【実施例】
【0158】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、以下の例中にある%は、特記しない限り重量基準(w/w%)である。
【0159】
合成例1 イソプロピルアミン ヨウ化水素塩[1'-A]の合成
イソプロピルアミン236mg(4mmol;和光純薬工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、淡黄色結晶のイソプロピルアミン ヨウ化水素塩741mg(収率:99%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):1.57(d,6H,J=6.4Hz,CH(C
H3)
2),3.86(quin,1H,J=6.4Hz,C
H(CH
3)
2),7.16(brs,3H,N
H3).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):21.1(C(
CH
3)
2),45.9(
C(CH
3)
2).
【0160】
合成例2 t-ブチルアミン ヨウ化水素塩[1'-B]の合成
t-ブチルアミン293mg(4mmol;和光純薬工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、無色結晶のt-ブチルアミン ヨウ化水素塩805mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):1.27(s,9H,C(C
H3)
3),7.78(brs,3H,N
H3).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):27.1(C(
CH
3)
3),51.2(
C(CH
3)
3).
【0161】
合成例3 シクロヘキシルアミン ヨウ化水素塩[1'-C]の合成
シクロヘキシルアミン397mg(4mmol;和光純薬工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、無色結晶のシクロヘキシルアミン ヨウ化水素塩910mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):1.02-1.15(m,1H,C
H2),1.18-1.33(m,4H,C
H2),1.54-1.63(m,1H,C
H2),1.66-1.77(m,2H,C
H2),1.83-1.91(m,2H,C
H2),2.93-3.04(m,1H,NC
H),7.69(brs,3H,N
H3).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):23.7(
CH
2),24.5(
CH
2),30.3(
CH
2),49.3(N
CH).
【0162】
合成例4 ジシクロヘキシルアミン ヨウ化水素塩[1'-D]の合成
ジシクロヘキシルアミン725mg(4mmol;東京化成工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、無色結晶のジシクロヘキシルアミン ヨウ化水素塩1.24g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):1.03-1.16(m,2H,C
H2),1.18-1.36(m,8H,C
H2),1.57-1.66(m,2H,C
H2),1.72-1.81(m,4H,C
H2),1.94-2.05(m,4H,C
H2),3.07-3.21(m,2H,NC
H),8.09(brs,2H,N
H2).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):23.8(
CH
2),24.8(
CH
2),28.9(
CH
2),52.2(N
CH).
【0163】
合成例5 1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン ヨウ化水素塩[2'-A]の合成
1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン393mg(4mmol)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、暗褐色油状物の1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン ヨウ化水素塩901mg(収率:>99%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):2.17(quin,2H,J=6.0Hz,CH
2C
H2CH
2),3.39(s,3H,NC
H3),3.50-3.57(m,4H,C
H2CH
2C
H2),8.35(d,1H,J=6.0Hz,N=C
H-N),9.22(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):18.4(CH
2CH
2CH
2),36.8(N
CH
3),42.7(HN
CH
2),46.2(CH
3N
CH
2),152.0(N=
C-N).
【0164】
合成例6 1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン ヨウ化水素塩[2'-B]の合成
1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン449mg(4mmol;和光純薬工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、淡橙色結晶の1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン ヨウ化水素塩962mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):2.16(quin,2H,J=6.0Hz,CH
2C
H2CH
2),2.54(s,3H,CC
H3),3.25(s,3H,NC
H3),3.47-3.52(m,2H,CH
3NC
H2),3.56(t,2H,J=6.0Hz,HNC
H2),9.41(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):18.4(CH
2CH
2CH
2),19.4(C
CH
3),38.0(N
CH
3),39.9(HN
CH
2),48.4(CH
3N
CH
2),161.0(N=
C-N).
【0165】
合成例7 1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン ヨウ化水素塩[2'-C]の合成
1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン497mg(4mmol;東京化成工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、淡黄色結晶の1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン ヨウ化水素塩1.01g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):2.16(quin,2H,J=6.0Hz,NCH
2C
H2CH
2NH),2.24(quin,2H,J=7.6Hz,NCH
2C
H2CH
2C),3.19(t,2H,J=7.6Hz,NC
H2CH
2CH
2C),3.51-3.58(m,4H,NC
H2CH
2C
H2NH),3.79(t,2H,J=7.6Hz,NC
H2CH
2CH
2C),9.45(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):18.6(NCH
2CH
2CH
2NH),19.4(NCH
2CH
2CH
2C),30.7(NCH
2CH
2CH
2C),37.8(NCH
2CH
2CH
2NH),42.8(N
CH
2CH
2CH
2NH),53.7(N
CH
2CH
2CH
2C),164.4(N=
C-N).
【0166】
合成例8 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩[2'-D]の合成
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン609mg(4mmol;東京化成工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、淡黄色結晶の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩1.10g(収率:98%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):1.73-1.86(m,6H,NCH
2C
H2C
H2C
H2CH
2C),2.12(quin,2H,J=6.0Hz,NCH
2C
H2CH
2NH),2.98-3.04(m,2H,NCH
2CH
2CH
2CH
2C
H2C),3.46-3.52(m,2H,NC
H2CH
2CH
2NH),3.60-3.66(m,4H,C
H2NCH
2CH
2C
H2NH),9.48(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):19.2(NCH
2CH
2CH
2NH),23.7(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),26.5(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),28.7(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),32.7(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),37.7(NCH
2CH
2CH
2NH),48.8(N
CH
2CH
2CH
2NH),54.7(N
CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),166.0(N=
C-N).
【0167】
合成例9 S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩の合成
チオ尿素7.61g(100mmol;アルドリッチ社製)の乾燥エタノール100mLの懸濁液に、室温中、ヨウ化メチル17.0g(120mmol;関東化学株式会社製)を加えた後、更に室温で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色粉末のS-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩21.8g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):2.58(s,3H,C
H3),8.89(s,4H,N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):13.4(
CH
3),171.1(N=
C-N).
【0168】
合成例10 1-(1-ブチル)グアニジン ヨウ化水素塩[3'-A]の合成
n-ブチルアミン731mg(10mmol;和光純薬工業株式会社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例9で得られたS-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩21.8gのうちの2.18g(10mmol)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、淡黄色油状物の1-(1-ブチル)グアニジン ヨウ化水素塩2.44g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):0.89(t,3H,J=7.2Hz,C
H3),1.30(sext,2H,J=7.3Hz,C
H2CH
3),1.45(quin,2H,J=7.3Hz,NCH
2C
H2),3.10(t,2H,J=7.2Hz,NC
H2CH
2),7.38(brs,5H,N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):13.5(
CH
3),19.2(
CH
2CH
3),30.5(NCH
2CH
2),40.5(N
CH
2CH
2),156.6(N=
C-N).
【0169】
合成例11 N'-メチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩の合成
N-メチルチオ尿素9.02g(100mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥エタノール100mLの懸濁液に、室温中、ヨウ化メチル17.0g(120mmol;関東化学株式会社製)を加えた後、更に室温で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色粉末のN'-メチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩23.2g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):2.61(s,3H,SC
H3),2.91(s,3H,NC
H3),9.11(s,3H,N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):14.1(S
CH
3),31.1(N
CH
3),168.3(N=
C-N).
【0170】
合成例12 1-(1-ブチル)-3-メチルグアニジン ヨウ化水素塩[3'-B]の合成
n-ブチルアミン731mg(10mmol;和光純薬工業株式会社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例11で得られたN'-メチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩23.2gのうちの2.32g(10mmol)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色結晶の1-(1-ブチル)-3-メチルグアニジン ヨウ化水素塩2.57g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):0.89(t,3H,J=7.3Hz,C
H3),1.30(sext,2H,J=7.3Hz,C
H2CH
3),1.45(quin,2H,J=7.3Hz,NCH
2C
H2),2.70(s,3H,NC
H3),3.10(t,2H,J=7.3Hz,NC
H2CH
2),7.24(brs,4H,N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):13.5(
CH
3),19.2(
CH
2CH
3),28.0(N
CH
3),30.5(NCH
2CH
2),40.6(N
CH
2CH
2),156.1(N=
C-N).
【0171】
合成例13 N,N'-ジメチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩の合成
N,N'-ジメチルチオ尿素10.4g(100mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥エタノール100mLの懸濁液に、室温中、ヨウ化メチル17.0g(120mmol;関東化学株式会社製)を加えた後、更に室温で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色粉末のN,N'-ジメチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩24.6g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):2.65(s,3H,SC
H3),2.93(s,3H,NC
H3),2.96(s,3H,NC
H3),8.71(s,1H,N
H),8.99(s,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):13.6(S
CH
3),30.6(N
CH
3),30.8(N
CH
3),168.1(N=
C-N).
【0172】
合成例14 1-(1-ブチル)-2,3-ジメチルグアニジン ヨウ化水素塩[3'-C]の合成
n-ブチルアミン731mg(10mmol;和光純薬工業株式会社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例13で得られたN,N'-ジメチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩24.6gのうちの2.46g(10mmol)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色結晶の1-(1-ブチル)-2,3-ジメチルグアニジン ヨウ化水素塩2.71g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):0.89(t,3H,J=7.4Hz,C
H3),1.30(sext,2H,J=7.4Hz,C
H2CH
3),1.48(quin,2H,J=7.4Hz,NCH
2C
H2),2.74(s,3H,NC
H3),2.76(s,3H,NC
H3),3.12(q,2H,J=7.2Hz,NC
H2CH
2),7.28(t,1H,J=5.6Hz,CH
2N
H),7.38(q,2H,J=4.4Hz,CH
3N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):13.6(
CH
3),19.3(
CH
2CH
3),28.1(N
CH
3),30.5(NCH
2CH
2),40.7(N
CH
2CH
2),155.2(N=
C-N).
【0173】
合成例15 N,N',N'-トリメチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩の合成
トリメチルチオ尿素23.7g(200mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥エタノール200mL溶液に、室温中、ヨウ化メチル34.1g(240mmol;関東化学株式会社製)を加えた後、更に室温で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、赤色油状物のN,N',N'-トリメチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩52.0g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):2.70(s,3H,SC
H3),3.33(d,3H,J=5.2Hz,NHC
H3),3.54(s,6H,N(C
H3)
2),8.99(s,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):17.1(S
CH
3),33.5(N
CH
3),43.7(N(
CH
3)
2),168.9(N=
C-N).
【0174】
合成例16 1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩[3'-D]の合成
合成例15で得られたN,N',N'-トリメチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩52.0gのうちの2.60g(10mmol)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、n-ブチルアミン731mg(10mmol;和光純薬工業株式会社製)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、淡黄色油状物の1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩2.85g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):0.94(t,3H,J=7.2Hz,C
H3),1.38(sext,2H,J=7.2Hz,C
H2CH
3),1.71(quin,2H,J=7.2Hz,NCH
2C
H2),3.04(d,3H,J=4.8Hz,NHC
H3),3.13(s,6H,(NC
H3)
2),3.35(q,2H,J=6.8Hz,NC
H2CH
2),6.72(brs,1H,CH
2N
H),7.10(brs,1H,CH
3N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):13.6(
CH
3),19.8(
CH
2CH
3),31.3(N
CH
3),31.8(NCH
2CH
2),40.6(N(
CH
3)
2),44.5(N
CH
2CH
2),159.5(N=
C-N).
【0175】
合成例17 N,N,N',N'-テトラメチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩の合成
テトラメチルチオ尿素6.61g(50mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥エタノール50mL溶液に、室温中、ヨウ化メチル8.52g(60mmol;関東化学株式会社製)を加えた後、更に室温で24時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、淡黄色結晶のN,N,N',N'-テトラメチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩13.7g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):2.75(s,3H,SC
H3),3.46(s,12H,NC
H3).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):18.4(S
CH
3),45.2(N
CH
3),176.9(N=
C-N).
【0176】
合成例18 2-(1-ブチル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン ヨウ化水素塩[3'-E]の合成
n-ブチルアミン731mg(10mmol;和光純薬工業株式会社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例17で得られたN,N,N',N'-テトラメチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩13.7gのうちの2.74g(10mmol)を加えた後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色油状物の2-(1-ブチル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン ヨウ化水素塩3.01g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):0.94(t,3H,J=7.6Hz,C
H3),1.37(sext,2H,J=7.6Hz,C
H2CH
3),1.74(quin,2H,J=7.6Hz,NCH
2C
H2),3.04(brs,6H,N(C
H3)
2),3.17(brs,6H,(NC
H3)
2),3.25(dq,2H,J=6.8,1.6Hz,NC
H2CH
2),7.54(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):13.4(
CH
3),19.7(
CH
2CH
3),31.8(NCH
2CH
2),40.2(N
CH
3),41.1(N
CH
3),44.7(N
CH
2CH
2),160.9(N=
C-N).
【0177】
合成例19 1-(1-オクチル)グアニジン ヨウ化水素塩[3'-F]の合成
n-オクチルアミン1.29g(10mmol;アルドリッチ社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例9で得られたS-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩21.8gのうちの2.18g(10mmol)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色油状物の1-(1-オクチル)グアニジン ヨウ化水素塩3.01g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):0.86(t,3H,J=6.8Hz,C
H3),1.24-1.31(m,10H,(C
H2)
5CH
3),1.46(quin,2H,J=6.8Hz,NCH
2C
H2),3.09(q,2H,J=6.5Hz,NC
H2CH
2),6.31-7.50(br,5H,N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):14.0(
CH
3),22.1(
CH
2CH
3),26.0,28.4,28.5,28.6,31.2(5×
CH
2),40.8(N
CH
2),156.6(N=
C-N).
【0178】
合成例20 1,1-ジシクロヘキシルグアニジン ヨウ化水素塩[3'-G]の合成
ジシクロヘキシルアミン1.81g(10mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例9で得られたS-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩21.8gのうちの2.18g(10mmol)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色粉末の1,1-ジシクロヘキシルグアニジン ヨウ化水素塩3.51g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):1.03-1.16(m,2H,C
H2),1.19-1.36(m,8H,4×C
H2),1.56-1.65(m,2H,C
H2),1.72-1.80(m,4H,2×C
H2),1.95-2.03(m,4H,2×C
H2),3.10-3.20(m,2H,2×C
H2),5.37-8.90(br,3H,N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):23.8(4×(CHCH
2CH
2)),24.8(2×(CHCH
2CH
2CH
2)),28.9(4×(CH
CH
2)),52.2(2×
CH),162.8(N=
C-N).
【0179】
合成例21 1-ベンジルグアニジン ヨウ化水素塩[3'-H]の合成
ベンジルアミン10.7g(10mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例9で得られたS-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩21.8gのうちの2.18g(10mmol)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色結晶の1-ベンジルグアニジン ヨウ化水素塩2.78g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):4.37(s,2H,C
H2),6.54-8.12(m,5H,N
H),7.31(t,3H,J=7.0Hz,Ar
H),7.39(t,2H,J=7.0Hz,Ar
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):44.1(
CH
2),127.3,127.6,128.7,137.1(
Ar),156.7(N=
C-N).
【0180】
合成例22 1-(2-ヒドロキシエチル)グアニジン ヨウ化水素塩[3'-I]の合成
エタノールアミン611mg(10mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例9で得られたS-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩21.8gのうちの2.18g(10mmol)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、淡黄色結晶の1-(2-ヒドロキシエチル)グアニジン ヨウ化水素塩2.26g(収率:98%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):3.16(t,2H,J=5.2Hz,NHC
H2),3.42(brs,1H,O
H),3.48(t,2H,J=5.6Hz,HOC
H2),6.14-7.61(br,5H,N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):43.5(NH
CH
3),59.2(HO
CH
2),157.0(N=
C-N).
【0181】
合成例23 1-(2-メトキシエチル)グアニジン ヨウ化水素塩[3'-J]の合成
O-メチルエタノールアミン751mg(10mmol;アルドリッチ社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例9で得られたS-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩21.8gのうちの2.18g(10mmol)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色透明油状物の1-(2-メトキシエチル)グアニジン ヨウ化水素塩2.45g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):3.29(s,3H,C
H3),3.30(t,2H,J=4.8Hz,NHC
H2),3.43(t,2H,J=4.8Hz,CH
3OC
H2),6.62-7.75(br,5H,N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):41.2(NH
CH
2),58.6(O
CH
3),70.4(CH
3O
CH
2),157.4(N=
C-N).
【0182】
合成例24 1-(N,N-ジメチルアミノエチル)グアニジン ヨウ化水素塩[3'-K]の合成
N,N-ジメチルエチレンジアミン882mg(10mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例9で得られたS-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩21.8gのうちの2.18g(10mmol)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、淡黄色油状物の1-(N,N-ジメチルアミノエチル)グアニジン ヨウ化水素塩2.59g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):2.18(s,6H,N(C
H3)
2),2.39(t,2H,J=6.0Hz,(CH
3)
2NC
H2),3.19(br,2H,CH
3OC
H2),6.56-7.62(br,5H,N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):38.8(NH
CH
2),44.8(N(
CH
3)
2),57.2((CH
3)
2N
CH
2),156.9(N=
C-N).
【0183】
合成例25 1-ベンジル-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩[3'-L]の合成
ベンジルアミン1.07g(10mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例15で得られたN,N',N'-トリメチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩52.0gのうちの2.60g(10mmol)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、淡黄色油状物の1-ベンジル-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩3.26g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):2.81(s,3H,NC
H3),2.95(s,6H,N(C
H3)
2),4.43(s,2H,C
H2),7.29-7.43(m,5H,Ar
H),7.56(s,1H,N
H),7.90(s,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):30.7(N
CH
3),39.3(N(
CH
3)
2,46.9(
CH
2),127.4,127.6,128.6,137.6(
Ar),159.4(N=
C-N).
【0184】
合成例26 1-(N,N-ジメチルアミノエチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩[3'-M]の合成
N,N-ジメチルエチレンジアミン882mg(10mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥テトラヒドロフラン10mL溶液に、25℃中、合成例15で得られたN,N',N'-トリメチル-S-メチルイソチオ尿素 ヨウ化水素塩52.0gのうちの2.60g(10mmol)を加えた後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、黄色油状物の1-(N,N-ジメチルアミノエチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩3.01g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):2.35(s,6H,N(C
H3)
2),2.62(t,2H,J=4.8Hz,(CH
3)
2NC
H2),2.94(d,3H,J=4.4Hz,=NC
H3),3.13(s,6H,=CN(C
H3)
2),3.45(t,2H,J=4.8Hz,NHC
H2),7.59(s,1H,N
H),9.96(s,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):31.8(=N
CH
3),40.5(=CN(
CH
3)
2),41.3(NH
CH
2),44.9(N(
CH
3)
2),60.5((CH
3)
2N
CH
2),160.4(N=
C-N).
【0185】
合成例27 7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン ヨウ化水素塩[3'-N]の合成
7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン307mg(2mmol;アルドリッチ社製)の1,4-ジオキサン4mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液0.5mL(ca.3.7mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、暗褐色結晶の7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン ヨウ化水素塩561mg(収率:>99%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):2.07(quin,2H,J=6.0Hz,NCH
2C
H2CH
2NCH
3),2.15(quin,2H,J=6.0Hz,HNCH
2C
H2CH
2N),3.26(s,3H,NCH
3),3.41-3.50(m,6H,C
H2NC
H2CH
2C
H2NCH
3),3.51-3.56(m,2H,HNC
H2CH
2CH
2N),7.14(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):20.5(NCH
2CH
2CH
2NCH
3),21.0(HNCH
2CH
2CH
2N),38.6(N
CH
3),39.7(HN
CH
2CH
2CH
2N),47.2(HNCH
2CH
2CH
2N),48.0(N
CH
2CH
2CH
2NCH
3),48.8(NCH
2CH
2CH
2NCH
3),150.8(N=
C-N).
【0186】
合成例28 グアニジン ヨウ化水素塩[3'-O]の合成
グアニジン塩酸塩1.91g(20mmol;和光純薬工業株式会社製)のメタノール4mLとアセトン6mLの混合溶液に、ヨウ化ナトリウム3.00g(20mmol;関東化学株式会社製)のメタノール4mLとアセトン6mLの混合溶液を加えた後、更に70℃で12時間加熱還流して反応させた。反応終了後、冷却した反応液をろ過し、塩化ナトリウム残渣をアセトンで洗浄した。洗浄液とろ液を合わせ、合わせた溶液を濃縮し溶媒を留去後、濃縮残渣をアセトンで抽出し不溶物を除去した。当該アセトン溶液を濃縮し溶媒を留去することで得られた残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色結晶のグアニジン ヨウ化水素塩3.74g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):6.94(s,6H,3NC
H2),Cyclohexane as standard of integral intensity:1.40ppm(s,12H,6C
H2).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):157.8(N=
C-N).
【0187】
比較合成例1 アニリン ヨウ化水素塩[10'-A]の合成
アニリン373mg(4mmol;アルドリッチ社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で4時間真空乾燥することにより、淡黄色結晶のアニリン ヨウ化水素塩885mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):7.38(d,2H,J=7.2Hz,Ar
H),7.44(t,1H,J=7.2Hz,Ar
H),7.54(t,1H,J=7.2Hz,Ar
H),9.76(brs,2H,N
H2).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):123.1(
Ar),128.2(
Ar),129.9(
Ar),131.6(
Ar).
【0188】
比較合成例2 ジシクロヘキシルアミン 塩化水素塩[10'-B]の合成
ジシクロヘキシルアミン725mg(4mmol;東京化成工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、35%塩化水素酸水溶液1mL(ca.12mmol;和光純薬工業株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、無色結晶のジシクロヘキシルアミン 塩化水素塩854mg(収率:98%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CD
3OD,25℃)δ(ppm):1.16-1.45(m,10H,C
H2),1.68-1.76(m,2H,C
H2),1.81-1.92(m,4H,C
H2),2.04-2.15(m,4H,C
H2),3.15-3.24(m,2H,NC
H).
13C-NMR(100MHz,CD
3OD,25℃)δ(ppm):25.5(
CH
2),26.1(
CH
2),30.5(
CH
2),54.5(N
CH).
【0189】
比較合成例3 ジシクロヘキシルアミン 臭化水素塩[10'-C]の合成
ジシクロヘキシルアミン725mg(4mmol;東京化成工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、47%臭化水素酸水溶液1mL(ca.8.8mmol;和光純薬工業株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、無色結晶のジシクロヘキシルアミン 臭化水素塩1.05g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,80℃)δ(ppm):1.04-1.18(m,2H,C
H2),1.21-1.47(m,8H,C
H2),1.57-1.66(m,2H,C
H2),1.72-1.81(m,4H,C
H2),1.99-2.08(m,4H,C
H2),3.06-3.18(m,2H,NC
H),8.32(brs,2H,N
H2).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,80℃)δ(ppm):23.5(
CH
2),24.4(
CH
2),28.4(
CH
2),51.9(N
CH),52.8(N
CH).
【0190】
比較合成例4 ヨウ化 N,N-ジメチルジシクロヘキシルアンモニウム[10'-D]の合成
N-メチルジシクロヘキシルアミン781mg(4mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥ジクロロメタン8mL溶液に、25℃中、ヨウ化メチル1.14g(8mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、無色結晶のヨウ化 N,N-ジメチルジシクロヘキシルアンモニウム1.36g(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):1.16-1.29(m,2H,C
H2),1.44-1.77(m,10H,C
H2),1.97-2.05(m,4H,C
H2),2.22-2.30(m,4H,C
H2),3.09(s,6H,C
H3),3.63-3.71(m,2H,NC
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):24.6(
CH
2),25.2(
CH
2),26.4(
CH
2),44.8(
CH
3),70.6(N
CH).
【0191】
比較合成例5 ピリジン ヨウ化水素塩[10'-E]の合成
ピリジン316mg(4mmol;関東化学株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で4時間真空乾燥することにより、無色結晶のピリジン ヨウ化水素塩828mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):7.10(brs,1H,N
H),8.11(dd,2H,J=7.6,6.4Hz,Ar
H),8.65(t,1H,J=7.6Hz,Ar
H),8.97(dd,2H,J=6.4,1.6Hz,Ar
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):127.3(
Ar),142.1(
Ar),146.5(
Ar).
【0192】
比較合成例6 1-メチルイミダゾール ヨウ化水素塩[20'-A]の合成
1-メチルイミダゾール324mg(4mmol;東京化成工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で4時間真空乾燥することにより、光沢黒色結晶の1-メチルイミダゾール ヨウ化水素塩842mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):3.88(s,3H,NC
H3),7.69(brs,1H,C
H),7.72(brs,1H,C
H),9.08(s,1H,NC
HN).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):35.5(N
CH
3),119.7(HN
CHCH),123.1(CH
3N
CHCH),135.8(N
CHN).
【0193】
比較合成例7 N,N-ジメチル-N'-オクチルアセトアミジン ヨウ化水素塩[20'-B]の合成
N,N-ジメチル-N'-オクチルアセトアミジン793mg(4mmol)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、55%ヨウ化水素酸水溶液1mL(ca.7.3mmol;関東化学株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、薄茶色結晶のN,N-ジメチル-N'-オクチルアセトアミジン ヨウ化水素塩1.28g(収率:98%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):0.88(t,3H,J=7.2Hz,CH
2C
H3),1.22-1.39(m,10H,C
H2C
H2C
H2C
H2C
H2CH
3),1.70(quin,2H,J=7.2Hz,HNCH
2C
H2),2.39(s,3H,CC
H3),3.36(s,3H,NC
H3),3.46(s,3H,NC
H3),3.48-3.56(m,2H,HNC
H2CH
3),8.43(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):13.9(C
CH
3),15.8(CH
2CH
3),22.4(
CH
2CH
3),26.5(HNCH
2CH
2CH
2),29.0(
CH
2CH
2CH
2CH
3),30.2(HNCH
2CH
2CH
2CH
2),31.6(HNCH
2CH
2),42.2(
CH
2CH
2CH
3),42.8(N,(
CH
3)
2),44.7(HN
CH
2),163.0(N=
C-N).
【0194】
比較合成例8 1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン 塩化水素塩[20'-C]の合成
1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン393mg(4mmol)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、35%塩化水素酸水溶液1mL(ca.12mmol;和光純薬工業株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、無色結晶の1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン 塩化水素塩541mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):2.12(quin,2H,J=6.0Hz,CH
2C
H2CH
2),3.38(s,3H,NC
H3),3.43-3.53(m,4H,C
H2CH
2C
H2),8.48(d,1H,J=6.0Hz,N=C
H-N),10.6(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):17.9(CH
2CH
2CH
2),36.1(N
CH
3),41.5(HN
CH
2),45.1(CH
3N
CH
2),151.8(N=
C-N).
【0195】
比較合成例9 1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン 臭化水素塩[20'-D]の合成
1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン393mg(4mmol)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、47%臭化水素酸水溶液1mL(ca.8.8mmol;和光純薬工業株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、淡黄色油状物の1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン 臭化水素塩721mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):2.16(quin,2H,J=6.0Hz,CH
2C
H2CH
2),3.41(s,3H,NC
H3),3.47-3.53(m,2H,NHCH
2CH
2C
H2NCH
3),3.55(t,2H,J=6.0Hz,NHC
H2CH
2CH
2NCH
3),8.42(d,1H,J=6.0Hz,N=C
H-N),9.80(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):17.8(CH
2CH
2CH
2),36.1(N
CH
3),41.7(HN
CH
2),45.3(CH
3N
CH
2),151.4(N=
C-N).
【0196】
比較合成例10 1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン トリフルオロメタンスルホン酸塩[20'-E]の合成
1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン196mg(2mmol)の乾燥ジクロロメタン4mL溶液に、25℃中、トリフルオロメタンスルホン酸300mg(2mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥ジクロロメタン6mL溶液を10分かけて滴下した後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色固体の1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン トリフルオロメタンスルホン酸塩491mg(収率:99%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):1.92(quin,2H,J=6.0Hz,CH
2C
H2CH
2),3.13(s,3H,NC
H3),3.23(t,2H,J=6.0Hz,NHCH
2CH
2C
H2NCH
3),3.33(t,2H,J=6.0Hz,NHC
H2CH
2CH
2NCH
3),3.01-3.53(brs,1H,N
H),8.11(s,1H,N=C
H-N).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):18.0(CH
2CH
2CH
2),36.2(N
CH
3),41.1(HN
CH
2),44.9(CH
3N
CH
2),115.9,119.1,122.3,125.5(
CF
3),152.1(N=
C-N).
【0197】
比較合成例11 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン 塩化水素塩[20'-F]の合成
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン609mg(4mmol;東京化成工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、35%塩化水素酸水溶液1mL(ca.12mmol;和光純薬工業株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、無色結晶の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン 塩化水素塩757mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):1.68-1.83(m,6H,NCH
2C
H2C
H2C
H2CH
2C),2.06(quin,2H,J=4.8Hz,NCH
2C
H2CH
2NH),2.96-3.03(m,2H,NCH
2CH
2CH
2CH
2C
H2C),3.43-3.49(m,2H,NC
H2CH
2CH
2NH),3.51-3.59(m,4H,C
H2NCH
2CH
2C
H2NH),11.2(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):19.5(NCH
2CH
2CH
2NH),24.0(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),26.8(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),28.9(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),32.2(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),37.9(NCH
2CH
2CH
2NH),48.7(N
CH
2CH
2CH
2NH),54.5(N
CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),166.2(N=
C-N).
【0198】
比較合成例12 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン 臭化水素塩[20'-G]の合成
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン609mg(4mmol;東京化成工業株式会社製)の1,4-ジオキサン8mL溶液に、25℃中、47%臭化水素酸水溶液1mL(ca.8.8mmol;;和光純薬工業株式会社製)を1分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、無色結晶の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン 臭化水素塩887mg(収率:95%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):1.70-1.84(m,6H,NCH
2C
H2C
H2C
H2CH
2C),2.09(quin,2H,J=5.6Hz,NCH
2C
H2CH
2NH),2.99-3.06(m,2H,NCH
2CH
2CH
2CH
2C
H2C),3.45-3.50(m,2H,NC
H2CH
2CH
2NH),3.54-3.62(m,4H,C
H2NCH
2CH
2C
H2NH),10.5(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):19.4(NCH
2CH
2CH
2NH),23.8(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),26.7(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),28.9(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),32.3(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),37.8(NCH
2CH
2CH
2NH),48.8(N
CH
2CH
2CH
2NH),54.6(N
CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),166.1(N=
C-N).
【0199】
比較合成例13 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン 酢酸塩[20'-H]の合成
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン609mg(4mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥ジクロロメタン20mL溶液に、25℃中、酢酸240μL(4.2mmol;和光純薬工業株式会社製)を滴下した後、更に25℃で2時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を60℃で4時間真空乾燥することにより、無色結晶の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン 酢酸塩851mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):1.67-1.81(m,6H,NCH
2C
H2C
H2C
H2CH
2C),1.98(s,3H,OCOC
H3),2.04(quin,2H,J=6.0Hz,NCH
2C
H2CH
2NH),2.83-2.88(m,2H,NCH
2CH
2CH
2CH
2C
H2C),3.43(t,2H,J=5.6Hz,NC
H2CH
2CH
2NH),3.49-3.56(m,4H,C
H2NCH
2CH
2C
H2NH).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):19.0(NCH
2CH
2CH
2NH),23.4,23.5(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C,OCO
CH
3),26.3(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),28.4(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),31.3(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),37.4(NCH
2CH
2CH
2NH),47.9(N
CH
2CH
2CH
2NH),53.5(N
CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),165.3(N=
C-N),176.4(C=O).
【0200】
比較合成例14 1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン トリフルオロメタンスルホン酸塩[20'-I]の合成
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン305mg(2mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥ジクロロメタン4mL溶液に、25℃中、トリフルオロメタンスルホン酸300mg(2mmol;東京化成工業株式会社製)の乾燥ジクロロメタン6mL溶液を10分かけて滴下した後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色シロップ状の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン トリフルオロメタンスルホン酸塩559mg(収率:92%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):1.66-1.87(m,6H,NCH
2C
H2C
H2C
H2CH
2C),2.06(quin,2H,J=6.0Hz,NCH
2C
H2CH
2NH),2.65-2.81(m,2H,NCH
2CH
2CH
2CH
2C
H2C),3.39(t,2H,J=6.0Hz,NC
H2CH
2CH
2NH),3.49-3.70(m,4H,C
H2NCH
2CH
2C
H2NH).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):19.2(NCH
2CH
2CH
2NH),23.6(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),26.3(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),28.7(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),32.7(NCH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),38.2(NCH
2CH
2CH
2NH),48.5(N
CH
2CH
2CH
2NH),54.4(N
CH
2CH
2CH
2CH
2CH
2C),115.6,118.8,122.0,125.1(
CF
3),166.0(N=
C-N).
【0201】
比較合成例15 2-(1-ブチル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジンの合成
合成例18と同様の方法で得た2-(1-ブチル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン ヨウ化水素塩1.50g(5mmol)に、25℃中、40%水酸化ナトリウム水溶液5mL及びジクロロメタン10mLを加えた後、25℃で10分間激しく攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を有機層と水層に分液し、次いで水層をジクロロメタン10mLで2回抽出、分液した際の有機層と抽出した際の有機層を合わせ、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後の有機層を濃縮し溶媒を留去することで得られた残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色液体の2-(1-ブチル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン853mg(収率:>99%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):0.90(t,3H,J=7.2Hz,C
H3),1.34(sext,2H,J=7.2Hz,C
H2CH
3),1.50(quin,2H,J=7.6Hz,NCH
2C
H2),2.64(s,6H,N(C
H3)
2),2.74(s,3H,N(C
H3)
2),3.25(t,2H,J=6.8Hz,NC
H2CH
2).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):14.0(
CH
3),20.5(
CH
2CH
3),35.0(NCH
2CH
2),38.8(N
CH
3),39.6(N
CH
3),49.3(N
CH
2CH
2),159.9(N=
C-N).
【0202】
比較合成例16 1-(1-ブチル)-1,2,2,3,3-ペンタメチルグアニジン ヨウ化物塩[30'-A]の合成
比較合成例15で得られた2-(1-ブチル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン853mgのうちの171mg(1mmol)の乾燥ジクロロメタン2mL溶液に、25℃中、ヨウ化メチル284mg(2mmol;関東化学株式会社製)を加えた後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣にジエチルエーテルを加えて結晶を析出させた。次いで再度溶媒を留去することで得られた残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、淡黄色結晶の1-(1-ブチル)-1,2,2,3,3-ペンタメチルグアニジン ヨウ化物塩314mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):0.95(t,3H,J=7.2Hz,C
H3),1.27-1.43(m,2H,C
H2CH
3),1.51-1.74(m,2H,NCH
2C
H2),3.06(s,6H,NC
H3),3.10(brs,6H,NC
H3),3.15(brs,3H,NC
H3),3.21-3.29(m,2H,NC
H2CH
2).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):13.6(
CH
3),19.8(
CH
2CH
3),29.5(NCH
2CH
2),39.0(N
CH
3),40.8(N
CH
3),41.1(N
CH
3),41.5(N
CH
3),52.6(N
CH
2CH
2),163.2(N=
C-N).
【0203】
比較合成例17 1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジンの合成
合成例16と同様の方法で得た1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩1.43g(5mmol)に、25℃中、40%水酸化ナトリウム水溶液5mL及びジクロロメタン10mLを加えた後、25℃で10分間激しく攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を有機層と水層に分液し、次いで水層をジクロロメタン10mLで2回抽出、分液した際の有機層と抽出した際の有機層を合わせ、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後の有機層を濃縮し溶媒を留去することで得られた残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色液体の1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン782mg(収率:>99%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):0.93(t,3H,J=7.2Hz,C
H3),1.36(sext,2H,J=7.2Hz,C
H2CH
3),1.50(quin,2H,J=7.6Hz,NCH
2C
H2),2.68(s,6H,N(C
H3)
2),2.83(s,3H,NC
H3),3.05(t,2H,J=7.2Hz,NC
H2CH
2),7.30(s,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):13.7(
CH
3),20.0(
CH
2CH
3),33.5(NCH
2CH
2),39.4(N
CH
3),45.0(N
CH
2CH
2),159.6(N=
C-N).
【0204】
比較合成例18 1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン 塩化水素塩[30'-B]の合成
比較合成例17で得られた1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン782mgのうちの315mg(2mmol)の1,4-ジオキサン4mL溶液に、25℃中、35%塩化水素酸水溶液1mL(ca.12mmol;和光純薬工業株式会社製)を10分かけて滴下した後、更に25℃で12時間攪拌して反応させた。反応終了後、溶媒を留去することで得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄し、当該残渣を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色油状物の1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン 塩化水素塩389mg(収率:100%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):0.92(t,3H,J=7.2Hz,C
H3),1.36(sext,2H,J=7.2Hz,C
H2CH
3),1.68(quin,2H,J=7.6Hz,NCH
2C
H2),3.00(d,3H,J=4.4Hz,NHC
H3),3.07(s,6H,N(C
H3)
2),3.24-3.32(m,2H,NC
H2CH
2),7.87(brs,1H,N
H),8.17(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):13.5(
CH
3),19.8(
CH
2CH
3),31.0(N
CH
3),31.7(NCH
2CH
2),39.9(N(
CH
3)
2),44.4(N
CH
2CH
2),159.8(N=
C-N).
【0205】
比較合成例19 1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン トリフルオロメタンスルホン酸塩[30'-C]の合成
比較合成例17で得られた1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン782mgのうちの315mg(2mmol)の乾燥ジエチルエーテル4mL溶液に、0℃中、トリフルオロメタンスルホン酸300mg(2mmol;東京化成工業株式会社製)を10分かけて滴下した後、更に25℃で6時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液をイオン液体層と有機層(ジエチルエーテル層)に分液し、次いでイオン液体層をジエチルエーテルで洗浄、洗浄後のイオン液体層を40℃で12時間真空乾燥することにより、無色油状物の1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン トリフルオロメタンスルホン酸塩598mg(収率:97%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):0.92(t,3H,J=7.2Hz,C
H3),1.35(sext,2H,J=7.2Hz,C
H2CH
3),1.61(quin,2H,J=7.2Hz,NCH
2C
H2),2.95(d,3H,J=4.4Hz,NHC
H3),3.00(s,6H,N(C
H3)
2),3.22(q,2H,J=6.8Hz,NC
H2CH
2),6.48(brs,1H,N
H),6.74(brs,1H,N
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):13.5(
CH
3),19.7(
CH
2CH
3),30.8(N
CH
3),31.5(NCH
2CH
2),39.2(N(
CH
3)
2),44.4(N
CH
2CH
2),118.8(
CF
3),121.9(
CF
3),160.0(N=
C-N).
【0206】
実施例1〜6、並びに比較例1〜6 種々のモノアミン触媒を用いた環状カーボネートの合成
種々のモノアミン触媒0.05mmolの有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、フェニルグリシジルエーテル150mg(1mmol;和光純薬工業株式会社製)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表1に示す。なお、表中、モノアミン触媒における[1'-A]はイソプロピルアミン ヨウ化水素塩を表し、[1'-B]はt-ブチルアミン ヨウ化水素塩を表し、[1'-C]はシクロヘキシルアミン ヨウ化水素塩を表し、[1'-D]はジシクロヘキシルアミン ヨウ化水素塩を表し、[10'-A]はアニリン ヨウ化水素塩を表し、[10'-B]はジシクロヘキシルアミン 塩化水素塩を表し、[10'-C]はジシクロヘキシルアミン 臭化水素塩を表し、[10'-D]はヨウ化 N,N-ジメチルジシクロヘキシルアンモニウムを表し、TBAIはヨウ化 テトラn-ブチルアンモニウム表す。また、表中、有機溶媒におけるNMPは1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を表し、DMAcはN,N-ジメチルアセトアミドを表し、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表す。なお、上述の実施例において、n-はnormal-体を表し、t-はtert-体を表す。
【0207】
【表1】
【0208】
表1の結果から明らかなように、種々のモノアミン塩(モノアミン触媒)を用いて反応を行ったところ、モノアミン触媒[1'-A]〜[1'-D]のなかでは、ジシクロヘキシルアミン ヨウ化水素塩[1'-D]を用いた場合に、副生成物がほとんど確認されずに、最も高い収率で(フェノキシメチル)エチレンカーボネートを得た(実施例4)。これは、アルキル基の嵩高さが小さくなるにつれて収率が減少していることから(実施例1〜4)、嵩高いジシクロヘキシル基が副反応を抑制し、かつヨウ素イオンの脱離能も高めているためと予想される。一方で、アニリン ヨウ化水素塩[10'-A]を用いた場合には、全く反応が進行しなかった(比較例1)。アニリンは嵩高いアミンの1つであるのにも関わらず、反応が全く進行しなかったのは、アミンの塩基性度(アニリンのpKa=4.6)が反応に影響しているものと予想される。すなわち、アミンとしての塩基性をほとんど持たないアミンのヨウ化水素塩では、反応が進行しないものと考えられる。また、ジシクロヘキシルアミン 塩化水素塩[10'-B]及びジシクロヘキシルアミン 臭化水素塩[10'-C]を用いた場合には、ほとんど反応が進行しなかった(比較例2及び3)。嵩高いジシクロヘキシルアミンを用いているのにも関わらす、反応がほとんど進行しなかったのは、モノアミン触媒のカウンターアニオンがヨウ素アニオンでなかったことが影響しているものと予想される。このように、常温、常圧条件下でのカーボネート反応においては、多種多様なアニオン種のなかでも、ヨウ素アニオンが大きな効果を有し、モノアミン触媒のカウンターアニオンは、ヨウ素アニオンであることが重要であることが判った。更に、プロトン源を全く持たないヨウ化 N,N-ジメチルジシクロヘキシルアンモニウム[10'-D]及びヨウ化 テトラn-ブチルアンモニウムを用いた場合には、ほとんど反応が進行しなかった(比較例4及び5)。このように、常温、常圧条件下で収率よく環状カーボネートを得るには、モノアミン触媒は、少なくとも1つ以上のプロトン源が必要であることが判った。更にまた、置換基を持たないヨウ化アンモニウムでは、ほとんど反応が進行しなかった(比較例6)。このように、適度な塩基性度と嵩高いアミンのヨウ化水素塩が、常温、常圧等の穏和な条件下で環状カーボネートを製造するための効果的な触媒であることが判った。
【0209】
実施例7〜10、並びに比較例7〜11 種々のアミジン触媒又は芳香族複素環アミン触媒を用いた環状カーボネートの合成
種々のアミジン触媒又は芳香族複素環アミン触媒0.05mmolの有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、フェニルグリシジルエーテル150mg(1mmol;和光純薬工業株式会社製)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表2に示す。なお、表中、アミジン触媒又は芳香族複素環アミン触媒における[2'-A]は1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン ヨウ化水素塩を表し、[2'-B]は1,2-ジメチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン ヨウ化水素塩を表し、[2'-C]は1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン ヨウ化水素塩を表し、[2'-D]は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩を表し、[10'-E]はピリジン ヨウ化水素塩を表し、[20'-A]は1-メチルイミダゾール ヨウ化水素塩を表し、[20'-B]はN,N-ジメチル-N'-オクチルアセトアミジン ヨウ化水素塩を表す。また、表中、有機溶媒におけるMTHFは2-メチルテトラヒドロフランを表し、NMPは1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を表し、THFはテトラヒドロフランを表す。
【0210】
【表2】
【0211】
表2の結果から明らかなように、種々のアミジン又は芳香族複素環アミンのヨウ化水素塩(アミジン触媒又は芳香族複素環アミン触媒)を用いて反応を行ったところ、極限構造を有する環状のアミジン触媒を用いた場合に、極限構造を有さないモノアミン触媒を用いた場合(実施例1〜6)よりも、高収率で(フェノキシメチル)エチレンカーボネートが得られた(実施例7〜10)。特に1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン ヨウ化水素塩[2'-C]又は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩[2'-D]を用いた場合には、常温、常圧条件下で定量的に反応した(実施例9及び10)。一方、芳香族複素環アミン塩であるピリジン ヨウ化水素塩や、芳香族複素環アミジン塩である1-メチルイミダゾール ヨウ化水素塩を用いた場合には、ほとんど反応が進行しなかった(比較例7及び8)。これは、比較例1でも述べたように、アミンの塩基性度が反応に影響し、塩基性に乏しいアミン(ピリジンのpKa=5.2、1-メチルイミダゾールのpKa=7.4)は、ほとんど触媒能がないことが窺える。また、鎖状のアミジンであるN,N-ジメチル-N'-オクチルアセトアミジン ヨウ化水素塩を用いた場合には、常温、常圧条件下では高収率で反応を進行させることができなかった(比較例9)。このように、常温、常圧条件下で収率よく環状カーボネートを得るには、アミジン触媒は、環状構造であることが重要であることが判った。更に、ヨウ化水素のみを用いた場合又はヨウ素のみを用いた場合には、全く反応が進行しないことを確認した(比較例10及び11)。このように、常温、常圧条件下でのカーボネート反応においては、pKaが8以上のアミンを用いることが必要であり、特にpKaが10以上のアミンを用いることが望ましい。その条件を満たすもののなかでも、環状のアミジン構造を有するヨウ化水素塩が非常に有効であることを明らかにした。
【0212】
実施例11〜14、並びに比較例12〜21 カーボネート反応における環状アミジン触媒のアニオン効果
種々の環状アミジン触媒0.05mmolの有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、フェニルグリシジルエーテル150mg(1mmol;和光純薬工業株式会社製)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表3に示す。なお、表中、環状アミジン触媒における[2'-A]は1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン ヨウ化水素塩を表し、[2'-D]は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩を表し、[20'-C]は1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン 塩化水素塩を表し、[20'-D]は1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン 臭化水素塩を表し、[20'-E]は1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジン トリフルオロメタンスルホン酸塩を表し、[20'-F]は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン 塩化水素塩を表し、[20'-G]は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン 臭化水素塩を表し、[20'-H]は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン 酢酸塩を表し、[20'-I]は1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン トリフルオロメタンスルホン酸塩を表す。また、表中、有機溶媒におけるNMPは1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を表し、MTHFは2-メチルテトラヒドロフランを表す。
【0213】
【表3】
【0214】
表2において、代表的な環状アミジンである1-メチル-1,4,5,6-テトラヒドロピリミジンのヨウ化水素塩[2'-A]と、表2において最も収率の高い1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩[2'-D]について、アニオン部位の異なる誘導体を合成し、アニオン部位のカーボネート反応への影響を検討した。表3の結果から明らかなように、アニオン部位をヨウ素アニオンから塩素アニオン、臭素アニオン、トリフルオロメタンスルホネートアニオン(トリフラートアニオン)又はアセテートアニオンに代えた環状アミジン触媒では反応性が著しく低下し、溶媒として、2-メチルテトラヒドロフラン、1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)のいずれを用いた場合でも、目的とする環状カーボネートはほとんど得られなかった(比較例12〜21)。このように、常温、常圧条件下でのカーボネート反応においては、多種多様なアニオン種のなかでも、ヨウ素アニオンが大きな効果を有することを明らかにした。
【0215】
実施例15〜27 カーボネート反応における環状アミジン触媒の溶媒効果
表4に示す量の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩の有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、フェニルグリシジルエーテル150mg(1mmol;和光純薬工業株式会社製)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表4に示す。なお、表中、有機溶媒におけるMTHFは2-メチルテトラヒドロフランを表し、NMPは1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を表し、THFはテトラヒドロフランを表し、CPMEはシクロペンチルメチルエーテルを表す。
【0216】
【表4】
【0217】
表4の結果から明らかなように、例えばトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒、例えばシクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、例えば2-プロパノン(アセトン)等のケトン系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)等のアミド系溶媒、例えばイソプロパノール、t-ブタノール、2-メトキシエタノール等のアルコール系溶媒等の種々の有機溶媒中で反応を行っても、収率よく反応が進行することが判った。特に芳香族炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、ケトン系溶媒、エステル系溶媒では、定量的に反応が進行することが判った。
【0218】
実施例28〜36 アミジン触媒[2'-D]を用いた種々のエポキシド(オキシラン)のカーボネート反応
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩14.0mg(0.05mmol)の有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、表5に示す量の種々のエポキシド(オキシラン)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した種々のカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表5に示す。なお、表中、エポキシド(オキシラン)における[4-A]はフェニルグリシジルエーテルを表し、[4-B]はn-ブチルグリシジルエーテルを表し、[4-C]はグリシジルメタクリレートを表し、[4-D]はスチレンオキシドを表し、[5-A]は2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン{ビスフェノールAジグリシジルエーテル}を表す。また、表中、有機溶媒におけるTHFはテトラヒドロフランを表し、NMPは1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を表し、MTHFは2-メチルテトラヒドロフランを表す。なお、上述の実施例において、n-はnormal-体を表す。
【0219】
【表5】
【0220】
表2において最も収率の高い1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩[2'-D]を触媒として、種々のエポキシドに対する反応性について検討した。表5の結果から明らかなように、モノエポキシド体、ビスエポキシド体のいずれでも、対応するカーボネートが収率よく得られた。また、実施例30では、反応をテトラヒドロフラン中で行ったが、エポキシド[5-A]から得られる環状カーボネート[7-A](2,2-プロピレンビス[(p-フェノキシメチル)エチレンカーボネート]{ビスフェノールAジグリシジルエーテル ビスカーボネート})が、反応途中に析出して攪拌できなくなった。このため、実施例31では、高極性溶媒の1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を用いて検討したところ、カーボネート[7-A]は析出しなくなったが、反応性が低下した。この問題は、1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を低極性の溶媒と混合させることで解決し、カーボネート[7-A]を反応途中で析出させることなく、収率を向上させることに成功した(実施例32及び33)。また、バルク反応では、テトラヒドロフラン中で反応を行うよりも反応性が向上し(実施例34)、特にエポキシド[4-C]を用いた反応では、副生成物が生成することなく、定量的に反応が進行した(実施例35)。これらの結果から、有機溶媒を代えたり、混合溶媒系やバルク系等の条件を使い分けることで、様々なエポキシド(オキシラン)から環状カーボネートを製造できることが判った。
【0221】
実施例37 アミジン触媒[2'-D]を用いた常温、常圧条件下での(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの単離合成
フェニルグリシジルエーテル3.00g(20mmol;和光純薬工業株式会社製)のテトラヒドロフラン3.6mL/1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)0.4mL混合溶液に、25℃中、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩280mg(1mmol)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で48時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液にN,N-ジメチルホルムアミド3mLを加えた後、該反応液を水80mL中に投入し、結晶を析出させた。析出した結晶をろ取し、次いでろ取した結晶を水で洗浄した後、該結晶を80℃で12時間真空乾燥することにより、無色結晶の(フェノキシメチル)エチレンカーボネート3.76g(収率:96.9%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。なお、24時間反応させた際のフェニルグリシジルエーテルの転化率は86%であった。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):4.20(dd,1H,J=11.2,4.8Hz,PhOC
H2),4.28(dd,1H,J=11.2,2.4Hz,PhOC
H2),4.39(dd,1H,J=8.4,6.4Hz,OCHC
H2O),4.64(dd,1H,J=8.4,8.4Hz,OCHC
H2O),5.12-5.19(m,1H,OC
HCH
2O),6.94-7.03(m,3H,Ar
H),7.28-7.35(m,2H,Ar
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):66.0(OCH
CH
2O),67.4(O
CHCH
2O),74.8(PhO
CH
2),114.6(
Ar),121.2(
Ar),129.6(
Ar),154.9(
Ar),157.9(
C=O).
【0222】
本実施例は、表4における実施例17の20倍の反応スケールであるが、反応性はほとんど低下していない。メタルフリー(金属フリー)かつ安価な触媒である1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩を用いると、目的とするカーボネートが定量的に得られたことから、本カーボネート反応が実用的な反応であることを実証した。
【0223】
実施例38 アミジン触媒[2'-D]を用いた常温、常圧条件下での(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルメタクリレートの単離合成
グリシジルメタクリレート2.84g(20mmol;アルドリッチ社製)に、25℃中、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン ヨウ化水素塩280mg(1mmol)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で48時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液をメチルt-ブチルエーテル20mLと水10mLで分液し、更に水層をメチルt-ブチルエーテル10mLで2回抽出、分液した際の有機層と抽出した際の有機層を合わせ、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。乾燥後の有機層を濃縮し溶媒を留去することで得られた残渣を40℃で6時間真空乾燥することにより、淡黄色油状物の(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルメタクリレート3.63g(収率:97.6%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。なお、24時間反応させた際のグリシジルメタクリレートの転化率は78.4%であった。また、上述の実施例において、t-はtert-体を表す。
1H-NMR(400MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):1.96(t,3H,J=1.6Hz,C
H3),4.34(dd,1H,J=12.4,4.0Hz,OCHC
H2O),4.36(dd,1H,J=8.8,5.2Hz,CO
2C
H2),4.39(dd,1H,J=8.4,3.2Hz,OCHC
H2O),4.64(dd,1H,J=8.8,8.8Hz,CO
2C
H2),4.98-5.04(m,1H,OC
HCH
2O),5.67(quin,1H,J=1.6Hz,C=C
HH),6.15-6.17(m,1H,C=CH
H).
13C-NMR(100MHz,CDCl
3,25℃)δ(ppm):18.1(
CH
3),63.4(OCH
CH
2O),66.0(O
CHCH
2O),73.8(CO
2CH
2),127.2(C=
CH
2),135.0(
C=CH
2),154.5(
CO
3),166.6(
CO
2).
【0224】
本実施例は、表5における実施例35の20倍の反応スケールであるが、反応性はほとんど低下していない。反応が定量的に進行するため、精製操作を行わなくても分液操作だけで生成物を単離することができた。25℃、1気圧等の穏和な条件下で反応が進行するため、グリシジルメタクリレートのような重合性の高いエポキシド(オキシラン)でもポリマー副生成物を生じずに、カーボネートのみを得ることができた。また、アミジン塩によるグリシジルメタクリレートの二重結合へのマイケル付加、オキシラン環への開環付加、エステル基の分解等も見られないことから、本カーボネート反応は、化学選択的な二酸化炭素挿入反応として優れていることを見出した。
【0225】
実施例39〜43、並びに比較例22〜25 種々のグアニジン触媒を用いた環状カーボネートの合成
種々のグアニジン触媒0.05mmolの有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、フェニルグリシジルエーテル150mg(1mmol;和光純薬工業株式会社製)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表6に示す。なお、表中、グアニジン触媒における[3'-A]は1-(1-ブチル)グアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-B]は1-(1-ブチル)-3-メチルグアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-C]は1-(1-ブチル)-2,3-ジメチルグアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-D]は1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-E]は2-(1-ブチル)-1,1,3,3-テトラメチルグアニジン ヨウ化水素塩を表し、[30'-A]は1-(1-ブチル)-1,2,2,3,3-ペンタメチルグアニジン ヨウ化物塩を表し、TBAIはヨウ化 テトラn-ブチルアンモニウムを表す。また、表中、有機溶媒におけるNMPは1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を表し、MTHFは2-メチルテトラヒドロフランを表す。なお、上述の実施例において、n-はnormal-体を表す。
【0226】
【表6】
【0227】
表6の結果から明らかなように、種々のグアニジンのヨウ化水素塩(グアニジン触媒)を用いて反応を行ったところ、グアニジン触媒[3'-A]〜[3'-E]のプロトン源の数に関わらず、収率よくカーボネートが得られた(実施例39〜43)。また、表6には記載していないが、実施例40及び41の方法において、グアニジン触媒の使用量を10mol%に変えると、両実施例ともに92%の収率で(フェノキシメチル)エチレンカーボネートが得られた。一方で、プロトン源を全く持たないグアニジン触媒[30'-A]はほとんど反応が進行しないことが判った(比較例22)。すなわち、常温、常圧条件下で収率よくカーボネートを得るには、グアニジン触媒は、少なくとも1つ以上のプロトン源が必要であることを見出した。これは、グアニジン触媒[30'-A]と同じくプロトン源を持たないヨウ化 テトラn-ブチルアンモニウムを用いた場合に、反応がほとんど進行しなかったことからも明らかである(比較例23)。また、最も汎用的に用いられる金属塩(金属触媒)である臭化リチウムを用いた場合でも、常温、常圧条件下では、カーボネート反応はほとんど進行しなかった(比較例24及び25)。このように、プロトン源を少なくとも1つ以上有するグアニジンのヨウ化水素塩は、常温、常圧等の穏和な条件下で環状カーボネートを製造するための効果的な触媒であることが判った。
【0228】
実施例44〜50 カーボネート反応におけるグアニジン触媒の溶媒効果
種々のグアニジン触媒0.05mmolの有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、フェニルグリシジルエーテル150mg(1mmol;和光純薬工業株式会社製)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表7に示す。なお、表中、グアニジン触媒における[3'-A]は1-(1-ブチル)グアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-D]は1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩を表す。また、表中、有機溶媒におけるDMIは1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(ジメチルエチレン尿素)を表し、DMAcはN,N-ジメチルアセトアミドを表し、DMFはN,N-ジメチルホルムアミドを表し、MTBEはメチルt-ブチルエーテルを表す。なお、上述の実施例において、t-はtert-体を表す。
【0229】
【表7】
【0230】
表7の結果から明らかなように、例えば1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン(ジメチルエチレン尿素)、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒、例えばイソプロパノール等のアルコール系溶媒、例えばメチルt-ブチルエーテル等のエーテル系溶媒、例えばトルエン等の芳香族炭化水素系溶媒等の種々の有機溶媒中で反応を行っても、収率よく反応が進行することが判った。
【0231】
実施例51及び52、並びに比較例26〜28 カーボネート反応におけるグアニジン触媒のアニオン効果
種々のグアニジン触媒0.05mmolの有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、フェニルグリシジルエーテル150mg(1mmol;和光純薬工業株式会社製)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表8に示す。なお、表中、グアニジン触媒における[3'-D]は1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩を表し、[30'-B]は1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン 塩化水素塩を表し、[30'-C]は1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン トリフルオロメタンスルホン酸塩を表す。また、表中、有機溶媒におけるMTHFは2-メチルテトラヒドロフランを表す。
【0232】
【表8】
【0233】
表6において最も収率の高い1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩[3'-D]について、アニオン部位の異なる誘導体を合成し、アニオン部位のカーボネート反応への影響を検討した。表8の結果から明らかなように、アニオン部位をヨウ素アニオンから塩素アニオンに代えたグアニジン触媒では反応性が著しく低下し(比較例26及び28)、トリフルオロメタンスルホネートアニオン(トリフラートアニオン)に代えたグアニジン触媒では全く反応が進行しなかった(比較例27)。2-メチルテトラヒドロフラン、2-プロパノン(アセトン)いずれの溶媒系においても同様の結果が得られた。これは、原子半径が大きく負電荷が分散されるアニオンの脱離能の大きさが、エポキシド(オキシラン)に対する二酸化炭素挿入反応を促進していると考えられる。このように、常温、常圧条件下でのカーボネート反応においては、多種多様なアニオン種のなかでも、ヨウ素アニオンが大きな効果を有することを明らかにした。
【0234】
実施例53〜61 カーボネート反応におけるグアニジン触媒の置換基効果
種々のグアニジン触媒0.05mmolの有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、フェニルグリシジルエーテル150mg(1mmol;和光純薬工業株式会社製)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表9に示す。なお、表中、グアニジン触媒における[3'-F]は1-(1-オクチル)グアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-G]は1,1-ジシクロヘキシルグアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-H]は1-ベンジルグアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-I]は1-(2-ヒドロキシエチル)グアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-J]は1-(2-メトキシエチル)グアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-K]は1-(N,N-ジメチルアミノエチル)グアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-L]は1-ベンジル-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-M]は1-(N,N-ジメチルアミノエチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩を表し、[3'-N]は7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン ヨウ化水素塩を表す。また、表中、有機溶媒におけるNMPは1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を表し、MTHFは2-メチルテトラヒドロフランを表す。
【0235】
【表9】
【0236】
表9の結果から明らかなように、まず、プロトン源を4つ以上有するグアニジンのヨウ化水素塩(グアニジン触媒)を用いて反応を行ったところ、1-(1-ブチル)グアニジン ヨウ化水素塩[3'-A]よりも長いアルキル鎖を有するグアニジン触媒[3'-F]や非常に嵩高いジシクロヘキシル基を有するグアニジン触媒[3'-G]を用いた場合でも、収率よく反応が進行した(実施例53及び54)。更に、ヒドロキシル基等の他の官能基を含むグアニジン触媒[3'-I]〜[3'-K]を用いた場合でも反応は進行し、特にグアニジン触媒[3'-J]及び[3'-K]は、グアニジン触媒[3'-A]よりも高い反応性を示した(実施例56〜58)。次にプロトン源を2つ有するグアニジンのヨウ化水素塩(グアニジン触媒)を用いて反応を行ったところ、1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩[3'-D]と同等以上の反応性を示し、特にベンジル基を有するグアニジン触媒[3'-L]を用いた場合には、2-メチルテトラヒドロフラン中で定量的に反応が進行することが判った。本実施例で用いたグアニジン触媒は、グアニジン触媒[3'-A]や[3'-D]から容易に合成することができる。これらの結果から、本グアニジン触媒は、多くのアミン類から容易に種々の誘導体を合成することができるという大きな特徴を有し、例えば担体への担持や高分子化による再利用反応への応用が期待できる。
【0237】
実施例62〜68 グアニジン触媒[3'-A]を用いた種々のエポキシド(オキシラン)のカーボネート反応
1-(1-ブチル)グアニジン ヨウ化水素塩12.0mg(0.05mmol)の有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、表10に示す量の種々のエポキシド(オキシラン)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃又は45℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した種々のカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表10に示す。なお、表中、エポキシド(オキシラン)における[4-A]はフェニルグリシジルエーテルを表し、[4-B]はn-ブチルグリシジルエーテルを表し、[4-C]はグリシジルメタクリレートを表し、[5-A]は2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン{ビスフェノールAジグリシジルエーテル}を表し、[5-B]は1,4-ビス(グリシジルオキシ)ブタン{1,4-ブチレングリコールジグリシジルエーテル}を表す。また、表中、有機溶媒におけるNMPは1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を表す。なお、上述の実施例において、n-はnormal-体を表す。
【0238】
【表10】
【0239】
1-(1-ブチル)グアニジン ヨウ化水素塩[3'-A]を触媒として、種々のエポキシドに対する反応性について検討した。表10の結果から明らかなように、モノエポキシド体、ビスエポキシド体のいずれでも、対応する環状カーボネートが収率よく得られた。特にメタクリル基を有するエポキシド(オキシラン)との反応は、アミン塩による二重結合へのマイケル付加、オキシラン環への開環付加、エステル基の分解等の様々な副反応が予想されるが、グアニジン触媒[3'-A]は活性水素を多く持つのにも関わらず、(2-オキソ-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルメタクリレート[6-C]のみが選択的に高収率で得られた(実施例64)。これは、グアニジン触媒[3'-A]のグアニジニウムカチオンが3つの極限構造を持ち、極度に安定化しているためと考えられる。また、常温(25℃)でも収率よく環状カーボネートが得られるが、反応温度を45℃に上げるだけで、常圧下で定量的に環状カーボネートが得られた(実施例67及び68)。これらの結果から、グアニジン触媒[3'-A]は、様々なエポキシド(オキシラン)に適用できることが判った。
【0240】
実施例69〜76 グアニジン触媒[3'-D]を用いた種々のエポキシド(オキシラン)のカーボネート反応
1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩14.0mg(0.05mmol)の有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、表11に示す量の種々のエポキシド(オキシラン)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃又は45℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成したカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成した種々のカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表11に示す。なお、表中、エポキシド(オキシラン)における[4-A]はフェニルグリシジルエーテルを表し、[4-B]はn-ブチルグリシジルエーテルを表し、[4-C]はグリシジルメタクリレートを表し、[5-A]は2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン{ビスフェノールAジグリシジルエーテル}を表し、[5-B]は1,4-ビス(グリシジルオキシ)ブタン{1,4-ブチレングリコールジグリシジルエーテル}を表す。また、表中、有機溶媒におけるMTHFは2-メチルテトラヒドロフランを表し、MTBEはメチルt-ブチルエーテルを表し、NMPは1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を表す。なお、上述の実施例において、n-はnormal-体を表し、t-はtert-体を表す。
【0241】
【表11】
【0242】
1-(1-ブチル)-2,3,3-トリメチルグアニジン ヨウ化水素塩[3'-D]を触媒として、種々のエポキシドに対する反応性について検討した。表11の結果から明らかなように、グアニジン触媒[3'-A]と同様にモノエポキシド体、ビスエポキシド体のいずれでも、対応する環状カーボネートが収率よく得られた。また、常温(25℃)でも収率よくカーボネートが得られるが、反応温度を45℃に上げるだけで、常圧下で定量的に環状カーボネートが得られた(実施例74及び75)。更に、グアニジン触媒[3'-D]は、無溶媒でも反応が進行し、むしろ有機溶媒中で反応させるよりも反応性が増大した(実施例76)。これらの結果から、グアニジン触媒[3'-D]は、様々なエポキシド(オキシラン)に適用できることが判った。
【0243】
実施例77及び78 グアニジン触媒[3'-O]を用いた種々のエポキシド(オキシラン)のカーボネート反応
グアニジン ヨウ化水素塩[3'-O]9.3mg(0.05mmol)の有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、表12に示す量の種々のエポキシド(オキシラン)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、45℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した種々のカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表12に示す。なお、表中、エポキシド(オキシラン)における[4-A]はフェニルグリシジルエーテルを表し、[5-A]は2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン{ビスフェノールAジグリシジルエーテル}を表す。また、表中、有機溶媒におけるNMPは1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を表す。
【0244】
【表12】
【0245】
グアニジン ヨウ化水素塩[3'-O]を触媒として、種々のエポキシドに対する反応性について検討した。表12の結果から明らかなように、グアニジン触媒[3'-A]及び[3'-D]と同様に、45℃で反応を行うことで、モノエポキシド体、ビスエポキシド体のいずれでも、対応する環状カーボネートが定量的に得られた。これらの結果から、グアニジン触媒[3'-O]も、様々なエポキシド(オキシラン)に適用できることが判った。
【0246】
実施例79 グアニジン触媒[3'-O]を用いた常温、常圧条件下での(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの単離合成
フェニルグリシジルエーテル6.01g(40mmol;和光純薬工業株式会社製)の1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)4mL溶液に、25℃中、グアニジン ヨウ化水素塩374mg(2mmol)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、45℃で48時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液に2-プロパノン(アセトン)5mLを加えた後、該反応液を水80mL中に投入し、結晶を析出させた。析出した結晶をろ取し、次いでろ取した結晶を水で洗浄した後、該結晶を80℃で12時間真空乾燥することにより、無色結晶の(フェノキシメチル)エチレンカーボネート7.75g(収率:99.7%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。なお、24時間反応させた際のフェニルグリシジルエーテルの転化率は65%であった。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):4.20(dd,1H,J=11.2,4.8Hz,PhOC
H2),4.28(dd,1H,J=11.2,2.4Hz,PhOC
H2),4.39(dd,1H,J=8.4,6.4Hz,OCHC
H2O),4.64(dd,1H,J=8.4,8.4Hz,OCHC
H2O),5.12-5.19(m,1H,OC
HCH
2O),6.94-7.02(m,3H,Ar
H),7.28-7.35(m,2H,Ar
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):66.0(OCH
CH
2O),67.4(O
CHCH
2O),74.8(PhO
CH
2),114.6(
Ar),121.2(
Ar),129.6(
Ar),154.9(
Ar),157.9(
C=O).
【0247】
本実施例は、表12における実施例77と同様の反応であるが、反応スケールが40倍であるため、反応時間が長くなった。しかしながら、反応が定量的に進行するため、精製操作を行わなくても反応液を水中に投じるだけで生成物を単離することができた。メタルフリー(金属フリー)かつ安価な触媒であるグアニジン ヨウ化水素塩を用いると、45℃、1気圧等の穏和な条件下で反応が進行し、目的とする環状カーボネートが定量的に得られたことから、本カーボネート反応が実用的な反応であることを実証した。
【0248】
実施例80 グアニジン触媒[3'-A]を用いた常温、常圧条件下での2,2-プロピレンビス[(p-フェノキシメチル)エチレンカーボネート]{ビスフェノールAジグリシジルエーテル ビスカーボネート}の単離合成
2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン{ビスフェノールAジグリシジルエーテル}3.40g(10mmol;新日鐵化学株式会社製)の1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)4mL溶液に、25℃中、1-(1-ブチル)グアニジン ヨウ化水素塩243mg(1mmol)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、45℃で48時間攪拌して反応させた。反応終了後、反応液を水80mL中に投入し、結晶を析出させた。析出した結晶をろ取し、次いでろ取した結晶を水で洗浄した後、該結晶を80℃で12時間真空乾燥することにより、無色結晶の2,2-プロピレンビス[(p-フェノキシメチル)エチレンカーボネート]{ビスフェノールAジグリシジルエーテル ビスカーボネート}4.25g(収率:99.3%)を得た。以下に
1H-NMR及び
13C-NMRの測定結果を示す。なお、24時間反応させた際の2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン{ビスフェノールAジグリシジルエーテル}の転化率は62%であった。
1H-NMR(400MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):1.58(s,6H,C(C
H3)
2),4.16(dd,2H,J=11.6,4.4Hz,2×(PhOC
H2)),4.24(dd,2H,J=11.2,2.4Hz,2×(PhOC
H2)),4.38(dd,2H,J=8.0,6.0Hz,2×(OCHC
H2O)),4.64(dd,2H,J=8.8,8.8Hz,2×(OCHC
H2O)),5.10-5.17(m,2H,2×(OC
HCH
2O)),6.85(d,4H,J=8.8Hz,Ar
H),7.12(d,4H,J=8.8Hz,Ar
H).
13C-NMR(100MHz,DMSO-d
6,25℃)δ(ppm):30.7(C(
CH
3)
2),41.3(
C(CH
3)
2),66.0(OCH
CH
2O),67.4(O
CHCH
2O),74.8(PhO
CH
2),114.0(
Ar),127.5(
Ar),143.3(
Ar),154.9(
Ar),155.7(
C=O).
【0249】
本実施例は、表10における実施例68と同様の反応であるが、反応スケールが20倍であるため、反応時間が長くなった。しかしながら、反応が定量的に進行するため、精製操作を行わなくても反応液を水中に投じるだけで生成物を単離することができた。生成物である2,2-プロピレンビス[(p-フェノキシメチル)エチレンカーボネート]{ビスフェノールAジグリシジルエーテル ビスカーボネート}は、工業的に重要な高機能性モノマーであるが、原料である2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン{ビスフェノールAジグリシジルエーテル}と同様に結晶性が高いために、バルクでは扱えず、穏和な条件でのカーボネート合成は成功していなかった。本実施例では、45℃、1気圧等の穏和な条件下で、2,2-ビス(4-グリシジルオキシフェニル)プロパン{ビスフェノールAジグリシジルエーテル}のカーボネート反応が定量的に進行することを見出した。
【0250】
比較例29〜36 種々の金属塩を用いた環状カーボネートの合成
種々の金属塩0.05mmolの有機溶媒0.2mL溶液(又は懸濁液)に、25℃中、フェニルグリシジルエーテル150mg(1mmol;和光純薬工業株式会社製)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率を算出した。分析の結果、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。これらの結果を表13に示す。なお、表中、有機溶媒におけるNMPは1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)を表し、MTHFは2-メチルテトラヒドロフランを表す。
【0251】
【表13】
【0252】
種々の金属塩を触媒として、エポキシドに対する反応性について検討した。表13の結果から明らかなように、金属塩を用いた場合には、総じて反応性が低く、反応系内でヨウ素アニオンが生じると考えられるヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウムを用いた場合では、生成物である(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率が10%台にとどまる結果となった。また、アルミナに担持したフッ化カリウムやヨウ化銅ではほとんど反応が進行せず、高価なヨウ化セシウムを用いた場合でも、生成物である(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率は28%であった。これらの結果から、金属塩を触媒として用いる反応は、常温、常圧等の穏和な条件下でのカーボネートの合成には適していないことが判った。
【0253】
比較例37 金属塩とアミジンを触媒として用いた環状カーボネートの合成
臭化リチウム0.05mmolと1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.05mmolの1-メチル-2-ピロリジノン(N-メチルピロリドン)0.2mL溶液に、25℃中、フェニルグリシジルエーテル150mg(1mmol;和光純薬工業株式会社製)を加えた後、二酸化炭素ガスを充填した風船で反応系を密閉して二酸化炭素ガス雰囲気下(0.1MPa)とし、同雰囲気下、25℃で24時間攪拌して反応させた。次いで反応液を少量抜き取った後、抜き取った反応液を重クロロホルムで希釈し、重クロロホルムに含まれるテトラメチルシランを基準として反応液を分析し、生成した(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率を算出した。分析の結果、生成した(フェノキシメチル)エチレンカーボネートの収率は31%であった。また、副生成物はほとんど確認されず(5%以下)、生成したカーボネート以外は未反応の原料であった。
【0254】
1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンには、二酸化炭素を取り込む機能があるため、表13に示す金属塩を単独で用いた場合と比較して、反応性は高いことが窺える。しかしながら、常温、常圧等の穏和な条件下では、カーボネートの収率は低く、工業的利用という観点からは十分ではなかった。
【0255】
以上の結果から、第一級乃至第三級アミンのなかでもpKaが8以上のアミンであって、モノアミン、環状アミジン及びグアニジンから選ばれるアミン化合物とヨウ化水素とを組み合わせた、本発明にかかる触媒(アミン化合物塩)が、常温、常圧等の穏和な条件下でも、カーボネート反応が効率的に進行することを明らかにした。すなわち、第一級乃至第三級アミンであれば、いずれのアミンでもよいというわけではないし、アニオン成分も何でもよいというわけではないのである。言い換えれば、特定の組み合わせのみからなる触媒(アミン化合物塩)が、カーボネート反応を効率的に進行させることができるのである。このような触媒(アミン化合物塩)を用いる本発明は、常温、常圧等の穏和な条件下でも、高収率で環状カーボネートを製造できることを明らかにした。また、本発明にかかる触媒(アミン化合物塩)は、メタルフリー(金属フリー)の触媒(アミン化合物塩)でもあるので、本発明にかかる触媒(アミン化合物塩)を用いる本発明は、グリーンケミストリーの観点からも有用であり、環境負荷低減を考慮した実用的な製造方法であることを明らかにした。