特許第6146364号(P6146364)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146364
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20170607BHJP
   H01L 23/467 20060101ALI20170607BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   H02M7/48 Z
   H01L23/46 C
   H05K7/20 B
【請求項の数】2
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2014-72178(P2014-72178)
(22)【出願日】2014年3月31日
(65)【公開番号】特開2015-195672(P2015-195672A)
(43)【公開日】2015年11月5日
【審査請求日】2016年3月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】新谷 貴範
【審査官】 佐藤 匡
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−101277(JP,A)
【文献】 特許第4936019(JP,B2)
【文献】 特開2004−172618(JP,A)
【文献】 特開2008−041910(JP,A)
【文献】 特開2003−235112(JP,A)
【文献】 特開2012−195258(JP,A)
【文献】 特開2011−171449(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/48
H01L 23/467
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも後面に後方開口が形成され、かつ装置本体の内部に収納された半導体素子を放熱させるヒートシンクが配設されるフレームを備えた電力変換装置において、
前記フレームの前面部の後面における予め決められた略矩形状の前記ヒートシンクの配設領域の互いに対向する縁端部の近傍に、該後面より後方に突出する態様で一体的に形成された薄板状のガイド部材を備え、
前記ガイド部材は、前記後方開口から離隔するに連れて前記縁端部に漸次近接するよう傾斜するガイド傾斜部を備えており、前記後方開口を通じて前記ヒートシンクを前記フレームの内部に相対的に進入させる際に該ヒートシンクが前記ガイド傾斜部に摺接することにより該ヒートシンクを該フレームの所定箇所に案内することを特徴とする電力変換装置。
【請求項2】
前記ヒートシンクは、前端面の縁端部において、後方に向かうに連れて漸次外方に傾斜するヒートシンク傾斜部を備えたことを特徴とする請求項に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば昇降機や空調機等の制御において電力変換装置が用いられており、この種の電力変換装置は、主要部品である半導体素子が装置本体に収納されるとともに、この半導体素子を冷却するためのヒートシンクが設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許4936019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に提案されている電力変換装置では、装置本体を構成するフレームの内部にヒートシンクを相対的に進入させて、該フレームの所定箇所にヒートシンクを固定配置することとなるが、該ヒートシンクをフレームの所定箇所に配置させるためには専用の治具等を必要としていた。そのため、上述した電力変換装置では、ヒートシンクをフレームに組み込むための作業が煩雑なものとなる虞れがあった。
【0005】
本発明は、上記実情に鑑みて、ヒートシンクをフレームに組み込む作業の作業効率の向上を図ることができる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る電力変換装置は、少なくとも後面に後方開口が形成され、かつ装置本体の内部に収納された半導体素子を放熱させるヒートシンクが配設されるフレームを備えた電力変換装置において、前記フレーム及び前記ヒートシンクの少なくとも一方に配設され、かつ前記後方開口を通じて前記ヒートシンクを前記フレームの内部に相対的に進入させる際に該ヒートシンクを該フレームの所定箇所に案内するガイド部材を備えたことを特徴とする。
【0007】
また本発明は、上記電力変換装置において、前記ガイド部材は、前記フレームにおける予め決められた略矩形状の前記ヒートシンクの配設領域の互いに対向する縁端部の近傍において、少なくとも1つ以上形成されることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、上記電力変換装置において、前記ガイド部材は、前記後方開口から離隔するに連れて前記縁端部に漸次近接するよう傾斜するガイド傾斜部を備えたことを特徴とする。
【0009】
また本発明は、上記電力変換装置において、前記ヒートシンクは、前端面の縁端部において、後方に向かうに連れて漸次外方に傾斜するヒートシンク傾斜部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フレーム及びヒートシンクの少なくとも一方に配設されたガイド部材が、後方開口を通じてヒートシンクをフレームの内部に相対的に進入させる際に、該ヒートシンクを該フレームの所定箇所に案内するので、従来のような専用の治具等を必要とせずにフレームに対するヒートシンクの位置決めを行うことができ、ヒートシンクをフレームに組み込む作業の作業効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の実施の形態である電力変換装置を模式的に示す側面図である。
図2図2は、図1に示した電力変換装置を構成するフレームを後方側から見た場合を示す背面図である。
図3図3は、フレームに対するフィンユニットの組み込み作業を模式的に示す断面側面図である。
図4図4は、フレームに対するフィンユニットの組み込み作業を模式的に示す断面側面図である。
図5図5は、フレームに対するフィンユニットの組み込み作業を模式的に示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る電力変換装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0013】
図1は、本発明の実施の形態である電力変換装置を模式的に示す側面図である。ここで例示する電力変換装置は、装置本体1を備えている。
【0014】
装置本体1は、収納本体2とフレーム10とを備えて構成されている。収納本体2は、後面が開口した直方状の形態を成す箱体であり、フレーム10の前方域を覆う態様で該フレーム10に連結されている。
【0015】
かかる収納本体2は、例えばプラスチック等の樹脂材料から形成されるもので、フレーム10との間に様々制御機器を収納するための収納空間3を画成している。
【0016】
フレーム10は、例えばプラスチック等の樹脂材料、あるいはアルミニウム(又はアルミニウム合金)等の金属材料から形成されている。このフレーム10は、収納本体2の内部を臨むよう該収納本体2に覆われる前面部11と、前面部11の左右両端部より前方及び後方に向けて延在する左右一対の側面部12とが一体的に形成されることで、上面及び下面に外部の空気が通過するための通風開口13,14が形成されるとともに、後面にも後方開口15が形成されている。
【0017】
そして、上面の通風開口13は、フレーム10に支持された送風ファンFが配設されることにより閉塞されている。ここで送風ファンFは、駆動することにより、下面に形成された通風開口14より外部の空気をフレーム10の内部に導入し、フレーム10の内部を通過した空気を上面の通風開口13を通じて外部に送出するものである。また、下面の通風開口14は、適宜図示せぬフィルタ等により覆われている。
【0018】
図1に示すように、フレーム10には、ヒートシンクであるフィンユニット20が配設されている。
【0019】
フィンユニット20は、例えばアルミニウム(又はアルミニウム合金)等の良好な熱伝導性を有する高熱伝導性材料から形成されるもので、ベース部21と複数のフィン22とを備えて構成されている。
【0020】
ベース部21は、略平板状の形態を成すものであり、フレーム10の前面部11に形成された取付開口11a(図2等参照)を閉塞する態様で該前面部11に取り付けられている。このベース部21の前面には、該取付開口11aを貫通する態様で例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)のような半導体素子Hが熱的に接続されている。
【0021】
複数のフィン22は、それぞれ薄板状の形態を成している。これらフィン22は、ベース部21の後面に左右方向に沿って並ぶよう所定間隔毎に起立姿勢にて配設されている。
【0022】
このようなフィンユニット20が配設されるフレーム10には、図2に示すように、複数(図示の例では4つ)のガイド部材16が設けられている。
【0023】
ガイド部材16は、フレーム10の前面部11の後面において後方に突出する態様で一体的に形成された薄板状のものである。これらガイド部材16は、フレーム10の前面部11の後面において予め決められた略矩形状のフィンユニット配設領域(ヒートシンクの配設領域)Sの互いに対向する縁端部S1,S2の近傍に設けられている。
【0024】
より詳細には、4つのガイド部材16のうち、2つの上方ガイド部材16aは、フィンユニット配設領域Sにおける上方側縁端部S1の近傍において、互いに左右に離れた状態で上下方向に沿って延在する態様で配設されている。また、残りの2つの下方ガイド部材16bは、フィンユニット配設領域Sにおける下方側縁端部S2の近傍において、互いに左右に離れた状態で上下方向に沿って延在する態様で配設されている。
【0025】
そして、上方ガイド部材16aは、図3に示すように、上方ガイド傾斜部17aが形成されている。上方ガイド傾斜部17aは、上方ガイド部材16aの後端部の下方側の一部から該上方ガイド部材16aの下端部の後方側の一部に亘って形成されており、後方開口15から離隔するに連れてフィンユニット配設領域Sにおける上方側縁端部S1に漸次近接するよう下方に傾斜している。
【0026】
また、下方ガイド部材16bは、図3に示すように、下方ガイド傾斜部17bが形成されている。下方ガイド傾斜部17bは、下方ガイド部材16bの後端部の上方側の一部から該下方ガイド部材16bの上端部の後方側の一部に亘って形成されており、後方開口15から離隔するに連れてフィンユニット配設領域Sにおける下方側縁端部S2に漸次近接するよう上方に傾斜している。
【0027】
更に、このようなフレーム10に配設されるフィンユニット20においても、図3に示すように、フィン傾斜部(ヒートシンク傾斜部)23が形成されている。このフィン傾斜部23は、上方フィン傾斜部23aと下方フィン傾斜部23bとを有している。
【0028】
上方フィン傾斜部23aは、フィンユニット20におけるベース部21の前端面の上縁部において、後方に向かうに連れて漸次上方(外方)に傾斜する態様で形成されている。下方フィン傾斜部23bは、フィンユニット20におけるベース部21の前端面の下縁部において、後方に向かうに連れて漸次下方に傾斜する態様で形成されている。
【0029】
上記フィンユニット20をフレーム10に配設するためには、図3に示すように、フレーム10の後方開口15を通じてフィンユニット20をフレーム10の内部に相対的に進入させるようフィンユニット20をフレーム10に組み込む作業を行う必要がある。
【0030】
このフィンユニット20をフレーム10に組み込む作業において、図4に示すようにフィンユニット20がフィンユニット配設領域Sよりも僅かに上方側に位置している場合でも、フレーム10に形成された上方ガイド部材16aの上方ガイド傾斜部17aにフィンユニット20の上方フィン傾斜部23aが摺接することで、フレーム10に対してフィンユニット20を相対的に下方に移動させることができる。この結果、図5に示すように、フィンユニット配設領域Sにフィンユニット20を配置することができ、その後にネジ等の締結部材を介してフィンユニット20をフレーム10の前面部11に固定配置させることができる。
【0031】
尚、ここでは一例としてフィンユニット20がフィンユニット配設領域Sよりも僅かに上方側に位置している場合について説明したが、フィンユニット20がフィンユニット配設領域Sよりも僅かに下方側に位置している場合でも、フレーム10に形成された下方ガイド部材16bの下方ガイド傾斜部17bにフィンユニット20の下方フィン傾斜部23bが摺接することで、フレーム10に対してフィンユニット20を相対的に上方に移動させることができる。この結果、フィンユニット配設領域Sにフィンユニット20を配置することができ、その後にネジ等の締結部材を介してフィンユニット20をフレーム10の前面部11に固定配置させることができる。
【0032】
以上説明したように、本発明の実施の形態である電力変換装置によれば、フレーム10に形成されたガイド部材16が、後方開口15を通じてフィンユニット20をフレーム10の内部に相対的に進入させるフィンユニット20の組み込み作業を行う場合に、フィンユニット20をフィンユニット配設領域Sに案内するので、従来のような専用の治具等を必要とせずにフレーム10に対するフィンユニット20の位置決めを行うことができ、フィンユニット20をフレーム10に組み込む作業の作業効率の向上を図ることができる。
【0033】
上記電力変換装置によれば、ガイド部材16がフレーム10の前面部11の後面に形成されていることで、該ガイド部材16がリブとして機能して該フレーム10の補強材としての役割を果たすことで、フレーム10の強度の向上を図ることができる。
【0034】
上記電力変換装置によれば、上方ガイド部材16aに上方ガイド傾斜部17a、並びに下方ガイド部材16bに下方ガイド傾斜部17bが形成されていることで、これら上方ガイド傾斜部17a及び下方ガイド傾斜部17bの端面にフィンユニット20を摺接させることにより、フィンユニット20の案内を容易なものとすることができる。更にフィンユニット20にも上方フィン傾斜部23a及び下方フィン傾斜部23bが形成されていることで、これら上方フィン傾斜部23a及び下方フィン傾斜部23bの端面にガイド部材16を摺接させることにより、フィンユニット20の案内を容易なものとすることができる。
【0035】
以上、本発明の好適な実施の形態及びその変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0036】
上述した実施の形態では、ガイド部材16(上方ガイド部材16a及び下方ガイド部材16b)にガイド傾斜部(上方ガイド傾斜部17a及び下方ガイド傾斜部17b)が形成され、かつフィンユニット20にフィン傾斜部23(上方フィン傾斜部23a及び下方フィン傾斜部23b)とが形成されていたが、本発明においては、ガイド部材にガイド傾斜部が形成されているだけでもよいし、ヒートシンクにヒートシンク傾斜部が形成されているだけでもよい。
【0037】
上述した実施の形態では、ガイド部材16が、フィンユニット配設領域Sの上方側縁端部S1及び下方側縁端部S2の近傍に形成されていたが、本発明においては、フレームにおける予め決められた略矩形状のヒートシンクの配設領域の互いに対向する縁端部の近傍にガイド部材が配設されていれば、ガイド部材の数や形状、その他の縁端部でのガイド部材の形成については特に限定されるものではない。例えば、ガイド部材は、フィンユニット配設領域Sの右方側縁端部及び左方側縁端部の近傍に形成したり、フィンユニット配設領域Sの上方側縁端部S1、下方側縁端部S2、右方側縁端部及び左方側縁端部のそれぞれの近傍に形成したりするようにしてもよい。
【0038】
上述した実施の形態では、ガイド部材16がフレーム10に形成されていたが、本発明においては、ヒートシンク(フィンユニット)に形成されていてもよい。
【符号の説明】
【0039】
1 装置本体
2 収納本体
10 フレーム
11 前面部
11a 取付開口
12 側面部
15 後方開口
16 ガイド部材
16a 上方ガイド部材
16b 下方ガイド部材
17a 上方ガイド傾斜部
17b 下方ガイド傾斜部
20 フィンユニット
21 ベース部
22 フィン
23 フィン傾斜部
23a 上方フィン傾斜部
23b 下方フィン傾斜部
H 半導体素子
S フィンユニット配設領域
S1 上方側縁端部
S2 下方側縁端部
図1
図2
図3
図4
図5