(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記調整部は、前記1又は複数のレンズの前記光軸の方向への移動によって前記光学部の重心の位置が変化する場合に、前記光学部の重心の位置の変化する方向に、前記保持部による前記光学部の保持位置を調整する、請求項4に記載の移動体。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ウェイトを搭載していなくても、レンズを含む装置を保持する保持部に加えられる負荷が、レンズの移動により変動することを抑制できる機構又は方法が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
一態様において、光学装置は、1又は複数のレンズを有する光学部と、回転軸を有し、光学部を回転可能に保持する保持部と、1又は複数のレンズの移動に対応させて、回転軸に平行な方向と交わる方向における保持部による光学部の保持位置を調整する調整部とを備える。
【0005】
調整部は、1又は複数のレンズの光軸の方向への移動に対応させて、保持部による光学部の保持位置を光軸に沿って調整してよい。
【0006】
調整部は、1又は複数のレンズの光軸の方向への移動によって光学部の重心の位置が変化する場合に、光学部の重心の位置の変化する方向に、保持部による光学部の保持位置を調整してよい。
【0007】
調整部は、回転軸が光学部の重心から予め定められた距離の範囲内を通るように、保持部による光学部の保持位置を調整してよい。
【0008】
光学装置は、1又は複数のレンズの位置を示すレンズ位置設定情報に基づいて、1又は複数のレンズの位置を制御する制御部を備えてよい。光学装置は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対応づけて、保持部による光学部の保持位置を示す保持位置情報を格納する第1格納部を備えてよい。調整部は、制御部が用いるレンズ位置設定情報に対応づけて第1格納部に格納されている保持位置情報に基づいて、保持部による光学部の保持位置を調整してよい。
【0009】
光学装置は、1又は複数のレンズが複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに基づいて位置づけられた場合に、光学部から保持部に加えられる負荷を測定する測定部を備えてよい。光学装置は、測定部が測定した負荷に基づいて、1又は複数のレンズが複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに基づいて位置づけられた場合に、保持部が光学部を保持すべき保持位置を決定する決定部を備えてよい。第1格納部は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対応づけて、決定部が決定した保持位置を示す保持位置情報を格納してよい。
【0010】
光学装置は、光学部の重心の位置を示す重心位置情報を取得する取得部を備えてよい。光学装置は、重心位置情報に基づいて、1又は複数のレンズが複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに基づいて位置づけられた場合に、保持部が光学部を保持すべき保持位置を決定する決定部を備えてよい。第1格納部は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対応づけて、決定部が決定した保持位置を示す保持位置情報を格納してよい。
【0011】
1又は複数のレンズは、交換レンズでよい。光学部は、1又は複数のレンズの複数の位置のそれぞれに対応する複数の重心位置情報を格納する第2格納部を有してよい。取得部は、第2格納部から複数の重心位置情報を取得してよい。
【0012】
光学装置は、光学部から保持部に加えられる負荷を測定する測定部を備えてよい。光学装置は、測定部が測定した負荷が予め定められた許容範囲になるように、保持部が光学部を保持すべき保持位置を決定する決定部を備えてよい。
【0013】
光学部は、1又は複数のレンズにより結像された像を撮像する撮像部を有してよい。
【0014】
一態様において、移動体は、光学装置を備えて移動する。
【0015】
決定部は、移動体に電源が投入されてから移動体が移動し始めるまでの間に、保持部が光学部を保持すべき保持位置を決定してよい。
【0016】
移動体は、移動体を移動させるための駆動部を備えてよい。移動体は、移動体の状況又は移動体の周囲の状況を検出する検出部を備えてよい。移動体は、駆動部及び検出部の動作確認を実行する実行部を備えてよい。決定部は、実行部が動作確認を実行している間に、保持部が光学部を保持すべき保持位置を決定してよい。
【0017】
一態様において、保持位置調整方法は、保持部よって回転軸を中心に回転可能に保持された光学部が有する1又は複数のレンズを移動させる段階と、1又は複数のレンズの移動に対応させて、回転軸の方向とは異なる方向における保持部による光学部の保持位置を調整する段階とを備える。
【0018】
保持位置調整方法は、1又は複数のレンズの位置を示すレンズ位置設定情報に基づいて、1又は複数のレンズの位置を制御する段階を備えてよい。調整する段階は、制御する段階で用いられるレンズ位置設定情報に対応づけて第1格納部に格納されている保持位置情報に基づいて、保持部による光学部の保持位置を調整する段階を含んでよい。
【0019】
保持位置調整方法は、1又は複数のレンズが複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに基づいて位置づけられた場合に、光学部から保持部に加えられる負荷を測定する段階を備えてよい。保持位置調整方法は、測定された負荷に基づいて、1又は複数のレンズが複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに基づいて位置づけられた場合に、保持部が光学部を保持すべき保持位置を決定する段階を備えてよい。保持位置調整方法は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対応づけて、決定された保持位置を示す保持位置情報を第1格納部に格納する段階を備えてよい。
【0020】
保持位置調整方法は、光学部の重心の位置を示す重心位置情報を取得する段階を備えてよい。保持位置調整方法は、重心位置情報に基づいて、1又は複数のレンズが複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに基づいて位置づけられた場合に、保持部が光学部を保持すべき保持位置を決定する段階を備えてよい。保持位置調整方法は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対応づけて、決定された保持位置を示す保持位置情報を第1格納部に格納する段階を備えてよい。
【0021】
一態様において、プログラムは、保持位置調整方法をコンピュータに実行させる。
【0022】
上記の発明の概要は、本発明の特徴の全てを列挙したものではない。これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0025】
特許請求の範囲、明細書、図面、及び要約書には、著作権による保護の対象となる事項が含まれる。著作権者は、これらの書類の何人による複製に対しても、特許庁のファイルまたはレコードに表示される通りであれば異議を唱えない。ただし、それ以外の場合、一切の著作権を留保する。
【0026】
図1は、無人航空機(UAV)100の外観の一例を示す。UAV100は、UAV本体102、ジンバル110、及び光学部200を備える。ジンバル110及び光学部200は、光学装置の一例である。UAV100は、光学装置を備えて移動する移動体の一例である。移動体とは、UAVの他、空中を移動する他の航空機、地上を移動する車両、水上を移動する船舶等を含む概念である。
【0027】
UAV本体102は、複数の回転翼を備える。UAV本体102は、複数の回転翼の回転を制御することでUAV100を飛行させる。UAV本体102は、例えば、4つの回転翼を用いてUAV100を飛行させる。回転翼の数は、4つには限定されない。UAV100は、回転翼を有さない固定翼機でもよい。
【0028】
ジンバル110は、光学部200を回転可能に保持する。例えば、ジンバル110は、光学部200をピッチ軸で回転可能に保持する。ジンバル110は、さらにロール軸及びヨー軸のそれぞれを中心に回転可能に光学部200を保持する。光学部200は、カメラでよく、被写体を撮像することにより画像データを生成して記録する。
【0029】
図2は、UAV100の機能ブロックの一例を示す。UAV100は、UAV本体102、ジンバル110、及び光学部200を備える。UAV本体102、ジンバル110、及び光学部200が備える各部は、ハードウェア、ファームウェア、及びソフトウェアのいずれかで構成されてよい。UAV本体102は、UAV制御部104、メモリ106、通信インタフェース120、駆動部122、及び検出部124を備える。駆動部122は、UAV100を移動させる機構である。駆動部122は、例えば、複数の回転翼、及び複数の回転翼を駆動する複数の駆動モータを含む。UAV100は、駆動部122が駆動することで飛行する。
【0030】
通信インタフェース120は、外部の送信機と通信する。通信インタフェース120は、UAV制御部104に対する各種の命令を遠隔の送信機から受信する。メモリ106は、UAV制御部104が飛行制御及び撮像制御をするのに必要なプログラム等を格納する。メモリ106は、コンピュータ読み取り可能な記録媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリ等のフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ106は、UAV100の筐体に設けられてよい。メモリ106は、UAV100の筐体から取り外し可能に設けられてよい。
【0031】
検出部124は、UAV100の状況、又はUAV100の周囲の状況を検出する。検出部124は、例えば、UAV100の緯度、経度、及び高度を含む位置、及びUAV100の機首の向きに対応する方位を検出する。検出部124は、UAV100の周囲を撮像するセンシング用の撮像装置を含んでよい。
【0032】
UAV制御部104は、メモリ106に格納されたプログラムに従ってUAV100の飛行及び撮像を制御する。UAV制御部104は、CPU又はMPU等のマイクロプロセッサ、MCU等のマイクロコントローラ等により構成されてよい。UAV制御部104は、通信インタフェース120を介して遠隔の送信機から受信した命令に従って、UAV100の飛行及び撮像を制御する。
【0033】
UAV制御部104は、検出部124から取得した複数の画像を解析することで、UAV100の周囲の環境を特定してよい。UAV制御部104は、UAV100の周囲の環境に基づいて、例えば、障害物を回避して飛行を制御する。UAV制御部104は、複数の撮像装置により撮像された複数の画像に基づいてUAV100の周囲の3次元空間データを生成し、3次元空間データに基づいて飛行を制御してよい。
【0034】
UAV制御部104は、動作確認実行部108を含む。動作確認実行部108は、UAV100の飛行前のイニシャライズを実行する。動作確認実行部108は、駆動部122及び検出部124の動作確認を実行する。動作確認実行部108は、UAV100の飛行前に、駆動部122及び検出部124の動作確認を実行してよい。動作確認実行部108は、回転翼を駆動させる駆動モータ、及びUAV100の状況を検出する各種センサの動作確認を実行してよい。動作確認実行部108は、実行部の一例である。
【0035】
光学部200は、複数のレンズ210、レンズ移動機構212、レンズ制御部220、重心位置情報格納部222、レンズ位置設定情報格納部224、及び撮像部230を有する。撮像部230は、撮像素子232、撮像制御部234、及びメモリ236を含む。撮像素子232は、レンズ210を介して結像された光学像の画像データを生成して、撮像制御部234に出力する。撮像素子232は、CCD又はCMOSにより構成されてよい。撮像制御部234は、撮像素子232から出力された画像データをメモリ236に格納する。撮像制御部234は、UAV制御部104を介して画像データをメモリ106に出力して格納してもよい。撮像制御部234は、UAV制御部104から提供された光学部200の動作命令に応じて、光学部200を制御する。撮像制御部234は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。メモリ236は、コンピュータ可読可能な記録媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。メモリ236は、光学部200の筐体の内部に設けられてよい。メモリ236は、光学部200の筐体から取り外し可能に設けられてよい。
【0036】
複数のレンズ210は、ズームレンズ、バリフォーカルレンズ、及びフォーカスレンズとして機能してよい。複数のレンズ210の少なくとも一部又は全部は、光軸に沿って移動可能に配置される。複数のレンズ210は、光学部200に対して着脱可能に設けられる交換レンズでよい。レンズ移動機構212は、複数のレンズ210の少なくとも一部又は全部を光軸に沿って移動させる。
【0037】
重心位置情報格納部222は、光学部200の重心の位置を示す重心位置情報を格納する。重心位置情報は、例えば、光学部200の重心の位置を示す情報、及び光学部200の質量を示す情報を含む。光学部200の重心の位置を示す情報は、ズーム位置毎の重心の位置を示す情報を含む。重心位置情報は、例えば、交換レンズのズーム位置毎の重心の位置、交換レンズの質量、カメラ本体の重心の位置、及びカメラ本体の質量を示す情報を含む。重心位置情報格納部222は、第2格納部の一例である。
【0038】
レンズ位置設定情報格納部224は、1又は複数のレンズ210の位置を示すレンズ位置設定情報を格納する。レンズ位置設定情報は、例えば、ズーム位置に対応する1又は複数のレンズ210の位置を示す情報を含む。レンズ位置設定情報格納部224は、複数のズーム位置に応じた複数のレンズ位置設定情報を格納してよい。重心位置情報格納部222及びレンズ位置設定情報格納部224は、メモリで構成されてよい。メモリは、コンピュータ可読可能な記録媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。
【0039】
レンズ制御部220は、1又は複数のレンズ210の位置を示すレンズ位置設定情報に基づいて、1又は複数のレンズ210の位置を制御する。レンズ制御部220は、撮像部230からのレンズ制御命令に従って、レンズ移動機構212を駆動して、1又は複数のレンズ210を光軸方向に沿って移動させる。レンズ制御命令は、例えば、ズーム制御命令、及びフォーカス制御命令である。レンズ制御部220は、ズーム制御命令が示すズーム位置に対応するレンズ位置設定情報をレンズ位置設定情報格納部224から取得する。レンズ制御部220は、レンズ位置設定情報が示す1又は複数のレンズ210の位置に、レンズ移動機構212を介して1又は複数のレンズ210を移動させる。レンズ制御部220は、制御部の一例である。
【0040】
ジンバル110は、保持部130、ジンバル制御部140、及び保持位置情報格納部148を備える。保持部130は、回転軸を中心に光学部200を回転可能に保持する。保持部130は、1又は複数のレンズ210の光軸の方向とは異なる方向の回転軸を中心に、光学部200を回転可能に保持する。保持部130は、ヨー軸回転機構132、ピッチ軸回転機構134、及びロール軸回転機構136を有する。ヨー軸回転機構132は、ヨー軸を中心に光学部200を回転させる。ピッチ軸回転機構134は、ピッチ軸を中心に光学部200を回転させる。ロール軸回転機構136は、ロール軸を中心に光学部200を回転させる。
【0041】
保持位置情報格納部148は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対応づけて、保持部130による光学部200の保持位置を示す保持位置情報を格納する。保持位置情報格納部148は、メモリで構成されてよい。保持位置情報格納部148は、第1格納部の一例である。メモリは、コンピュータ可読可能な記録媒体でよく、SRAM、DRAM、EPROM、EEPROM、及びUSBメモリなどのフラッシュメモリの少なくとも1つを含んでよい。当該メモリは、ジンバル110の筐体の内部に設けられてよい。当該メモリは、ジンバル110の筐体から取り外し可能に設けられてよい。当該メモリは、UAV本体102の筐体の内部に設けられてよい。当該メモリは、UAV本体102の筐体から取り外し可能に設けられてよい。
【0042】
ジンバル制御部140は、負荷測定部142、保持位置決定部144、レンズ情報取得部146、及び保持位置調整部150を含む。ジンバル制御部140は、保持部130を介して光学部200の姿勢を制御する。ジンバル制御部140は、保持位置調整部150を介して保持部130による光学部200の保持位置を制御する。ジンバル制御部140は、CPU又はMPUなどのマイクロプロセッサ、MCUなどのマイクロコントローラなどにより構成されてよい。
【0043】
保持位置調整部150は、1又は複数のレンズ210の移動に対応させて、保持部130の特定の回転軸の方向とは異なる方向における保持部130による光学部200の保持位置を調整する。保持位置調整部150は、1又は複数のレンズ210の光軸の方向への移動に対応させて、保持部130による光学部200の保持位置を光軸に沿って調整してよい。保持位置調整部150は、1又は複数のレンズ210の光軸の方向への移動によって光学部200の重心の位置が変化する場合に、光学部200の重心の位置の変化する方向に、保持部130による光学部200の保持位置を調整してよい。保持位置調整部150は、特定の回転軸が光学部200の重心を通るように、保持部130による光学部200の保持位置を調整してよい。保持位置調整部150は、保持部130のピッチ軸が光学部200の重心を通るように、保持部130による光学部200の保持位置を調整してよい。保持位置調整部150は、レンズ制御部220が用いるレンズ位置設定情報に対応づけて保持位置情報格納部148に格納されている保持位置情報に基づいて、保持部130による光学部200の保持位置を調整してよい。保持位置調整部150は、調整部の一例である。
【0044】
負荷測定部142は、光学部200から保持部130に加えられる負荷を測定する。負荷測定部142は、1又は複数のレンズ210が複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに基づいて位置づけられた場合に、光学部200から保持部130に加えられる負荷を測定してよい。負荷測定部142は、1又は複数のレンズ210がレンズ位置設定情報に基づいて位置づけられ、保持部130が複数のレンズ210の光軸を水平に維持するように光学部200を保持しているときのピッチ軸回転機構134の駆動トルクを、負荷として測定してよい。負荷測定部142は、1又は複数のレンズ210がレンズ位置設定情報に基づいて位置づけられ、保持部130が複数のレンズ210の光軸を水平に維持するように光学部200を保持しているときに、ピッチ軸回転機構134の駆動モータに供給されている電流値を、負荷として測定してよい。負荷測定部142は、1又は複数のレンズ210が複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに基づいて位置づけられた場合におけるそれぞれの駆動トルク又は電流値を測定してよい。負荷測定部142は、測定部の一例である。
【0045】
保持位置決定部144は、負荷測定部142が測定した負荷が予め定められた許容範囲になるように、保持部130が光学部200を保持すべき保持位置を決定する。保持位置決定部144は、負荷測定部142が測定した負荷に基づいて、1又は複数のレンズ210が複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに基づいて位置づけられた場合に、保持部130が光学部200を保持すべき保持位置を決定してよい。保持位置情報格納部148は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対応づけて、保持位置決定部144が決定した保持位置を示す保持位置情報を格納する。保持位置決定部144は、決定部の一例である。
【0046】
レンズ情報取得部146は、光学部の重心の位置を示す重心位置情報を取得する。レンズ情報取得部146は、1又は複数のレンズ210の複数の位置のそれぞれに対応する複数の重心位置情報を重心位置情報格納部222から取得してよい。保持位置決定部144は、複数の重心位置情報に基づいて、1又は複数のレンズが複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに基づいて位置づけられた場合に、保持部130が光学部200を保持すべき保持位置を決定してよい。レンズ情報取得部146は、取得部の一例である。
【0047】
保持位置調整部150が保持部130による光学部200の保持位置を調整することで、保持部130に加えられる負荷が1又は複数のレンズ210の移動により変動することを抑制できる。
【0048】
図3は、光学部200の保持位置を調整するための機構の一例を示す。
図3は、
図1に示される光学部200及びジンバル110のA−A断面を模式的に示す。光軸方向201に沿って移動する部分を実線で示し、その他の部分を点線で示している。光学部200の側面には、ギアが形成されたレール202が設けられている。ピッチ軸回転機構134には、レール202のギアに対応するギア152が形成されている。ギア152がレール202のギアに噛み合って回転することで、光学部200が光軸方向201に移動する。光学部200の保持位置を調整するための機構は、
図3に示される機構には限定されない。光学部200が保持部130に保持された状態で、特定の回転軸、例えばロール軸に沿って光学部200を移動可能な機構であれば、光学部200の保持位置を調整するための機構は、任意の機構により構成されてよい。
【0049】
図4は、光学部200の保持位置を調整する様子の一例を示す。レンズ位置設定前において、光学部200の重心203は、保持部130による光学部200の保持位置を通るピッチ軸上にある。すなわち、ピッチ軸回転機構134のピッチ軸が、光学部200の重心203を通っている。光学部200のレンズ位置設定が行われると、重心203が光軸に沿って移動する。この状態では、ピッチ軸回転機構134のピッチ軸は、重心203を通っていない。そこで、保持位置調整部150は、光学部200の重心203の位置が変化する方向に、保持部130による光学部200の保持位置を調整する。これにより、ピッチ軸回転機構134のピッチ軸が、重心203を通る。レンズ位置設定と保持位置調整とは並行して行われてよい。保持位置調整後にレンズ位置設定が行われてもよい。
【0050】
図4に示す例によれば、保持位置調整部150は、ピッチ軸回転機構134のピッチ軸が、光学部200の重心203を通るように、保持部130による光学部200の保持位置を調整している。しかし、保持位置調整部150は、ピッチ軸回転機構134のピッチ軸が、光学部200の重心203を通るように、保持部130による光学部200の保持位置を調整しなくてよい。保持位置調整部150は、ピッチ軸回転機構134のピッチ軸が光学部00の重心から予め定められた距離の範囲内を通るように、保持部130による光学部200の保持位置を調整してよい。保持位置調整部150は、保持位置調整前に比べてピッチ軸回転機構134のピッチ軸と光学部200の重心203との距離が短くなるように、保持部130による光学部200の保持位置を調整してよい。保持部130が複数のレンズ210の光軸を水平に維持するように光学部200を保持しているときのピッチ軸回転機構134の駆動トルクをA(N・mm)とする。光学部200をワイド端からテレ端まで変化させた場合における駆動トルクの最大値A
maxが予め定められた値以内になるように、保持位置調整部150は、保持部130による光学部200の保持位置を調整してよい。
【0051】
図5は、レンズ位置設定情報に応じた保持位置情報を生成する手順の一例を示す。当該手順は、UAV100の飛行前のイニシャライズの間に実行されてよい。動作確認実行部108が、UAV100の飛行前に、回転翼を駆動させる駆動モータ、及びUAV100の状況を検出する各種センサの動作確認を実行している間に、当該手順は実行されてよい。
【0052】
レンズ情報取得部146は、光学部200が有する1又は複数のレンズ210に対応する複数のレンズ位置設定情報をレンズ位置設定情報格納部224から取得する(S100)。レンズ情報取得部146は、例えば、光学部200に装着された交換レンズのROMに記憶されたその交換レンズの仕様により定められた複数のレンズ位置設定情報を取得する。
【0053】
負荷測定部142は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれの位置で、保持部130に加えられる負荷を測定する(S102)。負荷測定部142は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれの位置で、保持部130が複数のレンズ210の光軸を水平に維持するように光学部200を保持しているときのピッチ軸回転機構134の駆動トルクを、負荷として測定してよい。負荷測定部142は、保持部130が複数のレンズ210の光軸を水平に維持するように光学部200を保持しているときにピッチ軸回転機構134に供給される電流値を、負荷として取得してよい。
【0054】
保持位置決定部144は、負荷に基づいて、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対応する保持位置を決定する(S104)。例えば、保持位置決定部144は、複数のレンズ位置設定情報のうちの1つのレンズ位置設定情報を選択する。保持位置決定部144は、選択されたレンズ位置設定情報が示すレンズ位置に1又は複数のレンズ210を移動するように、光学部200に指示する。そのレンズ位置に1又は複数のレンズ210が移動した後、保持位置決定部144は、保持位置調整部150により保持位置を変化させる。保持位置が変化している間、保持部130は、複数のレンズ210の光軸を水平に維持するように光学部200を保持する。保持位置決定部144は、保持位置を変化させている間に、負荷が最も小さくなるときの保持位置を特定する。保持位置決定部144は、その特定された保持位置を、そのレンズ設定情報に対応する保持位置として決定する。保持位置決定部144は、保持位置を変化させている間に、負荷が予め定められた値以下になるときの保持位置を、レンズ設定情報に対応する保持位置として決定してよい。保持位置決定部144は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれについて保持位置を決定する処理を繰り返す。保持位置決定部144は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対応付けて、保持位置を示す保持位置情報を保持位置情報格納部148に格納する(S106)。
【0055】
図6は、レンズ位置設定情報に応じた保持位置情報を生成する手順の他の例を示す。当該手順は、
図5に示す手順と同様に、UAV100の飛行前のイニシャライズの間に実行されてよい。
【0056】
レンズ情報取得部146は、レンズ位置設定情報格納部224に格納された複数のレンズ位置設定情報を取得する(S200)。レンズ情報取得部146は、さらに、重心位置情報格納部222に格納された複数のレンズ位置設定情報のそれぞれにおける光学部200の重心の位置を示す重心位置情報を取得する(S202)。保持位置決定部144は、複数の重心位置情報に基づいて、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対する保持位置を決定する(S204)。保持位置決定部144は、例えば、ピッチ軸回転機構134のピッチ軸が光学部200の重心を通るように、保持位置を決定する。保持位置決定部144は、複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対応付けて、保持位置を示す保持位置情報を格納する(S206)。
【0057】
以上の通り、保持位置決定部144は、UAV100の飛行前のイニシャライズの間に複数のレンズ位置設定情報のそれぞれに対応する保持位置を保持位置情報格納部148に格納してよい。
【0058】
図7は、レンズ制御に対応して保持位置の調整を行う手順の一例を示す。当該手順は、例えば、飛行中のUAV100が撮像している間に実行される。
【0059】
光学部200は、UAV本体102からレンズ制御命令を受信する(S300)。レンズ制御部220は、レンズ位置設定情報格納部224を参照してレンズ制御命令に応じたレンズ位置設定を決定する(S302)。レンズ制御部220は、レンズ移動機構212を介して、1又は複数のレンズ210をレンズ位置設定に基づいて光軸に沿って移動する(S304)。保持位置決定部144は、レンズ制御命令に応じたレンズ位置設定情報を光学部200から取得する。保持位置決定部144は、取得したレンズ位置設定情報が示すレンズ位置設定に対応する保持位置を保持位置情報格納部148を参照することで決定する(S306)。保持位置調整部150は、決定された保持位置に基づいて、光学部200の保持位置を調整する(S308)。
【0060】
これにより、1又は複数のレンズ210の移動により、光学部200の重心の位置が変化しても、保持部130は、ピッチ軸回転機構134のピッチ軸が光学部200の重心を通るように光学部200を保持できる。保持位置調整部150は、レンズ移動機構212が1又は複数のレンズ210を移動している間に、光学部200の保持位置を調整してよい。保持位置調整部150が、光学部200の保持位置を調整した後に、レンズ移動機構212が1又は複数のレンズ210を移動させてもよい。
【0061】
図8は、レンズ制御に対応して保持位置の調整を行う手順の他の例を示す図である。当該手順は、複数のレンズ位置設定毎に保持位置を決定する手順をUAV100の飛行前のイニシャライズの間に実行していない場合に、実行されてよい。
【0062】
光学部200は、UAV本体102からレンズ制御命令を受信する(S400)。レンズ制御部220は、レンズ位置設定情報格納部224を参照してレンズ制御命令に応じたレンズ位置設定を決定する(S402)。レンズ制御部220は、レンズ位置設定に基づいて。レンズ移動機構212を介して1又は複数のレンズ210を光軸に沿って移動する(S404)。負荷測定部142は、保持部130に加えられる負荷を測定する(S406)。
【0063】
保持位置決定部144は、測定された負荷が許容範囲内か否かを判定する(S408)。負荷が許容範囲内であれば、保持部130は、ピッチ軸回転機構134のピッチ軸が光学部200の重心付近を通っていると判断して、処理を終了する。一方、負荷が許容範囲外であれば、保持位置決定部144は、負荷に基づいて保持部130による光学部200の保持位置を決定する。例えば、保持位置決定部144は、ピッチ軸回転機構134に供給されている電流値に基づいて、現在の保持位置から光学部200を移動させる方向及び距離を決定する。保持位置決定部144は、決定された保持位置に光学部200の保持位置を調整できるか否かを判定する(S142)。保持位置決定部144は、決定された方向にさらに決定された距離だけ光学部200を移動させることができない場合には、処理を終了する。移動させることができる場合には、保持位置調整部150が、決定された保持位置に基づいて保持部130による光学部200の保持位置を調整する(S414)。
【0064】
調整後、負荷測定部142が改めて保持部130に加えられる負荷を測定する。保持位置決定部144は、負荷が許容範囲内に含まれるまで、もしくは保持位置の調整ができなくなるまで、ステップS406からS414までの処理を繰り返す。
【0065】
以上の手順により、複数のレンズ位置設定毎に保持位置を決定する手順をUAV100のイニシャライズの間に実行していない場合でも、保持部130による光学部200の保持位置の調整を実行できる。
【0066】
1又は複数のレンズ210の移動に合わせて、保持部130による光学部200の保持位置が調整される。よって、UAV100がウェイトを搭載していなくても、保持部130に加えられる負荷が、1又は複数のレンズ210の移動により変動することを抑制できる。例えば、光学部200がズーム動作する間に保持位置調整部150が光学部200の保持位置を調整することで、UAV100が飛行中に光学部200がズーム動作を実行しても、UAV100は安定した飛行を継続できる。
【0067】
上記の実施形態に示される複数の段階の少なくとも1つの段階は、ハードウェア、又は関連するハードウェアに命令するプログラムによって実装されてよい。プログラムは、コンピュータ可読記録媒体に格納されてよい。記録媒体は、ROM、磁気ディスク、及び光ディスクの少なくとも1つを含んでよい。
【0068】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更または改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【0069】
特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現できる。特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。
【解決手段】光学装置は、1又は複数のレンズを有する光学部と、回転軸を中心に光学部を回転可能に保持する保持部と、1又は複数のレンズの移動に対応させて、回転軸の方向とは異なる方向における保持部による光学部の保持位置を調整する調整部とを備える。保持部は、1又は複数のレンズの光軸の方向とは異なる方向の回転軸を中心に、光学部を回転可能に保持してよい。調整部は、1又は複数のレンズの光軸の方向への移動に対応させて、保持部による光学部の保持位置を光軸に沿って調整してよい。