(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の切換えバルブは、前記元圧を入力可能な第1の入力ポートと、前記前進レンジ圧を出力可能な第1の出力ポートと、前記後進レンジ圧を出力可能な第2の出力ポートと、前記第1のソレノイドバルブと連通し前記第1の信号圧を入力可能な第1の油室と、を有し、
前記第2の切換えバルブは、前記前進レンジ圧を入力可能な第2の入力ポートと、前記後進レンジ圧を入力可能な第3の入力ポートと、前記前進レンジ圧を出力可能な第3の出力ポートと、前記後進レンジ圧を出力可能な第4の出力ポートと、前記第2のソレノイドバルブと連通し前記第2の信号圧を入力可能な第2の油室と、を有し、
前記第1の出力ポートと前記第2の入力ポートとが連通し、前記第2の出力ポートと前記第3の入力ポートとが連通し、前記第3の出力ポートと前記変速制御部とが連通する、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動変速機の油圧制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態を、
図1乃至
図5に沿って説明する。
【0013】
本自動変速機の油圧制御装置は、運転者が走行レンジを切り換えることに対応して切換えバルブを電気的に制御することにより、ライン圧(元圧)PLを所定のレンジ圧として所定の油路に出力して変速制御を実現するシフトバイワイヤ方式の自動変速機の油圧制御装置に用いられて好適である。ここでの自動変速機としては、例えば、4つのクラッチ、2つのブレーキ、1つのワンウェイクラッチを有し、そのうち2つの係合要素の同時係合により前進8速段及び後進1速段を選択的に形成可能な多段変速機を利用することができるものとする(例えば、特開2011−214644号公報参照)。尚、本自動変速機の油圧制御装置は、多段変速機への適用に限るものではなく、例えばベルト式無段変速機(CVT)やハイブリッド駆動装置等に対しても同様に適用可能である。
【0014】
図1乃至
図3に示すように、油圧制御装置1は、油圧生成部5と、第1のカットオフバルブ(第1の切換えバルブ)10と、該第1のカットオフバルブ10を制御可能なソレノイドバルブ(第1のソレノイドバルブ)SC2と、第2のカットオフバルブ(第2の切換えバルブ)20と、該第2のカットオフバルブ20を制御可能なソレノイドバルブ(第2のソレノイドバルブ)SC3と、フェールセーフバルブ30と、該フェールセーフバルブ30を制御可能なソレノイドバルブSRと、ロックアップソレノイドバルブSLUと、変速制御部40とを備えており、バルブボディに形成されている。また、本実施の形態では、第1のカットオフバルブ10と、ソレノイドバルブSC2と、第2のカットオフバルブ20と、ソレノイドバルブSC3とを、特にマニュアルバルブレス回路と呼ぶ。尚、油圧制御装置1のソレノイドバルブや変速制御部40等は、制御部(ECU)50により制御されるようになっている。
【0015】
油圧制御装置1は、油圧生成部5で生成されたライン圧PLに基づいて走行レンジに応じたレンジ圧を生成すると共に、レンジ圧を変速制御部40に供給するようになっている。即ち、この油圧制御装置1は、運転者のレンジ切換操作により選択されたパーキング(P)レンジ、ニュートラル(N)レンジ、走行レンジ(前進(D)レンジ、後進(R)レンジ)に対応して、前進段の形成時に使用される前進レンジ圧PDや後進段の形成時に使用される後進レンジ圧PRを、変速制御部40に供給して変速を行うようになっている(
図4参照)。
【0016】
油圧生成部5は、ECU50により制御されると共に、不図示のオイルポンプからの油圧をライン圧PLに調圧するプライマリレギュレータバルブ等を備え、ライン圧PLの他、モジュレータ圧Pmod等、各種の元圧を調圧して生成している。また、油圧制御装置1は、各種の元圧に基づく油圧をそれぞれの油路に選択的に切換え、あるいは調圧するための、スプール位置が切換え、あるいは制御される不図示の潤滑リレーバルブ、循環モジュレータバルブ、ロックアップリレーバルブ、シークエンスバルブ等を備えている。ライン圧PL及びモジュレータ圧Pmod等を生成するための油圧回路構成は、一般的な自動変速機の油圧制御装置のものと同様であるので、詳細な説明は省略する。尚、本実施の形態においては、各バルブにおける実際のスプールは1本であるが、スプール位置の切換え位置あるいはコントロール位置を説明するため、図中に示す右半分の状態を「右半位置」、左半分の状態「左半位置」という。
【0017】
ソレノイドバルブSC2は、ECU50により制御されると共に、モジュレータ圧Pmodが入力される入力ポートSC2aと、モジュレータ圧Pmodに基づいて生成される第1の信号圧PS1を出力可能な出力ポートSC2bとを備えており、出力する第1の信号圧PS1により第1のカットオフバルブ10を制御可能になっている。
【0018】
第1のカットオフバルブ10は、ライン圧PLを入力可能な入力ポート(第1の入力ポート)10bと、ライン圧PLを第1の油圧(前進レンジ圧)P1として出力可能な第1の出力ポート10cと、ライン圧PLを第2の油圧(後進レンジ圧)P2として出力可能な第2の出力ポート10dと、を備えている。また、第1のカットオフバルブ10は、入力ポート10b及び第1の出力ポート10cを連通する第1の位置(図中、左半位置。オフ状態ともいう。)と、入力ポート10b及び第2の出力ポート10dを連通する第2の位置(図中、右半位置。オン状態ともいう。)とに切換可能なスプール10pを備えている。
【0019】
更に、第1のカットオフバルブ10は、スプール10pを第1の位置に位置するよう付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング10sと、第1の信号圧PS1を入力することで、スプール10pを第2の位置に位置するようスプリング10sに抗して押圧する第1の油室10aと、を備えている。これにより、第1のカットオフバルブ10は、ライン圧PLが入力されると共に、入力されたライン圧PLを第1の油圧P1として出力する状態と、入力されたライン圧PLを第2の油圧P2として出力する状態とに、第1の信号圧PS1により切換可能になっている。
【0020】
即ち、第1のカットオフバルブ10は、ライン圧PLが入力されると共に、第1の信号圧PS1のオフ状態において、入力されたライン圧PLを第1の油圧P1として出力する第1の位置と、第1の信号圧PS1のオン状態において、入力されたライン圧PLを第2の油圧P2として出力する第2の位置とに、切換可能になっている。
【0021】
ソレノイドバルブSC3は、ECU50により制御されると共に、モジュレータ圧Pmodが入力される入力ポートSC3aと、モジュレータ圧Pmodに基づいて生成される第2の信号圧PS2を出力可能な出力ポートSC3bとを備えており、出力する第2の信号圧PS2により第2のカットオフバルブ20を制御可能になっている。
【0022】
第2のカットオフバルブ20は、第1のカットオフバルブ10の第1の出力ポート10cに接続され、第1の油圧P1が入力される第2の入力ポート20bと、第1のカットオフバルブ10の第2の出力ポート10dに接続され、第2の油圧P2が入力される第3の入力ポート20cと、第1の油圧P1を前進レンジ圧PDとして出力可能な第3の出力ポート20dと、第2の油圧P2を後進レンジ圧PRとして出力可能な第4の出力ポート20eと、ドレーンポート20fとを備えている。また、第2のカットオフバルブ20は、第2の入力ポート20b及び第3の出力ポート20dを連通すると共に第4の出力ポート20e及びドレーンポート20fを連通する第3の位置(図中、左半位置。オフ状態ともいう。)と、第3の入力ポート20c及び第4の出力ポート20eを連通すると共に第3の出力ポート20d及びドレーンポート20fを連通する第4の位置(図中、右半位置。オン状態ともいう。)とに切換可能なスプール20pを備えている。
【0023】
更に、第2のカットオフバルブ20は、スプール20pを第1の位置に位置するよう付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング20sと、第2の信号圧PS2を入力することで、スプール20pを第2の位置に位置するようスプリング20sに抗して押圧する油室20aと、を備えている。これにより、第2のカットオフバルブ20は、スプール20pが第1の位置に位置する状態と、スプール20pが第2の位置に位置する状態とに、第2の信号圧PS2により切換可能になっている。
【0024】
即ち、第2のカットオフバルブ20は、第2の信号圧PS2のオフ状態において、第1のカットオフバルブ10から入力された第1の油圧P1を前進レンジ圧PDとして変速制御部40に出力すると共に第2の油圧P2を遮断する第3の位置と、第2の信号圧PS2のオン状態において、第1のカットオフバルブ10から入力された第2の油圧P2を後進レンジ圧PRとして変速制御部40に出力すると共に第1の油圧P1を遮断する第4の位置とに、切換可能になっている。
【0025】
ソレノイドバルブSRは、ECU50により制御されると共に、モジュレータ圧Pmodが入力される入力ポートSRaと、モジュレータ圧Pmodに基づいて生成される第3の信号圧PS3を出力可能な出力ポートSRbとを備えており、出力する第3の信号圧PS3によりフェールセーフバルブ30を制御可能になっている。
【0026】
フェールセーフバルブ30は、ロックアップソレノイドバルブSLUに接続される入力ポート30bと、第2のカットオフバルブ20のドレーンポート20fに接続される出力ポート30cと、ドレーン孔EXとを備えている。また、フェールセーフバルブ30は、入力ポート30b及び出力ポート30cを連通する第5の位置(図中、左半位置)と、入力ポート30b及び出力ポート30cを遮断して、ドレーンポート20f及び出力ポート30cをドレーン孔EXと連通する第6の位置(図中、右半位置)とに切換可能なスプール30pを備えている。
【0027】
更に、フェールセーフバルブ30は、スプール30pを第6の位置に位置するよう付勢する圧縮コイルばねから成るスプリング30sと、第3の信号圧PS3を入力することで、スプール30pを第5の位置に位置するようスプリング30sに抗して押圧する油室30aと、を備えている。これにより、フェールセーフバルブ30は、ロックアップソレノイドバルブSLUからのロックアップ圧(フェールセーフ油圧)PSLUをドレーンポート20fに供給するフェール状態(図中、左半位置)と、ロックアップ圧PSLUをドレーンポート20fに対して遮断して非供給としてドレーンポート20fをドレーン孔EXと連通する通常状態(図中、右半位置)とに、第3の信号圧PS3により切換可能になっている。
【0028】
即ち、フェールセーフバルブ30から第2のカットオフバルブ20に入力されたロックアップ圧PSLUは、第2のカットオフバルブ20が第3の位置にある場合は、第2のカットオフバルブ20から変速制御部40に後進レンジ圧PRとして出力され、第2のカットオフバルブ20が第4の位置にある場合は、第2のカットオフバルブ20から変速制御部40に前進レンジ圧PDとして出力されるようになっている。
【0029】
尚、上述したソレノイドバルブSC2,SC3,SRとしては、非通電時に入力ポートと出力ポートとを遮断して各信号圧を出力せず、通電時に連通して各信号圧を出力する所謂ノーマルクローズ(N/C)タイプのものが用いられている。本実施の形態では、ソレノイドバルブSC2,SC3,SRとしてノーマルクローズタイプを適用しているが、これには限られず、非通電時に入力ポートと出力ポートとを連通し、通電時に連通する所謂ノーマルオープン(N/O)タイプのものを適用してもよい。いずれの場合も、ソレノイドバルブSC2,SC3,SRは、電気信号に基づき各信号圧を出力又は非出力とするようになっている。
【0030】
ロックアップソレノイドバルブSLUは、ECU50により制御されると共に、ライン圧PLが入力される入力ポートSLUaと、ライン圧PLに基づいて生成されるロックアップ圧PSLUをフェールセーフバルブ30の入力ポート30bに出力可能な出力ポートSLUbとを備えており、トルクコンバータ等の流体伝動装置をロックアップ可能なロックアップクラッチの係合状態を制御するロックアップ圧PSLUを生成するようになっている。ロックアップソレノイドバルブSLUは、フェールセーフバルブ30がフェール状態にある場合に、ロックアップ圧PSLUをドレーンポート20fに供給するようになっている。
【0031】
ここで、ロックアップソレノイドバルブSLUは、通常はロックアップ圧PSLUとしてロックアップクラッチの係合状態を制御するので、ロックアップ圧PSLUが走行中に出力される場合がある。これに対し、本実施の形態では、ロックアップ圧PSLUは、フェールセーフバルブ30を介してドレーンポート20fに連通されているので、通常の走行中にロックアップ圧PSLUが出力されても、フェールセーフバルブ30によって遮断される。これにより、ロックアップ圧PSLUが、必要以上に供給されてしまうことを防止できる。
【0032】
変速制御部40は、本実施の形態では、第1クラッチ〜第4クラッチ、第1ブレーキ及び第2ブレーキをそれぞれ係脱可能な複数のリニアソレノイドバルブ等によって構成されている。変速制御部40は、供給された前進レンジ圧PD又は後進レンジ圧PRによって、複数の係合要素の係脱の組み合わせにより複数の変速段を形成可能な変速機構の変速段の形成を制御するようになっている。複数のリニアソレノイドバルブには、前進レンジ圧PD及び後進レンジ圧PRの他、ライン圧PLが適宜供給されるようになっている。尚、変速制御部40での油圧回路構成は、一般的な自動変速機のものと同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0033】
ECU50は、例えば、CPUと、処理プログラムを記憶するROMと、データを一時的に記憶するRAMと、入出力ポートと、通信ポートとを備えている。ECU50には、アクセル開度センサや、エンジン回転速度センサや、自動変速機の入力軸回転速度センサや、自動変速機の出力軸回転速度センサや、シフトレバーのシフトポジションセンサ等が、入力ポートを介して接続されている。また、ECU50は、出力軸回転速度センサにより得られる出力軸回転速度から車速を演算するようになっており、ドライバがアクセルを踏んだ場合に車速の上昇を伴わずにエンジン回転速度だけが上昇しているか否か、即ちエンジンが吹き上げているか否かを検出可能になっている。また、ECU50は、出力軸回転速度と入力軸回転速度センサにより得られる入力軸回転速度とから実際の変速比を演算するようになっており、シフトポジションとの比較で実際の変速段が正常か否かを検出可能になっている。更に、ECU50は、RAMを利用してシフトポジションの履歴を記憶するようになっており、例えば、10秒前から現在までの間にRポジションからDポジションにシフトチェンジされたか否かを検出可能になっている。
【0034】
ECU50は、第1のカットオフバルブ10及び第2のカットオフバルブ20のいずれか一方の切換えバルブが切換不能となった場合に、前進レンジ圧PD又は後進レンジ圧PRが第2のカットオフバルブ20から変速制御部40に供給されるように、第1の信号圧PS1又は第2の信号圧PS2によって他方のスティックしていない方の切換えバルブの状態を制御するようになっている。
【0035】
また、ECU50は、第1のカットオフバルブ10及び第2のカットオフバルブ20のいずれか一方の切換えバルブが切換不能となった場合に、第3の信号圧PS3によってフェールセーフバルブ30をフェール状態に切り換え、ロックアップソレノイドバルブSLUをオン制御してロックアップ圧PSLUを出力させる。これにより、ロックアップ圧PSLUがドレーンポート20fに入力され、ロックアップ圧PSLUに基づいて、ドレーンポート20fに連通する第3の出力ポート20d又は第4の出力ポート20eから前進レンジ圧PD又は後進レンジ圧PRが出力されるようになっている。
【0036】
次に、本実施の形態に係る自動変速機の油圧制御装置1の動作について、
図1乃至
図5に基づいて詳細に説明する。
【0037】
フェールが発生していない通常時では、
図4に示すように、ECU50は、ソレノイドバルブSRを常にオフ状態に制御しており、フェールセーフバルブ30は通常状態になっている。これにより、
図1に示すように、ロックアップソレノイドバルブSLUが、ロックアップ圧を生成するためにロックアップ圧PSLUを出力しても、フェールセーフバルブ30により遮断されて、余計な供給が防止される。また、フェールセーフバルブ30が通常状態にあることにより、第2のカットオフバルブ20のドレーンポート20fに連通する第3の出力ポート20d又は第4の出力ポート20eがフェールセーフバルブ30のドレーンポートに連通される。
【0038】
そして、走行レンジとしてDレンジが選択された場合は、
図4に示すように、ECU50は、ソレノイドバルブSC2,SC3をオフ状態に制御している。このため、
図1に示すように、第1の信号圧PS1が出力されないことから、第1のカットオフバルブ10は第1の位置に位置し、第2の信号圧PS2が出力されないことから、第2のカットオフバルブ20は第1の位置に位置するようになる。この時、油圧生成部5から供給されるライン圧PLは、第1のカットオフバルブ10の入力ポート10bから第1の出力ポート10cを経て、第1の油圧P1として出力される。更に、この第1の油圧P1は、第2のカットオフバルブ20の第2の入力ポート20bから第3の出力ポート20dを経て、前進レンジ圧PDとして変速制御部40に供給される。同時に、第4の出力ポート20eは、ドレーンポート20fを経てフェールセーフバルブ30のドレーンポートに連通され、後進レンジ圧PRは供給されない。
【0039】
また、走行レンジとしてRレンジが選択された場合は、
図4に示すように、ECU50は、ソレノイドバルブSC2,SC3をオン状態に制御している。このため、第1の信号圧PS1が出力されることから、第1のカットオフバルブ10は第2の位置に位置し、第2の信号圧PS2が出力されることから、第2のカットオフバルブ20は第2の位置に位置するようになる。この時、油圧生成部5から供給されるライン圧PLは、第1のカットオフバルブ10の入力ポート10bから第2の出力ポート10dを経て、第2の油圧P2として出力される。更に、この第2の油圧P2は、第2のカットオフバルブ20の第3の入力ポート20cから第4の出力ポート20eを経て、後進レンジ圧PRとして変速制御部40に供給される。同時に、第3の出力ポート20dは、ドレーンポート20fを経てフェールセーフバルブ30のドレーンポートに連通され、前進レンジ圧PDは供給されない。
【0040】
また、Pレンジが選択された場合は、
図4に示すように、ECU50は、ソレノイドバルブSC2をオン状態に、ソレノイドバルブSC3をオフ状態に各々制御している。このため、第1の信号圧PS1が出力されることから、第1のカットオフバルブ10は第2の位置に位置し、第2の信号圧PS2が出力されないことから、第2のカットオフバルブ20は第1の位置に位置するようになる。この時、油圧生成部5から供給されるライン圧PLは、第1のカットオフバルブ10の入力ポート10bから第2の出力ポート10dを経て、第2の油圧P2として出力される。更に、この第2の油圧P2は、第2のカットオフバルブ20の第3の入力ポート20cに入力されるが、そのままドレーンされたり、あるいはパーキング圧等として使用される。
【0041】
また、Nレンジが選択された場合は、
図4に示すように、ECU50は、ソレノイドバルブSC2をオフ状態に、ソレノイドバルブSC3をオン状態に各々制御している。このため、第1の信号圧PS1が出力されないことから、第1のカットオフバルブ10は第1の位置に位置し、第2の信号圧PS2が出力されることから、第2のカットオフバルブ20は第2の位置に位置するようになる。この時、油圧生成部5から供給されるライン圧PLは、第1のカットオフバルブ10の入力ポート10bから第1の出力ポート10cを経て、第1の油圧P1として出力される。更に、この第1の油圧P1は、第2のカットオフバルブ20の第2の入力ポート20bに入力されるが、そのまま遮断される。
【0042】
次に、第1のカットオフバルブ10又は第2のカットオフバルブ20のいずれか一方が、切換不能になった場合の動作を説明する。カットオフバルブが切換不能になる例としては、例えば、バルブスティック(異物噛み込みによるバルブの固着)やソレノイドバルブSC2,SC3のオフフェールやオンフェール等があるが、ここではバルブスティックが発生した場合について説明する。
【0043】
例えば、
図2に示すように、第1のカットオフバルブ10が第2の位置でスティックするフェールが発生した場合に走行レンジとしてDレンジが選択されると、ECU50は、ソレノイドバルブSC2,SC3をオフ状態に制御する。ところが、ソレノイドバルブSC2から第1の信号圧PS1が出力されなくても、第1のカットオフバルブ10は第2の位置のままになるので、第1のカットオフバルブ10の第2の出力ポート10dから、ライン圧PLが第2の油圧P2として出力されてしまう。これに対し、第2のカットオフバルブ20は第1の位置に切り換わるので、第2の油圧P2は、第2のカットオフバルブ20の第3の入力ポート20cに入力されるが、そのままドレーン等される。即ち、通常時のPレンジの場合と同様の作動になる。この状態では、変速段を形成できない為、例えばドライバがアクセルを踏んだ場合に、車速の上昇を伴わずにエンジン回転速度だけが上昇(所謂、エンジン吹き)するため、ECU50は、選択された走行レンジに対応する走行レンジ圧が出力されていないと判断する。そして、ECU50は、変速制御部40のリニアソレノイドバルブにオフフェールが発生しているか否かを検出し、オフフェールが発生していないと判断した場合に、第1のカットオフバルブ10又は第2のカットオフバルブ20のどちらかが切換不能(この例ではバルブスティック)であるというフェールが発生していると判断し、マニュアルバルブレス回路の異常の判定を確定する(後述する
図5のフローチャート参照)。
【0044】
そして、ECU50は、マニュアルバルブレス回路の異常を確定すると、リンプホームモードに移行し、ソレノイドバルブSC3をオン制御し、第2のカットオフバルブ20を第2の位置に切り換える。これにより、第1のカットオフバルブ10からの第2の油圧P2は、第2のカットオフバルブ20の第3の入力ポート20cから第4の出力ポート20eを経て、後進レンジ圧PRとして変速制御部40に供給される。
【0045】
また、ECU50は、ソレノイドバルブSRをオン制御し、フェールセーフバルブ30をフェール位置に切り換える。更に、ECU50は、ロックアップソレノイドバルブSLUをオン制御し、ロックアップ圧PSLUを出力させる。これにより、ロックアップ圧PSLUは、フェールセーフバルブ30の入力ポート30bから出力ポート30cを経て、第2のカットオフバルブ20のドレーンポート20fに入力される。更に、ロックアップ圧PSLUは、第3の出力ポート20dから出力され、前進レンジ圧PDとして変速制御部40に供給される。従って、変速制御部40には、前進レンジ圧PD及び後進レンジ圧PRの両方が供給されることになり、走行レンジであるDレンジの変速段を形成することができる。
【0046】
次に、例えば、
図3に示すように、第2のカットオフバルブ20が第2の位置でスティックするフェールが発生した場合に走行レンジとしてDレンジが選択されると、ECU50は、ソレノイドバルブSC2,SC3をオフ状態に制御する。ところが、ソレノイドバルブSC3から第2の信号圧PS2が出力されなくても、第2のカットオフバルブ20は第2の位置のままになるので、第1のカットオフバルブ10の第1の出力ポート10cから出力された第1の油圧P1は、第2のカットオフバルブ20の第2の入力ポート20bで遮断されてしまう。即ち、通常時のNレンジの場合と同様の作動になる。この状態では、変速段を形成できない為、例えばドライバがアクセルを踏んだ場合に、車速の上昇を伴わずにエンジン回転速度だけが上昇するため、ECU50は、選択された走行レンジに対応する走行レンジ圧が出力されていないと判断する。そして、ECU50は、変速制御部40のリニアソレノイドバルブにオフフェールが発生しているか否かを検出し、オフフェールが発生していないと判断した場合に、第1のカットオフバルブ10又は第2のカットオフバルブ20のどちらかが切換不能であるというフェールが発生していると判断し、マニュアルバルブレス回路の異常の判定を確定する(後述する
図5のフローチャート参照)。
【0047】
そして、ECU50は、マニュアルバルブレス回路の異常を確定すると、リンプホームモードに移行し、ソレノイドバルブSC2はオフ制御のままで、ソレノイドバルブSC3をオン制御し、第2のカットオフバルブ20を第2の位置に切り換えようとする。この際、既に第2のカットオフバルブは第2の位置に位置しているため位置変更はしない。これにより、第1のカットオフバルブ10からの第1の油圧P1は、第2のカットオフバルブ20の第2入力ポート20bに入力され第2のカットオフバルブ20により遮断される。
【0048】
また、ECU50は、ソレノイドバルブSRをオン制御し、フェールセーフバルブ30をフェール位置に切り換える。更に、ECU50は、ロックアップソレノイドバルブSLUをオン制御し、ロックアップ圧PSLUを出力させる。これにより、ロックアップ圧PSLUは、フェールセーフバルブ30の入力ポート30bから出力ポート30cを経て、第2のカットオフバルブ20のドレーンポート20fに入力される。更に、ロックアップ圧PSLUは、第3の出力ポート20dから出力され、前進レンジ圧PDとして変速制御部40に供給される。従って、変速制御部40には、前進レンジ圧PDが供給されることになり、走行レンジであるDレンジの変速段を形成することができる。
【0049】
次に、上述した第1のカットオフバルブ10又は第2のカットオフバルブ20のいずれか一方が切換不能になった場合の動作について、
図5に示すフローチャートに沿って説明する。尚、本フローチャートは処理手順の一例であって、これに限られないのは勿論である。
【0050】
まず、ECU50は、走行レンジがDレンジであり、かつ、エンジンが吹き上げているか否か、即ちドライバがアクセルを踏んだ場合に車速の上昇を伴わずにエンジン回転速度だけが上昇しているか否かを判断する(ステップS1)。ECU50が、走行レンジはDレンジではない、又はエンジンは吹き上げていないと判断した場合は、リンプホームモードに移行する必要が無いので、本処理を終了する。
【0051】
ECU50が、走行レンジがDレンジであり、かつ、エンジンが吹き上げていると判断した場合は、車速が例えば10km/h以下、即ち車両が低速走行中或いは停車中であるか否かを判断する(ステップS2)。ECU50が、車速が例えば10km/h以下ではないと判断した場合、即ち車両が低速を超える車速で前進走行中である場合は、エンジンが吹き上げた理由としてリニアソレノイドバルブのオフフェールを疑うものとして、リニアソレノイドバルブのオフフェールの有無を検出する処理を実行する(ステップS3〜ステップS6)。
【0052】
具体的には、ECU50は、現在の変速段(例えば、2速段)を他の変速段(例えば、3速段)に変速する(ステップS3)。そして、ECU50は、まだエンジンが吹き上げているか否かを判断する(ステップS4)。ECU50が、まだエンジンが吹き上げていると判断した場合は、現在の変速段(例えば、3速段)を更に他の変速段(例えば、7速段)に変速する(ステップS5)。そして、ECU50は、まだエンジンが吹き上げているか否かを判断する(ステップS6)。ECU50が、まだエンジンが吹き上げていると判断した場合は、後述するマニュアルバルブレス回路に異常があるものと判定を確定する(ステップS9)。
【0053】
ECU50が、ステップS4においてエンジンの吹き上げが無いと判断した場合は、例えば、2速段の形成に関与し3速段の形成には関与しないリニアソレノイドバルブに異常があるものと判定する(ステップS7)。また、ECU50が、ステップS6においてエンジンの吹き上げが無いと判断した場合は、例えば、2速段及び3速段の形成に関与し7速段の形成には関与しないリニアソレノイドバルブに異常があるものと判定する(ステップS7)。判定後は本処理を終了し、判定結果に応じた適宜な処理を実行する。
【0054】
ECU50が、ステップS2において車速が例えば10km/h以下であると判断した場合は、シフトポジションの履歴を参照し、シフトポジションが過去10秒間でRポジションからDポジションにシフトチェンジされたか否かを判断する(ステップS8)。ECU50が、シフトポジションが過去10秒間でRポジションからDポジションにシフトチェンジされていないと判断した場合は、第1のカットオフバルブ10及び第2のカットオフバルブ20のオンオフ状態は直前では変化していないので、エンジンが吹き上げた理由としてリニアソレノイドバルブのオフフェールを疑うものとして、上述したリニアソレノイドバルブのオフフェールの有無を検出する処理を実行する(ステップS3〜ステップS6)。
【0055】
ECU50が、シフトポジションが過去10秒間でRポジションからDポジションにシフトチェンジされていると判断した場合は、第1のカットオフバルブ10及び第2のカットオフバルブ20がオン状態からオフ状態に切り換わっているので、エンジンが吹き上げた理由として、第1のカットオフバルブ10又は第2のカットオフバルブ20のどちらかがオフ状態にならないオンフェールを発生していると判断し、マニュアルバルブレス回路の異常の判定を確定する(ステップS9)。
【0056】
ECU50は、リンプホームモードを実行し(ステップS10)、ソレノイドバルブSC2はオフ制御のままで、ソレノイドバルブSC3をオン制御する。また、ECU50は、ソレノイドバルブSR及びロックアップソレノイドバルブSLUをオン制御する。これにより、第1のカットオフバルブ10が第2の位置でスティックした場合は、第2のカットオフバルブ20から後進レンジ圧PRが変速制御部40に供給され、ロックアップソレノイドバルブSLUからのロックアップ圧PSLUを前進レンジ圧PDとして変速制御部40に供給する。従って、走行レンジであるDレンジの変速段を形成可能にする。また、第2のカットオフバルブ20が第2の位置でスティックした場合は、第2のカットオフバルブ20からは油圧は供給されないが、ロックアップソレノイドバルブSLUからのロックアップ圧PSLUを前進レンジ圧PDとして変速制御部40に供給し、走行レンジであるDレンジの変速段を形成可能にする。
【0057】
尚、上述した本実施の形態では、第1のカットオフバルブ10又は第2のカットオフバルブ20のいずれか一方が切換不能になった場合の例として、バルブスティックが発生した場合について説明したが、これに限られないのは勿論である。例えば、第1のカットオフバルブ10又は第2のカットオフバルブ20のいずれか一方が切換不能になった場合の例としては、ソレノイドバルブSC2,SC3のオフフェールやオンフェールがある。
【0058】
ここで、例えば、ソレノイドバルブSC2がオフフェールを発生した場合は、第1のカットオフバルブ10は第1の位置になるので、ECU50はソレノイドバルブSC3をオフにすることで第2のカットオフバルブ20を第3の位置に切り換えて、変速制御部40に前進レンジ圧PDを出力することができる。また、例えば、ソレノイドバルブSC3がオフフェールを発生した場合は、第2のカットオフバルブ20は第3の位置になるので、ECU50はソレノイドバルブSC2をオフにすることで第1のカットオフバルブ10を第1の位置に切り換えて、変速制御部40に前進レンジ圧PDを出力することができる。更に、例えば、オールオフフェール等によってソレノイドバルブSC2,SC3の両方がオフフェールを発生した場合は、第1のカットオフバルブ10は第1の位置になると共に第2のカットオフバルブ20は第3の位置になるので、変速制御部40に前進レンジ圧PDを出力することができる。
【0059】
例えば、ソレノイドバルブSC3がオンフェールを発生した場合は、第2のカットオフバルブ20は第4の位置になるので、ECU50はソレノイドバルブSRをオンにすることでフェールセーフバルブ30をフェール状態に切り換えて、ロックアップ圧PSLUを第2のカットオフバルブ20を介して前進レンジ圧PDとして変速制御部40に出力することができる。この時、ソレノイドバルブSC2が正常に作動する場合は、ECU50はソレノイドバルブSC2をオフにすることで第1のカットオフバルブ10を第1の位置に切り換えて、第2のカットオフバルブ20にて第1の油圧P1を遮断するようにできる。尚、例えば、ソレノイドバルブSC2,SC3の両方がオンフェールを発生した場合でも、ECU50はソレノイドバルブSRをオンにすることでフェールセーフバルブ30をフェール状態に切り換えて、ロックアップ圧PSLUを第2のカットオフバルブ20を介して前進レンジ圧PDとして出力することができ、変速制御部40には前進レンジ圧PD及び後進レンジ圧PRの両方が入力されるようになるが、この場合でも前進走行を保障することができる。
【0060】
以上説明したように、本実施の形態の油圧制御装置1によれば、各カットオフバルブ10,20を切り換えるソレノイドバルブSC2,SC3の少なくとも1つがオフフェールを発生した場合でも、第1のカットオフバルブ10が第1の位置で、かつ第2のカットオフバルブ20が第3の位置になるようにできる。このため、このような場合でも、変速制御部40に対する前進レンジ圧PDの出力を保障することができる。また、例えば、第1のカットオフバルブ10が第1の位置にスティックした場合や、第2のカットオフバルブ20が第3の位置にスティックした場合でも同様に、変速制御部40に対する前進レンジ圧PDの出力を保障することができる。
【0061】
また、本実施の形態の油圧制御装置1では、第2のカットオフバルブ20にロックアップ圧PSLUを出力可能なフェールセーフバルブ30を備え、フェールセーフバルブ30から第2のカットオフバルブ20に入力されたロックアップ圧PSLUは、第2のカットオフバルブ20が第3の位置にある場合は、第2のカットオフバルブ20から変速制御部40に後進レンジ圧PRとして出力され、第2のカットオフバルブ20が第4の位置にある場合は、第2のカットオフバルブ20から変速制御部40に前進レンジ圧PDとして出力される。
【0062】
このため、本実施の形態の油圧制御装置1によれば、第2のカットオフバルブ20が第4の位置から切換不能になった場合でも、フェールセーフバルブ30からロックアップ圧PSLUを出力することにより前進レンジ圧PDを出力することができ、前進走行を保障することができる。
【0063】
また、本実施の形態の油圧制御装置1では、ソレノイドバルブSC2,SC3は、いずれも非通電時に信号圧を出力しないノーマルクローズタイプであるようにしている。このため、例えば、電源系に起因するオールオフフェールが発生した場合に、ソレノイドバルブSC2,SC3の両方が非通電になって信号圧を出力しなくなったときでも、前進レンジ圧PDの出力を保障することができる。
【0064】
また、本実施の形態の油圧制御装置1では、第1のカットオフバルブ10は、ライン圧PLを入力可能な第1の入力ポート10bと、第1の油圧P1を出力可能な第1の出力ポート10cと、第2の油圧P2を出力可能な第2の出力ポート10dと、ソレノイドバルブSC2と連通し第1の信号圧PS1を入力可能な第1の油室10aと、を有し、第2のカットオフバルブ20は、第1の油圧P1を入力可能な第2の入力ポート20bと、第2の油圧P2を入力可能な第3の入力ポート20cと、前進レンジ圧PDを出力可能な第3の出力ポート20dと、後進レンジ圧PRを出力可能な第4の出力ポート20eと、ソレノイドバルブSC3と連通し第2の信号圧PS2を入力可能な第2の油室20aと、を有し、第1の出力ポート10cと第2の入力ポート20bとが連通し、第2の出力ポート10dと第3の入力ポート20cとが連通し、第3の出力ポート20dと変速制御部40とが連通している。このため、第1の出力ポート10cから出力された第1の油圧P1が第2の入力ポート20bに入力され、第3の出力ポート20dから前進レンジ圧PDとして変速制御部40に入力される。
【0065】
また、本実施の形態の油圧制御装置1によれば、第1のカットオフバルブ10に供給されたライン圧PLは、第1の油圧P1と第2の油圧P2とのいずれかに切り換えられて出力され、第1のカットオフバルブ10から出力された第1の油圧P1又は第2の油圧P2は、第2のカットオフバルブ20に供給されて第2のカットオフバルブ20の異なる出力ポート20d,20eから前進レンジ圧PD又は後進レンジ圧PRとして出力される。これにより、ライン圧PLから2本の切換えバルブ10,20を通過させて異なる2つの走行レンジ圧である前進レンジ圧PD又は後進レンジ圧PRを生成する際に、どちらの走行レンジ圧を生成する際も、油圧は第1のカットオフバルブ10を通過してから第2のカットオフバルブ20を通過するという順序になる。このため、前進レンジ圧PDを生成する時と後進レンジ圧PRを生成する時とで、ライン圧PLが2本の切換えバルブを通過する順序が逆になるたすき掛けの油圧回路構成を採用する場合に比べて、油圧回路を簡素化することができ、制御の簡易化及びバルブボディ等の装置の小型化を図ることができる。
【0066】
また、本実施の形態の油圧制御装置1によれば、第1のカットオフバルブ10及び第2のカットオフバルブ20のいずれか一方の切換えバルブが切換不能になった場合に、ソレノイドバルブSC3のオン制御と、フェールセーフバルブ30の切り換えと、ロックアップソレノイドバルブSLUからのロックアップ圧PSLUの出力とにより、発生したフェールの原因が何であれ、前進レンジ圧PDを変速制御部40に供給することができる。これにより、変速制御部40では、前進の変速段を形成することができる。そして、本実施の形態の油圧制御装置1によれば、油圧制御装置1は、必要最小限の構成として、2本の切換えバルブ10,20、3つのソレノイドバルブSC2,SC3,SLUのみで構成されるので、油圧回路を簡素化することができ、制御の簡易化及び装置の小型化を図ることができる。また、第1のカットオフバルブ10及び第2のカットオフバルブ20のいずれがオンフェール(第2の位置となるフェール)を発生した場合でも、同じ処理を行うことで、変速制御部40に前進レンジ圧PDを供給することができるので、第1のカットオフバルブ10及び第2のカットオフバルブ20のいずれがオンフェールを発生したかを検出する油圧スイッチ等を設ける必要が無く、部品点数の増加やコストの増大や装置の大型化を抑制することができる。
【0067】
尚、第1のカットオフバルブ10及び第2のカットオフバルブ20のいずれかがオン状態に切り換わらないオフフェールを発生した場合は、Dレンジの形成は第1のカットオフバルブ10及び第2のカットオフバルブ20の両方がオフ状態であるため、何ら問題なくDレンジを形成することができる。
【0068】
また、本実施の形態の油圧制御装置1では、第3の信号圧PS3を供給可能なソレノイドバルブSRと、ロックアップソレノイドバルブSLUとドレーンポート20fとの間に介在され、当該ロックアップソレノイドバルブSLUとドレーンポート20fとを連通してロックアップ圧PSLUをドレーンポート20fに供給可能にするフェール状態と、当該ロックアップソレノイドバルブSLUとドレーンポート20fとを遮断してロックアップ圧PSLUをドレーンポート20fに対して非供給としてドレーンポート20fをドレーン孔EXと連通する通常状態とに、第3の信号圧PS3により切換可能なフェールセーフバルブ30を備えるようにしている。
【0069】
このため、本実施の形態の油圧制御装置1によれば、ロックアップソレノイドバルブSLUとドレーンポート20fとの間にフェールセーフバルブ30を介在させているので、ロックアップソレノイドバルブSLUとドレーンポート20fとの接続を切り離すことができる。このため、フェールセーフ油圧を出力するためのソレノイドバルブとして、ロックアップのために使用されるロックアップソレノイドバルブSLUを適用することができ、通常時はロックアップのために使用し、フェール時のみロックアップ圧PSLUを変速制御部40に供給するように使い分けることができるようになる。よって、フェールセーフ油圧を出力するためのソレノイドバルブをフェール用の専用部品にする必要が無く、部品点数の増加を防止し、装置の小型化を図ることができる。
【0070】
また、本実施の形態の油圧制御装置1では、フェールセーフ油圧を出力するためのソレノイドバルブは、流体伝動装置をロックアップ可能なロックアップクラッチの係合状態を制御するロックアップ圧PSLUを生成するロックアップソレノイドバルブSLUであり、フェールセーフ油圧はロックアップ圧PSLUであるようにしている。
【0071】
このため、本実施の形態の油圧制御装置1によれば、フェールセーフ油圧を出力するためのソレノイドバルブはロックアップソレノイドバルブSLUであるので、フェールセーフ油圧を出力するためのソレノイドバルブをフェールセーフ用の専用部品にする必要が無く、部品点数の増加を防止し、装置の小型化を図ることができる。
【0072】
また、本実施の形態の油圧制御装置1では、ロックアップソレノイドバルブSLUにはライン圧PLが供給され、ロックアップソレノイドバルブSLUはライン圧PLに基づいてロックアップ圧PSLUを供給するようにしている。
【0073】
このため、本実施の形態の油圧制御装置1によれば、ライン圧PLを利用して前進レンジ圧PD、後進レンジ圧PR、ロックアップ圧PSLUを生成できるので、油圧の回路構成を簡素化することができる。
【0074】
尚、上述した本実施の形態の油圧制御装置1では、フェールセーフ油圧を出力するためのソレノイドバルブはロックアップソレノイドバルブSLUである場合について説明したが、これには限定されず、他のソレノイドバルブを適用してもよい。
【0075】
また、上述した本実施の形態の油圧制御装置1では、フェールセーフ油圧を出力するためのソレノイドバルブとドレーンポート20fとの間にフェールセーフバルブ30を介在させた場合について説明したが、これには限定されず、フェールセーフ油圧を出力するためのソレノイドバルブとドレーンポート20fとを直接連結するようにしてもよい。この場合、ECU50は、通常時にはフェールセーフ油圧を出力するためのソレノイドバルブからはフェールセーフ油圧を出力しないようにし、フェール時にはフェールセーフ油圧を出力するためのソレノイドバルブからフェールセーフ油圧を出力するように制御する。