特許第6146485号(P6146485)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146485
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】空気圧縮機およびその認証方法
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/06 20060101AFI20170607BHJP
   F04B 49/10 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   F04B49/06 341E
   F04B49/06 331A
   F04B49/10 331Z
【請求項の数】10
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2015-554695(P2015-554695)
(86)(22)【出願日】2014年11月28日
(86)【国際出願番号】JP2014081613
(87)【国際公開番号】WO2015098429
(87)【国際公開日】20150702
【審査請求日】2016年2月22日
(31)【優先権主張番号】特願2013-273391(P2013-273391)
(32)【優先日】2013年12月27日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西河 智雅
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】高野 信宏
(72)【発明者】
【氏名】根内 拓哉
【審査官】 佐藤 秀之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−116472(JP,A)
【文献】 特開2013−155678(JP,A)
【文献】 特開2013−188803(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/107346(WO,A1)
【文献】 特開2007−247463(JP,A)
【文献】 特開2005−084793(JP,A)
【文献】 特開2003−214348(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 49/06
F04B 49/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源からの電力の供給により駆動されるモータと、
前記モータの駆動により圧縮空気を生成する圧縮空気生成部と、
前記圧縮空気生成部によって生成された前記圧縮空気を貯留するタンクと、
前記モータ、前記圧縮空気生成部および前記タンクを覆うカバーと、
前記モータおよび前記圧縮空気生成部を冷却する冷却ファンと、
前記モータの起動/停止および前記モータの駆動モードの切り替えを指示する操作部材を備え、かつ操作信号を出力する操作部と、
前記操作信号に基づいた前記モータの駆動を制御する制御部と、
認証用情報を読み取る読み取り部と、
前記読み取り部で読み取った前記認証用情報に基づいて認証を行う認証部材が設けられた認証部と、
を有し、
前記制御部は前記読み取り部から離間するとともに、前記冷却ファンの冷却風路内に位置し、前記操作部と前記読み取り部は前記カバーに設けられ、前記認証部は前記読み取り部に隣接して設けられた、空気圧縮機。
【請求項2】
前記認証部と前記操作部は隣接して設けられている、請求項1に記載の空気圧縮機。
【請求項3】
前記認証部は、この認証部に対応する認証用情報が読み取られた際に、前記制御部に対して許容信号を出力し、
前記制御部は、前記許容信号を受信した後に、前記操作部への電源の供給もしくは前記操作部からの信号受信を可能にする、請求項1または2に記載の空気圧縮機。
【請求項4】
前記操作部は、前記認証部を介して前記制御部に電気的に接続され、
前記認証部は、この認証部に対応する認証用情報が読み取られた際に、前記操作部への電源の供給もしくは前記操作部からの信号の前記制御部に対する出力を可能にする、請求項1または2に記載の空気圧縮機。
【請求項5】
前記操作部は、前記認証部を介して前記制御部に電気的に接続され、
前記認証部は、この認証部に対応する認証用情報が読み取られた際に、許容信号を前記操作部に出力し、
前記操作部は、前記許容信号を受信した後に、前記認証部を介した前記制御部への信号の出力を可能にする、請求項1または2に記載の空気圧縮機。
【請求項6】
前記認証部は、前記操作部を介して前記制御部に電気的に接続され、
前記認証部は、この認証部に対応する認証用情報が読み取られた際に、許容信号を前記操作部に出力し、
前記操作部は、前記許容信号を受信した後に、前記制御部への信号の出力を可能にする、請求項1または2に記載の空気圧縮機。
【請求項7】
前記認証部は、前記制御部の識別情報を記憶可能な記憶部を備え、かつ前記記憶部に記憶された前記制御部の前記識別情報と異なる識別情報を備えた他の制御部が前記認証部に電気的に接続された際には、前記他の制御部の制御を不能にする、請求項1〜の何れかに記載の空気圧縮機。
【請求項8】
前記認証部に記憶された前記識別情報と異なる識別情報を備えた他の制御部が前記認証部に電気的に接続された際には、前記他の制御部に対する信号を遮断する、あるいは、前記他の制御部に対し駆動抑制信号を送出する、請求項1〜の何れかに記載の空気圧縮機。
【請求項9】
前記圧縮空気生成部では、前記モータの回転による往復運動で前記圧縮空気が生成される、請求項1〜の何れかに記載の空気圧縮機。
【請求項10】
請求項またはに記載された空気圧縮機の認証方法であって、
前記認証部の前記記憶部に記憶されている前記制御部の前記識別情報を外部の記憶媒体に読み込み、前記記憶媒体を用いて、読み込んだ前記識別情報を他の認証部の記憶部に記憶させ、前記制御部と前記他の認証部とで認証を行う、空気圧縮機の認証方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ駆動によって作動する空気圧縮機およびその認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
動力工具等に用いられる空気圧縮機(コンプレッサ)として、可搬型のものが知られている。可搬型の空気圧縮機は、建築現場等に持ち込んで使用されることが比較的多い。
【0003】
しかしながら、可搬型とはいえ比較的重量があり、十分な電流容量の電源が確保される場所に載置される空気圧縮機は、作業者の目の届きにくい場所に置かれることが多く、また、建築現場等では、昼休み等の休憩時間や日中の工事の終了後に現場に残しておくこともあり、その結果、盗難に遭うことがあり、例えば下記に開示した空気圧縮機等では、セキュリティ機能の向上が要望されている。
【0004】
なお、モータにより駆動される圧縮空気生成部を備えた空気圧縮機としては、例えば特許文献1に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4009949号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者は、モータの起動/停止等の複数の操作ボタン(スイッチ)を備えた操作パネル(操作基板、操作部)が、圧縮機本体のカバーから露出して設けられた空気圧縮機のセキュリティについて検討した。
【0007】
このような空気圧縮機では、通常、操作を行う操作パネルのベースとなる操作基板を有しており、該操作基板に、セキュリティ情報が格納されたIC(Integrated Circuit)チップ(以降、情報制御チップとも呼ぶ)を搭載する構造が安易に考えられる。なお、ここでいうセキュリティ情報は、二つの部材を照合するための符号であり、例えば、チップ固有に付けられた管理番号や、認証を行うためのセキュリティ情報(例えば、数字コードや欧文)等である。
【0008】
しかしながら上述した操作パネルには複数の操作ボタンが取り付けられているが、操作ボタンは、作業者が頻度高く押圧するため、故障したり損傷したりする。そして、操作ボタンが故障すると、操作ボタンの交換のみならず、操作パネルごと(操作基板ごと)補給部品として交換することが一般的に行われている。
【0009】
この時、操作基板に情報制御チップが搭載されている場合は、操作パネルの交換に伴ってその空気圧縮機のセキュリティ情報も変更となってしまうという課題を見出した。さらに、情報制御チップに対応した、セキュリティ解除のためのセキュリティキー(例えば、カード等)も交換しなければならないという課題も発生する。
【0010】
また、このような空気圧縮機の場合、補給部品として操作パネル(操作基板)を購入すると、セキュリティキーも一緒に付いてくる。そして、情報制御チップが搭載された操作パネル(操作基板)とセキュリティキーとでセキュリティ機能が完結しているため、本体を盗んで、操作パネルを新規な操作パネルに交換された場合、何らセキュリティ機能が有効に働かず、空気圧縮機を動作させることができてしまうという課題も発生する。
【0011】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、セキュリティ性が高められた空気圧縮機およびその認証方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一実施の形態の空気圧縮機は、モータと、上記モータの駆動により圧縮空気を生成する圧縮空気生成部と、上記圧縮空気を貯留するタンクと、上記モータの起動/停止および上記モータの駆動モードの切り替えを指示する操作部材を備えかつ操作信号を出力する操作部と、上記モータの駆動および上記圧縮空気生成部における空気の圧縮動作を制御する制御部と、認証用情報を読み取る読み取り部と、上記読み取り部で読み取った上記認証用情報に基づいて認証を行う認証部材が設けられた認証部と、を有し、上記操作部材と上記認証部材は独立した基板に設けられた構成とするものである。
【0013】
また、一実施の形態の空気圧縮機の認証方法は、認証部の記憶部に記憶されている制御部の識別情報を外部の記憶媒体に読み込み、上記記憶媒体を用いて、読み込んだ上記識別情報を他の認証部の記憶部に記憶させ、上記制御部と上記他の認証部とで認証を行うものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、空気圧縮機のセキュリティ性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施の形態1の空気圧縮機の構造の一例を示す斜視図である。
図2図1に示す空気圧縮機の平面側の構造の一例を示す断面図である。
図3図1に示す空気圧縮機の一部を破断して示す平面図である。
図4図1に示す空気圧縮機のカバーを外した状態の構造の一例を示す側面図である。
図5図1に示す空気圧縮機の制御系の一例を示すブロック図である。
図6図1に示す空気圧縮機の読み取り部の構造の一例を示す平面図である。
図7図1に示す空気圧縮機の操作基板の構造の一例を示す正面図である。
図8図1に示す空気圧縮機のセキュリティ系主要部の構成の接続状態の一例を示す概念図である。
図9図8の構成を示すブロック図である。
図10】本発明の実施の形態2の空気圧縮機のセキュリティ系主要部の構成の接続状態の一例を示す概念図である。
図11図10の構成を示すブロック図である。
図12】本発明の実施の形態2の変形例の空気圧縮機のセキュリティ系主要部の構成の接続状態を示す概念図である。
図13図12の構成を示すブロック図である。
図14】本発明の実施の形態3の空気圧縮機のセキュリティ系主要部の構成の接続状態の一例を示す概念図である。
図15図14の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
(実施の形態1) 図1図3に示す本実施の形態1の空気圧縮機10は、モータ駆動により作動するエアコンプレッサであり、その構成について説明すると、平行となって基台11に取り付けられる2つの空気タンク12a,12bを有しており、それぞれの空気タンク12a,12bの両端部の下面には、脚部13が取り付けられている。
【0018】
また、空気圧縮機10は脚部13の部分で所定の設置箇所に配置され、基台11の両端部にはハンドル部14a,14bが設けられており、空気圧縮機10はハンドル部14a,14bを作業者が把持して持ち運ぶことができる。すなわち、空気圧縮機10は、可搬型のエアコンプレッサである。
【0019】
基台11には、図2に示すように、駆動ボックス15が取り付けられており、この駆動ボックス15にはモータ16が取り付けられている。このモータ16は、ロータつまり回転子18と、円筒形のステータつまり固定子19とを有しており、電源からの電力の供給によって駆動されるものである。本実施の形態1の空気圧縮機10で用いられるモータ16は、例えば三相交流ブラシレスモータである。
【0020】
回転子18にはモータ回転軸17が取り付けられ、モータ回転軸17を介して被駆動部材としての圧縮空気生成部30を駆動する。圧縮空気生成部30は、モータ16の駆動により圧縮空気を生成するものである。
【0021】
また、固定子19には複数の界磁巻線つまり巻線が回転子18に対向して設けられている。回転子18は固定子19の内部に組み込まれており、このモータ16はインナーロータ型となっている。固定子19はモータ16を収容するハウジングとしての駆動ボックス15に取り付けられる。
【0022】
モータ回転軸17は駆動ボックス15に回転自在に支持されている。駆動ボックス15には、モータ回転軸17の回転方向に180度の位相をずらして2つのシリンダ21a,21bが取り付けられており、それぞれのシリンダ21a,21bにはピストン22a,22bが軸方向に往復動自在に組み込まれている。
【0023】
モータ回転軸17の回転運動をピストン22a,22bの軸方向の往復運動に変換するために、それぞれのピストン22a,22bには、コネクティングロッド23a,23bの一端部がピン結合されている。コネクティングロッド23a,23bの他端部には、モータ回転軸17に装着される偏心カム24a,24bが設けられており、それぞれの偏心カム24a,24bはピストン22a,22bの往復動方向に逆向きに偏心している。
【0024】
これにより、一方のピストン22aが駆動室25a,25bを圧縮する方向に駆動されると、他方のピストン22bは駆動室25a,25bを膨張させる方向に駆動される。
【0025】
それぞれのシリンダ21a,21bに設けられたシリンダヘッド26a,26bには、逆止弁27a,27bが設けられている。ピストン22a,22bが駆動室25a,25bを圧縮させる方向に駆動されると、吐出室28a,28bから配管29a,29bを介して空気タンク12a,12bに圧縮空気が供給される。
【0026】
ピストン22bは外気を導入して圧縮する第1段目の低圧用のピストンであり、低圧用のピストン22bにより圧縮された空気は第2段目の高圧用のピストン22aによりさらに圧縮される。上述したシリンダ21a,21bとピストン22a,22b等は、圧縮空気生成部30を構成しており、モータ16の回転子18はモータ回転軸17を介して圧縮空気生成部30に連結される。モータ16により圧縮空気生成部30が駆動されると、高圧用のピストン22aから吐出された圧縮空気が空気タンク12a,12bに貯溜される。
【0027】
すなわち、圧縮空気生成部30では、モータ16の回転によるピストン22a,22bの往復運動で圧縮空気が生成され、この圧縮空気生成部30で生成された圧縮空気は、空気タンク(タンク)12a,12bに貯溜される。
【0028】
モータ回転軸17の一端部には、モータ16の外側に位置させて冷却ファン31aが取り付けられており、モータ回転軸17の他端部には冷却ファン31bが取り付けられている。冷却ファン31bの外側には制御基板(制御部、制御部材、メイン基板)32が配置されており、図4に示すように、制御基板32は、立てた状態で配置されている。
【0029】
また、冷却ファン31aにより生成される冷却風はモータ16に吹き付けられ、一方、冷却ファン31bにより生成される冷却風は制御基板32に吹き付けられる。基台11にはカバー33が装着されており、図2図4に示すように、上述した圧縮空気生成部30、モータ16および空気タンク12a,12b等はカバー33によって覆われている。
【0030】
それぞれの空気タンク12a,12bに貯溜された圧縮空気を外部に供給するために、図1に示すように、空気タンク12a,12bの端部上方にはカプラ34a,34bが設けられている。それぞれのカプラ34a,34bから外部に排出される圧縮空気の圧力を調整するために、減圧弁35a,35bが空気タンク12a,12bに設けられており、減圧された空気の圧力は圧力計36a,36bに表示される。
【0031】
カバー33には操作パネル37が設けられており、この操作パネル(操作部、操作基板)37には、後述する図5に示す運転スイッチ37aやモードスイッチ37b等の操作部材が設けられている。そして、これらの運転スイッチ37aやモードスイッチ37bを操作することにより、モータ16の起動/停止指令やモータ回転数が入力される。あるいは、モータ16の駆動モードの切り替えを指示し、これらの操作のための操作信号を出力する。
【0032】
そして、制御基板32では、上記操作信号に基づいたモータ16の駆動、および圧縮空気生成部30における空気の圧縮動作を制御している。
【0033】
なお、操作パネル37には、表示部37cも設けられている。
【0034】
また、空気圧縮機10には、図4に示すように、認証用情報を読み取る読み取り部(読み取り部材)39aと、読み取り部39aで読み取った上記認証用情報に基づいて認証を行う情報制御基板(認証部)39とが設けられている。本実施の形態1の空気圧縮機10では、情報制御基板39に、後述する図8に示すように、上記認証を行う情報制御チップ(認証部材)38が搭載されている。なお、情報制御基板39は、当該セキュリティの認証を行う機能のみならず、仕様に応じて読み取り部39aや操作部等の諸々の情報を制御することが可能であり、当該セキュリティ機能のみに限定される部材ではない。
【0035】
読み取り部39aは、カバー33から露出するように取り付けられており、また、読み取り部39aと情報制御基板39とは、ケーブル62を介して電気的に接続されている。ただし、読み取り部39aは、情報制御基板39上に搭載されていてもよい。
【0036】
読み取り部39aでは、例えば、後述する図8に示すセキュリティカード(セキュリティの解除を行う際に必要となるセキュリティキー)40等に書き込まれている認証用情報を、図6に示すアンテナ部39cを介して読み取る。そして、情報制御基板39には、認証用情報が書き込まれたメモリチップ(記憶部、記憶部材)39bと、認証用のマイコンチップである情報制御チップ38とが搭載されており、セキュリティカード40から読み取った認証用情報と、予めメモリチップ39bに書き込まれている認証用情報とを照合する。この照合は、情報制御チップ38が行い、照合した結果、セキュリティカード40の認証用情報とメモリチップ39bの認証用情報とが合致(認証)した場合に、空気圧縮機10のセキュリティを解除し、動作可能な状態にする。
【0037】
すなわち、情報制御基板39は、空気圧縮機10のセキュリティ管理を行う。
【0038】
また、図4に示すように、制御基板32は、カバー33の内側(空気圧縮機本体の内部)の奥まった位置に配置されており、一方、操作パネル37および情報制御基板39は、空気圧縮機本体のカバー33に取り付けられている。操作パネル37には、運転スイッチ37aやモードスイッチ37b等のスイッチ類が設けられているため、上記スイッチ類は、カバー33から露出するように配置されている。
【0039】
情報制御基板39は、操作パネル37の下部に配置され、情報制御基板39と操作パネル37とが積層されている。したがって、本実施の形態1の空気圧縮機10では、読み取り部39a、操作パネル37および情報制御基板39は、カバー33の近傍に設けられている。ただし、情報制御基板39と操作パネル37は、例えば、横に並んで配置されていてもよい。
【0040】
次に、図5に示す空気圧縮機10の制御系の詳細について説明する。
【0041】
空気圧縮機10は、外部の交流電源50(例えば仮設電源)から電源コード51を介して電力の供給を受けて動作するものである。
【0042】
まず、交流電源50から制御基板(制御部)32に電力が供給され、制御基板32がモータ16を駆動する。制御基板32には、空気圧縮機10の運転操作を行うための操作パネル(操作基板、操作部)37がケーブルによって接続されている。
【0043】
なお、図7に示すように、操作パネル37には、空気圧縮機本体の運転ON/OFFを切り替える運転スイッチ(操作部材)37aと、運転時のモータ16の回転数を切り替えるモードスイッチ(操作部材)37bと、各種情報を表示する表示部37cとが設けられている。
【0044】
運転スイッチ37aとモードスイッチ37bは、例えばタクト式スイッチであり、作業者が押圧している時はON、作業者が手を離すと自動的にOFFとなるスイッチである。表示部37cは、点灯・消灯することで空気タンク12a,12b内の圧力値や空気圧縮機10の運転状態、運転モードを作業者に報知するものであり、例えば圧力表示用LED、運転状態表示用LED、運転モード表示用LED等が設けられている。
【0045】
また、図5に示すように、モータ16の回転位置は、位置センサ41によって検出されて電圧信号として制御基板32にケーブルを介してフィードバックされる。制御基板32は、運転スイッチ37aからの運転指示信号、モードスイッチ37bからのモード指示信号、位置センサ41からの位置検出信号、および圧力センサ42からの圧力検出信号に基づいてモータ16の駆動を制御する。この制御は、制御基板32に搭載された図8に示す制御用のマイコンチップ32a(図5の演算部44)によって行われる。
【0046】
制御基板32は、空気圧縮機10の全体の動作を制御するものであり、電源部43と、演算部44と、電源電流検出部45と、電圧検出部46と、モータ電流検出部47と、駆動部(インバータ)48と、不揮発性メモリとしてのEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)49とを有している。
【0047】
制御基板32において、交流電源50から電源コード51を介して電源部43に交流電力がされる。電源部43は、交流電源50からの交流電力を直流電力に変換し、駆動部48および演算部44その他の各回路に適切な電圧を供給する。電源電流検出部45は、電源部43の電流を検出する。電圧検出部46は、電源部43の電圧を検出する。モータ電流検出部47は、モータ16の駆動電流を検出する。
【0048】
演算部44は、入力される各種情報(運転スイッチ37aからの運転指示信号、モードスイッチ37bからのモード指示信号、位置センサ41からの位置検出信号、および圧力センサ42からの圧力検出信号)に基づき、駆動部48を構成する各半導体スイッチング素子(例えばFET(Field Effect Transistor))をスイッチング駆動する。
【0049】
スイッチングされる駆動部48を介して電源部43からモータ16に駆動電力が供給される。演算部44は、EEPROM49に空気圧縮機10の運転ログデータ(運転モードや運転設定値、モータ16の回転数等)を記録し、またEEPROM49から空気圧縮機10の運転ログデータを読み出す。空気タンク12a,12b内の空気圧力、運転状態、および運転モードは演算部44が表示部37cに表示する。
【0050】
また、空気圧縮機10は、セキュリティ用の認証部である情報制御基板39、認証用情報を読み取る図6に示す読み取り部39a、および読み取り部39aで読み取った認証用情報に基づいて認証を行う情報制御チップ(認証部材)38を備えている。読み取り部39aでは、図6に示すアンテナ部39cによって認証用情報を読み取る。
【0051】
本実施の形態1の空気圧縮機10では、情報制御チップ38が情報制御基板39に搭載されている場合を示している。情報制御基板39と操作パネル37とは、ケーブル60によって電気的に接続されている。
【0052】
次に、図8図9を用いて本実施の形態1の空気圧縮機10のセキュリティ管理について説明する。
【0053】
本実施の形態1の空気圧縮機10では、図8および図9に示すように、情報制御基板(認証部)39と操作パネル(操作部、操作基板)37とが分かれた状態で設けられており、操作パネル(操作部)37は、情報制御基板(認証部)39を介して制御基板(制御部)32に電気的に接続されている。すなわち、制御基板32と情報制御基板39とがケーブル61を介して電気的に接続され、さらに、情報制御基板39と操作パネル37とがケーブル60を介して電気的に接続されている。また、読み取り部39aと情報制御基板39とがケーブル62を介して電気的に接続されている。
【0054】
そして、情報制御基板39は、この情報制御基板39に対応する認証用情報が読み取り部39aによって読み取られた際に、操作パネル37への電源の供給を可能にする。すなわち、図8に示すセキュリティカード40等から読み取り部39aにより読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bに予め記憶されている認証用情報とが合致するか認証(照合)を行う。
【0055】
この認証は、情報制御基板39に搭載されている情報制御チップ(認証用のマイコンチップ)38によって行う。そして、認証において、読み取り部39aにより読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bの認証用情報とが合致した場合に、操作パネル37への電源の供給を可能にする。または、情報制御基板39は、許容信号を操作パネル37に対して出力する。
【0056】
そして、操作パネル37では、上記許容信号を受信した後に、情報制御基板39を介した制御基板32への信号の出力が可能になる。
【0057】
つまり、読み取り部39aによって読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bの認証用情報とが合致したことにより、操作パネル37からの信号が、情報制御基板39を介して制御基板32に届くようになり、空気圧縮機10を作動させることが可能になる。
【0058】
なお、情報制御基板39は、読み取り部39aによって読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bの認証用情報とが合致しなかった場合には、制御基板32の制御を不能にする機能を有していてもよい。これにより、読み取った認証用情報と情報制御基板39の認証用情報とが合致しなかった場合は、情報制御基板39の制御により、制御基板32の制御を不能にするものである。
【0059】
すなわち、読み取った認証用情報と情報制御基板39の認証用情報とが合致しなかった場合(認証が取れなかった場合)には、制御基板32の制御が不能となり、空気圧縮機10を正常に動作させることができない。
【0060】
また、情報制御基板39に搭載された記憶部、例えばメモリチップ39bには、制御基板32の識別情報を書き込ませておいてもよく、上記識別情報と異なる識別情報を備えた他の制御基板に電気的に接続された際には、情報制御基板39は、上記他の制御基板の制御を不能にする機能を有していてもよい。この場合にも、空気圧縮機10を正常に動作させることはできない。
【0061】
本実施の形態1の空気圧縮機10によれば、操作パネル(操作部、操作基板)37と情報制御基板(認証部)39とを別個に分けたことにより、操作スイッチの故障等で操作パネル37を含む操作部(操作基板)を交換する際にも、情報制御基板39は空気圧縮機10の本体内にそのまま残すことができる。したがって、情報制御基板39に搭載された情報制御チップ38もそのまま本体内に残るため、空気圧縮機10のセキュリティ情報を変更せずに済む。
【0062】
これにより、操作パネル37を交換してもセキュリティカード(セキュリティキー)40を交換する必要がなくなる。
【0063】
したがって、仮に空気圧縮機10が盗難に遭い、補給部品として新たな操作部(操作パネル37)とセキュリティカード40とを入手したとしても、セキュリティ情報が格納された情報制御チップ38を搭載した情報制御基板(認証部)39が本体内に残っているため、操作パネル(操作部)37を新規なものに交換したとしても空気圧縮機10を動作させることはできない。
【0064】
すなわち、本実施の形態1の空気圧縮機10では、そのセキュリティ機能が、操作パネル37等の容易に交換可能な補給部品で完結するのではなく、管理された補給経路を有する情報制御チップ38が搭載された情報制御基板39を含めたセキュリティシステムとなっているため、盗難により、容易に空気圧縮機10の本体を動作させることができない構造となっている。
【0065】
つまり、本実施の形態1の空気圧縮機10のセキュリティ性を高めることができる。
【0066】
ここで、空気圧縮機10において、カバー33の上面に設けられた読み取り部39a、情報制御基板39および操作パネル37を有する操作ユニット52(図9の点線で囲まれた構成)と、制御基板32とを繋ぐ配線の大凡の数について説明する。すなわち、カバー33の上面の近傍に配置される読み取り部39a、操作パネル37および情報制御基板39のそれぞれと、空気圧縮機本体の内方に配置される制御基板32とを繋ぐ配線の数は、可能な限り少ない方が好ましい。
【0067】
そこで、図9に示す本実施の形態1の構成では、読み取り部39aおよび操作パネル37は、制御基板32との信号の送受信を情報制御基板39を介して行う。したがって、情報制御基板39と制御基板32とを繋ぐ配線の数が、そのまま操作ユニット52と制御基板32とを繋ぐ配線の数として表すことができる。
【0068】
その際、情報制御基板39と制御基板32との接続(図9のA部の配線)は、一例として、電源(GND)用が2本、通信用(上り・下り)が2本で合計4本で済む。すなわち、制御基板32と操作ユニット52とを繋ぐ配線の数は、一例として4本であり、配線の本数を少なくすることができる。
【0069】
また、操作ユニット52内において、操作パネル37と情報制御基板39との接続は(図9のB部の配線)、一例として、18本必要である。18本の内訳は、操作パネル37の表示部37cにおいて、2桁の数字をLED表示するのに(7本(7セグ)/1文字)×2=14本であり、さらに、運転スイッチ37aやモードスイッチ37b等のスイッチ用として3本、電源(GND)用が1本で、合計18本となる。
【0070】
しかしながら、空気圧縮機10では、操作パネル37と情報制御基板39とが積層されており、両者が非常に近い位置に配置されているため、それぞれを繋ぐ配線を短くすることができ、かつそれぞれの配線の引き回しを容易にすることができる。
【0071】
なお、操作ユニット52内における情報制御基板39と読み取り部39aとの接続(図9のC部の配線)は、一例として、電源用が2本、通信用(上り・下り)が2本で合計4本である。
【0072】
次に、本実施の形態1の空気圧縮機10における他の認証方法(基板認証方法)について説明する。
【0073】
まず、空気圧縮機10において、情報制御基板(認証部)39の記憶部、例えばメモリチップ39bに記憶されている制御基板(制御部)32の識別情報を、例えば、空気圧縮機10を保有するユーザが管理している、本体外部の記憶媒体(例えばフラッシュメモリ等)に読み込ませる。
【0074】
そして、ユーザが管理している上記記憶媒体を用いて、読み込んだ制御基板32の前記識別情報を他の(新規な)情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bに記憶させ、制御基板32と上記他の(新規な)情報制御基板39とを接続して、制御基板32と上記他の(新規な)情報制御基板39とで認証を行うものである。
【0075】
この場合、ユーザが管理している記憶媒体に書き込まれた制御基板32の識別情報を記憶させた情報制御基板39を接続した際には、空気圧縮機本体は作動するが、単純に他の(新規な、別の)情報制御基板39と、制御基板32とを接続しただけでは、認証を行うことができず、空気圧縮機本体は作動しないという点で更にセキュリティを向上させるものである。
【0076】
このようなセキュリティ手段を空気圧縮機10に持たせることにより、空気圧縮機10の盗難防止効果をさらに高めることができる。
【0077】
(実施の形態2) 本実施の形態2の空気圧縮機70では、図10および図11に示すように、制御基板32、情報制御基板39、操作パネル37および読み取り部39aが、直列的に接続されている。その際、実施の形態1の空気圧縮機10と同様に、情報制御基板(認証部)39と操作パネル(操作部、操作基板)37とが分かれた状態で設けられており、操作パネル(操作部)37は、情報制御基板(認証部)39を介して制御基板(制御部)32に電気的に接続されている。
【0078】
すなわち、制御基板32と情報制御基板39とがケーブル61を介して電気的に接続され、さらに、情報制御基板39と操作パネル37とがケーブル60を介して電気的に接続されている。そして、操作パネル37と読み取り部39aとがケーブル63を介して電気的に接続されている。
【0079】
なお、情報制御基板39は、この情報制御基板39に対応する認証用情報が読み取り部39aによって読み取られた際に、実施の形態1の空気圧縮機10と同様に、操作パネル37への電源の供給を可能にする。すなわち、図10に示すセキュリティカード40等から読み取り部39aにより読み取った認証用情報と、情報制御基板39上の記憶部、例えばメモリチップ39bに予め記憶されている認証用情報とが合致するか認証(照合)を行う。
【0080】
この認証は、実施の形態1と同様に、情報制御基板39に搭載されている情報制御チップ38によって行う。そして、認証において、読み取り部39aにより読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bの認証用情報とが合致した場合に、操作パネル37への電源の供給を可能にする。または、情報制御基板39は、許容信号を操作パネル37に対して出力する。
【0081】
そして、操作パネル37では、上記許容信号を受信した後に、情報制御基板39を介した制御基板32への信号の出力が可能になる。つまり、実施の形態2の空気圧縮機70においても、読み取り部39aによって読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bの認証用情報とが合致したことにより、操作パネル37からの信号が、情報制御基板39を介して制御基板32に届くようになり、空気圧縮機70を作動させることが可能になる。
【0082】
また、実施の形態1と同様に、情報制御基板39に搭載された記憶部、例えばメモリチップ39bには、制御基板32の識別情報を書き込ませておいてもよく、上記識別情報と異なる識別情報を備えた他の制御基板に電気的に接続された際には、情報制御基板39は、上記他の制御基板の制御を不能にする機能を有していてもよい。この場合にも、空気圧縮機70を正常に動作させることはできない。
【0083】
以上のように本実施の形態2の空気圧縮機70においても、実施の形態1の空気圧縮機10と同様に、そのセキュリティ性を高めることができる。
【0084】
また、空気圧縮機70においても、図11に示すように、操作ユニット52(図11の点線で囲まれた構成)と、制御基板32とを繋ぐ配線の接続(図11のA部の配線)では、一例として、電源(GND)用が2本、通信用(上り・下り)が2本で合計4本となり、実施の形態1と同様に、配線の本数を少なくすることができる。
【0085】
また、操作ユニット52内において、操作パネル37を介した情報制御基板39と読み取り部39aとの接続(図11のB部とC部を繋ぐ配線)では、操作パネル37に所望の配線パターンによりバイパス配線37dを形成し、このバイパス配線37dを使うことにより、上記図11のB部とC部を繋ぐ配線の本数を減らすことができる。
【0086】
本実施の形態2の空気圧縮機70によって得られるその他の効果については、実施の形態1のものと同様であるため、その重複説明は省略する。
【0087】
(変形例) 本実施の形態2の変形例の空気圧縮機80では、図12および図13に示すように、制御基板32、操作パネル37、情報制御基板39および読み取り部39aが、直列的に接続されている。その際、実施の形態1の空気圧縮機10と同様に、セキュリティ基板(認証部)39と操作パネル(操作部、操作基板)37とが分かれた状態で設けられており、情報制御基板(認証部)39は、操作パネル(操作部)37を介して制御基板(制御部)32に電気的に接続されている。
【0088】
すなわち、制御基板32と操作パネル37とがケーブル64を介して電気的に接続され、さらに、操作パネル37と情報制御基板39とがケーブル60を介して電気的に接続されている。そして、情報制御基板39と読み取り部39aとがケーブル62を介して電気的に接続されている。
【0089】
なお、情報制御基板39は、この情報制御基板39に対応する認証用情報が読み取り部39aによって読み取られた際に、操作パネル37への電源の供給を可能にする。すなわち、図12に示すセキュリティカード40等から読み取り部39aにより読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bに予め記憶されている認証用情報とが合致するか認証(照合)を行う。
【0090】
この認証は、実施の形態1と同様に、情報制御基板39に搭載されている情報制御チップ38によって行う。そして、認証において、読み取り部39aにより読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bの認証用情報とが合致した場合に、情報制御基板39は、操作パネル37に対して許容信号を出力する。
【0091】
そして、操作パネル37では、上記許容信号を受信した後に制御基板32への信号の出力が可能になる。
【0092】
したがって、本実施の形態2の変形例の空気圧縮機80においても、読み取り部39aによって読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bの認証用情報とが合致した場合に、操作パネル37からの信号が制御基板32に届くようになり、空気圧縮機80を作動させることが可能になる。
【0093】
また、実施の形態1と同様に、情報制御基板39に搭載された記憶部、例えばメモリチップ39bには、制御基板32の識別情報を書き込ませておいてもよく、上記識別情報と異なる識別情報を備えた他の制御基板に電気的に接続された際には、情報制御基板39は、制御抑制信号を送出するなどの上記他の制御基板の制御を不能にする機能を有していてもよい。この場合にも、空気圧縮機80を正常に動作させることはできない。
【0094】
以上のように本実施の形態2の変形例の空気圧縮機80においても、実施の形態1の空気圧縮機10と同様に、そのセキュリティ性を高めることができる。
【0095】
また、空気圧縮機80においても、図13に示すように、操作ユニット52(図13の点線で囲まれた構成)と、制御基板32とを繋ぐ配線の接続(図13のA部の配線)では、一例として、電源(GND)用が2本、通信用(上り・下り)が2本で合計4本となり、実施の形態1と同様に、配線の本数を少なくすることができる。
【0096】
さらに、操作ユニット52内において、操作パネル37を介した制御基板32と情報制御基板39との接続(図13のA部とB部を繋ぐ配線)では、操作パネル37に所望の配線パターンによりバイパス配線37dを形成し、このバイパス配線37dを使うことにより、上記図13のA部とB部を繋ぐ配線の本数を減らすことができる。
【0097】
本実施の形態2の変形例の空気圧縮機80によって得られるその他の効果については、実施の形態1のものと同様であるため、その重複説明は省略する。
【0098】
(実施の形態3) 本実施の形態3の空気圧縮機90は、図14および図15に示すように、情報制御基板(認証部)39と操作パネル(操作部、操作基板)37とが、それぞれ別々に制御基板(制御部)32に電気的に接続された構造となっている。
【0099】
すなわち、制御基板32と操作パネル37とがケーブル64を介して電気的に接続され、一方、制御基板32と情報制御基板39とがケーブル61を介して電気的に接続されている。そして、情報制御基板39と読み取り部39aとがケーブル62を介して電気的に接続されている。
【0100】
また、情報制御基板39は、この情報制御基板39に対応する認証用情報が読み取り部39aによって読み取られた際に、操作パネル37への電源の供給を可能にする。すなわち、図14に示すセキュリティカード40等から読み取り部39aにより読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bに予め記憶されている認証用情報とが合致するか認証(照合)を行う。
【0101】
この認証は、実施の形態1と同様に、情報制御基板39に搭載されている情報制御チップ38によって行う。そして、認証において、読み取り部39aにより読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bの認証用情報とが合致した場合に、情報制御基板39は、制御基板32に対して許容信号を出力する。
【0102】
そして、制御基板32では、上記許容信号を受信した後に操作パネル37への電源の供給や信号の出力が可能になる。
【0103】
したがって、本実施の形態3の空気圧縮機90においても、読み取り部39aによって読み取った認証用情報と、情報制御基板39の記憶部、例えばメモリチップ39bの認証用情報とが合致した場合に、操作パネル37からの信号が制御基板32に届くようになり、空気圧縮機90を作動させることが可能になる。
【0104】
また、実施の形態1と同様に、情報制御基板39に搭載された記憶部、例えばメモリチップ39bには、制御基板32の識別情報を書き込ませておいてもよく、上記識別情報と異なる識別情報を備えた他の制御基板に電気的に接続された際には、情報制御基板39は、上記他の制御基板の制御を不能にする機能を有していてもよい。この場合にも、空気圧縮機90を正常に動作させることはできない。
【0105】
以上のように本実施の形態3の空気圧縮機90においても、実施の形態1の空気圧縮機10と同様に、そのセキュリティ性を高めることができる。
【0106】
なお、空気圧縮機90においては、図15に示すように、操作ユニット52(図15の点線で囲まれた構成)と、制御基板32とを繋ぐ配線の接続(図15のA部およびB部の配線)では、情報制御基板39と操作パネル37とがそれぞれ別個に制御基板32に接続されているため、配線の本数を少なくすることは困難であるが、情報制御基板39の回路構成を容易にすることができる。
【0107】
本実施の形態3の空気圧縮機90によって得られるその他の効果については、実施の形態1のものと同様であるため、その重複説明は省略する。
【0108】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【0109】
上記実施の形態の空気圧縮機は、情報制御基板39と制御基板32との接続を、コネクタ等の接続基板(中継基板)を介して行ってもよい。
【0110】
また、上記実施の形態1〜3においては、本発明が空気圧縮機の場合を説明したが、空気圧縮機を、エンジン等を動力源とした発電機に置き換えることも可能である。すなわち、エンジン用の発電機において、情報制御基板(認証部)と操作パネル(操作部)とをそれぞれ別個に分けて制御基板(制御部)に電気的に接続することにより、電動工具に電力を供給するエンジン発電機のセキュリティ性を高める手段として採用することができる。
【符号の説明】
【0111】
10…空気圧縮機、11…基台、12a,12b…空気タンク、13…脚部、14a,14b…ハンドル部、15…駆動ボックス、16…モータ、17…モータ回転軸、18…回転子、19…固定子、21a,21b…シリンダ、22a,22b…ピストン、23a,23b…コネクティングロッド、24a,24b…偏心カム、25a,25b…駆動室、26a,26b…シリンダヘッド、27a,27b…逆止弁、28a,28b…吐出室、29a,29b…配管、30…圧縮空気生成部、31a,31b…冷却ファン、32…制御基板(制御部、制御部材)、32a…マイコンチップ、33…カバー、34a,34b…カプラ、35a,35b…減圧弁、36a,36b…圧力計、37…操作パネル(操作部、操作基板)、37a…運転スイッチ(操作部材)、37b…モードスイッチ(操作部材)、37c…表示部、37d…バイパス配線、38…情報制御チップ(認証部材を含む)、39…情報制御基板(認証部)、39a…読み取り部(読み取り部材)、39b…メモリチップ(記憶部、記憶部材)、39c…アンテナ部、40…セキュリティカード(セキュリティキー)、41…位置センサ、42…圧力センサ、43…電源部、44…演算部、45…電源電流検出部、46…電圧検出部、47…モータ電流検出部、48…駆動部、49…EEPROM、50…交流電源、51…電源コード、52…操作ユニット、60,61,62,63,64…ケーブル、70,80,90…空気圧縮機
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15