(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146232
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】二次電池
(51)【国際特許分類】
H01M 10/058 20100101AFI20170607BHJP
H01M 4/13 20100101ALI20170607BHJP
H01M 2/26 20060101ALI20170607BHJP
H01M 2/34 20060101ALI20170607BHJP
H01M 10/04 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
H01M10/058
H01M4/13
H01M2/26 A
H01M2/34 B
H01M10/04 Z
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-195259(P2013-195259)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-60788(P2015-60788A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年7月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】特許業務法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷山 晃一
【審査官】
神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】
特開2011−216399(JP,A)
【文献】
特開2012−204333(JP,A)
【文献】
特開2011−216403(JP,A)
【文献】
特開2010−010117(JP,A)
【文献】
特開2013−045795(JP,A)
【文献】
特開2011−154971(JP,A)
【文献】
特開2009−211824(JP,A)
【文献】
国際公開第2015/001716(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/058−10/0587、10/04、4/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周縁に第1の辺とこの対辺の第2の辺とを有するセパレータを間に挟んで正極及び負極を交互に積層したコアを備える二次電池であって、
前記正極は、前記セパレータの有する前記第1の辺よりも突出する正極リードを具備する正極集電体と、前記セパレータの外周縁よりも内側の範囲の前記正極集電体の両面を覆う正極活物質と、前記正極活物質の縁から離れて少なくとも前記セパレータの外周縁までの間の前記正極リードの両面に形成される絶縁部と、を有し、
前記負極は、前記セパレータの有する前記第2の辺よりも突出する負極リードを具備する負極集電体と、前記セパレータの外周縁よりも内側で前記正極活物質が形成された範囲よりも広い範囲の前記負極集電体の両面を覆う負極活物質と、を有し、
前記絶縁部は、前記コアが形成された状態で、前記負極の端部を覆うように、積層方向に前記負極の両側に配置される前記セパレータの前記第1の辺を閉じる
ことを特徴とする二次電池。
【請求項2】
前記絶縁部は、前記負極活物質が形成された範囲よりも内側から少なくとも前記セパレータの前記外周縁までの範囲に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の二次電池。
【請求項3】
前記絶縁部は、電解液が浸透可能な空孔を多数含む部材で形成される
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の二次電池。
【請求項4】
前記絶縁部は、前記正極リードを覆って形成され電解液を通さない中実な第1の絶縁層と、前記第1の絶縁層を覆って形成され電解液が浸透可能な空孔を多数含む第2の絶縁層と、を含む
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の二次電池。
【請求項5】
前記絶縁部の厚みは、前記セパレータの外周縁の位置で、前記正極の片側に形成された正極活物質の厚み、及び、前記負極の片側に形成された負極活物質の厚みをそれぞれ足し合わせた厚みに形成され、
前記第1の絶縁層は、前記正極活物質の厚みよりも薄い
ことを特徴とする請求項4に記載の二次電池。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セパレータを挿んで交互に配置される正極板と負極板との端部の間で短絡することを防止する構造を有した二次電池に関する。
【背景技術】
【0002】
リチウムイオン電池などの二次電池は、セパレータを間に挟んで正極板と負極板とを交互に配置したコアを有している。短いシート状の正極板と負極板とをセパレータを介して厚み方向に繰り返し重ねた積層型のコアと、セパレータを挿んで長い帯状の正極板と負極板とを巻き重ねた捲回型のコアとが知られている。正極板は、基材となるアルミニウム箔に正極活物質が塗布された正極活物質合剤層を両面に有し、一方の縁にアルミニウム箔が露出した正極リードを備えている。負極板は、基材となる銅箔に負極活物質が塗布された負極活物質合剤層を両面に有し、他方の縁に銅箔が露出した負極リードを備えている。
【0003】
正極リードおよび負極リードは、正極板と負極板との間に配置されるセパレータの両縁から互いに反対側に張り出すように配置される。このとき、負極活物質合剤層の塗布領域の幅に比べて正極活物質合剤層の塗布領域の幅のほうが狭いため、負極活物質合剤層と正極リードとが対向する範囲において、短絡しないような配慮が必要である。
【0004】
電極間が短絡する要因は、製造過程で生じる電極の断片など導電性の異物であると想定される。これらの異物は、電極間に直接触れて短絡させるだけでなく、電解液に溶解してイオン化したのち負極側で還元されて析出してデンドライトを形成することによっても短絡を引き起こす。
【0005】
特許文献1に記載された角形リチウムイオン二次電池は、捲回型の捲回電極群(コア)を有している。正極板は、正極リードと正極活物質合剤層との境界に絶縁層を有している。この絶縁層は、正極活物質合剤層の側縁に重なるように、かつ正極活物質合剤層と同じ厚みに形成されている。絶縁層とセパレータとで正極リードの基部を覆うことで、負極活物質合剤層と正極リードとが触れないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−216403号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、リチウムイオン電池のような二次電池は、製造直後の充放電において、電極の周囲にわずかながらにガスを発生する。これらのガスは、電極の間に残留すると電池の性能を低下させるだけでなく、電池の容器を膨らませるなど変形させる要因となるため、排出されることが望ましい。特許文献1に開示されたリチウムイオン電池の場合、正極活物質合剤層と同じ厚みに絶縁層を形成している。この絶縁層は、セパレータとともに正極リードの基部を周囲から隔絶するように覆い隠している。そのため、発生したガスを絶縁層側へ排出しにくい。
【0008】
積層型のコアの場合、セパレータの端部を接合して、正極と負極とが互いに接しないようにすることも知られている。しかし、積層するごとにセパレータを接合するためには製造工程が複雑になり、生産効率が低下する。また、積層した後でセパレータを接合しようとすると、正極リードの間の範囲を接合できない。また、捲回型のコアの場合、正極および負極とともにセパレータを捲回すると、周長差によって徐々にずれが生じる。したがって、セパレータを接合してから捲回すると、歪が生じ、接合部が剥れてしまうかもしれない。
【0009】
そこで、本発明は、電極間が短絡することを簡単な構造で防止し、かつ電極に発生するガスを排出しやすい二次電池を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る一実施形態の二次電池は、セパレータを間に挟んで正極および負極を交互に積層したコアを備える。セパレータは、その外周縁に第1の辺とこの対辺の第2の辺とを有する。正極は、正極集電体と正極活物質と絶縁部とを有する。正極集電体は、セパレータの有する第1の辺よりも突出する正極リードを具備する。正極活物質は、セパレータの外周縁よりも内側の範囲の正極集電体の両面を覆う。絶縁部は、正極活物質の縁から離れて少なくともセパレータの外周縁までの間の正極リードの両面に形成される。負極は、負極集電体と負極活物質とを有する。負極集電体は、セパレータの有する第2の辺よりも突出する負極リードを具備する。負極活物質は、セパレータの外周縁よりも内側で正極活物質が形成された範囲よりも広い範囲の負極集電体の両面を覆う。そして、絶縁部は、コアが形成された状態で、負極の端部を覆うように、積層方向に負極の両側に配置されるセパレータの第1の辺を閉じる。
【0011】
このとき、絶縁部は、負極活物質が形成された範囲よりも内側から少なくともセパレータの外周縁までの範囲に形成される。また、絶縁部は、電解液が浸透可能な空孔を多数含む部材で形成されるとよい。また、絶縁部は、正極リードを覆って形成され電解液を通さない中実な第1の絶縁層と、第1の絶縁層を覆って形成され電解液が浸透可能な空孔を多数含む第2の絶縁層と、を含む。絶縁部の厚みは、セパレータの外周縁の位置で、正極の片側に形成された正極活物質の厚み、および負極の片側に形成された負極活物質の厚みをそれぞれ足し合わせた厚みに形成され、前記第1の絶縁層は、前記正極活物質の厚みよりも薄くする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る二次電池によれば、正極のリードに絶縁部を有している。セパレータを挿んで正極と負極とを積層したコアを形成することで、セパレータの有する第1の辺に沿う負極の端部は、積層方向に負極の両側に配置されたセパレータの第1の辺によって覆われる。したがって、製造過程において生じる電極の断片など導電性の異物が二次電池に混入していても、異物が正極を負極に短絡させることを防止できる。
【0013】
また、負極活物質が形成された範囲よりも内側から少なくともセパレータの外周縁までの範囲に絶縁物が形成される発明の二次電池によれば、第1の辺から延びる正極リードの位置が安定する。電解液が浸透可能な空孔を多数含む部材で絶縁部が形成されている発明の二次電池によれば、組み立て時に電解液が浸透しやすく、また直後の充放電によって生じるガスも抜けやすい。
【0014】
さらに、正極リードを覆って形成され電解液を通さない中実な第1の絶縁層と、第1の絶縁層を覆って形成され電解液が浸透可能な空孔を多数含む第1の絶縁層とを絶縁部が有する発明の二次電池によれば、正極リードからデンドライトが発生しない。また、電解液中の溶存金属が正極リードの近傍で析出した場合でも、析出する金属が第1の絶縁層によって正極リードに達することを阻止される。したがって、正極と負極とを短絡させることを防止できる。
【0015】
セパレータの外周縁の位置で、絶縁部の厚みが、正極の片側に形成された正極活物質の厚みおよび負極の片側に形成された負極活物質の厚みをそれぞれ足し合わせた厚みに形成され、第1の絶縁層が正極活物質の厚みよりも薄い発明の二次電池によれば、第1の辺側の負極の端部をセパレータで確実に覆うことができるとともに、電解液が絶縁部の第2の絶縁層を透過して正極に供給される。そして、第2の絶縁層を透過した電解液は、セパレータも透過することで、負極にも供給される。また、第2の絶縁層を通して第1の辺側の正極および負極の近傍で発生したガスを排出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る第1の実施形態の二次電池の斜視図。
【
図3】
図2に示したコアの積層部分を拡大する断面図。
【
図4】本発明に係る第2の実施形態の二次電池のコアの断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る第1の実施形態の二次電池について、リチウムイオン電池1に適用した場合を一例に
図1から
図3を参照して説明する。
図1に示すリチウムイオン電池1は、コア10及び電解液をケース2の中に収納しており、開口部21に蓋3が取り付けられている。ケース2は、
図1に示すような角型の容器である以外に、円筒型であってもよいし、ラミネートフィルムで形成された袋状のものでもよい。正極端子101および負極端子102は、それぞれ蓋3を貫通して取り付けられている。
【0018】
コア10は、セパレータ13を間に挟んで正極11および負極12が交互に積層配置された構造を有している。本実施形態のコア10は、
図2に示すように、帯状に長いセパレータ13を間に挟んで、同じくそれぞれ帯状に長い正極11と負極12とを巻いた捲回型のコア10である。
【0019】
本実施形態において、セパレータ13は、
図2に示すように帯状の長手方向に、第1の辺131とこの対辺に位置する第2の辺132とを有する。セパレータ13は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系微多孔膜で作られており、空孔中に電解液を保持する。
【0020】
正極11は、
図3に示すように正極集電体111と正極活物質112と絶縁部14とを有する。正極集電体111は、セパレータ13の有する第1の辺131よりも突出する正極リード113を具備している。この実施形態において正極集電体111は、アルミニウム箔である。正極活物質112は、セパレータ13の外周縁13Aよりも内側の範囲の正極集電体111の両面を覆うように形成される。正極活物質112は、電極材料の粉末を溶媒で溶いてスラリーにし、正極集電体111の両側の面に均質に塗工され、乾燥されることによって形成される。正極活物質112の一例としてマンガン酸リチウムが採用される。絶縁部14は、正極活物質112の縁112Aから離れた位置から少なくともセパレータ13の外周縁13Aまでの間の正極リードの両面に形成される。本実施形態では、
図2に示すように、正極活物質112の縁112Aに平行に形成される。絶縁部14は、正極活物質112と同様に、スラリーにして塗工される。絶縁部14は、正極活物質112から離れて形成されるので、正極活物質112と同時に塗工されてもよいし、正極活物質112の前にまたは後に塗工されてもよい。
【0021】
負極12は、負極集電体121と負極活物質122とを有する。負極集電体121は、セパレータ13の有する第2の辺132よりも突出する負極リード123を具備している。この実施形態において負極集電体121は、銅箔である。負極活物質122は、セパレータ13の外周縁13Aよりも内側の範囲で、かつ、正極活物質112が形成された範囲よりも広い範囲の負極集電体121の両面を覆うように形成される。負極活物質122は、正極活物質112と同様に、スラリーにして塗工される。負極活物質122の一例として黒鉛が採用される。
【0022】
さらに、本実施形態の場合、
図3に示すように、正極11に設けられる絶縁部14は、コア10が形成された状態で、負極12の端部12Aを覆うように、積層方向に負極12の両側に配置されるセパレータ13の第1の辺131を閉じる。つまり、絶縁部14は、セパレータ13の外周縁13Aの位置で、正極集電体111の片側に形成された正極活物質112の厚みT1および負極集電体121の片側に形成された負極活物質122の厚みT2をそれぞれ足し合わせた厚みT4を有している。厳密には、セパレータ13の外周部13Aの位置における絶縁部14の厚みT4は、さらに負極集電体121の半分の厚みを含む。したがって、積層方向に負極12の両側にセパレータ13を介して正極11が配置されることで、セパレータ13の第1の辺131が絶縁部14によって押し曲げられ、当接される。
【0023】
このとき、正極活物質112に面した絶縁部14の端部14Aは、
図3に示すように、負極活物質122が形成された範囲よりも内側に位置しており、正極活物質112の厚みT1と同じ厚みに成形されている。そして、絶縁部14は、セパレータ13の外周縁13Aに位置する端部14Bにおいて厚みT4になるように、端部14Bに向かうにしたがって徐々に分厚くなるように形成されている。したがって、絶縁部14が負極12の端部12Aに挟まれることによって固定され、正極リード113が保持される。
【0024】
また、絶縁部14は、電解液が浸透する空孔を多数含む部材、例えばセラミック系の材料で形成さる。したがって、リチウムイオン電池1を組み立てた後、最初の充電または放電の際に正極11から発生するガスは、絶縁部14を透過して、コア10の外へ排出される。また、負極12から発生するガスは、セパレータ13またはセパレータ13を押えている絶縁部14を透過してコア10の外へ排出される。また、絶縁部14が、正極活物質112の縁112Aから離れて形成されているので、正極活物質112からリチウムイオンを放出できる面積を狭めない。
【0025】
以上のように構成される
図2のコア10において、正極11はセパレータ13に対して第1の辺131側へ正極リード113を突出させた状態に、負極12はセパレータ13に対して第2の辺132側へ負極リード123を突出させた状態に、それぞれずらして重ね合わされる。
図2に示すように、正極11、セパレータ13、負極12、セパレータ13という順番に、正極11と負極12とがセパレータ13を間に挟んで4枚重ねにされた状態で、捲回されて、コア10が形成される。第1の辺131側に突出した正極リード113、および第2の辺132側に突出した負極リード123は、それぞれ積層方向に束ねて溶接またはろう付けなどによって接合される。束ねられてコア10から延びる正極リード113および負極リード123は蓋3に設けられた正極端子101および負極端子102にそれぞれ接続される。
【0026】
以上のように構成されたリチウムイオン電池1は、セパレータ13の第1の辺131が絶縁部14によって閉じられ、負極12の端部12Aが被われている。したがって、製造過程で混入する電極の断片など導電性の異物が第1の辺131に付着しても、正極リード113を負極12に短絡させることがない。また、第1の辺131においてセパレータ13は、絶縁部14によって当接させられているが、接合されていない。つまり、正極11、負極12及びセパレータ13を重ねて捲回する際の周長差が生じてもセパレータ13が突っ張ったりひずみが生じたりすることがない。
【0027】
なお、セパレータ13の第2の辺132側において、負極12は、正極11の端部よりも外側まで負極活物質122が形成されており、さらにその先に負極リード123が延びている。したがって、第2の辺132側に導電性の異物が入り込んでも、負極リード123を正極11に短絡させる位置まで異物が到達しない。ただし、負極活物質122の縁112Aから離れた位置で、第1の辺131に対応する位置の負極リード123に、絶縁部14を正極リード113と同様に設けてもよい。
【0028】
本発明に係る第2の実施形態の二次電池について、リチウムイオン電池1に適用した場合を一例に
図4を参照して説明する。第2の実施形態のリチウムイオン電池1は、絶縁部14の構造が第1の実施形態のリチウムイオン電池1と異なっており、そのほかの構成は、第1の実施形態のリチウムイオン電池1と同じである。そこで、第2の実施形態のリチウムイオン電池1において、第1の実施形態のリチウムイオン電池1の構成と同じ機能を有する構成は、以下の説明おいて同じ符号を付し、詳細な説明は、第1の実施形態の記載を参酌することとする。
【0029】
図4は、セパレータ13の第1の辺131側のコア10を積層方向に横切る断面を示す。絶縁部14は、第1の絶縁層141と第2の絶縁層142とを有している。第1の絶縁層141は、電解液を通さない中実な部材であり、正極リード113を覆って形成される。第1の絶縁層141は、合成樹脂製の材料で形成される。この第1の絶縁層141の厚みは、正極活物質112の厚みT1よりも薄い。第2の絶縁層142は、電解液が浸透可能な空孔を多数含む部材であり、第1の絶縁層141を覆って形成される。第2の絶縁層142の材料として、塗膜を形成するものであれば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン系の有機材料や、セラミック系の無機材料を採用することができる。
【0030】
以上のように構成された第2の実施形態のリチウムイオン電池1によれば、絶縁部14内にデンドライトが成長しても、絶縁部14の第1の絶縁層141によってデンドライトが正極リード113に達することを防ぐことができる。また、第1の絶縁層141の厚みが正極活物質112の厚みよりも薄いので、電池を組み立てた直後に充電及び放電を行うことで正極リード113側の正極11の周りに発生するガスは、第2の絶縁層142を通してコア10の外へ排出することができる。
【0031】
なお、本発明に係る二次電池は、捲回型のコア10を内蔵するリチウムイオン電池1の場合を一例に、第1の実施形態及び第2の実施形態を上述のように説明したが、積層型のコアにも同様の技術を採用することもできる。積層型のコアを内蔵する二次電池に本発明に係る技術を採用した場合、上述の捲回型のコア10を内蔵する二次電池(リチウムイオン電池1)が得る効果と同様の効果を得られる。
【符号の説明】
【0032】
1…リチウムイオン電池(二次電池)、10…コア、11…正極、111…正極集電体、112…正極活物質、113…正極リード、12…負極、121…負極集電体、122…負極活物質、123…負極リード、13…セパレータ、131…第1の辺、132…第2の辺、13A…外周縁、14…絶縁部、141…第1の絶縁層、142…第2の絶縁層、T1…(正極活物質の)厚み、T2…(負極活物質の)厚み、T4…(正極活物質の厚みと負極活物質の厚みとを足し合わせた)厚み。