(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のロフト角が約18°から約20°の範囲にあり、前記第2のロフト角が約21°から約23°の範囲にあり、前記第3のロフト角が約24°から約26°の範囲にある、請求項1に記載のゴルフクラブのセット。
前記第1のライ角が約58°から約60°の範囲にあり、前記第2のライ角が約58.5°から約60.5°の範囲にあり、前記第3のライ角が約59°から約61°の範囲にある、請求項1に記載のゴルフクラブのセット。
前記各クラブヘッドが、ホーゼル中心軸及びトウ縁部を有し、前記各クラブヘッドが、前記ホーゼル中心軸から前記トウ縁部までの長さ(L1)を有し、前記第1のクラブヘッドのL1が前記第2のクラブヘッドのL1よりも大きく、前記第3のクラブヘッドのL1が前記第2のクラブヘッドのL1よりも小さい、請求項1に記載のゴルフクラブのセット。
前記各クラブヘッドがホーゼル中心軸及び後縁を有し、前記各クラブが、前記ホーゼル中心軸から前記後縁までの長さ(L3)を有し、前記第1のクラブヘッドのL3が前記第2のクラブヘッドのL3よりも大きく、前記第3のクラブヘッドのL3が前記第2のクラブヘッドのL3よりも小さい、請求項1に記載のゴルフクラブのセット。
前記各クラブヘッドが、ホーゼルから接地面までの長さ(L5)を有し、前記第1のクラブヘッドのL5が前記第2のクラブヘッドのL5よりも大きく、前記第2のクラブヘッドのL5が前記第3のクラブヘッドのL5よりも大きい、請求項1に記載のゴルフクラブのセット。
前記第1のクラブヘッドが、ホーゼル中心軸から後縁までの第4の長さを有し、前記第2のクラブヘッドが、ホーゼル中心軸から後縁までの第5の長さを有し、前記第3のクラブヘッドが、ホーゼル中心軸から後縁までの第6の長さを有し、前記第6の長さが前記第5の長さよりも短く、前記第5の長さが前記第4の長さよりも短い、請求項10に記載のゴルフクラブのセット。
前記各クラブヘッドが、ホーゼルから接地面までの長さ(L5)を有し、前記第1のクラブヘッドのL5が前記第2のクラブヘッドのL5よりも大きく、前記第2のクラブヘッドのL5が前記第3のクラブヘッドのL5よりも大きい、請求項10に記載のクラブヘッドのセット。
前記第1のロフト角が約18°から約20°の範囲にあり、前記第2のロフト角が約21°から約23°の範囲にあり、前記第3のロフト角が約24°から約26°の範囲にある、請求項10に記載のゴルフクラブのセット。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、当該技術分野において、視覚的により魅力のあるサイズを有すると同時に、クラブヘッドの性能特性を犠牲にしないハイブリッドゴルフクラブヘッドのセットに対する要望が依然としてある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ロフト角が増大するにつれてサイズが小さくなるような漸次的なサイズにされたゴルフクラブヘッドのセットに関し、また、このようなクラブヘッドを含むゴルフクラブセットに関する。本発明はまた、クラブヘッドと共に使用するウェイティングシステムに関する。
【0007】
本発明の第1の態様において、ゴルフクラブのセットであって、第1のロフト角、第1のライ角及び第1のフェース高さを有する第1のクラブヘッドを含む第1のゴルフクラブと、第2のロフト角、第2のライ角及び第2のフェース高さを有する第2のクラブヘッドを含む第2のゴルフクラブと、第3のロフト角、第3のライ角及び第3のフェース高さを有する第3のクラブヘッドを含む第3のゴルフクラブと、を備える。
【0008】
第3のフェース高さは、第2のフェース高さよりも低くすることができ、第2のフェース高さは、第1のフェース高さよりも低くすることができる。
【0009】
第1のロフト角は、第2のロフト角よりも小さくすることができ、第3のロフト角は、第2のロフト角よりも大きくすることができる。第1のロフト角が約18°から約20°の範囲とすることができ、第2のロフト角が約21°から約23°の範囲とすることができ、第3のロフト角が約24°から約26°の範囲とすることができる。
【0010】
第1のライ角は第2のライ角よりも小さくすることができ、第2のライ角は第3のライ角よりも小さくすることができる。第1のライ角が約58°から約60°の範囲とすることができ、第2のライ角が約58.5°から約60.5°の範囲とすることができ、第3のライ角が約59°から約61°の範囲とすることができる。
【0011】
各クラブヘッドは、ホーゼル中心軸からトウ縁部までの長さ(L1)を有する。第1のクラブヘッドのL1は、第2のクラブヘッドのL1よりも大きくすることができ、第3のクラブヘッドのL1は、第2のクラブヘッドのL1よりも小さくすることができる。L1は、セットの各クラブヘッドにおいて約1〜約4mm異なることができる。
【0012】
各クラブヘッドは、ホーゼル中心軸から後縁までの長さ(L3)を有する。第1のクラブヘッドのL3は、第2のクラブヘッドのL3よりも大きくすることができ、第3のクラブヘッドのL3は、第2のクラブヘッドのL3よりも小さくすることができる。L3は、各クラブヘッドにおいて約2mm〜約5mm異なることができる。
【0013】
各クラブヘッドは、ホーゼルから接地面までの長さ(L5)を有する。第1のクラブヘッドのL5は、第2のクラブヘッドのL5よりも大きくすることができ、第2のクラブヘッドのL5は、第3のクラブヘッドのL5よりも大きくすることができる。
【0014】
本発明の第2の態様において、ゴルフクラブのセットは、クラウン、ソール及びフェースにより定められる本体を有し且つ第1のロフト角及び第1のフェース高さを有する第1のクラブヘッドを含む第1のゴルフクラブと、クラウン、ソール及びフェースにより定められる本体を有し且つ第2のロフト角及び第2のフェース高さを有する第2のクラブヘッドを含む第2のゴルフクラブと、クラウン、ソール及びフェースにより定められる本体を有し且つ第3のロフト角及び第3のフェース高さを有する第3のクラブヘッドを含む第3のゴルフクラブと、を備える。
【0015】
第1、第2、及び第3のクラブヘッドの少なくとも1つが更に、ソールに沿ってウェイトパッドを含むことができる。場合によっては、第1、第2、及び第3のクラブヘッドの各々は更に、ソールに沿ってウェイトパッドを含む。
【0016】
ウェイトパッドは、前面と別個の上面とを有することができる。上面は、クラブヘッドの中立軸に平行な平面に沿って延びることができ、該中立軸は、クラブフェースの外面に垂直なフェースの中心を通過する。
【0017】
ウェイトパッドは、該ウェイトパッドを貫通して延び、上面において開放された半球キャビティを定める半球面を含むことができる。半球面は、一定の曲率半径又は変化する曲率半径によって定めることができる。
【0018】
本発明の第3の態様において、ゴルフクラブのセットは、クラウン、ソール及びフェースにより定められる本体を有し且つ第1のロフト角及び第1のフェース高さを有する第1のクラブヘッドを含む第1のゴルフクラブと、クラウン、ソール及びフェースにより定められる本体を有し且つ第2のロフト角及び第2のフェース高さを有する第2のクラブヘッドを含む第2のゴルフクラブと、クラウン、ソール及びフェースにより定められる本体を有し且つ第3のロフト角及び第3のフェース高さを有する第3のクラブヘッドを含む第3のゴルフクラブと、を備える。
【0019】
第1、第2、及び第3のクラブヘッドの少なくとも1つが更に、ソールにおいてホーゼルアクセスポートを含むことができる。場合によっては、第1、第2、及び第3のクラブヘッドの各々は更に、ソールにおいてホーゼルアクセスポートを含む。
【0020】
ホーゼルアクセスポートは、ソールのヒール側上に位置することができる。ホーゼルアクセスポートはまた、ウェイトスクリューを受けるための構成を有することができる。ウェイトスクリューを受けるための構成は、ホーゼルアクセスポートが第1の軸に沿って締結スクリューを受け、第2の軸に沿ってウェイトスクリューを受け、第2の軸が第1の軸に垂直であるように構成されたものとすることができる。第1、第2、及び第3のクラブヘッドの各々におけるウェイトスクリューは、約2グラム又はそれ以上異なることができる。
【0021】
本発明の複数の態様は、互いに別個に提示することができるが、互いに排他的なものではなく、組み合わせて提示することもできる。
【0022】
上記の概要及び以下の詳細な説明の両方は、例示的で説明のためのものに過ぎず、請求項に記載される本発明の更なる説明を提供することを意図している。添付図面は、本発明の理解を深め、本明細書に組み込まれてその一部を構成すると共に、本発明の幾つかの実施形態を例証し、その説明と合わせて本発明の原理を説明するのに役立つものである。
【0023】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面に関して提供される以下の詳細な説明から明ら確認することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の開示事項は、添付図面に示された実施例に関して本発明を考察し、本発明の実施例を例証しているが、本発明をこれらの実施例に限定するものではない。
【0026】
本発明は、クラブヘッドのロフト角が増大するにつれてセット内のクラブヘッドのサイズが小さくなるような漸次的なヘッドサイズを有するゴルフクラブヘッドのセットに関する。本発明はまた、このようなクラブヘッドを含むゴルフクラブセットに関する。本発明はまた、重心、MOI及びスウィングウェイトなどのバランス特性を改善することを目的として、漸次的なサイズにされたクラブヘッドのセットと共に使用するウェイティングシステムに関する。本発明のこれらの態様について、以下でより詳細に考察する。
【0027】
漸次的サイズのクラブヘッド
本発明は、クラブヘッドのロフト角が順次的に増大するにつれてクラブヘッドの全体のサイズが順次的に小さくなることを特徴として備えた、ゴルフクラブヘッドのセット、特にハイブリッドゴルフクラブヘッドのセットに関する。
【0028】
図1及び2は、クラブセットにおける3つのゴルフクラブの外形輪郭を示し、一連の各クラブヘッド100が、前のクラブヘッドに対してサイズが減少している。詳細には、
図1は、第1のロフト角α1を有する第1のクラブヘッド101を示す。
図1はまた、第1のクラブヘッド101のロフト角α1よりも大きなロフト角α2を有するが、全体のサイズは第1のクラブヘッド101よりも小さい第2のクラブヘッド102を示す。
図1は更に、第1及び第2のクラブヘッド101/102のロフト角α1/α2の両方よりも大きいロフト角α3を有するが、全体のサイズは第1及び第2のクラブヘッド101/102よりも小さい第3のクラブヘッド103を示す。
図2において、クラブヘッド101/102/103の相対的ロフト角及び全体のサイズを理解することができ、3つの順次的クラブヘッド101/102/103の外形輪郭が、共通基準点としての機能を果たす前縁10にて互いに重ね合わされている。
図2に示す相対的外形輪郭において、実線は第1のクラブヘッド101を示し、破線が第2のクラブヘッド102を示し、点鎖線が第3のクラブヘッド103を示している。
【0029】
第1のクラブヘッド101は、
図1に示すように、約18°〜約20°の間、好ましくは約18.5°〜約19.5°の間、及びより好ましくは約19°のロフト角α1を有することができる。従って、第1のクラブヘッド101は、5番ウッド又は2番アイアンのクラブヘッドに取って代わるハイブリッドクラブヘッドとすることができる。第2のクラブヘッド102は、約21°〜約23°の間、好ましくは約21.5°〜約22.5°の間、及びより好ましくは約22°のロフト角α2を有することができる。従って、第2のクラブヘッド102は、3番アイアンのクラブヘッドに取って代わるハイブリッドクラブヘッドとすることができる。第3のクラブヘッド103は、
図1に示すように、約24°〜約26°の間、好ましくは約24.5°〜約25.5°の間、及びより好ましくは約25°のロフト角α3を有することができる。従って、第3のクラブヘッド103は、4ン番アイアンのクラブヘッドに取って代わるハイブリッドクラブヘッドとすることができる。
【0030】
第1のクラブヘッド101は、約58°〜約60°の間、好ましくは約58.5°〜約59.5°の間、及びより好ましくは約59°のライ角β1を有することができる。第2のクラブヘッド102は、約58.5°〜約60.5°の間、好ましくは約59°〜約60°の間、及びより好ましくは約59.5°のライ角β2を有することができる。第3のクラブヘッド103は、約59°〜約61°の間、好ましくは約59.5°〜約60.5°の間、及びより好ましくは約60°のロフト角β3を有することができる。
【0031】
図2で例示されるように、第2のクラブヘッド102は、第1のクラブヘッド101に類似した形状を有するが、全体サイズが相対的に小さい。
図3〜7は、このような類似の形状であるが、異なるサイズにされたクラブヘッド101/102/103を構成するときに考慮される幾つかの寸法を例示したクラブヘッド100を示している。詳細には、クラブヘッド101/102の類似の形状及びサイズの縮小は、幾つかの寸法の縮尺を小さくした状態で第1のクラブヘッド101と同様の方式で第2のクラブヘッド102を構成することによって達成される。例えば、第2のクラブヘッド102は、第1のクラブヘッド101の少なくとも以下の寸法、すなわち、ホーゼル中心軸2からトウ縁部4まで測った長さL1、ホーゼル中心軸2から後縁6まで測った長さL3、クラブヘッド1の幅(前縁10から後縁6まで)を測った長さL7、クラウンピーク高さ(ソール14の最下点12からクラウン18の最上点16まで;
図1)を測った長さL9、及びクラブヘッド1のヒール縁部20からトウ縁部4までの距離を測った長さL15についての各測定値の縮尺を小さくすることによって特徴付けられる。縮尺率は、約1パーセントから約15パーセントの範囲にわたることができる。1つの実施形態において、縮尺率は、約2パーセントから約12パーセントの範囲にわたる。別の実施形態において、縮尺率は、約2パーセントから約10パーセントの範囲にわたる。更に別の実施形態において、縮尺率は、約2パーセントから約6パーセントの範囲にわたる。
【0032】
1つの実施形態において、長さL1(ホーゼル中心軸2からトウ縁部4まで計った)は、第2のクラブヘッド102第2のクラブヘッド102よりも第1のクラブヘッド101の方がより大きい。同様に、L1は、第3のクラブヘッド103に比べて第2のクラブヘッド102の方がより大きい。別の実施形態において、L1は、セットの各クラブにおいて約1〜約4mm、好ましくは約1.8mm〜約2.2mm異なる。換言すると、ロフトが増大すると、L1は減少する。
【0033】
同様に、1つの実施形態において、ロフトが増大すると、ホーゼル中心軸2から後縁6までのL3は減少する。従って、第1のクラブヘッド101のL3は、第2のクラブヘッド102のL3よりも大きい。第3のクラブヘッド103のL3は、第1及び第2のクラブヘッド101/102のL3よりも小さい。別の実施形態において、一連の各クラブヘッドは、約2mm〜約5mm、好ましくは約2.5mm〜約3.4mm異なる。
【0034】
1つの実施形態において、第1、第2、及び第3のクラブヘッド101/102/103の接地面までのホーゼル長さ(L5)は、同じか又は異なるものとすることができ、各々が、約42.4mm〜約47.6mmの範囲、好ましくは約43.7mm〜約46.3mmの範囲、及び好ましくは45mmである。
【0035】
別の実施形態において、第1、第2、及び第3のクラブヘッド101/102/103の膨出半径(L11)は、同じか又は異なるものとすることができ、約204mm〜約304mm、好ましくは約229mm〜約279mmの範囲にわたる。1つの実施形態において、クラブの膨出半径は同じである。詳細には、バル時半径は約2554mmとすることができる。同様に、第1、第2、及び第3のクラブヘッド101/102/103のロール半径(L13)は、同じか又は異なるものとすることができ、約192mm〜約292mm、好ましくは約217mm〜約267mmの範囲にわたる。1つの実施形態において、クラブの膨出半径は同じである。詳細には、膨出半径は約242mmとすることができる。
【0036】
幾つかの寸法は、順次的なクラブヘッド101/102間で縮尺変更されるが、セット全体を通じて一定のままの寸法も幾つか存在する。例えば、上述のように、接地面までのホーゼル長さ(L5)及びロール半径(それぞれL11及びL13)は、セットのクラブヘッドで同じとすることができる。同様に、限定ではないが、クラウン厚(ヘッドの後部に近接している)、クラウン厚(上部ラインに近接している)、スカート厚(トウに近接している)、スカート厚(ヒールに近接している)、ソール厚(ヘッドの後部に近接している)、ソール厚(前縁に近接している)、フェースフランジ厚、及びフェースインサート中心面積を含む、クラブヘッドの種々の部分の壁厚及び面積がセットにおいて同じとすることができる。
【0037】
縮尺変更した寸法と維持された寸法との上述の寸法関係により、第2のクラブヘッド102は、第1のクラブヘッド101よりも小さく作られると同時に、2つのクラブヘッド101/102が類似のスウィング挙動をもたらすように共通の曲線及び輪郭が維持される。
【0038】
縮尺変更された寸法及び維持された寸法に関して第1及び第2のクラブヘッド101/102間で行った同じ調整は、第3のクラブヘッド103を構成する際に繰り返される。詳細には、第1のクラブヘッド101から第2のクラブヘッド102に縮尺が小さくされた寸法は、この場合も同様に、第2のクラブヘッド102から第3のクラブヘッド103に縮尺が小さくされ、第1のクラブヘッド101から第2のクラブヘッド102で維持された寸法は、この場合も同様に、第2のクラブヘッド102から第3のクラブヘッド103で維持される。
【0039】
第1、第2、及び第3のクラブヘッド101/102/103の各々において、一部の寸法の測定値は、縮尺変更も維持もされず、代わりに、特定のクラブヘッド100に与えられることになるロフト角αにより決定付けられる。例えば、クラブヘッド101/102/103を構成する際に、以下の測定値、すなわち、接地面Aからフェースカップ中心22までの垂直距離の長さL17、フェースカップ高さ(底縁中心点24と上縁中心点26との間)の長さL19、フェースカップ上昇高さ(接地面Aと上縁中心点26との間)の長さL21、及びフェース漸進の長さL25は、特定のヘッドのロフト角によって決定される。
【0040】
クラブヘッド101/102/103は、漸次的に増大する完成組立体の全重量Wで構成することができる。漸次的に増大する全重量Wにより、各クラブヘッド101/102/103が、対応するクラブシャフトと合致したときに個々に組み立てられたクラブに目標のバランスを与え、これにより個別に組み立てられたクラブの各々に共通のスウィング重量を提供できるようになる。対応するシャフト間の長さの変化に応じて、所与のセットにおける順次的なクラブヘッドの間の全重量Wの差が変わることになるが、一般的には、一連のクラブヘッド101/102/103間の全重量Wの差は、約5グラムから約8グラム、好ましくは約6グラムから約7グラムとすることができる。
【0041】
クラブヘッド101/102/103は、限定ではないが、ステンレス合金鋼(465SS;17−4SS;その他)、チタン合金、アルミニウム合金、及び同様のものを含む、金属、プラスチック、又は複合材料から構成することができる。複合クラブヘッドは、異なる材料から形成された個別の成分で構成することができる。例えば、二要素複合クラブヘッド100は、クラウン、スカート及びソールに17−4ステンレス鋼を使用し、フェースカップに465ステンレス鋼を使用して構成することができる。
【0042】
順次的にロフト角が変化したクラブヘッド101/102/103の漸次的に減少するサイズでは、クラブセットは、同様の形状に見えるが、アドレス時に見たときに(すなわち、プレスイング位置でクラブを保持したときにプレーヤー側から見たようなクラブヘッドの見下ろし視点)順次的に減少する占有面積サイズを有したクラブヘッドで構成することができる。漸次的に減少する寸法を有する同様の形状のクラブヘッドのこの均一な外観は、プレーヤーの信頼性及び能力を高めることが期待されるクラブヘッドに魅力的な審美性をもたらす。加えて、順次的にロフト角が変化したクラブヘッド101/102/103の漸次的に減少するサイズは、各順次的クラブに共通の空力的挙動(例えば、クラブの類似形状に起因して)と(例えば、各順次的クラブの断面積の減少に起因した)空力抵抗の低下を各順次的クラブに提供することによって、好ましい空力特性が与えられると期待される。
【0043】
また、クラブヘッド101/102/103は、各クラブに共通のスウィングウェイトを提供するために組み立てられたクラブにおいて目標とする重量バランスを達成するように特定の総重量Wで形成される。詳細には、クラブヘッド101/102/103の総重量Wは、ロフト角α1/α2/α3が増大するにつれて順次的に増大することを特徴とする。この重量の増大は、クラブヘッド101/102/103の総容量Vが順次的減少し、壁厚T1〜T8を一定に維持している場合でも生じる。本発明において、この総重量Wと減少する容積Vの反比例の関係は、1又はそれ以上のウェイティングシステムを含めることにより達成される。
【0044】
加重体ウェイティングシステム
図8は、本発明のクラブヘッド100を重み付けするのに用いることができる第1のウェイティングシステム600を示す。
図8に示す実施例において、ウェイティングシステム600は、加重体610を含み、該加重体は、フェース110の内面111からスペースSだけ離隔された前面612と、上面614と、加重体610を貫通して延びて上面614において開放した半球キャビティ618を定める半球面616とを有する。
【0045】
本明細書で考察される特定の実施形態は、フェースカップを有するクラブヘッドに関するが、本発明は、この製造方法に限定されるものではない。詳細には、ゴルフクラブヘッドは、打撃フェースを形成する種々の製造方法を用いて製造することができる。
【0046】
図8に示す実施例において、上面614は、クラブヘッド100の中立軸NAに平行な平面Bに沿って延びる。中立軸NAは、フェースカップ110の中心22を通る軸線であり、フェースカップ110の外面112に対して垂直な向きを有する。上面614は、後方端部620にてソール14と合一し、フェースカップ110に向かって延びるにつれてクラウン18に向けて上向きに傾斜して、最前点622にて終端する。上面614は、中立軸NAと平行な平面Bに沿って延びるので、上面614の傾斜は、中立軸NAの傾斜と一致することになる。
【0047】
図9に示すような他の実施例において、上面614の後方端部620は、ソール14と合一しなくてもよく、ソール14の上方にある後方端点624の端部に達することができる。このような実施例において、後面626は、上面614の後方端点624とソール14との間にわたることになる。別の実施例において、平面Bは、中立軸NAに平行でなくてもよい。平面Bは、後方に傾けて、重心140をより低く中立軸NAから更に後方に離れて移動させるようにすることができる。平面Bはまた、前方に傾けて、重心140をより高くフェースに近付けて中立軸NAから更に離れるようにすることができる。更に別の実施例において、平面Bは、ヒール側又はトウ側に傾けて、それぞれヒール側に偏った又はトウ側に偏った重心140を生成することができる。
【0048】
図8の実施例に示すように、加重体610の前面612は、中立軸NAに垂直な平面Cに沿って延びることができる。前面612は、フェースカップ110の内面111からスペースSだけ離隔されている。スペースSは、ゴルフボールの打撃時にフェースカップ110が内向きに撓んだときに、フェースカップ110が加重体610に接触するのを防ぐのに少なくとも十分な量である。一部の実施例において、スペースSは、加重体610とのフェースカップ110の接触を防ぐのに十分な量であるだけでなく、加重体610がフェースカップ110の撓み特性に何らかの望ましくない応力の影響を与えるのを防ぐのに十分な量である。例えば、理論に縛られるものではないが、加重体610の下側最前点628が、フェースカップ110の内面111に近過ぎる位置に配置された場合、加重体610の構造上の剛直性は、フェースカップ110がソール14に合一する領域においてフェースカップ110の構造的支持に対する剛性の増大をもたらすことができると考えられる。このような剛性の増大は、フェースカップ110の撓み特性を変化させ、これにより、クラブヘッド100によって打撃されたゴルフボールの軌道を変えることができる(例えば、フェースカップ110における補剛された下側領域がクラブヘッド100の可能性のあるロフトを減少させることが可能となる)。従って、一部の実施例において、スペースSは、加重体610がフェースカップ110の構造的支持に対する何らかの望ましくない補剛を生成するのを防ぐのに十分なものとなる。また、スペースSを有する加重体610の構成により、鋳造及び成形プロセスなどの金属成形手法によるクラブヘッド100の構成が可能になる。
【0049】
スペースSの正確な測定は、フェースカップ110の性質及びその撓み特性によって決まることになるが、本発明のクラブヘッドにおいて形成される加重体610は、フェースカップ110の内面111と前面612の最上点622との間で水平に測定される、約0.5mm〜約15.0mmの間、好ましくは約2.0mm〜約5.0mmの間、及びより好ましくは約3.6mmの長さL27と、内面111と前面612の下側最前点628との間で水平に測定される、約0.5mm〜約15.0mmの間、好ましくは約1.0mm〜約4.0mmの間、及びより好ましくは約2.5mmの長さL29と、を有することができる。これらの範囲は、クラブヘッド101/102/103の各々に適用可能である。
【0050】
加重体610の半球面616は、半球キャビティ618を定める。
図8に示す実施例において、半球面616は、一般に、クラブヘッド100の重心140に対して測定した一定の曲率半径R1により特徴付けられる。詳細には、半球面616を定める曲率半径R1は、本明細書で提示される加重体610を備えたクラブヘッド100における重心140に相当するよう計算されるクラブヘッド100内部の空間内の点から測定される。
【0051】
以下で更に説明するように、加重体610における半球キャビティ618の形成は、クラブヘッド100のMOIを増大させると同時に、重心140の結果として生じるシフトを最小限にする。これは、例えば、重心140に最も近い材料の質量体412を除去し、取り除いた質量体412を重心140から離れた位置に配置することにより達成される。このようにして、半球面616の曲率半径R1は、クラブヘッド100に与えられることになる望ましいMOIに基づいて選ばれ、曲率半径R1が大きいほどMOIに対してより多くの増大をもたらす結果となる。本発明のクラブヘッドにおいて、加重体610は、約5mm〜約100mmの間、及び好ましくは 約20mm〜約60mmの間の曲率半径R1を備えた半球面616を有することができる。これらの範囲は、クラブヘッド101/102/103の各々に好適である。
【0052】
図8の実施例に示されるように、半球面616が一定の曲率半径R1により定められることは好ましいが、一部の実施例においては、半球面616は、
図10に示すように、非一定の曲率半径R2で形成することもできる。詳細には、特定のクラブヘッド100の望ましいMOIが、重心140とクラブヘッドの外壁との間で測定される距離を超える曲率半径を必要とする場合には、半球面616は、所望のMOIに必要な曲率半径が外壁までの距離を超える1又はそれ以上の場所に相当する非球面領域630を含めることになる。一部の実施例において、半球面616は、前壁612、最後点620、最前点628、又は2つ又はそれ以上の壁の組み合わせを通り抜けるのに十分に大きいとすることができる。
【0053】
加重体610は、
図11に示すように、フェースカップ110、クラウン18、及びソール14を有するモデルクラブヘッド400を生成することにより構成することができる。モデルクラブヘッド400は、物理モデル又は仮想モデルの何れかとすることができる。次いで、モデルクラブヘッド400の中立軸NA及び基本重心440が、モデルクラブヘッド400の形状、寸法、及び推定質量に基づいて計算される。これらの計算式は、当業者には周知である。次に、モデルクラブヘッド400において目標重心445が確認される。好ましくは、目標重心445は、中立軸NAの上又はこれに近接した点である。モデルクラブヘッド400の重心を基本重心440から目標重心445にシフトさせるために追加しなければならない所定容積の材料に関しての推定が行われる。次に、材料の質量体412が、中立軸NAと平行な平面Dの下に付加され、これにより中立軸NAに平行な材料の質量体412の面406を形成する。平面Dは、クラブヘッド全体の重量に基づいて中立軸NAからの距離に設定される。
【0054】
中立軸NAに対する基本重心440の位置に応じて、目標重心445に向けて基本重心440をシフトさせるために、部分的トウ方向又は部分的ヒール方向の何れかの重心のシフトに影響を与えることが必要となる場合がある。このような状況において、これに沿って面406が生成される平面Dは、中立軸NAの周りに回転し、これにより所望のシフトを得るのに必要なトウ端部ウェイティング(加重)又はヒール端部ウェイティングの何れかを達成することができる。
【0055】
上述のプロセスによって、追加の材料の質量体412は、中立軸NAの上方にある基本重心440を結果として生じる重心446にシフトさせる。理想的には、結果として生じる重心446は、
図14〜16によって示されるように、中立軸NAに近接して位置する目標重心445と同じものである。しかしながら、中立軸NA上に重心を完璧に整列させることは困難である場合があるので、
図13に示すように、距離CG−NAだけ中立軸NAからオフセットした結果として生じる重心446を生成することは許容可能である。距離CG−NAは、約−5mm(中立軸NAの5mm下方)〜約20mm(中立軸NAの20mm上方)の間、好ましくは約0mm〜約15mmの間、及びより好ましくは約1mm〜約4mmの間とすることができる。
【0056】
基層412をモデル化した後、提示されたモデル化基層412を有するモデル化クラブヘッド400のMOIの推定が行われ、モデル化クラブヘッド400についての推定MOIと目標MOIの間の差が決定される。次いで、結果として生じる重心446の所定半径R5内にある所定容積の材料が基層412から取り除かれ、基層412における半球キャビティ414を形成する。次に、除去された所定容積の材料は、
図15に示すように、半球キャビティ414の外周の周りの基層412の表面406上に肉盛り層422として再堆積される。除去された所定容積の材料が基層412の表面406上に再堆積されるときには、所定容積の材料が最初に除去されたときに基層412に形成されていた湾曲面416と合致する湾曲面426を形成するように堆積される。このようにして、基層412から堆積される肉盛り層422までの境界437にわたる滑らかに連続した湾曲部を備えた半球面436が形成される。
【0057】
結果として生じる重心446の所定半径R5内の所定容積の質量体の除去、及び半球キャビティ414の外周周りでの当該容積の材料の再堆積を含む上述のプロセスが完了すると、基層412及び肉盛り層422は共に、結果として生じる重心446から測定した曲率半径を備えて形成された半球キャビティ438を有するモデル化加重体432として生成される。上述のような方式で所定容積の材料の除去及び再堆積によって生成されるこの半球キャビティ438は、モデル化クラブ本体400のMOIが増大するようにして周辺質量に対する中心質量の比を調整する。加えて、基層412の表面406上に再堆積される材料の容積は、基層412から除去された材料と同じ容積であるので、モデル化加重体432の全体質量は一定のままであり、結果として生じる重心446の位置は、中立軸NAから更に離れて上方及び後方に移動し、結果として生じる重心446の位置の変化は、望ましいMOIの増大量によって決まる。詳細には、所定容積の質量体を除去するのに使用される曲率半径R5が小さいほど、MOIの増大がより大きくなり、結果として生じる重心446の位置のシフトがより大きくなる。詳細には、曲率半径が減少すると、加重体432の質量は、より高い位置で分散されるようになる。より高度の質量分散は、MOIの更なる増大をもたらすことになるが、これはまた、結果として生じる重心446を中立軸NAから離れて上向き方向及び下向き方向にシフトさせる傾向となる。従って、重心の位置の維持とMOI増大との間にトレードオフが存在する。
【0058】
クラブヘッド400についてのモデル化加重体432が生成されると、加重体610を備えたクラブヘッド100の構成は、モデル化加重体432の寸法で加重体610を形成することにより実施される。加重体610は、クラブヘッド100とモノリシックに(例えば、モノリシッククラブヘッドのソールからの突出部として)構成されるか、又は、多部品クラブヘッドの一部品と(例えば、多部品クラブヘッドのソール部品からの突出部として)モノリシックに形成することにより構成することができる。モノリシックに形成される加重体610は、鋳造、鍛造、及び同様のプロセスを通じて構成することができる。或いは、加重体610は、別部品として形成されて、組み立て中にクラブヘッド100と一体的に接合することができる。例えば、別個に形成される加重体610は、ソールの内面に溶接することができ、又は、ファスナーによりソールの内面に接合することができる。好適なファスナーには、限定ではないが、スクリュー、オスメス接続、さね継ぎ接続、及び同様のものを含むことができる。
【0059】
図17は、本発明の1又はそれ以上のクラブヘッドを重み付けするのに用いることができる加重体640の形態の第1のウェイティングシステム600の別の実施例を示す。加重体640は、半球キャビティ618を定める半球面616に代わって、半円筒キャビティ648を定める半円筒面646を有すること以外は、上記で考察した加重体610と同様であり、加重体610を形成するのに使用される同様の方法によって形成される。従って、加重体640に関する以下の考察は、第1及び第2の加重体610/640間の差違についてのみ対象とする。
【0060】
図17及び18に示すように、半円筒面646は、一般に、中立軸NAに平行に延びる軸線Fに対して測定した一定の曲率半径R3を有して該軸線Fに沿って延びた半円断面649によって特徴付けられる。
図17及び18の実施例に示すように、中立軸NAに平行に延びる軸線Fは、クラブヘッド100を通過しない軸線であり、その結果、曲率半径が比較的大きくなる。しかしながら、他の実施例において、曲率半径が比較的小さい場合には、軸線Fは、クラブヘッド100を通過する軸線とすることができ、場合によっては、中立軸NA自体である可能性もある。
【0061】
加重体640は、加重体610を形成するのに用いたものと同様のモデル化プロセスによって形成される。詳細には、モデル化基層を有したモデル化クラブヘッド400を生成し、これにより結果として生じる重心に基本重心をシフトさせる同じステップが実施され、この結果として生じる重心は、理想的には、中立軸NAに沿った又は実質的に近接して位置する目標重心に相当する。次に、加重体610のプロセスと同様に、望ましいMOIをもたらすように計算される所定容積の材料がモデル化基層から取り除かれて、モデル化基層の表面上に肉盛り層として再堆積される。しかしながら、加重体610を形成するプロセスは、結果として生じる重心446から測定した曲率半径に基づいて、モデル化基層412から材料の半球容積を除去し、次いで、半球キャビティ414の外周周りに除去した所定容積の材料を再堆積することを含んでいたのに対して、加重体640を形成するプロセスは、その代わりに、中立軸NAに平行に延びる軸線Fから測定した曲率半径に基づいて、モデル化基層から半円筒容積の材料を除去し、次いで、半円筒キャビティの外周周りに除去した容積の材料を再堆積することを含む。
【0062】
加重体640を形成するときには、曲率半径R3は、クラブヘッド100に与えられることになる望ましいMOIに基づいて選ばれる。曲率半径が半円筒面646において一定であるとみなされる場合、著しく大きな曲率半径R3は、
図19に示すように小さな湾曲半円筒面646を生成することになり、小さな曲率半径R3は、
図20に示すように、大きな湾曲半円筒面646を生成することになると理解される。従って、半円筒面646を形成するのに使用される曲率半径R3が小さいほど、加重体640の下側の中心領域660から上側の周辺領域665にシフトすることになる材料の質量がより大きくなり、従って、クラブヘッド100のMOIの増大がより大きくなる。本発明のクラブヘッドで使用される加重体640は、約80mm〜約1,000mmの間、好ましくは約100mm〜約1600mmの間、更に好ましくは約120mm〜約220mmの間の曲率半径R3を備えた半円筒面646有することができる。曲率半径R3の上述の範囲は、クラブヘッド101/102/103の各々に対して好適である。
【0063】
上述のプロセスに関して、中立軸NAに平行に延びる軸線Fから測定した曲率半径R3内で所定容積の質量体の除去では、目標重心140の位置のシフトが発生することになる。一部の実施例において、軸線Fは、(フェースカップ110に向かって)前方に回転して、目標重心140を後方端部620に向けて更に後方に移動させることができ、或いは、(後方端部620に向かって)後方に回転し、これにより目標重心140をフェースカップ110に向かって更に前方に移動させることができる。一部の実施例において、軸線Fは、ヒール側又はトウ側に移動して、目標重心140に対して反対の作用を加えるようにすることができる。詳細には、軸線Fがヒール側に移動すると、目標重心140はトウ側に移動し、その逆も同じである。一部の実施例において、軸線Fは、ヒール側又はトウ側のシフトと組み合わせて前方又は後方に回転することができる。
【0064】
軸線Fに対する所定容積の質量体の除去に使用される曲率半径R3が小さくなるほど、半円筒面の湾曲が大きくなり、MOIの増大がより大きくなるが、目標純真140の位置のシフトもまたより大きくなる。詳細には、曲率半径が小さくなるにつれて半円筒面の湾曲が大きくなり、加重体の質量がより高い位置で分散されることになる。より高度の質量分散は、MOIの更なる増大をもたらすことになるが、これはまた、結果として生じる重心140を中立軸NAから離れて上向き方向及び下向き方向にシフトさせる傾向となる。従って、この場合も同様に、重心の位置の維持とMOI増大との間にトレードオフが存在する。加重体640の半円筒特性は、目標重心及び目標MOIの両方の達成において加重体610よりも効果が低いことが分かる。しかしながら、加重体610における半球面618の形成は、加重体640における半円筒面648の形成よりも複雑であると考えられるので、加重体640は、製造がより容易であり、従って、大量生産に対してよりコスト効果あることが分かる。
【0065】
ウェイトスクリューウェイティングシステム
図21は、本発明の1又はそれ以上のクラブヘッドを重み付けするのに使用できる第2のウェイティングシステム700を示す。詳細には、第2のウェイティングシステム700は、調整可能ホーゼル160を有するクラブヘッド100で使用可能な組み合わされたウェイトスクリュー及びスクリューポートを含む。
【0066】
本発明のクラブヘッドは、調整可能ホーゼルを含むことができる。本発明において、
図22に示すように、調整可能ホーゼル160は、ネジ166を有する調整可能締結スクリュー164を受ける締結スクリューポート162を含み、該ネジ166は、クラブシャフト200のネジ210と嵌合し、これによりクラブシャフト200をホーゼル160に固定する。1又はそれ以上の弾性ワッシャー168/169が締結スクリューポート162の周りに配置され、クラブシャフト200とホーゼル160との間の当接を緩衝し、及び/又は締結スクリュー164とホーゼル160との間の当接を緩衝することができる。クラブヘッド100のヒール端部において、ソール14及びヒール28の周りに位置付けられたアクセスポート開口174と共にアクセスポート172が形成されている。アクセスポート172及び開口174により、調整可能締結スクリュー164へのアクセスを可能にし、クラブヘッド100とクラブシャフト200との間の接続をユーザが調整し、これによりクラブの性能特性を変えることが可能となる。
【0067】
図23に示すように、ウェイティングシステム700のスクリューポート750は、ウェイトスクリュー710を受けるよう構成されたボア752を含み、所定長のネジ754がウェイトスクリュー710のネジ714と嵌合するためボア752に沿って延びている。受け入れたウェイトスクリュー710の環状ヘッド716を受けるためにボア752の外部端部にて環状チャンバ756が位置付けられ、該環状チャンバ756は、一方の端部にてウェイトスクリュー710の挿入のための開口758と、他方の端部にてスクリューヘッド716の下側縁部と当接するためのショルダ760とを有する。スクリューポート750は、ボア752の中心軸Gが締結スクリューポート162の中心軸に相当する軸線Hに垂直な方向に延びるような向きにされ、軸線Hまた、クラブシャフト200の中心軸でもある。ウェイトのスクリューポート750と締結スクリューポート162のこの垂直方向の配向では、工具は、調整可能締結スクリュー164を操作するために中心軸線Hに一致する第1の方向で挿入することができ、また、ウェイトスクリュー710を操作するために中心軸線Gに一致する第2の方向で挿入することができる。
【0068】
本発明のアクセスポート172は、調整可能ホーゼルを有するクラブヘッドにおいて、抜き勾配の約2°〜約4°、好ましくは約3°を付加することでアクセスポートを拡張することにより形成することができる。スクリューポート172は、ウェイトスクリュー710の環状ヘッド716がクラブシャフト200の中心軸Hに実質的に隣接して、及び好ましくはできるだけ近接して位置付けられるように構成することができる。開口758と中心軸Hとの間の長さL31、並びにショルダ760と中心軸Hとの間の長さL33の測定値は、スクリューサイズ及び調整可能ホーゼル構成の寸法に応じて変わることができる。
【0069】
図24に示すように、ウェイティングシステム700用のウェイトスクリュー710は、スクリューポート750の対応するネジ754と嵌合するための所定長のネジ714を有するシャフト712と、シャフト712の端部にある環状ヘッド716とを含む。環状ヘッド716は、挿入を容易にする工具を受け、スクリューポート750内へのウェイトスクリュー710の締結をするためのソケット718を含む。
【0070】
ウェイトスクリュー710は、特定のクラブヘッドにおける目標ウェイティングを達成するのに必要に応じて、複数の異なる長さ及び質量を有して、複数の異なる材料から作ることができる。例えば、第1のウェイトスクリュー705は、6−4チタンから作ることができ、長さが約4cm〜約12cmの間、好ましくは約7cm〜約9cmの間、及びより好ましくは約8cm、質量が約1g〜約6gの間、好ましくは約1g〜約3gの間、及びより好ましくは約2.02g、並びに目標質量が約2.0g〜約2.32gの間、好ましくは約2.08g〜約2.24の間、並びにより好ましくは約2.16gである。本明細書で使用される用語「目標質量」とは、スウィング中に検出することができる妥当なユーザウェイト変更に好ましい重量の範囲を指している(例えば、約5gの増分)。別の実施例において、第2のウェイトスクリュー706は、17−4ステンレス鋼から作ることができ、長さが約6cm〜約15cmの間、好ましくは約9cm〜約11cmの間、及びより好ましくは約10cm、質量が約2g〜約8gの間、好ましくは約3g〜約5gの間、及びより好ましくは約4.16g、並びに目標質量が約4.0g〜約4.32gの間、好ましくは約4.08g〜約4.24gの間、及びより好ましくは約4.16gである。別の実施例において、第3のウェイトスクリュー707は、17g/ccタングステンから作ることができ、長さが約4cm〜約8cmの間、好ましくは約5cm〜約7cmの間、及びより好ましくは約5.7cm、質量が約4g〜約9gの間、好ましくは約5g〜約7gの間、及びより好ましくは約6.07g、並びに目標質量が約6.0g〜約6.32gの間、好ましくは約6.08g〜約6.24gの間、及びより好ましくは約6.16gである。更に別の実施例において、第4のウェイトスクリュー708は、17g/ccタングステンから作ることができ、長さが約6cm〜約12cmの間、好ましくは約7cm〜約9cmの間、及びより好ましくは約8.5cm、質量が約5g〜約10gの間、好ましくは約7g〜約9gの間、及びより好ましくは約8.05g、並びに目標質量が約8.0g〜約8.32gの間、好ましくは約8.08g〜約8.24gの間、及びより好ましくは約8.16gである。
【0071】
1つの態様において、ウェイトスクリュー710は、スクリューポート750内に恒久固定するよう構成される。しかしながら、別の態様において、スクリューウェイティングキット730は、ウェイトスクリュー705/706/707/708の各々を含むことができ、スクリューは、必要に応じてクラブヘッドのウェイティングを調整するために特定のクラブヘッド100のウェイトスクリューをユーザが選択的に挿入、取り出し、及び交換できるように、スクリューポート750内に一時的に固定するよう構成することができる。スクリューウェイティングキット730は、4つのスクリュー705/706/707/708のみを含むことができ、或いは、更に異なる長さ及び質量を有し、同じ又は別の好適な材料から作られた更に別のスクリューを含むことができる。ウェイトスクリューを構成するのに好適な材料は、限定ではないが、チタン合金、アルミニウム合金、タングステン合金、真鍮、及び同様のものを含む。
【0072】
調整可能ホーゼル構成を有するクラブのスウィングウェイティングの調整を可能にする機構を提供することに加えて、ウェイティングシステム700はまた、クラブヘッド100内に接着剤を注入するためのコンシールポートを設ける。詳細には、スクリューポート750は、ボア752の内側端部にて、クラブヘッド100の内部容積に開放して連通した開口762を含み、内部容積内に接着剤を注入するポートを提供する。詳細には、所望の容積の接着剤は、ボア752を通じて供給され、開口762を通してクラブヘッド100の内部容積内に注入することができる。恒久的に固定されるウェイトスクリュー710を受けるクラブヘッドにおいて、この接着剤の導入は、エンドユーザが最初に使用する前にクラブヘッドの組み立て中に実施される。取り外し可能なウェイトスクリュー710を受けるクラブヘッドにおいて、接着剤は、エンドユーザが最初に使用する前に組み立て中に導入することができ、或いは、挿入されるウェイトスクリューを取り外して接着剤を導入することにより、クラブヘッドの耐用寿命の間に実施されてもよい。何れの場合においても、ボア752に沿ってネジ754上に接着剤を塗布してしまうと、ウェイトスクリュー710を妨げることになるので、これを避けるよう接着剤を導入する際には注意を払う必要がある。所望の容積の接着剤がクラブヘッド100内に導入された後、ウェイトスクリュー710がスクリューポート750に挿入され、これにより開口762が覆われて隠される。
【0073】
接着剤は、クラブヘッド100に注入され、製造又はクラブの使用中に生じる摩耗の結果として形成される遊離金属粒子を取り込み固定することができる。このような様態での遊離粒子の固定は、粒子がクラブヘッド100内部で異音及び望ましくないノイズを発生するのを防ぐことによりクラブヘッド100の音響的魅力を向上させる。好適な接着剤は、室温で粘着状態のままとなり、クラブの耐用期間にわたって遊離状態になる可能性がある粒子を継続的に取り込むこと可能にする何れかの種類のものとすることができ、ホットメルト剤(例えば、接着タイプのネズミ取りで使用されることが多いものなど)を含むことができる。接着剤はまた、クラブヘッド100に僅かな重み付けを加えるのに用いることができ、この場合、接着特性及びその重み付け特性の両方に基づいて、特定のタイプの接着剤が選択されることになる。
【0074】
ウェイティングシステム700では、スクリューポート750及びそこに受けられるウェイトスクリュー710は、クラブシャフト200の軸線Hに垂直な方向で延び、ウェイトスクリュー710の環状ヘッド716は、軸線Hに実質的に隣接して位置付けられる。このようにして、受けられたウェイトスクリュー710は、クラブに追加の重量を提供して、これによりスウィングウェイトの調整を可能にする。しかしながら、これと同時に、ウェイトスクリュー710がクラブシャフト200の軸線Hに実質的に隣接して位置付けられるので、クラブヘッド100自体のウェイティング特性(もしあれば)に最小限の影響しか発生しない(例えば、重心、MOI、その他)。加えて、ボア752の内側端部に開口762を含めることで、ウェイティングシステム700は、クラブ本体に接着剤を注入するための好都合なポートを提供し、これはまた遮蔽されるので、従って、クラブヘッド100の外面上で何らかの見苦しいポート又はシールプラグが見えるのが回避される。従って、ウェイティングシステム700は、外観上の魅力を損なうことなく、クラブヘッド100の音響的魅力の改善を可能にする。
【実施例】
【0075】
以下の非限定的な実施例は、本発明の好ましい実施形態の単なる例証に過ぎず、本発明を限定するものとして解釈すべきではなく、本発明の範囲は、請求項によって定義される。
【0076】
以下の表1は、本発明の1つの実施形態による、第1、第2、及び第3のクラブヘッド(一般に、
図1〜2に示すような)を含むゴルフクラブセットの例示的な寸法を記載している。
【0077】
【表1】
【0078】
表Iから分かるように、3つのクラブヘッドは、完成組立体の漸次的に増大する総重量Wを有する。詳細には、漸次的に増大する総重量Wは、各クラブヘッドが、対応するクラブシャフトと適合されたときに個々に組み立てられたクラブに対して目標とするバランスを与え、これにより個別に組み立てられたクラブの各々に共通するスウィング重量を提供することを可能にする。
【0079】
所与のセットにおける順次的クラブヘッド間の総重量Wの差違は、対応するシャフト間の長さの変化に応じて変わることになるが、3つのクラブヘッド(連続した)の各々間の総重量Wの差違は、約11グラム、約5グラム、約7グラムまでである。加えて、順次的ヘッドにわたるフェースの漸進(表IのL25)において約0.8mm〜約0.9mmの増大が存在する。更に、約9ccの順次的ヘッドにわたる容積(表IのV)の減少が存在する。
【0080】
本発明は、特定の実施形態を参照しながら説明してきたが、本明細書での開示事項は、単に例証に過ぎず、本発明は、必要に応じて、当該分野で周知且つ使用される特徴を含む追加の特徴要素を含むことができ、また、本発明の範囲及び技術的思想内で様々な他の代替形態、改造形態、及び修正形態を行う得ることは当業者には理解されるであろう。
【0081】
例えば、上述の開示事項は、3つの順次的にロフト角が変化したハイブリッドクラブヘッドに関する漸次的なヘッドサイズについて考察したが、本発明の原理は、他のタイプのクラブ(例えば、金属−ウッド、アイアン、及び他のクラブヘッド)にも適用可能であり、3つよりも多くの一連のクラブ(例えば、一連の4以上のクラブ)にも適用可能であることは当業者には明らかであろう。
【0082】
また、ウェイティングシステム600の上記の実施例は、半球及び半円筒キャビティについて考察したが、ウェイティングシステム600において他の形状のキャビティを用いてもよいことは当業者には理解されるであろう。例えば、ウェイティングシステム600は、半円錐キャビティ、半長球、及び同様のものを組み込むことができる。加えて、ウェイティングシステム600の上述の実施例は、クラブヘッドのソール上での加重体610/640の形成について考察したが、加重体610/640はまた、クラブヘッドの重み付けに対して異なる影響を得るためにクラウン上に形成してもよいことは当業者には理解されるであろう。
【0083】
更に、ウェイティングシステム700の上述の実施例は、ウェイトスクリュー710及びスクリューポート750の単一のセットについてのみ考察したが、ウェイティングシステム700は、ウェイトスクリュー710及びスクリューポート750の2以上のセットを用いることができることは当業者には理解されるであろう。
【0084】
開示の方法は、何らかの中間ステップなしで、開示されたステップの全てを開示された厳密な順序で実行することにより実施できるが、本方法はまた、追加のステップが開示されたステップの間に入れられること、開示されたステップが開示された厳密な順序とは異なる順序で実施されること、1又はそれ以上の開示されたステップが同時に実施されること、及び1又はそれ以上の開示されたステップが省略されることにより実施されてもよいことは当業者には理解されるであろう。
【0085】
本発明の開示事項を理解し又は完結するのに必要な範囲において、本明細書で言及される全ての公報、特許、及び特許出願は、各々が個別に組み込まれるかのように同程度に引用により本明細書に明示的に組み込まれる。加えて、本開示で表現される範囲は、各範囲の端点、端点間にある全ての値、及び端点によって包含される全ての中間の範囲を含むものとみなされる。
【0086】
従って、本発明は、本明細書で例示された特定の実施形態に限定されず、添付の請求項によって特徴付けられる。