特許第6146445号(P6146445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オンキヨー株式会社の特許一覧

<>
  • 特許6146445-音楽再生装置 図000002
  • 特許6146445-音楽再生装置 図000003
  • 特許6146445-音楽再生装置 図000004
  • 特許6146445-音楽再生装置 図000005
  • 特許6146445-音楽再生装置 図000006
  • 特許6146445-音楽再生装置 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146445
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】音楽再生装置
(51)【国際特許分類】
   H04S 7/00 20060101AFI20170607BHJP
   H03G 3/30 20060101ALI20170607BHJP
   H03G 3/20 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   H04S7/00
   H03G3/30 Z
   H03G3/20 B
【請求項の数】10
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-171796(P2015-171796)
(22)【出願日】2015年9月1日
(65)【公開番号】特開2017-50671(P2017-50671A)
(43)【公開日】2017年3月9日
【審査請求日】2016年9月23日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】710014351
【氏名又は名称】オンキヨー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕介
(72)【発明者】
【氏名】竹村 進
【審査官】 渡邊 正宏
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−238301(JP,A)
【文献】 特開2003−204599(JP,A)
【文献】 登録実用新案第3019801(JP,U)
【文献】 特表2014−529975(JP,A)
【文献】 特開昭61−127299(JP,A)
【文献】 特開2013−126060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03G 1/00− 3/34
H04R 1/10
H04R 3/00− 3/14
H04S 1/00− 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の音量制御を有する音楽再生装置であって、
デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換するD/Aコンバーターと、
制御部と、を備え、
ヘッドホンのみに関する音量制御を、音量調整機能を有する前記D/Aコンバーターが実行し、
前記制御部は、前記複数の音量制御のうち、前記ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御を実行することを特徴とする音楽再生装置。
【請求項2】
前記ヘッドホンのみに関する音量制御は、ヘッドホンのインピーダンスに応じてゲインを制御するゲイン制御であることを特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項3】
前記ヘッドホンのみに関する音量制御は、所定の音圧レベルを上限に音量を制限する音圧規制であることを特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項4】
前記ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御は、受け付けた音量に調整する音量処理であることを特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項5】
前記ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御は、受け付けた上限に音量を制限する音量上限設定であることを特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項6】
前記ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御は、Lチャンネル、Rチャンネルの音量バランスを調整するLRバランス処理であることを特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項7】
前記ヘッドホンのみに関する音量制御は、
ヘッドホンのインピーダンスに応じてゲインを制御するゲイン制御と、
所定の音圧レベルを上限に音量を制限する音圧規制と、であり、
前記ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御は、
受け付けた音量に調整する音量処理と、
受け付けた上限に音量を制限する音量上限設定と、
Lチャンネル、Rチャンネルの音量バランスを調整するLRバランス処理と
あることを特徴とする請求項1に記載の音楽再生装置。
【請求項8】
バランス方式のヘッドホンには、全ての音量制御が実行された音声信号が出力されることを特徴とする請求項に記載の音楽再生装置。
【請求項9】
ヘッドホン以外には、前記音量処理と、前記LRバランス処理と、前記音量上限設定と、が実行された音声信号が出力されることを特徴とする請求項に記載の音楽再生装置。
【請求項10】
ラインアウト出力には、全ての音量制御が実行されていない音声信号が出力されることを特徴とする請求項に記載の音楽再生装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音声信号を出力する音楽再生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
音声信号を出力する音楽再生装置において、複数の出力を有する音楽再生装置がある(例えば、特許文献1参照。)。例えば、音楽再生装置は、アンバランス方式のヘッドホン出力、バランス方式のヘッドホン出力、Wi−Fi規格に従ったWi−Fi出力、Bluetooth(登録商標)規格に従ったBluetooth(登録商標)出力、USBオーディオクラスに従ったUSB出力、スピーカー出力を有する。
【0003】
また、音楽再生装置において、複数の音量制御を有する音楽再生装置がある。例えば、音楽再生装置は、音量を受け付けた上限に制限する音量上限設定、Lチャンネル、Rチャンネルの音量バランスを調整するLRバランス処理、モード切替時に音量を調整する自動音量調整、ヘッドホンのインピーダンスに従ってゲイン調整するゲイン制御、欧州音圧規制で定義される音圧レベルを上限に、音量を制限する欧州音圧規制を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014−222502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
複数の出力と、複数の音量制御と、を有する音楽再生装置においては、出力に応じて、実行する音量制御が異なる。従って、出力に応じて、適切な音量制御が実行される必要がある。
【0006】
本発明の目的は、出力に応じて、適切な音量制御を実行可能な音楽再生装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明の音楽再生装置は、複数の音量制御を有する音楽再生装置であって、デジタル音声信号をアナログ音声信号に変換するD/Aコンバーターと、制御部と、を備え、ヘッドホンのみに関する音量制御を、ヘッドホン出力から最も近くで音量調整機能を有する前記D/Aコンバーターが実行することを特徴とする。
【0008】
例えば、ヘッドホンのみに関する音量制御として、欧州における音圧規制がある。ヘッドホンのみに関する音量制御は、ヘッドホン出力以外のスピーカー出力等に行う必要はない。このため、本発明では、ヘッドホンのみに関する音量制御を、ヘッドホン出力から最も近くで音量調整機能を有するD/Aコンバーターが実行する。このように、本発明によれば、出力に応じて、適切な音量制御が実行される。
【0009】
第2の発明の音楽再生装置は、第1の発明の音楽再生装置において、前記制御部は、前記複数の音量制御のうち、前記ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御を実行することを特徴とする。
【0010】
本発明では、制御部は、複数の音量制御のうち、ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御を実行する。これにより、ヘッドホン出力を含む複数の出力に、ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御が実行される。
【0011】
第3の発明の音楽再生装置は、第1又は第2の発明の音楽再生装置において、前記ヘッドホンのみに関する音量制御は、ヘッドホンのインピーダンスに応じてゲインを制御するゲイン制御であることを特徴とする。
【0012】
第4の発明の音楽再生装置は、第1又は第2の発明の音楽再生装置において、前記ヘッドホンのみに関する音量制御は、所定の音圧レベルを上限に音量を制限する音圧規制であることを特徴とする。
【0013】
第5の発明の音楽再生装置は、第1又は第2の発明の音楽再生装置において、前記ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御は、受け付けた音量に調整する音量処理であることを特徴とする。
【0014】
第6の発明の音楽再生装置は、第1又は第2の発明の音楽再生装置において、前記ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御は、受け付けた上限に音量を制限する音量上限設定であることを特徴とする。
【0015】
第7の発明の音楽再生装置は、第1又は第2の発明の音楽再生装置において、前記ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御は、Lチャンネル、Rチャンネルの音量バランスを調整するLRバランス処理であることを特徴とする。
【0016】
第8の発明の音楽再生装置は、第1又は第2の発明の音楽再生装置において、バランスモードと、2つの増幅器のうち、一方の増幅器でアナログ音声信号を増幅し、他方の増幅器でグラウンドを維持する、アクティブコントロールグラウンドモードと、を有し、前記ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御は、一方のモードから他方のモードへの切替時に、音量を自動的に調整する自動音量調整であることを特徴とする。
【0017】
第9の発明の音楽再生装置は、第1又は第2の発明の音楽再生装置において、前記ヘッドホンのみに関する音量制御は、ヘッドホンのインピーダンスに応じてゲインを制御するゲイン制御と、所定の音圧レベルを上限に音量を制限する音圧規制と、であり、前記ヘッドホンのみに関する音量制御を除く音量制御は、受け付けた音量に調整する音量処理と、受け付けた上限に音量を制限する音量上限設定と、Lチャンネル、Rチャンネルの音量バランスを調整するLRバランス処理と、バランスモードと、2つの増幅器のうち、一方の増幅器でアナログ音声信号を増幅し、他方の増幅器でグラウンドを維持する、アクティブコントロールグラウンドモードと、を有し、一方のモードから他方のモードへの切替時に、音量を自動的に調整する自動音量調整と、であることを特徴とする。
【0018】
第10の発明の音楽再生装置は、第9の発明の音楽再生装置において、バランス方式のヘッドホンには、全ての音量制御が実行された音声信号が出力されることを特徴とする。
【0019】
第11の発明の音楽再生装置は、第9の発明の音楽再生装置において、アンバランス方式のヘッドホンには、前記自動音量調整以外の音量制御が実行された音声信号が出力されることを特徴とする。
【0020】
第12の発明の音楽再生装置は、第9の発明の音楽再生装置において、ヘッドホン以外には、前記音量処理と、前記LRバランス処理と、前記音量上限設定と、が実行された音声信号が出力されることを特徴とする。
【0021】
第13の発明の音楽再生装置は、第9の発明の音楽再生装置において、ラインアウト出力には、全ての音量制御が実行されていない音声信号が出力されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、出力に応じて、適切な音量制御が実行される。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の実施形態に係るデジタルオーディオプレーヤーの構成を示すブロック図である。
図2】デジタルオーディオプレーヤーにおけるオーディオデータの流れを示す図である。
図3】ボリューム処理を説明するための図である。
図4】LRバランス処理を説明するための図である。
図5】入出力に対して実行されるボリューム制御を示す図である。
図6】入出力に対して実行されるボリューム制御を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について説明する。図1は、本発明の実施形態に係るデジタルオーディオプレーヤー(以下、「DAP」という。)の構成を示すブロック図である。DAP1(音楽再生装置)は、スピーカー11、ヘッドホン101、102にアナログオーディオデータ(アナログ音声信号)を出力する。スピーカー11、ヘッドホン101、102は、アナログオーディオデータに基づいて、音声を外部に出力する。ヘッドホン101は、バランス用のヘッドホンであり、バランス出力端子に接続される。ヘッドホン102は、アンバランス用のヘッドホンであり、アンバランス出力端子に接続される。DAP1は、バランス出力とアンバランス出力とを有する。
【0025】
図1に示すように、DAP1は、CPU2、記憶部3、表示部4、操作部5、DSP6、D/Aコンバーター(以下、「DAC」という。)7、増幅回路8、無線モジュール9、USBインターフェース(以下、「USB I/F」という。)10、スピーカー11を備える。
【0026】
CPU(Central Processing Unit)2(制御部)は、制御プログラム、OSプログラム、アプリケーションプログラムに従って、DAP1を構成する各部を制御する。記憶部3は、CPU2の主メモリとして機能するRAM(Random Access Memory)、制御プログラムを記憶するROM(Read Only Memory)、OSプログラム、アプリケーションプログラム等のプログラム、デジタルオーディオデータ等の各種データを記憶するフラッシュメモリから構成されている。なお、記憶部3は、例示する構成に限られず、HDD(Hard Disk Drive)等を含んでいてもよい。
【0027】
表示部4は、種々の画像(静止画像、動画像を含む)を表示するものであり、液晶パネルにより構成されている。操作部5は、各種設定を行うための操作キー、及び、表示部4と連動したタッチパネルを備えている。ユーザーは、操作部5を介して、各種の文字入力、設定などを行うことが可能である。
【0028】
DSP(Digital Signal Processor)6は、デジタルオーディオデータに、イコライザー処理等の信号処理、デコードを行う。DAC7(D/Aコンバーター)は、デジタルオーディオデータ(デジタル音声信号)をアナログオーディオデータ(アナログ音声信号)にD/A変換する。増幅回路8は、DAC7がD/A変換したアナログオーディオデータを増幅し、ヘッドホン101又はヘッドホン102に出力する。無線モジュール9は、Bluetooth(登録商標)規格、Wi−Fi規格に従った無線通信を行うためのものである。USB I/F10は、USB規格に従った通信を行うためのものである。
【0029】
DAP1は、Android(登録商標) OSを搭載している。音楽再生時、CPU2は、基本的には、Android(登録商標)が提供するAudio Framework(フレームワーク)に従って音楽再生を行う。図2は、DAP1におけるオーディオデータの流れを示す図である。まず、アプリケーションからフレームワークにデジタルオーディオデータが出力される。フレームワークには、オーディオシステム(Audio system)と、ミキサー(Mixer)と、が含まれる。オーディオシステムは、デジタルオーディオデータの入出力関連の設定を行うモジュールである。ミキサーは、複数のトラックを結合し、ボリュームの減衰とエフェクトとを適用するモジュールである。CPU2は、オーディオシステムとミキサーとに従って処理を実行する。
【0030】
デジタルオーディオデータは、DSP6、無線モジュール9(図2における「BT」及び「Wi−Fi」)、USB I/F10に出力される。図2において、「BT」では、Bluetooth(登録商標)規格に従って、外部装置にデジタルオーディオデータが出力される。「USB」では、USB規格(USB audio class)に従って、外部装置にデジタルオーディオデータが出力される。「Wi−Fi」では、Wi−Fi規格に従って、外部装置にデジタルオーディオデータが出力される。
【0031】
DSP6は、デジタルオーディオデータをデコード等してスピーカー11、DAC7に出力する。DAC7は、デジタルオーディオデータをアナログオーディオデータにD/A変換して、ラインアウト出力端子(ラインアウト)、アンバランス出力端子(ヘッドホン(アンバランス))、バランス出力端子(ヘッドホン(バランス))に出力する。DAC7は、ボリューム調整機能を有する。
【0032】
DAP1は、図2に示す、ボリューム上限設定、オートボリューム、LRバランス処理、ボリューム処理、ゲインコントロール、欧州音圧規制を含む複数のボリューム制御(音量制御)を有する。以下、各ボリューム制御について説明する。
【0033】
(ボリューム処理(音量処理))
図3は、DAP1におけるボリューム(音量)の変化を示す図である。DAP1のボリュームステップは、0−160の161ステップである。図3おいて、横軸は、ステップ数を示す。縦軸は、ゲイン(dB)を示す。ステップ160では、0dBである。1ステップ下がる毎の、ボリュームの減衰量は、0.5dBである。ステップ1では、−79.5dBである。ステップ0では、−∞、すなわち、ミュート状態である。CPU2は、表示部4に示すユーザーインターフェース(UI)により、ユーザーからのボリューム調整の指示を受け付ける。そして、CPU2は、受け付けたボリュームに調整する。
【0034】
(ボリューム上限設定(音量上限設定))
ユーザーは、DAP1から出力されるボリュームの上限ステップを設定することができる。CPU2は、表示部4に示すユーザーインターフェース(UI)により、ユーザーからの上限ステップの指示を受け付ける。そして、CPU2は、受け付けた上限にボリュームを制限する。
【0035】
(LRバランス処理)
ユーザーは、Lチャンネル、Rチャンネルのボリュームを調整することができる。CPU2は、表示部4に示すユーザーインターフェース(UI)により、ユーザーからのLチャンネル、Rチャンネルのボリューム調整の指示を受け付ける。CPU2は、図4に示すように、受け付けたステップをメインボリュームから減衰する。このように、CPU2は、Lチャンネル、Rチャンネルのボリュームバランスを調整する。
【0036】
(オートボリューム(自動音量調整))
DAP1は、増幅回路8が備える2つの増幅器のうち、一方の増幅器でアナログオーディオデータを増幅し、他方の増幅器でグラウンドを維持するアクティブコントロールグラウンド(以下、「ACG」)モードを有する。バランスモードのボリュームは、ACGモードのボリュームの倍である。オートボリュームにおいて、CPU2は、ACGモードに比べて、バランスモードでは、ボリュームを6dB減少させる。すなわち、CPU2は、一方のモードから他方のモードへの切替時に、ボリュームを自動的に調整する。CPU2は、ACGモードからバランスモードへの切替時に、ボリュームを6dB減少させる。また、CPU2は、バランスモードからACGモードへの切替時に、ボリュームを6dB上昇させる。
【0037】
(ゲインコントロール(ゲイン制御))
ヘッドホン(バランス、アンバランス)によっては、インピーダンスが異なる。このため、ユーザーは、ヘッドホンのインピーダンスによって、適したゲインを設定することができる。例えば、ハイ(0dB)、ノーマル(−6dB)、ロー(−12dB)を設定することができる。DAC7は、CPU2が設定を受け付けた値を減衰する。このように、DAC7は、ヘッドホンのインピーダンスに応じてゲインをコントロールする。
【0038】
(欧州音圧規制)
欧州では、音圧規制が製品に義務化されている。音圧規制では、規定された条件下で出力可能な音圧レベルが規定されている。DAC7は、欧州音圧規制で定義される音圧レベルを上限に、ボリュームを制限する。
【0039】
ボリューム上限設定、オートボリュームは、オーディオシステムに含まれる。従って、CPU2は、オーディオシステムに従って、ボリューム上限設定、オートボリュームを行う。また、LRバランス処理、ボリューム処理は、ミキサーに含まれる。従って、CPU2は、ミキサーに従って、LRバランス処理、ボリューム処理を行う。また、DAC7は、ゲインコントロール、欧州音圧規制を行う。
【0040】
図5は、入出力に対して実行されるボリューム制御を示す図である。「音楽再生アプリケーション」は、音楽再生アプリケーションからのデジタルオーディオデータを示す。「メディア」は、音楽再生アプリケーション以外のアプリケーションからのデジタルオーディオデータを示す。「通知」は、通知(着信)用のデジタルオーディオデータを示す。「アラーム」は、アラーム用のデジタルオーディオデータを示す。
【0041】
「ハイレゾリューションオーディオ出力」は、専用のAPIを介して、ヘッドホン(バランス又はアンバランス)に出力される経路である。「標準ヘッドホン出力」は、標準のAndroid(登録商標) APIを介して、ヘッドホン(バランス又はアンバランス)に出力される経路である。「USB出力」は、標準のAPIを介して、USBオーディオデバイスに出力される経路である。「スピーカー出力」は、標準のAPIを介して、スピーカー11に出力される経路である。「BT出力」は、標準のAPIを介して、Bluetooth(登録商標)に対応した外部装置に出力される経路である。「Wi−Fi出力」は、Wi−Fiに対応した外部装置に出力される経路である。このように、DAP1は、複数の出力を有する。
【0042】
音楽再生アプリケーションからのデジタルオーディオデータは、全ての経路に入力される。音楽再生アプリケーション以外のアプリケーションからのデジタルオーディオデータ、通知用、アラーム用のデジタルオーディオデータは、標準ヘッドホン出力、USB出力、スピーカー出力、BT出力、Wi−Fi出力の経路に入力される。各経路において行われるボリューム制御が、数字で示されている。「1」は、LRバランス処理を示す。「2」は、ゲインコントロールを示す。「3」は、ボリューム上限設定を示す。「4」は、欧州音圧規制を示す。「5」は、オートボリュームを示す。「6」は、ボリューム処理を示す。
【0043】
ハイレゾリューションオーディオ出力のうち、アンバランスのヘッドホンに出力される経路では、バランス処理、ゲインコントロール、ボリューム上限設定、欧州音圧規制、ボリューム処理が実行される。ハイレゾリューションオーディオ出力のうち、バランスのヘッドホンに出力される経路では、バランス処理、ゲインコントロール、ボリューム上限設定、欧州音圧規制、オートボリューム、ボリューム処理が実行される。標準ヘッドホン出力のうち、アンバランスのヘッドホンに出力される経路では、バランス処理、ゲインコントロール、ボリューム上限設定、欧州音圧規制、ボリューム処理が実行される。標準ヘッドホン出力のうち、バランスのヘッドホンに出力される経路では、バランス処理、ゲインコントロール、ボリューム上限設定、欧州音圧規制、オートボリューム、ボリューム処理が実行される。
【0044】
USB出力、スピーカー出力、BT出力、Wi−Fi出力では、LRバランス処理、ボリューム上限設定、ボリューム処理が実行される。
【0045】
図6は、入出力に対して実行されるボリューム制御を示す表である。「○」は、実行さされるボリューム制御を示す。「×」は、実行されないボリューム制御を示す。図6に示すように、ラインアウト出力では、全てのボリューム制御が実行されない。すなわち、ラインアウト出力では、ボリュームが最大(0dB)となる。
【0046】
図5及び図6に示すように、ゲインコントロールと欧州音圧規制とは、ヘッドホン101、102のみに関するボリューム制御である。図2に示すように、ヘッドホン101、102のみに関するボリューム制御であるゲインコントロールと欧州音圧規制とは、ヘッドホン出力から最も近くでボリューム調整機能を有するDAC7により実行される。
【0047】
また、図5及び図6に示すように、ボリューム処理と、ボリューム上限設定と、LRバランス処理と、オートボリュームとは、ヘッドホン101、102のみに関するボリューム制御を除くボリューム制御である。ヘッドホン101、102のみに関するボリューム制御を除くボリューム制御は、CPU2により実行される。
【0048】
バランス方式のヘッドホン101には、図5及び図6に示すように、全てのボリューム制御が実行されたアナログオーディオデータが出力される。また、アンバランス方式のヘッドホン102には、図5及び図6に示すように、オートボリューム以外のボリューム制御が実行されたアナログオーディオデータが出力される。ヘッドホン101、102以外のUSB規格に従った外部装置、スピーカー11、Bluetooth(登録商標)規格に従った外部装置、Wi−Fi規格に従った外部装置には、ボリューム処理と、LRバランス処理と、ボリューム上限設定と、が実行されたオーディオデータが出力される。
【0049】
例えば、ヘッドホン101、102のみに関するボリューム制御として、欧州における音圧規制がある。ヘッドホン101、102のみに関するボリューム制御は、ヘッドホン出力以外のスピーカー出力等に行う必要はない。このため、本実施形態では、ヘッドホン101、102のみに関するボリューム制御を、ヘッドホン出力から最も近くでボリューム調整機能を有するDAC7が実行する。このように、本実施形態によれば、出力に応じて、適切なボリューム制御が実行される。
【0050】
また、本実施形態では、CPU2は、複数のボリューム制御のうち、ヘッドホン101、102のみに関するボリューム制御を除くボリューム制御を実行する。これにより、ヘッドホン出力を含む複数の出力に、ヘッドホン101、102のみに関するボリューム制御を除くボリューム制御が実行される。
【0051】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明を適用可能な形態は、上述の実施形態には限られるものではなく、以下に例示するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更を加えることが可能である。
【0052】
上述の実施形態においては、音楽再生装置として、DAPを例示した。これに限らず、スマートフォン、タブレットPC、USB DAC等であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、音声信号を出力する音楽再生装置に好適に採用され得る。
【符号の説明】
【0054】
1 DAP(音楽再生装置)
2 CPU(制御部)
6 DSP
7 DAC(D/Aコンバーター)
8 増幅回路
9 無線モジュール
10 USB I/F
11 スピーカー
101 ヘッドホン
102 ヘッドホン
図1
図2
図3
図4
図5
図6