(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
基材と、前記基材に接着された導体トラックとを含む導電性システムであって、前記基材が半芳香族ポリアミドを含み、かつ前記導体トラックがジェット印刷により得られる導電性システム。
前記半芳香族ポリアミドが、ジアミンから誘導される繰り返し単位と、ジカルボン酸から誘導される繰り返し単位とを含み、ジアミンとジカルボン酸の全モル量の少なくとも10モル%が芳香族ジアミンまたは芳香族ジカルボン酸からなる請求項1〜7のいずれか一項に記載の導電性システム。
・前記ジカルボン酸が、5〜65モル%の脂肪族ジカルボン酸、および任意選択によるテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸と、35〜95モル%のテレフタル酸との混合物からなり、
・前記ジアミンが、脂肪族ジアミンであり、10〜70モル%の2〜5個のC原子を有する短鎖脂肪族ジアミンと、30〜90モル%の少なくとも6個のC原子を有する長鎖脂肪族ジアミンとの混合物からなり、
・テレフタル酸と前記長鎖脂肪族ジアミンの合計モル量が、前記ジカルボン酸とジアミンの全モル量に対して少なくとも60モル%である請求項9に記載の導電性システム。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【0014】
本発明においては、基材は半芳香族ポリアミドを含む。したがって、基材は、また他の成分またはポリマーを含み得る。しかしながら、基材は、基材の全重量に対し少なくとも30重量%、好ましくは少なくとも40重量%の半芳香族ポリマーを含むことが好ましい。
【0015】
特に、本発明は、基材が
(A)半芳香族ポリアミド 30〜100重量%
(B)少なくとも1種の他のポリマー 0〜50重量%
(C)補強剤 0〜60重量%
(D)少なくとも1種の添加剤 0〜15重量%
からなる導電性システムを提供する。
【0016】
基材は、半芳香族ポリアミド以外に、他のポリマーも含み得る。好ましい他のポリマーは、脂肪族ポリアミドである。しかしながら、本発明の利点を得るためには、脂肪族ポリアミドの量は、基板の全重量に対して、多くとも50重量%である。脂肪族ポリアミドの量は、好ましくは、基材の全重量に対して、多くとも40重量%である。脂肪族ポリアミドは、半芳香族ポリアミドと相溶性を有するものでなければならない。脂肪族ポリアミドの例としては、ポリアミド(PA)6、PA11もしくはPA12などのホモポリアミド、またはPA46、PA66、PA69、PA610、PA612およびPA1212などのコポリアミドが挙げられる。
【0017】
本発明の半芳香族ポリアミドは、比較的高い融点Tmを有することが好ましい。したがって、融点は低くとも250℃、好ましくは低くとも270℃である。Tmの上限は特にないが、実際には、Tmは高くとも350℃であろう。
【0018】
本発明の半芳香族ポリアミドは、ジアミンから誘導される繰り返し単位と、ジカルボン酸から誘導される繰り返し単位とを含み、ジアミンとジカルボン酸の全モル量の少なくとも10モル%が芳香族ジアミンまたは芳香族ジカルボン酸からなることが好ましい。
【0019】
芳香族ジカルボン酸は、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸およびそれらの混合物から選択することができる。芳香族ジアミンの例としては、フェニレンジアミンおよびキシレンジアミンが挙げられる。
【0020】
適切な半芳香族ポリアミドの例としては、融点が270〜350℃の範囲にあるPA6T、PA7T、PA9T、PA10TおよびPA12Tなどのホモポリアミド、並びにPA4T、PA5T、PA6Tおよび/またはPA8Tと、例えば、PA7T、PA9T、PA10T、PA11TPA12T、PA6、PA66、および/またはPMXD6とのコポリアミドが挙げられる。ポリアミドは、上記のコポリアミドで記載のもの以外に、したがって、より複雑なコポリアミドを形成する、他のジアミンおよび二塩基酸の他の繰り返し単位を含んでもよい。適切な半芳香族コポリアミドのさらなる例については、Kunststoff Handbuch,(Carl Hanser Verlag 1998)Band 3/4 Polyamide chapter 6を参照されたい。
【0021】
本発明の好ましい半芳香族ポリアミドは、脂肪族ジアミンから誘導される単位と、ジカルボン酸から誘導される単位を含み、
・ジカルボン酸は、5〜65モル%の脂肪族ジカルボン酸、および任意選択によるテレフタル酸以外の芳香族ジカルボン酸と、35〜95モル%のテレフタル酸との混合物からなり、
・ジアミンは、脂肪族ジアミンであって、10〜70モル%の2〜5個のC原子を有する短鎖脂肪族ジアミンと、30〜90モル%の少なくとも6個のC原子を有する長鎖脂肪族ジアミンとの混合物からなり、
・テレフタル酸と長鎖脂肪族ジアミンの合計モル量が、ジカルボン酸とジアミンの全モル量に対して少なくとも60モル%である。
【0022】
短鎖脂肪族ジアミンは、エチレンジアミン、1,4−ブタンジアミンおよび1,5−ペンタンジアミン、並びにその混合物からなる群から選択されることが好ましい。長鎖脂肪族ジアミンは、ヘキサンジアミン、2−メチル−,1,5−ペンタンジアミン、C8−ジアミン、C9−ジアミン、2−メチル−,1,8−オクタンジアミン、C10−ジアミン、C11−ジアミン、C12−ジアミン、およびその混合物からなる群から選択されることが好ましい。脂肪族ジカルボン酸は、アジピン酸(C6)、スベリン酸(C8)、セバシン酸(C10)、ドデカン酸(C12)、およびその混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0023】
そのような半芳香族ポリアミドの例は、国際公開第2007/085406号パンフレットに記載されており、それは参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
また、本発明の基材として使用されるポリアミドの分子量が最終特性、特に接着強度に影響し得ることがわかった。ここで使用される分子量は数平均分子量であり、ゲルパーミエーションクロマトグラフィにより測定される。本明細書でいう数平均分子量(Mn)は、種々の検出器と組み合わせたサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)により測定される。SECシステムは、Polymer Standards Serviceから入手の3本のPFG Linear XLカラム(300mm×内径8mm)から構成され、0.4ml/minで動作させ、35℃に温度調節した。測定には、屈折率検出器(RI)、粘度計および直角レーザー光散乱検出器を使用し、モル質量については、モル質量を得るためのこれら3種の検出器信号を使用して計算した。注入量は75μlであった。0.1%(W/W)のトリフルオロ酢酸カリウムを含むヘキサフルオロイソプロパノールを溶離液として使用した。全ての試料を、注入前に、0.1μmのろ紙でろ過した。
【0025】
数平均分子量M
nは9000g/mol未満であることが好ましい。分子量M
nは少なくとも2000g/molであることが好ましく、分子量M
nは3000〜7500g/molであることがより好ましい。半芳香族ポリアミドの分子量の好ましい範囲は3200〜7000g/molである。特に、半芳香族ポリアミドの分子量が過小であると、基材がかなり脆くなる。したがって、本発明に使用する半芳香族ポリアミドはM
nで定義される分子量が少なくとも3200g/molであることが好ましく、少なくとも3500g/molであることがより好ましい。
【0026】
基材はまた1種以上の補強剤、好ましくは繊維補強剤を含有することができる。繊維補強剤の例としては、グラファイト繊維、炭素繊維、ガラス繊維、シリカ繊維、ケイ酸アルミニウム繊維、加工鉱物繊維、リン酸塩繊維、硫酸カルシウム繊維またはチタン酸カリウム繊維が挙げられる。補強剤は、グラファイト繊維、炭素繊維、ガラス繊維およびその組み合わせから選択することが好ましい。基材に含まれる補強剤の量は、広い範囲から選択することができる。その量は、一般に、機械的特性、例えば、想定される用途で要求される剛性などに基づいて決定され、当業者であれば、その用途に適合する剛性の範囲がわかる。例えば、補強材や容器の用途では、0〜60重量%、好ましくは20〜50重量%の範囲で添加することができる。付加的部品やねじ式部品の用途では、一般に適用される範囲は0〜25重量%である。補強剤の量の上記重量パーセントは、基材の全組成物に対するものである。
【0027】
本発明の導電性システムの基材は、上述した半芳香族ポリアミドのみを含み得るが、ポリアミド、および任意に選択により添加される1種以上の補強剤以外に、さらに他の添加剤を基材に含有させることもできる。添加剤の1つは、1種以上の黒色顔料である。適切な黒色顔料の例としては、カーボンブラック、グラファイト、ニグロシンまたはCuCr
2O
4が挙げられる。黒色顔料を組み合わせて使用することも可能である。基材に含まれる黒色顔料の量は、広い範囲に亘って選択することができる。黒色顔料の量の適切な範囲は、基材の全組成物に対して、0.1〜2重量%、好ましくは0.2〜0.7重量%、より好ましくは0.3〜0.5重量%である。コンパウンディング技術分野に精通した者であれば、ベースのポリマー材料に数種の成分を添加およびブレンドする手法および可能性をよく知っている。上記黒色顔料は、例えば、マスターバッチの形態でポリアミドに添加することができる。黒色顔料をポリアミドに混入するために使用される担体ポリマーは、さほど重要ではない。適切な担体ポリマーとしては、例えば、他のタイプのポリアミド、例えば、ポリアミド−6(PA6)等が挙げられる。本発明において使用する特に有利な基材は、ポリアミドの他に、繊維補強剤および黒色顔料をともに含有する。
【0028】
添加剤の他の例としては、フィラー、難燃材、サイジング剤、非導電性添加剤および助剤が挙げられる。助剤とは、成型用ポリアミド組成物の製造分野に精通した者に知られた、前記ポリアミド組成物に通常含まれる添加剤をいう。助剤は、例えば、UV安定剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色処理剤および衝撃改質剤であり得る。ポリアミドの他に含まれ得るこれらの他の成分の量は、広い範囲で変え得るが、適切には、組成物の全量に対して0〜10重量%の範囲である。他の成分の量は、好ましくは0.5〜5重量%であり、より好ましくは0.5〜3重量%である。
【0029】
本発明の基材が作られる組成物は、半芳香族ポリアミド、任意選択の補強剤、任意選択の黒色顔料、および任意選択の他の成分を溶融ブレンドする方法により調製することができる。材料の一部を溶融ミキサーで混合し、その後、残りの材料を添加して、さらに均一になるまで溶融混合するようにしてもよい。溶融ブレンドは当業者に知られた任意の適当な方法を用いて行うことができる。適切な方法としては、単軸または二軸押出機、ブレンダー、ニーダ、バンバリーミキサー、成型機などを使用する方法を挙げることができる。特に、その方法を、難燃剤および補強剤などの添加剤を含む組成物の調製に使用する場合に、二軸押出機が好ましい。
【0030】
基材自体は、最終の導電性システムの使用に応じて、従来の成型手法、例えば、溶融加工によって成形することができる。最終形状は、電子部品用容器などの三次元形状とすることができるが、例えば、材料の平らなプラーク(plaque)または膜などの二次元形状とすることもできる。
【0031】
本発明の一態様においては、基材は、薄膜、例えば、厚さ0.5〜1000μm、好ましくは5〜100μmの膜の形状を有する。
【0032】
導電性システムは、基材の他に、基材上に接着された少なくとも1つの導体トラックを含む。導体トラックは、少なくとも以下の工程
・少なくとも1種のポリアミドからなる基材を供給する工程、
・任意選択により、基材を予備処理する工程、
・ジェット印刷手法により基材に導体トラック前駆体を塗布する工程、
・基材上に導体トラックを形成するために、高温で基材上の導体トラック前駆体を焼結する工程
・導体トラックを有する基材を冷却する工程
を含む方法によって、基材に形成される。
【0033】
導体トラックの形成材料は、印刷された導体トラックに良好な導電性を付与する限り、かなり自由に選択することができる。導体トラック用の材料は、一般に、金属または金属合金である。適切な導体トラック用材料の例としては、銀(Ag)、銅(Cu)、金(Au)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)およびアルミナ(Al)、並びにそれらの2種以上の任意の組み合わせが挙げられる。材料は、好ましくは、Ag、Cu、NiまたはAu、並びにそれらの2種以上の任意の組み合わせである。より好ましくは、材料はAgである。
【0034】
インクは、適切な液体担体中に金属またはその前駆体を含むであろう。適切な液体担体は、例えば、水または有機溶媒であり得る。金属またはその前駆体は、一般に、インク中に分散または溶解した状態で入手できるであろう。好ましい状態はナノ粒子の形態である。ナノ粒子とは、その寸法の少なくとも1つがナノメートルの範囲にある粒子を意味する。導体トラックとして使用される好ましい材料は、ナノ銀粒子である。「ナノ銀粒子」とは、その寸法の少なくとも1つがナノメートルの範囲にある銀粒子を意味する。導体トラック調製用のジェット印刷用インクの技術分野に精通した者であれば、これらの種類の金属および/またはそれらの前駆体の調製方法および取扱い方法を知っている。ジェット印刷法のためのインクは、例えば、書物「The chemistry of inkjet inks」、S.Magdassi編、World Scientific Publishing UK、November 2008に記載されている。
【0035】
導体トラック前駆体は、ジェット印刷法により塗布される。適切なジェット印刷法の例としては、インクジェット印刷法およびエアロゾルジェット印刷法が挙げられる。エアロゾルジェット印刷法はよく知られており、例えば、2012年3月14〜15日にベルリンで開催のDDMC 2012 Conferenceで発表されたMartin Hedgesらによる論文「3D aerosol jet printing−adding electronics functionality to RP/RM」に記載されている。
【0036】
したがって、本発明はまた、基材と基材に接着された導体トラックとを含む導電性システムの製造方法であって、
・半芳香族ポリアミドを含む基材を供給する工程、
・ジェット印刷法により基材に導体トラック前駆体を塗布する工程、
・基材上に導体トラックを形成するために、少なくとも150℃の温度で基材上の導体トラック前駆体を焼結する工程
を含む方法に関する。
【0037】
導体トラックは、連続的接続性を獲得するために、塗布されたインクの焼結後、導体トラック前駆体から形成される。ここでは、またこれ以降は、焼結は、導体トラック前駆体粒子をその融点未満の温度で一体に接合するプロセスを意味する。焼結は熱焼結、光焼結、マイクロ波焼結、プラズマ焼結、電子焼結、化学物質による焼結によって行うことができる。導体トラックを適用する技術分野に精通している者であれば、これらの手法を熟知しており、それぞれのケースに最適な方法の見出し方を知っている。熱焼結を使用するなら、好ましい温度は少なくとも150℃、好ましくは少なくとも180℃、より好ましくは少なくとも200℃である。上限温度は使用する材料の熱分解によって決められる。一般に、温度は高くとも350℃であろう。適切な焼結プロセスは、150〜300℃の温度で10〜30分間により、適切な焼結プロセスが行われ得る。
【0038】
本発明の導電性システムは、驚いたことに、基材と導体トラック間の接着力が良好である。基材と導体トラック間の接着力は、以下に記載するように、the Standard Test for Measuring Adhesion by Tape Test,ASTM D3359−08 D,method Bに記載の方法により測定することができる。
【0039】
図1は、この方法による接着性試験結果の分類を示している。
【0040】
導電性システムが使用される用途に応じて、適切な半芳香族ポリアミドが決定され、調製される。半芳香族ポリアミドの一部は、ポリアミド以外の他の成分、例えば、1種以上の繊維補強剤、カーボンブラックおよび/または他の成分とすることができる。ポリアミド組成物のためのこれらの成分は全て、上に記載されており、そこで記載のものがまたここでも適用される。ポリアミド組成物は、ポリマー基材を製造する技術分野に精通している者にはよく知られた1つ以上の方法で、基材に製造される。
【0041】
基材は、導電性システムを製造するプロセスで使用される前に、予備処理を施すことができるが、さらなる予備処理工程なしで基材を使用することも可能である。予備処理の例としては、洗浄処理またはプラズマ処理が挙げられる。
【0042】
次の工程で、導体トラック前駆体がジェット印刷法により基材に塗布される。導体トラック前駆体の正確な性質は、導体トラックの種類と要求特性に依存するであろう。
【0043】
導体トラックの最終的な厚さはその用途によって大きく変わるであろう。一般には、厚さは10nm〜100μmであり、好ましくは0.5μm〜10μmである。各層の塗布の間に焼結および冷却する工程を含んで、複数の連続層で導体トラックを塗布することも可能である。
【0044】
本発明はまた、本発明の導電性システムの使用に関する。基材に対する導電性システムの接着性が、先行技術のシステムと比較して向上するため、これまでに知られた用途以外に、新しい用途領域が利用可能になる。有利な用途の例としては、例えば、モバイル機器(例えば、電話など)などのアンテナにおける用途が挙げられる。これまで、レーザーダイレクトストラクチャリングなどのそのとき利用可能であった手法では、カーボンファイバを含む基材上にアンテナを作ることは不可能であった。
【0045】
さらに他の用途としては、例えば、太陽電池、トランジスタ、OLEDおよびRFID技術などの各種の物体で使用できる電気回路およびコネクターが挙げられる。基材が膜であれば、本発明の導電性システムは、フレキシブルプリント回路(FPC)に特に適している。
【0046】
以下の実施例により本発明を説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0047】
[実施例]
[方法]
[接着性]
基材に印刷したコーティングの接着性を調べるために、ASTM test ASTM D3359−08 D:「Standard Test Methods for Measuring Adhesion by Tape Test」を用いる。試験法Bにしたがい、基材のコーティングに、各方向6本の切り込みを入れ格子状のパターンを作成する。格子上に粘着テープを貼着する。テープを一定の速度および力で、角度180°剥離する。接着性試験結果の分類(
図1を参照)と下記表1により接着性を評価する。さらなる詳細のためには、ASTM規格が参照される。
【0048】
【表1】
【0049】
[粘度:相対粘度(RV)]
相対粘度(RV)は、ISO 307、第4版にしたがい測定した。測定には、予備乾燥したポリマー試料を使用し、その乾燥は高真空下(すなわち、50mbar未満)、80℃で24時間行った。溶媒100mlにポリマー1gの濃度、25.00±0.05℃で、相対濃度を決定した。
【0050】
[DSC測定:TgおよびTm]
ポリマーの融点(Tm)を、ASTM D3418−03にしたがい、昇温速度10℃/minの第2昇温過程のDSCにより測定した。
【0051】
ポリマーのガラス転移温度(Tg)を、ASTM E1356−91にしたがい、昇温速度10℃/minの第2昇温過程で、ガラス転移域で下降し、最も高いガラス転移速度を示すDSCにより測定した。
【0052】
[使用材料]
[ポリマー]
P1 ポリアミド6T/4T/66、半芳香族ポリアミド、Tm325℃、Tg125℃、RV1.9、商品名Stanyl(登録商標)ForTiiで、DSM Engineering Plasticsから入手可能
P2 ポリアミド6T/4T/66、半芳香族ポリアミド、Tm325℃、Tg125℃、RV2.1、商品名Stanyl(登録商標)ForTiiで、DSM Engineering Plasticsから入手可能
P3 ポリアミド6T、半芳香族ポリアミド、Tm260℃、Tg110℃、商品名HTN53で、Dupontから入手可能
P4 ポリアミド6I/6T/66、Tm260℃、Tg110℃、商品名Grivory GVXで、EMSから入手可能
P5 ポリアミド46、商品名Stanyl(登録商標)で、DSM Engineering Plasticsから入手可能
P6 ポリアミド6、商品名Akulon(登録商標)で、DSM Engineering Plasticsから入手可能
P7 ポリカーボネート、商品名Xantarで、三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社(Mitsubishi Engineering plastics)から入手可能
P8 液晶ポリマー(LCP)、商品名Vectra(登録商標)で、Ticonaから入手可能
P9 ポリエチレンテレフタレート(PET)、商品名Arnite(登録商標)で、DSM Engineering Plasticsから入手可能
【0053】
ガラス繊維には、標準球状ガラス繊維を使用した。難燃剤には、商品名Exolitで入手可能なハロゲンフリー難燃剤を使用した。
【0054】
[実施例1〜9および比較例1〜5]
下記表2に示す難燃剤およびガラス繊維を含むポリマー組成物から、標準の製造技術により、プラークを成型した。成型は、汎用の射出成型機を用い、275〜345℃のバレル加熱条件で、金型温度を80℃から140℃の間で変化させて行った。銀のインク組成物(10μm未満のナノ銀粒子、ポリビニルピロリドン、グリセリン、をベースとしたインク、商品名Cabot CSD66で入手可能)の液滴をプラークの表面に滴下した。メイヤーバーによりインクを拡げ、厚さ5μmの層を得た。
【0055】
その後、プラークを、230℃(表2に別段の明示がなければ)で15分間、加熱炉で焼結した。接着力を上記接着力試験により試験した。結果を「接着力結果 乾燥」として下記表2に示す。
【0056】
上記のようにして、銀インクをコーティングした第2のプラークを作製した。焼結後、プラークに、次のような蒸気熱処理を施した。プラークを相対湿度約95%加熱炉内に置き、次の温度サイクルを行った。すなわち温度を1.5時間かけて徐々に65℃まで上昇させた。プラークを65℃で4時間保持した。その後、温度を1.5時間かけて徐々に30℃まで降下させた。温度を30℃で1時間保持した。この8時間のサイクルを8回(計72時間)繰り返した。その後、炉温を+25℃、相対湿度を50%にセットし、プラークをそこで2時間保持した。このように処理したプラークの接着力を上記接着性試験により試験した。結果を「接着力結果 湿潤」として下記表2に示す。
【0057】
【表2】
【0058】
表2の結果は、初期接着力および湿潤条件での処理後の接着力がともに本発明のポリマー組成物で非常に良好であることを示している。比較例のポリマーでは、結果は不良であった。また、これらの例から、ガラス繊維または難燃剤の添加により、測定結果が変わらないことがわかった。
【0059】
[実施例10]
実施例3にしたがって、プラークを成型し、銀インクでコーティングした。プラークを異なる焼結温度で処理し、その後、乾燥および湿潤接着力を測定した。結果を表3に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
この表は、この実施例の最適焼結温度が215℃超であることを示している。
【0062】
[実施例11]
実施例3にしたがって、表2に示したポリマー組成物から成型したプラークを、標準的な製造技術によって作製した。成型は、汎用の射出成型機を用い、275〜345℃のバレル加熱条件で、金型温度を80℃から140℃の間で変化させて行った。銀のインク組成物(10μm未満のナノ銀粒子、ポリビニルピロリドン、グリセリン、をベースとしたインク、商品名Cabot CSD66で入手可能)の液滴をプラークの表面に、エアロゾルインクジェット印刷機により印刷した。プラークを230〜300℃の異なる焼結温度で処理し、その後、乾燥および湿潤接着力を測定した。全ての焼結温度で乾燥および湿潤接着力がいずれもカテゴリー5Bであることが確認された。