特許第6146215号(P6146215)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 王子ホールディングス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6146215-清拭用手袋 図000002
  • 特許6146215-清拭用手袋 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146215
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】清拭用手袋
(51)【国際特許分類】
   A47K 7/02 20060101AFI20170607BHJP
   A41D 19/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   A47K7/02 Z
   A41D19/00 A
【請求項の数】2
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-183409(P2013-183409)
(22)【出願日】2013年9月4日
(65)【公開番号】特開2015-47463(P2015-47463A)
(43)【公開日】2015年3月16日
【審査請求日】2016年1月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】特許業務法人磯野国際特許商標事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100064414
【弁理士】
【氏名又は名称】磯野 道造
(74)【代理人】
【識別番号】100111545
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 悦夫
(74)【代理人】
【識別番号】100129067
【弁理士】
【氏名又は名称】町田 能章
(72)【発明者】
【氏名】稲富 裕介
(72)【発明者】
【氏名】内田 広美
【審査官】 七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特許第4422931(JP,B2)
【文献】 特開2001−275875(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2002/0107528(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 7/02
A41D 19/00−19/04
A47L 13/00−13/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
手袋本体からなる清拭用手袋であって、
前記手袋本体は不織布であるシートによって筒状に形成されており、
前記シートは、内側シートと、前記内側シートの外面に積層された外側シートと、を備え、
前記外側シートには、複数の貫通穴が形成され
前記内側シートと前記外側シートとは、複数の箇所で点状に接合されていることを特徴とする清拭用手袋。
【請求項2】
前記貫通穴は、前記手袋本体の幅方向に直交する方向を長手方向とする長穴であることを特徴とする請求項1に記載の清拭用手袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体を拭くための清拭用手袋に関する。
【背景技術】
【0002】
身体の汚れを拭き取るための清拭用手袋としては、不織布である二枚のシートの両側部および先端部を熱融着(ヒートシール)した袋状の手袋本体が形成されているものがある(例えば、特許文献1参照)。このような清拭用手袋は、高齢者や病人等の介護において好適に使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4422931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の清拭用手袋では、手袋本体に手を挿入すると、掌側および手の甲側にそれぞれ一枚のシートが配置され、身体の汚れを拭き取る際には、掌側のシートの平坦な面を利用する。このような従来の清拭用手袋では、身体の汚れに対する拭き取り性能を高めることが望まれている。
【0005】
そこで、本発明は、身体の汚れに対する拭き取り性能を高めることができる清拭用手袋を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、手袋本体からなる清拭用手袋であって、前記手袋本体は不織布であるシートによって筒状に形成されている。前記シートは、内側シートと、前記内側シートの外面に積層された外側シートと、を備えている。前記外側シートには、複数の貫通穴が形成され、前記内側シートと前記外側シートとは、複数の箇所で点状に接合されている。
【0007】
この構成では、外側シートに複数の貫通穴を形成することで、手袋本体の外面に凹凸が形成される。そして、手袋本体によって身体を拭いたときに、各貫通穴の内周縁部によって身体の汚れが掻き落とされるとともに、身体の汚れが貫通穴から外側シートと内側シートとの間に入り込むため、身体の汚れを確実に拭き取ることができる。
【0008】
前記した清拭用手袋において、前記貫通穴が前記手袋本体の幅方向に直交する方向を長手方向とする長穴であることが望ましい。
この構成では、手袋本体に挿入した手を横方向に移動させて身体を拭いたときに、貫通穴の内周縁部の広い範囲で汚れを掻き落とすことができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の清拭用手袋では、手袋本体によって身体を拭いたときに、各貫通穴の内周縁部によって身体の汚れが掻き落とされるとともに、身体の汚れが貫通穴から外側シートと内側シートとの間に入り込むため、身体の汚れを確実に拭き取ることができる。したがって、身体の汚れに対する拭き取り性能を高めることができ、身体を清潔に拭き上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本実施形態の清拭用手袋を示した斜視図である。
図2】シートに穴加工を施した構成を示した図で、(a)は積層構造を示した斜視図、(b)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
本実施形態の清拭用手袋1は、図1に示すように、高齢者や病人等の身体の汚れを拭き取る際に使用するものであり、使用者の手2に装着して使用する。
清拭用手袋1は、ミトン形状の手袋本体10からなる。手袋本体10の両面に拭き取り面が形成されている。使用者は手袋本体10に手2を挿入し、掌側の拭き取り面を利用して身体の汚れを拭き取る。
【0012】
手袋本体10は、不織布である二枚のシート20,20の基端部以外の外周部同士を接合してミトン形状に形成されている。手袋本体10の基端部には挿入口11が開口している。また、手袋本体10の先端部には、親指が挿入される空間12と、その他の指が挿入される空間13とが形成されている。
【0013】
手袋本体10は、同じ形状の二枚のシート20,20の基端部以外の外周部同士を熱融着(ヒートシール)することで形成されている。本実施形態では、両シート20,20の縁部よりも内側を、両シート20,20の縁部に沿って熱融着しているため、両シート20,20の接合部位の縁部の柔軟性が保たれている。
【0014】
不織布であるシート20は、コットン、パルプおよびレーヨン等の吸水性を有する繊維によって構成されている。二枚のシート20,20は同じ形状に形成されている。シート20を構成する繊維の材質等は限定されるものではないが、汚れの拭き取り性能や肌触り等を考慮して、吸水性や柔軟性を有するものを使用する。
【0015】
シート20は、図2(b)に示すように、二層の不織布であり、内側シート21と、内側シート21の外面21aに積層された外側シート22と、を備えている。内側シート21は、外面21aおよび内面21bが平坦なシートである。
【0016】
外側シート22には複数の貫通穴22d(図2(a)参照)が穴加工によって形成されている。各貫通穴22dは、手袋本体の幅方向に直交する方向を長手方向とする長穴である。
【0017】
シート20を用いて手袋本体10(図1参照)を形成する場合には、外側シート22の外面22aが手袋本体10の拭き取り面となるようにシート20を配置する。これにより、拭き取り面には複数の貫通穴22dによって凹凸が形成される。
【0018】
シート20では、内側シート21と外側シート22とが複数の箇所で点状に熱融着されている。すなわち、内側シート21の外面21aと外側シート22の内面22bとが接している領域の大部分は分離されている。
【0019】
以上のような清拭手袋1では、手袋本体10(図1参照)によって身体を拭いたときに、各貫通穴22dの内周縁部によって身体の汚れが掻き落とされる。また、身体の汚れが貫通穴22dから外側シート22と内側シート21との間に入り込むため、身体の汚れを確実に拭き取ることができる。したがって、身体の汚れに対する拭き取り性能を高めることができ、身体を清潔に拭き上げることができる。
【0020】
また、貫通穴22dは、手袋本体10の幅方向に直交する方向を長手方向とする長穴であるため、手袋本体10(図1参照)を幅方向に移動させて身体を拭いたときに、貫通穴22dの内周縁部の広い範囲で汚れを掻き落とすことができる。
【0021】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
例えば、図2(a)に示すように、本実施形態では、シート20の貫通穴22dが長穴に形成されているが、貫通穴22dの形状は限定されるものではなく、円形、矩形または菱形等の各種形状に形成することができる。
【0022】
また、本実施形態の手袋本体10は、図1に示すように、ミント形状に形成されているが、その形状は限定されるものではなく、例えば、長方形の二枚のシートの縁部を接合して筒状の手袋本体を形成してもよい。
また、本実施形態の手袋本体10では、二枚のシート20,20を熱融着しているが、縫合や接着剤によって二枚のシート20,20を接合してもよい。
【符号の説明】
【0023】
1 清拭用手袋
2 手
10 手袋本体
11 挿入口
20 シート
21 内側シート
22 外側シート
22d 貫通穴
図1
図2