられており、
前記第1および第2のインバータは、Pチャネルの電界効果トランジスタおよびNチャネルの電界効果トランジスタからなるCMOSインバータであり、
前記リコール時に、前記不揮発性メモリセルアレイの全ての列について、前記ビット線および前記反転ビット線に前記第1および第2のインバータのNチャネル電界効果トランジスタをONさせない基準ビット線電圧を与え、前記揮発性記憶部に対する電源電圧を0Vから通常動作時の電源電圧まで立ち上げることを特徴とする不揮発性メモリ。
【請求項5】
不揮発性メモリセルを行列状に配列した不揮発性メモリセルを有する不揮発性メモリにおいて、
前記不揮発性メモリセルは、
揮発性記憶部と第1および第2の不揮発性記憶部とを有し、
前記揮発性記憶部は、
互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号とする第1および第2のインバータからなるフリップフロップと、
前記第1のインバータの出力ノードとビット線との間に介挿された第1のスイッチと、
前記第2のインバータの出力ノードと反転ビット線との間に介挿された第2のスイッチとを有し、
前記第1の不揮発性記憶部は、前記第1のインバータの出力ノードと前記ビット線との間に直列に介挿された第1の閾素子および第1の抵抗変化型素子を有し、
前記第2の不揮発性記憶部は、前記第2のインバータの出力ノードと前記反転ビット線との間に直列に介挿された第1の閾素子および第2の抵抗変化型素子を有し、
前記不揮発性メモリは、
データ線および反転データ線と、
前記不揮発性メモリセルアレイの不揮発性メモリセルの各列のビット線と前記データ線の間に各々介挿された各スイッチと各列の反転ビット線と前記反転データ線の間に各々介挿された各スイッチとを有するカラムゲートと、
通常動作時には、書込データに応じた電圧であって、前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流さない程度の低い電圧をデータ線および前記反転データ線に出力し、前記不揮発性メモリセルアレイにおいて前記揮発性記憶部から前記第1および第2の不揮発性記憶部にデータを書き込むストア時と、前記不揮発性メモリセルアレイにおいて前記第1および第2の不揮発性記憶部から前記揮発性記憶部にデータを書き込むリコール時には、前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流す基準ビット線電圧を前記データ線および前記反転データ線に出力する書込回路と、
通常動作時に前記不揮発性メモリセルアレイにおいて行アドレスが示す行に属する各不揮発性メモリセルの前記第1および第2のスイッチをONとし、前記ストア時および前記リコール時には、前記不揮発性メモリセルアレイの全ての不揮発性メモリセルの前記第1および第2のスイッチをOFFとする行デコーダと、
通常動作時に前記不揮発性メモリセルアレイにおいて列アドレスが示す列の各不揮発性メモリセルが接続されたビット線および反転ビット線を前記データ線および前記反転データ線に各々接続させるための前記カラムゲートの制御を行う手段であって、前記ストア時時および前記リコール時には、前記不揮発性メモリセルアレイのストア対象またはリコール対象である各不揮発性メモリセルが接続されたビット線および反転ビット線を前記カラムゲートにより前記データ線および前記反転データ線に各々接続し、当該不揮発性メモリセルの揮発性記憶部に電源電圧を供給するための制御を行う列デコーダとを具備し、
前記第1の不揮発性記憶部では、前記第1の抵抗変化型素子が前記第1のインバータの出力ノード側に、前記第1の閾素子が前記ビット線側に設けられ、
前記第2の不揮発性記憶部では、前記第2の抵抗変化型素子が前記第2のインバータの出力ノード側に、前記第2の閾素子が前記反転ビット線側に設けられており、
前記第1および第2のインバータは、Pチャネルの電界効果トランジスタおよびNチャネルの電界効果トランジスタからなるCMOSインバータであり、
前記リコール時に、前記不揮発性メモリセルアレイの全ての列について、前記ビット線および前記反転ビット線に前記揮発性記憶部の通常動作時の電源電圧よりも高い基準ビット線電圧を与え、前記揮発性記憶部に対する電源電圧を0Vから通常動作時の電源電圧まで立ち上げることを特徴とする不揮発性メモリ。
【請求項6】
不揮発性メモリセルを行列状に配列した不揮発性メモリセルを有する不揮発性メモリにおいて、
前記不揮発性メモリセルは、
揮発性記憶部と第1および第2の不揮発性記憶部とを有し、
前記揮発性記憶部は、
互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号とする第1および第2のインバータからなるフリップフロップと、
前記第1のインバータの出力ノードとビット線との間に介挿された第1のスイッチと、
前記第2のインバータの出力ノードと反転ビット線との間に介挿された第2のスイッチとを有し、
前記第1の不揮発性記憶部は、前記第1のインバータの出力ノードと前記ビット線との間に直列に介挿された第1の閾素子および第1の抵抗変化型素子を有し、
前記第2の不揮発性記憶部は、前記第2のインバータの出力ノードと前記反転ビット線との間に直列に介挿された第1の閾素子および第2の抵抗変化型素子を有し、
前記不揮発性メモリは、
データ線および反転データ線と、
前記不揮発性メモリセルアレイの不揮発性メモリセルの各列のビット線と前記データ線の間に各々介挿された各スイッチと各列の反転ビット線と前記反転データ線の間に各々介挿された各スイッチとを有するカラムゲートと、
通常動作時には、書込データに応じた電圧であって、前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流さない程度の低い電圧をデータ線および前記反転データ線に出力し、前記不揮発性メモリセルアレイにおいて前記揮発性記憶部から前記第1および第2の不揮発性記憶部にデータを書き込むストア時と、前記不揮発性メモリセルアレイにおいて前記第1および第2の不揮発性記憶部から前記揮発性記憶部にデータを書き込むリコール時には、前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流す基準ビット線電圧を前記データ線および前記反転データ線に出力する書込回路と、
通常動作時に前記不揮発性メモリセルアレイにおいて行アドレスが示す行に属する各不揮発性メモリセルの前記第1および第2のスイッチをONとし、前記ストア時および前記リコール時には、前記不揮発性メモリセルアレイの全ての不揮発性メモリセルの前記第1および第2のスイッチをOFFとする行デコーダと、
通常動作時に前記不揮発性メモリセルアレイにおいて列アドレスが示す列の各不揮発性メモリセルが接続されたビット線および反転ビット線を前記データ線および前記反転データ線に各々接続させるための前記カラムゲートの制御を行う手段であって、前記ストア時時および前記リコール時には、前記不揮発性メモリセルアレイのストア対象またはリコール対象である各不揮発性メモリセルが接続されたビット線および反転ビット線を前記カラムゲートにより前記データ線および前記反転データ線に各々接続し、当該不揮発性メモリセルの揮発性記憶部に電源電圧を供給するための制御を行う列デコーダとを具備し、
前記リコール時に、前記不揮発性メモリセルアレイの各列を順次選択し、当該列の前記ビット線および前記反転ビット線に所定の基準ビット線電圧を与え、当該列の前記揮発性記憶部に対する電源電圧を0Vから通常動作時の電源電圧まで立ち上げることを特徴とする不揮発性メモリ。
【請求項7】
不揮発性メモリセルを行列状に配列した不揮発性メモリセルを有する不揮発性メモリにおいて、
前記不揮発性メモリセルは、
揮発性記憶部と第1および第2の不揮発性記憶部とを有し、
前記揮発性記憶部は、
互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号とする第1および第2のインバータからなるフリップフロップと、
前記第1のインバータの出力ノードとビット線との間に介挿された第1のスイッチと、
前記第2のインバータの出力ノードと反転ビット線との間に介挿された第2のスイッチとを有し、
前記第1の不揮発性記憶部は、前記第1のインバータの出力ノードと前記ビット線との間に直列に介挿された第1の閾素子および第1の抵抗変化型素子を有し、
前記第2の不揮発性記憶部は、前記第2のインバータの出力ノードと前記反転ビット線との間に直列に介挿された第1の閾素子および第2の抵抗変化型素子を有し、
前記不揮発性メモリは、
データ線および反転データ線と、
前記不揮発性メモリセルアレイの不揮発性メモリセルの各列のビット線と前記データ線の間に各々介挿された各スイッチと各列の反転ビット線と前記反転データ線の間に各々介挿された各スイッチとを有するカラムゲートと、
通常動作時には、書込データに応じた電圧であって、前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流さない程度の低い電圧をデータ線および前記反転データ線に出力し、前記不揮発性メモリセルアレイにおいて前記揮発性記憶部から前記第1および第2の不揮発性記憶部にデータを書き込むストア時と、前記不揮発性メモリセルアレイにおいて前記第1および第2の不揮発性記憶部から前記揮発性記憶部にデータを書き込むリコール時には、前記第1および第2の不揮発性記憶部に電流を流す基準ビット線電圧を前記データ線および前記反転データ線に出力する書込回路と、
通常動作時に前記不揮発性メモリセルアレイにおいて行アドレスが示す行に属する各不揮発性メモリセルの前記第1および第2のスイッチをONとし、前記ストア時および前記リコール時には、前記不揮発性メモリセルアレイの全ての不揮発性メモリセルの前記第1および第2のスイッチをOFFとする行デコーダと、
通常動作時に前記不揮発性メモリセルアレイにおいて列アドレスが示す列の各不揮発性メモリセルが接続されたビット線および反転ビット線を前記データ線および前記反転データ線に各々接続させるための前記カラムゲートの制御を行う手段であって、前記ストア時時および前記リコール時には、前記不揮発性メモリセルアレイのストア対象またはリコール対象である各不揮発性メモリセルが接続されたビット線および反転ビット線を前記カラムゲートにより前記データ線および前記反転データ線に各々接続し、当該不揮発性メモリセルの揮発性記憶部に電源電圧を供給するための制御を行う列デコーダとを具備し、
前記不揮発性メモリは、前記ストア時に、前記不揮発性メモリセルアレイの各列を順次選択し、1つの列を選択している期間を2つの期間に分け、前記2つの期間の一方では、当該列の前記ビット線および前記反転ビット線に第1の基準ビット線電圧を与えるとともに、当該列の前記揮発性記憶部に対して第1の電源電圧を与え、前記2つの期間の他方では、当該列の前記ビット線および前記反転ビット線に第2の基準ビット線電圧を与えるとともに、当該列の前記揮発性記憶部に対して第2の電源電圧を与えるものであり、
前記第1の電源電圧と前記第1の基準ビット線電圧は、前記第1の電源電圧が前記第1の基準ビット線電圧よりも低く、前記第1の電源電圧の印加時において、前記第1の基準ビット線電圧と前記第1または第2のインバータのいずれか一方が出力するLowレベルの電圧との差分が前記第1または第2の不揮発性記憶部に電流を流す程度の印加電圧となり、かつ、前記第1の基準ビット線電圧と前記第1または第2のインバータのいずれか一方が出力するHighレベルの電圧との差分が前記第1または第2の不揮発性記憶部に電流を流さない程度の印加電圧となるように設定されており、
前記第2の電源電圧と前記第2の基準ビット線電圧は、前記第2の電源電圧が前記第2の基準ビット線電圧よりも高く、前記第2の電源電圧の印加時において、前記第2の基準ビット線電圧と前記第1または第2のインバータのいずれか一方が出力するLowレベルの電圧との差分が前記第1または第2の不揮発性記憶部に電流を流さない程度の印加電圧となり、かつ、前記第2の基準ビット線電圧と前記第1または第2のインバータのいずれか一方が出力するHighレベルの電圧との差分が前記第1または第2の不揮発性記憶部に電流を流す程度の印加電圧となるように設定されていることを特徴とする不揮発性メモリ。
【請求項8】
前記第1および第2の抵抗変化型素子は、磁気トンネル接合素子または電界誘起巨大抵抗変化の発生する抵抗素子であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1の請求項に記載の不揮発性メモリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、抵抗変化型素子を利用した不揮発性メモリセルおよびこの不揮発性メモリセルを備えた不揮発性メモリに関する。
【背景技術】
【0002】
微細化に限界が見えてきたフラッシュメモリあるいはDRAMに代わり、近年、次世代不揮発性メモリとして抵抗変化型素子を利用してデータを記憶する抵抗変化型メモリが注目されている。この抵抗変化型素子としては、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory;磁気抵抗RAM)、PRAM(Phase change Random Access Memory;相変化RAM)、ReRAM(Resistance Random Access Memory;抵抗変化型RAM)等に用いられているものが挙げられる。このような抵抗変化型素子を利用したメモリは、フラッシュメモリのような複雑なプロセスを必要とせず、標準ロジックプロセスと相性が良く、微細化に向いていること、低電圧で動作することより、将来性を有望視されている。この種の抵抗変化型素子を利用したメモリの素子構成、特性およびアレイ構成は、例えば特許文献1または非特許文献1に開示されている。
【0003】
図25(a)および(b)は、抵抗変化型素子として代表的なMTJ(Magnetic Tunnel Junction;磁気トンネル接合)素子を利用した不揮発性メモリセルの構成と動作を示す図である。また、図25(c)は、図25(a)および(b)に示す回路を利用した不揮発性メモリセルの等価回路を示す図である。
【0004】
図25(a)および(b)に示すように、MTJ素子は、磁気の方向が一定のピン層と、トンネルバリア膜(絶縁膜)と、磁気の方向が変化するフリー層とからなる。図25(a)に示すように、フリー層からピン層に向かう方向の電流を流すと、フリー層の磁化方向がピン層と同一となり、MTJ素子は低抵抗となり、データ“0”を記憶した状態となる。逆に、図25(b)に示すように、ピン層からフリー層に向かう方向の電流を流すと、フリー層の磁化方向がピン層と反対になり、MTJ素子は高抵抗となり、データ“1”を記憶した状態になる。
【0005】
このようなMTJ素子により不揮発性メモリセルを構成する場合には、図25(a)および(b)に例示するように、MTJ素子を選択するためのスイッチとして、Nチャネル選択トランジスタT1がMTJ素子に直列接続される。図25(c)に示す不揮発性メモリセルは、抵抗変化型素子R1とNチャネル選択トランジスタT1とにより構成されている。ここで、抵抗変化型素子R1は、図25(a)および(b)のMTJ素子である。この抵抗変化型素子R1では、矢印の先端側にフリー層があり、後端側はピン層がある。従って、図25(c)において矢印と逆方向の電流を抵抗変化型素子R1に流すと、抵抗変化型素子R1は低抵抗化し、矢印と同方向の電流を抵抗変化型素子R1に流すと、抵抗変化型素子R1は高抵抗化する。
【0006】
図25(c)に示す例では、MTJ素子である抵抗変化型素子R1のフリー層にビット線BLが接続され、Nチャネル選択トランジスタT1のソースにソース線SLが接続されている。そして、ビット線BLおよびソース線SL間に書き込みデータに対応した電圧を印加し、かつ、Nチャネル選択トランジスタT1にワード線WLを介して所定の行選択電圧を与え、Nチャネル選択トランジスタT1をONさせることにより、抵抗変化型素子R1に電流を流し、抵抗変化型素子R1に対するデータ“1”または“0”の書き込みが行われる。このような不揮発性メモリセルの構成は、例えば非特許文献1に開示されている。
【0007】
図26は、図25(a)および(b)に示すような不揮発性メモリセルにより構成された従来の不揮発性メモリセルアレイの断面構造を例示する図である。図26に示す例では、半導体基板に図25(a)および(b)に示すNチャネル選択トランジスタT1が2個形成されている。そして、1つの不揮発性メモリセルを構成する2つのNチャネル選択トランジスタT1のゲートがワード線WLとなっている。これらのNチャネル選択トランジスタT1のソースは、コンタクトホールCSと第1メタル層1Mと第1層および第2層間のビアV1を介して第2メタル層2Mによるソース線SLに接続されている。また、2つのNチャネル選択トランジスタT1の共用のドレインは、コンタクトホールCSを介してMTJ素子のピン層に接続され、このMTJ素子のフリー層はビアV1を介して第2メタル層2Mによるビット線BLに接続されている。
【0008】
図27は、図25および図26に示す不揮発性メモリセルの動作例を示している。MTJ素子に“0”を書き込む場合、その不揮発性メモリセルのNチャネル選択トランジスタのゲートにワード線WLを介して1.2Vの選択電圧を与え、ビット線BLに1.2Vを、ソース線SLに0Vを与える。この結果、不揮発性メモリセルのMTJ素子にフリー層からピン層に向かう方向の約49μAの電流が流れ、MTJ素子が低抵抗となり、“0”を記憶した状態となる。一方、所望の不揮発性メモリセルのMTJ素子に“1”を書き込む場合、その不揮発性メモリセルのNチャネルトランジスタのゲートに1.2Vの選択電圧WLを与え、ビット線BLに0Vを、ソース線SLに1.2Vを与える。この結果、不揮発性メモリセルのMTJ素子にピン層からフリー層に向かう方向の約49μAの電流が流れ、MTJ素子が高抵抗となり、“1”を記憶した状態となる。
【0009】
所望の不揮発性メモリセルからデータを読み出す場合は、その不揮発性メモリセルのNチャネルトランジスタのゲートに1.2Vの選択電圧WLを与え、ビット線BLに0.15Vを、ソース線SLに0Vを与える。そして、ビット線BLから不揮発性メモリセルのMTJ素子に流れ込む電流を検出する。MTJ素子が“0”を記憶しており、低抵抗となっている場合、MTJ素子には15μA程度の電流が流れる。一方、MTJ素子が“1”を記憶しており、高抵抗となっている場合、MTJ素子には10μA程度の電流が流れる。従って、MTJ素子に流れ込む電流を検出して閾値と比較することにより、MTJ素子が“0”を記憶しているか“1”を記憶しているかを判定することができる。
【0010】
特許文献1は、抵抗変化型素子を用いた書き換え可能な不揮発性RAMを開示している。この特許文献1の不揮発性RAMでは、抵抗変化型素子として、相変化メモリ素子を使用している。
【0011】
図28は、特許文献1の図3に開示された不揮発性RAMのメモリセルの構成を示す回路図である。図28では、PチャネルトランジスタP0およびNチャネルトランジスタN0からなるインバータと、PチャネルトランジスタP1およびNチャネルトランジスタN1からなるインバータとによりフリップフロップが構成されている。PチャネルトランジスタP0およびNチャネルトランジスタN0からなるインバータの出力ノードS0はNチャネルトランジスタNa0を介してビット線BL0に接続されている。また、PチャネルトランジスタP1およびNチャネルトランジスタN1からなるインバータの出力ノードS1はNチャネルトランジスタNa1を介してビット線BL1に接続されている。そして、NチャネルトランジスタNa0およびNa1には、選択電圧WLが与えられる。以上の回路は、通常のSRAM用のメモリセルである。図28に示すメモリセルでは、このSRAM用メモリセルに対して、相変化メモリ素子RrおよびRmと、NチャネルトランジスタNsが追加されている。ここで、相変化メモリ素子RrはPチャネルトランジスタP0のソースと電源線PWRの間に、相変化メモリ素子RmはPチャネルトランジスタP1のソースと電源線PWRの間に各々介挿されている。NチャネルトランジスタNsは、PチャネルトランジスタP1および相変化メモリ素子Rmの接続点とストア線STRとの間に介挿されており、そのゲートにはノードS0の電圧が与えられる。
【0012】
特許文献1によると、相変化メモリ素子の一方(Rr)は参照(リファレンス)抵抗であり、他の一方の相変化メモリ(論理記憶抵抗Rm)が変化する高抵抗(論理値1)と低抵抗(論理値0)との間の抵抗値に予め設定されている。論理記憶抵抗Rmは、電源線PWR、スイッチング素子(トランジスタNs)、ストア線STRにより、相変化を起こす電流を印加される。読み出し時は、点線で示したSRAM回路部を通常のSRAMとして動作させている。この動作のときの論理記憶抵抗Rmは低抵抗値に設定されている。そして、電源が消える前に、ストア線STRの電圧を変化させ、トランジスタNsにより論理記憶抵抗Rmに電流を流すことで、SRAM回路部に記憶されている論理値を移す(ストア)。電源が入ると、相変化メモリ素子Rmに移された記憶内容を、SRAM回路部に戻す(リコール)。このように電源がOFFするときとONするときに、相変化メモリの論理記憶抵抗RmとSRAM回路部とで記憶内容を移したり戻したりすることで、不揮発性メモリとして動作する(以上、特許文献1の段落0012、0013参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3845734号
【特許文献2】特開2013−30240号公報
【特許文献3】特開2002−8369号公報
【特許文献4】特表2007−536680号公報
【非特許文献】
【0014】
【非特許文献1】電子情報通信学会 信学技報ICICE Technical Report ICD2010−7 p35〜p40
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上述した特許文献1の不揮発性RAMには、幾つかの問題がある。まず、特許文献1の不揮発性RAMでは、抵抗変化型素子として、相変化メモリ素子を使用しているが、この相変化メモリ素子は、いわゆるモノポーラ型の抵抗変化素子であり、データ“1”を書き込む場合も、データ“0”を書き込む場合も同一方向の電流を流す必要がある。このため、データの書き込みのための制御が複雑になる。また、相変化メモリ素子は、書き込み特性と消去特性が大きく異なるので、高速に書き換えることができない。また、図28にも示すように、特許文献1の不揮発性RAMでは、フリップフロップを構成する2つのインバータの電源電流経路上に抵抗値の変化する相変化メモリ素子(RrとRm)が介挿されている。このため、フリップフロップがアンバランスとなり、SRAMの特性として最も重要なSNM(Static Noise Margin;スタティックノイズマージン)に大きな悪影響を与える。
以下、このSNMへの悪影響について説明する。
【0016】
図29は一般的なSRAM用のメモリセルの構成を示す回路図である。図示の例では、PチャネルトランジスタP1、P2、NチャネルトランジスタN1、N2、Ta1およびTa2により1つのメモリセルが構成されている。
【0017】
図30(a)〜(d)は、図29に示すメモリセルのSNMの特性を例示するものである。図30(a)〜(d)において、横軸はトランジスタP1およびN1の共通接続点の電圧V0を示し、縦軸はトランジスタP2およびN2の共通接続点の電圧V1を示す。
【0018】
図30(a)〜(d)において破線の曲線および実線の曲線は各々バタフライ曲線と呼ばれる。これらの2本のバタフライ曲線は、途中で互いに交差して、上下および左右の位置関係が入れ替わる。そして、図30(a)〜(d)の各々には、破線のバタフライ曲線と実線のバタフライ曲線との間に挟まれた2つの領域内に各々収まる2個の正方形が描かれているが、この正方形の大きさがSNMの大きさである。さらに詳述すると、破線のバタフライ曲線が右上、実線のバタフライ曲線が左下となる領域における両バタフライ曲線間の正方形は、トランジスタP1およびN1の両ドレインの接続点の電圧V0を上昇させるようなノイズが発生するとき、メモリセルの記憶内容を反転させないノイズレベルの許容値を示すSNM(以下、便宜上、第1のSNMという)である。また、実線のバタフライ曲線が右上、破線のバタフライ曲線が左下となる領域における両バタフライ曲線間の正方形は、トランジスタP2およびN2の両ドレインの接続点の電圧V1を上昇させるようなノイズが発生するとき、メモリセルの記憶内容を反転させないノイズレベルの許容値を示すSNM(以下、便宜上、第2のSNMという)である。
【0019】
図30(a)および(c)は、SRAMの電源電圧VDDを1.0VとしたときのSNM特性を各々例示している。図30(a)に示す例では、メモリセルを構成する各トランジスタのベータ値βや閾値電圧Vtのバランスが取れており、第1のSNMおよび第2のSNMが同程度であり、かつ、いずれも十分な大きさとなっている。従って、このメモリセルでは、安定したライトアクセスおよびリードアクセスが可能である。
【0020】
ところが、バタフライ曲線は、トランジスタP1、N1、P2、N2の各々のベータ値のバランスや閾値電圧のバランスに左右される。例えば図30(a)において、トランジスタP2のベータ値βpとトランジスタN2のベータ値βnとのベータレシオβp/βnが高くなると、破線のバタフライ曲線は右上方向に張り出す。逆にこのベータレシオβp/βnが低くなると、破線のバタフライ曲線は、左下方向に退行する。また、トランジスタN2の閾値電圧Vtnが増加して、トランジスタP2の閾値電圧Vtpが減少すると、破線のバタフライ曲線が急激に立ち下がる電圧V0が高くなる。逆にトランジスタN2の閾値電圧Vtnが減少して、トランジスタP2の閾値電圧Vtpが増加すると、破線のバタフライ曲線が急激に立ち下がる電圧V0は低くなる。
【0021】
また、電圧V0を0VからVDDまで上昇させる過程において、トランジスタN2がONするとき、このトランジスタN2にトランジスタTa2を介して電流が流れ込むため、電圧V1はVSSレベル(0V)まで下がり切らず、VSSレベルから浮く。仮にトランジスタTa2を介して流れ込む電流が一定である場合、このときの電圧V1のVSSレベルからの浮きは、トランジスタN2の閾値電圧Vtnが高いほど、あるいはトランジスタN2のベータ値βnが低いほど大きくなる。
【0022】
このように破線のバタフライ曲線は、トランジスタP2、N2の閾値電圧やベータ値の変化の影響を受ける。一方、実線のバタフライ曲線は、主にトランジスタP1、N1のベータ値のバランス、閾値電圧のバランスの変化の影響を受ける。このようにバタフライ曲線が各トランジスタの閾値電圧やベータ値の変化の影響を受けるため、第1および第2のSNMも、各トランジスタの閾値電圧やベータ値の変化の影響を受けることとなる。
【0023】
図30(c)に示す例では、メモリセルを構成する各トランジスタの閾値電圧Vtまたはベータ値間にアンバランスが生じており、第1のSNMは十分な大きさがあるが、第2のSNMがやや小さくなっている。
【0024】
このようにメモリセルを構成する各トランジスタの特性(具体的には閾値電圧VTやベータ値)がばらつくと、これに起因して第1および第2のSNMの各々の大きさにばらつきが生じる。
【0025】
また、SRAMの電源電圧VDDが小さくなると、メモリセルを構成する各トランジスタの特性ばらつきの第1および第2のSNMに対する影響の度合いが大きくなる。図30(b)および(d)はその例を示すものである。この図30(b)および(d)の例では、SRAMの電源電圧VDDを0.5Vとしている。図30(b)に示す例では、電源電圧VDDが0.5Vであるため、第1および第2のSNMはかなり小さなものとなるが、メモリセルを構成する各トランジスタの特性のバランスが取れているため、第1および第2のSNMは、正常なライトアクセスおよびリードアクセスを可能ならしめる大きさとなっている。ところが、図30(d)に示す例では、メモリセルを構成する各トランジスタの特性に微妙なアンバランスがあり、その影響により第2のSNMが殆どなくなっている。このように動作マージンが不足した状態ではライトアクセスおよびリードアクセスに支障が生じる。
【0026】
このようにメモリセルを構成する各トランジスタの特性にアンバランスが生じると、SRAMのSNMが悪影響を受け、特に電源電圧VDDが低いときにその悪影響が大きくなる。
【0027】
しかるに特許文献1の技術では、このようなSRAMのメモリセルを構成する2つのインバータの電源電流経路に抵抗値が変化する相変化メモリ素子を各々介挿している。このような相変化メモリ素子を介挿した場合、一方のインバータを構成するトランジスタP0およびN0と他方のインバータを構成するトランジスタP1およびN1(図29参照)とで、バイアス条件にアンバランスが生じる。この結果、各インバータを構成するトランジスタの特性にアンバランスが生じ、メモリセルのSNMを大きく劣化させるのである。以上はSRAMの静的動作の分析であるが、さらに加えて、動的な動作を鑑みても、ノードS0にトランジスタNsのゲート容量が加わり、ノードS0とノードS1とで容量がアンバランスになっており、この容量のアンバランスが動的な動作マージンを低下させる。
【0028】
また、通常のSRAMと同様、不揮発性メモリについてもチップ面積を増大させることなくメモリ容量を増加させたいという要求がある。特許文献2は、抵抗変化型素子を用いた不揮発性メモリにおいてSNMを改善する技術を開示している。しかし、特許文献2のものは、揮発性記憶部および不揮発性記憶部間のデータ転送を制御するためのトランジスタが必要であり、メモリセルの面積が多少増加する欠点がある。
【0029】
メモリ容量を増大させるためには、不揮発性メモリセルの素子数を減らすことが求められる。そこで、特許文献3は、面積を縮小するために、選択用のトランジスタを省略して1個の抵抗のみでメモリセルを構成したクロスポイント型メモリを提案している(特許文献3の図3(a)(b)(c)参照)。また、特許文献4も、同様なクロスポイント型メモリを提案している(特許文献3の図46図48参照)。しかし、特許文献3に記載の構成は、不揮発性メモリセルへのアクセス時に、不必要な回り込みの電流が他の不揮発性メモリセルに流れ、消費電流が多くなるという問題がある。また、不揮発性メモリセルの記憶素子としてMTJ素子のようなバイポーラ型抵抗素子を使用した場合、書き込み時に不揮発性メモリセルに対して双方向電流を流す必要があるが、このような書き込み方法を実現するための技術が特許文献3には開示されていない。特許文献4も同様であり、不揮発性メモリセルの記憶素子としてバイポーラ型抵抗素子を使用することを可能にする技術を開示していない。
【0030】
この発明は、以上説明した事情に鑑みてなされたものであり、その第1の目的は、SRAMとしての機能を損なうことなく、揮発性記憶部の記憶データの書き換え、記憶データを不揮発性記憶部に書き込むストア、不揮発性記憶部から揮発性記憶部にデータを書き込むリコールの動作を容易に行うことができる不揮発性メモリを提供することにある。また、この発明の第2の目的は、セルを構成する素子の特性ばらつきに強い不揮発性メモリを提供することにある。また、この発明の第3の目的は、少ない素子数(小さい面積)で、より具体的にはトランジスタ数を増やすことなく高速動作可能な不揮発性メモリを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0031】
この発明は、揮発性記憶部と第1および第2の不揮発性記憶部とを有し、前記揮発性記憶部は、互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号とする第1および第2のインバータからなるフリップフロップと、前記第1のインバータの出力ノードとビット線との間に介挿された第1のスイッチと、前記第2のインバータの出力ノードと反転ビット線との間に介挿された第2のスイッチとを有し、前記第1の不揮発性記憶部は、前記第1のインバータの出力ノードと前記ビット線との間に直列に介挿された第1の閾素子および第1の抵抗変化型素子を有し、前記第2の不揮発性記憶部は、前記第2のインバータの出力ノードと前記反転ビット線との間に直列に介挿された第2の閾素子および第2の抵抗変化型素子を有することを特徴とする不揮発性メモリセルを提供する。
【0032】
かかる発明によれば、第1および第2のスイッチをOFFとし、第1および第2の閾素子をONさせる適切な電圧をビット線および反転ビット線に与えることにより、揮発性記憶部の記憶データに対応した電流であって、互いに逆方向の電流を第1および第2の抵抗変化型素子に流し、第1および第2の抵抗変化型素子の各抵抗値を互いに逆方向に変化させることができる(ストア動作)。この場合、第1および第2の抵抗変化型素子の各抵抗値の大小関係が不揮発性記憶部の記憶データを表す。
【0033】
また、第1および第2のスイッチをOFFとし、ビット線および反転ビット線に適切な電圧を与えて揮発性記憶部に対する電源電圧を立ち上げると、揮発性記憶部の第1のインバータの出力ノードに対する電流と第2のインバータの出力ノードに対する電流との間に不揮発性記憶部の記憶データ(第1および第2の抵抗変化型素子の各抵抗値の大小関係)に応じた差を生じさせ、揮発性記憶部に不揮発性記憶部の記憶データを書き込むことができる(リコール動作)。
【0034】
この発明では、不揮発性記憶部および揮発性記憶部間の接続/切断を切り換えるためのスイッチが不要である。従って、この発明によれば、SRAMとしての機能を損なうことなく、かつ、所要面積、素子数を増加させることなく、揮発性記憶部の記憶データの書き換え、記憶データを不揮発性記憶部に書き込むストア、不揮発性記憶部から揮発性記憶部にデータを書き込むリコールの動作を容易に行うことができる不揮発性メモリセルおよび不揮発性メモリを実現することができる。また、この発明において、不揮発性記憶部では、2つの抵抗変化型素子の抵抗値の大小関係が記憶データを示す。また、ストア時には、互いに逆方向の電流を第1および第2の抵抗変化型素子に流し、第1および第2の抵抗変化型素子の各抵抗値を互いに逆方向に変化させる。従って、抵抗変化型素子の特性ばらつきが大きくても、ストア時には、第1および第2の抵抗変化型素子の各抵抗値の大小関係を揮発性記憶部の記憶データに応じた大小関係とすることができる。よって、この発明によれば、セルを構成する素子の特性ばらつきに強い不揮発性メモリセルおよび不揮発性メモリを実現することができる。
【0035】
また、この発明によれば、不揮発性メモリセルに設ける不揮発性記憶部の素子数が少なく、また、ストア時およびリコール時に抵抗変化型素子に流す電流が少なくて済むので、面積が小さくて安価な不揮発性メモリのチップを実現することができる。
【0036】
好ましい態様では、抵抗変化型素子として、MTJ素子や電界誘起巨大抵抗変化の発生する抵抗素子が用いられる。この態様によれば、高速にストアおよびリコールを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】この発明の各実施形態において使用する不揮発性メモリ素子の構成を示す回路図である。
図2】同不揮発性メモリ素子の閾素子の特性を示す図である。
図3】同不揮発性メモリ素子の動作条件を示す図である。
図4】不揮発性メモリ素子の他の例を示す回路図である。
図5】この発明の第1実施形態である不揮発性メモリセルの構成を示す回路図である。
図6】同不揮発性メモリセルの動作条件を示す図である。
図7】この発明の第2実施形態である不揮発性メモリセルの構成を示す回路図である。
図8】同不揮発性メモリセルの動作条件を示す図である。
図9】この発明の第3実施形態である不揮発性RAMの概略構成を示すブロック図である。
図10】同不揮発性RAMの具体的構成例を示す回路図である。
図11】同不揮発性RAMの行選択回路の構成例を示す回路図である。
図12】同不揮発性RAMの制御部の構成を示すブロック図である。
図13】同実施形態のストア動作を示すタイムチャートである。
図14】同実施形態のリコール動作を示すタイムチャートである。
図15】この発明の第4実施形態である不揮発性RAMのリコール動作を示すタイムチャートである。
図16】この発明の第5実施形態である不揮発性RAMのカラムゲートの電源線駆動回路の構成を示す回路図である。
図17】同実施形態のリコール動作を示すタイムチャートである。
図18】この発明の第6実施形態である不揮発性RAMのカラムゲートの電源制御回路の構成を示す回路図である。
図19】同実施形態のストア動作の概略を示す図である。
図20】同ストア動作の詳細を示すタイムチャートである。
図21】この発明の第7実施形態である不揮発性RAMの構成を示す回路図である。
図22】同不揮発性RAMにおける行選択回路の構成を示す回路図である。
図23】同不揮発性RAMのストア動作を示すタイムチャートである。
図24】同不揮発性RAMのリコール動作を示すタイムチャートである。
図25】MTJ素子の構成および動作を示す図である。
図26】MTJ素子を利用したメモリセルの断面構造を例示する図である。
図27】同メモリセルの動作条件を示す図である。
図28】従来の不揮発性メモリセルの構成例を示す回路図である。
図29】一般的なSRAMのメモリセルの構成を示す回路図である。
図30】同メモリセルのスタティックノイズマージンを例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照し、この発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態において、トランジスタはMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor;金属−酸化膜−半導体構造の電界効果トランジスタ)を指す。
【0039】
<各実施形態において使用する不揮発性メモリ素子>
図1はこの発明の各実施形態において使用する不揮発性メモリ素子の構成例を示す回路図である。図1に示すように、この不揮発性メモリ素子は、抵抗変化型素子Rと、互いに逆並列接続されたダイオードD1およびD2からなる閾素子とを任意のノードNaおよびNb間に直列接続してなるものである。抵抗変化型素子Rとしては、MRAM、PRAM、ReRAM等に用いられるものと同様なバイポーラ型抵抗変化型素子を使用することができる。図示の例において、抵抗変化型素子RはMRAMに使用されるMTJ素子である。そして、抵抗変化型素子RであるMTJ素子のフリー層はノードNaに接続され、ピン層はダイオードD1のカソードおよびダイオードD2のアノードの共通接続点に接続されている。そして、ダイオードD1のアノードおよびダイオードD2のカソードがノードNbに共通接続されている。
【0040】
図2はダイオードD1およびD2からなる閾素子の電圧−電流特性を示す図である。この図2において、横軸は抵抗変化型素子Rおよび閾素子間のノードNcの電位VNcからノードNbの電位VNbを減算した電圧VNc−VNbを示しており、縦軸はノードNcからノードNbに向けて流れる電流を示している。この例では、ダイオードD1およびD2の順方向電圧が閾素子の閾値電圧となる。電圧VNc−VNbの絶対値がこの閾値電圧(図示の例では約0.5V)以下の領域では、電流Iは0である。しかし、電圧VNc−VNbが正であり、かつ、閾値電圧(この場合、ダイオードD2の順方向電圧)よりも大きい領域では、閾素子にダイオードD2の順方向電流が流れる。また、電圧VNc−VNbが負であり、かつ、その絶対値が閾値電圧(この場合、ダイオードD1の順方向電圧)よりも大きい領域では、閾素子にダイオードD1の順方向電流が流れる。
【0041】
図3は本実施形態による不揮発性メモリセルの動作条件を示す図である。図3に示すように、“0”書き込みの場合は、ノードNaに1.0V、ノードNbに0Vを印加する。この場合、ダイオードD2がONし、ノードNcおよびNb間に略0.5Vの電圧が印加され、ノードNaおよびNc間の抵抗変化型素子Rには略0.5Vの電圧が印加される。この結果、抵抗変化型素子Rにフリー層からピン層に向かう順方向の電流が流れて低抵抗となり、“0”が書き込まれた状態となる。一方、“1”書き込みの場合は、ノードNaに0V、ノードNbに1.0Vを印加する。この場合、ダイオードD1がONし、ノードNcおよびNb間に略−0.5Vの電圧が印加され、ノードNaおよびNc間の抵抗変化型素子Rに略−0.5Vの電圧が印加される。この結果、抵抗変化型素子Rにピン層からフリー層に向かう逆方向の電流が流れ、高抵抗化し、“1”が書き込まれた状態となる。
【0042】
データ読み出しを行う場合には、ノードNaに0.5V、ノードNbに0Vを印加する。この場合、ダイオードD2がONし、ノードNcおよびNb間に略0.5Vの電圧が印加され、ノードNaおよびNc間の抵抗変化型素子Rには略0.1Vの電圧が印加される。このときノードNaおよびNb間に流れる電流を検出し、所定の閾値と比較することにより抵抗変化型素子Rに記憶されたデータを判定する。すなわち、ノードNaおよびNb間に流れる電流が閾値よりも大きい場合は、抵抗変化型素子Rの抵抗が低く、データ“0”を記憶した状態であると判定し、ノードNaおよびNb間に流れる電流が閾値よりも小さい場合は、抵抗変化型素子Rの抵抗が高く、データ“1”を記憶した状態であると判定する。
【0043】
図4は不揮発性メモリ素子の他の構成例を示す回路図である。図1では、ダイオードD1およびD2を逆並列接続したものにより閾素子を構成したが、この例ではツェナーダイオードDZにより閾素子を構成した。この例においても、ツェナーダイオードDZの降伏電圧をダイオードの順方向電圧である0.5V程度にすることにより図1に示すものと同様な効果が得られる。
【0044】
<第1実施形態>
図5は、この発明の第1実施形態である不揮発性メモリセル10の構成を示す回路図である。この不揮発性メモリセル10は、揮発性記憶部11と、不揮発性記憶部12aおよび12bとを有する。揮発性記憶部11は、通常のSRAMにおいてメモリセルとして用いられるものと同様な構成を有している。
【0045】
より具体的には、揮発性記憶部11は、PチャネルトランジスタP1およびNチャネルトランジスタN1からなるインバータINV1と、PチャネルトランジスタP2およびNチャネルトランジスタN2からなるインバータINV2と、第1および第2のスイッチとしてのNチャネルトランジスタTa1およびTa2を有している。ここで、インバータINV1およびINV2は、互いに相手の出力信号を各々に対する入力信号としており、フリップフロップを構成している。このフリップフロップは、高電位側電源電圧VDCを供給するための電源線と低電位側電源電圧VSSを供給するための電源線との間に介挿されている。NチャネルトランジスタTa1は、インバータINV1の出力ノードV1とビット線BLとの間に介挿されている。また、NチャネルトランジスタTa2は、インバータINV2の出力ノードV2と反転ビット線BLBとの間に介挿されている。これらのNチャネルトランジスタTa1およびTa2は、行選択電圧WLがアクティブレベルとなることによりONとなる。これによりビット線BLおよび反転ビット線BLBを介した揮発性記憶部11のフリップフロップへのデータ書き込みと、揮発性記憶部11のフリップフロップからビット線BLおよび反転ビット線BLBへのデータ読み出しが可能になる。
【0046】
不揮発性記憶部12aおよび12bは、前掲図1の不揮発性メモリ素子と同様な構成を有している。さらに詳述すると、不揮発性記憶部12aは、ビット線BLとインバータINV1の出力ノードV1との間に抵抗変化型素子R1とダイオードD1aおよびD1bからなる閾素子を直列に介挿してなるものである。ここで、抵抗変化型素子R1は、フリー層がビット線BLに接続され、ピン層がダイオードD1aのアノードとダイオードD1bのカソードの共通接続点に接続されている。そして、ダイオードD1aのカソードとダイオードD1bのアノードの共通接続点はインバータINV1の出力ノードV1に接続されている。また、不揮発性記憶部12bは、反転ビット線BLBとインバータINV2の出力ノードV2との間に抵抗変化型素子R2とダイオードD2aおよびD2bからなる閾素子を直列に介挿してなるものである。ここで、抵抗変化型素子R2は、フリー層が反転ビット線BLBに接続され、ピン層がダイオードD2aのアノードとダイオードD2bのカソードの共通接続点に接続されている。そして、ダイオードD2aのカソードとダイオードD2bのアノードの共通接続点はインバータINV1の出力ノードV1に接続されている。
以上が不揮発性記憶部12aおよび12bの構成である。
【0047】
なお、抵抗変化型素子R1およびR2として、ReRAMのメモリセルに用いられるCER(Colossal Electro−Resistance;電界誘起巨大抵抗変化)抵抗素子を利用してもよい。
【0048】
次に不揮発性メモリセル10の動作の概略を説明する。
通常時は、不揮発性メモリセル10に対する電源電圧VDCを0.5Vとする。この場合、ダイオードD1a、D1b、D2a、D2bはOFFとなり、抵抗変化型素子R1、R2は揮発性記憶部11から切り離されるので、この不揮発性メモリセル10はSRAMのメモリセルとして動作する。
【0049】
電源を切断するときは、揮発性記憶部11のデータを不揮発性記憶部12aおよび12bに転送するストアを行う必要がある。そこで、電源電圧VDCを2V程度の高電圧にしてビット線BLと出力ノードV1、反転ビット線BLBと出力ノードV2の間に1V程度印加することで、抵抗変化型素子R1、R2に揮発性記憶部11の記憶データをストアする。
【0050】
電源投入時は、電源VDCとビット線BL、反転ビット線BLBの間に0.5V以上の電圧を生じさせれば、ダイオードD1b、D2bがONして、抵抗変化型素子R1、R2に記憶されているデータが読み出されて、揮発性記憶部11に記憶データが読み出される。この動作をリコールという。一旦、揮発性記憶部11に記憶データを転送すれば、その後は、通常のSRAMとして動作を行う。従って、不揮発性RAMとして動作を行うことができる。
【0051】
図6は不揮発性メモリセル10の詳細な動作を示す図である。この例では、不揮発性メモリセル10が搭載されたメモリチップの電源電圧が0.5Vであるとする。
【0052】
ストア時は、WL=0VとしてNチャネルトランジスタTa1およびTa2をOFFさせ、VDC=2.0V(昇圧電圧)とする。また、ビット線BLおよび反転ビット線BLBをそれぞれ1Vとする。これは、不揮発性記憶部12aおよび12bの各々の両端間に約1.0Vを印加するためである。
【0053】
揮発性記憶部11にデータ“1”が記憶されている場合、V1=2.0V、V2=0Vとなる。このとき、ビット線BLおよび反転ビット線BLBはそれぞれ1.0Vである。この状態では、V1=2.0V、BL=1.0Vなので、抵抗変化型素子R1にピン層からフリー層に向かう逆方向電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は高抵抗となり、不揮発性記憶部12aにデータ“1”が書き込まれる。また、V2=0V、BLB=1.0Vなので、抵抗変化型素子R2にはフリー層からピン層に向かう順方向の電流が流れ、抵抗変化型素子R2は低抵抗となり、不揮発性記憶部12bにデータ“0”が書き込まれる。以上が“1”ストアの動作である。
【0054】
逆に揮発性記憶部11にデータ“0”が記憶されている場合、V1=0V、V2=2.0Vとなる。この状態では、V1=0V、V2=2.0V,BL=BLB=1.0Vとなるので、抵抗変化型素子R1にはフリー層からピン層に向かう順方向の電流が流れ、抵抗変化型素子R2にはピン層からフリー層に向かう逆方向の電流が流れ、抵抗変化型素子R1は低抵抗、抵抗変化型素子R2は高抵抗となる。このようにして不揮発性記憶部12aにデータ“0”が、不揮発性記憶部12bにデータ“1”が記憶された状態となる。以上が“0”ストアの動作である。
【0055】
非特許文献1の抵抗変化型素子を用いた場合は、素子間の電圧を0.5V以上確保できれば書き込みが行われ、そのとき抵抗変化型素子に流れる電流は、49μAとなる。
【0056】
次に、不揮発性記憶部12aおよび12bに記憶されたデータを揮発性記憶部11に転送するリコール動作について説明する。まず、不揮発性記憶部12aにデータ“1”が、不揮発性記憶部12bにデータ“0”が記憶されており、抵抗変化型素子R1が高抵抗、抵抗変化型素子R2が低抵抗となっている場合のリコール動作について説明する。
【0057】
リコール動作では、例えばBL=BLB=−0.3Vとし、揮発性記憶部11の電源電圧VDCを0Vから0.5Vに上げていく。この場合、電源電圧VDCが0.2Vとなると、ノードV1、V2も略0.2Vとなり、ダイオードD1a、D2aには、それぞれの順方向電圧VFの0.5Vが印加される。さらに電源電圧VDCを上げていくと、ダイオードD1a、D2aは、順方向電圧VF以上の電圧が印加され、ONするために、抵抗変化型素子R1(高抵抗)とR2(低抵抗)に電流が流れる。ノードV1、V2からビット線BL、反転ビット線BLBに電流が流れるが、抵抗変化型素子R1の抵抗が抵抗変化型素子R2の抵抗よりも高いので、ノードV1からビット線BL(−0.3V)に流れる電流よりもノードV2から反転ビット線BLB(−0.3V)に流れる電流の方が大きくなる。従って、ノードV1の電圧の方がノードV2の電圧より高くなり、揮発性記憶部11はノードV1がHighレベル、ノードV2がLowレベルとなる。すなわち、データ“1”が揮発性記憶部11にラッチされる。このようにしてデータ“1”がリコールされる。
【0058】
このとき、抵抗変化型素子R1、R2として非特許文献1の素子を用いれば、抵抗変化型素子R1、R2に流れる電流は、それぞれ10μA、15μA程度になる。この後、ビット線BLおよび反転ビット線BLBを0Vにすれば、ダイオードD1a、D2aがOFFし、抵抗変化型素子R1、R2が揮発性記憶部11より切り離される。これにより6トランジスタ構成のシンプルなSRAM構成が実現される。
【0059】
次に不揮発性記憶部12aにデータ“0”が、不揮発性記憶部12bにデータ“1”が記憶されており、抵抗変化型素子R1が低抵抗、抵抗変化型素子R2が高抵抗となっている場合のリコール動作について説明する。
【0060】
この場合も、電源電圧VDCを上げていくと、ダイオードD1a、D2aは、順方向電圧VF以上の電圧が印加され、ONするために、抵抗変化型素子R1(高抵抗)とR2(低抵抗)に電流が流れる。ノードV1、V2からビット線BL、反転ビット線BLBに電流が流れるが、抵抗変化型素子R2の抵抗が抵抗変化型素子R1の抵抗よりも高いので、ノードV2から反転ビット線BLB(−0.3V)に流れる電流よりもノードV1からビット線BL(−0.3V)に流れる電流のほうが大きくなる。従って、ノードV2の電圧の方がノードV1の電圧より高くなり、揮発性記憶部11はノードV1がLowレベル、ノードV2がHighレベルとなる。すなわち、データ“0”が揮発性記憶部11にラッチされる。このようにしてデータ“0”がリコールされる。
【0061】
ここで、安定的にリコールを行わせるためには、NチャネルトランジスタN1、N2がONしないうちに、ノードV1、V2の電位を確定することである。例えば、NチャネルトランジスタN1、N2の閾値が0.3Vとすると、ノードV1、V2の電圧が0.3V以下である期間にダイオードD1a、D2aをONさせて、抵抗変化型素子R1、R2に電流を流せば良い。そのために、この例のようにビット線BLおよび反転ビット線BLBの電圧を−0.3Vにする。このことにより、トランジスタN1、N2の特性バラツキに依存せずに、安定してリコールを行わせることができる。
【0062】
なお、ビット線BL、反転ビット線BLBの電圧をあまり低くしすぎて、トランジスタTa1、Ta2を構成するドレイン(N+拡散層)と基板(低濃度P型層)とのPN接合に順方向電圧VF(Bulk)を越える電圧が印加されると、基板に大きな順方向電流が流れるおそれがある。このため、基板電圧V(Sub)−ビット線電圧V(BL)<順方向電圧VF(Bulk)となるように、ビット線電圧V(BL)を決定する。ここで、V(Sub)=0V、VF(Bulk)=0.5Vとすると、V(BL)>−0.5Vとなり、おおよそV(BL)=−0.3V〜―0.5Vが良好な範囲である。反転ビット線BLBの電圧V(BLB)も同様である。
【0063】
揮発性記憶部11からの読み出し動作は、通常のSRAM動作と同じである。本実施形態において、揮発性記憶部11は、完全対称性のある6Tr構成のSRAMとして動作するので、広いスタティックノイズマージンが得られる。
【0064】
揮発性記憶部11への書き込みは、通常のRAMと全く同じであるので、ここでは、動作説明は省略する。
【0065】
<第2実施形態>
図7はこの発明の第2実施形態である不揮発性メモリセル10aの構成を示す回路図である。本実施形態による不揮発性メモリセル10aは、上記第1実施形態と同様な揮発性記憶部11と、不揮発性記憶部12cおよび12dとにより構成されている。ここで、不揮発性記憶部12cは、上記第1実施形態の不揮発性記憶部12aにおける抵抗変化型素子R1とダイオードD1aおよびD1bからなる閾素子との位置関係を逆にし、かつ、抵抗変化型素子R1の極性を逆にした構成となっている。また、不揮発性記憶部12dは、上記第1実施形態の不揮発性記憶部12bにおける抵抗変化型素子R2とダイオードD2aおよびD2bからなる閾素子との位置関係を逆にし、かつ、抵抗変化型素子R2の極性を逆にした構成となっている。
【0066】
図8は本実施形態による不揮発性メモリセル10aの動作を示す図である。ストア時は、WL=0V、VDC=2.0V(昇圧電圧)とする。また、ビット線BLおよび反転ビット線BLBをそれぞれ1.0Vとする。以上の点は上記第1実施形態と同様である(図6参照)。
【0067】
揮発性記憶部11にデータ“1”が記憶されている場合、V1=2.0V、V2=0Vとなっている。このとき、ビット線BLおよび反転ビット線BLBはそれぞれ1.0Vである。この状態では、V1=2.0V、BL=1.0Vなので、抵抗変化型素子R1にフリー層からピン層に向かう順方向電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は低抵抗となり、データ“0”が書き込まれる。ここが上記第1実施形態(図6)と異なる。また、V2=0V、BLB=1.0Vなので、抵抗変化型素子R2にはピン層からフリー層に向かう逆方向電流が流れ、抵抗変化型素子R2は高抵抗となり、データ“1”が書き込まれる。以上が“1”ストアの動作である。
【0068】
揮発性記憶部11にデータ“0”が記憶されている場合、V1=0V、V2=2.0Vとなっている。この場合、V1=0V、BL=1.0Vなので、抵抗変化型素子R1にピン層からフリー層に向かう逆方向電流が流れるため、抵抗変化型素子R1は高抵抗となり、データ“1”が書き込まれる。また、V2=2.0V、BLB=1.0Vなので、抵抗変化型素子R2にはフリー層からピン層に向かう順方向電流が流れ、抵抗変化型素子R2は低抵抗となり、データ“0”が書き込まれる。以上が“0”ストアの動作である。
【0069】
不揮発性記憶部12cおよび12dに記憶されたデータを揮発性記憶部11に転送するリコール動作では、VDC=0V、WL=0Vとするとともに、ビット線BLおよび反転ビット線BLBの電圧をリコール後の通常の電源電圧0.5Vよりも高い0.8Vとし、この状態から電源電圧VDCを0Vから0.5Vまで上昇させる。
【0070】
VDC=0Vの状態では、V1=V2=0Vであり、ダイオードD1b、D2bは、VF=0.5V以上の電圧が印加されるためONとなり、抵抗変化型素子R1、R2に電流が流れる。この電流はPチャネルトランジスタP1、P2を介して電源VDCに流れる。また、このとき、ノードV1およびV2の電圧は略0.3Vになるので、NチャネルトランジスタN1、N2も丁度OFF状態である。
【0071】
ここで、抵抗変化型素子R1が低抵抗であり、データ“0”が書き込まれており、抵抗変化型素子R2が高抵抗であり、データ“1”が書き込まれているものとすると、R1<R2なので、電源電圧VDCを上昇させてゆくとV1>V2となる。そして、電源電圧VDCが0Vから徐々に0.5Vまで上昇すると、揮発性記憶部11では、ノードV1がHighレベル、ノードV2がLowレベルになり、データ“1”がリコールされる。
【0072】
その後、ビット線BLおよび反転ビット線BLBを0.5V以下にすれば、ダイオードD1b、D2bがOFFし、抵抗変化型素子R1、R2が揮発性記憶部11から切り離される。これにより6トランジスタ構成のシンプルなSRAM構成が実現される。
【0073】
一方、抵抗変化型素子R1が高抵抗であり、データ“1”が書き込まれており、抵抗変化型素子R2が低抵抗であり、データ“0”が書き込まれているものとすると、R2<R1なので、電源電圧VDCを上昇させてゆくとV2>V1となる。そして、電源電圧VDCが0Vから徐々に0.5Vまで上昇すると、揮発性記憶部11では、ノードV1がLowレベル、ノードV2がHighレベルになり、データ“0”がリコールされる。
【0074】
以上のリコール動作が安定的に行われるためには、NチャネルトランジスタN1、N2がONしないうちに、ノードV1、V2の電位が確定する必要がある。このため、NチャネルトランジスタN1、N2の閾値が例えば0.3Vである場合に、ノードV1、V2の電圧が0.3V以下の期間にダイオードD1b、D2bをONさせて、抵抗変化型素子R1、R2に電流を流す必要がある。また、リコール動作時、PチャネルトランジスタP1、P2の形成されたウェルが順方向にバイアスされるため、順方向電圧を0.5V以下に抑える必要がある。これらの事情に鑑みると、BL=BLB=0.8V程度が最適な電圧である。
【0075】
揮発性記憶部11からの読み出し動作は、通常のSRAM動作と同じである。本実施形態において、揮発性記憶部11は、完全対称性のある6Tr構成のSRAMとして動作するので、広いスタティックノイズマージンが得られる。
【0076】
揮発性記憶部11への書き込みは、通常のRAMと全く同じであるので、ここでは、動作説明は省略する。
【0077】
本実施形態では、上記第1実施形態のものと異なり、マイナス電源を必要としないので、電源回路が簡略化できる利点がある。
【0078】
<第3実施形態>
図9は、この発明の第3実施形態である不揮発性RAMの全体構成を示すブロック図である。図9において、不揮発性RAMセルアレイ100は、上記第1実施形態の不揮発性メモリセル10を行列状に配列したセルアレイである。この例では、不揮発性RAMセルアレイ100のメモリ容量は、64Mビット(4M×16ビット)である。
【0079】
制御部500は、制御回路501と電源制御回路510とを有する。ここで、制御回路501は、外部から与えられるチップイネーブル信号CEB、出力許可信号OEB、ストア指示信号STR、リコール指示信号RCL等に応じて、電源制御回路510、アドレス入力回路550、行デコーダ200、列デコーダ300、書込回路800および入出力バッファ700を制御する回路である。ここで、チップイネーブル信号CEB、出力許可信号OEBは、通常のSRAMに使用される制御信号である。ストア指示信号STRおよびリコール指示信号RCLは、本実施形態に特有の制御信号であり、各々、不揮発性RAMにストアを行わせる場合およびリコールを行わせる場合にアクティブレベルとされる制御信号である。電源制御回路510は、制御回路501による制御の下、行デコーダ200、列デコーダ300および書込回路800を各々動作させるための電圧を発生する回路である。
【0080】
アドレス入力回路550は、制御回路501による制御の下、不揮発性RAMセルアレイ100内のアクセス先を指定するアドレスA0〜A21を受け取って保持する回路である。このアドレスA0〜A21は、不揮発性RAMセルアレイ100内において、アクセス先が属する行を指定する行アドレスと、アクセス先が属する列を指定する列アドレスに区分されている。
【0081】
行デコーダ200は、通常動作時は、行アドレスをデコードし、デコード結果に従って不揮発性RAMセルアレイ100の各行の中の1つの行を選択する。また、列デコーダ300は、列アドレスをデコードし、デコード結果に従って不揮発性RAMセルアレイ100の各列の中の1つの列を選択する。カラムゲート400は、ライトアクセス時には書込回路800を、リードアクセス時にはセンスアンプ600を、列デコーダ300によって選択された列のビット線および反転ビット線に接続する。センスアンプ600は、リードアクセス時にカラムゲート400を介して供給されるビット線および反転ビット線上の電圧を差動増幅し、入出力バッファ700に出力する回路である。書込回路800は、ライトアクセス時に入出力バッファ700を介して供給される書込データに応じたデータ電圧をカラムゲート400に供給する回路である。入出力バッファ700は、16ビットの書込データを外部から受け取って書込回路800に供給し、センスアンプ600の出力信号に基づいて16ビットの読出データを外部に出力する16個の双方向入出力回路により構成されている。
【0082】
本実施形態における行デコーダ200は、ストア時およびリコール時には、不揮発性RAMセルアレイ100の全ての不揮発性メモリセルのNチャネルトランジスタTa1およびTa2をOFFとする。また、本実施形態における列デコーダ300は、ストア時およびリコール時に、不揮発性RAMセルアレイ100のストア対象またはリコール対象の各不揮発性メモリセルが接続された各ビット線および各反転ビット線を選択するためのカラムゲート400の制御を行う。
【0083】
図10は本実施形態による不揮発性RAMの具体的な構成例を示すブロック図である。なお、この図10では、図面が煩雑になるのを防止するため、1ビット分のデータの記憶および入出力に関連した構成のみが図示されている。実際の不揮発性RAMは、図10に示された不揮発性RAMセルアレイ100やカラムゲート400等を16ビット分並列化した構成となっている。
【0084】
図10において、不揮発性RAMセルアレイ100は、上記第1実施形態(図1)の不揮発性メモリセル10を不揮発性メモリセルMkjとし、この不揮発性メモリセルMkjをm+1行n+1列からなる行列状に配列したものである。不揮発性RAMセルアレイ100の最小単位は、高速性、メモリ容量の規模にもよるが、一般的には、例えば、m=1024、n=512として、512Kビット位に分割する。本例の場合には、メモリ容量が64Mビットなので、この最小メモリアレイである不揮発性RAMセルアレイ100を128個設けることになる。
【0085】
この行列をなす不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各列jに沿って、対をなすビット線BITjおよび反転ビット線BITjBが配線されている。ここで、ビット線BITjには、列jに属するm+1個の不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)のNチャネルトランジスタTa1のソースが各々接続され、反転ビット線BITjBには、列jに属するm+1個の不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)のNチャネルトランジスタTa2のソースが各々接続されている。また、ビット線BITjには、列jに属するm+1個の不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)の抵抗変化型素子R1の一端が各々接続され、反転ビット線BITjBには、列jに属するm+1個の不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)の抵抗変化型素子R2の一端が各々接続されている。
【0086】
また、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各行kに沿って、行選択電圧WLkを供給する信号線が配線されている。ここで、行kに対応した行選択電圧WLkは、同行kの不揮発性メモリセルMkj(j=0〜n)のNチャネルトランジスタTa1およびTa2(図1参照)の各ゲートに供給される。
【0087】
そして、不揮発性RAMセルアレイ100の全ての不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)のNチャネルトランジスタN1およびN2の各ソースには、低電位側電源電圧VSSが供給される。また、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の各列jのPチャネルトランジスタP1およびP2(図1参照)の各ソースには、基準電源電圧である高電位側電源電圧VDCjがカラムゲート400から供給される。
【0088】
カラムゲート400は、不揮発性RAMセルアレイ100の各列j(j=0〜n)に対応付けられたn+1組のNチャネルの列選択トランジスタCGj(j=0〜n)およびCGjB(j=0〜n)の組を有している。列jに対応した列選択トランジスタCGjおよびCGjBは、列選択電圧COLjがアクティブレベルとなることによりONとなり、ビット線BITjおよび反転ビット線BITjBをデータ線DLおよび反転データ線DLBに各々接続する。このデータ線DLおよび反転データ線DLBは、書込回路800およびセンスアンプ600に接続されている。
【0089】
また、カラムゲート400は、不揮発性RAMセルアレイ100の各列j(j=0〜n)に対応付けられたn+1組のインバータ401−j(j=0〜n)、Nチャネルの電源線駆動トランジスタ402−j(j=0〜n)および403−j(j=0〜n)の組を有している。ここで、列jに対応したインバータ401−jは、レベルシフト機能を備えたインバータであり、列選択電圧COLjが0Vである場合に電源電圧VDDに電源線駆動トランジスタ402−jの閾値電圧を加えたHighレベルの電圧を電源線駆動トランジスタ402−jのゲートに出力し、列選択電圧COLjがHighレベル(VCOL)である場合に0V(Lowレベル)を電源線駆動トランジスタ402−jのゲートに出力する。そして、列jに対応した電源線駆動トランジスタ402−jは、Highレベルの電圧がゲートに与えられることによりONとなり、不揮発性RAMに対する電源電圧VDDを列jの不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)に対する電源電圧VDCjとして出力する。また、列jに対応した電源線駆動トランジスタ403−jは、列選択電圧COLjがHighレベルである場合にONとなり、電源制御回路510が出力する電圧VDCを列jの不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)に対する電源電圧VDCjとして出力する。
【0090】
列デコータ300は、不揮発性RAMセルアレイ100の各列j(j=0〜n)に各々対応したn+1個の列選択回路300−j(j=0〜n)により構成されている。ここで、列jに対応した列選択回路300−jは、列アドレス一致検出部301と、ANDゲート302と、レベルシフタ303とを有する。
【0091】
列アドレス一致検出部301は、列アドレスが当該列jを示す場合にLowレベルの信号を出力する。ANDゲート302は、制御回路501が出力する一括選択信号ASELBがLowレベルである場合はLレベルを出力し、一括選択信号ASELBがHighレベルである場合は列アドレス一致検出部301の出力信号をそのまま出力する。一括選択信号ASELBがHighレベルの状態において、レベルシフタ303は、列アドレス一致検出部301の出力信号がLowレベルであるときにHighレベルの行選択電圧COLjを出力し、列jに対応したカラムゲートトランジスタCGjおよびCGjBをONにする。この列選択回路300−j(j=0〜n)の各レベルシフタ303の高電位側電源端子には、基準列選択電圧VCOLが与えられる。この基準列選択電圧VCOLは、電源制御回路510が出力する電圧である。
【0092】
行デコーダ200は、不揮発性RAMセルアレイ100の各行k(k=0〜m)に各々対応したm+1個の行選択回路200−k(k=0〜m)により構成されている。各行kに対応した行選択回路200−kは、当該行kに属するn+1個の不揮発性メモリセルMkj(j=0〜n)のNチャネルトランジスタTa1およびTa2(図1参照)の制御を行う。
【0093】
図11は、行kに対応した行選択回路200−kの構成例を示す回路図である。図11において、信号STRBおよび信号RCLBは、ストア指示信号STRおよびリコール指示信号RCLの論理を反転した信号であり、制御回路501により発生される。ADDXはアドレス入力回路550に保持された行アドレスである。
【0094】
行アドレス一致検出部201は、行アドレスADDXが当該行kを示す場合にHighレベルを、そうでない場合にLowレベルを出力する回路である。NANDゲート202は、信号STRBおよびRCLBの両方がHighレベル、すなわち、ストア指示信号STRおよびリコール指示信号RCLの両方が非アクティブレベル(Lowレベル)であるときには、行アドレス一致検出部201の出力信号を反転した信号を、そうでない場合にHighレベルを出力する。インバータ203は、このNANDゲート202の出力信号を反転し、当該行kに対する行選択電圧WLkとして出力する。
【0095】
従って、ストア指示信号STRおよびリコール指示信号RCLの両方が非アクティブレベル(Lowレベル)である場合(すなわち、SRAMとしての動作モードである場合)、行アドレスADDXが当該行kを示すときに行選択電圧WLkがHighレベルとなり、行アドレスADDXが当該行kを示さないときに行選択電圧WLkがLowレベルとなる。また、ストア指示信号STRおよびリコール指示信号RCLの一方がアクティブレベル(Highレベル)である場合、行選択電圧WLkはLowレベルとなる。
【0096】
図10において、書込回路800は、ライトアクセス時には、不揮発性RAMの外部からの書き込みデータDinに応じた電圧であって、各不揮発性メモリセルMijの不揮発性記憶部12aおよび12bに電流を流さない程度(閾素子をONさせない程度)のビット電圧および反転ビット電圧をデータ線DLおよび反転データ線DLBに出力する。そして、ライトアクセス時、データ線DLには、ビット線BITj(j=0〜n)のうちカラムゲート400により選択された1本のビット線が接続され、反転データ線DLBには、反転ビット線BITjB(j=0〜n)のうちカラムゲート400により選択された1本の反転ビット線が接続される。
【0097】
一方、書込回路800には、基準ビット線電圧VWDが電源制御回路510から与えられる。書込回路800は、ストア動作時およびリコール動作時、この基準ビット線電圧VWDをデータ線DLおよび反転データ線DLBの双方に出力する。
【0098】
図12は制御部500の構成を示すブロック図である。制御部500において、電源制御回路510は、昇圧回路502と、降圧回路503と、負電圧回路504と、出力調整回路505を有する。制御回路501は、ストア指示信号STR、リコール指示信号RCLおよびパワーオンパルスPONに基づき、昇圧回路502と、降圧回路503と、負電圧回路504と、出力調整回路505との制御を行う。
【0099】
昇圧回路502は、不揮発性RAMに対する電源電圧VDDを昇圧して出力する。また、降圧回路503は、同電源電圧を降圧して出力する。また、負電圧回路504は、同電源電圧から負電圧を発生して出力する。この昇圧回路502と降圧回路503と負電圧回路504が設けられているのは、図6に示されているように、ストアおよびリコールの動作を行うために不揮発性RAMに対する電源電圧よりも高い電圧、低い電圧、負の電圧を発生する必要があるからである。出力調整回路505は、制御回路501による制御の下、昇圧回路502の出力電圧、降圧回路503の出力電圧、負電圧回路504の出力電圧または不揮発性RAMに対する電源電圧を選択することにより、基準列選択電圧VCOL、基準ビット線電圧VWD、不揮発性RAMセルアレイ100に対するセル電源電圧VDCを出力する。
【0100】
図13は本実施形態による不揮発性RAMのストア時の動作を示すタイムチャートである。この例では、前掲図6の動作条件で不揮発性RAMが動作している。そして、制御回路501は、昇圧回路502に2.0Vの電圧および1.0Vの電圧を出力させる。
【0101】
期間t1において、不揮発性RAMは、0.5Vの電源電圧VDDの供給を受けて、通常のSRAMとして動作している。そして、出力調整回路505は、制御回路501による制御の下、電源電圧VDDを電圧VDCとして出力している。
【0102】
不揮発性RAMに対する電源電圧VDDの供給を断つ場合、それに先立って、ストア指示信号STRが立ち上げられる。これにより制御回路501は、昇圧回路502が出力する2.0Vの電圧を出力調整回路505に選択させ、基準列選択電圧VCOLおよび不揮発性RAMセルアレイ100に対する電源電圧VDCとして出力させる。また、制御回路501は、昇圧回路502が出力する1.0Vの電圧を出力調整回路505に基準ビット線電圧VWDとして出力させる。これにより書込回路800は、基準ビット線電圧VWD=1.0Vをデータ線DLおよび反転データ線DLBに出力する。
【0103】
また、ストア指示信号STRが立ち上がると、行選択回路200−k(k=0〜m)は、信号STRBがLowレベルとなることから、行選択電圧WLk(k=0〜m)を0Vとする。これにより全ての不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)のNチャネルトランジスタTa1およびTa2がOFFとなる。そして、不揮発性RAMでは期間t2を利用してストア動作が行われる。
【0104】
まず、アドレス入力回路550は、列アドレスADDYとして最初のアドレスAY0を出力し、列選択回路300−0に時間Δt1に亙ってHighレベルの列選択電圧COL0=VCOLを出力させる。これにより第0列に対応した電源線駆動トランジスタ403−0がONとなり、第0列の不揮発性メモリセルMk0(k=0〜m)に対して電源電圧VDC=2.0Vが印加される。また、Highレベルの列選択電圧COL0=VCOLが出力されることにより、列選択トランジスタCG0およびCG0BがONとなり、第0列のビット線BIT0がデータ線DLに、反転ビット線BIT0Bが反転データ線DLBに接続される。この結果、ビット線BIT0および反転ビット線BIT0Bに基準ビット線電圧VWD=1.0Vが印加えられる。これにより第0列の不揮発性メモリセルM0j(j=0〜n)において、前掲図6に従い、揮発性記憶部11に記憶されたデータを不揮発性記憶部12aおよび12bに書き込むストア動作が行われる。
【0105】
具体的には、例えば、不揮発性メモリセルM00の揮発性記憶部11にデータ“1”が保持されていると、V1=2.0V、V2=0Vとなり、ノードV1から不揮発性記憶部12aを介してビット線BIT0に電流が流れるとともに、反転ビット線BIT0Bから不揮発性記憶部12bを介してノードV2に電流が流れる。この結果、不揮発性メモリセルM00では、不揮発性記憶部12aの抵抗変化型素子R1が高抵抗化し、不揮発性記憶部12bの抵抗変化型素子R2が低抵抗化し、データ“1”がストアされる。第0列に属する他の行の不揮発性メモリセルM10〜Mm0でも同様なストア動作が行われる。このとき、他の列のビット線BITj(j=1〜n)および反転ビット線BITjB(j=1〜n)の電圧はドントケアである。通常はフローティングとなり、0Vと0.5Vの間の電圧となる。
【0106】
次に、アドレス入力回路550は、列アドレスADDYとして2番目のアドレスAY1を出力し、列選択回路300−1に時間Δt1に亙ってHighレベルの列選択電圧COL1=VCOLを出力させる。これにより第1列の全ての不揮発性メモリセルMk1(k=0〜m)において、揮発性記憶部11に記憶されたデータが不揮発性記憶部12aおよび12bに書き込まれる。
【0107】
以下同様であり、列アドレスADDYが、AY2〜AYnまで繰り返して進められ、全ての不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)のストア動作が行われる。
【0108】
最後の列のストア動作が終了すると、ストア指示信号STRはLowレベルとされる。そして、その後の期間t3において電源電圧VDDが0Vとされ、電源遮断が行われる。
【0109】
以上の例では、列毎に一括してストアを行ったが、同時に選択するメモリセルの数が多いと、ストア電流が大きくなるので、列線を分割して同時選択するメモリセルの数を限定して、分割ストアを行なっても良い。
【0110】
例えば、ストア電流が49μAとして、128ビット同時ストアを行うと、消費電流は49μA×128×2(R1とR2)=12.5mAとなる。実際は、1.0V電源への流入電流、流出電流があり、12.5mAより小さくなる。
【0111】
予期しない停電等による突然の電源OFFに対しては、図示しない電圧降下検知回路により、電圧の低下を検知し、キャパシタ(蓄電池)等に蓄えてあるチャージにより、ストア動作を行い、電源遮断までにストア動作を終了させる機能を付加すれば良い。
【0112】
図14は本実施形態による不揮発性RAMのリコール時の動作を示すタイムチャートである。この例では、前掲図6の動作条件で不揮発性RAMが動作している。まず、不揮発性RAMに対する電源が投入されると、電源電圧VDDが0.5Vまで立ち上がる。図示しない電圧検知回路は、この電源電圧VDDの立ち上がりを検知して、パワーオンパルスPONを出力する。このパワーオンパルスPONにより、内部回路のリセット(初期化)が行なわれる。この期間が電源立ち上げ期間t1である。
【0113】
次に、リコール指示信号RCLがHighレベルになると、不揮発性RAMでは、その後の期間t2を利用してリコール動作が行われる。まず、制御回路501は、一括選択信号ASELBをLowレベルとし、全ての列選択回路300−j(j=0〜n)にHighレベルの列選択電圧COLj(j=0〜n)を出力させ、全てのビット線BITjをデータ線DLに、全ての反転ビット線BITjBを反転データ線DLBに接続する。また、制御回路501は、−0.3Vの基準ビット線電圧VWDを出力調整回路505に出力させ、書込回路800にこの基準ビット線電圧VWD=−0.3Vをデータ線DLおよび反転データ線DLBに出力させる。これにより全てのビット線BITj(j=0〜n)および全ての反転ビット線BITjB(j=0〜n)に基準ビット線電圧VWD=−0.3Vが印加される。また、リコール指示信号RCLがHighレベルになると、信号RCLBがLowレベルとなるため、行選択回路200−k(k=0〜m)では、行選択電圧WLk(k=0〜m)がLowレベルとなる。これにより全ての不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)のNチャネルトランジスタTa1およびTa2がOFFとなる。
【0114】
また、制御回路501は、一括選択信号ASELBをHighレベルとする。これにより列選択回路300−j(j=0〜n)は、全ての列選択トランジスタCGj(j=0〜n)およびCGjB(j=0〜n)をONとし、全てのビット線BITj(j=0〜n)をデータ線DLに、全ての反転ビット線BITjB(j=0〜n)を反転データ線DLBに接続する。この結果、全てのビット線BITj(j=0〜n)および全ての反転ビット線BITjB(j=0〜n)に基準ビット線電圧VWD=0Vが印加される。
【0115】
そして、制御回路501は、出力調整回路505に、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)に対する電源電圧VDCを0Vから0.5Vにかけて所定の時間勾配で立ち上げさせる。これにより不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)では、不揮発性記憶部12aおよび12bに記憶されたデータを揮発性記憶部11に書き込むリコール動作が行われる。
【0116】
ここで、不揮発性記憶部12aおよび12bでは、双方向のダイオード素子に0.5V以上の電圧が加わるとONするので、抵抗変化型素子R1、R2に電流が流れ、抵抗変化型素子R1、R2の抵抗値の差に対応して、各メモリセルの揮発性記憶部11の出力ノードV1、V2の立ち上がりに差が付き、“0”データまたは“1”データがラッチされる。その後、リコール指示信号RCLがLowレベルになると、リコール動作のための期間t2が終了し、SRAMとしての動作を行う期間t3となる。
【0117】
<第4実施形態>
図15は、この発明の第4実施形態である不揮発性RAMのリコール動作の例を示すタイムチャートである。本実施形態は、上記第3実施形態における不揮発性メモリセルを図5に示す構成から図7に示す構成に置き換えたものである。図15に示す動作において、図14のリコール動作と異なるところは、期間t2においてビット線BITj(j=0〜n)および反転ビット線BITjB(j=0〜n)に0.8Vを印加し、電源電圧VDCとして0.5Vを印加することである。
【0118】
この状態では、図8のようなバイアス条件となり、不揮発性記憶部12cおよび12dにストアされていたデータが、揮発性記憶部11に読み出される。リコール終了後、全てのビット線BITj(j=0〜n)、反転ビット線BITjB(j=0〜n)を0.5V以下のLowレベルに戻せば、不揮発性記憶部12cおよび12dの双方向ダイオードがOFFし、期間t3のSRAM動作に移行する。
【0119】
<第5実施形態>
上記第3実施形態では、全ての不揮発性メモリセルのリコール動作を一括して行ったが、この発明の第5実施形態である不揮発性RAMでは、列毎にリコール動作を行う。
このような列毎のリコール動作を可能にするため、本実施形態では、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の列j毎に図16に示す電源ラッチ回路410−jをカラムゲート400(図10参照)に設ける。なお、図16では、第j列に対応した電源ラッチ回路410と第j列に対応した列選択回路300−jとの関係の理解が容易になるように、両者が併せて図示されている。
【0120】
電源ラッチ回路410−jは、ラッチ回路420と、遅延回路435と、インバータ436と、レベルシフタ437とを有する。
【0121】
ラッチ回路420は、Pチャネルトランジスタ431と、Nチャネルトランジスタ432および434と、インバータ433とにより構成されている。ここで、Pチャネルトランジスタ431のソースは、電源電圧VDDに固定されている。Nチャネルトランジスタ432は、ソースが接地され、ドレインがPチャネルトランジスタ431のドレインと接続されている。そして、Nチャネルトランジスタ432のゲートには、列選択回路300−jからの列選択電圧COLjが与えられる。インバータ433は、Nチャネルトランジスタ432およびPチャネルトランジスタ431のドレイン同士の接続点の電圧を反転してPチャネルトランジスタ431のゲートおよび遅延回路435に出力する。このインバータ433の出力ノードN2がラッチ回路420の出力ノードとなっている。Nチャネルトランジスタ434は、このラッチ回路420の出力ノードN2と接地線との間に介挿されている。このNチャネルトランジスタ434のゲートにはパワーオンパルスPONが与えられる。
【0122】
遅延回路435はラッチ回路420が出力ノードN2から出力する信号を所定時間Δt1だけ遅延させて出力する。インバータ436は、この遅延回路435の出力信号を反転して出力する。レベルシフタ437は、インバータ436の出力信号をレベルシフトして、第j列の電源線駆動トランジスタ403−jに対する電源電圧VDCjとして出力する。より具体的には、レベルシフタ437は、インバータ436の出力信号がLowレベルである場合に0Vを電源電圧VDCjとして出力し、インバータ436の出力信号がHighレベルである場合に出力調整回路505が出力する電圧VDCを電源電圧VDCjとして出力する。
【0123】
図17は、本実施形態におけるリコール動作の例を示すタイムチャートである。
本実施形態では、列選択回路300−j(j=0〜n)により列選択電圧COLj(j=0〜n)を1つずつ順次Highレベルとし、各列jの不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)に対する電源電圧VDCjの印加とビット線BITjおよび反転ビット線BITjBに対する基準ビット線電圧VWDの印加を順次行う。
【0124】
さらに詳述すると、本実施形態では、電源投入時に、パワーオンパルスPONが発生すると、カラムゲート400内の全ての列j(j=0〜n)に対応した各電源ラッチ回路410のラッチ回路420では、Nチャネルトランジスタ434がON、Pチャネルトランジスタ431がON、Nチャネルトランジスタ432のドレイン電圧がVDDとなり、ノードN2がLowレベルにラッチされる。この結果、全ての列jの電源電圧VDCj(j=0〜n)が0Vとなる。
【0125】
その後、リコール指示信号RCLがHighレベルになると、制御回路501は、VWD=−0.3Vを出力調整回路505に出力させる。このVWD=−0.3Vは、書込回路800によってデータ線DLおよび反転データ線DLBに出力される。そして、列アドレスADDYが最初の列アドレスAY0に設定されると、第0列に対応した列選択電圧COL0がHighレベルとなり、ビット線BIT0、反転ビット線BIT0Bが−0.3Vになる。
【0126】
そして、第0列に対応した列選択電圧COL0がHighレベルになると、第0列に対応した電源ラッチ回路410のラッチ回路420では、Nチャネルトランジスタ432がON、出力ノードN2がHighレベル、Pチャネルトランジスタ431がOFFとなり、以後、ラッチ回路420の出力ノードN2はHighレベルを維持する。そして、ラッチ回路420の出力ノードN2はHighレベルになってから期間Δt1が経過すると、第0列に対応した電源電圧VDC0が0Vから0.5Vに立ち上がる。これにより第0列の不揮発性メモリセルM00〜Mm0ではリコール動作が行われる。第0列に対応した電源ラッチ回路410のラッチ回路420の出力ノードN2は、その後もHighレベルを維持するため、第0列に対応した電源電圧VDC0は、その後も0.5Vを維持する。
【0127】
その後、期間Δt2が経過すると、列アドレスADDYが次の列アドレスAY1に切り換わり、第1列に対応した列選択電圧COL1がHighレベルとなり、ビット線BIT1、反転ビット線BIT1Bが−0.3Vになる。これに伴って、ビット線BIT0、反転ビット線BIT0Bは0Vに戻る。このように第0列の不揮発性メモリセルM00〜Mm0では、期間Δt2を利用してリコール動作が行われる。
【0128】
そして、第1列に対応した列選択電圧COL1がHighレベルになると、第1列に対応した電源ラッチ回路410のラッチ回路420では、出力ノードN2がHighレベルになる。その後、期間Δt1が経過すると、第1列に対応した電源電圧VDC1が0Vから0.5Vに立ち上がる。これにより第1列の不揮発性メモリセルM01〜Mm1ではリコール動作が行われる。第1列に対応した電源電圧VDC1は、その後も0.5Vを維持する。
【0129】
次に、列アドレスADDYが次の列アドレスに切り換えられ、同様に、第2列の不揮発性メモリセルM02〜Mm2がリコールされる。アドレスがAYnまで進み、最後の第n列の不揮発性メモリセルM0n〜Mmnのリコールが終了すると、リコール指示信号RCLがLowレベルとなり、期間t3で、通常のSRAM動作に移行する。
【0130】
<第6実施形態>
上記第3実施形態では、ある列jのストア動作を行わせる際に、不揮発性記憶部12aの抵抗変化型素子R1および不揮発性記憶部12bの抵抗変化型素子R2の両方に同時に電流を流した。これに対して、本実施形態では、抵抗変化型素子R1に対するストア動作と抵抗変化型素子R2に対するストア動作を分けて行う。さらに詳述すると、本実施形態では、ストア時に、1つの列jを選択している期間を2つの期間に分け、2つの期間の一方では、当該列jのビット線BITjおよび反転ビット線BITjBに第1の基準ビット線電圧を与えるとともに、当該列jの揮発性記憶部11に対して第1の電源電圧を与え、2つの期間の他方では、当該列jのビット線BITjおよび反転ビット線BITjBに第2の基準ビット線電圧を与えるとともに、当該列jの揮発性記憶部11に対して第2の電源電圧を与える。その際、第1の電源電圧と第1の基準ビット線電圧は、第1の電源電圧が第1の基準ビット線電圧よりも低く、第1の電源電圧の印加時において、第1の基準ビット線電圧と揮発性記憶部11のノードV1またはV2のいずれか一方が出力するLowレベルの電圧との差分が不揮発性記憶部12aまたは12bに電流を流す程度の印加電圧となり、かつ、第1の基準ビット線電圧と揮発性記憶部11のノードV1またはV2のいずれか一方が出力するHighレベルの電圧との差分が不揮発性記憶部12aまたは12bに電流を流さない程度の印加電圧となるように設定される。また、第2の電源電圧と第2の基準ビット線電圧は、第2の電源電圧が第2の基準ビット線電圧よりも高く、第2の電源電圧の印加時において、第2の基準ビット線電圧と揮発性記憶部11のノードV1またはV2のいずれか一方が出力するLowレベルの電圧との差分が不揮発性記憶部12aまたは12bに電流を流さない程度の印加電圧となり、かつ、第2の基準ビット線電圧と揮発性記憶部11のノードV1またはV2のいずれか一方が出力するHighレベルの電圧との差分が不揮発性記憶部12aまたは12bに電流を流す程度の印加電圧となるように設定される。
【0131】
このようなストア動作を実現するため、本実施形態では、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の列j毎に図18に示すカラム電源制御部440−jをカラムゲート400(図10参照)に設ける。なお、図18では、第j列に対応したカラム電源制御部440ーjと、列選択回路300−jと、不揮発性メモリセルMkjとの関係の理解が容易になるように、それらが併せて図示されている。
【0132】
図18に示すように、第j列に対応したカラム電源制御部440は、NANDゲート441と、レベルシフタ442と、Nチャネルトランジスタ443および444とを有する。NANDゲート441は、第j列の列選択回路300−jが出力する列選択電圧COLjと、制御回路501が出力するタイミング信号TPとが入力される。ここで、タイミング信号TPは、列アドレスADDYの切り換え周期の前半のΔt1の期間、Lowレベルとなり、同周期の後半のΔt2の期間、Highレベルとなる信号である。NANDゲート441は、レベルシフト機能を有しており、Lowレベルとして0Vを出力し、Highレベルとして電源電圧VDDにNチャネルトランジスタ443の閾値電圧を加えた電圧を出力する。レベルシフタ442は、NANDゲート441の出力信号がLowレベルであるときはHighレベル、すなわち、電圧VDCにNチャネルトランジスタ444の閾値電圧を加えた電圧を出力し、NANDゲート441の出力信号がHighレベルであるときはLowレベル、すなわち、0Vを出力する。Nチャネルトランジスタ443は、NANDゲート441の出力信号がHighレベルであるときにONとなり、不揮発性RAMに対する電源電圧VDDを第j列の不揮発性メモリに対する電源電圧VDCjとして出力する。一方、Nチャネルトランジスタ444は、レベルシフタ442の出力信号がHighレベルであるときにONとなり、出力調整回路505が出力する電圧VDCを第j列の不揮発性メモリに対する電源電圧VDCjとして出力する。
【0133】
以上の構成において、ストア動作時に、列アドレスADDYが第j列を示すAYjを維持する期間、第j列に対応した列選択回路300−jは、第j列に対応した列選択電圧COLjをHighレベルにする。この結果、カラムゲート400では、第j列のカラムゲートスイッチCGjおよびCGjBがONとなり、データ線DLがビット線BITjに、反転データ線DLBが反転ビット線BITjBに接続される。
【0134】
一方、列アドレスADDYがAYjを維持する期間の前半のΔt1の期間、タイミング信号TPはLowレベルとなるので、Nチャネルトランジスタ443がONとなり、電圧VDDが第j列の不揮発性メモリに対する電源電圧VDCjとして出力される。そして、後半のΔt2の期間になると、タイミング信号TPがHighレベルになるので、Nチャネルトランジスタ444がONとなり、電圧VDCが第j列の不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)に対する電源電圧VDCjとして出力される。
【0135】
図19は本実施形態において行われるストア動作のバイアス条件を示す図である。本実施形態では、第j列の不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)のストア動作が、上述のΔt1の期間を利用して行う第1ステップの動作と、上述のΔt2の期間を利用して行う第2ステップの動作に分かれている。
【0136】
まず、第1ステップ(Δt1)では、第j列の不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)に対して電源電圧VDCjとしてVDD=0.5V(第1の電源電圧)を与え、ビット線BITjおよび反転ビット線BITjBに基準ビット線電圧VWDとして1.0V(第1の基準ビット線電圧)を与える。
【0137】
この場合において、ある不揮発性メモリセルMkjの揮発性記憶部11がデータ“1”を記憶しているとすると、ノードV1は0.5V、ノードV2は0Vとなっている。この場合、ビット線BITjとノードV1との間の電圧は0.5V、反転ビット線BITjBとノードV2との間の電圧は1.0Vとなる。従って、不揮発性記憶部12aの抵抗変化型素子R1には電流が流れず、抵抗変化型素子R1の抵抗値は変化しない。一方、不揮発性記憶部12bの抵抗変化型素子R2にはフリー層からピン層に向かう電流が流れ、抵抗変化型素子R2の抵抗値は低くなる。
【0138】
次に、第2ステップ(Δt2)では、第j列の不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m)に対して電源電圧VDCjとしてVDC=1.0V(第2の電源電圧)を与え、ビット線BITjおよび反転ビット線BITjBに基準ビット線電圧VWDとして0V(第2の基準ビット線電圧)を与える。
【0139】
ここで、不揮発性メモリセルMkjの揮発性記憶部11がデータ“1”を記憶していると、ノードV1は1.0、ノードV2は0Vとなっている。この場合、ビット線BITjとノードV1との間の電圧は−1.0V、反転ビット線BITjBとノードV2との間の電圧は0Vとなる。従って、不揮発性記憶部12aの抵抗変化型素子R1にはピン層からフリー層に向かう電流が流れ、抵抗変化型素子R1の抵抗値は高くなる。一方、不揮発性記憶部12bの抵抗変化型素子R2には電流が流れず、抵抗変化型素子R2の抵抗値は変化しない。
【0140】
このように第1ステップおよび第2ステップを経ることにより、抵抗変化型素子R1は高抵抗、抵抗変化型素子R2は低抵抗となり、不揮発性メモリセルMkjの“1”ストアが完了する。
【0141】
以上、揮発性記憶部11がデータ“1”を記憶している不揮発性メモリセルMkjのストア動作について説明したが、揮発性記憶部11がデータ“0”を記憶している不揮発性メモリセルMkjにおいても同様な動作が行われる。
【0142】
第1ステップ(Δt1)において、不揮発性メモリセルMkjの揮発性記憶部11がデータ“0”を記憶しているとすると、ノードV1は0V、ノードV2は0.5Vとなっている。この場合、ビット線BITjとノードV1との間の電圧は1.0V、反転ビット線BITjBとノードV2との間の電圧は0.5Vとなる。従って、不揮発性記憶部12aの抵抗変化型素子R1にはフリー層からピン層に向かう電流が流れ、抵抗変化型素子R1の抵抗値は低くなる。一方、不揮発性記憶部12bの抵抗変化型素子R2には電流が流れず、抵抗変化型素子R2の抵抗値は変化しない。
【0143】
次に、第2ステップ(Δt2)では、不揮発性メモリセルMkjの揮発性記憶部11がデータ“0”を記憶していると、ノードV1は0V、ノードV2は1.0Vとなっている。この場合、不揮発性記憶部12aの抵抗変化型素子R1には電流が流れず、抵抗変化型素子R1の抵抗値は変化しない。一方、不揮発性記憶部12bの抵抗変化型素子R2にはピン層からフリー層に向かう電流が流れ、抵抗変化型素子R2の抵抗値は高くなる。
【0144】
このように第1ステップおよび第2ステップを経ることにより、抵抗変化型素子R1は低抵抗、抵抗変化型素子R2は高抵抗となり、不揮発性メモリセルMkjの“0”ストアが完了する。
【0145】
図20は本実施形態におけるストア動作の詳細を示すタイムチャートである。図20に示すように、ストア指示信号STRがHighレベルになると、電源電圧VDCが0.5Vから1Vに上昇する。
【0146】
そして、列アドレスADDYが第0列の列アドレスAY0に設定される期間の前半のΔt1の期間、第0列に対する電源電圧VDC0を0.5Vとし、ビット線BIT0および反転ビット線BIT0Bを1.0Vとする。ここで、不揮発性メモリセルM00の揮発性記憶部11が例えばデータ“1”を記憶しており、V1=0.5V、V2=0Vであったとすると、時間Δ1の間、VDC0=0.5V(=VDD)、BIT0=BIT0B=1.0V、V1=0.5V、V2=0Vとなる。この状態では、抵抗変化型素子R1には電圧が印加されず、書き込みが行われない。また、抵抗変化型素子R2には、負の電圧0.5Vが印加され、書き込みが行われる。
【0147】
次に、列アドレスADDYが第0列の列アドレスAY0に設定される期間の後半のΔt2の期間、VDC0=1.0V、BIT0=BIT0B=0V、V1=1.0V、V2=0Vとなる。この状態では、抵抗変化型素子R1には、正の電圧が印加されて書き込みが行われ、抵抗変化型素子R2には、電流が流れない。
【0148】
結果として、抵抗変化型素子R1は高抵抗、抵抗変化型素子R2は低抵抗に変化し、データ“1”がストアされる。
【0149】
その後、列アドレスADDYを順次インクリメントすれば、VDC=1.0Vの低電圧で、全ての不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)のストア動作を行わせることができる。
【0150】
<第7実施形態>
図21は、この発明の第7実施形態である不揮発性RAMの構成を示す回路図である。上記第3実施形態(図10)では不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の列j単位でストア動作を行った。また、上記第5実施形態(図16図17)では、揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の列j単位でリコール動作を行った。これに対し、本実施形態では、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の行k単位でストア動作およびリコール動作を行う。
【0151】
本実施形態では、列j単位でのストア動作を行わないので、カラムゲート450は、上記第3実施形態(図10)のカラムゲート400が有していたレベルシフタ401−j、Nチャネルトランジスタ402−jおよび403−jを有していない。
【0152】
また、本実施形態における不揮発性RAMセルアレイ150では、不揮発性メモリセルMkj(k=0〜m、j=0〜n)の行k毎に電源電圧VDCkが供給されるようになっている。
【0153】
そして、本実施形態では、行デコーダを構成する行選択回路250−k(k=0〜m)の構成が上記第3〜第6実施形態のものと異なっている。
【0154】
図22は本実施形態における行選択回路250−kの構成を示す回路図である。図22において、行アドレス一致検出部201は、行アドレスADDXが当該行kを示すときにLレベルを出力する回路である。インバータ202は、この行アドレス一致検出部201の出力信号を反転してノードN3に出力する。従って、ノードN3は、行アドレスADDXが当該行kを示すときにHighレベル、そうでないときにLowレベルとなる。NORゲート210は、ストア指示信号STRおよびリコール指示信号RCLの両方がLowレベルの場合にHighレベルを出力し、そうでない場合、すなわち、ストアモードまたはリコールモードのいずれかである場合にLowレベルを出力する。NANDゲート212は、NORゲート210の出力信号がHighレベルである場合にノードN3の信号を反転して出力し、NORゲート210の出力信号がLowレベルである場合にはHighレベルを出力する。インバータ213は、このNANDゲート212の出力信号を反転し、第k行の行選択電圧WLkとして出力する。従って、行選択電圧WLkは、ストアモードでもリコールモードでもなく、行アドレスADDXが当該行kを示すときにHighレベルとなる。また、ストアモードまたはリコールモードでは行選択電圧WLkはLowレベルとなる。
【0155】
ラッチ回路L2は、Nチャネルトランジスタ204および206と、インバータ205と、Pチャネルトランジスタ203とにより構成されている。このラッチ回路L2の構成は前掲図16のラッチ回路420と同様である。このラッチ回路L2は、パワーオンパルスPONの発生によりノードN4がLowレベルに初期化され、その後、ノードN3がHighレベルに立ち上がると、ノードN4をHighレベルに立ち上げ、以後、ノードN4をHighレベルに維持する回路である。遅延回路207は、ノードN4の信号を所定時間Δt1だけ遅延させて出力する。インバータ208は、遅延回路207の出力信号を反転させて出力する。インバータ221は、ノードN3の信号を反転させて出力する。AND−ORゲート222は、リコール指示信号RCLがHighレベルの場合にインバータ208の出力信号を選択し、信号RCLBがHighレベル(すなわち、リコール指示信号RCLがLowレベル)の場合にインバータ221の出力信号を選択して出力する。レベルシフタ209は、AND−ORゲート222の出力信号がLowレベルの場合は電圧VDCを、AND−ORゲート222の出力信号がHighレベルの場合は電圧VDSを選択し、第k行の不揮発性メモリセルMkj(j=0〜n)に対する電源電圧VDCkとして出力する。ここで、電圧VDSは、電源制御回路510により出力される電圧である。
【0156】
図23は本実施形態において行われるストア動作を示すタイムチャートである。ストア指示信号STRがHighになると、電源制御回路510は、不揮発性メモリセルに供給するための電源電圧VDCを0.5Vから2.0Vに切り換える。また、ストア指示信号STRがHighになると、行選択回路250−k(k=0〜m)は、行選択電圧WLk(k=0〜m)をLowレベルとする。また、ストアモードでは、リコール指示信号RCLがLowレベル(すなわち、信号RCLBがHighレベル)となるので、行選択回路250−k(k=0〜m)では、ノードN3の信号がインバータ221、AND−ORゲート222、レベルシフタ209を介し、第k行の不揮発性メモリセルMkj(j=0〜n)に対する電源電圧VDCkとして出力される。そして、ストアモードにおいて、制御回路501は、一括選択信号ASELBをHighレベルとする。これにより列選択回路300−j(j=0〜n)は、全ての列の列選択電圧COLj(j=0〜n)をHighレベルとし、ビット線BITj(j=0〜n)をデータ線DLに、反転ビット線BITjB(j=0〜n)を反転データ線DLBに接続する。この結果、ビット線BITj(j=0〜n)および反転ビット線BITjB(j=0〜n)に基準ビット線電圧VWD=1.0Vが供給される。
【0157】
ここで、行アドレスADDXがΔt1の期間だけ第0行を示すAX0になると、行選択回路250−0では、ノードN3がHighレベルとなるため、電圧VDC=2.0VがΔt1の期間だけ第0行の不揮発性メモリセルM0j(j=0〜n)に対する電源電圧VDC0として出力される。この結果、第0行の不揮発性メモリセルM0j(j=0〜n)においてストア動作が行われる。
【0158】
このとき、不揮発性メモリセルM00の揮発性記憶部11にデータ“1”が記憶されているとすると、揮発性記憶部11のノードV1が2.0V、ノードV2が0Vとなる。従って、不揮発性メモリセルM00の抵抗変化型素子R1には、ノードV1からビット線BIT0へ向かう逆方向電流が流れ、抵抗変化型素子R1は高抵抗となる。一方、抵抗変化型素子R2には、反転ビット線BIT0BからノードV2に向かう順方向電流が流れ、抵抗変化型素子R2は低抵抗となる。このようにして、不揮発性メモリセルM00では、データ“1”のストアが行われる。
【0159】
次に、行アドレスADDXが第1行を示すAX1となると、期間Δt1だけ第1行の不揮発性メモリセルM1j(j=0〜n)に対する電源電圧VDC1が2.0Vとなり、第1行の不揮発性メモリセルM1j(j=0〜n)においてストア動作が行われる。同様にして、全ての行の不揮発性メモリセルのストア動作が行われる。
【0160】
全ての行の不揮発性メモリセルのストアが終了すると、ストア指示STRがLowレベルになり、電源制御回路510が出力する電源電圧VDCおよび不揮発性RAMに対する電源電圧VDDが0Vに落ちる。
【0161】
図24は本実施形態において行われるリコール動作を示すタイムチャートである。不揮発性RAMに対する電源電圧VDDが0.5Vに立ち上がり、図示しない電源電圧検知回路がパワーオンパルスPONを発生すると、このパワーオンパルスPONにより不揮発性RAMの内部回路がリセットされる。例えば行選択回路250−k(k=0〜m)では、パワーオンパルスPONの発生により、ラッチ回路L2の出力ノードN4がLowレベルとなる。
【0162】
次にリコール指示信号RCLがHighレベルになると、電源制御回路510は、基準ビット線電圧VWDを−0.3Vとする。書込回路800は、この基準ビット線電圧VWD=−0.3Vをデータ線DLおよび反転データ線DLBに出力する。また、リコール指示信号RCLがHighレベルになると、制御回路501は、一括選択信号ASELBをLowレベルとする。これにより列選択回路300−j(j=0〜n)は、全ての列の列選択電圧COLj(j=0〜n)をHighレベルにする。この結果、ビット線BITj(j=0〜n)がデータ線DLに、反転ビット線BITjB(j=0〜n)が反転データ線DLBに接続され、ビット線BITj(j=0〜n)および反転ビット線BITjB(j=0〜n)に基準ビット線電圧VWD=−0.3Vが印加される。また、リコール指示信号RCLがHighレベルになると、行選択回路250−k(k=0〜m)では、インバータ208の出力信号がAND−ORゲート222によって選択され、レベルシフタ209に供給される。
【0163】
そして、行アドレスADDXが第0行を示すAX0になると、行選択回路250−0のラッチ回路L2の出力ノードN4がHighレベルに立ち上がり、その後、一定時間Δt1が経過したとき、レベルシフタ209が第0行の不揮発性メモリセルM0j(j=0〜n)に対する電源電圧VDC0を0Vから0.5Vに立ち上げる。これにより第0行の不揮発性メモリセルM0j(j=0〜n)ではリコール動作が行われ、不揮発性記憶部12aおよび12bに記憶されたデータが揮発性記憶部11に転送される。
【0164】
その後、時間Δt2が経過すると、行アドレスADDXが切り換えられる。以下同様に、順次行アドレスを切り換えて、全ての行の不揮発性メモリセルのリコール動作を行う。最後の行の不揮発性メモリセルのリコール動作が完了すると、リコール指示信号RCLがLowレベルとなり、リコールモードが終了する。
【0165】
ここで、注意すべきことは、リコール動作中は、全てのビット線および反転ビット線が−0.3Vになっており、揮発性記憶部11のノードV1またはV2の一方からビット線または反転ビット線の一方に僅かながら電流が流れる点である。例えば、データ“1”のリコールの場合、V1=0.5Vであり、ノードV1からビット線BL(−0.3V)に僅かながら電流が流れる。不揮発性メモリセルの数が多くなると、消費電流が多くなるので、このときは、ビット線および反転ビット線の電圧を最適化して、漏れ電流を最小にする必要がある。
【0166】
<他の実施形態>
以上、この発明の第1〜第7実施形態について説明したが、この発明には他にも実施形態が考えられる。例えば次の通りである。
【0167】
(1)上記各実施形態では、ストア時、リコール時に、列アドレスまたは行アドレスを不揮発性RAMの外部から与え、この行アドレスを外部から切り換えることにより行単位でのストアおよびリコールを行った。しかし、そのようにする代わりに、例えばカウンタ等により順次変化する行アドレスを出力する行アドレス発生手段を不揮発性RAM内に設け、この行アドレス発生手段が出力する行アドレスを利用してストアおよびリコールを行うようにしてもよい。
【0168】
(2)上記各実施形態では、RAMセルアレイの全セルを揮発性記憶部と不揮発性記憶部からなる不揮発性メモリセルにより構成した。しかし、そのようにする代わりに、RAMセルアレイの一部の領域を不揮発性メモリセルにより構成し、残りの領域を通常のSRAMのメモリセルにより構成してもよい。すなわち、SRAMの全メモリ空間のうち一部の領域のみをストアおよびリコールの可能な領域にするのである。
【0169】
(3)上記第1〜第7実施形態において、不揮発性メモリセルとして、図5の構成のものを使用するか、図7の構成のものを使用するかは任意である。
【符号の説明】
【0170】
10,10a,Mkj……不揮発性メモリセル、11……揮発性記憶部、12a,12b,12c,12d……不揮発性記憶部、P1,P2……Pチャネルトランジスタ、N1,N2,Ta1,Ta2……Nチャネルトランジスタ、R1,R2……抵抗変化型素子、INV1,INV2……インバータ、BL,BLB,BITj,BITjB……ビット線、100,150……不揮発性RAMセルアレイ、200……行デコーダ、300……列デコーダ、400,450……カラムゲート、600……センスアンプ、700……入出力バッファ、800……書込回路、500……制御部、501……制御回路、510……電源制御回路、200−k,250−k……行選択回路、300−j……列選択回路、201,301……アドレス一致検出部、420,L2……ラッチ、207,435……遅延回路、303,401−j,437,442,209……レベルシフタ。
図1
図2
図3
図4
図5
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