(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
圧縮機(101,201)と四路切換弁(102)と室内熱交換器(104)と減圧機構(108,508)と室外熱交換器(103)とが環状に接続された冷媒回路(100)と、
上記冷媒回路(100)から可燃性冷媒が漏洩したことを検知する冷媒漏洩検知部(95)と、
上記冷媒漏洩検知部(95)が可燃性冷媒の漏洩を検知すると、上記室外熱交換器(103)に可燃性冷媒を溜めるためのポンプダウン運転を行うポンプダウン運転制御部(931)と
を備え、
上記圧縮機(101,201)は、
シリンダ室(122,225)と、
上記シリンダ室(122,225)内に配置され、可燃性冷媒を圧縮する圧縮部材(129,179,240)と、
上記シリンダ室(122,225)内で圧縮された可燃性冷媒を吐出する吐出孔(51a,251a)と
を有し、
上記ポンプダウン運転制御部(931)は、ポンプダウン運転の終了時に、上記シリンダ室(122,225)の軸方向から見て上記圧縮部材(129,179,240)が上記吐出孔(51a,251a)の全部に重なる位置に上記圧縮部材(129,179,240)が停止するように、上記圧縮機(101,201)を制御することを特徴とする空気調和機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来の空気調和機において、ポンプダウン運転によって冷媒を室外熱交換器に回収しても、ポンプダウン運転が終了した後、室外熱交換器に回収した冷媒が、冷媒回路において圧縮機の吐出孔を通って室内熱交換器側へ逆流するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、ポンプダウン運転が終了した後、室外熱交換器に回収した冷媒が、冷媒回路において圧縮機の吐出孔を通って室内熱交換器側へ逆流するのを抑制できる空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明の空気調和機は、
圧縮機と四路切換弁と室内熱交換器と減圧機構と室外熱交換器とが環状に接続された冷媒回路と、
上記冷媒回路から可燃性冷媒が漏洩したことを検知する冷媒漏洩検知部と、
上記冷媒漏洩検知部が可燃性冷媒の漏洩を検知すると、上記室外熱交換器に可燃性冷媒を溜めるためのポンプダウン運転を行うポンプダウン運転制御部と
を備え、
上記圧縮機は、
シリンダ室と、
上記シリンダ室内に配置され、可燃性冷媒を圧縮する圧縮部材と、
上記シリンダ室内で圧縮された可燃性冷媒を吐出する吐出孔と
を有し、
上記ポンプダウン運転制御部は、ポンプダウン運転の終了時に、上記シリンダ室の軸方向から見て上記圧縮部材が上記吐出孔の
全部に重なる位置に上記圧縮部材が停止するように、上記圧縮機を制御することを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、上記ポンプダウン運転制御部が、ポンプダウン運転の終了時に、上記シリンダ室の軸方向から見て上記圧縮部材が上記吐出孔の
全部に重なる位置に圧縮部材が停止するように、圧縮機を制御する。このため、ポンプダウン運転の終了後に、
吐出孔を圧縮部材が全閉していて、可燃性冷媒を室外熱交換器側に閉じ込めることができる。したがって、室外熱交換器に回収した可燃性冷媒が、冷媒回路において、吐出孔から室内熱交換器側へ逆流するのを
防止できる。
【0009】
一実施形態では、
上記シリンダ室内における上記圧縮部材の位置を検出するための位置検出部を備える。
【0010】
上記実施形態によれば、上記位置検出部は、上記シリンダ室内における上記圧縮部材の位置を検出する。このため、検出した圧縮部材の位置に基づいて、上記ポンプダウン運転制御部が、ポンプダウン運転の終了時に、シリンダ室の軸方向から見て圧縮部材と上記吐出孔とが重なる位置に、圧縮部材を確実に停止させることができる。
【0011】
一実施形態では、
上記室内熱交換器と上記減圧機構との間に第1開閉弁を接続している。
【0012】
上記実施形態によれば、ポンプダウン運転の開始後、所定時間の経過後に、上記第1開閉弁を閉鎖することによって、可燃性冷媒を室外熱交換器および圧縮機内に閉じ込めることができる。
【0013】
1実施形態では、
上記第1開閉弁は、自動弁である。
【0014】
上記実施形態によれば、上記第1開閉弁が自動弁であるから、ポンプダウン運転の開始後、所定時間の経過後に、自動弁を自動的に閉鎖するようにでき、制御性がよい。
【0015】
一実施形態では、
上記自動弁は電磁弁または電動弁である。
【0016】
上記実施形態では、上記自動弁は電磁弁または電動弁であるから、汎用性があって安価である。
【0017】
一実施形態では、
上記減圧機構は、全閉可能な電動弁である。
【0018】
上記実施形態によれば、上記減圧機構が全閉可能な電動弁であるから、ポンプダウン運転の開始後、所定時間の経過後に、上記全閉可能な電動弁を全閉にして、可燃性冷媒を室外熱交換器および圧縮機内に閉じ込めることができる。
【0019】
本発明の空気調和機は、
圧縮機と四路切換弁と室外熱交換器と減圧機構と第1閉鎖弁と室内熱交換器と第2閉鎖弁とが環状に接続された冷媒回路と、
上記冷媒回路から可燃性冷媒が漏洩したことを検知する冷媒漏洩検知部と、
上記冷媒漏洩検知部が可燃性冷媒の漏洩を検知すると、上記室外熱交換器に可燃性冷媒を溜めるためのポンプダウン運転を行うポンプダウン運転制御部と
を備え、
上記圧縮機は、
シリンダ室と、
上記シリンダ室内に配置され、可燃性冷媒を圧縮する圧縮部材と、
上記シリンダ室内で圧縮された可燃性冷媒を吐出する吐出孔と
を有し、
上記ポンプダウン運転制御部は、ポンプダウン運転の終了時に、上記シリンダ室の軸方向から見て上記圧縮部材が上記吐出孔の少なくとも一部に重なる位置に上記圧縮部材が停止するように、上記圧縮機を制御することを特徴としている。
【0020】
上記構成によれば、上記ポンプダウン運転制御部が、ポンプダウン運転の終了時に、上記シリンダ室の軸方向から見て上記圧縮部材が上記吐出孔の少なくとも一部に重なる位置に圧縮部材が停止するように、圧縮機を制御する。このため、ポンプダウン運転の終了後に、可燃性冷媒が吐出孔を通って流れるとき、圧縮部材が可燃性冷媒の流れに対する抵抗となって、吐出孔を通る可燃性冷媒の量を低減できる。したがって、室外熱交換器に回収した可燃性冷媒が、冷媒回路において、吐出孔から室内熱交換器側へ逆流するのを抑制できる。
【0021】
また、一実施形態の空気調和機では、
上記シリンダ室内における上記圧縮部材の位置を検出するための位置検出部を備える。
【0022】
上記実施形態によれば、上記位置検出部は、上記シリンダ室内における上記圧縮部材の位置を検出する。このため、検出した圧縮部材の位置に基づいて、上記ポンプダウン運転制御部が、ポンプダウン運転の終了時に、シリンダ室の軸方向から見て圧縮部材と上記吐出孔とが重なる位置に、圧縮部材を確実に停止させることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明の空気調和機によれば、ポンプダウン運転の終了時に、シリンダ室の軸方向から見て上記圧縮部材と上記吐出孔とが重なる位置に、圧縮部材を停止させるので、ポンプダウン運転が終了した後、室外熱交換器に回収した冷媒が、冷媒回路において圧縮機の吐出孔を通って室内熱交換器側へ逆流するのを抑制できる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態の空気調和機を示す構成図である。
図1に示すように、この空気調和機は、室外機91と、この室外機91に接続されている室内機92と、制御装置93と、冷媒漏洩検知部95とを備える。室外機91と室内機92とは、第1配管L1と第2配管L2を介して、接続されている。
【0027】
上記室外機91は、圧縮機101と四路切換弁102と室外熱交換器103と膨張弁108と室外ファン107とアキュムレータ106とを有する。ここで、膨張弁108は、減圧機構の一例である。
【0028】
圧縮機101の吐出側には、四路切換弁102の第1ポートP1が接続されている。四路切換弁102の第2ポートP2には、室外熱交換器103の一端が接続されている。室外熱交換器103の他端には、膨張弁108の一端が接続されている。圧縮機101の吸入側には、アキュムレータ106の一端が接続されている。アキュムレータ106の他端は、四路切換弁102の第3ポートP3に接続されている。
【0029】
上記室内機92は、室内熱交換器104と室内ファン105とを有する。室内熱交換器104の一端には、膨張弁108の他端が接続されている。室内熱交換器104の他端には、四路切換弁102の第4ポートP4が接続されている。
【0030】
上記第1配管L1は、膨張弁108と室内熱交換器104の間に位置し、上記第2配管L2は、室内熱交換器104と四路切換弁102の間に位置する。第1配管L1には、第1閉鎖弁111が設けられ、第2配管L2には、第2閉鎖弁112が設けられている。第1、第2閉鎖弁111,112は、例えば、ストップバルブまたはボールバルブである。
【0031】
上記圧縮機101と、上記四路切換弁102と、上記室外熱交換器103と、上記膨張弁108と、上記室内熱交換器104とは、環状に接続されて、冷媒回路(ヒートポンプ)100を構成している。圧縮機101の運転により、この冷媒回路100内を、可燃性冷媒(例えば、R32からなる単一冷媒またはR32を主成分とする混合冷媒)が循環する。室外熱交換器103は、室外ファン107により、外気と可燃性冷媒との間で、熱交換を行う。室内熱交換器104は、室内ファン105により、室内空気と可燃性冷媒との間で、熱交換を行う。
【0032】
上記冷媒漏洩検知部95は、冷媒回路100から可燃性冷媒が漏洩したことを検知する。冷媒漏洩検知部95は、例えば、室内機92の内部に設けられている。
【0033】
上記制御装置93は、運転制御部931と、位置検出部932とを有する。運転制御部931は、冷房運転モードと、暖房運転モードと、ポンプダウン運転モードとを有している。上記冷房運転モードと上記暖房運転モードとは、ユーザ等によって選択されたときに実行される。ポンプダウン運転モードは、冷媒漏洩検知部95が冷媒回路100から可燃性冷媒が漏洩したことを検知したとき、室外熱交換器103に可燃性冷媒を溜めるために実行される。ここで、運転制御部931は、ポンプダウン運転制御部の一例である。
【0034】
上記冷房運転モードでは、冷房運転を行う。つまり、四路切換弁102を
図1の点線の位置に切り換えて、圧縮機101の運転を開始する。圧縮機101から吐出した高温高圧の気相の可燃性冷媒は、
図1の点線の矢印に示すように、室外熱交換器103と膨張弁108を流れて液相の可燃性冷媒となり、液相の可燃性冷媒は、室内熱交換器104で室内空気と熱交換される。これにより、室内熱交換器104から吹き出される室内空気は、冷却される。この場合、第1閉鎖弁111には、液相の可燃性冷媒が流れ、第2閉鎖弁112には、気相の可燃性冷媒が流れる。
【0035】
上記暖房運転モードでは、暖房運転を行う。つまり、四路切換弁102を
図1の実線の位置に切り換えて、圧縮機101の運転を開始する。圧縮機101から吐出した高温高圧の気相の可燃性冷媒は、
図1の実線の矢印に示すように流れて、室内熱交換器104で室内空気と熱交換される。これにより、室内熱交換器104から吹き出される室内空気は、加熱される。この場合、第1閉鎖弁111には、気相の可燃性冷媒が流れ、第2閉鎖弁112には、液相の可燃性冷媒が流れる。
【0036】
上記ポンプダウン運転モードでは、圧縮機101、第1閉鎖弁111、第2閉鎖弁112および四路切換弁102を制御して、ポンプダウン運転を行う。具体的には、強制的に上記冷房運転を開始し、冷房運転時に液相の可燃性冷媒が流れる液側バルブ(第1閉鎖弁111)を、所定時間の経過後に、自動で閉じる。さらに、冷房運転時に気相の冷媒が流れるガス側バルブ(第2閉鎖弁112)を、所定時間の経過後に、自動で閉じる。これにより、可燃性冷媒を室外熱交換器103や圧縮機101に閉じ込めることができる。
【0037】
図2に示すように、上記圧縮機101は、容器本体1と、容器本体1内に配置された圧縮機構部2と、容器本体1内に配置されると共に圧縮機構部2を駆動するモータ3とを備えている。この圧縮機は、いわゆる縦型のスイングタイプの圧縮機である。
【0038】
上記容器本体1の下側側方の吸込口1aに、吸入管191を接続する一方、容器本体1の上側の吐出口1bに、吐出管192を接続している。吸入管191から供給される可燃性冷媒は、圧縮機構部2の吸込側に直接に導かれる。
【0039】
上記モータ3は、圧縮機構部2の上側に配置され、圧縮機構部2を回転軸12を介して駆動する。モータ3は、圧縮機構部2から吐出された高圧の可燃性冷媒が満たされる容器本体1内の高圧領域に配置されている。
【0040】
上記容器本体1内の下部には、潤滑油が溜められた油溜まり部10が形成されている。この潤滑油は、油溜まり部10から、回転軸12に設けられた(図示しない)油通路を通って、圧縮機構部2やモータ3のベアリング等の摺動部に移動して、この摺動部を潤滑する。潤滑油は、ポリアルキレングリコール油(例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等)や、エーテル油や、エステル油や、鉱油である。
【0041】
上記圧縮機構部2は、シリンダ121と、このシリンダ121の上下の開口端のそれぞれに取り付けられた上端部8および下端部9とを備える。シリンダ121には、吸入管191が、直接に接続され、吸入管191は、シリンダ121の内部に、連通している。
【0042】
上記回転軸12は、上端部8および下端部9を貫通して、シリンダ121の内部に挿入されている。回転軸12は、上端部8の軸受21と、下端部9の軸受22とにより、回転自在に支持されている。
【0043】
上記シリンダ121内の回転軸12に偏心軸部126が設けられ、この偏心軸部126には、ピストン129が嵌合されている。このピストン129とシリンダ121との間には、シリンダ室122が形成されている。ピストン129は、偏芯した状態で回転し、または、公転運動を行い、シリンダ室122の容積を変化させる。ここで、ピストン129は、可燃性冷媒を圧縮する圧縮部材の一例である。
【0044】
上記モータ3は、ロータ30とステータ40とを有する。ロータ30は、円筒形状であり、上記回転軸12に固定されている。ステータ40は、ロータ30の外周側を囲むように配置されている。つまり、上記モータ3は、インナーロータ型のモータである。
【0045】
上記ロータ30は、ロータコア31と、ロータコア31に軸方向に埋め込まれると共に周方向に配列された複数の磁石32とを有する。上記ステータ40は、容器本体1の内面に接触するステータコア41と、ステータコア41に巻回されたコイル42とを有する。
【0046】
上記コイル42に電流を流すことで、電磁力により、上記ロータ30が回転し、ロータ30が回転することで、回転軸12を介して、ピストン129を公転させて、シリンダ室122内の可燃性冷媒を圧縮する圧縮動作を行う。そして、シリンダ室122で圧縮された可燃性冷媒は、圧縮機構部2の上端部8に設けられた吐出孔51aを介して、シリンダ室122の外側に吐出される。
【0047】
上記位置検出部932(
図1参照)は、モータ3のコイル42に流れる電流や電圧等に基づいてモータ3のロータコア31の位置を検出し、このロータコア31の位置に基づいてシリンダ室122内におけるピストン129の位置を検出するようになっている。
【0048】
次に、圧縮機構部2のシリンダ121の圧縮動作を
図3A〜
図3Dに従って説明する。
図3A〜
図3Dは、圧縮機101の圧縮機構部2の要部の平面図を示している。
【0049】
図3Aに示すように、ピストン129は、ローラ27と、ローラ27の外周面に固定されたブレード28とを有する。ここで、ローラ27とブレード28とは、一体に設けられている。
【0050】
図3B〜
図3Dに示すように、上記ピストン129のブレード28によってシリンダ室122内を仕切っている。すなわち、ブレード28の右側の室は、吸入管191がシリンダ室122の内面に開口して、吸入室(低圧室)122aを形成している。一方、ブレード28の左側の室は、吐出孔51aがシリンダ室122の内面に開口して、吐出室(高圧室)22bを形成している。
【0051】
上記ブレード28の両側面には、一対の半円柱状のブッシュ25,25が密着してシールを行っている。ブレード28とブッシュ25,25との間は、潤滑油で潤滑される。上記ブッシュ25,25によりブレード28を両側から挟んで揺動自在にかつ進退自在に支持している。このブレード28は、シリンダ121に設けられた被給油空間110に出没する。この被給油空間110と油溜まり部10(
図2に示す)とは、図示しない給油管によって連通している。
【0052】
そして、
図3A〜
図3Dに順次示すように、偏心軸部126が回転軸12と共に、
図3A〜
図3Dの時計回りに偏心回転する。このとき、偏心軸部126に嵌合したローラ27の外周面27Aは、シリンダ室122の内周面122Aに当接しながら、
図3A〜
図3Dの時計回りに公転する。
【0053】
上記ローラ27がシリンダ室122内で公転するに伴って、ブレード28は、このブレード28の両側面がブッシュ25,25によって支持されて進退動する。これにより、吸入管191から低圧ガス状態の可燃性冷媒を吸入室122aに吸入し、吐出室122bで圧縮して高圧にした後、吐出孔51aから高圧ガス状態の可燃性冷媒ガスが吐出される。
【0054】
上記ポンプダウン運転の終了時には、
図3Aに示すように、上記運転制御部931は、シリンダ室122の軸方向から見てピストン129のローラ27と吐出孔51aの全部とが重なる重複位置にピストン129が停止するように、圧縮機101を制御する。
【0055】
このとき、上記運転制御部931は、位置検出部932が検出したピストン129の位置に基づいて、ピストン129が上記重複位置に停止するように、圧縮機101を制御する。したがって、運転制御部931がピストン129を上記重複位置に確実に停止させることができる。
【0056】
上記構成の空気調和機によれば、上記運転制御部931が、ポンプダウン運転の終了時、上記重複位置にピストン129のローラ27が停止するように、圧縮機101を制御する。このため、ポンプダウン運転の終了後に、可燃性冷媒が吐出孔51aを通って流れるとき、ピストン129のローラ27が可燃性冷媒の流れに対する抵抗となって、吐出孔51aを通る可燃性冷媒の量を低減できる。したがって、室外熱交換器103に回収した可燃性冷媒が、冷媒回路100において、吐出孔51aから室内熱交換器104側へ逆流するのを抑制できる。
【0057】
また、仮に第2閉鎖弁112が動作不良等により閉止できなくても、可燃性冷媒が第2閉鎖弁112を通過する量を低減できる。
【0058】
上記運転制御部931は、シリンダ室122の軸方向から見てピストン129のローラ27と吐出孔51aの全部とが重なる重複位置にピストン129が停止するように、圧縮機101を制御して
いるので、例えば、
図3Dに示すように、運転制御部は、シリンダ室122の軸方向から見てピストン129のローラ27と吐出孔51aの一部とが重なる位置にピストン129が停止するように圧縮機101を制御
する場合に比べて、吐出孔51aが全閉されていて、可燃性冷媒を室外熱交換器103側に閉じ込めることができる。
【0059】
(第2実施形態)
図4A〜
図4Dは、本発明の第2実施形態の空気調和機における圧縮機の圧縮機構部152の要部の平面図を示している。この第2実施形態の圧縮機では、ピストン179は、ローラ81と、ブレード82とを有し、ローラ81とブレード82とは、別体であって相対運動するようになっている点が上記第1実施形態と相違する。なお、この第2実施形態において、上記第1実施形態と同一の符号は、上記第1実施形態と同じ構成であるため、その説明を省略する。この圧縮機は、いわゆるロータリータイプの圧縮機である。
【0060】
図4Aに示すように、ブレード82は、上下方向に延在している。ブレード82の下端部は、ローラ81に当接すると共に、ブレード82の上端部は、シリンダ171に設けられたブレード収納室83に取り付けられたバネ84によって図中下方に押圧されている。そして、ブレード82は、
図4A〜
図4Dに示すように、ローラ81の移動に伴って上下方向に移動して、シリンダ室122とブレード収納室83とを出入りするようになっている。
【0061】
この場合でも、上記第1実施形態と同様に、運転制御部931が、ポンプダウン運転の終了時、上記重複位置にピストン179のローラ81が停止するように、圧縮機101を制御する。このため、ポンプダウン運転終了後に、可燃性冷媒が吐出孔51aを通って流れるとき、ピストン179のローラ81が可燃性冷媒の流れに対する抵抗となって、吐出孔51aを通る可燃性冷媒の量を低減できる。したがって、室外熱交換器103に回収した可燃性冷媒が、冷媒回路100において、吐出孔51aから室内熱交換器104側へ逆流するのを抑制できる。
【0062】
上記運転制御部931は、シリンダ室122の軸方向から見てピストン179のローラ81と吐出孔51aの全部とが重なる重複位置にピストン179が停止するように、圧縮機101を制御して
いるので、例えば、
図4Dに示すように、運転制御部は、シリンダ室122の軸方向から見てピストン179のローラ81と吐出孔51aの一部とが重なる位置にピストン179が停止するように圧縮機101を制御
する場合に比べて、吐出孔51aが全閉されていて、可燃性冷媒を室外熱交換器103側に閉じ込めることができる。
【0063】
(第3実施形態)
図5は、本発明の第3実施形態の空気調和機における圧縮機201の要部の縦断面図を示している。
図5に示すように、この圧縮機201は、密閉容器211と、上記密閉容器211内に配置された圧縮機構部202と、上記密閉容器211内かつ圧縮機構部202の下側に配置され、圧縮機構部202をクランクシャフト260を介して駆動する図示しないモータとを備えている。この圧縮機は、いわゆるスクロールタイプの圧縮機である。
【0064】
上記密閉容器211には、吸入管291が取り付けられている。吸入管291は、密閉容器211を貫通している。上記モータによりクランクシャフト260を介して圧縮機構部202を駆動すると、吸入管291から供給された可燃性冷媒は、圧縮機構部202内に供給され、圧縮されるようになっている。
【0065】
上記圧縮機構部202は、ハウジング221と、固定スクロール230と、この固定スクロール230に重ね合わされると共に密閉容器211に対して公転可能に移動する可動スクロール240とを有する。
【0066】
ハウジング221は、厚肉の円板状に形成されている。ハウジング221は、外周面が密閉容器211の内周面と接しており、密閉容器211に固定されている。ハウジング221の中央部をクランクシャフト260が貫通している。
【0067】
ハウジング221の上には、固定スクロール230と、可動スクロール240とが載置されている。固定スクロール230は、ボルト等によってハウジング221に固定されている。一方、可動スクロール240は、ハウジング221には固定されておらず、クランクシャフト260に取り付けられている。
【0068】
可動スクロール240は、可動鏡板部241と、可動ラップ242と、円筒部243とを一体に形成した部材である。可動鏡板部241は、円板状に形成されている。可動ラップ242は、渦巻き壁状に形成されており、可動鏡板部241の前面(
図5における上面)から上方に突出して設けられている。円筒部243は、円筒状に形成され、可動鏡板部241の背面(
図5における下面)から下方に突出して設けられている。円筒部243には、クランクシャフト260の偏心部263が嵌合され、クランクシャフト260が回転することによって、可動スクロール240を旋回(公転運動)させる。
【0069】
固定スクロール230は、固定鏡板部231と、固定ラップ232とを一体に形成した部材である。固定鏡板部231は、円板状に形成されている。固定ラップ232は、渦巻き壁状に形成されており、固定鏡板部231の前面(
図5における下面)から下方に突出して設けられている。固定鏡板部231は、固定ラップ232の周囲を囲う部分233を備えている。この部分233の内周側面は、固定ラップ232と共に可動ラップ242と摺接してシリンダ室225を形成する。
【0070】
固定鏡板部231の外周付近には、吸入管291が挿入されている。また、固定鏡板部231には、吐出孔251aが形成されている。吐出孔251aは、固定鏡板部231の中央付近に形成された貫通孔であって、固定鏡板部231を厚さ方向に貫通している。固定鏡板部231の前面において、吐出孔251aは、固定ラップ232の内周側端部の近傍に開口している。
【0071】
上記圧縮機構部202には、吐出ガス通路228が形成されている。この吐出ガス通路228は、固定スクロール230からハウジング221に亘って形成された通路である。吐出ガス通路228は、一端が吐出孔251aに連通し、他端がハウジング221の下面に開口している。
【0072】
上記圧縮機構部202において、固定スクロール230と可動スクロール240は、固定鏡板部231の前面と可動鏡板部241の前面とが互いに向かい合い、固定ラップ232と可動ラップ242とが互いに噛み合うように配置されている。圧縮機構部202では、固定ラップ232と可動ラップ242とが互いに噛み合うことによって、複数のシリンダ室225が形成されている。
【0073】
上記モータへ通電すると、クランクシャフト260によって、可動スクロール240が駆動され、旋回する。可動スクロール240の旋回により、冷媒回路100の可燃性冷媒が吸入管291を通って、圧縮機構部202の内部へ吸引される。このような状態から、可動スクロール240が更に回転すると、シリンダ室225では、それぞれ吸入工程、圧縮工程、吐出工程が順に行われる。圧縮機構部202で圧縮された可燃性冷媒は、吐出孔251aから吐出され、吐出ガス通路228を介して密閉容器211の外部に吐出される。ここで、可動スクロール240は、可燃性冷媒を圧縮する圧縮部材の一例である。
【0074】
次に、圧縮機構部202の圧縮動作を
図6A〜
図6Dに従って説明する。
図6A〜
図6Dは、圧縮機201の圧縮機構部202の要部の平面図を示している。
【0075】
図6A〜
図6Dに示すように、圧縮機構部202では、固定ラップ232と可動ラップ242とが互いに噛み合うことによって、平面視において三日月形状のシリンダ室225が複数形成されている。
【0076】
まず、
図6Aの状態の可動ラップ242が旋回すると、吸入管291を通って可燃性冷媒が固定ラップ232と可動ラップ242との間に流入していく(吸入行程)。次に、
図6Bの状態の可動ラップ242が
図6C→
図6D→
図6Aの順に更に回転すると、シリンダ室225の容積が小さくなっていき、可燃性冷媒が圧縮されていく(圧縮行程)。そして、可動ラップ242が更に回転して、シリンダ室225が吐出孔251aと連通すると、吐出孔251aから高圧の可燃性冷媒が吐出される(吐出工程)。
【0077】
上記ポンプダウン運転の終了時には、
図6Aに示すように、上記運転制御部931は、シリンダ室225の軸方向から見て可動ラップ242と吐出孔251aの全部とが重なる重複位置に可動ラップ242が停止するように、圧縮機201を制御する。
【0078】
この場合でも、上記第1実施形態と同様に、運転制御部931が、ポンプダウン運転の終了時、上記重複位置に可動スクロール240の可動ラップ242が停止するように、圧縮機201を制御する。このため、ポンプダウン運転が終了した後、可動ラップ242が吐出孔251aを覆って、吐出孔251aを通る可燃性冷媒の量を低減できる。したがって、室外熱交換器103に回収した可燃性冷媒が、冷媒回路100において、吐出孔251aから室内熱交換器104側へ逆流するのを抑制できる。
【0080】
なお、上記第1〜第3の実施形態では、ポンプダウン運転時に、第1,第2閉鎖弁111,112を自動で閉じていたが、これに限らず、第1,第2閉鎖弁を手動で閉じてもよい。
【0081】
また、上記第1〜第3の実施形態では、減圧機構を膨張弁108としたが、これに限らず、例えば、キャピラリーチューブ等としてもよい。
【0082】
また、上記第1〜第3の実施形態では、位置検出部932がモータ3のコイルに流れる電流や電圧等によりモータ3のロータの位置を検出し、ピストン129,179、可動スクロール240の位置を検出していた。しかしながら、これに限らず、例えば、モータにエンコーダを設けて、このエンコーダの出力によって、モータの回転位置等を検出してもよい。また、例えば、位置検出部を設けず、ポンプダウン運転終了時にピストンまたは可動スクロールが所定の位置で止まるように、ピストンまたは可動スクロールを挟持し、ロックするロック機構を設けてもよい。
【0083】
また、上記第1〜第3の実施形態では、冷媒漏洩検知部95は、室内機92の内部に設けられていたが、これに限らず、室内機が設置されている室内に設けられ、この室内に漏洩した可燃性冷媒を検知するようになっていてもよい。
【0084】
また、上記第1〜第3の実施形態では、可燃性冷媒として、微燃性のR32の単一冷媒またはR32を主成分とする混合冷媒を用いたが、これに限らず、プロパン,ブタン,アンモニア等の可燃性冷媒を用いてもよい。
【0085】
(第4実施形態)
図7は、本発明の第4実施形態の空気調和機を示す概略構成図であり、第1実施形態の
図1とは、電磁弁311,312を設けた点のみが異なる。
図7において、
図1に示す第1実施形態の構成要素と同一の構成要素については、
図1の構成要素と同一参照番号を付して、それらの構成および作用の説明を省略し、異なる構成要素について、以下に説明する。なお、第1実施形態の
図2、
図3A〜3Dは、第4実施形態でも援用する。
【0086】
図1に示す第1実施形態では、開閉弁の一例として、第1,第2閉鎖弁111,112を用いていたが、この第4実施形態では、開閉弁の一例として自動で開閉する第1,第2電磁弁311,312を用い、第1,第2閉鎖弁111,112を補修、点検などのサービス時に手動で開閉する開閉弁として用いている。
【0087】
上記第1電磁弁311は、膨張弁108と第1閉鎖弁111との間に接続する一方、上記第2電磁弁312は、四路切換弁102と第2閉鎖弁112との間に接続している。
【0088】
上記構成の空気調和機において、冷媒漏洩検知部95が冷媒回路100から可燃性冷媒が漏洩したことを検知すると、制御装置93のポンプダウン運転制御部としての運転制御部931は、室外熱交換器103および圧縮機101に可燃性冷媒を溜めるためのポンプダウン運転モードを実行する。
【0089】
このポンプダウン運転モードでは、運転制御部931によって、圧縮機101、第1電磁弁311、第2電磁弁312および四路切換弁102を制御して、強制的に冷房運転を開始し、かつ、冷房運転時に液相の可燃性冷媒が流れる第1電磁弁311を、ポンプダウン運転の開始後、所定時間の経過後に、自動的に閉鎖させ、さらに、冷房運転時に気相の冷媒が流れる第2電磁弁312を、ポンプダウン運転の開始後、所定時間の経過後に、自動的に閉鎖させる。これにより、可燃性冷媒を室外熱交換器103および圧縮機101内に閉じ込めることができる。
【0090】
さらに、上記運転制御部931は、ポンプダウン運転の終了時に、シリンダ室122の軸方向から見てピストン129のローラ27と吐出孔51aの全部とが重なる重複位置にピストン129が停止するように、圧縮機101を制御する。
【0091】
このように、上記運転制御部931で、ピストン129のローラ27が吐出孔51aを全閉する位置で停止するように、圧縮機101を制御するから、ポンプダウン運転の終了後に、可燃性冷媒が吐出孔51aを通って流出しようとすると、ピストン129のローラ27が可燃性冷媒の流れに対する抵抗となって、可燃性冷媒の吐出孔51aからの流出を防止し、あるいは、吐出孔51aを通って流出する可燃性冷媒の量を低減できる。
【0092】
したがって、室外熱交換器103に回収した可燃性冷媒が、冷媒回路100において、吐出孔51aから室内熱交換器104側へ逆流するのを抑制できる。
【0093】
また、もし仮に第2電磁弁312が動作不良等により閉止できなくても、可燃性冷媒が第2電磁弁312を通過する量を低減できる。
【0095】
上記第4実施形態では、第2電磁弁312を設けたが、この第2電磁弁312を除去して、ピストン129のローラ27で吐出孔51aを全閉させて、このローラ27と吐出孔51aとの位置関係で、第2電磁弁312と同様に閉鎖機能を持たせるようにしてもよい。
【0096】
また、第4実施形態では、第1,第2閉鎖弁111,112は、補修、点検などのサービス時のためのものであるので、これらの第1,第2閉鎖弁111,112は除去してもよい。
【0097】
また、この第4実施形態では、自動弁として第1,第2電磁弁311,312を用いたが、第8図に示す変形例のように、
図7の第1電磁弁311に代えて、自動弁として、全閉することが可能な第1電動弁411を用いて、第1電動弁411に第1電磁弁311と同様の機能をさせて、第4実施形態と同様の作用、効果が得られるようにしてもよい。
【0098】
なお、
図8に示す変形例では、第2電磁弁312を除去していたが、
図7の第2電磁弁312と同様の機能を有する図示しない第2電動弁を設けてもよい。
【0099】
(第5実施形態)
図9は、本発明の第5実施形態の空気調和機を示す概略構成図であり、第1実施形態の
図1とは、
図1の膨張弁108に代えて減圧機構としての全閉可能な電動弁508を用いた点のみが異なる。したがって、
図9において、
図1に示す第1実施形態の構成要素と同一の構成要素については、
図1の構成要素と同一参照番号を付して、それらの構成および作用の説明を省略し、異なる構成要素について、以下に説明する。なお、第1実施形態の
図2、
図3A〜3Dは、この第5実施形態でも援用する。
【0100】
図1に示す第1実施形態では、ポンプダウン運転の開始後、所定時間の経過後に、第1閉鎖弁111を閉鎖していたが、第5実施形態では、この第1閉鎖弁11の役目を全閉可能な電動弁508を全閉にすることによって行っている。
【0101】
なお、上記第1閉鎖弁111は、主に、補修、点検などのサービス時に使用する。
【0102】
上記構成の空気調和機において、冷媒漏洩検知部95が冷媒回路100から可燃性冷媒が漏洩したことを検知すると、制御装置93のポンプダウン運転制御部としての運転制御部931は、室外熱交換器103および圧縮機101に可燃性冷媒を溜めるためのポンプダウン運転モードを実行する。
【0103】
このポンプダウン運転モードでは、運転制御部931によって、圧縮機101、全閉可能な電動弁508および四路切換弁102を制御して、強制的に冷房運転を開始し、かつ、冷房運転時に液相の可燃性冷媒が流れる全閉可能な電動弁508を、ポンプダウン運転の開始後、所定時間の経過後に、自動的に全閉にし、さらに、冷房運転時に気相の冷媒が流れる第2閉鎖弁112を、ポンプダウン運転の開始後、所定時間の経過後に、閉鎖する。これにより、可燃性冷媒を室外熱交換器103および圧縮機101内に閉じ込めることができる。
【0104】
さらに、上記運転制御部931は、ポンプダウン運転の終了時に、シリンダ室122の軸方向から見てピストン129のローラ27と吐出孔51aの全部とが重なる重複位置にピストン129が停止するように、圧縮機101を制御する。
【0105】
このように、上記運転制御部931で、ピストン129のローラ27が吐出孔51aを全閉する位置で停止するように、圧縮機101を制御するから、ポンプダウン運転の終了後に、可燃性冷媒が吐出孔51aを通って流出しようとすると、ピストン129のローラ27が可燃性冷媒の流れに対する抵抗となって、可燃性冷媒の吐出孔51aからの流出を防止し、あるいは、吐出孔51aを通って流出する可燃性冷媒の量を低減できる。
【0106】
したがって、室外熱交換器103に回収した可燃性冷媒が、冷媒回路100において、吐出孔51aから室内熱交換器104側へ逆流するのを抑制できる。
【0107】
なお、この第5実施形態では、第1および第2閉鎖弁111,112を用いていたが、これらは除去してもよい。
【0108】
第1〜第5実施形態および変形例で述べた構成要素は、適宜、組み合わせてもよく、また、適宜、選択、置換、あるいは、削除してもよいのは、勿論である。