(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハウジングの後面からは前記電線接続部を囲うように周壁が後方に突出しており、該周壁の一部には前記電線を引き出し可能な切欠部が設けられており、該周壁における前記切欠部以外の部分に前記カバーとの係止を行う係止部が形成されている請求項2または請求項3に記載のコネクタ。
前記カバーは、平板状であって前記ハウジングの前記後面と略平行に配される前記カバー本体部と、該カバー本体部の端部から前記ハウジングの後面側に突出して前記周壁の前記係止部に係止する複数の爪部とからなる請求項4に記載のコネクタ。
前記ハウジングの後面に沿って複数の前記電線を並列に位置合わせ可能にするためのガイドピンが前記ハウジングに設けられている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のコネクタ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の構成では、ハウジング本体から引き出された電線にストレート部分を設けているため、ハウジング本体から後方に突出する寸法が大きくなり、コネクタ全体の寸法が大きくなる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本
明細書に開示されるコネクタは、
外周形状が略円形の端子本体部と、該端子本体部と一体である電線接続部を有する
複数の端子と、前記電線接続部が後方に突出する後面を有し、前記端子が組み付けられたハウジングと、前記電線接続部に
それぞれ接続され、前記後面に沿って引き出された
複数の電線とを備えたコネクタであって、前記電線接続部に接続された位置における電線の軸方向が前記後面に沿う方向とされて
おり、前記ハウジングには前記端子本体部の外周形状に沿う形状のキャビティが設けられており、前記キャビティには、前記端子本体部が回転可能に組み付けられており、複数の前記電線が、直線状に前記後面に沿うように、平坦に並んで引き出されている。
【0006】
このような構成によると、電線接続部に接続される電線の軸方向がハウジングの後面に沿う方向とされており、その後面に沿って電線が引き出されるため、電線をハウジングから真っ直ぐ引き出した後に横方向に曲げる必要がなくなり、ハウジングの後面から後方に突出する電線の寸法を小さくすることで、コネクタの低背化が可能になる。
また、端子をハウジング内で回転させることができるため、電線の引き出し方向を自由に調整可能である。また、電線の引き出し方向の微調整も行いやすくなる。
【0007】
本
明細書のコネクタの実施の態様として、以下の構成としてもよい。
前記電線接続部を覆うカバーが前記ハウジングに取り付けられている構成としても良い。
このような構成では、電線接続部がカバーに覆われることになる。一般的に電線の固定部分は外力に弱いことから、カバーに覆われている方が電線接続部が他の部品などに当接しないため、好ましい。
【0008】
前記カバーは、前記端子の後端部に後方から当接することで、前記端子を抜け止めするカバー本体部を有している構成としても良い。
このような構成では、電線接続部を覆うカバーのカバー本体部が端子の抜け止め機構も果たすことになる。1つの部材で複数の役割を果たすことから、構造の簡素化および部品点数の削減に貢献できる。
【0009】
前記ハウジングの後面からは前記電線接続部を囲うように周壁が後方に突出しており、該周壁の一部には前記電線を引き出し可能な切欠部が設けられており、該周壁における前記切欠部以外の部分に前記カバーとの係止を行う係止部が形成されている構成としても良い。
このような構成では、周壁においてカバーとの係止を行うため、ハウジング内に係止するための構造を設ける必要がなく、係止するための構造が簡単になる。また、端子の電線接続部が突出している位置を囲うように形成されているため、端子の電線接続部よりも後方に周壁が突出することもなく、周壁を設けることが低背化の妨げになることがない。
【0010】
前記カバーは、平板状であって前記ハウジングの前記後面と略平行に配される前記カバー本体部と、該カバー本体部の端部から前記ハウジングの後面側に突出して前記周壁の前記係止部に係止する複数の爪部とからなる構成としても良い。
このような構成では、カバー本体部の後方に爪部が突出して、周壁の係止部に係止する形状となっていることから、周壁の突出寸法以上にカバー等が後方に突出しないことから、コネクタの低背化が可能になる。また、平板状のカバー本体部から爪部が突出している簡易な構造とすることができる。さらに、爪部と爪部の間が空いていることで、その間に切欠部から引き出した電線を通すことが可能になる。
【0011】
前記係止部は複数あり、かつ各々の係止部が等間隔で配置されている構成としても良い。
このような構成では、カバーとハウジングとの固定を確実に行うことができる。
【0012】
前記切欠部は、隣り合う一対の前記係止部の間に形成されている構成としても良い。
このような構成では、周壁における係止部以外の部分を全て切欠部とすることができる。そのため、1種類の部品で、複数方向への電線の引き出しが可能になる。
【0013】
前記ハウジングの後面に沿って複数の前記電線を並列に位置合わせ可能にするためのガイドピンが前記ハウジングに設けられている構成としても良い。
このような構成では、複数の電線をハウジングの後面に沿って並列に配索する際に、これらの電線をガイドピンで位置合わせしながら配索できるために、電線の扱いが容易になる。
【0015】
前記電線接続部は、前記電線の引き出し方向に延びて前記電線の端部が溶接される溶接部を有しており、前記溶接部及び前記電線の端部が一体的に熱収縮チューブに覆われている構成としても良い。
このような構成では、溶接部と電線の端部が熱収縮チューブによって防水されていることで、ハウジング内にゴム栓を収容する等の防水構造を作らなくてもよいため、コネクタの構造が簡単になる。
【発明の効果】
【0016】
本
明細書に開示されたコネクタによれば
、小型化することができる
【発明を実施するための形態】
【0018】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を
図1〜
図11を用いて説明する。
本実施形態における車両側コネクタ10は、電気自動車等において、車両に搭載されたバッテリに充電するべく車両側に設けられたコネクタである。このような車両側コネクタには、相手側端子を備えた充電側コネクタが嵌合される。
以下の説明においては、充電側コネクタとの嵌合および離脱方向を前後方向として嵌合する側を前側とし、また、
図1の上側を上方、下側を下方とし、左右方向についても
図1を基準として説明する。
【0019】
車両側コネクタ10は、
図7に示すように、車両側のバッテリ等から引き出された5本の電線20の端末部に接続された車両側端子金具30と、ハウジング50と、リテーナカバー70とを備えている。
【0020】
5本の電線20の内3本の電線20は、
図2に示すように、大径の電線20(以下、太電線21と称する)とされ、他の2本の電線20は、小径の電線(以下、細電線23と称する)とされている。また、
図9に示すように、それぞれの電線20は、複数の金属素線からなる可撓性を有する芯線25が絶縁被覆27によって覆われた構成とされている。電線20の端部には芯線25が露出しており、芯線25が露出した部分が車両側端子金具30に溶接されるようになっている。
【0021】
太電線21の端末に接続された車両側端子金具30のうち2本はパワー端子P、1本はアース端子Gとされ、細電線22の端末に接続された2本の車両側端子金具30は信号用端子Sとされている(
図1参照)。
【0022】
それぞれの車両側端子金具30は、
図9に示すように、相手側端子に接続する端子接続部31と、端子本体部33と、電線20と接続可能な電線接続部35とを備えており、電線20との接続部分を覆うのに熱収縮チューブ40が用いられている。そして、車両側端子金具30の端子接続部31と端子本体部33と電線接続部35とは一体に形成されており、導電性の金属による鍛造及びプレス加工によって形成されている。
【0023】
端子接続部31は、前後方向に延びる丸棒状に形成されている。そして、端子接続部31の軸線は前後方向に延びている。そして、端子接続部31の後端には、端子接続部31よりも径寸法が大きくされた円柱状の端子本体部33が設けられている。端子接続部31と端子本体部33は同軸配置とされている。
【0024】
なお、
図7に示すように、車両側端子金具30の端子接続部31および端子本体部33の径寸法は、パワー端子Pが最も大きく、信号用端子Sが最も小さくされている。また、すべての車両側端子金具30において端子本体部33よりも後側に位置する部分(電線接続部35)の前後方向の寸法は同等とされている。
【0025】
端子本体部33の後側には、
図9に示すように、電線接続部35が設けられる。電線接続部35は、端子本体部33の径方向の端部から後方に突出するように形成されている。電線接続部35は、端子本体部33の後方に突出する電線接続部本体37と、溶接部39とを備えている。電線接続部35全体の幅方向(左右方向)の寸法は、端子本体部33の径方向の寸法内に収まるように形成されている。
【0026】
電線接続部本体37は、端子本体部33の径方向の端部から突出して、略矩形状の平板形状をなしている。電線接続部本体37の幅方向(左右方向)の寸法は、端子本体部33の幅方向(径方向)の寸法の略4分の1程度になっている。そして、電線接続部本体37の左側縁は端子本体部33の左側の端部と揃うようになっている。電線接続部本体37の板厚は、必要な断面積に応じて決められている。電線接続部本体37の前後方向の寸法は、電線接続部本体37の後端がリテーナカバー70に当接可能な寸法になっている。
【0027】
電線接続部本体37の略中央付近から右側方に溶接部39が突出している。溶接部39の右端縁(先端)39Aは、端子本体部33の幅方向(径方向)の寸法内に収まるように形成されている。溶接部39は、溶接部39の根元側である固定部分39Cが電線接続部本体37と同等の板厚とされている。一方で、電線20の芯線25が溶接される部分39Bが固定部分39Cよりも板厚が薄くなっている。そのため、固定部分39Cと溶接される部分39Bとの間に段差38が形成されている。
【0028】
また、
図10に示すように、電線20の芯線25の端部は、段差38の端面に当接することで、溶接位置に位置合わせされる。そして、抵抗溶接等により溶接されることで、溶接部39の固定部分39Cの上面と溶接後の芯線25の上面とが略面一となるように溶接される。このように形成すると、熱収縮チューブ40を収縮する際の固定用の接着代を短くできることから、溶接部39の固定部分39Cを小さくすることができる。
【0029】
熱収縮チューブ40は、防水性の円形のチューブであって、ポリオレフィン樹脂等から構成され、熱を加えるとチューブ全体が主として径方向に縮むようになっている。収縮前の内径は、溶接後の溶接部39と電線20の芯線25が十分に通る大きさとなっており、溶接部39全体を覆うように差し込まれて、電線接続部本体37に溶接部39の両側で当接することで位置合わせされるようになっている。また、
図11に示すように、その長さは溶接部39を覆い、電線20の絶縁被覆27の端部を覆うことができる長さとなっている。そして、
図11に示すように、熱収縮チューブ40は、所定位置に配された後に熱を加えられて収縮し、収縮後には、芯線25の露出した部分を覆い、絶縁被覆27側の端部と溶接部39側の端部とが水密状態に固定される。
【0030】
ハウジング50は合成樹脂製であって、
図5に示すように、充電用コネクタが嵌合可能なコネクタ嵌合部51と、基板部55と、複数の端子収容室61(
図1参照)と、周壁65とを備えている。
ハウジング50には、車両に固定される基板部55が備えられている。
図1に示すように、基板部55の四つ角には、ボルト孔が螺設された金属製のカラー57がインサート成形により設けられている。
【0031】
コネクタ嵌合部51は、
図1及び
図4に示すように、基板部55の前側に設けられている。コネクタ嵌合部51は、略円柱形状をなして基板部55から前方に突出する形態の端子収容部51Aと、端子収容部51Aの外周側を取り囲むフード部51Bとを備えている。
【0032】
端子収容部51Aには、
図1に示すように、車両側端子金具30を収容可能な端子収容室61が複数(本実施形態では5室)設けられている。5つの端子収容室61のうち上段の2個はパワー端子P用、下段の中央はアース端子G用、また、下段の両端は信号用端子S用とされている。
各端子収容室61には、それぞれに車両側端子金具30が収容される。各端子収容室61は、
図7に示すように、前方に開口して端子接続部31が収容される接続嵌合部62と、後端寄りの位置に設けられた壁部63と、後方に開口して端子本体部33を収容する端子本体収容部64とを有している。
【0033】
端子収容室61のうち壁部63よりも前側の部分は、車両側端子金具30の端子接続部31が収容されるとともに充電用コネクタに設けられた端子収容筒(図示せず)が嵌合可能とされた接続嵌合部62とされている。壁部63には、車両側端子金具30の端子接続部31を前方に挿通させる挿通孔63Aが形成されており、端子接続部31は、挿通孔63Aを通って接続嵌合部62内に配される。挿通孔63Aは、端子接続部31の径寸法とほぼ同じ寸法の大きさに形成され、挿通孔63Aと端子接続部31との間にはほぼ隙間がないものとされている。
【0034】
そして、挿通孔63Aの後方には、挿通孔63Aと同軸で大径の端子本体収容部64が形成されている。端子本体収容部64の前後方向の寸法は、端子本体部33の後端部を少し露出させる程度とされている。端子本体収容部64は、端子本体部33の径寸法とほぼ同じ寸法の大きさ及び形状に形成されており、端子本体収容部64と端子本体部33との間には、ほぼ隙間はないものとされている。このように、端子本体収容部64と端子本体部33とは径寸法及び形状をほぼ同じにすることで、端子本体収容部64には、端子本体部33が回転可能に組み付け可能とされている。
【0035】
基板部55の後側には、
図2及び
図5に示すように、周壁65が設けられている。周壁65は、基板部55の後面55Aから略垂直に突出して後方に開口する円筒形状をなしている。そして、周壁65の後端の位置は、車両側端子金具30を組み付けたときの電線接続部本体37の後端の位置とほぼ同じになっている。
【0036】
周壁65の外周面には、複数のロック突起67が設けられている。ロック突起67は、周壁65の左右両側に、一対ずつ、計4つが等間隔に設けられている。各ロック突起67には、後述するリテーナカバー70に設けられた係止孔75が係止するものとされている。
【0037】
周壁65には、電線20を下方に引き出し可能な切欠部69が設けられている。切欠部69は、周壁65の下面側に設けられ、周壁65の後端部を前方へ切り欠いた形態とされている。
【0038】
車両側コネクタ10は、
図3及び
図6に示すように、ハウジング50の後側に組み付けられるリテーナカバー70を備えている。リテーナカバー70は合成樹脂製であって、全体として、周壁65に囲まれた位置の後側を覆う形状をなしている。
リテーナカバー70は、ハウジング50の基板部55の後面55Aに平行に配される円板状をなす本体板71を備えている。
【0039】
本体板71の外周縁から周壁65に沿う形状で前方に向かって弾性変形可能な爪部73が左右2枚ずつ設けられている。そして、爪部73には、周壁65の外周面に設けられたロック突起67に係止可能な係止孔75が設けられている。係止孔75にロック突起67が係止されることで、リテーナカバー70が周壁65に保持される。
【0040】
次に、上記した車両側コネクタ10の組み付け手順の一例を説明する。
まず、車両側端子金具30の組み付け手順について説明する。
図9に示すように、熱収縮チューブ40が電線20に先通しされる。そして、
図10に示すように、電線20の芯線25が露出した部分を溶接部39の溶接される部分39Bに抵抗溶接等で溶接する。その後、
図11に示すように、熱収縮チューブ40を電線接続部本体37側に差し込む。電線接続部本体37に当接するところまで、熱収縮チューブ40は差し込まれて位置合わせされる。そして、熱収縮チューブ40を加熱することで、熱収縮チューブ40が収縮する。そして、熱収縮チューブ40の一端部は絶縁被覆27に水密状態に密着し、他端部は溶接部39の固定部分39Cに水密状態に密着している。このように両端部がそれぞれ電線20と溶接部39に水密状態に密着することで、電線20と溶接部39の接続部分が水密状態に覆われることになる。
【0041】
そして、このように電線20を組み付けられた車両側端子金具30をハウジング50に組み付ける。5本の車両側端子金具30を、それぞれ対応する端子収納室61に挿入するべく押し込む。すると、端子接続部31は、それぞれ端子本体収容部64及び挿通孔63Aを通って接続嵌合部62に至り、端子本体部33は端子本体収容部64に収容されて、端子本体部33の前面が壁部63に当接することで前止まりする。
【0042】
溶接部39に溶接された電線20を、周壁65の切欠部69から引き出し可能なように、車両側端子金具30を回転させながら、電線20を基板部55(ハウジング50)の後面55Aに沿うように配置する。この際にハウジング50の中央寄りの端子収容室61に配されるパワー端子Pとアース端子Gの電線20が中央付近に並びその両側に信号用端子Sの電線20が並ぶように配されている。つまり、それぞれの電線20ができるだけ直線状に後面55Aに沿うように、端子本体部33を回転させて電線を引き出している。そして、
図4に示すように、切欠部69内から電線20が5本引き出される。
【0043】
電線20が切欠部69から引き出されて、車両側端子金具30が所定位置に配されると、リテーナカバー70が取り付けられる。周壁65の後方から、爪部73がロック突起67のところに位置するようにして、爪部73を周壁65に沿わせて前進させる。すると、ロック突起67の形状に合わせて、爪部73が外側に弾性変形して、ロック突起67が係止孔75に入り込んだ後、弾性復帰して係止孔75にロック突起67が係止される。同時に、リテーナカバー70の本体板71が周壁65の後端縁及び電線接続部本体37の後端に当接する。
【0044】
リテーナカバー70の本体板71が電線接続部本体37の後端に当接することで、車両側端子金具30は後方からも抜け止めされることになる。つまり、車両側端子金具30は、端子本体部33が壁部63で前止まりして、電線接続部本体37の後端がリテーナカバー70の本体板71によって後方から抜け止めされることによって、前後方向の位置が定まることになる。また、車両側端子金具30の電線20との接続部分の防水を、熱収縮チューブ40で行っていることから、ハウジング50及びリテーナカバー70側で車両側端子金具30の防水を行う必要がなくなり、構造が簡単になり、車両側コネクタ10の後方への突出量も少なくなる。
【0045】
以上のように、本実施形態においては、電線接続部35に接続される電線20の軸方向がハウジング50(基板部55)の後面55Aに沿う方向とされており、その後面55Aに沿って電線20が引き出されるため、電線20をハウジング50から真っ直ぐ引き出した後に横方向に曲げる必要がなくなり、ハウジング50の後面から後方に突出する電線20の寸法を小さくすることで、車両側コネクタ10の低背化が可能になる。
【0046】
電線接続部35を覆うリテーナカバー70がハウジング50(周壁65)に取り付けられている。
このような構成では、電線接続部35がリテーナカバー70に覆われることになる。一般的に電線20の固定部分は外力に弱いことから、リテーナカバー70に覆われていると電線接続部35が他の部品などに当接しないため、好ましい。
【0047】
リテーナカバー70は、車両側端子金具30の電線接続部本体37の後端部に後方から当接することで、車両側端子金具30を抜け止めする本体板71を有している。
このような構成では、電線接続部35を覆うリテーナカバー70の本体板71が車両側端子金具30の抜け止め機構も果たすことになる。1つの部材で複数の役割を果たすことから、構造の簡素化および部品点数の削減に貢献できる。
【0048】
リテーナカバー70は、平板状であってハウジング50の基板部55の後面55Aと略平行に配される本体板71と、本体板71の端部からハウジング50の後面55A側に突出してハウジング50に係止する複数の爪部73とからなる。
このような構成では、本体板71の後方に爪部73が突出する形状となっていないことから、リテーナカバー70の低背化が可能になる。また、平板状の本体板71から爪部73が突出している簡易な構造とすることができる。さらに、爪部73と爪部73の間が空いていることで、その間に電線20を通すことが可能になる。
【0049】
ハウジング50の基板部55の後面55Aからは電線接続部35を囲うように周壁65が後方に突出しており、周壁65の一部には電線20を引き出し可能な切欠部69が設けられており、周壁65における切欠部69以外の部分にリテーナカバー70との係止を行うロック突起67が形成されている構成としても良い。
このような構成では、周壁65においてリテーナカバー70との係止を行うため、ハウジング50内に係止するための構造を設ける必要がなく、係止するための構造が簡単になる。また、車両側端子金具30の電線接続部35が突出している位置を囲うように形成されているため、車両側端子金具30の電線接続部35よりも後方に周壁65が突出することもなく、周壁65を設けることが低背化の妨げになることがない。
【0050】
ロック突起67は複数あり、かつ各々のロック突起67が等間隔で配置されている。
このような構成では、リテーナカバー70とハウジング50との固定を確実に行うことができる。
【0051】
車両側端子金具30における端子接続部31と電線接続部35の間にハウジング50に装着される端子本体部33が形成され、端子本体部33の外周形状が略円形とされており、ハウジング50には端子本体部33の外周形状に沿う形状の端子本体収容部が設けられている。
このような構成では、車両側端子金具30をハウジング50内で回転させることができるため、電線20の引き出し方向を自由に調整可能である。また、電線20の引き出し方向の微調整も行いやすくなる。
【0052】
電線接続部35は、電線20の引き出し方向に延びて電線20の端部が溶接される溶接部39を有しており、溶接部39及び電線20の端部が一体的に熱収縮チューブ40に覆われている。
このような構成では、溶接部39と電線20の端部が熱収縮チューブ40によって防水されていることで、ハウジング50内にゴム栓を収容する等の防水構造を作らなくてもよいため、車両側コネクタ10の構造が簡単になる。
【0053】
<実施形態2>
次に、本発明の実施形態2を
図12ないし
図17によって説明する。
本実施形態の車両側コネクタ110では、周壁165の切欠部169が複数設けられている点で、実施形態1とは相違する。なお、実施形態1と同一機能を有する部材、部位については、同一の符号を付すことで、説明を省略しまたは簡略化する。
【0054】
車両側コネクタ110は、車両側のバッテリ等から引き出された5本の電線20の端末部に接続された車両側端子金具30とハウジング150とリテーナカバー70とを備えている。
【0055】
ハウジング150は、実施形態1と同様、充電用コネクタが嵌合可能なコネクタ嵌合部51と、基板部55と、複数の端子収容室61と、周壁165とを備えている。コネクタ嵌合部51と、基板部55と、複数の端子収容室61とについては、実施形態1と同様の構成を備えているので、その説明は省略する。
【0056】
周壁165には、
図12及
図13等に示すように、切欠部169が上下左右方向に4か所設けられている。切欠部169は、周壁165のうちロック突起67が設けられている部分とロック突起67が設けられている部分の間が切り欠かれることで形成されている。つまり、周壁165は、ロック突起67が設けられている箇所のみ後方に突出していることになる。
【0057】
ハウジング50の後面の周壁165に囲まれた部分には、複数のガイドピン159が後方に向かって突出している。ガイドピン159の突出寸法は、周壁165の突出寸法とほぼ同一とされており、組み付け後の電線接続部本体37の後方へ突出寸法ともほぼ同一とされている。ガイドピン159は、上下方向に長い形状のものが上側と下側に2本ずつ形成されており、左右方向に長い形状のものが左右それぞれに2本ずつ形成されている。これらのガイドピンは、電線20と電線接続部35及び熱収縮チューブ40が干渉しないようにする位置に設けられている。つまり、ガイドピン159が設けられることで、電線20を所定方向に引き出すために電線20の位置を調整する際に、電線接続部35及び熱収縮チューブ40に電線20が外力を加えることを防ぐようになっている。
【0058】
次に、上記した車両側コネクタ110の組み付け手順を説明する。
まず、電線20を下側に引き出す例について、
図12から
図14を用いて説明する。実施形態1と同様に、電線20が溶接された車両側端子金具30をハウジング150に組み付ける。そして、電線20を周壁165の下側の切欠部169から引き出し可能なように、車両側端子金具30を回転させながら、電線20を後面55Aに沿うように配置する。この際、パワー端子Pに溶接された太電線21がガイドピン159に当接しながら配置される。そして、パワー端子Pの電線20(太電線21)の間にアース端子Gの電線20(太電線21)が配置される。また、パワー端子Pの両側に信号用端子Sの電線20(細電線23)が配置される。そして、これらの電線20が下側に設けられた切欠部169内から引き出される。
【0059】
また、電線20を側方から引き出す例について、
図15から
図17を用いて説明する。上記下側に引き出す例と同様に、電線20が溶接された車両側端子金具30をハウジング150に組み付ける。その際に、電線20が側方を向くように車両側端子金具30を組み付ける。そして、電線20を周壁165の側方の切欠部169から引き出し可能なように、車両側端子金具30を回転させながら、電線20を後面55Aに沿うように配置する。この際、電線20を引き出す切欠部169に近い位置に配されたパワー端子Pの熱収縮チューブ40がガイドピン159に上方から当接して同端子Pに溶接された太電線21が配置される。電線20を引き出す切欠部169から遠い位置に配されたパワー端子Pの太電線21もガイドピン159に当接しながら配置される。電線20を引き出す切欠部169から遠い位置に配された信号用端子Sの熱収縮チューブ40がガイドピンに上方から当接しながら同端子Sに溶接された細電線23が配置される。電線20を引き出す切欠部169に近い位置に配されたパワー端子Pの熱収縮チューブ40がガイドピン159に上方から当接して同端子Pに溶接された細電線23が配置される。アース端子Gの太電線21がガイドピン159と周壁165の間を通るように配置される。このようにして、5本の電線20が側方に設けられた切欠部169内から引き出される。
【0060】
上記のように電線20を引き出した後、実施形態1と同様にリテーナカバー70が取り付けられる。リテーナカバー70は、周壁165のあるところに爪部73が配されることから、どの切欠部169から電線20が引き出されていても、リテーナカバー70が電線20の引き出しを妨げることがない。また、電線20が引き出されない切欠部169の形成されているところは、リテーナカバー70等には覆われていないため、開口したままになるが、車両側端子金具30と電線20との接続部分が熱収縮チューブ40によって保護されているため、防水などの点で問題は生じない。
【0061】
このように、周壁165の上下左右方向に切欠部169が設けられることで、電線20の引き出し方向が上下左右方向のいずれか一つに自由に決めることができる。つまり、電線20の引き出し方向に関わらず、同じ部品を使うことができるようになるため、低コスト化につながる。
【0062】
以上のように本実施形態よれば、切欠部169は、隣り合う一対のロック突起67の間に形成されている。
このような構成では、周壁165におけるロック突起67以外の部分を全て切欠部169とすることができる。そのため、1種類の部品で、複数方向への電線20の引き出しが可能になる。
【0063】
また、ハウジング50の後面55Aに沿って複数の電線20を並列に位置合わせ可能にするためのガイドピン159がハウジング50に設けられている。
このような構成では、複数の電線20をハウジング50の後面55Aに沿って並列に配索する際に、これらの電線20をガイドピン159で位置合わせしながら配索できるために、電線20の扱いが容易になる。
【0064】
<他の実施形態>
本
明細書に開示される技術は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような
種々の態様も含まれる。
(1)上記実施形態では、電線20を溶接部39に溶接することで接続したが、端子本体部等からバレルを突出させた上で、電線20が後面55Aに沿う形状に圧着する端子を用いても良い。
(2)上記実施形態では、円柱状の端子本体部33を設けたが、端子本体収容部64内で回転可能であれば、平板形状でも良いし、他の形状でも良い。
(3)上記実施形態では、溶接部39に段差38を設けたが、段差がなくても良い。
【0065】
(4)上記実施形態では、端子本体収容部64は円柱状の端子本体部33に沿う形状とされていたが、端子を位置合わせ可能に装着することができれば、他の形状でも良い。
(5)上記実施形態では、熱収縮チューブ40によって車両側端子金具30の電線20との接続部分の防水をしていたが、樹脂による防水など他の方法を用いても良い。
【0066】
(6)上記実施形態では、実施形態2のみで、ガイドピン159を用いたが、実施形態1でガイドピンを形成しても良い。また、実施形態2においてもガイドピン159を用いなくても良い。
(7)上記実施形態では、ハウジング50の後面55Aに周壁65、165を設けていたが、周壁がなくても良い。その場合には、ハウジング50内にリテーナカバー70との係止部を設けるようにすれば良い。
【0067】
(8)上記実施形態では、周壁65、165とリテーナカバー70とは、ロック突起67と係止孔75によって係止されていたが、リテーナカバー70側に突起部を設けて周壁65、165側に被係止部を設けても良い。また、ネジ止め等2つの部材を係止する他の周知の方法を用いても良い。
(9)上記実施形態では、リテーナカバー70は、本体板71から爪部73が突出する形状となっていたが、本体板71の周端縁から周壁部を形成して、電線20を引き出す切欠きを形成する形状としても良い。
【0068】
(10)上記実施形態では、リテーナカバー70が車両側端子金具30の抜け止めの役割を果たしたが、ハウジング側に抜け止め構造を形成しても良い。
(11)上記実施形態では、リテーナカバー70には防水構造を設けていないが、カバーにグロメットなどをかぶせて防水を行うようにしても良い。
(12)上記実施形態では、リテーナカバー70を設けたが、リテーナカバーがなくても良い。