【文献】
樋口 諭,発泡剤の技術と特徴,JETI,日本,株式会社ジェテイ,2003年 5月 1日,Vol.51 No.5,第93頁〜第96頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記化学発泡剤の添加量が、基材樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明のポリエチレン系樹脂発泡シートの製造方法について詳細に説明する。
本発明のポリエチレン系樹脂発泡シート(以下、単に発泡シートともいう。)の製造方法には、押出発泡方法が採用される。
前記押出発泡方法においては、例えば、ポリエチレン系樹脂と気泡調整剤と必要に応じた添加剤とを押出機に供給し、加熱溶融して樹脂溶融物とし、次いで、該樹脂溶融物に物理発泡剤を圧入し、さらに混練して発泡シート形成用発泡性溶融樹脂とし、押出機内において該発泡性溶融樹脂を発泡可能な樹脂温度に調整し、ダイを通して大気中に押出して、該発泡性溶融樹脂を発泡させて押出発泡シートを形成する。前記ダイとして、環状ダイやTダイを使用することができる。環状ダイを使用する場合には、発泡性溶融樹脂を、環状ダイを通して大気中に押出して、該発泡性溶融樹脂を発泡させて筒状発泡体を形成し、該筒状発泡体を、マンドレルと呼ばれる円柱状冷却装置の側面を通過させて拡径しつつ引取りながら押出方向に沿って切り開くことにより、発泡シートを得ることができる。
【0011】
本発明方法において、発泡シートを製造するための基材樹脂は、ポリエチレン系樹脂を主成分とするものである。ポリエチレン系樹脂は、柔軟性に優れる樹脂であり、その発泡シートは被包装体の表面保護性能に優れるものである。
前記ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレン成分単位が50モル%以上の樹脂が挙げられ、具体的には、高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル共重合体、さらにそれらの2種以上の混合物などが挙げられる。
尚、本明細書において、「ポリエチレン系樹脂を主成分とする基材樹脂」とは、前記ポリエチレン系樹脂の含有量が発泡シートを構成する基材樹脂の全重量の50重量%以上であることをいい、好ましくは70重量%以上、より好ましくは80重量%以上、更に好ましくは90重量%以上であることをいう。
【0012】
前記のポリエチレン系樹脂の中でも、発泡シートの緩衝特性の観点から、
本発明方法においては、密度が935g/L以下のポリエチレン系樹脂が
用いられる。密度935g/L以下のポリエチレン樹脂としては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン等が挙げられ、発泡性が良好な低密度ポリエチレンが好ましい。なお、ポリエチレン系樹脂の密度の下限は概ね890g/Lである。
【0013】
また、ポリエチレン系樹脂のメルトマスフローレイト(MFR)は、押出発泡性に優れることから、0.2〜10g/10分であることが好ましい。
【0014】
前記メルトマスフローレイトは、JIS K7210−1999に従って、条件コードDを採用し、押出発泡に使用される前のポリエチレン系樹脂を試料として測定される値である。
【0015】
発泡シートを製造するための基材樹脂には、本発明の目的及び効果を阻害しない範囲で、ポリプロピレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂等のポリエチレン系樹脂以外の熱可塑性樹脂や、エチレンプロピレンゴム、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体等のエラストマーなどが含まれていてもよい。その場合、その含有量は30重量%以下が好ましく、20重量%以下がより好ましく、10重量%以下が特に好ましい。
また、前記基材樹脂には、本発明の目的、効果を阻害しない範囲において、例えば、酸化防止剤、帯電防止剤、界面活性剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤、無機充填剤等の機能性添加剤を添加しても良い。
【0016】
本発明方法においては、前記ポリエチレン系樹脂と共に気泡調整剤が押出機に供給される。該気泡調整剤として用いられるものは、有機系または無機系の化学発泡剤である。化学発泡剤としては、炭酸水素ナトリウムとクエン酸またはクエン酸ナトリウムなどのクエン酸アルカリ金属塩との混合物である重曹−クエン酸系化学発泡剤、その他、アゾジカルボンアミド、ヒドラゾジカルボンアミド、アゾビスイソブチロニトリル、N,N´−ジニトロソペンタメチレンテトラミン、P,P´−オキシビスベンゼンスルホニルヒドラジド、炭酸アンモニウム、炭酸水素ナトリウム(重曹)などが例示される。これらの中では、重曹−クエン酸系化学発泡剤が好ましい。
【0017】
化学発泡剤は優れた気泡調整効果を有し、少量の添加で気泡を微細化させて、緩衝性に優れる発泡シートを製造することができるものである。その反面、気泡調整剤として通常の化学発泡剤を使用して厚みが薄い発泡シートを製造すると、前記小孔が発生しやすいという問題が発生していた。本発明者等は、化学発泡剤と小孔の関係を検討し、化学発泡剤の平均粒径が小孔の発生に影響を与えていることを見出し、従来使用されていた化学発泡剤よりも粒径が小さく、特定範囲内のものを用いることにより、小孔の発生を防止しつつ気泡サイズを所望の範囲に調整することに成功した。
【0018】
本発明においては、気泡調整剤として平均粒子径は3〜8μmの化学発泡剤が使用される。該平均気泡径がこの範囲内であれば、小孔、特に発泡シートを貫く貫通孔の発生が効果的に防止される。該平均粒子径が大きすぎると、得られる発泡シートに小孔が開きやすくなる。かかる観点から、平均粒子径は4〜7μmであることが好ましい。また、化学発泡剤の最大粒子径は100μm以下であることが好ましく、80μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
【0019】
平均粒子径が3〜8μmの化学発泡剤は、例えば、従来公知の方法で製造された化学発泡剤を、粉砕し、化学発泡剤粉砕物とすることにより得ることができる。粉砕する方法としては、ジェットミルで粉砕する方法や高速回転ミルで粉砕する方法等、周知の方法が挙げられる。ジェットミル等で粉砕する場合、粉砕を繰返すことや粉砕時間を長くすることなどにより、より小さな化学発泡剤を得ることができる。
【0020】
本発明における化学発泡剤の平均粒子径とは、レーザ回折散乱式粒度分布測定にて測定されるメジアン径(d50)を意味する。また、本明細書における化学発泡剤の最大粒子径は、化学発泡剤から無作為にサンプリングした約1〜3mg程度の粒子群を光学顕微鏡等で拡大観察し、粒子群の中で最も長軸径の長い粒子の長軸径を化学発泡剤の最大粒子径とする。
【0021】
前記化学発泡剤の添加量は、基材樹脂100重量部に対して0.1〜3重量部であることが好ましく、より好ましくは0.2〜2.5重量部、更に好ましくは0.3〜2.3重量部、特に好ましくは0.4〜2.2重量部である。該添加量が少なすぎると、気泡径を所望の範囲に調整することが難しくなる。一方、該添加量が多すぎると、気泡径が小さくなりすぎて、発泡シートの気泡構造が破壊され易くなる。
【0022】
本発明方法においては、ポリエチレン系樹脂を主成分とする基材樹脂、気泡調整剤等を押出機に供給して、加熱、混練して溶融樹脂とし、次いで物理発泡剤を圧入して発泡性溶融樹脂を形成する。該物理発泡剤としては、例えば、プロパン、ノルマルブタン、イソブタン、ノルマルペンタン、イソペンタン、ノルマルヘキサン、イソヘキサン等の脂肪族炭化水素、シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素、塩化メチル、塩化エチル等の塩素化炭化水素、1,1,1,2−テトラフロロエタン、1,1−ジフロロエタン等のフッ素化炭化水素、ジメチルエーテル、エチルメチルエーテル等のエーテル類、メタノール、エタノール等のアルコール類などの有機系物理発泡剤、窒素、二酸化炭素、水等の無機系物理発泡剤が挙げられる。これらの物理発泡剤は、2種以上を混合して使用することが可能である。これらのうち、見掛け密度の低いポリエチレン系樹脂発泡シートを比較的容易に得られる理由から有機系物理発泡剤が好ましく、中でもノルマルブタン、イソブタン、又はこれらの混合物を主成分とするものが好適である。
【0023】
前記発泡剤の添加量は、発泡剤の種類、目的とする発泡シートの見掛け密度に応じて調整する。例えば、物理発泡剤の添加量は、基材樹脂100重量部当たり、概ね3〜35重量部、好ましくは4〜30重量部、より好ましくは5〜25重量部である。
【0024】
前記発泡性溶融樹脂は押出機内で発泡可能な樹脂温度に調整され、ダイを通して大気中に押出される。
前記発泡可能な樹脂温度は、ポリエチレン系樹脂の融点+0℃〜融点+15℃の範囲とすることが好ましく、より好ましくは融点+2℃〜融点+10℃である。
ここで、ポリエチレン系樹脂の融点とは、JIS K7121(1987)記載の試験片の状態調節(2)の「一定の熱処理を行った後、融解温度を測定する場合」に基づく熱流束示差走査熱量測定により得られるDSC曲線の融解ピーク温度を意味する。なお、融解ピークが複数存在する場合には、最も面積の大きな融解ピークの頂点温度を採用する。
【0025】
発泡シートの製造に環状ダイを使用する場合には、環状ダイの吐出口径とマンドレルの直径との比であるブローアップ比(マンドレルの直径/環状ダイの吐出口の直径)を、1.5〜4.5とすることが好ましく、より好ましくは2〜4である。
【0026】
本発明方法においては、樹脂層を発泡シートに積層することができる。樹脂層を積層する方法としては、押出ラミネート、共押出などを採用できるが、共押出発泡法が好ましい。共押出発泡法によれば、樹脂層の厚みを薄くできると共に、樹脂層と発泡シートとの間の接着力を強くすることができる。
【0027】
共押出発泡法においては、共押出用ダイに発泡シート形成用押出機と樹脂層形成用押出機とが接続された装置が用いられる。共押出発泡法の場合、発泡シート形成用押出機にて、前記したように発泡性樹脂溶融物を形成すると同時に、樹脂層形成用押出機に、樹脂層形成用の樹脂を供給し、溶融混練して、樹脂層形成用樹脂溶融物を形成する。両溶融物を共押出用ダイ内にて合流、積層して共押出することにより積層発泡シートが得られる。
【0028】
共押出法においては、前記樹脂層形成用樹脂溶融物に揮発性可塑剤が添加されることが好ましい。揮発性可塑剤としては、樹脂層形成用樹脂溶融物の溶融粘度を低下させる機能を有すると共に、樹脂層形成後に、該樹脂層より揮発して樹脂層中に存在しなくなるものが用いられる。揮発性可塑剤を樹脂層形成用樹脂溶融物中に添加することにより、共押出する際に、樹脂層形成用樹脂溶融物の押出樹脂温度を発泡シート形成用発泡性樹脂溶融物の押出樹脂温度に近づけることができる(温度低下効果)と共に、その押出温度における溶融状態の樹脂層の溶融伸びを著しく向上させることができる(伸張性改善効果)。温度低下効果により、押出発泡時に樹脂層の熱によって発泡シートの気泡構造が破壊されにくくなり、さらに伸張性改善効果により、樹脂層の伸びが発泡シートの発泡時の伸びに追随するので、樹脂層の伸び不足が原因で起こる、多層発泡シート表層部の亀裂発生が防止される。
【0029】
揮発性可塑剤としては、炭素数2〜7の脂肪族炭化水素や脂環式炭化水素、炭素数1〜4の脂肪族アルコール、又は炭素数2〜8の脂肪族エーテルから選択される1種、或いは2種以上のものが好ましく用いられる。滑剤等のように揮発性の低いものを可塑剤として用いた場合、滑剤等は樹脂層に残存し、被包装体の表面を汚染することがある。これに対し揮発性可塑剤は、樹脂層の樹脂を効率よく可塑化させ、得られる樹脂層に揮発性可塑剤自体が残り難い。
【0030】
前述の温度低下効果と伸張性改善効果の観点から、揮発性可塑剤の添加量は、樹脂層を構成する樹脂組成物100重量部に対して7重量部〜50重量部であることが好ましい。
【0031】
本発明の製造方法により得られる発泡シートの見掛け密度は
60〜450kg/m
3であり、その平均厚みは
0.5mm以下である。
【0032】
従来、気泡調整剤として化学発泡剤を用い、微細な気泡の発泡シートを得ようとする場合、発泡シートの平均厚みを2mm以下とすると発泡シートに小孔が開き易く工業生産において歩留まりが悪いものであり、特に、平均厚
み0.5mm以下のものは多数の小孔や貫通孔が開き易く製造に大きな課題を有するものであった。これに対し、本発明方法によれば、平均厚みを
、平均厚み0.5mm以下としても、特に0.3mm未満としても、貫通孔が存在しない発泡シートを歩留まり良く製造することができる。なお、平均厚みの下限は、概ね0.03mmであり、製造し易さを考慮すると、平均厚みの下限は、好ましくは0.05mm、更に好ましくは0.07mm、特に0.1mmである。
また、従来の製造方法においては、発泡シートの見掛け密度を低くしようとするほど、発泡シートに小孔が発生しやすかったが、本発明の製造方法によれば、見掛け密度が450kg/m
3以下であっても、更に300kg/m
3以下であっても、特に250kg/m
3以下であっても、貫通孔が存在しない発泡シートを製造することができる。なお、見掛け密度の下限は
、好ましくは100kg/m
3である。
【0033】
発泡シートの見掛け密度は、主に物理発泡剤の注入量、樹脂温度の調整により前記範囲内に調整することができる。発泡シートの平均厚みは、主に前記見掛け密度、押出時のダイリップの間隙、ブローアップ比、引取速度を調整することにより前記範囲内に調整することができる。
【0034】
前記発泡シートの気泡膜厚みの平均値は、6〜100μmであることが好ましい。該気泡膜厚みが薄すぎると、発泡シートが柔軟になるものの、小孔が形成されやすくなる。一方、該気泡膜厚みが厚すぎると、小孔は形成され難くなるが、緩衝性が低下して、ポリエチレン系樹脂発泡シートが本来有する緩衝特性を発揮できなくなる虞がある。かかる観点から気泡膜厚みの平均値は、8〜70μmがより好ましく、更に好ましくは10〜50μmである。
【0035】
前記発泡シートの平均厚みは、例えば、株式会社山文電気製オフライン厚み測定機TOF−4Rなどを使用し測定することができる。まず発泡シート全幅について、1cm間隔で厚みの測定を行う。この1cm間隔で測定される発泡シート厚み(A)を基に、全幅の算術平均厚み(B)を求める。尚、上記の測定に使用する発泡シートは、温度23±5℃、相対湿度50%の条件下で24時間以上状態調整したものを用いる。
【0036】
また、発泡シートの見掛け密度は、発泡シートの単位面積当たりの重量(g/m
2)を前記平均厚みで割算し、さらに[kg/m
3]に単位換算することにより求めることができる。
【0037】
前記気泡膜厚みの平均値th(μm)は下記式(1)により求めることができる。
th(μm)=(0.46/ρp)ρf×D ・・・(1)
但し、Dは発泡シートの平均気泡径(μm)であり、ρpは発泡シートの基材樹脂の密度(g/cm
3)、ρfは発泡シートの見掛け密度(g/cm
3)である。
【0038】
なお、発泡シートの平均気泡径Dは、ASTM D3576‐77に基づいて下記式(2)にて算出される値である。
平均気泡径D=3方向(厚み方向、幅方向および押出方向)の平均気泡弦長の算術平均値(μm)/0.616 ・・・(2)
【0039】
また、発泡シートの気泡膜厚みは、主に前記見掛け密度を調整し、さらに前記気泡調整剤の添加量を調節することにより、前記範囲内にすることができる。通常、見掛け密度が小さくなるほど気泡膜の厚みは薄くなり、気泡調整剤の添加量が多くなるほど気泡サイズが小さくなり気泡膜の厚みは薄くなる。
【0040】
本発明方法においては、発泡シートの少なくとも片面又は両面に樹脂層を積層することができる。
【0041】
該樹脂層を構成する樹脂としては、接着が容易で柔軟性、製造安定性に優れることからポリエチレン系樹脂が好ましい。該ポリエチレン系樹脂としては、前記発泡シートを構成するものと同様のものが挙げられる。なお、前記発泡シートと樹脂層を構成する樹脂は同一である必要はなく、接着が可能であれば、異種のポリエチレン系樹脂を用いることもできる。
【0042】
前記樹脂層の坪量は、片面について0.5g/m
2以上であることが好ましく、より好ましくは1g/m
2以上である。樹脂層を積層することにより、発泡シートの強度が向上し、さらに樹脂層に帯電防止剤等の機能性添加剤を配合することにより、発泡シートに機能性を容易に付与することができる。一方、樹脂層の積層時に発泡シートの独立気泡構造を維持するという観点からは、樹脂層の坪量は50g/m
2以下であることが好ましく、さらに緩衝性及び軽量性の観点からは10g/m
2以下であることがより好ましく、さらに好ましくは5g/m
2以下である。
【0043】
前記樹脂層の坪量[g/m
2]は、積層発泡シートが共押出や押出ラミネーションによって製造される場合、積層発泡シートを製造する際に、押出発泡条件の内、樹脂層の吐出量X[kg/時]と、得られる積層発泡シートの幅W[m]、積層発泡シートのラインスピード、すなわち1時間あたりの発泡シートの生産長さL[m/時]から、以下の式(3)により求めることができる。なお、発泡シートの両面に樹脂層を積層する場合には、それぞれの樹脂層の共押しダイからの吐出量からそれぞれの樹脂層の坪量を求める。
坪量[g/m
2]=〔1000X/(L×W)〕・・・(3)
【0044】
前記樹脂層には、機能性添加剤を添加して、機能性多層発泡シートにすることができる。該機能性添加剤としては、帯電防止剤、防錆剤、防曇剤、抗菌剤、着色剤、熱安定剤、耐候剤、紫外線吸収剤、難燃剤などが例示される。
【0045】
本発明の発泡シートをガラス板用間紙として使用する場合、機能性添加剤として高分子型帯電防止剤を樹脂層に添加することが好ましい。高分子型帯電防止剤を添加することにより、樹脂層の表面抵抗率を、ガラス板の間紙に要求される1×10
7〜1×10
14Ωにすることができる。該表面抵抗率が前記範囲内であれば、十分な帯電防止特性が得られ、発泡シートの表面に埃が付着し難くなるので、ガラス板用間紙としてより好適な発泡シートとなる。前記観点から、該表面抵抗率は、5×10
13Ω以下が好ましく、1×10
13Ω以下がさらに好ましい。このような高分子型帯電防止剤としては、例えば、三洋化成工業株式会社製「ペレスタットVL300」、「ペレスタットHC250」、「ペレクトロンHS」、「ペレクトロンPVH」などの商品名で市販されている。
【0046】
本発明における表面抵抗率は、下記の試験片の状態調節を行った後、JIS K6271(2001)に準拠して測定される。すなわち、測定対象物である発泡シートから切り出した試験片(縦100mm×横100mm×厚み:測定対象物厚み)を温度20℃、相対湿度30%の雰囲気下に36時間放置することにより試験片の状態調節を行い、印加電圧500kVの条件にて、電圧印加を開始して1分経過後の表面抵抗率を測定する。
【0047】
高分子型帯電防止剤の樹脂層への配合量は、該樹脂層を構成する樹脂100重量部に対して、高分子型帯電防止剤の配合量が5〜150重量部であることが好ましい。該配合量が前記範囲内であれば、十分な帯電防止特性を発揮することが可能となる。かかる観点から、樹脂層への高分子型帯電防止剤の添加量は、該樹脂層を構成する樹脂100重量部に対して、より好ましくは10〜100重量部である。
【0048】
本発明方法により得られるポリエチレン系樹脂発泡シートは、各種梱包材として、特にガラス板の間紙として好適に使用できるものである。
【実施例1】
【0049】
以下、実施例に基づいて本発明を更に詳細に説明する。但し、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0050】
[ポリエチレン系樹脂]
実施例、比較例で用いたポリエチレン系樹脂を表1に示す。
【0051】
[気泡調整剤]
気泡調整剤として、表2に示す、平均粒子径(メジアン径)、最大粒子径が異なる、化学発泡剤を用いた。
なお、気泡調整剤1は、市販の炭酸水素ナトリウムとクエン酸一ナトリウムとの混合物(重量比1:1、平均粒子径(メジアン径)17.5μm)をジェットミルで粉砕して平均粒子径を6μmに調整したものを、低密度ポリエチレンをベースレジンとして化学発泡剤濃度20重量%のマスターバッチとしたものである。同様に、気泡調整剤2は、市販の炭酸水素ナトリウムとクエン酸一ナトリウムとの混合物(重量比1:1、平均粒子径(メジアン径)17.5μm)をジェットミルで粉砕して平均粒子径を8μmに調整したものを、低密度ポリエチレンをベースレジンとして化学発泡剤濃度20重量%のマスターバッチとしたものである。また、気泡調整剤3および4は、低密度ポリエチレンをベースレジンとした化学発泡剤濃度20重量%のマスターバッチである。
【0052】
[帯電防止剤]
樹脂層に添加する帯電防止剤として、三洋化成工業(株)製の高分子型帯電防止剤「ペレスタットVL300」(略称:帯電防止剤1)を用いた。
【0053】
【表1】
【0054】
【表2】
【0055】
[装置]
(1)単層発泡シート
発泡シート形成用押出装置として、スクリュー径115mmの第一押出機と、第一押出機の下流側に連結されたスクリュー径150mmの第二押出機とからなるタンデム押出機を使用し、第二押出機の下流側の出口先端部に環状ダイが取付けられた装置を用いた。
(2)多層発泡シート
発泡シート形成用押出装置として、発泡層形成用のスクリュー径115mmの第一押出機と、第一押出機の下流側に連結されたスクリュー径150mmの第二押出機とからなるタンデム押出機を使用し、第二押出機の下流側の出口先端部に共押出用環状ダイが取付けられ、該共押出用環状ダイに、樹脂層形成用の直径65mmの第三押出機の下流側の出口が連結された装置を用いた。
【0056】
実施例1、2、比較例1、2
表3に示すポリエチレン系樹脂と気泡調整剤とを、表3に示す配合で前記第一押出機の原料投入口に供給し、加熱混練し、約200℃に調整された樹脂溶融物とした。該樹脂溶融物に物理発泡剤としてノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%の混合ブタンを、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、表3に示す配合となるように圧入して加熱混練し、次いで第二押出機にて冷却して表3に示す樹脂温度の発泡性樹脂溶融物とした。該発泡性樹脂溶融物を、環状ダイを通して大気中に押出して筒状発泡体を形成し、該筒状発泡体をマンドレルにて表3に示すブロー比で幅方向に拡径しながら、表3に示す速度で引き取り、さらに押出方向に沿って切開いて、発泡シートを得た。なお、気泡調整剤はマスターバッチの形態でポリエチレン系樹脂に配合した。
【0057】
参考例1、比較例3、4
表3に示すポリエチレン系樹脂と気泡調整剤とを、表3に示す配合で前記第一押出機の原料投入口に供給し、加熱混練し、約200℃に調整された樹脂溶融物とした。該樹脂溶融物に物理発泡剤としてノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%との混合ブタンを、ポリエチレン系樹脂100重量部に対して、表3に示す配合となるように圧入して加熱混練し、次いで第二押出機にて冷却して表3に示す樹脂温度の発泡性樹脂溶融物とし、該発泡性樹脂溶融物を共押出用環状ダイに導入した。なお、気泡調整剤はマスターバッチの形態でポリエチレン系樹脂に配合した。
【0058】
一方、表3に示すポリエチレン系樹脂と、帯電防止剤と、揮発性可塑剤としてのノルマルブタン70重量%とイソブタン30重量%との混合ブタンとを、樹脂層形成用の第三押出機に供給して溶融混練して樹脂層形成用樹脂溶融物とし、表3に示す樹脂温度に調整して共押出用環状ダイに導入した。共押出用環状ダイ内で発泡シート形成用発泡性樹脂溶融物の外側と内側に、樹脂層形成用樹脂溶融物を合流、積層し、該積層溶融物を大気中に押出し、樹脂層/発泡層/樹脂層の3層構成の筒状の積層発泡体を形成した。該積層発泡体をマンドレルにて表3に示すブロー比で幅方向に拡径しながら表3に示す速度で引き取り、さらに押出方向に沿って切開いて、樹脂層が発泡層の両面に積層接着された発泡シートを得た。なお、揮発性可塑剤としての混合ブタンは、樹脂層形成用ポリエチレン系樹脂100重量部に対して10重量部の割合でポリエチレン系樹脂に配合した。
【0059】
実施例、比較例、
参考例で得られた発泡シートの物性を表4に示す。
【0060】
【表3】
【0061】
【表4】
【0062】
表1中のポリエチレン系樹脂の融点及びMFR、表4中の発泡シートの見掛け密度、平均厚み、平均気泡膜厚み、各層の坪量、表面抵抗率は前記の方法により測定した。なお、発泡シートの表面抵抗率は、樹脂層に帯電防止剤が配合されているもののみを測定した。
表2中の化学発泡剤の平均粒子径は、HORIBA社製レーザ回折散乱式粒度分布測定装置(LA−910)を用いて測定した。また、化学発泡剤の最大粒子径は次のようにして測定した。化学発泡剤を含有する気泡調整剤マスターバッチ約1gを厚み約30μmまで110℃でヒートプレスして測定用サンプルを作製し、光学顕微鏡にてサンプル中の最も長い化学発泡剤の粒子の長軸径を計測した。この測定を異なるサンプルを用いて10回繰り返し、最も大きな長軸径の値を化学発泡剤の最大粒子径とした。
【0063】
表4中の貫通孔の数は次のようにして測定した。発泡シート製造時に、欠点検出器を用いて発泡シートの表面を1時間観察し、1時間当たりに発生した貫通孔の数(個/hr)を計測した。