(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
給紙装置により搬送される用紙に印刷しつつ、下流側の排紙装置へ搬送する印刷部と、給紙装置により搬送される用紙の計数を行う計数部を備えた印刷機において、未製版の原紙を印刷ドラムに装着することにより、用紙を印刷することなく排紙装置へ搬送することを特徴とする印刷機。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の印刷機では、印刷することなく計数することが想定されていない。大量に印刷され保管されていたチラシや葉書、会社の各部門や学校の各クラスへの配布物等を、印刷することなく必要量計数したい場合に、手作業で計数作業を実施すると非常に手間がかかる上、誤って計数することもある。もし、計数専用の装置があればこれを使用して短時間で正確に計数できる。しかし、そのような装置がなく、新たに購入して設置しなければならないとすると、購入コストがかかり、別途設置スペースが必要になり、保守管理しなければならなくなったりする。
【0005】
本発明は上記した課題を解決するものであり、印刷機を用いて用紙に印刷することなく計数可能な印刷機の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明にかかる印刷機は、給紙装置により搬送される用紙に印刷しつつ、下流側の排紙装置へ搬送する印刷部と、給紙装置により搬送される用紙の計数を行う計数部を備えた印刷機において、印刷ドラムを備えた印刷ユニットと交換することにより、用紙を印刷することなく前記排紙装置へ搬送する搬送ユニットを備えてなる。
【0007】
また、前記構成において、搬送ユニットは、印刷ドラムと略同径で、インク通過用孔が未形成の搬送ドラムを備えてなる。
【0008】
そして、前記各構成において、印刷機本体に対し、印刷ドラムと搬送ユニットのいずれが装着されたかを識別する識別手段を備え、前記識別手段の識別結果に基づいて、用紙に印刷する印刷モードと用紙を印刷することなく下流側へ搬送する計数モードとを切り替えるよう制御する制御装置を備えた。
【0009】
更に、本発明にかかる印刷機は、給紙装置により搬送される用紙に印刷しつつ、下流側の排紙装置へ搬送する印刷部と、給紙装置により搬送される用紙の計数を行う計数部を備えた印刷機において、未製版の原紙を印刷ドラムに装着することにより、用紙を印刷することなく排紙装置へ搬送する。
【0010】
また、前記構成において、用紙に印刷する印刷モードと、用紙を印刷することなく下流側へ搬送する計数モードとのいずれの処理を実行させるかを、ユーザに選定させるモード選定手段を備え、前記モード選定手段の選定に基づき印刷モードと計数モードとを切り替えるよう制御する制御装置を備えた。
【0011】
そして、前記構成において、モード選定手段は、印刷ドラムを備えた印刷ユニットまたは印刷機本体のいずれかに設けられてなる。
【0012】
更に、前記各構成において、用紙に印刷する印刷モードと用紙を印刷することなく下流側へ搬送する計数モードとを切り替えるよう制御する制御装置を備え、
計数モードは、給紙装置の給紙台上に積載された全ての用紙を計数する積載量計数モードと、設定枚数の用紙を計数し終えた時点で計数動作を停止する設定量計数モードとの少なくともいずれかを備えてなる。
【0013】
更に、前記各構成において、用紙に印刷する印刷モードと用紙を印刷することなく下流側へ搬送する計数モードとを切り替えるよう制御する制御装置を備え、制御装置は、計数モードを実行している場合に、操作パネルにおける印刷状態の調整、製版及び排版に関する項目の少なくともいずれか1つを、選定不可とするよう制御する。
【0014】
更に、前記各構成において、用紙に印刷する印刷モードと用紙を印刷することなく下流側へ搬送する計数モードとを切り替えるよう制御する制御装置を備え、
制御装置は、計数モードにおける用紙の搬送速度を、印刷モードにおける搬送速度より、減速及び/または増速可能に制御する。
【0015】
更に、前記各構成において、給紙装置の給紙台上における用紙の積載順を、逆順に積替えて排紙装置の排紙台上に積載する。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる印刷機によれば、給紙装置により搬送される用紙に印刷しつつ、下流側の排紙装置へ搬送する印刷部と、給紙装置により搬送される用紙の計数を行う計数部を備えた印刷機において、印刷ドラムを備えた印刷ユニットと交換することにより、用紙を印刷することなく前記排紙装置へ搬送する搬送ユニットを備えたので、すでに印刷された用紙や未印刷の用紙を計数したい場合に、印刷機本体に搬送ユニットを装着することで、印刷機の計数機能を利用して用紙に印刷することなく計数を行うことができる。
【0017】
また、搬送ユニットは、印刷ドラムと略同径で、インク通過用孔が未形成の搬送ドラムを備えてなる場合は、印刷ドラムの駆動機構を変更することなく搬送ドラムの駆動に使用可能である。
【0018】
更に、印刷機本体に対し、印刷ユニットと搬送ユニットのいずれが装着されたかを識別する識別手段を備え、前記識別手段の識別結果に基づいて、用紙に印刷する印刷モードと用紙を計数し印刷することなく下流側へ搬送する計数モードとを切り替えるよう制御する制御装置を備えた場合は、ユーザが印刷モードと計数モードの切り替え設定を操作しなくても自動的にモードが切り替わる。
【0019】
また、本発明にかかる印刷機によれば、給紙装置により搬送される用紙に印刷しつつ、下流側の排紙装置へ搬送する印刷部と、給紙装置により搬送される用紙の計数を行う計数部を備えた印刷機において、未製版の原紙を印刷ドラムに装着することにより、用紙を印刷することなく排紙装置へ搬送するので、印刷機を用いて用紙を汚さずに計数可能である。
【0020】
また、用紙に印刷する印刷モードと、用紙を印刷することなく下流側へ搬送する計数モードとのいずれの処理を実行させるかを、ユーザに選定させるモード選定手段を備え、前記モード選定手段の選定に基づき印刷モードと計数モードとを切り替えるよう制御する制御装置を備えた場合は、ユーザは印刷機を用いた用紙の計数動作を容易に選定することができる。
【0021】
そして、モード選定手段は、印刷ドラムを備えた印刷ユニットまたは印刷機本体のいずれかに設けられた場合は、ユーザは更に容易に計数動作を選定可能である。
【0022】
更に、計数モードは、給紙装置の給紙台上に積載された全ての用紙を計数する積載量計数モードと、設定枚数の用紙を計数し終えた時点で計数動作を停止する設定量計数モードとの少なくともいずれかを備えた場合は、ユーザの希望する計数方法を容易に選定可能である。
【0023】
更に、制御装置は、計数モードを実行している場合に、操作パネルにおける用紙の印刷調整に関する項目を、選定不可とするよう制御する場合は、ユーザの誤った操作を防止可能である。
【0024】
更に、制御装置は、計数モードにおける用紙の搬送速度を、印刷モードにおける搬送速度より、減速及び/または増速可能に制御する場合は、計数処理を実行する際、印刷処理のときに比較して、よりユーザの希望する用紙搬送速度に調整することができる。
【0025】
更に、給紙装置の給紙台上における用紙の積載順を、逆順に積替えて排紙装置の排紙台上に積載する場合は、用紙の積載順序を逆にしたいときに、短時間で容易に積載順を変更することができる。
【発明を実施するための形態】
【0027】
(第1の実施形態)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、印刷機の構成外略図であり、説明の都合上、用紙Pの搬送方向Fの上流側を「後側」、用紙搬送方向Fの下流側を「前側」と称する。また、用紙搬送方向Fと直交する水平方向である用紙幅方向を「左右方向」として、以下説明する。
図1に示すように、印刷機本体1には、後端部に給紙装置2が設けられ、前端部に排紙装置3が設けられ、上側に画像読取装置4が設けられている。印刷機本体1内には、前後方向の概ね中間部に印刷部5が設けられ、該印刷部5の上部後側には製版装置6が設けられ、印刷部5の上部前側には排版装置7が設けられている。
【0028】
給紙装置2の前端部には、給紙ローラ31及び捌き板32が配置されており、給紙台33上に積載された印刷用紙Pを、上から一枚ずつ供給するようになっている。
【0029】
排紙装置3は、排紙ベルト21と、ファン22と、排紙台23とを備えており、ファン22により排紙ベルト21上の用紙Pを排紙ベルト21に吸着し、排紙台23上へ排出するようになっている。
【0030】
画像読取装置4は、ガラスの原稿台(図示せず)に載置された原稿の画像を読み取り、画像データを生成する。画像データは、外部のコンピュータから受信するようにしてもよい。
【0031】
製版装置6は、製版用のマスターロール13及びサーマルヘッド14を備えている。サーマルヘッド14は、画像読取装置4で生成した画像データに基づいて、マスターロール13から繰り出された原紙Nを穿孔して製版する。サーマルヘッド14には対向してプラテンローラ27が配置される。製版装置6には更に、プラテンローラ27の下流側に、切断具28、原紙搬送ローラ30が配置されている。切断具28は回転刃であり、製版用紙搬送経路を横断する方向に、回転刃モータによって往復駆動されるようになっている。
【0032】
排版装置7は、引込みローラ16及び巻取りローラ17等を備えており、前記印刷ドラム11に装着された使用済みの原紙Nを取り外し、引込みローラ16で排版装置7内部に引き込み、排版ロールとして巻き取るようになっている。
【0033】
印刷部5は、印刷ユニット25、押圧ローラ12、タイミングローラ18、ブローファン67を備える。
図2は、印刷ユニット25の斜視図である。
図3は、印刷ユニット25下部および押圧ローラ12の拡大断面図である。印刷ユニット25は、印刷ドラム11と、インク供給装置52とを備えた孔版印刷用ユニットにより構成される。印刷ドラム11は、製版装置6から送られた製版済みの原紙Nを外周面に巻回する。印刷ドラム11の内側には、インクローラ10とスキージローラ19が設置されている。インクローラ10は印刷ドラム11に内接し、スキージローラ19はインクローラ10に転接する。
【0034】
インクローラ10とスキージローラ19の転接部にインク溜まり部40が形成される。印刷ドラム11の周壁には多数のインク通過用の孔47が形成され、印刷ドラム11の外周面に、可撓性のスクリーン38が巻回され固定されている。また、印刷ドラム11の周壁の所定箇所に左右方向に延びるクランプ54が設けられる。クランプ54は、製版後の原紙Nの端部を挟持する。製版後の原紙Nは、端部をクランプ54により固定され、印刷ドラム11の回転に伴ってスクリーン38の外側に巻回される。
【0035】
インク供給装置52は、印刷ドラム11の内方のインク溜り部40に上方からインクを供給する。インク供給装置52は、インクボトル51、ボトル装着部49、インク供給配管55、インクポンプを備える。ボトル装着部49は、インクボトル51が装着される。インク供給配管55は、インクポンプ(図示せず)の駆動によりインクボトル51内のインクを印刷ドラム11内側のインク溜まり部40の上方へと送る配管である。
【0036】
インク供給装置52は印刷ユニット25の支持枠体56に固定されている。支持枠体56は、更に、電気コネクタ58及び把手59が設けられる。電気コネクタ58は、印刷機本体1側に設けられた電気コネクタ(図示せず)に接続されることで、インクポンプを駆動する電力を供給する。
【0037】
印刷ユニット25は、印刷機本体1に対し着脱自在に構成される。
図1に示すように、印刷ユニット25は、印刷機本体1側に設けられた装着部61に装着される。装着部61は、左右方向に伸びる前後一対の案内レール62を備えている。そして、印刷ユニット25の支持枠体56を構成する一対のドラム支持部材64が、伸縮自在の案内レール62に案内され、支持されることで、装着部61に挿入、引き出し可能となっている。
【0038】
印刷ユニット25が装着部61に装着されると、印刷ドラム11は、図示しない適宜の動力伝達機構を介して印刷機本体1側に設置されたモータ等の駆動装置に連動連結される。これより、印刷ドラム11は、
図1において反時計回りに回転可能となる。また、インクローラ10は、前記駆動装置に適宜の動力伝達機構を介して連動連結され、印刷ドラム11の回転動作と同期して回転される。
【0039】
また、印刷ユニット25の装着部61への装着により、印刷ユニット25側の電気コネクタ58と印刷装置本体1側に設けられた電気コネクタとが接続される。印刷機本体1に設けられた電気コネクタは、係合部材を構成し、印刷ドラム11側の電気コネクタ58は、印刷機本体1側の係合部材に係合可能な被係合部材を構成する。そして、係合部材と被係合部材とが係合することで、印刷機本体1に印刷ユニット25が装着されたことが検出される。
【0040】
印刷ユニット25が装着部61へ装着される際、印刷ドラム11の回転角度は、
図1において破線で示すようにクランプ54を設けた部分が最も高い位置乃至その近傍とされる。そして、その後印刷が行われる際には、印刷における製版動作をより短時間で処理するために、印刷ドラム11の回転角度は、
図1において実線で示すように、クランプ54を設けた部分が排版装置7の引込みローラ16設置位置に最も近接する角度で回転停止する。
【0041】
押圧ローラ12は、印刷ドラム11に下方から圧接可能に対向し、上下方向移動可能となっている。タイミングローラ18は、印刷部5の後部近傍に上下一対配置されている。該タイミングローラ18は印刷ドラム11の駆動と同期して適宜タイミングで回転し、印刷用紙Pを印刷部5へ送り込むようになっている。
【0042】
給紙装置2の給紙台33から排紙装置3の排紙台23に至る用紙搬送路Sには、複数箇所に用紙センサ66が設置され、用紙Pの搬送状態が随時検出され,監視される。
【0043】
更に、本実施形態にかかる印刷機Iには、印刷ドラム11を備えた印刷ユニット25と交換することにより、用紙Pを印刷することなく排紙装置3へ搬送する搬送ユニット73を備えている。搬送ユニット73は、給紙装置2により搬送される用紙Pを印刷することなく排紙装置3へ搬送する。搬送ユニット73は、装着部61に装着可能である。
【0044】
図4は、搬送ユニット73の斜視図である。
図5は、搬送ユニット73下部及び押圧ローラ12の拡大断面図である。搬送ユニット73は、搬送ドラム74、把手76、電気コネクタ77、支持枠体78を備える。搬送ユニット73は、用紙Pの印刷を行わないので、印刷ユニット25が備えるインクローラ10、スキージローラ19、インク供給装置52を備えていない。
【0045】
搬送ドラム74は、印刷ドラム11と略同径で、略同じ大きさであり、印刷ドラム11と同様に、適宜の動力伝達機構を介して印刷機本体1側に設置されたモータ等の駆動装置に連動連結され、回転可能となる。しかし、搬送ドラム74の周壁は平滑面とされ、印刷ドラム11のような多数のインク通過用孔47は未形成で、スクリーン38も巻回されていない。また、搬送ドラム74には、製版後の原紙Nが巻回されることはないので、原紙Nを固定するクランプは設けられていない。
【0046】
給紙装置2は、給紙台33上に積載された用紙Pを上から1枚ずつ分離し、搬送ユニット73に搬送する。搬送された用紙Pは、タイミングローラ18、および搬送ドラム74と押圧ローラ12の間に挟まれ、印刷されることなく下流側の排紙装置3へ搬送される。この間、用紙搬送路Sに設けた複数の用紙センサ66により用紙Pの搬送状態が検出され、前側の用紙センサ66aが用紙Pの後端を検出することで制御装置89に用紙Pの計数を行わせる。排紙装置3では、搬送ユニット73より送られてきた用紙Pが排紙台23上に1枚ずつ積載される。これより、用紙Pは、給紙装置2の給紙台33上における用紙Pの積載順を、逆順に積替えられて排紙装置3の排紙台23上に積載されることとなる。
【0047】
電気コネクタ77は、搬送ユニット73にインクポンプが設置されないためこれらに電力を供給することもない。この電気コネクタ77は、印刷機本体1に設けられた係合部材としての電気コネクタに係合可能な被係合部材を構成する。そして、係合部材と被係合部材とが係合することで、印刷機本体1に搬送ユニット73が装着されたことが検出される。
【0048】
支持枠体78は印刷機本体1の案内レール62に係合可能な前後一対のドラム支持部材79を備える。また、把手76及び電気コネクタ77は支持枠体78に固定される。搬送ドラム74は、搬送ユニット73が装着部61へ装着されるときと、その後の計数動作で搬送ドラム74の回転が停止されるときとで、同じ回転角度を維持している。
【0049】
図6を参照して、印刷機Iの操作パネル81を説明する。操作パネル81には製版キー83、テンキー84、スタートキー85、ストップキー86、テストプリントキー94、印刷濃さ調整キー91、用紙Pにおける画像の印刷位置調整キー92、用紙搬送速度調整キー93、液晶表示部87等が設けられている。
【0050】
製版キー83は、使用済みの原紙Nを排版装置7に回収させるとともに、製版装置6に新たな原紙Nの製版動作を開始させ、印刷ドラム11に巻回する起動設定手段として機能する。テンキー84は、印刷枚数及び計数量、組数等の置数を行う置数設定手段として機能する。スタートキー85は、製版済みの原紙Nが巻回された印刷ドラム11を駆動装置により回転し、給紙装置2により搬送される用紙Pに印刷する印刷処理動作を開始する起動設定手段として機能する。また、このスタートキー85は、給紙装置2により搬送される用紙Pの計数を行い、該用紙Pを印刷することなく排紙装置3へ搬送する計数処理動作を開始する起動設定手段としても機能する。ストップキー86は、画像読み取り、製版、印刷、計数、用紙搬送等の動作を一旦停止する停止手段として機能する。液晶表示部87は、タッチパネル式に構成され、種々の設定状態や検知状態が随時表示されるとともに、ユーザが画面に触れることで、表示内容が切り替わり、種々の設定が可能な表示設定手段とそして機能する。
【0051】
印刷機Iの主要な制御構成を説明する。制御装置89は、それぞれ図示しない、CPU(中央演算処理装置)、I/O(入出力)ポート、ROM(読み出し専用記憶装置)、RAM(読み書き可能な記憶装置)およびタイマ等を備え、それらが信号バスによって接続された構成を有するマイクロコンピュータを具備している。制御装置89は、印刷機本体1内の制御基板配置部に設けられている。
【0052】
制御装置89は、操作パネル81からの各種信号、各種センサからの検知信号ならびに前記ROMから呼び出された動作プログラムおよび関係データ等に基づいて、各種モータ等の制御対象駆動手段を制御する機能を有する。また、制御装置89は、原稿の画像読取動作、製版動作、排版動作、給紙動作、排紙動作、印刷動作、計数動作並びに操作パネル81の液晶表示部87を制御する機能を有する。
【0053】
前記ROMには、印刷機I全体の動作プログラムや必要な関係データ等が予め記憶されており、この動作プログラムは前記CPUによって適宜呼び出される。前記RAMは、前記CPUの計算結果を一時的に記憶する機能、操作パネル81上の各種キーおよび各種センサから設定および入力されたデータ信号およびオン/オフ信号を随時記憶する機能等を有している。
【0054】
また、制御装置89は、給紙装置2により搬送される用紙Pの状態を用紙センサ66からの信号を基に把握し、該用紙Pの計数を行う計数部を備える。更に、制御装置89は、印刷機本体1の装着部61に対し、印刷ユニット25と搬送ユニット73のいずれが装着されたかを識別する識別手段を備え、この識別手段の識別結果に基づいて、用紙Pに印刷する印刷モードと用紙Pを計数するのみで印刷することなく下流側へ搬送する計数モードとを切り替えるよう制御する。そして、制御装置89は、印刷機本体1の係合部材と搬送ユニット73の被係合部材とが係合することで、印刷機本体1に搬送ユニット73が装着されたと判断した場合に、用紙Pに印刷する印刷モードに替えて、用紙Pを計数し印刷することなく下流側へ搬送する計数モードを実行させるよう制御する。
【0055】
更に、制御装置89は、印刷モードに替えて計数モードを実行している場合に、操作パネル81における印刷状態の調整、製版及び排版に関する項目を、選定不可とするよう制御する。印刷状態の調整、製版及び排版に関する項目とは、例えば、画像読み取りの調整、プレビュー、印刷倍率、製版の調整、インクの濃さ、印刷位置、試し刷り、両面印刷等が挙げられる。また、選定不可とするには、各種操作キーまたは液晶表示部87のタッチキーを操作不能とするか、または液晶表示部87における各種項目を、非表示または網掛け表示とすることで、これらを選定できないようにする。
【0056】
よって、例えば、制御装置89は、計数モードを実行しているときには、製版キー83、印刷濃さ調整キー91、印刷位置調整キー92、テストプリントキー94等の印刷状態の調整、製版及び排版に関するキーを操作不能とする。また、制御装置89は、例えば、
図7に示すように、液晶表示部87における原稿種類、倍率、インクの濃さ、天地位置及び幅方向位置の双方を含む印刷位置、原稿サイズ等の印刷状態の調整、製版及び排版に関する項目のタッチキー95を灰色に塗りつぶすことで網掛け表示する。これより、制御装置89は、計数モードで使用しない項目を選定できないような表示とする。
【0057】
これに対して、テンキー84、スタートキー85、ストップキー86、用紙搬送速度調整キー93等の操作キーは、計数モードを実行中も制御装置89が操作可能に制御する。また、制御装置89は、
図7に示す液晶表示部87の枚数・組数の表示、用紙サイズ、その他の設定等のタッチキー96を、計数モード実行中にも、灰色に塗りつぶすことなくこれらが有効で、選定可能であることを明示する。
【0058】
また、制御装置89は、印刷モードに替えて計数モードを実行している場合に、操作パネル81の初期画面上にショートカットキーの空きがあるとき、
図7に示すように間欠搬送のショートカットキー97を表示するよう制御する。そして、制御装置89は、該間欠搬送のショートカットキー97を初期画面上で選定可能とするよう制御する。これより、ユーザーは自ら間欠搬送のショートカットキー97を作成しなくても該間欠搬送の機能を初期画面上で選定でき、少ないタッチ操作で用紙Pの区分けをすることができる。従って、ユーザーが、用紙Pの計数を行うとともに計数した用紙Pを所定枚数ごとに区分けしたいと考える場合等に、この間欠搬送のショートカットキー97を選定し、枚数及び組数を設定することで、制御装置97は用紙Pの排紙台23への排出タイミングを所定枚数毎に所定時間遅らせるよう制御する。
【0059】
更に、計数モードは、給紙装置2の給紙台33上に積載された全ての用紙Pを計数する積載量計数モードと、操作パネル81のテンキー84により入力された設定枚数の用紙Pを計数し終えた時点で計数動作を停止する設定量計数モードとを備え、制御装置89はこれらのモードを実行するよう制御する。
【0060】
更に、制御装置89は、計数モードにおける用紙Pの搬送速度を、印刷モードにおける搬送速度より、減速及び増速可能に制御する。よって、例えば、封筒等の紙詰まりしやすい種類の用紙の計数を行う場合などに、用紙搬送速度調整キー93を操作し、印刷モードの最低速度より更に遅い速度となるよう設定することで、制御装置89は、用紙Pを印刷モードの最低速度より更に遅い速度で搬送し、計数を行うよう制御する。また、制御装置89は、印刷モードの最高速度より更に速い速度で用紙Pを搬送し、計数するよう制御することも可能である。
【0061】
更に、制御装置89は、計数モードにおける押圧ローラ12の搬送ドラム74に対する押圧力を、印刷モードにおける押圧ローラ12の印刷ドラム11に対する押圧力のうち最も弱いときと同程度とするよう制御する。また、制御装置89は、計数モードでは印刷モードより押圧ローラ12の押圧力を弱くするよう制御することも可能である。
【0062】
印刷機Iの動作を以下に説明する。まず、印刷機Iが、印刷ユニット25を用いて印刷動作を実行する場合について説明する。装着部61に印刷ユニット25が装着され、印刷ユニット25の電気コネクタ58が、印刷機本体1側の電気コネクタに接続されると、識別手段は、装着部61に印刷ユニット25が装着されたと判断し、制御装置89は、印刷機Iのモードを印刷モードとする。そして、製版キー83が押下されると、周知の一連の孔版印刷動作が実行される。
【0063】
すなわち、画像読取装置4に原稿がセットされ、製版キー83が押下されると、先ず画像読み取り工程が実行される。画像読取装置4はCCD等の画像センサによって原稿を光学的に読み取って電気信号に変換する。この画像読み取り工程と同時に排版工程が実行され、印刷ドラム11の外周に巻かれた使用済みのマスタが引込みローラ16によって印刷ドラム11から剥離され、巻取りローラ17に巻き取られ回収される。
【0064】
画像読取装置4により読み取られ電気信号に変換された情報に従って、サーマルヘッド14の多数の発熱素子が位置選択的に発熱され、原紙Nに画像を穿孔して製版し、プラテンローラ27、原紙搬送ローラ30の回転によって製版後の原紙Nが順次下流側に搬送される。
【0065】
プラテンローラ27、原紙搬送ローラ30を回転駆動する駆動源としてのステッピングモータのステップ数などを基に、製版済みの原紙Nの先端部が、拡開している給版待機状態にあるクランプ54に届いたと制御装置89が判断すると、図示しない開閉装置によってクランプ54が閉じられ、これによって製版済みの原紙Nの先端部がクランプ54に挟持される。
【0066】
そして、駆動装置の駆動により、印刷ドラム11が
図1において反時計回りに回転され、製版済みの原紙Nが先端部から順次印刷ドラム11の外周に巻き付けられる。ステッピングモータのステップ数などにより、1版分の原紙Nへの穿孔製版が終了したと制御装置89が判断すると、プラテンローラ27、原紙搬送ローラ30の回転が停止され、製版済みの原紙Nの後端が切断具28によって切断される。これにより、製版済み原紙Nがマスターロール13から切り離され、原紙Nの後端は、印刷ドラム11の更なる回転に伴って印刷ドラムに装着される。
【0067】
その後、給紙装置2より印刷部5に1枚の用紙Pが搬送され、印刷ドラム11の外周面上の製版済みの原紙Nに印刷ドラム11の内周面からインクを供給し、印刷ドラム11の外周面に原紙Nを密着させる版付印刷工程が実行される。この版付印刷により、印刷ドラム11の外周面にスクリーン38、原紙Nを介して貼りついた用紙Pは、用紙剥離及びインク乾燥用のブローファン67により印刷ドラム11から剥がされ、排紙装置3により排出される。
【0068】
版付印刷工程が終了した後、ユーザは版付印刷物の画質や印刷画像位置の確認を行い、その結果によってテストプリントキー94を必要量押下し、適宜の試し刷り印刷を行う。そして、ユーザが求める正規の印刷枚数をテンキー84によって置数・入力してスタートキー85を押せば、給紙ローラ31、タイミングローラ18、印刷ドラム11、押圧ローラ12、インクローラ10、インクポンプ、ブローファン67、排紙ベルト21、ファン22が適宜駆動され、印刷工程が行われる。設定枚数の用紙2への印刷が終了すると印刷動作の全工程が終了する。
【0069】
次に、本実施形態の印刷機Iにおける計数動作を説明する。印刷機Iを用いて用紙Pの計数を行う際には、ユーザは、装着部61から印刷ユニット25を引き出し、替わりに搬送ユニット73を挿入する。このとき、搬送ユニット73の一対のドラム支持部材79が、装着部61の案内レール62に案内され、支持されることで、搬送ユニット73が装着部61に挿入される。
【0070】
搬送ユニット73が装着部61に装着されると、搬送ドラム74は、動力伝達機構を介して印刷機本体1側の駆動装置に連結される。また、搬送ユニット73の電気コネクタ77と印刷機本体1の電気コネクタとが接続される。これより、識別手段が、装着部61に搬送ユニット73が装着されたと判断する。
【0071】
印刷モードでは、印刷ユニット25が装着部61へ装着されるときの印刷ドラム11の回転角度は、クランプ54を設けた部分が最も高い位置乃至その近傍となっており、その後の印刷動作では、クランプ54を設けた部分が排版装置7の引込みローラ16設置位置に最も近接する位置で回転停止するよう制御装置89により調整される。これに対し、計数モードにおいては、搬送ドラム74にはクランプ54が設けられておらず、その位置調整を行う必要がない。よって、計数動作時においても搬送ユニット73の装着部61への装着時の回転角度と同じ回転角度で搬送ドラム74が回転停止する。これより、搬送ユニット73の装着部61への装着から計数動作開始までに要する時間を短縮可能である。
【0072】
このように識別手段が、搬送ユニット73が装着されたと判断すると、制御装置89は、印刷モードに替えて計数モードを実行させるよう制御する。このため印刷機Iが、計数工程を実行可能な状態となり、制御装置89は、操作パネル81の表示を印刷モードから計数モードに切り替える。計数工程では、印刷動作を行わないので、制御装置89は操作パネル81における印刷状態の調整、製版及び排版に関する項目を、選定不可とするよう制御する。一方、印刷状態の調整、製版及び排版に関する項目以外の計数工程においても利用可能な項目ついては、操作パネル81上で選定できるようになっている。これより、ユーザの誤った操作を防止することができ、印刷機Iの誤動作による故障を防止可能である。
【0073】
ユーザは、計数処理を実行したい用紙Pを給紙台33上に積載する。この場合、給紙台33上に積載する用紙Pは、印刷済みの用紙Pであってもよく、未印刷の用紙Pであってもよい。また、印刷方法が、孔版印刷により印刷された用紙であってもよく、トナー複写等孔版以外の印刷方法により印刷された用紙であってもよい。更に、用紙の種類はコピー用紙に限定されず、藁半紙、画用紙、カード、葉書等の他、封筒や圧着葉書等の折り畳まれ、或いは重ね合わされ適宜箇所が接着された用紙も含まれる。
【0074】
図示省略するが、計数モードでは、操作パネル81の液晶表示部87に、積載量計数モード及び設定量計数モードのいずれかをユーザが選定するための表示がなされている。ユーザが給紙装置2の給紙台33上に積載された全ての用紙Pを計数したい場合には、積載量計数モードを選定する。また、ユーザが給紙装置2の給紙台33上に積載された用紙Pのうち、所定枚数の用紙Pを計数したい場合には、設定枚数計数モードを選定し、計数希望枚数をテンキー84によって置数・入力する。
【0075】
その後、ユーザがスタートキー85を押下すると、制御装置89は、給紙ローラ31、タイミングローラ18、搬送ドラム74、押圧ローラ12、排紙ベルト21、ファン22を適宜駆動開始する。そして、給紙ローラ31と捌き板32により給紙台33上の用紙Pが上から1枚ずつ搬送され、一対のタイミングローラ18、搬送ドラム74と押圧ローラ12によりそれぞれ挟持搬送され、その後排紙ベルト21上をファン22に吸引されつつ搬送され、排紙台23へ順次排出される。
【0076】
このように、印刷機Iは、給紙装置2の給紙台33上における用紙Pを上から1枚ずつ分離して搬送ユニット73へ搬送し排紙台23上に下から順番に積載するので、用紙Pの積載順を、逆順に積替えることができる。よって、用紙Pの積載順序を逆にしたい場合、例えば、ページ番号とは逆順に積載された用紙Pを計数処理することで、短時間で容易にページ番号順に積み替えることができる。
【0077】
計数モードでは、用紙Pは印刷されず、搬送ドラム74に用紙Pが貼りつくことがないので、制御装置89は用紙剥離及びインク乾燥用のブローファン67を駆動しない。このように、計数モードではブローファン67を駆動しないことにより、用紙Pを搬送ドラム74と押圧ローラ12との間に挟み搬送する際における用紙Pの波うちを防止し、用紙Pに皺が発生するのを抑制可能である。また、この計数モードでは、制御装置89は、操作パネル81での天地位置及び幅方向位置の双方を含む印刷位置の項目を選定不可としており、用紙Pは用紙搬送方向に直交する幅方向の位置が微調整されることはなく、前記幅方向中央位置で搬送される。
【0078】
この給紙台33から排紙台23までの間における用紙Pの搬送状態は、用紙搬送路Sの複数箇所に設置された用紙センサ66によって随時検出され、前側の用紙センサ66aが用紙Pの後端を検出することで制御装置89が用紙Pの搬送枚数を計数する。このとき、ユーザが、組数等の計数処理の際にも利用可能な各種機能の設定を行った場合には、制御装置89はそれらの機能を実行する制御を行う。
【0079】
ユーザが積載量計数モードを選定した場合、給紙台33上に積載された全ての用紙Pを計数した時点で、制御装置89が、給紙ローラ31による用紙Pの供給を停止するとともに、用紙搬送に関する他の駆動されている部品を停止して、用紙Pの計数動作を終了する。また、ユーザが設定枚数計数モードを選定した場合、テンキー84により入力された設定枚数の用紙Pを計数し終えた時点で、計数動作を停止する。
【0080】
計数モードでの用紙Pの搬送枚数は、印刷機Iのメンテナンス時に部品交換の要否を判断するための累積動作枚数に加算される。また、各ユーザーの認証番号が記憶されたキーカードを用いる機能を有する印刷機Iや、操作パネル81から入力された個人認識用の暗証番号によりユーザーを認証しなければ印刷が許可されない機能を有する印刷機Iについて、印刷動作を行わない計数モードでの用紙搬送枚数は、そのユーザーが印刷を行ったものとしてその搬送枚数がカウントされる。
【0081】
印刷モードにおいて、機密保持のため、または印刷ドラム11に原紙Nが巻回されていない等不具合が生じるのを回避するのためといった何らかの理由で、印刷動作が禁止または停止されている場合、印刷機Iを用いて印刷することができなくなる。しかし、このような印刷機Iを用いた印刷ができない状態であっても、印刷ユニット25を搬送ユニッ73に差し替えることで、印刷モードから計数モードへ変更することにより、印刷機Iを用いて計数可能である。そして、制御装置89は、計数のみの動作を実行可能とするよう制御する。更に、搬送ユニット73を再び印刷ユニット25に差し戻して計数モードから再度印刷モードに変更された場合には、やはり印刷機Iを用いた印刷は行えなくなる。
【0082】
このように、本実施形態にかかる印刷機Iは、給紙装置2により搬送される用紙Pに印刷しつつ、下流側の排紙装置3へ搬送する印刷部5と、給紙装置2により搬送される用紙Pの計数を行う計数部を備えた印刷機において、印刷ドラム11を備えた印刷ユニット25と交換することにより、用紙Pを印刷することなく排紙装置3へ搬送する搬送ユニット73を備えたので、大量に印刷され保管されていたチラシや葉書、社内や各クラスへの配布物等の用紙Pや、未印刷の用紙Pから、所定枚数を計数したい場合、または保管残量を知りたい場合等に、小型でオフィス等にも設置可能な孔版印刷用の印刷機Iを用いて用紙Pの計数を行うことができる。よって、ユーザは別途計数専用の装置を購入し、設置する必要がなく、コスト、設置スペースの節約が可能である。また、計数作業を手作業で実施する場合に比較して、手間が大幅に軽減されるとともに、短時間でミスすることなく正確に計数できる。また、印刷速度の速い孔版印刷用の印刷機を利用することで、より短時間で用紙Pの計数を行うことができる。
【0083】
また、搬送ユニット73は、印刷ドラム11と略同径で、インク通過用孔47が未形成の搬送ドラム74を備えたので、印刷ドラム11の駆動装置及び駆動連結機構を変更することなくそのまま用いて搬送ドラム74を回転することができ、制御も容易である。よって、印刷機Iの基本構成にほとんど変更を加えることなく計数動作を実行できるので、計数動作を付与したことに伴う部品点数の増大を抑えることができる。また、搬送ドラム74の大きさが印刷ドラム11より小さい場合に、用紙Pが浮き上がるなどして用紙搬送路Sから離脱することなく適正に搬送可能である。そして、インク通過用孔47が未形成なので、用紙Pを汚すことなく計数可能である。
【0084】
そして、印刷機本体1に対し、印刷ユニット25と搬送ユニット73のいずれが装着されたかを識別する識別手段を備え、制御装置89はこの識別手段の識別結果に基づいて、用紙Pに印刷する印刷モードと用紙Pを計数し印刷することなく下流側へ搬送する計数モードとを切り替えるよう制御するので、ユーザが印刷モードと計数モードの切り替え設定を操作しなくても自動的にモードが切り替わり、利便性が高い。
【0085】
更に、搬送ユニット73は、印刷機本体1に設けられた係合部材に係合可能な被係合部材を備え、制御装置89は、印刷機本体1の係合部材と搬送ユニット73の被係合部材とが係合することで、印刷機本体1に搬送ユニット73が装着されたと判断した場合に、用紙Pに印刷する印刷モードに替えて、用紙Pを計数し印刷することなく下流側へ搬送する計数モードを実行させるよう制御するので、搬送ユニット73を印刷機本体1に装着することで、印刷モードから計数モードに自動で切り替わる。
【0086】
更に、係合部材は、印刷機本体1に設けられた電気コネクタにより構成され、被係合部材は、搬送ユニット73に設けられた電気コネクタ77により構成されてなるので、搬送ユニット73が印刷機本体1に装着された際、印刷機本体1側の電気コネクタと搬送ユニット73の電気コネクタ77が接続されることで、容易に印刷機本体1に搬送ユニットが装着されたことを判断可能である。
【0087】
更に、制御装置89は、用紙に印刷する印刷モードと、搬送ユニットにより用紙を印刷することなく下流側へ搬送する計数モードとを切り替えるよう制御し、計数モードは、給紙装置2の給紙台33上に積載された全ての用紙Pを計数する積載量計数モードと、設定枚数の用紙Pを計数し終えた時点で計数動作を停止する設定量計数モードとを備えたので、給紙台33上に積載された全用紙Pの枚数を計数できるとともに、所定枚数の用紙Pを計数することも可能である。
【0088】
更に、制御装置89は、計数モードにおける用紙Pの搬送速度を、印刷モードにおける搬送速度より、減速及び増速可能に制御するので、計数モードの際によりユーザの希望する用紙搬送速度で用紙を搬送することができる。
【0089】
制御装置89は、計数モードにおける搬送ドラム74に対する押圧ローラ12の押圧力を、印刷モードにおける印刷ドラム11に対する押圧ローラ12の押圧力のうちもっとも弱いときと同程度とするよう制御するので、用紙Pが押圧ローラ12と搬送ドラム74の間で挟持搬送される際に該用紙Pに皺ができる事態を抑制可能である。また、制御装置89が、計数モードでは印刷モードより押圧ローラ12の押圧力を弱くするよう制御する場合には、より用紙に皺ができ難くすることができる。尚、この計数モードでは、制御装置89は、操作パネル81でのインクの濃さの項目を選定不可としており、ユーザーが押圧ローラ12の搬送ドラム74に対する押圧力を強くするよう設定することはできなくなる。
【0090】
(第2の実施形態)
上記第1の実施形態では、印刷ユニット25と交換することにより、用紙Pを印刷することなく排紙装置3へ搬送する搬送ユニット73を備えたが、本第2の実施形態では、未製版の原紙Nを印刷ドラム11に装着することにより、用紙Pを印刷することなく排紙装置3へ搬送する。これより、ユーザが用紙Pを印刷することなく用紙Pの計数のみ行いたいとき、装着部61から、印刷ユニット25を抜き取らず装着部61に装着したままで用紙Pを計数することができる。
【0091】
本第2の実施形態の操作パネル81には、上記第1の実施形態の各構成に加え、
図6に破線で示すように、モード選択キー82が設けられている。モード選択キー82は、印刷モードと計数モードとのいずれのモードを印刷機Iの制御装置89に実行させるかを選定するモード選定手段として機能する。印刷モードは、用紙に印刷する処理を実行する。計数モードは、用紙Pを計数し印刷することなく下流側へ搬送する計数処理を実行する。印刷モード及び計数モードのいずれのモードも印刷ユニット25が装着部61に装着された状態において選定可能とされる。制御装置89は、モード選定手段の選定に基づき印刷部5及び計数部を制御する。
【0092】
ユーザは、用紙Pを印刷したいときには、モード選択キー82で印刷モードを選定する。印刷モード選定後の印刷動作は、上記第1の実施形態と同様である。また、ユーザが、用紙Pを計数したいときには、モード選択キー82で計数モードを選定する。計数モードが選定されると、制御装置89は、印刷モードに替えて計数モードを実行させるよう制御する。
【0093】
そして、ユーザが、操作パネル81の液晶表示部87に表示された積載量計数モード及び設定量計数モードのうち、積載量計数モードを選定し、スタートキー85を押すか、または設定枚数計数モードを選定し、計数希望枚数をテンキー84によって置数・入力した後、スタートキー85を押すかのいずれかの操作をすると、制御装置89は、印刷ドラム11に巻回された使用済みの原紙Nを排版装置7により排版する。
【0094】
そして、制御装置89は、マスターロール13から原紙Nを繰り出し、サーマルヘッド14によって穿孔することなく未製版のままで、プラテンローラ27、原紙搬送ローラ30を回転することで下流側に搬送する。未製版の原紙Nの先端部は、クランプ54に挟持され、印刷ドラム11の回転により、該印刷ドラム11に装着される。そして、制御装置89が、給紙ローラ31、タイミングローラ18、印刷ドラム11、押圧ローラ12、排紙ベルト21、ファン22を適宜駆動開始する。用紙Pは、用紙搬送路S上を搬送され、印刷されることなく排紙装置3へ搬送される。このとき、制御装置89は、用紙剥離及びインク乾燥用のブローファン67の駆動を停止するとともに、インクポンプの駆動を停止し、印刷ドラム11内側へのインクの供給を行わないよう制御する。
【0095】
このように、未製版の原紙Nが印刷ドラム11に装着されるので、用紙Pが印刷されず、汚されることなく計数可能である。
【0096】
また、用紙Pに印刷する印刷モードと、用紙Pを印刷することなく下流側へ搬送する計数モードとのいずれの処理を実行させるかを、ユーザに選定させるモード選定手段を備え、
制御装置89は、このモード選定手段の選定に基づき印刷モードと計数モードとを切り替えるよう制御するので、ユーザは印刷機Iを用いた用紙Pの計数動作を容易に選定することができる。
【0097】
そして、モード選定手段は、印刷機本体1の操作パネル81に設けられたので、ユーザは更に容易に計数動作を選定可能である。
【0098】
制御装置89は、計数モードにおける押圧ローラ12の印刷ドラム11に対する押圧力を、印刷モードにおける押圧力のうちもっとも弱いときと同程度、または印刷モードにおける押圧力より弱くするよう制御する。これより、押圧ローラ12と印刷ドラム11の間で用紙Pが挟持搬送される際に用紙Pに皺ができる事態を抑制可能である。
【0099】
尚、上記第1の実施形態では、印刷機本体1に対し、印刷ユニット25と搬送ユニット73のいずれが装着されたかを識別する識別手段を備えたが、識別手段を備えない構成としてもよい。このように識別手段を設けない場合、ユーザは、印刷ユニットに替えて装着部に搬送ユニットを装着するのみでは、印刷モードから計数モードに切り替わらないので、モード選定手段で印刷モードと計数モードとのいずれの処理を実行させるかを選定選定することで、計数動作を実行させることができる。また、上記第2の実施形態では、モード選定手段は、印刷機本体1の操作パネル81に設けたが、操作パネル81に替えて印刷機本体1の他の場所に設けてもよく、印刷ドラムを備えた印刷ユニットに設けてもよい。
【0100】
計数モードは、給紙装置の給紙台上に積載された全ての用紙を計数する積載量計数モードと、設定枚数の用紙を計数し終えた時点で計数動作を停止する設定量計数モードとの双方を備えたが、いずれか一方のみ備えてもよく、これら以外の他のモードを備えてもよい。また、制御装置89は、計数モードを実行している場合に、操作パネル81における印刷状態の調整、製版及び排版に関する項目の全てを、選定不可とするよう制御したが、これらの項目のうちいずれかの項目を選定できるよう制御してもよく、全ての項目を選定可能なままとしてもよい。また、給紙装置2の給紙台33上における用紙Pの積載順を、逆順に積替えて排紙装置3の排紙台23上に積載したが、例えば、用紙の搬送途中に用紙を反転するなどすることで、積載順が変わらないようにしてもよい。
【0101】
また、搬送ユニットは、印刷ドラムと略同径で、インク通過用孔が未形成の搬送ドラムを備えたが、搬送ドラムに替えて、例えば、印刷ドラムとは異なる大きさの搬送ドラムや搬送ローラ、又は搬送ベルト等を設置してもよい。また、制御装置89は、計数モードにおける用紙Pの搬送速度を、印刷モードにおける搬送速度より、減速及び増速可能に制御したが、印刷時の用紙搬送速度より減速するのみ、または増速するのみのいずれか一方のみ可能としてもよく、用紙印刷時の搬送速度と同じ速度で用紙を搬送することとしてもよい。