(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
更に、結果として得られる前記アンチグレア面を洗浄する工程、前記アンチグレア面を化学的に強化する工程、または前記洗浄する工程、及び前記強化する工程を組み合わせた工程を含む、請求項1乃至2のいずれかに記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0005】
本開示の種々の実施形態は、図面があれば、図面を参照して詳細に説明される。種々の実施形態を参照することによって本発明の範囲が限定されることはなく、本発明の範囲は、本明細書に添付される請求項の範囲によってのみ制限される。更に、本明細書において開示されるいずれの例も、特許請求する発明の多数の想到し得る実施形態のうちの幾つかの実施形態を限定するものではなく、単に説明しているに過ぎない。
【0006】
定義
“アンチグレア:防眩(Anti−glare)”または同様の用語は、本開示のディスプレイのような製品の被処理表面に当たる光が変化する物理的変化を指す、または製品の表面により反射される光が鏡面反射光ではなく拡散反射光に変化する特性を指す。種々の実施形態では、表面処理は機械的エッチングまたは化学的エッチングにより行なうことができる。アンチグレアによって、表面により反射される光の量が少なくなることがなく、反射光の特性が変化するに過ぎない。アンチグレア面により反射される像は、明確な境界を持たない。アンチグレア面とは異なり、反射防止面は通常、薄膜コーティングであり、この薄膜コーティングは、表面による光の反射を、屈折率変化を利用して、そして幾つかの例では、弱め合う干渉効果を利用して弱めることができる。
【0007】
“接触する(Contacting)”または同様の用語は、物理的に接近して触れることにより、物理的変化、化学的変化、または両方が、触れられる方の少なくとも1つの物体に生じることを指している。本開示では、スロット塗布、スプレー塗布、浸漬塗布、及び同様の方法のような種々の粒子付着法または粒子接触法により、本明細書において例示され、かつ明示されるように、接触させると粒子状表面を形成することができる。更に、または別の構成として、本明細書において例示され、かつ明示されるように、粒子状表面に、スプレー、浸漬、及び同様の方法、またはこれらの方法の組合せのような種々の化学的処理を施すことにより、エッチング表面を、当該エッチング表面に1種類以上のエッチャント組成物を接触させて形成することができる。
【0008】
“反射像鮮明度(Distinctness−of−reflected image),” “像鮮明度(distinctness−of−image),”“DOI” または同様の用語は、“Standard Test Methods for Instrumental Measurements of Distinctness−of−Image Gloss of Coating Surfaces”と題するASTM法D5676(ASTM5767)の方法Aにより定義される。ASTM5767の方法Aによれば、ガラスの反射率測定は、ガラス製品の少なくとも1つの粗面に対して正反射視線角度、及び正反射視線角度から僅かにずれた角度で行われる。これらの測定から得られる値を組み合わせてDOI値を提供する。詳細には、DOIは、方程式(1)に従って計算される:
【0010】
式中、Rsは、正反射方向の反射信号の相対振幅であり、Rosは正反射方向から外れた方向の反射信号の相対振幅である。本明細書において記載されるように、Rosは、特に断らない限り、反射率を、正反射方向から0.2°〜0.4°だけ離れた角度範囲に亘って平均することにより計算される。Rsは、反射率を、正反射方向を中心とする±0.05°の角度範囲に亘って平均することにより計算することができる。RsとRosは共に、ASTM法D523及びD5767に準拠して、黒ガラス基準面に合うように校正されたゴニオフォトメータ(Rhopoint Instruments社製のNovo−gloss IQ)を使用して測定した。このNovo−gloss測定装置は、正反射視線角度が検出器アレイの最大値の近傍を中心とする構成の検出器アレイを用いている。DOIは、片側(黒色吸収材料がガラスの後面に接続される)測定方法及び両側(反射をガラスの両面から行なうことができ、ガラスには何も接続されていない)測定方法を用いて更に評価した。片側測定方法では、光沢度、反射率、及びDOIを、ガラス製品の1つの表面(例えば、1つの粗面)について測定することができるのに対し、両側測定方法では、光沢度、反射率、及びDOIを、ガラス製品について全体として測定することができる。Ros/Rs比は、上に説明したように、Rs及びRosについて得られる平均値から計算することができる。“20°DOI”または“DOI20°”とは、ASTM D5767に記載されているように、光がサンプルに、ガラス表面の法線から20°だけずれた角度で入射するようなDOI測定を指している。両側測定方法を用いたDOI(像鮮明度)または通常の光沢度の測定は、これらの特性の測定値が、サンプルが無い場合にゼロとなるように、暗室または筺体の中で最良に行なうことができる。
【0011】
アンチグレア面の場合、DOIが比較的低く、かつ方程式(1)の反射率比(Ros/Rs)が比較的高いことが一般的に望ましい。これにより、ボケた反射像または不鮮明な反射像が視覚的に感知される。種々の実施形態では、ガラス製品の少なくとも1つの粗面は、正反射方向から20°外れた角度で、片側測定方法を用いて測定する場合に約0.1超、約0.4超、及び約0.8超のRos/Rsを有する。両側測定方法を用いると、正反射方向から20°外れた角度におけるガラス製品のRos/Rsは、約0.05超である。種々の実施形態では、ガラス製品について両側測定方法で測定されるRos/Rsは、約0.2超、及び約0.4超である。ASTM D523により測定される通常光沢度は、高強度の正反射成分(鮮明な反射像)を有する表面を、低強度の正反射成分(ボケた反射像)を有する表面から明確に区別するためには不十分である。これは、ASTM D523に準拠して設計される通常の光沢度計を用いて測定することができない微小角散乱に起因する。
【0012】
“透過ヘイズ率(transmission haze),” “ヘイズ率(haze),”または同様の用語は、表面粗さに関連する特定の表面光散乱性を指す。ヘイズ率測定は、以下に更に詳細に説明される。
【0013】
“粗さ(roughness),”“表面粗さ(surface roughness)
(Ra),” または同様の用語は、顕微鏡レベル以下の大きさ、以下に説明する平均二乗平方根(RMS)粗さ、またはRMS粗さのような不均一な、または不規則な表面状態を指す。
【0014】
“光沢(gloss),” “光沢度(gloss level),”または同様の用語は、例えば表面光沢度(surface luster)、輝度(brightness)、または輝き(shine)を指し、更に詳細には、ASTM法D523に準拠する基準(例えば、黒ガラス基準面のような)に合わせて校正される正反射測定値を指し、ASTM法D523の内容は、本明細書において参照されることにより、当該内容全体が本明細書に組み込まれる。
一般的な光沢度の測定は、
典型的には20°、60°、及び85°の入射光角度で行なわれ、最も広く使用される光沢度測定は60°で行なわれる。しかしながら、この測定における許容角度が広いために、通常光沢度からは、大きい反射像鮮明度(DOI)値を有する表面と小さい反射像鮮明度(DOI)値を有する表面とを区別することができない場合が多い。ガラス製品のアンチグレア面は、ASTM基準D523に準拠して測定すると、最大90SGU(基準の光沢度単位(standard gloss units))の光沢度(すなわち、基準面を基準として、サンプルにより特定の角度で正反射される光の量)を有し、そして1つの実施形態では、約60SGUから最大約80SGUまでの範囲の光沢度を有する。これについては、上に説明したDOI定義も参照されたい。
【0015】
“ALF”または“
平均の特有の最大特徴サイズ(average characteristic largest feature size)”または同様の用語は、以下に詳述するように、x方向及びy方向、すなわち基板の平面における表面
の特徴変動の目安を指す。
【0016】
“
スパークル(sparkle),”“
ディスプレイのスパークル(display sparkle),”または同様の用語は、少なくとも1つのガラス粗面上の
特徴のサイズと注目する画素ピッチ、特に最小画素ピッチとの間の関係を指す。
ディスプレイの”スパークル”は、
ピクセル化されたディスプレイに隣接
して配置される材料をヒトが目視検査することにより
一般に評価される。ALF、及び
ディスプレイの”スパークル”
に対する関係は、異なる表面形態を有し、かつ種々の組成物及び粒子塗布ポリマー材料からなるガラスを含む異なる材料についての有効な測定指標であることが判明している。
平均の特有の最大特徴サイズ(ALF)と
ディスプレイのスパークルの強度(display sparkle severity)の目視評価との間の強い相関が、多数の異なるサンプル材料、及び表面形態について見られる。種々の実施形態では、ガラス製品は、
ディスプレイシステムの一部を構成するガラスパネルとすることができる。当該
ディスプレイシステムは、当該ガラスパネルに隣接配置される
ピクセル化された画像表示パネルを含むことができる。表示パネルの最小画素ピッチは、ALFよりも大きくすることができる。
【0017】
“含む(include,includes),”または同様の用語は、これに限定されない(but not limited to)、すなわち包含する(inclusive)が、排他的(exclusive)ではないことを意味する。
【0018】
例えば本開示の実施形態を記述するために用いられる組成、濃度、体積、処理温度、処理時間、歩留まり、流量、圧力、及び同様の値、及びこれらの物理量の範囲に含まれる構成要素の量が変化する様子を表わす“凡そ(about)”とは、数量のバラツキを指し、当該バラツキは、例えば:材料、組成物、複合物、濃縮物を調製するために使用される代表的な測定及びハンドリング手順を通して、または調製物を使用することにより起こり得る;これらの手順における不注意な錯誤により起こり得る;製造、ソースの差によって、または方法を実行するために使用される開始材料または成分の純度の違いにより起こり得る;そして同様の注意事項により起こり得る。“凡そ”という用語はまた、特定の初期濃度または混合物を有する組成物または調製物が経年変化して差異を生じる量、及び特定の初期濃度または混合物を有する組成物または調製物を混合する、または処理することにより差異を生じる量を含む。本明細書に添付される請求項は、これらの“凡その”量の等価物を含む。
【0019】
“から実質的に成る(consisting essentially of)”とは、種々の実施形態においは、例えば:
ガラス製品を、犠牲粒子を当該製品の表面に付着させることにより、例えば粒子懸濁液を当該製品の少なくとも1つの表面にスロット塗布して、塗布表面積の約42%〜92%を被覆する粒子状マスクを形成し;そして粒子状表面をエッチャントに接触させることにより形成する方法;
PPD
により0°及び90°で測定される約1〜約7以下の低
スパークル、本明細書において定義されるヘイズ率、像鮮明度、表面粗さ、及び均一性を持つアンチグレア面を有するガラス製品;
インライン粒子研磨装置またはモジュールを含むスロット塗布装置;
または
本明細書において定義されるガラス製品を組み込んだ表示システム、
を指すことができる。
【0020】
形成方法、製品、表示システム、組成物、調製物、または本開示の任意の装置は、請求項に列挙される構成要素群またはステップ群、及びそれに加えて、組成物、製品、装置、または形成方法の基本的革新的特性、及び特定の反応物質、特定の添加剤または成分、特定の化学物質、特定の表面改質剤または改質状態、または同様の構造、材料、または選択されるプロセス変数のような本開示の用途に大きく影響することがない他の構成要素群またはステップ群を含むことができる。本開示の構成要素群またはステップ群に大きく影響する虞がある項目、または不所望な特性を本開示に与える虞がある項目として、例えば好ましくない高グレアまたは高光沢性を有する、例えば本明細書において定義され、かつ指定される中間値または中間範囲を含む値を超える
スパークル、ヘイズ率、像鮮明度、表面粗さ、不均一性、またはこれらの要素の組合せを有する表面を挙げることができる。
【0021】
特に断らない限り、本明細書において使用される単数形は、少なくとも1つ(at least one)、または1つ以上(one or more)を意味する。
【0022】
この技術分野の当業者には良く知られている略語を用いることができる(例えば、時間については“h”または“hr”、グラムについては“g”または“gm”、ミリリットルについては“mL”、そして室温については“rt”、ナノメートルについては“nm”、及び同様の略語)。
【0023】
構成要素、成分、添加剤、及び同様の形態、及びこれらの要素の範囲について開示される特定の好適な値は、例示に過ぎず;これらの値は、所定範囲に収まる他の所定値または他の値を排除しない。本開示の組成物、装置、及び方法は、任意の値、または種々の値、特定の値、更に特定の値、及び本明細書において記載される好適な値の任意の組合せを含むことができる。
【0024】
化学強化ガラスは、機械的損傷に対する耐性が、製品の外観及び機能にとって重要となる多くの持ち運び可能なタッチセンシティブデバイスに使用されている。化学強化処理時、溶融塩浴中の大きい方のアルカリイオンは、ガラス表面から特定の距離内に位置する小さい方の可動アルカリイオンとイオン交換される。このイオン交換プロセスでは、ガラスの表面を圧縮状態にして、ガラスが使用されているときに普通に受ける如何なる機械的損傷に対しても耐性を更に高めることができるようにしている。
【0025】
これらのディスプレイ表面による正反射(グレアの重要因子)の低減が多くの場合、望ましく、特にグレアが太陽光によって深刻になってしまう屋外使用のために設計される製品を揃える製造業者による低減が望ましい。
【0026】
光沢度として定量化される正反射の強度を低下させる1つの方法では、ガラス表面を粗面化する、またはガラス表面を凹凸フィルムで覆う。粗さ寸法または凹凸寸法は、可視光を散乱させて、僅かに曇った表面、または艶消し面を生成するために十分大きくし、かつ大きくなり過ぎて、ガラスの透明度に大きな影響を与えてしまうことがないようにする必要がある。凹凸状ポリマーフィルムまたは粒子含有ポリマーフィルムは、ガラス基板の特性(例えば、耐引っ掻き性)を維持することが重要ではない場合に使用することができる。これらのフィルムは、安価であり、かつ容易に貼り付けることができるが、これらのフィルムは、容易に擦り傷を受け、デバイスの機能を低下させる。
【0027】
ガラス表面を粗面化する別の手法が化学エッチングである。米国特許第4,921,626号明細書、同第6,807,824号明細書、同第5,989,450号明細書、及び国際公開第2002/053508号パンフレットには、ガラスエッチング組成物、及びガラスを組成物でエッチングする方法が記載されている。ウェットエッチングは、アンチグレア面をガラスに、当該ガラスの固有の機械的表面特性を保持しながら形成する方法である。このプロセス中、ガラス表面は、化学物質に選択的に曝され、これにより当該表面を劣化させて適正な粗さ寸法とすることにより、可視光を散乱させる。ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス内の領域のような、溶解度差を有する微細構造領域が存在する場合、粗面は、ガラスを(通常、フッ素含有)鉱酸溶液に浸けることにより形成することができる。このような選択的浸出または選択エッチング法は一般的に、均一なアンチグレア面を、アルカリ土類アルミノケイ酸塩、混合アルカリホウケイ酸塩、及びリチウム、ナトリウム、カリウムを含有するアルカリアルミノホウケイ酸塩、及び混合アルカリアルミノケイ酸塩、またはこれらの組合せのような溶解度差を示す微細構造領域が無い他のディスプレイ用ガラスに形成する際に効果的ではない。
【0028】
ガラス表面を粗面化して得られる1つの成果は、粒状外観として感知される“
スパークル”を生じることである。
スパークルは、ほぼ画素レベルのサイズ規模の輝点及び黒点、または有色点が現われることにより認められる。
スパークルが現われると、
ピクセル化されたディスプレイの視認性が、特に高い周囲照度で低下する。
【0029】
種々の実施形態では、本開示は、アンチグレア面をガラスに、当該ガラスの固有の機械的表面特性を保持しながら形成するウェットエッチング方法を提供する。このプロセス中、粒子状ガラス表面を化学物質に曝し、これにより当該表面を劣化させて、可視光を散乱させる効果を発現する表面粗さ寸法に変化させることができる。大量の可動アルカリイオンが、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスのようなガラスに含まれている場合、粗面は、例えばガラス表面を、フッ素イオン含有溶液のような酸性エッチャント溶液に接触させることにより形成することができる。
【0030】
種々の実施形態では、本開示は、ナノスケールまたはマイクロスケール凹凸表面をケイ酸塩ガラスに光学特性が向上するように形成するプロセスを提供する。当該プロセスでは、1)粒子でガラス表面を部分的に被覆し、2)溶媒を、ガラス表面への粒子の付着性を高めるために十分、かつ熱を加えることなく、または外部から熱を加えることなく乾燥させる。当該プロセスでは続いて、3)HF浴中で、または多成分含有酸性溶液中でエッチングを行なうことができる。HF溶液では、選択エッチングが、ガラス表面上の粒子に沿って行なわれて、AG粗面層を形成する。
【0031】
アンチグレア層をGorilla(登録商標)ガラス表面に形成する1つのプロセスでは、微小ポリマービーズを100%被覆率で塗布し、続いて乾燥工程及びエッチング工程を行なう。100%被覆率で塗布する場合、サンプル品質は、
スパークルが高くなるという点で低下する場合が多い。低
スパークルは、特定のディスプレイ用ガラス顧客による“絶対的な”要求であり、そして材料被覆率を高くして(100%)、
スパークルが低くなるという結果は殆ど得られない。本開示は、100%被覆率よりも遥かに大きな利点をもたらす部分的エッチングマスク被覆率を実現する。本開示の実施形態において達成されている幾つかの利点は、例えば次の通りである:
5〜6の範囲の低
スパークル(100%粒子被覆率から通常、8〜12の範囲の
スパークルが得られることに留意されたい);
低ヘイズ率及び低DOI(像鮮明度)の状態の低
スパークル;
低ヘイズ率及び中程度のDOI(像鮮明度)の状態の低
スパークル;
光学的に多種多様に組み合わせた(例えば、高ヘイズ率/低DOI;低ヘイズ率/中程度のDOIなど)状態の低
スパークル;
部分的マスク被覆率の場合に、複数の光学的目標を、酸エッチング濃度を単に変えるだけで達成することができる;
マスク被覆率を、塗布厚さ、ビーズ投入量、または両方を変えることにより容易に制御することができる;
サンプルを水平姿勢、垂直姿勢、または両方の姿勢でエッチングすることができる;
表面被覆率をより低くすることが必要なので、マスク材料消費量を少なくすることによりコストを節減することができる;及び
サンプルが部分的被覆率を有する場合に、異なるマスク付着プロセス(例えば、スロットコーティング及びスプレーコーティング)から同様の光学的成果を得ることができる。
【0032】
光学モデル化から、低
スパークルを達成するために、粒子間の横方向間隔を約20マイクロメートル未満にする必要があることが提案される。これは、粒子サイズ分布を極めて細心に制御する必要があることを意味する。部分的マスク被覆率の場合、粒子間の露出空間をより大きくして、費用のかからない広い粒子サイズ分布を選択することができるようにする。
【0033】
種々の実施形態では、本開示は、アンチグレア面を有する製品を形成する方法を提供し、該方法は:
粒子懸濁液を製品の少なくとも1つの表面にスロット塗布して、塗布表面積の約40〜92%の粒子状マスク被覆率を実現する工程と、
スロット塗布粒子を有する製品の少なくとも1つの表面とエッチャントを接触させてアンチグレア面を形成する工程と、
を含む。
【0034】
種々の実施形態では、製品の少なくとも1つの表面は、例えばガラス、複合材料、セラミック、プラスチックまたは樹脂系材料、及び同様の材料、またはこれらの組合せとすることができる。種々の実施形態では、付着粒子は、例えばガラス、複合材料、セラミック、プラスチックまたは樹脂系材料、ワックス、金属、塩、粘土、ポリマー、コポリマー、ナノ粒子、架橋ポリマー粒子、UV硬化粒子、及び同様の材料、またはこれらの組合せとすることができる。種々の実施形態では、エッチャントは、付着粒子の下の表面をエッチングするために適する少なくとも1種類の酸により構成することができる。
【0035】
種々の実施形態では、ガラス表面及びガラス粒子は、選択される場合、例えば少なくとも1種類のアルミノケイ酸塩、アルミノホウケイ酸塩、ソーダ石灰、ホウケイ酸塩、シリカ、及び同様のガラス、またはこれらの組合せから個別に選択することができ、そしてエッチャントは、HF,H
2SO
4,HNO
3,HCl,CH
3CO
2H,H
3PO
4,及び同様の酸、またはこれらの組合せから選択される少なくとも1種類の酸を含むことができる。
【0036】
更に、または別の構成として、少なくとも1つの表面に粒子を接触させる工程は、高濃度の粒子懸濁液または中濃度の粒子懸濁液を用いて行なうことができる。粒子−表面間接触または粒子付着は、任意の適切な方法、例えばスロットコーティング、スピン塗布、スプレーコーティング、ロールコーティング、積層法、ブラッシング法、ディッピング法、及び同様の塗布方法、またはこれらの方法の組合せを用いて行なうことができる。付着粒子は、例えば中間値及び中間範囲を含む約0.1〜約10マイクロメートル、約1〜約10マイクロメートル、及び約1〜約5マイクロメートルのD
50径を有することができる。種々の実施形態では、粒子サイズ範囲は、例えば中間値及び中間範囲を含む約0.1〜約50マイクロメートル、約1〜約30マイクロメートル、及び同様の粒子径とすることができる。
【0037】
種々の実施形態では、粒子状表面にエッチャントを接触させる工程は、例えば付着粒子を有する表面をエッチャントに、例えば中間値及び中間範囲を含む約1秒〜約30分に亘って曝すことにより行なうことができる。
【0038】
種々の実施形態では、調製方法は任意であるが更に、例えば結果として得られるエッチング済みアンチグレア面を洗浄する工程と、アンチグレア面を化学的に強化する工程と、機能性コーティングまたはフィルム(例えば、感光性フィルムまたは偏光フィルム)、または保護表面コーティングまたはフィルム、及び同様のコーティングまたはフィルム、またはこれらの組合せを塗布する工程と、を含むことができる。
【0039】
種々の実施形態では、片面酸エッチングまたは同様の改質法をガラス板に施すことが望ましい場合、当該ガラスの一方の面をエッチング溶液から保護することができる。保護は、例えばアクリルワックスのような不溶性非多孔質コーティングを塗布することにより、または、接着剤層、例えばアクリル、シリコーン、及び同様の接着剤、またはこれらの組合せを有するラミネートフィルムを貼り付けることにより行なうことができる。保護コーティング塗布方法として、例えばブラッシング法、ロール法、スプレー法、積層法、及び同様の方法を挙げることができる。酸エッチングを受ける不溶性非多孔質保護コーティングは、エッチングプロセスが終わった後でも残ることができ、そしてエッチング後に容易に除去することができる。保護フィルムを製品の表面から剥がす工程は、例えば保護フィルムを溶解液に接触させ、当該フィルムを加熱して液化して排出する方法のような任意の適切な方法、及び同様の方法及び材料、またはこれらの組合せを用いて行なうことができる。従って、調製方法は任意であるが更に、エッチング前に、少なくとも1つの別の表面、例えば製品のガラス板の裏面のような第2表面に、任意の除去可能な耐エッチング保護層を接触させる工程を含むことができる。
【0040】
種々の実施形態では、本開示は、本明細書において開示される調製プロセス群のうちのいずれかの調製プロセスにより調製された製品、例えば上に説明した粒子付着及びエッチングプロセスにより調製されたガラス製品を提供する。
【0041】
種々の実施形態では、製品の少なくとも1つの表面はガラスとすることができ、付着粒子は、ポリマー、ワックス、またはポリマー及びワックスの混合物または複合物とすることができ、そしてエッチャントは少なくとも1種類の酸とすることができる。
【0042】
種々の実施形態では、本開示はガラス製品を提供し、該ガラス製品は:
少なくとも1つのアンチグレア面を含み、該少なくとも1つのアンチグレア面は:
例えば、約0.1〜約25、約0.1〜約20、約0.1〜約10、及び約1〜約10のような約0.1〜約30のヘイズ率、及び中間値及び中間範囲を含む約0.1〜約5、及び約1〜約5のような低ヘイズ率;
例えば、中間値及び中間範囲を含む約25〜約85、約40〜約80、約45〜約75、及び約50〜約70のような像鮮明度(DOI20°);
例えば、中間値及び中間範囲を含む約50〜約500nm、及び約100〜約300nmのような表面
粗さ(Ra);
中間値及び中間範囲を含む約0.1〜約10マイクロメートルの
、表面の山谷差の大きさにより測定される平均粗さである平均粗さ山谷差プロファイル;及び
PPDにより0°及び90°で測定される約7以下の低
スパークル、
を有する。
【0043】
種々の実施形態では、本開示のアンチグレア面を有するガラス製品は、中間値及び中間範囲を含む約1〜約100マイクロメートル、約1〜約50マイクロメートルの平均直径を有する起伏
特徴の分布を含むことができる。
【0044】
種々の実施形態では、本開示は表示システムを提供し、この表示システムは、例えば:
少なくとも1つの粗面化アンチグレア面を有するガラスパネルを含み、該少なくとも1つの粗面化アンチグレア面は:
中間値及び中間範囲を含む約0.1〜約30未満のヘイズ率;
中間値及び中間範囲を含む約40〜約80の像鮮明度(DOI20°);
中間値及び中間範囲を含む約100〜約300nmの表面
粗さ(Ra);及び
中間値及び中間範囲を含む約0.1〜約10マイクロメートルの平均
粗さ山谷差プロファイル;
PPDにより0°及び90°で測定される約7以下の低
スパークルを有し;そして当該表示システムは更に、
ガラスパネルに隣接する任意の
ピクセル化された画像表示パネルを含む。
【0045】
種々の実施形態では、本開示は、低
スパークル特性を有するアンチグレアガラス表面を形成する方法を提供し、該方法では、例えば:
ガラス表面を適切な粒子懸濁液に接触させ、当該接触は、当該懸濁液でスロット塗布して、粒子塗布ガラス表面を、塗布面積の約40〜約92%、約50〜約91%、または約60〜約90%の表面積被覆率となるように形成することにより行なうことができ、そして
結果として得られる粒子状ガラス表面とエッチャントを接触させて、アンチグレア面を形成し、結果として得られるアンチグレア面は、PPDにより0°及び90°で測定される約1〜約7以下の低
スパークルを有する。
【0046】
種々の実施形態では、本開示は、均一なナノスケールまたはマイクロスケール凹凸表面を殆どのケイ酸塩ガラスに、ガラスの化学強化能力に大きな悪影響をもたらすことなく形成するウェットエッチングプロセスを提供する。当該プロセスでは、ガラス、ポリマー、または複合粒子のような適切な粒子をガラス表面に付着させる、またはその他として、塗布し、続いて酸エッチングを、HF中または多成分含有酸溶液中のような溶液中で行なう。種々の実施形態では、HF溶液によって、ガラス表面に付着した粒子に沿ったエッチングを行なうことが好ましく、続いてこれらの粒子を被エッチング表面から浸食し、そして更に、表面
粗さを低減することができる。
【0047】
種々の実施形態では、低下した所望の光沢度またはグレアレベルは、例えば次のパラメータ群:粒子懸濁液の粘度、懸濁液中のバインダ濃度、懸濁液中のガラスまたは同様の粒子の含有率または濃度、酸エッチャントの濃度、エッチャント種、表面に付着する粒子の量、使用する粒子の粒子サイズ分布(PDS)、及びガラスサンプルの粒子担持面が酸エッチャントと接触する浸漬時間または時間のうちの少なくとも1つ以上のパラメータを調整することにより得られる。
【0048】
種々の実施形態では、アンチグレアガラス製品が提供される。ガラス製品は、イオン交換処理が可能であり、そして少なくとも1つの粗面を有することができる。当該粗面は、入射角20°(20°のDOI)で測定される場合に、90未満の反射像鮮明度(DOI)を有する。アンチグレアガラス製品を含む
ピクセル化された表示システムが更に提供される。ガラス製品は、例えば少なくとも1つの端面を介して周縁で接合される2つの主面を有する平板または平板パネルとすることができるが、ガラス製品は、例えば3次元形状のような他の形状に形成することができる。これらの表面のうちの少なくとも1つの表面は、例えば突起部、突出部、凹部、ピット、閉鎖または開放セル構造、粒子、島状構造、山、トレンチ、亀裂、割れ目、及び同様の形状及び
特徴、またはこれらの組合せのような起伏
の特徴または凹凸
の特徴を含む粗面である。
【0049】
種々の実施形態では、本開示はアルミノケイ酸塩ガラス製品を提供する。アルミノケイ酸塩ガラス製品は、例えば少なくとも2モル%のAl
2O
3を含むことができ、イオン交換可能であり、そして少なくとも1つの粗面を有することができる。アルミノケイ酸塩ガラス製品は、複数の起伏
の特徴を含む少なくとも1つの粗面を有することができる。複数の起伏
の特徴は、約1マイクロメートル〜約50マイクロメートルの平均
の特有の最大
特徴サイズ(average characteristic largest feature size:ALF)を有することができる。
【0050】
種々の実施形態では、本開示は表示システムを提供する。当該表示システムは、例えば少なくとも1つのガラスパネル、及び当該ガラスパネルに隣接する
ピクセル化された画像表示パネルを含むことができる。当該画像表示パネルは、固有の最小画素ピッチ寸法を有することができる。ガラスパネルの平均
の特有の最大
特徴サイズ(ALF)は、表示パネルの固有の最小画素ピッチ寸法よりも小さくすることができる。
ピクセル化された画像表示パネルは、例えばLCD表示装置、OLED表示装置、または同様の表示装置のうちの1つとすることができる。当該表示システムは更に、タッチセンシティブ素子またはタッチセンシティブ面を含むことができる。ガラスは、例えばALFを有する複数の
特徴を含む少なくとも1つの粗面を有するアルミノケイ酸塩イオン交換ガラスのような前述のガラス群のうちのいずれかのガラスとすることができ、そして画像表示パネルは、固有の最小画素ピッチを有する。固有の最小画素ピッチは、例えばガラスパネルの粗面のALFよりも大きくすることができる。
【0051】
ALFは、ガラス粗面の平面(すなわち、ガラス表面に平行な平面)で測定されるので、
粗さに依存しない。ALFは、x方向及びy方向の
特徴の変動、すなわちガラス粗面の平面における
特徴の変動の測定値である。最大の固有
の特徴を選択する手法は、更に広範な平均
特徴サイズを求める他の方法とは異なる有用な特徴である。最大
の特徴は、ヒトの目で最も容易に観察されるので、ガラス製品の合否を目視で判定する際に最も重要である。種々の実施形態では、少なくとも1つの粗面の起伏
の特徴または凹凸
の特徴は、中間値及び中間範囲を含む約1マイクロメートル〜約50マイクロメートル、約5マイクロメートル〜約40マイクロメートル、約10マイクロメートル〜約30マイクロメートル、及び約14マイクロメートル〜約28マイクロメートルの平均
の特有の固有最大
特徴(ALF)サイズを有する。平均
の特有の最大
特徴サイズとは、粗面の視野内の20個の最大繰り返し
特徴の断面の平均直線寸法である。校正された基準光学顕微鏡を通常、使用することにより
特徴サイズを測定することができる。視野は、
特徴サイズに比例し、そして通常、約30(ALF)×30(ALF)の面積を有する。例えば、ALFが約10マイクロメートルである場合、20個の最大
の特徴を選択する際に用いる視野は、約300マイクロメートル×300マイクロメートルである。視野のサイズの微小な変化は、ALFに大きく影響することはない。ALFを求めるために使用される20個の最大
の特徴の標準偏差は普通、平均値の約40%未満とする必要がある、すなわち大きな異常値は、これらの異常値が、“固有”
の特徴であるとは考えられないので無視する必要がある。
【0052】
アンチグレア面の起伏は、例えば突出部または突起部、凹部、及び約400nm未満の最大寸法を有する同様の
特徴等の特徴を含むことができる。種々の実施形態では、これらの起伏
の特徴は、約10nmから最大約200nmの平均距離だけ互いから分離することができる、または離間させることができる。結果として得られるアンチグレア面は、表面の山谷差(PV)指標により測定される平均
粗さを有することができる。種々の実施形態では、アンチグレア面は、約800nm、約500nm、及び約100nmのRMS
粗さを有することができる。
【0053】
ALFを計算するために使用されるこれらの
特徴は“固有である”;すなわち、少なくとも20個の類似
の特徴を、これらの
特徴に比例する視野に配置することができる。異なるモルフォロジー(表面形態)または表面構造は、ALFを使用して特徴付けることができる。例えば、1つの表面構造は、閉塞セル繰り返し構造として現われ、別の表面構造は、大きな台地を挟んで分離された微小ピットとして現われ、そして第3の表面構造は、大きな間欠平滑領域を挟んで点在する微小粒子領域として現われる。各例では、ALFは、光学的にほぼ平滑な20個の最大繰り返し表面領域を測定することにより求めることができる。繰り返し閉塞セル表面構造の例では、測定対象
の特徴は、閉塞セル母材中のセル群のうちの最大セルである。表面構造が、大きな台地を挟んで分離された微小ピットを含んでいる場合、ピット群の間の大きな台地を測定することになる。表面が、大きな間欠平滑領域を挟んで点在する微小粒子領域を含んでいる場合、大きな間欠平滑領域を測定することになる。大きく変化する表面形態を持つ全ての表面は、このようにして、ALFを使用して特徴付けることができる。
【0054】
種々の実施形態では、ガラス製品の少なくとも1つの粗面は、約10nm〜約800nm、約40nm〜約500nm、及び約40nm〜約300nmとすることができる平均RMS
粗さを有する。種々の実施形態では、平均RMS
粗さは、約10nm超かつALFの約10%未満、約10nm超かつALFの約5%未満、及び約10nm超かつALFの約3%未満とすることができる。
【0055】
低DOI(像鮮明度)及び高Ros/Rs(反射率比)の基準は、固有
の特徴サイズ及びALFに制約を付与する。
粗さレベルが与えられる場合、
特徴サイズが大きくなると、DOIが低くなり、かつRos/Rsが高くなる。従って、
ディスプレイのスパークル及びDOI(像鮮明度)目標値をバランスさせるために、種々の実施形態では、小さ過ぎず、かつ大き過ぎない中間
の固有
の特徴サイズを有するアンチグレア面を形成することができることが望ましい。また、透過ヘイズ光が、周囲照明下で粗面製品が乳白色に見えるようにすることができる非常に大きな角度で散乱されるときの反射ヘイズ率または透過ヘイズ率を最小限に抑えることが望ましい。
【0056】
“透過ヘイズ率” “ヘイズ率”または同様の用語は、ASTM D1003に準拠する±4.0°の四角錐の外側に散乱される透過光の割合を指す。光学的に平滑な表面の場合、透過ヘイズ率は普通、ゼロに近い。両面が粗面化されたガラス板の透過ヘイズ率(Haze
2−side)は、片面のみが粗面化されている等価表面を有するガラス板の透過ヘイズ率(Haze
1−side)に、方程式(2)による近似に従って関連付けることができる:
【0058】
ヘイズ値は普通、パーセントヘイズとして記録される。方程式(2)によるHaze
2−sideの値には、100を乗算する必要がある。種々の実施形態では、開示されるガラス製品は、約50%未満の透過ヘイズ率を有することができ、そして約30%未満の透過ヘイズ率を有することもできる。
【0059】
多段階表面処理プロセスを用いて、ガラス粗面が形成されてきた。多段階エッチングプロセスの一例が、2009年3月31日に出願され、本出願と同じ出願人が保有する同時係属中のCarlson(カールソン)らによる“Glass Having Anti−Glare Surface and Method of Making(アンチグレア面を有するガラス、及び形成方法),”と題する米国仮特許出願第61/165,154号明細書に開示されており、当該明細書に記載の方法では、ガラス表面を第1エッチャントで処理して、結晶を当該表面に形成し、次に、当該表面のうち、これらの結晶の各結晶に隣接する領域をエッチングして所望の
粗さとし、続いてこれらの結晶を当該ガラス表面から除去し、そしてガラス製品の表面の
粗さを低減して、当該表面に所望のヘイズ率及び光沢度を付与する。
【0060】
本出願と同じ出願人が保有する他の関連出願として、例えば米国特許出願第13/090,561号(SP10−112),同第13/090,522号(SP10−114),米国仮特許出願第61/417,674号(SP10−318P),同第61/165,154号(SP09−087P),及び同第61/242,529号(SP09−271P)を挙げることができ、これらの出願の開示内容は、本明細書において参照されることにより、開示内容全体が本明細書に組み込まれる。
【0061】
種々の実施形態では、種々の反応促進添加剤は、例えば界面活性剤、共溶媒、希釈剤、潤滑剤、ゲル化剤、増粘剤、及び同様の添加剤、またはこれらの組合せを含む粒子懸濁液、エッチング溶液、またはこれらの両方の溶液に含めることができる。
【0062】
エッチャントを接触させる処理は、例えば選択的部分浸漬または完全浸漬、噴霧、含浸、及び同様の処理、またはこれらの処理の組合せを含むことができ、この場合、酸エッチング溶液は、例えば2〜10重量%のフッ化水素酸、及び塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び同様の酸、またはこれらの酸の組合せのような2〜30重量%の鉱酸を含む。ガラス表面は、溶液中で、約1〜約10分かけてエッチングすることができ、この場合、時間が長くなると普通、表面
粗さをより低減することができる。本開示の濃度及びエッチング時間は、適切な例を表わしている。本開示の範囲から外れる濃度及びエッチング時間もまた、たとえ効率が低下する可能性があるとしても、ガラス製品の粗面を得るために使用することができる。
【0063】
化学的に強化するために、より大きなアルカリ金属イオンを、ガラス表面近傍のより小さい可動アルカリイオンとイオン交換する。このイオン交換プロセスによって、ガラスの表面を圧縮状態にすることができ、当該表面の耐性を、どのような機械的損傷に対しても更に高めることができる。種々の実施形態では、ガラス製品の外側表面は任意であるが、イオン交換処理することができ、この場合、より小さい金属イオンを、より小さいこれらのイオンと同じ原子価を有するより大きい金属イオンで置換する、またはイオン交換する。例えば、ガラス中のナトリウムイオンを、より大きいカリウムイオンで、ガラスを、カリウムイオンを含有する溶融塩浴に浸漬することにより置換する。より小さいイオンをより大きいイオンで置換すると、圧縮応力が層内に発生する。種々の実施形態では、ガラスの外側表面の近傍のより大きいイオンをより小さいイオンで、例えばガラスをガラスの歪み温度以上の温度に加熱することにより置換することができる。歪み温度以下の温度に冷却すると、圧縮応力がガラスの外側層に発生する。ガラスの化学的強化は任意であるが、表面粗面化処理の後に行なうことができ、この場合、悪影響がイオン交換性またはガラス製品の強度に及ぶことは殆どない。
【0064】
種々の実施形態では、本開示は、アンチグレア面を形成する方法を提供し、当該方法は、例えば表面を粒子で、例えば懸濁液またはスートガンを用いて“粒子状にする”(すなわち、粒子を集める)工程と、粒子状表面を適切なエッチャントでエッチングする工程と、エッチング表面をイオン交換処理する工程と、そして任意であるが、更に処理を行なって、好ましくない表面欠陥を低減する(すなわち、欠陥低減)工程と、を含む。別の構成として、または更に、表面をイオン交換処理し、粒子で粒子状にし、エッチャントでエッチングし、そして任意であるが、欠陥低減処理を施すことができる。
【0065】
これらの図を参照するに、
図1は、アンチグレア層を、例えばGORILLA(登録商標)ガラス表面に形成するプロセスの種々の工程を模式的に示している。約10マイクロメートル未満のような平均サイズを有する粒子を適切な液に懸濁させ、そして結果として得られた懸濁液をガラス基板に選択的に付着させ(100)、例えばスロット塗布し、そして溶媒を除去して、ガラス基板(110)に付着する残留粒子層(105)を残すことができる。次に、サンプルを、例えば酸エッチング浴に浸す(120)、または浸漬することによりエッチングすることができる。HF/H
2SO
4エッチャントで粒子の周りの領域を侵食し、そして最終的に、個々の粒子で覆われた領域をアンダーカットする。これらのガラス粒子は、基板表面からエッチング(120)中、リンス中、または両方の処理中に剥がれることにより、凹凸表面(130)が、アンチグレア性を有するガラス基板に形成される。
【0066】
図2は、エッチングを開始する状態になっている塗布後の(粒子状)Gorilla(登録商標)ガラスサンプルの顕微鏡写真である。当該サンプルは、粒子をスプレー塗布することにより得られた100%の粒子被覆率を有する。開口部は、これらの粒子の間に観察することができない。塗布層も非常に厚くなっている(120マイクロメートル)。
【0067】
図3a及び3bはそれぞれ、解析前の様子(3a)、及び画像解析を適用した後の様子(3b)を示しており、画像解析を適用して、例示的なスロット塗布サンプルの3マイクロメートル付着粒子の被覆率を100倍の倍率で測定する。
図3bは、60%の面積被覆率を有している。
【0068】
図4a及び4bはそれぞれ、
図3a及び3bに撮影されている厳密に同じ像位置を500倍の倍率で示している。
図4bは、61%の面積被覆率を有している。3マイクロメートルポリスチレンビーズ(のみの)粒子懸濁液を使用した。
【0069】
図5a及び5bは、74%の異なる面積被覆率を有する別のスロットサンプルを500倍の倍率で示している。3マイクロメートルポリスチレンビーズ(のみの)粒子懸濁液を使用した。
【0070】
図6a及び6bは、83%の異なる面積被覆率を有する別のスロット塗布サンプルを500倍の倍率で示している。3マイクロメートルポリスチレンビーズ(のみの)粒子懸濁液を使用した。
【0071】
図7a及び7bは、92%の粒子表面積被覆率を有する別のスロット塗布サンプルを500倍の倍率で示している。3マイクロメートルポリスチレンビーズ(のみの)粒子懸濁液を使用した。
【0072】
図8a及び8bは、61%の混合粒子表面積被覆率を有する混合粒子調製液の更に別のスロット塗布サンプルを100倍の倍率で示している。使用する調製液は、ポリマービーズ(PMMA;8マイクロメートル)粒子及びワックス(6マイクロメートル)粒子の混合物の粒子懸濁液であった、すなわちポリマー粒子及びワックス粒子からなる巨視的な混合物の粒子懸濁液であり、物理的に親和性の高い混合物、またはポリマー及びワックスの混合物からなる粒子の懸濁液ではなかった。
【0073】
図9a及び9bは、43%の塗布粒子表面積被覆率を有する別のスロット塗布サンプルを500倍の倍率で示している。5マイクロメートルポリスチレン(のみの)粒子懸濁調製液を使用した。
【0074】
図10a及び10bは、52%の塗布粒子表面積被覆率を有する別のスロット塗布サンプルを500倍の倍率で示している。表2の最初の3つの入力項目のような適切な液体に懸濁させた5マイクロメートルポリメチルメタクリレート(PMMA)粒子を有する粒子懸濁液を使用した。
【0075】
図11a及び11bは、3マイクロメートルポリスチレン(のみの)粒子調製液を、それぞれ74%及び83%の面積被覆率で塗布したときの
粗さを示している。これらの像は共に、20倍対物レンズ及び2倍の像倍率で撮影した。
【0076】
種々の実施形態では、本開示の方法及び製品は、以下の利点のうちの少なくとも1つ以上の利点を提供することができる。本開示のエッチング方法は、例えば約1〜約10分間かけて、約1〜約5分間かけて、例えば約2〜約4分間かけて迅速に行なうことにより、アンチグレア層をガラス表面に形成することができる。従来の複数浴処理法では、約60分以上の時間を要してしまう。本開示のエッチング方法では、従来のプロセスに使用される3つ以上の浴ではなく、化学エッチャント浴(例えば、HF+H
2SO
4)を1つだけ使用することで済ませることができる。
【0077】
種々の実施形態では、本開示のエッチング方法では、例えば中間値及び中間範囲を含む、エッチング対象の基板の約1〜約50マイクロメートル、基板の約1〜約30マイクロメートル、基板の約1〜約20マイクロメートル、基板の約1〜約10マイクロメートルをエッチング除去する(すなわち、基板の平面の内部に向かって、またはz方向に)ことにより、所望のアンチグレア層を形成することができる。これとは異なり、従来のエッチングプロセスでは通常、ガラス表面の約100〜約200マイクロメートルを除去してしまう。
【0078】
本開示のプロセスで調製されるサンプルは、従来のプロセスでエッチングされるサンプルと比較すると、同様の光学特性(例えば、ヘイズ率、光沢度、及び像鮮明度(DOI))を示すが、本方法及びサンプルは、プロセス時間、材料消費量、及びコストを大幅に低減することにより有利になる。本開示のプロセスは、1平方メートル以上のガラス板のような大型部品に容易に拡張されるのに対し、従来の浸漬プロセスは、より大きなユニットへの拡張性の容易さに劣る。
【0079】
適正な設計選択が行なわれる場合、本開示のプロセスは、片面サンプルを形成するための裏面保護を必要としない。片面サンプルは、例えば片面浸漬法、スプレー法、スロットダイ塗布法、またはスピン塗布法を用いて調製することができる。従来の複数浴処理法は、裏面保護フィルムを必要とし、これが製造コストを更に上昇させてしまう。
【0080】
種々の実施形態では、形成方法は更に、任意の調製粒子研磨工程を含むことができ、この調製粒子研磨工程では、懸濁液の粒子を、例えばボールミルで粉砕する、更に好ましくは、粒子調製液を少なくとも1つの表面にスロットダイコータでスロット塗布する直前に、懸濁液の粒子を、スロットダイコータヘッドの動きにほぼ間に合うようにして、かつスロットダイコータヘッドの位置に極めて近接して粉砕する。種々の実施形態では、当該形成方法において、スロットダイ塗布する直前に、調製粒子を研磨する。種々の実施形態では、当該形成方法において、調製粒子をスロットダイの直ぐ手前の研磨砥石車で研磨する。種々の実施形態では、当該形成方法において、スロットダイコータヘッド直ぐ手前に配置される研磨砥石車を有する装置を使用することができる。
【0081】
種々の実施形態では、
図1に示す塗布方法は更に、分散液の粒子の所謂粒子“研磨”工程を、分散液をスロット塗布する前に取り入れることにより改善することができる。約10マイクロメートル未満の平均サイズを有する粒子を適切な液体に懸濁させることができる。次に、分散粒子を研磨して、当該分散粒子を均一分散粒子として均質化する(すなわち、沈殿しない)ことができ、次に結果として得られる懸濁液を、例えばガラス基板にスロット塗布することにより付着させることができ、そして溶媒を、例えば蒸発により、または真空引き、または乾燥のような他の方法により除去して、ガラス基板に付着する残留粒子層を部分的に残すことができる。次に、サンプルを酸エッチング浴に浸す、または浸漬することができる。HF/H
2SO
4エッチャントは、これらの粒子の周りの領域を侵食し、そして最終的に、個々の粒子で覆われた領域をアンダーカットする。これらの粒子は、エッチング後に基板表面に残留している場合には必ず、基板表面からリンス工程で除去することができる。結果として得られるガラス基板はアンチグレア性を有する。
【0082】
種々の実施形態では、本開示は、
図12に示すスロットコータ装置及びシステム(1200)を提供し、スロットコータ装置及びシステム(1200)は:
スロットダイ(1201)と;
粒子懸濁液送液装置(1202)であって、当該粒子懸濁液送液装置を任意の適切なポンプ(1203)または同様の推進装置、或いは重力のような力で駆動することができる、前記粒子懸濁液送液装置(1202)と;
当該粒子懸濁液送液装置(1202)と当該スロットダイとの間に配置されるポリッシャー(1204)と;
を備え、当該ポリッシャーは懸濁粒子を、スロット塗布中に継続的に研磨し、そして研磨後のこれらの粒子をスロットダイヘッドに供給して塗布する。
【0083】
ポリッシャー(1204)は、例えば当該ポリッシャーを駆動するモータ(1205)と、そして例えばボールベアリングまたはショットブラストのような大型粉砕手段を保持するスクリーン(1206)または同様のフィルタ部材と、を含むことができる。種々の実施形態では、当該ポリッシャーは、例えば高速ミキサ、または合流マイクロ流体混合室とすることができる。
【0084】
継続的に研磨された粒子流は、スロットダイ(1201)に供給され、そしてガラス基板(1207)に制御可能に所望の厚さに付着させる。スロットダイ(1201)及びガラス基板(1207)は相対運動して(1208)、均一な厚い粒子マスクの付着を促進することが好ましい。
【0085】
種々の実施形態では、粒子マスク調製液の粒子懸濁液は更に、陰イオン界面活性剤を当該調製液に含むことができる。
【0086】
種々の実施形態では、本開示は、低ヘイズ性を有するアンチグレア面を実現する方法を提供する。当該方法は、ナノスケールからマイクロスケールの凹凸表面を、例えばヘイズ率を低下させる(例えば、5%未満のヘイズ率を有する)ケイ酸塩ガラスに、他の光学特性を維持しながら形成するプロセスを含む。当該方法では、粒子をガラス表面に塗布して、溶媒を逃がす、例えば蒸発させる、または加熱乾燥させることができ、この逃がす方法では、ガラス表面への付着粒子の付着を十分に強固にする。このプロセスに続いて、例えばHFエッチャント浴中で、または多成分含有酸性溶液中でエッチングを行なうことができる。当該エッチャントは、ガラス表面のこれらの粒子の周りをエッチングして、AG粗面層を形成することが好ましい。
【0087】
ヘイズ率は、素子コントラストが問題となる場合に重要な光学特性となる。本開示は、AGサンプルを、界面活性剤を調製液に添加して低ヘイズ率を、他の光学的属性を許容範囲に収まるように維持しながら実現することにより形成する方法を提供する。他の利点として、例えば以下の利点を挙げることができる:
約5%未満のヘイズ率を、低
スパークル及び許容できる像鮮明度(DOI)と一緒に実現することができる。
【0088】
界面活性剤を使用することにより、所望の光学特性を容易に実現することができ、更に所望の塗布均一性を容易に実現することができる。これらの結果は極めて再現性が良い。
【0089】
選択した界面活性剤を粒子分散調製液に使用すると、非常に広い範囲のAG光学特性を実現することができる。
【0090】
選択した界面活性剤を粒子分散調製液に使用すると更に、粒子マスクに使用する材料が少なくなることによりコスト節減することができる。界面活性剤を含まない調製液と比較すると、当該マスクを、45マイクロメートルの湿式膜厚で塗布を行なうことにより、7未満の
スパークル、及び約8のヘイズ率を実現することができる。界面活性剤を添加した粒子マスク塗布調製液を、35マイクロメートルの湿式膜厚で塗布を行なうことができ、そして測定ヘイズ率は5%未満である。粒子マスク調製液の材料消費量は、例えば約22%減らすことができる。
【0091】
一般的に、界面活性剤を用いて、基板表面の濡れ性を高めることができる。しかしながら、本方法では、界面活性剤を粒子マスク調製液に含めることにより、マスク粒子、及びポリッシャー内に設ける場合の粉砕ビーズの潤滑作用が促進され、そしてマスク粒子を基板表面からエッチング工程中に解放する作用が促進される現象が現れる。これらの現象によって、低ヘイズ率を、AGの他の所望の光学的属性を維持しながら実現し易くなる。
【0092】
使用可能な陰イオン界面活性剤濃度範囲は、例えばスロットダイ塗布前の粒子分散液の全重量に応じて、0.1重量%〜2重量%とすることができる。
【0093】
適切な陰イオン界面活性剤は、例えばSilwet Hydrostable 212(Momentive Performance Mterials社製),Q2−5211 Super wetter(Dow Corning社製),Novec−FC4430(3M社製),Surfynol 104(Air Products社製),及びDodecylbenzenesulfonic acid(ドデシルベンゼンスルホン酸), sodium salt(ナトリウム塩)(Aldrich社製)とすることができる。
【0094】
種々の実施形態では、ガラス製品は、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラス、アルカリ土類アルミノケイ酸塩ガラス、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス、アルカリホウケイ酸塩ガラス、及びこれらの組合せを含む、から基本的に成る、または成る。種々の実施形態では、ガラス製品は、例えば組成:60〜72モル%のSiO
2;9〜16モル%のAl
2O
3;5〜12モル%のB
2O
3;8〜16モル%のNa
2O;及び0〜4モル%のK
2Oを有するアルカリアルミノケイ酸塩ガラスとすることができ、この場合、次式で表わされる比が成り立ち:
【0096】
式中、アルカリ金属改質剤はアルカリ金属酸化物である。種々の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス基板は、例えば:61〜75モル%のSiO
2;7〜15モル%のAl
2O
3;0〜12モル%のB
2O
3;9〜21モル%のNa
2O;0〜4モル%のK
2O;0〜7モル%のMgO;及び0〜3モル%のCaOとすることができる。種々の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス基板は、例えば:60〜70モル%のSiO
2;6〜14モル%のAl
2O
3;0〜15モル%のB
2O
3;0〜15モル%のLi
2O;0〜20モル%のNa
2O;0〜10モル%のK
2O;0〜8モル%のMgO;0〜10モル%のCaO;0〜5モル%のZrO
2;0〜1モル%のSnO
2;0〜1モル%のCeO
2;50ppm未満のAs
2O
3;及び50ppm未満のSb
2O
3とすることができ;この場合、12モル%≦Li
2O+Na
2O+K
2O≦20モル%及び0モル%≦MgO+CaO≦10モル%の関係がある。種々の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラス基板は、例えば:64〜68モル%のSiO
2;12〜16モル%のNa
2O;8〜12モル%のAl
2O
3;0〜3モル%のB
2O
3;2〜5モル%のK
2O;4〜6モル%のMgO;及び0〜5モル%のCaOとすることができ、この場合:66モル%≦Si
2O+B
2O
3+CaO≦69モル%;Na
2O+K
2O+B
2O
3+MgO+CaO+SrO>10モル%;5モル%≦MgO+CaO+SrO≦8モル%;(Na
2O+B
2O
3)−Al
2O
3≦2モル%;2モル%≦Na
2O−Al
2O
3≦6モル%;及び4モル%≦(Na
2O+K
2O)−Al
2O
3≦10モル%の関係がある。種々の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、例えば:50〜80重量%のSiO
2;2〜20重量%のAl
2O
3;0〜15重量%のB
2O
3;1〜20重量%のNa
2O;1〜10重量%のLi
2O;0〜10重量%のK
2O;及び0〜5重量%の(MgO+CaO+SrO+BaO);0〜3重量%の(SrO+BaO);及び0〜5重量%の(ZrO
2+TiO
2)とすることができ、この場合、0≦(Li
2O+K
2O
3)/Na
2O≦0.5の関係がある。種々の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、例えば殆どリチウムを含まないようにすることができる。種々の実施形態では、アルカリアルミノケイ酸塩ガラスは、例えば砒素、アンチモン、バリウムのうちの少なくとも1つの元素、またはこれらの元素の組合せを殆ど含まないようにすることができる。種々の実施形態では、ガラスは任意であるが、Na
2SO
4,NaCl,NaF,NaBr,K
2SO
4,KCl,KF,KBr,SnO
2、同様の物質、またはこれらの物質の組合せのような0〜2モル%の濃度の少なくとも1種類の清澄剤でバッチ法により処理することができる。
【0097】
種々の実施形態では、選択されるガラスは、例えばダウンドローすることができる、すなわちこの技術分野で公知のスロットドロー法またはフュージョンドロー法のような方法により成形することができる。これらの例では、ガラスは、少なくとも130kpoise(キロポアズ)の液体粘度を有することができる。アルカリアルミノケイ酸塩ガラスの例は、2007年7月31日に出願され、本出願と同じ出願人が保有し、かつ同出願人に譲渡されたEllison(エリソン)らによる“Down−Drawable, Chemically Strengthened Glass for Cover Poate(ダウンドロー可能な化学的に強化されたカバープレート用ガラス),”と題し、そして優先権を2007年5月22日に出願された米国仮特許出願第60/930,808号に基づいて請求する米国特許出願第11/888,213号明細書;2008年11月25日に出願されたDejnekaらによる“Glasses Having Improved Toughness and Scratch Resistance(強度及び耐引っ掻き性を向上させたガラス),”と題し、かつ優先権を2007年11月29日に出願された米国仮特許出願第61/004,677号に基づいて請求する米国特許出願第12/277,573号明細書;2009年2月25日に出願されたDejnekaらによる“Fining Agents for Silicate Glasses(ケイ酸塩ガラスの清澄剤),”と題し、かつ優先権を2008年2月26日に出願された米国仮特許出願第61/067,130号に基づいて請求する米国特許出願第12/392,577号明細書;2009年2月26日に出願されたDejnekaらによる“Ion−Exchanged, Fast Cooled Glasses(イオン交換処理される高速冷却ガラス),”と題し、かつ優先権を2008年2月29日に出願された米国仮特許出願第61/067,732号に基づいて請求する米国特許出願第12/393,241号明細書;2009年8月7日に出願されたBarefoot(ベアフット)らによる“Strengthened Glass Articles and Methods of Making(強化ガラス製品及び形成方法),”と題し、かつ優先権を,2008年8月8日に出願された “Chemically Tempered Cover Glass(化学的に強化されたカバーガラス),”と題する米国仮特許出願第61/087,324号に基づいて請求する米国特許出願第12/537,393号明細書;2009年8月21日に出願されたBarefoot(ベアフット)らによる“Crack and Scratch Resistant Glass and Enclosures Made Therefrom(耐亀裂性及び耐引っ掻き性のあるガラス及びそのガラスから形成される筺体),”と題する米国仮特許出願第61/235,767号明細書;及び2009年8月21日に出願されたDejnekaらによる“Zircon Compatible Glasses for Down Draw(ダウンドローに適合するジルコン製ガラス),”と題する米国仮特許出願第61/235,762号明細書に記載されている。
【0098】
以下の例(複数例)において記載されるガラス表面及びガラス板は、粒子塗布可能かつエッチング可能な任意の適切なガラス基板または同様の基板を用いることができ、そして例えば、表1に列挙されるガラス組成1〜11、またはこれらの組成の組合せを含むことができる。表1は、代表的なガラス基板組成を表わしている。
【実施例】
【0100】
以下の例は、上に説明した開示内容を利用する方法を更に完全に説明し、そして本開示の種々の態様を実施するために考えられる最良のモードを詳細に説明するために用いられる。これらの例は、本開示の範囲を限定するのではなく、例示のためにのみ提示されることを理解されたい。これらの例では、本開示の製品を調製する過程を詳細に説明する。
【0101】
以下の説明では、粒子マスク懸濁液を調製し、塗布し、そして次にエッチングした過程を表わす工程を概説する。コーニング社製2318ガラス(6”×10”)試料は、Big Dipper automatic dish washer(自動食器洗浄機)でDI(脱イオン)水中の約4%のsemi−cleanKG洗浄剤を用いて洗浄した。次に、ガラス板群を、裏面保護フィルムを有する方の面が重なるように積層した。次に、粒子塗布調製液を、表2に列挙した各成分を秤量することにより調製した。バインダをエタノール中に、完全に溶解するまで混合した。次に、ブタノール及び粒子またはビーズを加えた。ローラボトルに収容された濃縮粒子をローラに付着させて、粒子を良好な懸濁状態に維持した。次に、この調製液をガラス表面にスプレー塗布またはスロット塗布した。次に、これらのサンプルを特定の濃度(例えば、5.5モルHF/6.5モルH
2SO
4)を有する酸溶液で特定の時間(例えば、約30秒)をかけて垂直姿勢または水平姿勢でエッチングし;次に、エッチングサンプルを取り出し、そして次に、リンスし;そしてエッチングサンプルのヘイズ率、
スパークル、及びDOIを測定した。
【0102】
粒子状表面の調製
例1
粒子懸濁液の調製。懸濁粒子マスクを、粒子を上に説明した通りに分散させることにより調製した。表2は、代表的なポリスチレンポリマー粒子懸濁調製液を列挙している。
【0103】
【表2】
【0104】
例2
粒子懸濁液のスロット塗布。粒子を塗布する異なる方法を選択することができる。例えば、粒子調製液は、ガラス表面にスプレー塗布、カーテン塗布、スクリーン印刷、浸漬塗布、スピン塗布によりローラで、そして同様の他の公知の方法により、またはこれらの方法の組合せにより塗布することができる。スロットダイは、本開示の実施形態では特に有利である。スロットダイ塗布法の1つの利点は、塗布厚さを正確に制御することができることである。これは、ガラス表面に実現したいと考える被覆率の程度に直接関連する。塗布後、単分子層の膜厚、または単分子層以下の膜厚のような非常に薄い粒子層が表面に残った。非常に薄いこの粒子層は、酸が塗布マスクの空間に浸透して、例えばエッチング効率を高める、酸消費量を少なくする、そして粒子消費量を少なくするといった酸の能力を向上させる。種々の実施形態では、これらの粒子とガラス表面との間の相互作用は、例えばガラス化学種または粒子化学種、粒子濃度、表面電荷、及び同様の要素、またはこれらの要素の組合せを調整することにより更に高めることができる。スプレー法及びスロット法を用いる塗布条件の例を表3及び4に列挙する。
【0105】
粒子状表面のエッチング
例3
粒子状表面の浸漬エッチング。スプレー塗布条件またはスロット塗布条件で調製された粒子状ガラス表面を有するガラス板を、種々の酸調製液を例1に従って用いて、エッチング時間及び温度のバラツキを制御しながらエッチングし、そして種々の酸調製液を用いて、エッチング時間及び温度のバラツキを制御しながら、例えばエッチング時間を0.5分、酸濃度を6モルHF及び7モルH
2SO
4とし、周囲温度(25℃)で、そして同様の条件でエッチングした。表3は、例示的な一連のスプレー条件を与える。
【0106】
【表3】
【0107】
表4は、3マイクロメートルポリスチレン(のみの)粒子懸濁液の例示的な一連のスロットコーティング条件を与える。
【0108】
【表4】
【0109】
表5は、3マイクロメートル粒子の種々の被覆率の例を与える。同じ酸及び濃度の6モルHF/7モルH
2SO
4を使用した。
【0110】
【表5】
【0111】
表6は、5マイクロメートルPMMAポリマー粒子の種々の被覆率の例を与える。同じ酸濃度の6モルHF/7モルH
2SO
4を使用した。
【0112】
【表6】
【0113】
概して、被覆率が高くなると、より多くの粒子がガラス表面に付着するようになり、そして多重層が、より少ない、またはより小さな開口部を粒子群の間に有するようになり、そしてこれらの粒子が、ガラス表面により強固に付着するようになった。粒子被覆率が高くなると、より多くの粒子が集塊し、そして光学特性に悪影響を与えるようになる。これは、表3及び4に示すように、ヘイズレベルが上昇し、かつDOI(像鮮明度)が低下する場合に明らかになる。
スパークル(または、PPD)は、被覆率も高くなると高くなった。
【0114】
表5及び6のデータから更に、非常に広い範囲のヘイズ率を、被覆率を制御することにより実現することができることが判明する。
【0115】
使用した粒子は、ポリマービーズ(例えば、PMMA及びポリスチレン)から作製した。広範囲の種類の他の粒子を選択することができる。低分子量材料の場合、アニール温度は、粒子のTgにほぼ比例するように選択された。他の粒子材料の例として、例えばポリエステル、ポリオレフィン、塩化ポリビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルロニトリル、シリコーン、ポリエチレン、メラミン、(メタ)アクリレート、ポリエチレンテレフタレート、及び同様のポリマー、及びこれらの物質の混合物を挙げることができる。これらの粒子は、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、及び同様のポリマー、及びこれらの物質の混合物とすることができる。これらのビーズは、表面処理により修飾することができる。これらのビーズは、架橋させるか、または架橋させないようにすることができ、そしてプラスチックから成る任意の球形または平板微粒子を選択することができる。ワックスは、本開示において特に有用であると考えられるポリマーである。種々の種類のワックスは、例えば植物性ワックス、鉱物性ワックス、または動物性ワックス、及び石油系ワックス、及び合成ワックスとすることができる。幾つかの例示的な材料は、エルカ酸アミド、ステアラミド、オレアミド、モンタン、酸化ポリエチレン、これらの組合せを含むコポリマー、及び1種のポリマーのコア部、及び異なる1種のポリマーのシェル部、及びこの技術分野で公知の他の材料である。これらの他の粒子は、コスト、除去の容易さ、または酸溶液中での安定性、及び同様の実用上の理由、またはこれらの要素の組合せに基づいて選択することができる。
【0116】
マスク粒子サイズは、特に制限されない。ディスプレイ用途のアンチグレア面の場合、一般的に望ましい粒子サイズ範囲は、約1マイクロメートル〜約50マイクロメートルである。この範囲以下では、波長以下になると、アンチグレア処理による散乱を低減することができ、そしてこの範囲以上では、許容できない“
ディスプレイスパークル”を、幾つかの
ピクセル化されたディスプレイに見ることができる。しかしながら、本明細書において概説される一般的方法は、この範囲から外れる粒子サイズを使用しても適用することができ−詳細には、幾つかの粒子層を形成するスロットダイ塗布法、エッチング前に、ガラスの
粗さを、粒子マスクをアニールすることにより調整することができる方法、またはこれらの方法の組合せを適用することができる。50マイクロメートル超の粒子は、マウスパッド、または他のタッチ入力デバイス、
ピクセル化されていないディスプレイのアンチグレア面、及び同様の製品または装置におけるようなディスプレイ用途以外の用途において有用である。1マイクロメートル未満の粒子は、ナノ構造表面、例えば傾斜屈折率反射防止コーティングまたは疎水性/疎油性構造表面に有用である。光散乱面をガラスに形成するこの方法から恩恵を享受することができる、ディスプレイ用途以外の他の用途として、光捕捉/吸収を向上させた太陽光発電パネル、及び家電製品の観賞用パネルまたはカバー、または建築用途を挙げることができる。
【0117】
後エッチング処理
例4
任意の欠陥低減。必要に応じて、被エッチング面を任意であるが、更に処理して、表面傷または表面欠陥を表面から除去し、そして強度、強靭性、または耐引っ掻き性、及び表面の外観性を高めることができる(例えば、2010年1月7日に出願され、本出願と同じ出願人が保有し、かつ同出願人に譲渡された “Impact−Damage−Resistant Glass Sheet(衝撃−損傷−に強いガラス板),”と題する米国仮特許出願第61/293,032号明細書を参照されたい)。従って、本明細書において開示される少なくとも1つの酸エッチング表面を含むガラス板は、単独で、または焼き戻し表面仕上げしたコンプレッション層と組み合わせて、表面焼き戻し処理、及び次の追加の酸エッチング処理の複合処理を受ける。結果として得られるガラス板は、高強度(球落下試験)を示し、そして耐損傷性が高いコンシューマ用の表示装置における有用な構成部材である。
【0118】
例5
ポリマー粒子調製。表7は、幾つかの例示的なポリマー粒子調製液の要約を与える。
【0119】
【表7】
【0120】
粒子懸濁及び付着に使用される例示的な粒子組成は、例えばメチルメタクリレート及びエチレングリコールジメタクリレートのコポリマーであった。同じ組成、または異なる組成を持つ粒子の2つ以上のサイズを混合して他のポリマー粒子サイズ、粒子組成を得る際、またはガラス基板を得る際、追加の調製操作、または更に別の調製操作を行なって、所望の
粗さ、ヘイズレベル、及びDOI特性を仕上げ製品に有する仕上げ基板を形成することができる。
【0121】
例6
粒子マスク調製。
図13A〜13Dは、未研磨の分散粒子を塗布したGorilla(登録商標)ガラスの顕微鏡写真を示している。湿式塗布した層の厚さはそれぞれ、約35マイクロメートル、40マイクロメートル、45マイクロメートル、及び50マイクロメートルであった。表面に湿式塗布した層は、単分子層でもなく、または単分子層以下の膜厚の層でもない。ビーズを積層させ、そして表面に不均一に分布させる。巨視的には、高密度の帯状構造物を塗布後のサンプルに容易に観察することができ、これらの帯状構造物は、AG面にエッチング後に見付け出すことができる表面欠陥に直接関連する。
【0122】
図14A〜14Dは、研磨後の分散粒子を塗布したGorilla(登録商標)ガラスの顕微鏡写真を示している。湿式塗布した層の厚さはそれぞれ、約35マイクロメートル、40マイクロメートル、45マイクロメートル、及び50マイクロメートルであった。
【0123】
図13に示す未研磨の分散粒子とは異なり、
図14に示す研磨後の分散粒子は、単分子層粒子の被覆率よりも僅かに低い被覆率を有する形状になった。分散粒子を研磨すると、分散液が均質になり、そして分散液がスロットダイキャビティから均一に分散して、かつ均一の流量で流れ出すことができる。本開示のインライン研磨処理を除き、同一の塗布パラメータを有する両方の分散液が塗布されたと考えられるが、研磨後及び未研磨の分散粒子を塗布したサンプルは、非常に異なって見える。表8は、本開示の実施形態において使用される代表的な粒子調製液を列挙している。
【0124】
【表8】
【0125】
表9は、異なる湿式膜厚を得るために選択されるスロット条件の例を示している。
【0126】
【表9】
【0127】
“研磨対象の”分散粒子を上に説明した通りに調製し、そして次の通りに研磨した。分散調製液を塗布し始める状態になると、ニュージャージー州にあるGlen Mills Inc.製のZirmil−Yとして知られている1.5mmの高密度の酸化ジルコニウムビーズを当該調製液に添加し(例えば、1:1の比で)、そして30分かけてローラに、60rpmでロール塗布するか、または
図12に示すインラインポリッシャーを用いて同様に処理する。次に、より大きな酸化物粉砕ビーズは、濾過除去するか、またはインラインミルで捕集する。結果として得られる分散液は均質化され、そしてスロットダイコータで塗布を開始する状態になった。塗布後のサンプルを、特定濃度の酸溶液中で、例えば5.5モル/6.5モルH
2SO
4中で、特定の時間をかけて、例えば30秒かけて垂直姿勢に保持してエッチングした。次に、エッチング後のサンプルを浴から取り出してリンスし、そして裏面保護フィルムを除去した。次に、エッチング後のサンプルを、ヘイズ率、
スパークル、及びDOI特性について測定した。
【0128】
粒子を塗布する異なる方法を想到することができる。例えば、調製液は、ガラス表面にスプレーする、カーテン塗布する、スクリーン印刷する、浸漬塗布する、スピン塗布する、ローラで、及び同様の方法で、またはこれらの方法を組み合わせて塗布することができる。スロットダイは、本開示では特に有用な塗布方法であった。スロットダイ塗布法の1つの大きな利点は、塗布膜厚を非常に正確に制御することができることである。この制御性は、所望の粒子表面被覆率をガラス表面に実現するために有用である。塗布後、非常に薄い粒子層が表面に残った。これらの粒子とガラス表面との間の相互作用は、例えばガラス化学種または粒子化学種、粒子濃度、表面電荷、及び同様の要素、またはこれらの要素の組合せを調整することにより更に向上させることができる。種々の実施形態では、湿式塗布法は、例えば約1層〜2層の粒子層を塗布するだけで更に向上させることができる。種々の実施形態では、湿式塗布法は、例えば単分子層以下の膜厚の層を塗布することにより更に向上させることができる。以下の表10は、分散粒子を研磨した場合の同じ厚さのサンプル、及び分散粒子を研磨しない場合の同じ厚さのサンプルに関する光学データを示している。
【0129】
【表10】
【0130】
湿式膜厚は、両方の例について同じであるが、粒子を研磨しない状態の分散液に関する光学値は、許容できない
スパークルを示している。
スパークルは、AG性にとって最も重要な属性であり、そして
スパークルは7未満であることが好ましい。
スパークルが7を超えると、ユーザまたは観察者は普通、十分に小さくはないAG
の特徴パターンに起因して、表示の“不均一性”を訴える。
【0131】
図15は、表10に列挙されるデータのグラフを示している。サンプル1〜4に関する光学データ(左側)は、未研磨粒子の分散液を塗布することにより得られるデータである。サンプル8〜15に関する光学データ(右側)は、スロット塗布前に30分かけて分散粒子を研磨した場合に得られたデータである。当該調製液は、塗布前にビーズミルまたはインラインビーズミルで研磨することにより均質化されることが好ましい。
【0132】
研磨工程は、非常に均一な粒子塗布品質、及び結果として得られるエッチング表面の良好な光学特性を実現する優れた方法と成り得る。我々は、これが、規模を拡大して更に大きなサイズの基板に塗布する好適な方法であることも実証した。粒子研磨工程を含む本開示の塗布方法は、例えば結果として得られる塗布後の基板内で帯状構造物が密集し、そして塗布品質が低下する状態を回避することにより特に有利となる。
【0133】
例7
陰イオン性界面活性剤を含む粒子マスク調製液。表11は、界面活性剤を含んでいない粒子マスク調製液を塗布した部分の光学特性の例を示している。
【0134】
【表11】
【0135】
欄P−0及びP−90は、0度及び90度に傾けたAGサンプルの
スパークル測定値である。
スパークルは、選択される用途では7未満であることが好ましい。35マイクロメートルの湿式膜厚では、ヘイズ率は約5%であるが、
スパークルは許容できない。45マイクロメートル及び50マイクロメートルの湿式膜厚のみが、7未満の
スパークルを示している。しかしながら、ヘイズ率は非常に高く、素子コントラストを低下させる。1つの目標は、PPDを5未満に維持しながらもヘイズ率を約5%未満にすることである。界面活性剤を含まない粒子マスク調製液は、この目標基準を満たすことができない。表12は、界面活性剤(0.6重量%のDODEC)を添加した調製液を用いて塗布した部分の例を示している。
【0136】
【表12】
【0137】
幾つかの点について表12に関連して注目することができる。まず、35マイクロメートルの湿式膜厚、及び同じ酸濃度、及び同じエッチング時間では、界面活性剤を添加した調製液を使用する場合に、7未満の
スパークルを有するサンプルを作製することができた(表11のデータと比較した場合)。また、
スパークルは、35マイクロメートルの場合に約1ポイント小さくなる(表11と比較した場合)。更に、50マイクロメートル厚におけるヘイズ率は、界面活性剤を添加した場合に、界面活性剤を含まない調製液の場合の13%から約7%に減少した(表11と比較した場合)。表13は、界面活性剤(0.6重量%のDODEC)を添加した調製液用いて塗布した部分の例を示している。
【0138】
【表13】
【0139】
表13の35マイクロメートルの湿式膜厚の結果は、表12の35マイクロメートルの湿式膜厚の結果と、酸濃度が低く、かつエッチング時間が短かったことを除き、同様である。酸濃度が低く、かつ時間が短くなると、
スパークルを7未満に維持しながら更に低いヘイズ率を実現することができる。界面活性剤を添加しない場合、Gorillaガラスの所望の光学特性を実現することができなかった。界面活性剤によって明らかに、粒子をガラス表面から、繰り返し実験における酸エッチング工程中にほぼ同時に容易に解放することができたので、非常に再現性の良い結果が得られた。
【0140】
理論の制約を受けないが、選択した特定の界面活性剤(すなわち、ドデシルベンゼンスルホン酸、ナトリウム塩、DODEC)は、各ポリマー粒子を取り囲む単分子層を形成することにより、乾燥後の適正な粒子間隔を実現する潤滑剤の役割を果たすことができる。この界面活性剤層は、ポリマー粒子をガラス表面からエッチングプロセス中に解放する機能も果たす。解放タイミングは、適正なAG光学特性を実現するに当たって重要となる。別の材料が、シリル化有機界面活性剤混合物として、またはオハイオ州コロンバスにあるMomentive Performance Matrials社製の塗布助成剤、Silwet(登録商標)Hydrostable 212界面活性剤として従来から定義されてきた。
【0141】
調製液により良好なAG光学特性が得られるような界面活性剤が望ましい。全ての界面活性剤が同じ作用をもたらす訳ではないことが分かっている。これらの表のデータは、広い範囲のヘイズ率を、他の光学的属性を維持しながらも実現することができ、かつ界面活性剤を含めた場合に非常に良好に再現することができることを実証している。
【0142】
本出願と同じ出願人が保有し、かつ同出願人に譲渡された 米国特許出願USSN13/090,522号明細書には、界面活性剤を使用して、光学特性を向上させることにより、特に
スパークル及びDOIを許容範囲に維持しながら低ヘイズ率を得ることができることが記載されている。
【0143】
図16A〜16Cは、界面活性添加剤を含む粒子分散液を塗布したGorilla(登録商標)ガラスの顕微鏡写真を示している。
図16Aは、界面活性剤を含む粒子を、35マイクロメートルの湿式膜厚を有するように塗布した状態を示している。
図16Bは、界面活性剤を含む粒子を、45マイクロメートルの湿式膜厚を有するように塗布した状態を示している。
図16Cは、界面活性剤を含む粒子を、55マイクロメートルの湿式膜厚を有するように塗布した状態を示している。表14は、ガラス基板に付着する3マイクロメートル懸濁粒子を用いる2つの異なる湿式膜厚に対応するスロットダイ条件の例を示している。
【0144】
【表14】
【0145】
表15は、界面活性剤を添加した粒子調製液A、及び界面活性剤を添加していない比較例の調製液Bを列挙している。
【0146】
【表15】
【0147】
本開示について、種々の特定の実施形態及び方法を参照して説明してきた。しかしながら、多くの変更及び変形を、本開示の範囲に収まる限り加えることができることを理解されたい。