(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146772
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】医療従事者呼び出しシステム
(51)【国際特許分類】
H04N 7/18 20060101AFI20170607BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20170607BHJP
A61G 12/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
H04N7/18 D
H04M9/00 B
H04M9/00 C
A61G12/00 Z
【請求項の数】1
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2013-194888(P2013-194888)
(22)【出願日】2013年9月20日
(65)【公開番号】特開2015-61251(P2015-61251A)
(43)【公開日】2015年3月30日
【審査請求日】2016年8月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】591253593
【氏名又は名称】株式会社ケアコム
(72)【発明者】
【氏名】吉川 茂樹
【審査官】
鈴木 隆夫
(56)【参考文献】
【文献】
特開2013−27645(JP,A)
【文献】
特開2010−273938(JP,A)
【文献】
特開2013−5912(JP,A)
【文献】
特開2003−44956(JP,A)
【文献】
特開2009−207548(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04M 9/00
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
病院内の各所に設置され、画像を撮影して画像情報を出力する監視カメラと、
前記病院内で働く医療従事者によって携行されるとともに、携帯端末識別情報によって特定され、通話機能を有する携帯端末と、
前記監視カメラを接続し、前記監視カメラから出力された画像情報を入力するインターフェースと、医療従事者の特徴を示す画像である特徴画像情報とその医療従事者が携行する携帯端末の携帯端末識別情報とを関連付けて記憶する記憶部と、前記インターフェースにより入力した画像情報を選択可能に表示する表示部と、前記表示部に表示されている画像情報が選択された場合に、選択された前記画像情報と前記記憶部に記憶されている特徴画像情報とを比較して前記画像情報に前記特徴画像情報が存在するか否かを判定する判定部と、前記判定部にて前記特徴画像情報が前記画像情報に存在すると判定した場合に、前記記憶部を参照し、その特徴画像情報に関連付けて記憶されている携帯端末識別情報を抽出して、その携帯端末識別情報によって特定される携帯端末を呼び出すとともにその携帯端末が応答した場合にその携帯端末との間で通話路を形成する制御部と、前記携帯端末との間で通話を行うための通話部とを有する監視装置と、
を備えたことを特徴とする医療従事者呼び出し医療従事者呼び出しシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の場所に居る医療従事者を呼び出すための医療従事者呼び出しシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、監視カメラおよびこの監視カメラの撮影方向と同じ方向に向けられたスピーカーとマイクとを有する現場音声機器を備えた監視機器を施設内の各所に配置し、監視カメラで撮影された映像を表示するとともにタッチパネルを設けた画像表示器および現場音声機器との間で音声信号を送受信する監視音声機器を有する監視システムでは、複数台の監視カメラで撮影された画像のうち、何れかの画像がタッチパネルにて選択された場合に、選択された画像を撮影している監視カメラとともに配置されている現場音声機器と監視音声機器との間で音声の送受信を可能とする技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の技術では、監視カメラによって撮影されている画像中に居る人物とタッチパネルを操作した監視者との間で通話が可能になるが、例えば、特許文献1に記載の技術を病院などの施設に適用した場合には、各所に配置された現場音声機器のスピーカーから音声が出力されるため、監視者である医療従事者と画像中に居る人物である医療従事者との間の通話内容が患者などにも聞かれてしまうという問題があった。
【0004】
ところで、病院などの施設では、医療従事者に携帯通信端末を携行させることが一般的に行われている。ここで、ある医療従事者が他の医療従事者を呼び出す際に、ある医療従事者は、他の医療従事者が携行している携帯通信端末を呼び出すことで医療従事者間の通話が可能となる。これにより、通話内容をできるだけ周囲の患者に聞かせないようにすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−141281号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上述したような問題を解決するために成されたものであり、監視カメラによって撮影されている画像中に居る医療従事者とその医療従事者を呼び出す医療従事者との間で通話を行う際に、周囲に居る患者に通話内容をできるだけ聞かせないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明では、病院内の各所に監視カメラを設置し、これらの監視カメラで撮影された画像を選択可能に表示する。また、医療従事者の顔の特徴を示す画像である特徴画像情報と、その医療従事者が携行する携帯端末を他の携帯端末と識別するための携帯端末識別情報とを関連付けて記憶しておく。そして、表示されている画像が選択された場合に、その画像の画像情報と予め記憶されている特徴画像情報とを比較することにより画像中に特徴画像が存在するか否かを判定して、特徴画像が画像中に存在したときには、その特徴画像の特徴画像情報に関連付けて記憶されている携帯端末識別情報を抽出して、その携帯端末識別情報によって特定される携帯端末を呼び出すとともに呼び出した携帯端末との間で通話を行うようにしている。
【発明の効果】
【0008】
上述したように構成した本発明によれば、監視カメラで撮影された画像を選択するだけで、その画像に映っている医療従事者が携行する携帯端末を呼び出して通話を行うことができ、通話が携帯端末にて行われるので、携帯端末から出力される音声が周囲に聴こえる可能性が低くなり、周囲に居る患者に通話内容をできるだけ聞かせないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態による医療従事者呼び出しシステムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態の記憶部に記憶される情報の例を示す図である。
【
図3】本実施形態の表示部に表示される画像の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態による医療従事者呼び出しシステムの構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態の医療従事者呼び出しシステムは、監視カメラ1、監視装置2、無線装置10、携帯端末20を備えて構成されている。
【0011】
監視カメラ1は、病院内の各所に設置されており、常に画像を撮影して画像情報を出力する。ここで、監視カメラ1は、設置場所に居る人の顔を撮影できる位置に設置されることが好ましい。また、画像情報には、監視カメラ1を他の監視カメラ1と識別するための識別情報が含まれる。
【0012】
監視装置2は、ナースステーションなどに設置されており、病院内の各所を監視するために用いられる。ここで、医療従事者は、監視装置2を用いて、病院内の各所に居る他の医療従事者を監視することができる。また、監視装置2は、制御部3、インターフェース4、表示部5、記憶部6、選択操作部7、判定部8、通話部9を備えて構成されている。
【0013】
無線装置10は、監視装置2と後述する携帯端末20とが無線通信するための無線基地局であり、病院内の通信センターなどに設置されている図示しないPBX(Private Branch Exchange:電話交換機)に接続されている。ここで、無線装置10も病院内の各所に設置されている。また、無線装置10は、携帯端末20が病院内のどの場所にあっても無線装置10と通信可能になるような間隔で設置されることが好ましい。
【0014】
携帯端末20は、医療従事者によって携行される端末装置であり、無線装置10との間で無線通信が可能である。ここで、携帯端末20は、携帯端末制御部21、無線送受信部22、報知部23、応答操作部24、携帯端末通話部25を備えて構成されている。
【0015】
次に、監視装置2の各構成要素について説明する。制御部3は、監視装置2の各構成要素を後述するように制御するためのものであり、CPU(Central Processing Unit)などにより構成されている。インターフェース4は、各監視カメラ1を接続しており、各監視カメラ1から出力された画像情報を入力する。また、インターフェース4は、各無線装置10を接続しており、各無線装置10を介して携帯端末20を呼び出すための呼出信号を出力したり、携帯端末20との間で通話を行うための音声信号を入出力したりする。また、呼出信号は、呼び出しを行う携帯端末20を特定するための携帯端末識別情報を含む。
【0016】
表示部5は、各監視カメラ1から入力した画像情報を表示する。ここで、表示部5は、各監視カメラ1から入力した画像情報を切り替え可能に表示するとともに、表示されている画像を選択可能とする。また、表示部5は、各監視カメラ1から入力した画像情報を一覧形式で表示することも可能である。
【0017】
記憶部6は、メモリやハードディスクドライブなどの記憶装置により構成されており、画像情報に含まれる識別情報と、その識別情報によって特定される監視カメラ1の設置場所を示す場所情報とを関連付けて記憶している。また、記憶部6は、病院内で働く医療従事者を他の医療従事者と識別するための医療従事者識別情報と、その医療従事者の顔の特徴を示す画像である特徴画像情報と、その医療従事者が携行する携帯端末20の携帯端末識別情報とを関連付けて記憶する(例えば、
図2を参照)。なお、本実施形態では、医療従事者識別情報を記憶部6に記憶させることで、医療従事者がどの携帯端末20を携行しているのかを把握することが可能となるが、医療従事者識別情報を記憶部6に記憶させることは必須ではない。
【0018】
選択操作部7は、表示部5に表示されている画像中の人物を選択するための操作されるもので、表示部5と合わせてタッチパネルなどにより構成される。判定部8は、制御部3と同様にCPUなどにより構成されており、選択操作部7により選択された画像情報と記憶部6に記憶されている特徴画像情報とを比較して、画像中に特徴画像が存在するか否かを判定する。ここで、判定部8による判定の動作は、周知の画像認識技術を用いて実現される。
【0019】
例えば、
図3に示すように、監視カメラ1で撮影された画像情報が表示部5に表示されている状態で、「前」の部分が操作されると、一つ前に該当する監視カメラ1の画像情報が表示部5に表示される。また、「次」の部分が操作されると、一つ後に該当する監視カメラ1の画像情報が表示部5に表示される。また、「一覧」の部分が操作されると、複数の監視カメラ1により撮影された画像情報が一覧形式で表示される。また、制御部6は、記憶部6を参照して、表示されている画像情報に含まれている識別情報に関連付けて記憶されている監視カメラ1の設置場所を示す情報を読み出して画像情報の上方に表示させる。
【0020】
また、「選択(通話)」の部分が操作されると、判定部8は、選択された画像情報と記憶部6に記憶されている特徴画像情報とを順番に比較して、選択された画像に特徴画像が含まれるか否かを判定する。そして、選択された画像に含まれる特徴画像の特徴画像情報が記憶部6に存在しないと判定部8にて判定した場合には、制御部3は、該当する医療従事者が居ないことを表示部5に表示させる。
【0021】
一方、選択された画像に含まれる特徴画像の特徴画像情報が記憶部6に存在したと判定部8にて判定した場合には、制御部3は、記憶部6を参照して、その特徴画像情報に関連付けて記憶されている携帯端末識別情報を抽出する。そして、制御部3は、抽出した携帯端末識別情報を含む呼出信号を生成して、インターフェース4により出力させる。
【0022】
通話部9は、マイクおよびスピーカーにより構成されており、監視装置2を使用する医療従事者の声を音声信号に変換してインターフェース4から出力するとともに、インターフェース4が携帯端末20から入力した音声信号を音声に変換して周囲に出力する。ここで、通話部9は、監視装置2と携帯端末20との間で通話路が形成された場合にのみ動作が有効とされる。また、監視装置2の周囲に居る患者に対して、より通話内容を聞こえないようにするために、通話部9をハンドセットにより構成することが好ましい。
【0023】
上述した通話路は、制御部3がインターフェース4により呼出信号を出力し、病院内の各所に設置されている無線装置10が呼出信号を送信して、この呼出信号に対して所望の携帯端末20が応答した場合に形成される。
【0024】
次に、携帯端末20の各構成要素について説明する。携帯端末制御部21は、CPUなどにより構成されており、携帯端末20の各構成要素を後述するように制御する。無線送受信部22は、無線装置10から送信された呼出信号を受信するとともに、携帯端末20と監視装置2との間で通話路が形成されている状態で、音声信号の送受信を行う。
【0025】
報知部23は、スピーカーやディスプレイなどにより構成されており、呼び出し行われていることを音声および表示にて報知する。応答操作部24は、報知部23が動作している状態で操作可能となり、報知部23の動作を停止する際に操作される。また、応答操作部24が操作されると、携帯端末20と監視装置2との間で通話路が形成される。
【0026】
携帯端末通話部25は、マイクおよびスピーカーにより構成されており、携帯端末20を使用する医療従事者の声を音声信号に変換して無線送受信部22から送信するとともに、無線送受信部22が監視装置2から入力した音声信号を音声に変換して周囲に出力する。ここで、携帯端末通話部25は、携帯端末20と監視装置2との間で通話路が形成された場合にのみ動作が有効とされる。また、携帯端末20もハンドセットのような形状を有する。
【0027】
このように構成された携帯端末20にて、無線送受信部22が呼出信号を受信すると、携帯端末制御部21は、呼出信号に含まれる携帯端末識別情報と、自装置の携帯端末識別情報とが一致するか否かを判定する。両者が一致しないと携帯端末制御部21にて判定した場合には、携帯端末制御部21は報知部23を動作させない。一方、両者が一致したと携帯端末制御部21にて判定した場合には、携帯端末制御部21は報知部23を動作させ、報知部23は報知を行う。
【0028】
以上詳しく説明したように、本実施形態の医療従事者呼び出しシステムでは、病院内の各所に監視カメラ1を設置し、これらの監視カメラ1で撮影された画像を選択可能に表示部5に表示する。また、医療従事者の顔の特徴を示す画像である特徴画像情報と、その医療従事者が携行する携帯端末20を他の携帯端末20と識別するための携帯端末識別情報とを関連付けて記憶部6に記憶しておく。そして、表示部5に表示されている画像が選択操作部7によって選択された場合に、その画像の画像情報と予め記憶部6に記憶されている特徴画像情報とを比較することにより画像中に特徴画像が存在するか否かを判定部8にて判定して、特徴画像が画像中に存在したときには、その特徴画像の特徴画像情報に関連付けて記憶されている携帯端末識別情報を記憶部6から抽出して、その携帯端末識別情報によって特定される携帯端末20を呼び出すとともに呼び出した携帯端末20との間で通話を行うようにしている。
【0029】
これにより、監視カメラ1で撮影された画像を選択するだけで、その画像に映っている医療従事者が携行する携帯端末20を呼び出して通話を行うことができ、通話が携帯端末20にて行われるので、携帯端末20から出力される音声が周囲に聴こえる可能性が低くなり、周囲に居る患者に通話内容をできるだけ聞かせないようにすることができる。
【0030】
なお、前述した実施形態では、選択操作部7は表示部5に表示されている画像を選択しているが、これに限定されない。例えば、表示部5に表示されている画像中の人物を選択することができるようにしても良い。これにより、画像中に複数の人物が存在する場合でも、医療従事者は所望の医療従事者を呼び出すことができるようになる。
【0031】
また、前述した実施形態では、監視装置2はナースステーションに設置されているが、これに限定されない。監視装置2をナースステーション以外の場所に設置するようにしても良いし、監視装置2を携帯可能としても良い。なお、監視装置2を携帯端末20に内蔵できるようにしても良い。
【0032】
その他、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその精神、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0033】
1 監視カメラ
2 監視装置
3 制御部
4 インターフェース
5 表示部
6 記憶部
7 選択操作部
8 判定部
9 通話部
10 無線装置
20 携帯端末
21 携帯端末制御部
22 無線送受信部
23 報知部
24 応答操作部
25 携帯端末通話部