特許第6146761号(P6146761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 公益財団法人鉄道総合技術研究所の特許一覧

<>
  • 特許6146761-地震計のノイズ識別方法 図000002
  • 特許6146761-地震計のノイズ識別方法 図000003
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146761
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】地震計のノイズ識別方法
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/28 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   G01V1/28
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2012-211080(P2012-211080)
(22)【出願日】2012年9月25日
(65)【公開番号】特開2014-66571(P2014-66571A)
(43)【公開日】2014年4月17日
【審査請求日】2015年1月30日
【審判番号】不服2016-9582(P2016-9582/J1)
【審判請求日】2016年6月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】000173784
【氏名又は名称】公益財団法人鉄道総合技術研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100089635
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 守
(72)【発明者】
【氏名】岩田 直泰
(72)【発明者】
【氏名】山本 俊六
【合議体】
【審判長】 福島 浩司
【審判官】 藤田 年彦
【審判官】 田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−89790(JP,A)
【文献】 特開2009−139105(JP,A)
【文献】 特開平10−132199(JP,A)
【文献】 特開2006−343126(JP,A)
【文献】 特表2008−522140(JP,A)
【文献】 特開2006−112922(JP,A)
【文献】 特開2000−304586(JP,A)
【文献】 特開2009−103672(JP,A)
【文献】 特開2011−65496(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01V 1/00-13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
地震の早期警報出力のための早期地震諸元推定をP波を用いて行う地震計のノイズ識別方法であって、鉄道沿線又は道路沿線に配置され、地表を伝播する地震以外の振動を検出する地表地震計と、地中から地表へ伝播する地震動を検出する地中地震計とを設置し、前記地中地震計は前記地震以外の振動に影響を受けない深い位置であって、かつ、前記地表地震計に共通するように前記地表地震計の個数に対して少数個でカバーするように配置し、前記地表地震計のみが起動した場合には、前記地震以外の振動と識別し、前記地中地震計と前記地表地震計との両方の地震計が起動した場合には、地震動と識別することを特徴とする地震計のノイズ識別方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地震計のノイズ識別方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震時の早期警報出力のため、鉄道沿線には地震計が設置されている。ただし、線路沿線の地震計は列車振動や道路交通振動、周辺の工事振動などの地震以外の振動がノイズとして混入することから、早期地震諸元推定の誤推定や誤警報の原因となっている。なお、早期地震諸元推定はP波初動数秒の微弱な揺れを用いることから、地震以外の振動の影響を極力除く必要がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】佐藤 新二,中村 洋光,「早期地震検知手法の汎用的な評価システムの開発」,RTRI REPORT Vol.19,No.10,2005.10,pp17−20
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記したように、地震時の運転規制のため、鉄道沿線には地震計が設置されている。この地震計には列車振動や道路交通振動、周辺の工事振動などの地震以外の振動が入力されてしまうので、早期地震諸元推定の誤推定や誤警報を防ぐために地震動とそれ以外の振動を識別する必要がある。
【0005】
本発明は、上記状況に鑑みて、鉄道沿線に設置される地震計の地震動とそれ以外の振動とを識別し、その識別精度の向上を図り得る、地震計のノイズ識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記目的を達成するために、
〔1〕地震の早期警報出力のための早期地震諸元推定をP波を用いて行う地震計のノイズ識別方法であって、鉄道沿線又は道路沿線に配置され、地表を伝播する地震以外の振動を検出する地表地震計と、地中から地表へ伝播する地震動を検出する地中地震計とを設置し、前記地中地震計は前記地震以外の振動に影響を受けない深い位置であって、かつ、前記地表地震計に共通するように前記地表地震計の個数に対して少数個でカバーするように配置し、前記地表地震計のみが起動した場合には、前記地震以外の振動と識別し、前記地中地震計と前記地表地震計との両方の地震計が起動した場合には、地震動と識別することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、地震動と列車振動や道路交通振動、周辺の工事振動などの地震以外の振動を確実に識別することにより、早期地震諸元推定の誤推定や誤警報を防ぐことができ、安定輸送の向上に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例を示す地震計のノイズ識別の模式図である。
図2】本発明の実施例を示す地表地震計と地中に深く設置される地中地震計との配置例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の地震計のノイズ識別方法は、地震の早期警報出力のための早期地震諸元推定をP波を用いて行う地震計のノイズ識別方法であって、鉄道沿線又は道路沿線に配置され、地表を伝播する地震以外の振動を検出する地表地震計と、地中から地表へ伝播する地震動を検出する地中地震計とを設置し、前記地中地震計は前記地震以外の振動に影響を受けない深い位置であって、かつ、前記地表地震計に共通するように前記地表地震計の個数に対して少数個でカバーするように配置し、前記地表地震計のみが起動した場合には、前記地震以外の振動と識別し、前記地中地震計と前記地表地震計との両方の地震計が起動した場合には、地震動と識別する。
【実施例】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0011】
図1は本発明の実施例を示す地震計のノイズ識別の模式図である。
【0012】
この図において、1は鉄道線路、2は地表、3は地表2を伝播する列車振動、4は地表地震計、5は地中から地表へ伝播する地震動、6は地中地震計、7は地表地震計4と地中地震計6に接続される列車振動3と地震動5の識別を行う処理装置である。地中地震計6は列車振動に影響を受けない深い位置に設置する。
【0013】
図2は本発明の実施例を示す鉄道沿線に設置される地表地震計と地中に深く設置される地中地震計との配置例を示す模式図である。
【0014】
この図において、地表地震計4は鉄道線路1の沿線に所定距離毎に配置され、地中に深く設置される地中地震計6は複数個の地表地震計4に共通するように地表地震計4の個数に対して少数個でカバーするようにしてもよい。
【0015】
なお、上記実施例では、地表地震計で検出する振動は、鉄道沿線の列車振動について述べたが、これに限定するものではなく、道路に沿って配置される地表地震計にも適用される。さらには、地表地震計で検出される地上すれすれを飛ぶ飛行機の振動を検出する場合や、周辺で行われる工事による振動を検出する場合であってもよい。
【0016】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0017】
本発明の地震計のノイズ識別方法は、地震動とそれ以外の振動とを確実に識別する地震計のノイズ識別方法として利用することができる。
【符号の説明】
【0018】
1 鉄道線路
2 地表
3 地表を伝播する列車振動
4 地表地震計
5 地中から地表へ伝播する地震動
6 地中地震計
7 処理装置
図1
図2