(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
(画像形成装置10)
まず、画像形成装置10(吐出装置の一例)について説明する。
図1は、画像形成装置10の構成を示す概略図である。
【0030】
画像形成装置10は、搬送方向に長尺な連帳紙P(記録媒体の一例)にインク滴を吐出して連帳紙Pに画像を形成する装置であり、液滴を吐出する吐出装置の一例として機能する。具体的には、画像形成装置10は、
図1に示されるように、搬送機構20と、吐出ユニット30と、払拭装置40と、制御部19と、を備えている。
【0031】
(搬送機構20)
搬送機構20は、連帳紙Pを搬送する機構である。具体的には、搬送機構20は、
図1に示されるように、連帳紙Pを巻き出す巻出ロール22と、連帳紙Pを巻き取る巻取ロール24と、連帳紙Pを搬送する複数の搬送ロール26と、を有している。巻取ロール24は、駆動部28によって回転駆動される。これにより、巻取ロール24が連帳紙Pを巻き取ると共に、巻出ロール22が連帳紙Pを巻き出す。
【0032】
複数の搬送ロール26は、巻出ロール22と巻取ロール24との間で連帳紙Pに巻き掛けられている。これにより、巻出ロール22から巻取ロール24までの連帳紙Pの搬送経路が定められている。複数の搬送ロール26は、巻取ロール24が連帳紙Pを巻き取ることで、巻取ロール24側へ進行する連帳紙Pに従動回転する。なお、各図では、連帳紙Pの搬送方向(以下、単に「搬送方向」という場合がある)を、適宜、矢印Aにて示している。
【0033】
(吐出ユニット30)
吐出ユニット30は、連帳紙Pにインク滴を吐出する吐出ユニットである。吐出ユニット30は、連帳紙Pの幅方向(連帳紙Pの搬送方向と交差する交差方向)に沿って長さを有している。すなわち、連帳紙Pの幅方向に沿った方向が、吐出ユニット30の長手方向(以下、単に、長手方向という場合がある)とされ、連帳紙Pの搬送方向に沿った方向が、吐出ユニット30の短手方向(以下、単に、短手方向という場合がある)とされている。なお、
図2では、吐出ユニット30の長手方向を矢印X方向にて示し、吐出ユニット30の短手方向を矢印Y方向で示している。
【0034】
吐出ユニット30は、
図2に示されるように、複数(具体的には5つ)の吐出ヘッド31、32、33、34、35(以下、31〜35という)を有している。各吐出ヘッド31〜35は、底面視にて、吐出ユニット30の長手方向に沿って長さを有する矩形状とされている。この吐出ヘッド31〜35は、この順で、吐出ユニット30の長手方向に沿って千鳥状に配置されている。すなわち、吐出ユニット30では、吐出ヘッド31、33、35が長手方向に沿って配置された第一ヘッド列11と、吐出ヘッド32、34が長手方向に沿って配置された第二ヘッド列12と、が形成されている。この第一ヘッド列11と第二ヘッド列12は、短手方向に隣接している。
【0035】
各吐出ヘッド31〜35は、インク(吐出液の一例)を貯留する貯留部14(
図1参照)に、図示しないチューブ(管)を介して接続されている。貯留部14から各吐出ヘッド31〜35へインクが供給される。
【0036】
また、各吐出ヘッド31〜35は、複数のノズル38が形成されたノズル面39を有している。なお、
図2では、複数のノズル38を簡略化して図示している。そして、各吐出ヘッド31〜35では、それぞれに設けられた駆動系(駆動回路)を駆動して、ノズル面39のノズル38からインク滴を吐出する。なお、ノズル面39には、ノズル38(穴)の形成部分以外の部分において、撥水加工により撥水膜が形成されている。
【0037】
なお、吐出ユニット30は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の色ごとに複数備えられていてもよい。
【0038】
(吐出ユニット30の動作)
本実施形態では、吐出ユニット30は、ボールねじやベルトなどの機械要素を用いた移動機構37(
図3参照)によって、上下方向に沿って移動可能に構成されている。具体的には、吐出ユニット30は、一例として、
図3に示す待機位置、
図4に示すワイピング位置、
図5に示す加圧パージ位置、
図6に示すキャッピング位置、
図7に示す濡らし位置、及び
図8に示す画像形成位置(印字位置)に移動可能とされている。この待機位置、ワイピング位置、加圧パージ位置、キャッピング位置、濡らし位置、及び画像形成位置は、例えば、この順で、上下方向の高さが低くなるように設定されている。
【0039】
吐出ユニット30は、
図4に示すワイピング位置において、ワイピング機構50の後述の一対のワイパ51、52が各ノズル面39を払拭(ワイピング)するワイピング動作が実行される。なお、具体的なワイピング動作については後述する。
【0040】
吐出ユニット30は、
図5に示す加圧パージ位置において、以下の加圧パージ動作が実行される。加圧パージ動作では、貯留部14(
図1参照)に接続された加圧ポンプ(図示省略)で貯留部14内を加圧することにより、各吐出ヘッド31〜35のノズル38から後述のキャップ部材66へインクを排出して、ノズル38内の気泡や増粘したインクを除去する。なお、この加圧パージ動作によって、ノズル面39におけるノズル38の周辺は、インクで濡れた状態となる。
【0041】
また、吐出ユニット30は、
図5に示す加圧パージ位置において、各吐出ヘッド31〜35の駆動系を駆動することで、ノズル38から後述のキャップ部材66へインクを吐出して、ノズル38内の気泡や増粘したインクを除去するダミージェット動作が実行される。
【0042】
また、吐出ユニット30は、
図6に示すキャッピング位置において、キャップ機構60の後述のキャップ部材66が吐出ユニット30の底面30Bを被覆するキャッピング動作が実行される。
【0043】
また、吐出ユニット30は、
図7に示す濡らし位置において、キャップ機構60の後述のパッド61〜65がノズル面39を濡らす濡らし動作が実行される。なお、具体的な濡らし動作については後述する。
【0044】
また、吐出ユニット30は、
図8に示す画像形成位置において、各吐出ヘッド31〜35の駆動系を駆動することで、ノズル38から連帳紙Pにインク滴を吐出して、連帳紙Pに画像を形成する画像形成動作が実行される。この画像形成位置において、各吐出ヘッド31〜35のノズル面39は、貯留部14の液面よりも下方に位置する。このように、ノズル面39よりも貯留部14の液面を下げることによる水頭差によって、画像形成動作において適切なインク背圧が各吐出ヘッド31〜35に付与される。
【0045】
なお、貯留部14は、移動機構(図示省略)によって上下方向へ移動して、吐出ユニット30の位置に応じて、貯留部14の液面と各吐出ヘッド31〜35のノズル面39との高さ関係が調整される。
【0046】
具体的には、吐出ユニット30が濡らし位置(
図7参照)に位置する状態において、貯留部14の液面のノズル面39に対する高さは、画像形成位置(
図8参照)における高さよりも高くされる。このように、水頭差が調整されることで、各吐出ヘッド31〜35へインクを供給する背圧は、濡らし動作の際において、画像形成動作の際よりも高くされる。
【0047】
また、吐出ユニット30がワイピング位置(
図6参照)に位置する状態において、貯留部14の液面のノズル面39に対する高さは、濡らし位置(
図7参照)に高さよりも低く、画像形成位置(
図8参照)における高さよりも高くされる。このように、水頭差が調整されることで、各吐出ヘッド31〜35へインクを供給する背圧は、ワイピング動作の際において、画像形成動作の際よりも高く、濡らし動作の際よりも低くされる。
【0048】
なお、吐出ユニット30は、待機位置(
図3参照)、加圧パージ位置(
図5参照)、キャッピング位置(
図6参照)において、貯留部14の液面と各吐出ヘッド31〜35のノズル面39との高さ関係が、画像形成位置における高さ関係と同様とされている。
【0049】
(払拭装置40)
払拭装置40は、
図3に示されるように、ワイピング機構50(払拭機構)と、キャップ機構60(被覆機構)と、洗浄液供給機構80と、を有している。
【0050】
(ワイピング機構50)
ワイピング機構50は、各吐出ヘッド31〜35のノズル面39を払拭(ワイピング)する機構である。具体的には、ワイピング機構50は、
図2及び
図3に示されるように、一対のワイパ51、52(払拭部材の一例)と、一対の支持部材53、54と、一対の移動機構55、56(
図3参照)と、一対の除去部材57、58(
図2参照)と、を有している。
【0051】
各ワイパ51、52は、ワイピング位置(
図4参照)に位置する吐出ユニット30の各ノズル面39及び各除去部材57、58に接触可能な位置に各支持部材53、54から上方へ突出するように、各支持部材53、54に支持されている。
【0052】
各除去部材57、58は、各ワイパ51、52に付着したインクなど異物を除去するための除去部材である。この各除去部材57、58は、吐出ヘッド31及び吐出ヘッド32の各々に対する長手方向一端側に配置されている。
【0053】
(ワイパ51、52の動作)
各ワイパ51、52は、各支持部材53、54を介して、各移動機構55、56によって個別に独立して動作される。具体的には、各移動機構55、56は、ボールねじやベルトなどの機械要素を用いて、各支持部材53、54を吐出ユニット30の長手方向に移動させることで、各ワイパ51、52を吐出ユニット30の長手方向に移動させる。
【0054】
ワイパ51は、第一ヘッド列11を構成する吐出ヘッド31、33、35の各ノズル面39に接触した状態で吐出ユニット30の長手方向に移動されることで、その各ノズル面39を払拭する。ワイパ52は、第二ヘッド列12を構成する吐出ヘッド32、34の各ノズル面39に接触した状態で吐出ユニット30の長手方向に移動されることで、その各ノズル面39を払拭する。
【0055】
なお、各ワイパ51、52による払拭動作は、キャップ機構60の後述の各パッド61〜65によって、各吐出ヘッド31〜35のノズル面39が濡らされた後に実行される。すなわち、各ワイパ51、52は、後述の各パッド61〜65によって濡らされたノズル面39を払拭する。
【0056】
また、各ワイパ51、52は、各除去部材57、58に接触した状態で吐出ユニット30の長手方向に移動されることで、各除去部材57、58が、各ワイパ51、52に付着したインク等の異物を擦り取って除去する。
【0057】
また、各ワイパ51、52は、使用されない状態では、各移動機構55、56によって、吐出ユニット30の長手方向一端側(
図3における紙面の手前側)に移動されて、この位置に待機する。なお、各ワイパ51、52が使用されない状態には、ワイピング動作以外の動作(例えば、加圧パージ動作、キャッピング動作、濡らし動作、画像形成動作、ダミージェット動作など)を実行する場合が含まれる。
【0058】
(キャップ機構60)
キャップ機構60は、吐出ユニット30の底面30Bを被覆(キャッピング)する機構である。具体的には、キャップ機構60は、
図3及び
図10に示されるように、キャップ部材66と、リブ68と、複数(具体的には5つ)のパッド61、62、63、64、65(以下、61〜65という)と、を備えている。
【0059】
キャップ部材66は、底壁66Bと、平面視にて枠状とされた側壁66Sと、を有しており、上方が開放されている。リブ68は、
図3に示されるように、側壁66Sの上面に配置されており、
図10に示されるように、平面視にて枠状とされている。このリブ68は、ゴム等の弾性体で構成されている。
【0060】
キャップ部材66の内部、すなわち、底壁66B上には、予め定められた量の洗浄液Lが収容されている。洗浄液Lとしては、増粘又は固化したインクを再溶解可能な液体とされている。具体的には、洗浄液としては、一例として、インクに含まれる溶媒が用いられる。なお、洗浄液としては、ノズル面39での濡れ性を向上させるため、表面張力がインクよりも低い液体を用いることが望ましい。
【0061】
キャップ部材66は、前述の加圧パージ動作及びダミージェット動作によって、各吐出ヘッド31〜35から吐出されたインクを受ける受け部材としても機能する。加圧パージ動作及びダミージェット動作によってキャップ部材66に排出されたインクは、キャップ部材66に収容され、洗浄液Lとして機能する。
【0062】
なお、キャップ部材66の側壁66Sには、チューブ66C(排出管)の一端部が接続され、チューブ66Cの他端部が廃液タンク66Tに接続されている。そして、キャップ部材66の内部に収容された洗浄液L(加圧パージ動作及びダミージェット動作によるインクも含む。以下同様)の量が予め定められた量を超えると、チューブ66Cを通じて廃液タンク66Tに排出されるようになっている。
【0063】
(パッド61〜65)
各パッド61〜65は、洗浄液L(液体の一例)が含浸され各吐出ヘッド31〜35のノズル面39に接触してノズル面39を濡らす含浸部材の一例として機能する(
図7参照)。
【0064】
具体的には、各パッド61〜65は、
図10に示されるように、キャップ部材66の内部に、すなわち、キャップ部材66の側壁66Sの平面視における内側且つ底壁66B上に設けられている。さらに、各パッド61〜65は、各吐出ヘッド31〜35に対応する位置に設けられている。すなわち、各パッド61〜65は、キャップ部材66が後述の
図3〜
図7に示す動作位置に位置する状態において、各吐出ヘッド31〜35に対向する位置に配置されている。
【0065】
各パッド61〜65は、平面視にて、吐出ユニット30の長手方向に沿って長さを有する矩形状とされている。具体的には、各パッド61〜65は、
図11(A)に示されるように、布材72と、多孔質体74と、収容部材76と、を有している。
【0066】
収容部材76は、上下方向に開放された長枠状に形成されている。収容部材76は、例えば、樹脂材料で構成されており、布材72及び多孔質体74よりも剛性が高くされている。
【0067】
多孔質体74は、上部が収容部材76の上方へ突出するように、収容部材76の内部に収容されている。多孔質体74としては、例えば、弾性を有するスポンジ状の多孔質体(具体的には、軟質ウレタンフォームなど)が用いられる。多孔質体74は、収容部材76の上方へ突出した上部における短手方向の中央部で、膨らみが最大となるように、上方へ凸状に膨らんでおり、かまぼこ形状に形成されている。
【0068】
布材72としては、例えば、低発塵性のポリエステル布(具体的には、商品名:アズピュアスーパーワイパー(アズワン社製)など)が用いられる。この布材72は、多孔質体74の上面及び収容部材76の外側面を被覆すると共に、多孔質体74の下面で端部同士が固定されている。
【0069】
布材72の下部及び多孔質体74の下部が、キャップ部材66の内部に収容された洗浄液に浸漬しており、当該洗浄液が各パッド61〜65に含浸されている。これにより、各パッド61〜65が洗浄液を保持している。
【0070】
各パッド61〜65の布材72の上面(表面の一例)が、
図11(B)に示されるように、各吐出ヘッド31〜35のノズル面39に接触する接触面72Aを構成している。多孔質体74は、布材72の接触面72Aに対する裏面側に配置されており、当該裏面に接触している。したがって、多孔質体74には、各吐出ヘッド31〜35のノズル面39は接触しない。
【0071】
なお、短手方向の中央部で上方へ凸状に膨らんだ多孔質体74を布材72が被覆することで、各パッド61〜65は、接触面72Aにおいて、短手方向の中央部で上方へ凸状に膨らんでいる。
【0072】
さらに、各パッド61〜65の接触面72Aは、
図11(A)及び
図11Cに示されるように、ノズル面39の長手方向及び短手方向において、ノズル面39の長さよりも長くされている。そして、各パッド61〜65と各吐出ヘッド31〜35とが対向した状態において、平面視において各パッド61〜65の四辺(外縁)の内側に各吐出ヘッド31〜35のノズル面39が配置される。
【0073】
(キャップ部材66の動作)
キャップ部材66は、ボールねじやベルトなどの機械要素を用いた移動機構67(
図3参照)によって、連帳紙Pの搬送方向Aに沿って移動可能に構成されている。具体的には、キャップ部材66は、
図3〜
図7に示す動作位置と、
図8に示す退避位置と、の間を移動可能とされている。さらに、キャップ部材66は、
図9に示されるように、
図3〜
図7に示す動作位置と
図8に示す退避位置との間には、動作位置と退避位置との間での移動中に洗浄液供給機構80から洗浄液が供給される供給領域が設定されている。
【0074】
キャップ部材66が動作位置(
図3参照)に位置する状態において、吐出ユニット30が待機位置(
図3参照)から降下して、キャッピング位置(
図6参照)に移動することで、リブ68が平面視にて吐出ヘッド31〜35の周囲を囲むように、吐出ユニット30の底面30Bに接触する。これにより、キャップ部材66が吐出ユニット30の底面30Bをシール状態で被覆する(キャッピング動作)。
【0075】
キャップ部材66が吐出ユニット30の底面30Bを被覆した状態において、キャップ部材66の内部に収容された洗浄液Lによって、キャップ部材66の内部の湿度が保たれる。これにより、吐出ヘッド31〜35のノズル38の乾燥を抑制する。なお、このとき、各パッド61〜65は、
図6に示されるように、各吐出ヘッド31〜35のノズル面39に対して隙間を有しており、当該ノズル面39に対して非接触となる。
【0076】
さらに、吐出ユニット30が、キャッピング位置(
図6参照)から濡らし位置(
図7参照)に移動することで、リブ68が圧縮され、各吐出ヘッド31〜35のノズル面39が接触面72Aに押し込まれる。これにより、接触面72Aが、各吐出ヘッド31〜35のノズル面39に接触して、ノズル面39を洗浄液で濡らす(濡らし動作)。
【0077】
ノズル面39を洗浄液で濡らすことで、ノズル面39で固着したインクが再溶解される。また、接触面72Aがノズル面39に接触することで、再溶解したインクやノズル面39に付着した紙粉などの固形物(溶けないもの)が接触面72Aに付着されて除去される。
【0078】
なお、吐出ユニット30の濡らし位置(
図7参照)における上下方向の位置は、移動機構37(
図3参照)によって、微調整可能となっている。これにより、各吐出ヘッド31〜35の各パッド61〜65に対する押し込み量を変えて、各パッド61〜65の各吐出ヘッド31〜35に対する接触範囲を変更可能とされている。具体的には、例えば、各パッド61〜65が各吐出ヘッド31〜35のノズル面39に接触する接触範囲(
図18(A)参照)と、各パッド61〜65が各吐出ヘッド31〜35のノズル面39及び側面36に接触する接触範囲(
図11(B)参照)と、変更可能にされる。なお、各吐出ヘッド31〜35が各パッド61〜65に食い込むように、各ノズル面39を各パッド61〜65に接触させることで、各パッド61〜65が各吐出ヘッド31〜35のノズル面39及び側面36に接触する。
【0079】
また、各ノズル面39に対する各パッド61〜65の接触範囲を変更するようにしてもよい。例えば、各ノズル面39の全面に各パッド61〜65が接触する接触範囲(
図18(A)参照)と、各ノズル面39の一部に各パッド61〜65が接触する接触範囲(
図18(B)参照)と、に変更可能とされる。
【0080】
また、各パッド61〜65の各吐出ヘッド31〜35のノズル面39に対する接触時間が調整可能とされている。各パッド61〜65の接触時間及び前述の接触範囲は、例えば、各吐出ヘッド31〜35の稼働履歴(ノズル面39の汚れ具合)により調整される。各吐出ヘッド31〜35の稼働履歴は、連帳紙Pの搬送長(画像が形成された連帳紙Pの長さ)や、画像形成時間、画像濃度などから規定される。
【0081】
(洗浄液供給機構80)
洗浄液供給機構80は、各パッド61〜65へ洗浄液Lを滴下により供給する機構である。具体的には、洗浄液供給機構80は、
図3に示されるように、供給ヘッド81、82(供給部の一例)と、流通管84と、タンク86と、ポンプ88と、ブレード83(含浸部材用の払拭部材の一例)と、を有している。
【0082】
各供給ヘッド81、82は、
図9に示す供給領域に位置する状態におけるキャップ部材66のパッド61、63、65とパッド62、64との各々の上方に配置されている。この各供給ヘッド81、82は、
図12に示されるように、吐出ユニット30の長手方向に沿って長さを有している。各供給ヘッド81、82には、
図13(B)(C)に示されるように、各パッド61〜65に対向する位置にノズル89が形成されている。各供給ヘッド81、82は、このノズル89から各パッド61〜65へ洗浄液Lを滴下する。
【0083】
タンク86は、各供給ヘッド81、82に送られる洗浄液Lを収容する収容部として機能する。流通管84は、一端部がタンク86に接続され、他端側が複数に分岐して各供給ヘッド81、82に接続されている。
【0084】
ポンプ88は、流通管84に設けられており、ポンプ88が駆動されることで、タンク86から各供給ヘッド81、82へ洗浄液Lを送ると共に、各供給ヘッド81、82のノズル89から各パッド61〜65へ洗浄液Lが滴下される。洗浄液供給機構80では、ポンプ88が駆動制御されることで、各パッド61〜65への洗浄液Lの供給量が変更可能とされている。
【0085】
ブレード83は、上下方向に延び且つ搬送方向Aに厚みを有する板状に形成されている。このブレード83は、さらに、吐出ユニット30の長手方向に沿って長さを有している。
【0086】
また、ブレード83は、
図9に示されるように、供給ヘッド81に対する吐出ユニット30側(
図9における右側)に配置されている。このブレード83は、連帳紙Pの搬送方向A(水平方向)において、各供給ヘッド81、82と吐出ユニット30との間に配置されている。
【0087】
また、ブレード83は、移動機構(図示省略)によって、各パッド61〜65の接触面72Aに接触可能な接触位置(二点鎖線で示す位置)と、キャップ部材66から退避した退避位置(実線で示す位置)と、の間を移動するようになっている。
【0088】
ブレード83は、接触位置において、キャップ部材66が
図9に示す供給領域から
図3〜
図7に示す動作位置へ向けて移動することで、各パッド61〜65を払拭する。このよに、ブレード83は、各パッド61〜65の接触面72Aを払拭する払拭部材として機能する。
【0089】
(制御部19)
制御部19は、画像形成装置10の各部、具体的には、搬送機構20、吐出ユニット30及び払拭装置40等の各部を制御する。制御部19は、吐出ユニット30及び払拭装置40の各部を制御することで、メンテナンス動作における各動作(ダミージェット動作、加圧パージ動作、濡らし動作及びワイピング動作など)、及び、その他の動作が実行される。以下に、メンテナンス動作の具体的な動作について説明する。
【0090】
(メンテナンス動作)
画像形成装置10において実行される各種のメンテナンス動作の一例について説明する。画像形成装置10では、例えば、以下の第一、第二、第三、第四メンテナンス動作が実行される。
【0091】
第一メンテナンス動作では、各吐出ヘッド31〜35の駆動系を駆動して、各吐出ヘッド31〜35のノズル38からキャップ部材66へインクを吐出するダミージェット動作を実行する。
【0092】
第二メンテナンス動作では、各パッド61〜65を各吐出ヘッド31〜35のノズル面39に接触させて当該ノズル面39を濡らす濡らし動作と、濡らし動作で濡れたノズル面39を各ワイパ51、52で払拭するワイピング動作と、ダミージェット動作と、をこの順で実行する。
【0093】
第三メンテナンス動作では、濡らし動作と、貯留部14内を加圧することにより、各吐出ヘッド31〜35のノズル38からキャップ部材66へインクを排出する加圧パージ動作と、ワイピング動作と、ダミージェット動作と、をこの順で実行する。
【0094】
第四メンテナンス動作では、第三メンテナンス動作と同じ動作が実行される。ただし、第四メンテナンス動作における濡らし動作では、各パッド61〜65の各吐出ヘッド31〜35のノズル面39への接触範囲が、第三メンテナンス動作よりも広くされる。
例えば、第三メンテナンス動作において、各パッド61〜65が各吐出ヘッド31〜35のノズル面39のみに接触する接触範囲とされ、第四メンテナンス動作において、各パッド61〜65が各吐出ヘッド31〜35のノズル面39及び側面36に接触する接触範囲とされる。なお、ノズル面39への接触範囲を広くするのに加えて又は替えて、各パッド61〜65の各吐出ヘッド31〜35のノズル面39への接触時間を、第三メンテナンス動作よりも長くしてもよい。
【0095】
なお、第三、第四メンテナンス動作では、濡らし動作と、加圧パージ動作との順序は、逆であってもよい。
【0096】
前述の第一、第二、第三、第四メンテナンス動作は、各吐出ヘッド31〜35の状態に回復させる回復性(回復強度)としては、この順で高くなる。第一、第二、第三、第四メンテナンス動作は、例えば、以下の場合に実行される。
【0097】
第一メンテナンス動作は、例えば、キャップ部材66が吐出ユニット30の底面30Bを被覆したキャッピング状態において、画像形成命令を取得した際に、画像形成動作を実行する前に実行される。
【0098】
第二メンテナンス動作は、例えば、画像形成装置10の電源が入れられた起動の際に、実行される。
【0099】
また、第二、第三、第四メンテナンス動作は、例えば、画像形成動作が終了した後に、当該画像形成動作の時間に応じて、実行される。具体的には、第二メンテナンス動作は、画像形成動作の時間が、予め定められた第一時間未満である場合に実行される。第四メンテナンス動作は、第一時間よりも長い予め定められた第二時間以上である場合に、実行される。第三メンテナンス動作は、第一時間以上であって、第二時間未満である場合に実行される。
【0100】
また、第二、第三、第四メンテナンス動作は、画像形成動作の終了タイミングとは関係なく、定期的に、連帳紙Pの搬送長(画像が形成された連帳紙Pの長さ)などに基づき、実行してもよい。
【0101】
(濡らし動作)
次に、濡らし動作の具体的な手順の一例について説明する。
【0102】
本実施形態では、制御部19がノズル面39の濡らし動作実行命令を取得すると、以下の濡らし動作が実行される(
図14参照)。
図14に示されるように、制御部19がノズル面39の濡らし動作命令を取得すると、洗浄液供給機構80のタンク86における洗浄液Lの残量が下限か否かを判断する(ステップ102)。洗浄液Lの残量が下限である場合には、ステップ104にて、タンク86の交換指示を報知して、ステップ102に戻る。洗浄液Lの残量が下限でない場合は、ステップ106に移行して、前回の各パッド61〜65への洗浄液Lの供給動作からの経過時間が、規定時間以上であるか否かを判断する。当該経過時間が規定時間未満である場合は、ステップ112に移行する。
【0103】
当該経過時間が規定時間以上である場合には、ステップ108に移行して、前回の加圧パージ動作からの経過時間が、規定時間以上であるか否かを判断する。当該経過時間が規定時間未満である場合は、ステップ112に移行する。
【0104】
当該経過時間が規定時間以上である場合には、ステップ110に移行して、各パッド61〜65への洗浄液Lの供給動作を実行する。
【0105】
当該供給動作は、以下のように実行される。すなわち、例えばキャップ部材66を、
図3及び
図13(A)に示す動作位置から
図9及び
図13(B)に示す供給領域に移動させる。キャップ部材66は、供給領域において、供給ヘッド81、82のノズル89が、各パッド61〜65における短手方向(Y方向)の一端部に対向する位置(
図13(B)参照)から、ノズル89が各パッド61〜65における短手方向(Y方向)の他端部に対向する位置(
図13(C)参照)移動する。この移動中に、供給ヘッド81、82のノズル89から各パッド61〜65へ洗浄液Lが滴下されて、各パッド61〜65へ洗浄液Lが供給される。このように、当該供給動作では、パッド61〜65を移動させながら、各パッド61〜65へ洗浄液Lを供給する。
【0106】
ステップ112では、キャップ部材66を動作位置(
図3参照)に移動させる。次に、ステップ114において、吐出ユニット30を濡らし位置(
図7参照)へ移動させ、各吐出ヘッド31〜35のノズル面39が接触面72Aに押し込まれる。これにより、接触面72Aが、各吐出ヘッド31〜35のノズル面39に接触して、ノズル面39を洗浄液で濡らす。このとき、貯留部14も下方へ移動し、貯留部14の液面のノズル面39に対する高さが、画像形成位置(
図8参照)における高さよりも高くされる。したがって、各吐出ヘッド31〜35へインクを供給する背圧は、濡らし動作の際に画像形成動作の際よりも高くされる。なお、第四メンテナンス動作における濡らし動作では、第三メンテナンス動作における濡らし動作よりも、ノズル面39の接触面72Aへの押し込み量を多くされる。
【0107】
次に、ステップ116において、吐出ユニット30が濡らし位置に位置した状態を、予め定められた規定時間維持する。次に、ステップ118において、吐出ユニット30を待機位置(
図3参照)に移動させて、濡らし動作が終了する。
【0108】
(各パッド61〜65の接触面72Aの清掃動作)
各パッド61〜65の接触面72Aの清掃動作が、例えば、前述の濡らし動作が終了した後に、実行される。
【0109】
本清掃動作では、まず、各パッド61〜65への洗浄液Lの供給動作を実行する。
【0110】
当該供給動作は、以下のように実行される。すなわち、例えばキャップ部材66を、
図3及び
図13(A)に示す動作位置から
図9及び
図13(B)に示す供給領域に移動させる。キャップ部材66は、供給領域において、供給ヘッド81、82のノズル89が、各パッド61〜65における短手方向(Y方向)の一端部に対向する位置(
図13(B)参照)から、ノズル89が各パッド61〜65における短手方向(Y方向)の他端部に対向する位置(
図13(C)参照)移動する。この移動中に、供給ヘッド81、82のノズル89から各パッド61〜65へ洗浄液Lが滴下されて、各パッド61〜65へ洗浄液Lが供給される。このように、当該供給動作では、パッド61〜65を移動させながら、各パッド61〜65へ洗浄液Lを供給する。
【0111】
なお、当該供給動作では、ポンプ88が駆動制御されることで、各パッド61〜65への洗浄液Lの供給量が変更される。具体的には、例えば、各パッド61〜65の稼働履歴(各パッド61〜65の汚れ具合)により調整される。各パッド61〜65の稼働履歴は、濡らし動作の回数などから規定される。
【0112】
次に、ブレード83を、
図9に示されるように、各パッド61〜65の接触面72Aに接触可能な接触位置(二点鎖線で示す位置)に移動させる。ブレード83が各パッド61〜65に接触するように、キャップ部材66を連帳紙Pの搬送方向Aに沿って移動させる。これにより、ブレード83が各パッド61〜65の接触面72Aを払拭して、接触面72Aに付着した紙粉などの付着物が除去される。
【0113】
(ワイピング動作)
次に、ワイピング動作の具体的な手順の一例について説明する。なお、本ワイピング動作では、以下のように、最初に、1つの吐出ヘッド31のノズル面39を払拭した後に、2つの吐出ヘッド33、32のノズル面39を払拭し、さらに、2つの吐出ヘッド35、34のノズル面39を払拭する。
【0114】
本実施形態では、制御部19がワイピング動作実行命令を取得すると、以下のワイピング動作が実行される(
図15参照)。
図15に示されるように、制御部19がワイピング動作実行命令を取得すると、吐出ユニット30を待機位置(
図3参照)に移動させる(ステップ202)。
【0115】
次に、ステップ204にて、ワイパ51を、吐出ヘッド31に対する長手方向一端側のワイピング開始位置に移動させる(
図16(A)参照)。このとき、ワイパ52は、吐出ユニット30に対する長手方向一端側の待機位置に待機している。
【0116】
次に、ステップ206にて、吐出ユニット30をワイピング位置(
図4参照)に移動させる。次に、ステップ208にて、ワイパ51を吐出ヘッド31に対する長手方向他端側へ移動させる(
図16(B)参照)。これにより、ワイパ51が吐出ヘッド31のノズル面39を払拭する。
【0117】
次に、ステップ210にて、吐出ユニット30を待機位置(
図3参照)に移動させる。次に、ステップ212にて、除去部材57によるワイパ51に付着したインクの除去動作を実行する(
図16(C)参照)。当該除去動作では、ワイパ51を除去部材57へ移動させた後、吐出ユニット30をワイピング位置(
図4参照)に移動させる。そして、ワイパ51が除去部材57に接触するように、ワイパ51を移動させて、ワイパ51に付着したインクを擦り取って除去する。
【0118】
次に、ステップ214にて、吐出ユニット30を待機位置(
図3参照)に移動させる。次に、ステップ216にて、ワイパ51を、吐出ヘッド33に対する長手方向一端側のワイピング開始位置に移動させ、ワイパ52を、吐出ヘッド32に対する長手方向一端側のワイピング開始位置に移動させる(
図17(A)参照)。
【0119】
次に、ステップ218にて、吐出ユニット30をワイピング位置(
図4参照)に移動させる。次に、ステップ220にて、ワイパ51を吐出ヘッド33に対する長手方向他端側へ移動させ、ワイパ52を吐出ヘッド32に対する長手方向他端側へ移動させる。これにより、ワイパ51が吐出ヘッド33のノズル面39を払拭し、ワイパ52が吐出ヘッド32のノズル面39を払拭する(
図17(A)の二点鎖線参照)。
【0120】
次に、ステップ222にて、吐出ユニット30を待機位置(
図3参照)に移動させる。次に、ステップ224にて、除去部材57、58によるワイパ51、52に付着したインクの除去動作を実行する。当該除去動作では、ワイパ51、52を除去部材57、58へ移動させた後、吐出ユニット30をワイピング位置(
図4参照)に移動させる。そして、ワイパ51、52が除去部材57、58に接触するように、ワイパ51、52を移動させて、ワイパ51、52に付着したインクを擦り取って除去する。
【0121】
次に、ステップ226にて、吐出ユニット30を待機位置(
図3参照)に移動させる。次に、ステップ228にて、ワイパ51を、吐出ヘッド35に対する長手方向一端側のワイピング開始位置に移動させ、ワイパ52を、吐出ヘッド34に対する長手方向一端側のワイピング開始位置に移動させる(
図17(B)参照)。
【0122】
次に、ステップ230にて、吐出ユニット30をワイピング位置(
図4参照)に移動させる。次に、ステップ232にて、ワイパ51を吐出ヘッド35に対する長手方向他端側へ移動させ、ワイパ52を吐出ヘッド34に対する長手方向他端側へ移動させる。これにより、ワイパ51が吐出ヘッド35のノズル面39を払拭し、ワイパ52が吐出ヘッド34のノズル面39を払拭する(
図17(B)の二点鎖線参照)。
【0123】
次に、ステップ234にて、吐出ユニット30を待機位置(
図3参照)に移動させる。次に、ステップ236にて、除去部材57、58によるワイパ51、52に付着したインクの除去動作を実行する。
【0124】
次に、ステップ238にて、吐出ユニット30を待機位置(
図3参照)に移動させる。次に、ステップ240にて、ワイパ51、52を、吐出ユニット30に対する長手方向一端側の待機位置に移動させる。
【0125】
次に、ステップ242にて、画像形成命令を取得しているか判断し、画像形成命令を取得している場合には、ワイピング動作を終了し、画像形成命令を取得していない場合は、ステップ244に移行する。ステップ244では、吐出ユニット30をキャップ位置(
図6参照)に移動させる。これにより、キャップ部材66が吐出ユニット30の底面30Bを被覆するキャッピング動作が実行される。
【0126】
(本実施形態の作用)
本実施形態では、各パッド61〜65の接触面72Aは、ノズル面39の長手方向及び短手方向において、ノズル面39の長さよりも長くされている。したがって、濡らし動作において、ノズル面39の全面を接触面72Aに押し付けることで、ノズル面39の全面が濡らされる。さらに、ノズル面39を接触面72Aに押し込むことで、各パッド61〜65が各吐出ヘッド31〜35の側面36に回り込んで接触する。これにより、各吐出ヘッド31〜35の側面36に付着したインクなどの付着物が、各パッド61〜65で吸い取られたり、各パッド61〜65に付着したりすることで除去される。
【0127】
このように、各吐出ヘッド31〜35の側面36に付着したインクなどの付着物が除去されるので、当該付着物が連帳紙Pに落下することによる連帳紙Pの汚れが抑制される。
【0128】
また、本実施形態では、各パッド61〜65は、布材72と多孔質体74とを有しており、布材72で各吐出ヘッド31〜35のノズル面39に接触する。このように、各パッド61〜65におけるノズル面39が接触する接触部分(布材72)と、接触しない非接触部分(多孔質体74)とを別体に構成することで、接触部分と非接触部分とで異なる機能(例えば、発塵性、洗浄液Lの保持力など)を持たせられる。したがって、多孔質体74よりも発塵性が低い布材72を用いることで、各パッド61〜65が多孔質体74のみで形成される構成に比べ、ノズル面39にゴミが付着しにくく、ノズル面39を汚すことが抑制される。
【0129】
また、本実施形態では、各パッド61〜65は、収容部材76の上方へ突出した上部における短手方向の中央部で、上方へ凸状に膨らんでいる。これにより、各パッド61〜65が短手方向に沿って平坦に形成された構成と比べ、各パッド61〜65における短手方向の中央部でのノズル面39への接触不良が抑制される。
【0130】
また、本実施形態では、各吐出ヘッド31〜35の各パッド61〜65に対する押し込み量を変えて、各パッド61〜65の各吐出ヘッド31〜35に対する接触範囲を変更可能とされている。このため、例えば、各パッド61〜65が各吐出ヘッド31〜35のノズル面39に接触する接触範囲(
図18(A)参照)と、各パッド61〜65が各吐出ヘッド31〜35のノズル面39及び側面36に接触する接触範囲(
図11(B)参照)と、に接触範囲を調整可能となる。さらに、各吐出ヘッド31〜35における洗浄液Lで濡らす範囲が調整可能となる。すなわち、例えば、各ノズル面39の全面を各パッド61〜65で濡らす場合(
図18(A)参照)と、各ノズル面39の一部を各パッド61〜65で濡らす場合(
図18(B)参照)と、に濡らす範囲を調整可能となる。
【0131】
また、本実施形態では、吐出ユニット30が濡らし位置(
図7参照)に位置する状態において、貯留部14の液面のノズル面39に対する高さは、画像形成位置(
図8参照)における高さよりも高くされる。すなわち、各吐出ヘッド31〜35へインクを供給するインク背圧は、濡らし動作において、画像形成動作よりもよりも高くされている。
【0132】
このため、吐出ユニット30の位置に関わらず、インク背圧が常に一定である構成に比べ、濡らし動作において、ノズル面39のノズル38からインク及び異物を吸い込みことが抑制される。
【0133】
また、本実施形態では、洗浄液供給機構80が、各パッド61〜65の接触面72Aに対して、洗浄液Lを滴下により供給する。このため、洗浄液供給機構80が、各パッド61〜65の内部に液体を供給する構成に比べ、各パッド61〜65の接触面72Aに付着したインクを薄める効果が高まる。これにより、インクが各パッド61〜65の接触面72Aで増粘や固化することが抑制される。
【0134】
また、本実施形態では、洗浄液供給機構80では、パッド61〜65への洗浄液Lの供給量が変更可能とされている。これにより、パッド61〜65の汚れに応じた量の洗浄液Lを各パッド61〜65に供給可能となる。
【0135】
また、本実施形態では、各パッド61〜65を移動させながら、洗浄液供給機構80が洗浄液Lを供給する。このため、各パッド61〜65が固定された構成と比べ、少量の洗浄液Lで各パッド61〜65の全体に洗浄液Lが行き渡る。
【0136】
また、本実施形態では、洗浄液供給機構80のブレード83は、連帳紙Pの搬送方向A(水平方向)において、供給ヘッド81、82と吐出ユニット30との間に配置されている。このため、供給ヘッド81、82から各パッド61〜65に供給された洗浄液Lが飛び散った場合でも、該洗浄液Lがブレード83に当たって吐出ユニット30側へ向かうことが抑制される。すなわち、この構成によれば、ブレード83が供給ヘッド81、82に対する吐出ユニット30側とは反対側に配置された構成に比べ、供給ヘッド81、82が各パッド61〜65に供給する洗浄液Lが吐出ユニット30側へ飛び散ることが抑制される。
【0137】
(パッド61〜65の変形例)
各パッド61〜65は、
図19(A)及び
図20に示されるように、吐出ユニット30のノズル面39と側面36とで形成される角部49が接触する部分で、凸状に膨らんでいてもよい。具体的には、各パッド61〜65は、角部49に向けて長手方向視及び短手方向視に凸状に突出する凸部74Aが多孔質体74に形成されている。すなわち、凸部74Aは、底面視にて矩形状(枠状)に形成された角部49(
図3参照)に対向して、枠状に形成されている。これにより、各パッド61〜65は、吐出ユニット30の角部49が接触する部分で、凸状に膨らんでいる。
【0138】
この構成では、
図19(B)に示されるように、ノズル面39を接触面72Aに押し込むことで、各パッド61〜65の凸部分が、各吐出ヘッド31〜35の側面36に回り込んで接触する。これにより、各パッド61〜65が短手方向に沿って平坦に形成された構成と比べ、各吐出ヘッド31〜35の側面36に付着したインクなどの付着物を除去する効果が高まる。
【0139】
また、本構成では、各パッド61〜65の凸部分が、他の部分よりも圧縮される。これにより、インクの吸収力が高まるので、各吐出ヘッド31〜35の側面36に付着したインクを効果的に除去できる。
【0140】
また、本実施形態では、各パッド61〜65は、短手方向の中央部で上方へ凸状に膨らんで、かまぼこ形状に形成されていたが、これに限られない。
【0141】
例えば、各パッド61〜65は、
図21(A)に示されるように、正断面視にて、上部が台形状に形成された構成であってもよい。さらに、
図21(B)に示されるように、
図21(A)における台形状の斜辺が階段状に形成されたものであってもよい。この構成においても、各吐出ヘッド31〜35の各パッド61〜65に対する押し込み量を変えることで、例えば、各吐出ヘッド31〜35における洗浄液Lで濡らす範囲が調整可能となる。すなわち、例えば、各ノズル面39の全面を各パッド61〜65で濡らす場合(
図18(A)参照)と、各ノズル面39の一部を各パッド61〜65で濡らす場合(
図18(B)参照)とに、濡らす範囲を調整可能となる。
【0142】
(他の変形例)
本実施形態は、各パッド61〜65は、液体の一例としてのインク及び洗浄液が含浸される構成とされていたが、これに限られない。インク及び洗浄液の一方のみを液体の一例として用いる構成であってもよい。
【0143】
本実施形態では、各パッド61〜65が、キャッピング動作を実行するキャップ部材66の内部に設けられていたが、これに限られない。各パッド61〜65は、濡らし動作を実行する専用の部材に設けられる構成であってもよい。
【0144】
本実施形態では、払拭部材の一例として、ワイパ51、52を用いたが、これに限られず、例えば、ウェブ等の布材を用いてもよい。
【0145】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【解決手段】払拭装置は、液体が含浸され、吐出液を吐出する吐出ヘッドのノズル面の長手方向及び該長手方向と交差する短手方向において前記ノズル面の長さよりに長い接触面を有し、該接触面を前記ノズル面に接触させて該ノズル面を濡らす含浸部材と、前記含浸部材によって濡らされた前記ノズル面を払拭する払拭部材と、を備える。