(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146786
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】単一無線周波数のダブルストリーム送信装置、使用方法およびアンテナシステム
(51)【国際特許分類】
H01Q 3/46 20060101AFI20170607BHJP
H01Q 3/26 20060101ALI20170607BHJP
H04J 99/00 20090101ALI20170607BHJP
H04B 7/04 20170101ALN20170607BHJP
【FI】
H01Q3/46
H01Q3/26 Z
H04J15/00
!H04B7/04
【請求項の数】12
【全頁数】44
(21)【出願番号】特願2015-548179(P2015-548179)
(86)(22)【出願日】2013年12月20日
(65)【公表番号】特表2016-503259(P2016-503259A)
(43)【公表日】2016年2月1日
(86)【国際出願番号】CN2013090109
(87)【国際公開番号】WO2014094654
(87)【国際公開日】20140626
【審査請求日】2015年7月30日
(31)【優先権主張番号】201210558427.4
(32)【優先日】2012年12月20日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】504277388
【氏名又は名称】▲ホア▼▲ウェイ▼技術有限公司
【氏名又は名称原語表記】HUAWEI TECHNOLOGIES CO.,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100146835
【弁理士】
【氏名又は名称】佐伯 義文
(74)【代理人】
【識別番号】100140534
【弁理士】
【氏名又は名称】木内 敬二
(72)【発明者】
【氏名】▲盧▼ ▲偉▼山
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 涛
【審査官】
米倉 秀明
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−221523(JP,A)
【文献】
特開2006−238225(JP,A)
【文献】
O.N.Alrabadi,A universal encoding scheme for MIMO transmission using a single active element for PSK modulation schemes,IEEE transaction on Wireless Communications,米国,2009年,Vol.8, No.10,pp5133-5142
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 3/46
H01Q 3/26
H04J 99/00
H04B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単一無線周波数のダブルストリーム送信装置であって、
無線周波数リンクと、リアクタンス制御回路と、寄生リアクタと、アクティブアンテナと、2より大きな偶数であるM個の寄生アンテナとを備えており、
前記無線周波数リンクは、無線周波数信号を生成するように構成され、
前記アクティブアンテナは前記無線周波数リンクと接続され、前記寄生アンテナはそれぞれが前記寄生リアクタと接続され、それぞれの寄生アンテナから前記アクティブアンテナへの距離は同じであり、隣接する寄生アンテナの間のラジアンは
【数1】
度であり、
前記アクティブアンテナに関して鏡面対称であるいずれか一対の寄生アンテナのリアクタンス値が異なり、前記アクティブアンテナに関して鏡面対称である残りの対の寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、前記リアクタンス制御回路は、前記寄生リアクタを調節するように構成されている、装置。
【請求項2】
データストリームs
1が、送信のために、前記無線周波数
リンクを通じて前記アクティブアンテナ上にロードされ、
前記リアクタンス制御回路は、
【数2】
を実現可能とするため、前記アクティブアンテナに関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナの前記リアクタンス値が異なり、前記残りの寄生アンテナの前記リアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、データストリームs
2およびs
1の2つの経路の入力に従って前記それぞれの寄生アンテナの前記リアクタンス値を調節し、R
iは調節係数を表し、パラメータr
iは、基底関数B
0(θ)およびB
i(θ)の2つの経路の電力が等しいこと、すなわち
【数3】
が成立することを保証するために用いられ、P(B
0(θ))は基底関数B
0(θ)の電力を表し、P(B
i(θ))は基底関数B
i(θ)の電力を表し、B
0(θ)およびB
i(θ)は前記アンテナの遠電磁場(far fields)に対して展開された直交波形基底関数の2つの経路をそれぞれ表す、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記リアクタンス制御回路は、更に、前記アクティブアンテナに関して鏡面対称であるすべての対の寄生アンテナに対して、
【数4】
のように設定するステップであって、jX
iおよび
【数5】
は、それぞれ、前記アクティブアンテナに関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナのリアクタンスを表し、L1およびL2は等しくないように設定されているリアクタンス値を表し、鏡面対称である前記残りの寄生アンテナに対応する前記リアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、i番目の指向性図のパイロット情報であるp
i(n)を受信端に送るために
【数6】
が成立する、ステップと、次に、
【数7】
のように設定するステップであって、鏡面対称である前記残りの寄生アンテナに対応する前記リアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、前記i番目のミラー指向性図のパイロット情報である
【数8】
を受信端に送るために
【数9】
が成立する、ステップと、であるポーリング動作を実行するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記受信端によってフィードバックされた最大チャネル容量の指向性図指数i
*を受信するように構成された受信装置を更に備えており、前記指向性図指数i
*は、それぞれの指向性
図iとその鏡像とのチャネル情報を、前記受信端によって受信されたp
i(n)および
【数10】
に従って推定するステップと、前記それぞれの指向性
図iと前記その鏡像とに対応する2つの基底関数のチャネル情報を計算し、前記それぞれの指向性
図iのチャネル容量を取得して最適なチャネル容量の指向性図指数i
*を取得するステップとによって、取得され、前記p
i(n)は、i番目の指向性
図iのパイロット情報を表し、
【数11】
はi番目のミラー指向性図の前記パイロット情報を表す、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記リアクタンス制御回路は、更に、
【数12】
および
【数13】
を、
【数14】
を実現可能とするために、前記受信端と入力データs
1およびs
2の前記2つの経路とからの最大チャネル容量の前記指向性図指数i
*に従って調節するように構成されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
単一無線周波数のダブルストリーム送信装置の使用方法であって、
無線周波数リンクと接続されたアクティブアンテナと、無線周波数リンクと、リアクタンス制御回路と、寄生リアクタと、アクティブアンテナと、2より大きな偶数であるM個の寄生アンテナとを備えている前記単一無線周波数のダブルストリーム送信装置を取得するステップであって、前記アクティブアンテナは前記無線周波数リンクと接続され、前記寄生アンテナはそれぞれが前記寄生リアクタと接続され、それぞれの寄生アンテナから前記アクティブアンテナへの距離は同じであり、隣接する寄生アンテナの間のラジアンは
【数15】
度である、ステップ(701)と、
前記アクティブアンテナに関して鏡面対称であるいずれか一対の寄生アンテナのリアクタンス値が異なり、前記アクティブアンテナに関して鏡面対称である残りの対の寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、前記寄生リアクタを、前記リアクタンス制御回路を通じて調節するステップ(702)と、
を含む方法。
【請求項7】
データストリームs
1を、送信のために、前記無線周波数
リンクを通じて前記アクティブアンテナ上にロードするステップと、
【数16】
を実現可能とするため、前記アクティブアンテナに関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナの前記リアクタンス値が異なり、残りの寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、データストリームs
2およびs
1の2つの経路の入力に従って、前記寄生アンテナのリアクタンス値を、前記リアクタンス制御回路を通じて調節するステップであって、R
iは調節係数を表し、パラメータr
iは、基底関数B
0(θ)およびB
i(θ)の2つの経路の電力が等しいこと、すなわち
【数17】
が成立することを保証するために用いられ、P(B
0(θ))は基底関数B
0(θ)の電力を表し、P(B
i(θ))は基底関数B
i(θ)の電力を表し、B
0(θ)およびB
i(θ)は前記アンテナの遠電磁場に対して展開された直交波形基底関数の2つの経路をそれぞれ表す、ステップと、
を更に含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記リアクタンス制御回路を用いることにより、前記アクティブアンテナに関して鏡面対称であるすべての対の寄生アンテナに対してポーリング動作を実行するステップ、すなわち、
【数18】
のように設定するステップであって、jX
iおよび
【数19】
は、それぞれ、送信端に関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナのリアクタンスを表し、L1およびL2は等しくないように設定されているリアクタンス値を表し、鏡面対称である残りの寄生アンテナに対応するリアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、i番目の指向性
図iのパイロット情報であるp
i(n)を受信端に送るために
【数20】
が成立する、ステップと、次に、
【数21】
のように設定するステップであって、鏡面対称である前記残りの寄生アンテナに対応する前記リアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、i番目のミラー指向性図のパイロット情報である
【数22】
を受信端に送るために
【数23】
が成立する、ステップとを実行するステップを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記受信端によってフィードバックされた最大チャネル容量の指向性図指数i
*を、受信装置を経由して受信するステップを更に含んでおり、前記指向性図指数i
*は、それぞれの指向性
図iとその鏡像とのチャネル情報を、前記受信端によって受信されたp
i(n)および
【数24】
に従って推定するステップと、前記それぞれの指向性
図iと前記その鏡像とに対応する2つの基底関数のチャネル情報を計算し、前記それぞれの指向性
図iのチャネル容量を取得して、最適なチャネル容量の指向性図指数i
*を取得するステップとによって、取得され、p
i(n)は、前記i番目の指向性
図iのパイロット情報を表し、
【数25】
は前記i番目のミラー指向性図のパイロット情報を表す、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記リアクタンス制御回路により、
【数26】
および
【数27】
を、
【数28】
を実現可能とするために、前記受信端と入力データs
1およびs
2の前記2つの経路とからの前記最大チャネル容量の前記指向性図指数i
*に従って調節するステップを更に含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
受信端(801)と送信端(802)とを備えており、前記送信端は請求項1から5のいずれか一項に記載の単一無線周波数のダブルストリーム送信装置である単一無線周波数のダブルストリーム送信のアンテナシステムであって、
前記受信端(801)は、2つのアクティブアンテナを少なくとも備えており、前記アクティブアンテナは前記無線周波数リンクと接続されている、アンテナシステム。
【請求項12】
前記送信端(802)が請求項5に記載された単一無線周波数のダブルストリーム送信装置である場合には、
前記受信端(801)が、それぞれの指向性
図iとその鏡像とのチャネル情報を、前記送信端から受信されたp
i(n)および
【数29】
に従って推定し、前記それぞれの指向性
図iと前記その鏡像とに対応する2つの基底関数のチャネル情報を計算し、前記指向性
図iのチャネル容量を取得して、最適なチャネル容量の指向性図指数i
*を取得するように構成されており、p
i(n)は、i番目の指向性
図iのパイロット情報を表し、
【数30】
はi番目のミラー指向性図のパイロット情報を表す、請求項11に記載のアンテナシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信の技術分野に関し、詳しくは、単一無線周波数のダブルストリーム送信装置、使用方法およびアンテナシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
MIMO(マルチ入力およびマルチ出力)技術を採用することにより、追加的な空間的自由度を生じさせて、システム容量を指数関数的に増加させることが可能である。理論および実践によると、送信および受信アンテナの個数を線形的に増加させることにより、MIMOシステム容量もまた線形的に増加し、よって、周波数スペクトルの利用効率が著しく向上する。従って、MIMO技術は、例えば、Wi-Fi(Wireless Fidelity)、WCDMA(登録商標)(Wideband Code Division Multiple Access)、LTE(long Term Evolution)などの既存のワイヤレス通信システムにおいて、広く用いられてきている。
【0003】
しかし、従来型のMIMO技術の場合、異なるデータストリームを異なるアンテナ上で送信するために、それぞれのアンテナが1つのRF(無線周波数)リンクを必要とすることが必須であり、コストは比較的高い。他方で、ワイヤレスチャネルの独立したフェージング特性(すなわち、チャネル行列がよい状態であること)を保証するためには、送信アンテナの間の波長が、最小で0.5波長であることが保証されなければならない。しかし、サイズに敏感ないくつかのデバイス(例えば、ミニチュア端末)の場合には、従来型のMIMO技術の適用範囲は、限定されている。コストおよびサイズの問題を解決するために、ある技術者が、通常はSingle RF MIMO(単一無線周波数MIMO)技術と称される、ESPAR(Electronically Steerable Parasitic Array Radiator)アンテナに基づいた新たなMIMO技術を提案している。このESPARアンテナは、以下の特徴を含む。すなわち、第1に、1つのアクティブアンテナと複数の寄生アンテナとから構成されており、ただ1つのRFリンクが必要とされることで、コストが低くなり、構造も単純になる。第2に、1つのデータストリームがアクティブアンテナ上で送信され、残りのデータストリームは寄生アンテナとアクティブアンテナとの結合された電磁場によって送信されるために、複数のデータストリームを同時に送信され得る。第3に、複数のアンテナの間の距離が1/2波長よりも小さい場合であっても、チャネルのよい独立のフェージング特性が依然として保証されるために、空間的に小型のデバイスにも適している。一般的に、単一RFのMIMO技術は、上で述べたMIMO技術の2つの適用上の短所を効果的に回避する。
【0004】
ESPARアンテナはM+1個のユニットから構成され、1つのユニットはアクティブアンテナでありRFリンクと接続されており、残りのM個のユニットは寄生アンテナアレイを形成しそれぞれが制御された負荷と接続されている。既存の単一RFのMIMO技術について、例として、3つのユニットを備えたESPARアンテナと共に、以下で簡単に説明される。
【0005】
図1に示されているように、3つのユニットを備えたESPARアンテナにおいては、中央にあり黒色に塗られている円筒型のアンテナがアクティブアンテナであり、RFリンクと接続されており、残りの2つのアンテナは寄生アンテナであって、寄生リアクタと接続されている。なお、ここで、寄生リアクタンスの値は、制御回路によって制御される。アクティブアンテナとそれぞれの寄生アンテナとの間の距離をdと仮定し、データストリームs
1が、送信のために、RFリンクを経由してアクティブアンテナにロードされる。他方で、データストリームs
2の別の経路が、アクティブアンテナとそれぞれの寄生アンテナとの間の相互結合電磁場を調節するために、s
1と結合された制御回路を経由して、寄生アンテナのリアクタンス値を調節するのに用いられ、最終的に、データストリームs
2が送信される。送信指向性
図G(θ)は、次のようにモデル化され得る。
G(θ) = g
isol(θ)*AF
= g
isol(θ)*a(θ)*i
= g
isol(θ)*[1e
-jkdcos(θ-0)e
-jkdcos(θ-π)][I
0I
1I
2]
T
= g
isol(θ)*[1e
-jkdcos(θ)e
jkdcos(θ)][I
0I
1I
2]
T
【0006】
上述の数式において、g
isol(θ)は、アンテナが1つだけ存在するときの送信指向性図を表す。更に、
AFは、アンテナのアレイファクタを表し、
k=2π/λにおいて、λは、波長を表し、
dは、アクティブアンテナと寄生アンテナとの間の間隔を表し、
θは、放射の放出角度を表し、
I
0,I
1,I
2は、順に、3つのアンテナの電流を表す。
【0007】
オイラーの公式を用いて展開すると、
【0008】
【数1】
【0009】
が得られる。この数式において、散乱体が十分であり、c≒0.9612として
【0010】
【数2】
【0011】
であり、B
0(θ)⊥B
1(θ)であるときには、
【0012】
【数3】
【0013】
が成立する。従って、アレイファクタAFを、斜方晶的な基底関数B
0(θ)およびB
1(θ)の2つの経路の線形結合として表すことができ、アレイファクタAFは、更に、
【0014】
【数4】
【0015】
のように簡略化され得る。ここで、
【0016】
【数5】
【0017】
は、送信されたデータストリームの第1の経路を表し、I
0を調節することによって、変調される。係数1は、
【0018】
【数6】
【0019】
のように調節され、
【0020】
【数7】
【0021】
および
【0022】
【数8】
【0023】
の値は、jX
1およびjX
2を制御することによって制御され、
【0024】
【数9】
【0025】
が成立する。パラメータrは、基底関数の電力を平衡させるために用いられ、r=3.67であるときには、P(B
0(θ))=r
2(B
1(θ))である。よって、AF=s
1B
0(θ)+rs
2B
1(θ)である。
他方で、
【0026】
【数10】
【0027】
および
【0028】
【数11】
【0029】
は、次の方法によって計算され得る。
V
0=I
0Z
00+I
1Z
01+I
2Z
02
-jI
1X
1=I
0Z
10+I
1Z
11+I
2Z
12 (1)
-jI
1X
2=I
0Z
20+I
1Z
21+I
2Z
22
これらの数式を(1)と称するが、(1)において、i=0,1,2として、Z
iiは、3つのアンテナの自己インピーダンスを表す。i≠jとして、Z
ijは、アンテナiとアンテナjとの相互インピーダンスを表す。ここで、
【0030】
【数12】
【0031】
が、式(1)から得られる。
【0032】
式(2)および式(3)から分かるようにs
2/s
1が、s
1およびs
2の入力に従って得られ、jX
1およびjX
2が、
【0033】
【数13】
【0034】
および
【0035】
【数14】
【0036】
を変更するように調節されて、
【0037】
【数15】
【0038】
が得られる。従って、2つのデータストリームが、同時に送信される。
【0039】
BPSK(バイナリ位相シフトキーイング)変調
s
2およびs
1が集合{-1,1}において選択されるため、それらの比であるs
2/s
1は集合{-1,1}において選択される。jX
1およびjX
2が、それぞれ、-100jから-0.4jまで変化し、最小ステップのサイズが-0.2jであり、r=3.67であるときに振幅偏位が
【0040】
【数16】
【0041】
を満たし、角度偏位が
【0042】
【数17】
【0043】
を満たすと仮定される場合に、網羅的サーチが停止すると、表1に示されている対応する寄生リアクタンス結合値が出力される(注意:網羅的サーチは1回だけ実行されるが、その理由は、このサーチがチャネル性能と無関係であるからである)。
【0044】
【表1】
【0045】
QPSK(直交位相シフトキーイング)
s
2およびs
1が集合{1+j,-1+j,-1-j,-1+j}において選択されるため、それらの比であるs
2/s
1は集合{1,-1,j,-j}において選択される。jX
1およびjX
2が、それぞれ、-100jから-0.4jまで変化し、最小ステップのサイズが-0.2jであり、r=3.67であるときに振幅偏位が
【0046】
【数18】
【0047】
を満たし、角度偏位が
【0048】
【数19】
【0049】
を満たすと仮定される場合に、網羅的サーチが停止すると、表2に示されている対応する寄生リアクタンス結合値が出力される。
【0050】
【表2】
【0051】
16QAM変調(16個のシンボルの直交振幅変調)
図2(a)、
図2(b)および
図3を参照すると、s
1またはs
2のコンステレーション点が
図2(a)で選択され、それに対応して、s
2/s
1の52個のコンステレーション点が、
図2(b)に示され得る。jX
1およびjX
2が、それぞれ、-100jから-0.4jまで変化し、最小ステップのサイズが-0.2jであり、r=3.67であるときに振幅偏位が
【0052】
【数20】
【0053】
を満たし、角度偏位が
【0054】
【数21】
【0055】
を満たすと仮定される場合に、網羅的サーチが停止すると、
図3に示されているように、R
1/3.67のコンステレーション点が得られる。この図から理解されることであるが、振幅偏位と角度偏位とをそれぞれ満足する対応の寄生リアクタンスの組合せを発見することができない点が8つ存在する。たとえr=2.5である場合でも、この時点では、基底関数の電力配分は、P(B
0(θ))>r
2P(B
1(θ))であって、著しく異なっている。そして、この時点では、4つのコンステレーション点の対応する寄生リアクタンスの組合せを発見することができなかったということが、シミュレーションから依然として見いだされ得る。
図2(b)では、横方向および縦方向の分布は、同相成分(同相)および直交成分(直交)である。
図2(a)、
図2(b)、
図3、
図5および
図6では、三角形はR
1/3.67のコンステレーション点であり、アステリスクはs
2/s
1のコンステレーション点であり、これらは、以下の実施形態では、繰り返し図解されることはない。以上の解析から理解できるのは、開ループ単一RFのMIMO送信プロセスでは、同じ電力が基底関数に対して配分されるときに、システム容量が最適であるということである。従って、単一RFのMIMOの(例えば、16QAM変調のような)高次の変調において、52個のコンステレーション点に対応する寄生リアクタンスの組合せを見つけるためには、第1の基底関数に配分される電力は、第2の基底関数の電力よりもはるかに大きく、それによって、システム容量が大きく低下する。同様の解析が、16PSK変調でも存在する。従来技術においては、単一RFのMIMOの高次変調をサポートできなかった。文献においては、3つのソリューションが提案されているが、様々な問題が依然として存在する。第1に、調節可能な負の抵抗値が導入されるが、これは、システムの安定性を破壊する。第2に、調節可能な正の抵抗値が導入されるが、これは、システムの電力の一部を散逸させる。第3に、事前符号化が導入されるが、これは、送信機または受信機の計算上の負担を悪化させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0056】
本発明の実施形態は、単一無線周波数のダブルストリーム送信装置、使用方法およびアンテナシステムを提供するが、これらは、ダブルストリーム多重化により単一RFのMIMOの高次変調を達成するために用いられる。
【課題を解決するための手段】
【0057】
ある態様では、本発明の実施形態は、単一無線周波数のダブルストリーム送信装置であって、
無線周波数リンクと、リアクタンス制御回路と、寄生リアクタと、アクティブアンテナと、2より大きな偶数であるM個の寄生アンテナとを含み、
無線周波数リンクは、無線周波数信号を生成するように構成され、
アクティブアンテナは無線周波数リンクと接続され、寄生アンテナはそれぞれが寄生リアクタと接続され、それぞれの寄生アンテナからアクティブアンテナへの距離は同じであり、隣接する寄生アンテナの間のラジアンは
【0058】
【数22】
【0059】
度であり、
アクティブアンテナに関して鏡面対称であるいずれか一対の寄生アンテナのリアクタンス値が異なり、アクティブアンテナに関して鏡面対称である残りの対の寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、寄生リアクタは、リアクタンス制御回路によって調節可能である、装置を提供する。
【0060】
第1の可能な実装方式では、データストリームs
1が、送信のために、無線周波数回路を通じてアクティブアンテナ上にロードされ、
リアクタンス制御回路は、
【0061】
【数23】
【0062】
を実現可能とするため、アクティブアンテナに関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナのリアクタンス値が異なり、残りの寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、データストリームs
2およびs
1の2つの経路の入力に従って、それぞれの寄生アンテナのリアクタンス値を調節する。ここで、R
iは調節係数を表し、パラメータr
iは、基底関数B
0(θ)およびB
i(θ)の2つの経路の電力が等しいこと、すなわち
【0063】
【数24】
【0064】
が成立することを保証するために用いられ、P(B
0(θ))は基底関数B
0(θ)の電力を表し、P(B
i(θ))は基底関数B
i(θ)の電力を表し、B
0(θ)およびB
i(θ)はアンテナの遠電磁場に対して展開された直交波形基底関数の2つの経路をそれぞれ表す。
【0065】
第1の態様の第1の可能な実装方式との組合せにおいては、第2の可能な実装方式では、リアクタンス制御回路は、更に、アクティブアンテナに関して鏡面対称であるすべての寄生アンテナに対して、jX
i=L1および
【0066】
【数25】
【0067】
のように設定するステップであって、jX
iおよび
【0068】
【数26】
【0069】
は、それぞれ、アクティブアンテナに関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナのリアクタンス値を表し、L1およびL2は等しくないように設定されているリアクタンス値を表し、鏡面対称である残りの寄生アンテナに対応するリアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、i番目の指向性
図iのパイロット情報であるp
i(n)を受信端に送るために
【0070】
【数27】
【0071】
が成立する、ステップと、次に、jX
i=L2および
【0072】
【数28】
【0073】
のように設定するステップであって、鏡面対称である残りの寄生アンテナに対応するリアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、i番目の指向性図のパイロット情報であるp
i(n)を受信端に送るために
【0074】
【数29】
【0075】
が成立する、ステップと、であるポーリング動作を実行するように構成されている。
【0076】
第1の態様の第2の可能な実装方式との組合せにおいては、第3の可能な実装方式では、受信装置が、受信端によってフィードバックされた最大チャネル容量の指向性図指数i
*を受信するように構成されており、指向性図指数i
*は、それぞれの指向性
図iとその鏡像とのチャネル情報を、受信端によって受信されたp
i(n)および
【0077】
【数30】
【0078】
に従って推定するステップと、それぞれの指向性
図iとその鏡像とに対応する2つの基底関数のチャネル情報を計算し、それぞれの指向性
図iのチャネル容量を取得して、最適なチャネル容量の指向性図指数i
*を取得するステップと、によって取得される。ここで、p
i(n)は、i番目の指向性
図iのパイロット情報を表し、
【0079】
【数31】
【0080】
はi番目のミラー指向性図のパイロット情報を表す。
【0081】
第1の態様の第3の可能な実装方式との組合せにおいて、第4の可能な実装方式では、リアクタンス制御回路は、更に、
【0082】
【数32】
【0083】
および
【0084】
【数33】
【0085】
を、
【0086】
【数34】
【0087】
を実現可能とするために、受信端と入力データs
1およびs
2の2つの経路とからの最大チャネル容量の指向性図指数i
*に従って調節するように構成されている。
【0088】
第2の態様では、本発明の実施形態は、単一無線周波数のダブルストリーム送信装置の使用方法であって、
無線周波数リンクと接続されたアクティブアンテナと、無線周波数リンクと、リアクタンス制御回路と、寄生リアクタと、アクティブアンテナと、2より大きな偶数であるM個の寄生アンテナとを含む単一無線周波数のダブルストリーム送信装置を取得するステップであって、アクティブアンテナは無線周波数リンクと接続され、寄生アンテナはそれぞれが寄生リアクタと接続され、それぞれの寄生アンテナからアクティブアンテナへの距離は同じであり、隣接する寄生アンテナの間のラジアンは
【0089】
【数35】
【0090】
度である、ステップと、
アクティブアンテナに関して鏡面対称であるいずれか一対の寄生アンテナのリアクタンス値が異なり、アクティブアンテナに関して鏡面対称である残りの対の寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、寄生リアクタを、リアクタンス制御回路を通じて調節するステップと、を含む適用方法を提供する。
【0091】
第2の態様の実装方式との組合せでは、第1の可能な実装方式において、この方法は、
データストリームs
1を、送信のために、無線周波数回路を通じてアクティブアンテナ上にロードするステップと、
【0092】
【数36】
【0093】
を実現可能とするため、アクティブアンテナに関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナのリアクタンス値が異なり、残りの寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、データストリームs
2およびs
1の2つの経路の入力に従って、寄生アンテナのリアクタンス値を、前記リアクタンス制御回路を通じて調節するステップであって、R
iは調節係数を表し、パラメータr
iは、基底関数B
0(θ)およびB
i(θ)の2つの経路の電力が等しいこと、すなわち
【0094】
【数37】
【0095】
が成立することを保証するために用いられ、P(B
0(θ))は基底関数B
0(θ)の電力を表し、P(B
i(θ))は基底関数B
i(θ)の電力を表し、B
0(θ)およびB
i(θ)はアンテナの遠電磁場に対して展開された直交波形基底関数の2つの経路をそれぞれ表す、ステップと、を更に含む。
【0096】
第2の態様の第1の実装方式との組合せでは、第2の可能な実装方式において、この方法は、
リアクタンス制御回路を用いることにより、アクティブアンテナに関して鏡面対称であるすべての対の寄生アンテナに対してポーリング動作を実行するステップ、すなわち、jX
i=L1および
【0097】
【数38】
【0098】
のように設定するステップであって、jX
iおよび
【0099】
【数39】
【0100】
は、それぞれ、送信端に関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナのリアクタンス値を表し、L1およびL2は等しくないように設定されているリアクタンス値を表し、鏡面対称である残りの寄生アンテナに対応するリアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、i番目の指向性
図iのパイロット情報であるp
i(n)を受信端に送るために
【0101】
【数40】
【0102】
が成立する、ステップと、次に、jX
i=L2および
【0103】
【数41】
【0104】
のように設定するステップであって、鏡面対称である残りの寄生アンテナに対応するリアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、i番目のミラー指向性図のパイロット情報である
【0105】
【数42】
【0106】
を受信端に送るために
【0107】
【数43】
【0108】
が成立する、ステップとを実行するステップを更に含む。
【0109】
第2の態様の第2の実装方式との組合せでは、第3の可能な実装方式において、受信端によってフィードバックされた最大チャネル容量の指向性図指数i
*が、受信装置を経由して受信される。ここで、指向性図指数i
*は、それぞれの指向性
図iとその鏡像とのチャネル情報を、受信端によって受信されたp
i(n)および
【0110】
【数44】
【0111】
に従って推定するステップと、それぞれの指向性
図iとその鏡像とに対応する2つの基底関数のチャネル情報を計算し、それぞれの指向性
図iのチャネル容量を取得して、最適なチャネル容量の指向性図指数i
*を取得するステップとによって、取得される。なお、p
i(n)は、i番目の指向性
図iのパイロット情報を表し、
【0112】
【数45】
【0113】
はi番目のミラー指向性図のパイロット情報を表す。
【0114】
第2の態様の第3の実装方式との組合せでは、第4の可能な実装方式において、リアクタンス制御回路により、
【0115】
【数46】
【0116】
および
【0117】
【数47】
【0118】
が、
【0119】
【数48】
【0120】
とするために、受信端と入力データs
1およびs
2の2つの経路とからの最大チャネル容量の指向性図指数i
*に従って、調節される。
【0121】
第3の態様では、本発明のある実施形態は、受信端と送信端とを備えており、送信端が本発明の実施形態によって提供されるいずれかの単一無線周波数のダブルストリーム送信装置である単一無線周波数のダブルストリーム送信装置のアンテナシステムであって、
受信端が、2つのアクティブアンテナを少なくとも備えており、アクティブアンテナは無線周波数リンクと接続されている、アンテナシステムを提供する。
【0122】
第3の態様の実装方式との組合せでは、第1の可能な実装方式において、送信端が請求項5に記載された単一無線周波数のダブルストリーム送信装置である場合には、
受信端が、それぞれの指向性
図iとその鏡像とのチャネル情報を、送信端から受信されたp
i(n)および
【0123】
【数49】
【0124】
に従って推定し、それぞれの指向性
図iとその鏡像とに対応する基底関数のチャネル情報を計算し、指向性
図iのチャネル容量を取得して、最適なチャネル容量のそれぞれの指向性図指数i
*を取得するように構成されている。ここで、p
i(n)は、i番目の指向性
図iのパイロット情報を表し、
【0125】
【数50】
【0126】
はi番目のミラー指向性図のパイロット情報を表す。
【0127】
上述した技術的ソリューションから理解可能なことであるが、本発明の実施形態は、以下の長所を有する。すなわち、調節可能な寄生リアクタンスの追加的自由度が、ダブルストリーム多重化を達成するために導入され、それによって、単一RFのMIMOの高次の変調が達成されるという長所である。このソリューションでは、負の抵抗値または正の抵抗値が導入される必要がなく、事前符号化も導入される必要がないことにより、高次の変調を達成しながら、システム安定性が保証され、システム電力が節約され、計算上の負担も回避される。
【0128】
本発明の実施形態における技術的ソリューションをより明確に例証するために、実施形態に関する説明において必要とされる添付の図面に関する簡単な紹介が、以下において与えられる。明らかに、添付の図面は、以下の説明における本発明の実施形態の僅かな一部に過ぎず、添付の図面に基づくならば、他の図面も、いかなる創造的な努力も伴うことなく、当業者によって取得され得る。
【図面の簡単な説明】
【0129】
【
図1】3つのユニットを伴うESPARアンテナの構造の概略図である。
【
図2(a)】16QAM変調の間の、s
1およびs
2の概略的なコンステレーション図である。
【
図2(b)】16QAM変調の間の、s
2/s
1の52個のコンステレーション点の概略図である。
【
図3】R
1/3.67のコンステレーション点の概略図である。
【
図4】本発明の実施形態における、5つのユニットを備えたESPARダイポールアレイの構造に関する概略図である。
【
図5】本発明の実施形態における、16QAM変調の間の、R
1/3.67のコンステレーション点の概略図である。
【
図6】本発明の実施形態における、16PSK変調の間の、R
1/3.67のコンステレーション点の概略図である。
【
図7】本発明の実施形態における方法の流れ図である。
【
図8】本発明の実施形態におけるアンテナシステムの構造に関する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0130】
本発明の目的、技術的ソリューションおよび長所を明確にするため、以下では、本発明に関する更に詳細な説明が、添付の図面を参照して、与えられる。明らかに、ここで説明される実施形態は、単に部分的なものであって、本発明の実施形態の全体ではない。本発明のこれらの実施形態に基づいて、当業者によって、いかなる創造的な努力も伴わずに得られる他の実施形態のすべてが、本発明の保護範囲に含まれる。
【0131】
本発明のある実施形態は、
図4に示されている単一無線周波数のダブルストリーム送信装置であって、
無線周波数リンクと、リアクタンス制御回路と、寄生リアクタと、アクティブアンテナ(
図4では、黒色の円筒型ダイポールアンテナ)と、2より大きな偶数であるM個の寄生アンテナ(
図4では、アクティブアンテナを包囲しており、白色の円筒型ダイポールアンテナ)とを含む。無線周波数リンクは、無線周波数信号を生成し得る。ここで注意すべきであるが、
図4に示されているそれぞれのアンテナの物理的形状は単に概略的なものであって、本発明の実施形態に対する限定として理解されるべきではない。また、それぞれのアンテナの物理的形状は、モノポールアンテナ、パッチアンテナなどでもかまわない。
図4では、M=4であるように示されているが、実際には、Mは2よりも大きな偶数であり得るのであって、
図4におけるMの個数の例は、本発明の実施形態に対する限定として理解されるべきではない。本発明の実施形態におけるソリューションの原理に関して、また、
図4を例として考えることによって、どのような理由で対応する技術的努力が達成され得るかに関して、詳細な例証が、以下の実施形態において、与えられる。
【0132】
アクティブアンテナは無線周波数リンクと接続され、寄生アンテナはそれぞれが寄生リアクタと接続され、それぞれの寄生アンテナからアクティブアンテナへの距離は同じであり、隣接する寄生アンテナの間のラジアンは
【0134】
度であり、
アクティブアンテナに関して鏡面対称であるいずれか一対の寄生アンテナのリアクタンス値が異なり、アクティブアンテナに関して鏡面対称である残りの対の寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、寄生リアクタは、リアクタンス制御回路によって調節可能である。
【0135】
上述の実施形態において、調節可能な寄生リアクタンスの追加的自由度が、ダブルストリーム多重化を達成するために導入され、それによって、単一RFのMIMOの高次の変調が達成される。このソリューションでは、負の抵抗値または正の抵抗値が導入される必要がなく、事前符号化も導入される必要がないことにより、高次の変調を達成しながら、システム安定性が保証され、システム電力が節約され、計算上の負担も回避される。上述の努力の実証に関するより詳細な例証が、以下の実施形態に関する例において、与えられる。
【0136】
より詳しくは、上述した装置においては、データストリームs
1が、送信のために、無線周波数信号を生成する無線周波数回路を通じてアクティブアンテナ上にロードされる。
リアクタンス制御回路は、
【0138】
を実現可能とするため、アクティブアンテナに関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナのリアクタンス値が異なり、残りの寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、データストリームs
2およびs
1の2つの経路の入力に従って、それぞれの寄生アンテナのリアクタンス値を調節する。ここで、R
iは調節係数を表し、パラメータr
iは、基底関数B
0(θ)およびB
i(θ)の2つの経路の電力が等しいこと、すなわち
【0140】
が成立することを保証するために用いられ、P(B
0(θ))は基底関数B
0(θ)の電力を表し、P(B
i(θ))は基底関数B
i(θ)の電力を表し、B
0(θ)およびB
i(θ)はアンテナの遠電磁場に対して展開された直交波形基底関数の2つの経路を、それぞれ表す。
【0141】
本発明のある実施形態は、更に、指向性図のダイバーシティ利得を得るために、上述したアンテナの実装方式を、以下のように提供する。
リアクタンス制御回路は、更に、アクティブアンテナに関して鏡面対称であるすべての寄生アンテナに対して、jX
i=L1および
【0143】
のように設定するステップであって、jX
iおよび
【0145】
は、それぞれ、アクティブアンテナに関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナのリアクタンスを表し、L1およびL2は等しくないように設定されているリアクタンス値を表し、鏡面対称である残りの寄生アンテナに対応するリアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、i番目の指向性図のパイロット情報であるp
i(n)を受信端に送るために
【0147】
が成立する、ステップと、次に、jX
i=L2および
【0149】
のように設定するステップであって、鏡面対称である残りの寄生アンテナに対応するリアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、i番目のミラー指向性図のパイロット情報である
【0153】
が成立する、ステップと、であるポーリング動作を実行するように構成されている。
【0154】
更に、上述の装置は、受信端によってフィードバックされた最大チャネル容量の指向性図指数i
*を受信するように構成された受信装置を更に含む。指向性図指数i
*は、それぞれの指向性
図iとその鏡像とのチャネル情報を、受信端によって受信されたp
i(n)および
【0156】
に従って推定するステップと、それぞれの指向性
図iとその鏡像とに対応する2つの基底関数のチャネル情報を計算し、それぞれの指向性
図iのチャネル容量を取得して、最適なチャネル容量の指向性図指数i
*を取得するステップとによって、取得される。ここで、p
i(n)は、i番目の指向性
図iのパイロット情報を表し、
【0158】
はi番目のミラー指向性図のパイロット情報を表す。
【0159】
更に、送信端においてダイバーシティ利得を取得するソリューションは、より詳しくは以下の通りであり得る。
上述したリアクタンス制御回路は、更に、
【0165】
を実現可能とするために、受信端と入力データs
1およびs
2の2つの経路とからの最大チャネル容量の指向性図指数i
*に従って調節するように構成されている。
【0169】
の調節における数学的表現の意味は、次の通りである、すなわち、上述した対の寄生アンテナのリアクタンス値が等しくならないように、i
*に対応する1対の寄生アンテナの寄生リアクタンスである
【0173】
を調節するステップと、上述した他の寄生アンテナにおいてアクティブアンテナに関して鏡面対称である寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、i
*に対応する1対の寄生アンテナ以外の他の寄生アンテナのリアクタンスを調節するステップとを含む。本発明の実施形態におけるソリューションの原理に関して、また、
図4を例として考えることによって、どのような理由で対応する技術的努力が達成され得るかに関して、詳細な例証が、以下の実施形態において、与えられる。
【0174】
図4に示されているように、それは、5つのユニットを備えたESPARダイポールアレイであり、1つのアクティブアンテナと4つの寄生アンテナとを含んでおり、寄生アンテナは、それぞれが対応する寄生リアクタjX
1〜jX
4と接続され、それぞれの寄生アンテナとアクティブアンテナとの間の距離はdであり、隣接する寄生アンテナの隣接するラジアンは90度である。5つのユニットを備えたESPARアンテナは、同時に3つのデータストリームを送信し得るが、従来技術における3つのユニットを備えたESPARアンテナと同じ問題、すなわち、基底関数の電力を均衡させられないという問題を有する。しかし、2つのデータストリームを送信するために用いられる場合には、5つのユニットを備えたESPARアンテナは、基底関数の電力を均衡させ得るだけでなく、リアクタンスの調整可能な範囲を縮小させることができるため、リアクタンス制御回路の複雑性を低下させる。特定の解析は、次の通りであり、5つのユニットを備えたESPARアンテナの送信マスタ図面G(θ)は、
【0176】
のように表現され得る。ここで、g
isol(θ)は、ただ1つのアンテナが存在するときの送信指向性図を表し、更に、
AFは、アンテナのアレイファクタを表し、
k=2π/λにおいて、λは、波長を表し、
dは、アクティブアンテナと寄生アンテナとの間の間隔を表し、
θは、放射の放出角度を表し、
I
0はアクティブアンテナの電流を表し、I
1,I
2,I
3,I
4は、それぞれ、寄生アンテナの電流を表す。
【0177】
このアレイファクタは、オイラーの公式を用いて更に展開することにより、
【0181】
であり、B
2(θ)=sin(kdsin(θ))である。
【0182】
散乱体が十分であるときには、c≒0.9612とすると、B
0(θ)⊥B
1(θ)⊥B
2(θ)であるときには、
【0184】
が成立する。従って、アレイファクタは、
【0186】
のように表現することができる。なお、式(4)では、データの第1の経路を送信するために、
【0188】
が用いられる。係数1は、データの第2の経路を送信するために、
【0190】
のように調節される。係数2は、データの第3の経路を送信するために、
【0192】
のように調節される。パラメータr
1およびr
2は、基底関数の第1の経路と、基底関数の第2の経路と、基底関数の第3の経路との電力を均衡させるために用いられる。
【0194】
をどのようにして解くかは、次に示す。
V
0=I
0Z
00+I
1Z
01+I
2Z
02+I
3Z
03+I
4Z
04
-jI
1X
1=I
0Z
10+I
1Z
11+I
2Z
12+I
3Z
13+I
4Z
14
-jI
2X
2=I
0Z
20+I
1Z
21+I
2Z
22+I
3Z
23+I
4Z
24
-jI
3X
3=I
0Z
30+I
1Z
31+I
2Z
32+I
3Z
33+I
4Z
34
-jI
4X
4=I
0Z
40+I
1Z
41+I
2Z
42+I
3Z
43+I
4Z
44
ここで、i=0,1,2,3,4として、Z
iiは、アンテナの自己インピーダンスを表す。i≠jとして、Z
ijは、アンテナiとアンテナjとの相互インピーダンスを表す。よって、次の
【0197】
上述したように、5つのユニットを備えたESPARアンテナが3つのデータストリームを送信するのに用いられる場合には、電力の均衡を保証することができなかった。しかし、2つのデータストリームを送信するのに用いられる場合には、5つのユニットを備えたESPARアンテナは、電力の均衡を保証する条件の下で高次の変調を達成するために、追加的な自由度を提供し得るだけでなく、リアクタンス制御回路の複雑性も低減させることができる。jX
3=jX
4が保証されるときには、I
3/I
0=I
4/I
0という関係が成立し得ることを、式(5)から導くことが可能である。そして、この関係を数式(4)に代入することにより、
【0200】
以上の数式によると、5つのユニットを備えたESPARアンテナは、2つのデータストリームを同時に送信するのに用いられ得る。r
1=3.67であるときには、基底関数の2つの経路の電力配分は同じ、すなわち、
【0202】
である。要約すると、この方法では、第3のデータストリームを除外するために、jX
3=jX
4が保証され、jX
1,jX
2およびjX
3=jX
4を調節することによって、I
1/I
0,I
2/I
0,I
3/I
0=I
4/I
0が調節されて、
【0204】
およびR
2=0が得られる。第2のデータストリームを除外するために、同じ解析によってjX
1=jX
2を取得することができ、jX
3,jX
4およびjX
1=jX
2を調節することによって、I
3/I
0,I
4/I
0,I
1/I
0=I
2/I
0が調節され、R
1=0および
【0206】
が得られる。次に、いくつかのタイプの変調の達成について、例証が与えられる。
【0207】
1. 16QAM変調:
jX
1、jX
2、jX
3=jX
4がそれぞれ-100jから-1jまで変化し、最小ステップのサイズが-1jであると仮定される。ここで、r=3.67であるときに、振幅偏位が
【0211】
を満足する場合には、網羅的サーチは停止して、
図5に示されているように、R
1/3.67のコンステレーション点を得る。
図5から理解できるように、これらのコンステレーション点は、基本的に、s
2/s
1と一致する。
【0212】
2.16PSK変調:
16PSK変調では、変化したパラメータは、単に、信号の位相であり、よって、s
1またはs
2のコンステレーション点は、実際には、s
2/s
1のコンステレーション点である。jX
1、jX
2、jX
3=jX
4がそれぞれ-100jから-1jまで変化し、最小ステップのサイズが-1jであると仮定される。ここで、r=3.67であるときに、振幅偏位が
【0216】
を満足する場合には、網羅的サーチは停止して、
図6に示されているように、R
1/3.67のコンステレーション点を得る。
図6から理解できるように、これらのコンステレーション点は、基本的に、s
2/s
1と一致する。
【0217】
jX
1、jX
2およびjX
3=jX
4がそれぞれ-50jから-0.5jまで変化し、最小ステップのサイズが-0.5jであると設定される。振幅偏位条件と位相偏位条件とは依然として満たされ得るので、3つのユニットを備えた従来型のESPARアレイと比較すると、それぞれのリアクタンス値の調節可能な範囲は、半分の大きさであり得る。以上をまとめると、本発明の実施形態におけるソリューションは、回路設計の複雑性を効果的に低下させるように、用いられ得る。
【0218】
5つのユニットを備えた先行するESPARダイポールアレイの解析から、データストリームの2つの経路は、共に、jX
1、jX
2およびjX
3=jX
4を調整することによって、そして、jX
3、jX
4およびjX
1=jX
2を調整することによって、送信され得る。送信アンテナとその鏡像との指向性図は、アクティブアンテナに関して鏡面対称である一対の寄生アンテナのリアクタンス値が等しくなくて、アクティブアンテナに関して鏡面対称である残りの寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しいということが保証される場合には、変更され得る。jX
1、jX
2およびjX
3=jX
4が調節される場合には、指向性
図1とその鏡像とを得ることができる。それに対応してjX
3、jX
4およびjX
1=jX
2が調整される場合には、指向性
図2とその鏡像とを得ることができる。本発明は、更に、指向性図ダイバーシティ利得を得るためには、どのようにして送信のための指向性図を選択すべきかに関する実施形態を更に提供する。その詳細は、以下の通りである。
【0219】
1. チャネル推定段
5つのユニットを備えたESPARダイポールアレイの場合には、パイロットシーケンスは、4つのブロックに分割される。すなわち、第1および第2のブロックは、指向性
図1のチャネル推定において用いられ、第3および第4のブロックは、指向性
図2のチャネル推定において用いられる。従って、
第1のブロック:送信端が、BPSKデータを送信するためにjX
1=L1、jX
2=L2およびjX
3=jX
4=L3を調節して、R
1=r
1s
2/s
1=r
1を得る。受信端の第1のアンテナは、指向性
図1のチャネル値である
【0221】
を得るために、推定を行う。
第2のブロック:送信端が、BPSKデータを送信するためにjX
1=L2、jX
2=L1およびjX
3=jX
4=L3を調節して、R
1=r
1s
2/s
1=-r
1を得る。受信端の第1のアンテナは、指向性
図1のチャネル値である
【0223】
を得るために、推定を行う。
第3のブロック:送信端が、BPSKデータを送信するためにjX
3=L1、jX
4=L2およびjX
1=jX
2=L3を調節して、R
2=r
2s
2/s
1=r
2を得る。受信端の第1のアンテナは、指向性
図2のチャネル値である
【0225】
を得るために、推定を行う。
第4のブロック:送信端が、BPSKデータを送信するためにjX
3=L2、jX
4=L1およびjX
1=jX
2=L3を調節して、R
2=r
2s
2/s
1=-r
2を得る。受信端の第1のアンテナは、指向性
図2のチャネル値である
【0227】
を得るために、推定を行う。
2つの受信アンテナが受信端に設置されると仮定されると、第2の受信アンテナに対して、
【0232】
2. 基底関数のチャネル応答計算
第1の受信アンテナが指向性
図1とその鏡像とを受信するとき、2つの基底関数B
0(θ)およびB
1(θ)のチャネル応答がそれぞれ
【0236】
であると設定されると、次式によって計算される。
【0238】
第2の受信アンテナが指向性
図1とその鏡像とを受信するとき、2つの基底関数B
0(θ)およびB
1(θ)のチャネル応答がそれぞれ
【0242】
であると設定されると、次式によって計算される。
【0244】
第1の受信アンテナが指向性
図2とその鏡像とを受信するとき、2つの基底関数B
0(θ)およびB
1(θ)のチャネル応答がそれぞれ
【0248】
であると設定されると、次式によって計算される。
【0250】
第2の受信アンテナが指向性
図2とその鏡像とを受信するとき、2つの基底関数B
0(θ)およびB
1(θ)のチャネル応答がそれぞれ
【0254】
であると設定されると、次式によって計算される。
【0256】
3.チャネル容量の計算
指向性
図1とその鏡像とに従って、受信端は、
【0258】
の2x2のMIMOアレイを取得し、指向性
図2とその鏡像とに従って、受信端は、
【0260】
の2x2のMIMOアレイを取得する。
【0261】
それぞれの指向性図とその鏡像とのチャネル容量は、P
totalを全放射電力、σ
2をノイズ電力とすると、
【0263】
であるシャノンの方程式に従って取得され得る。
【0264】
上述したソリューションは、次のように要約され得る。
送信端が、jX
i=L1および
【0266】
のように設定する。ここで、jX
iおよび
【0268】
は、それぞれ、送信端の鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナのリアクタンスを表し、L1およびL2は等しくないように設定されているリアクタンス値を表し、鏡面対称である残りの寄生アンテナに対応するリアクタンス値はそれぞれ等しい。i番目の指向性
図iのパイロット情報であるp
i(n)が、
【0270】
を得るために、受信端に送られる。次に、
【0272】
のように設定される。鏡面対称である残りの寄生アンテナに対応するリアクタンス値はそれぞれ等しく、i番目の指向性図のパイロット情報である
【0276】
を実現可能にするために、受信端に送られる。ポーリングは、アクティブアンテナを中心として備えているすべての寄生アンテナの対に対して実行される。
【0277】
そして次に、受信端が、それぞれの指向性
図iとその鏡像とのチャネル情報を、受信されたp
i(n)および
【0279】
に従って推定し、それぞれの指向性
図iとその鏡像とに対応する2つの基底関数のチャネル情報を計算して、それぞれの指向性
図iのチャネル容量を取得する。ここで、p
i(n)は、i番目の指向性
図iのパイロット情報を表し、
【0281】
はi番目のミラー指向性図のパイロット情報を表す。最適なチャネル容量の指向性図指数i*は、送信端へフィードバックされる。
【0288】
を実現可能とするために、最適なチャネル容量の指向性図指数i
*と入力データs
1およびs
2の2つの経路とに従って、調節する。
【0289】
それに対応して、本発明のある実施形態は、
図7に示されているような単一無線周波数のダブルストリーム送信装置の使用方法を更に提供する。この方法は、次のステップを含む。
【0290】
701:
図4に示されている単一無線周波数のダブルストリーム送信装置とその装置の実施形態とを取得するステップである。この単一無線周波数のダブルストリーム送信装置は、無線周波数リンクと接続されたアクティブアンテナと、無線周波数リンクと、リアクタンス制御回路と、寄生リアクタと、アクティブアンテナと、2より大きな偶数であるM個の寄生アンテナとを含む。ここで、アクティブアンテナは無線周波数リンクと接続され、寄生アンテナはそれぞれが寄生リアクタと接続され、それぞれの寄生アンテナからアクティブアンテナへの距離は同じであり、隣接する寄生アンテナの間のラジアンは
【0293】
702:アクティブアンテナに関して鏡面対称であるいずれか一対の寄生アンテナのリアクタンス値が異なり、アクティブアンテナに関して鏡面対称である残りの対の寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、寄生リアクタを、リアクタンス制御回路を通じて調節するステップである。上述した実施形態では、寄生リアクタンスの追加的な自由度が、ダブルストリーム多重化を達成するために導入され、それにより、単一RFのMIMOの高次の変調が達成される。このソリューションでは、負の抵抗値または正の抵抗値が導入される必要がなく、事前符号化も導入される必要がないことにより、高次の変調を達成しながら、システム安定性が保証され、システム電力が節約され、計算上の負担も回避される。
【0294】
更に、リアクタンス値が等しくない寄生アンテナがi番目の対の寄生アンテナである場合には、この方法は、
データストリームs
1を、送信のために、無線周波数回路を通じてアクティブアンテナ上にロードするステップと、
【0296】
を実現可能とするため、アクティブアンテナに関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナのリアクタンス値が異なり、残りの寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、データストリームs
2およびs
1の2つの経路の入力に従って、寄生アンテナのリアクタンス値を、リアクタンス制御回路を通じて調節するステップと、を含む。ここで、R
iは調節係数を表し、パラメータr
iは、基底関数B
0(θ)およびB
i(θ)の2つの経路の電力が等しいこと、すなわち
【0298】
が成立することを保証するために用いられ、P(B
0(θ))は基底関数B
0(θ)の電力を表し、P(B
i(θ))は基底関数B
i(θ)の電力を表し、B
0(θ)およびB
i(θ)はアンテナの遠電磁場に対して展開された直交波形基底関数の2つの経路をそれぞれ表す。
【0299】
本発明のある実施形態は、更に、上述したアンテナを用いることにより指向性図のダイバーシティ利得を取得する実装態様を提供する。詳しくは、これは以下の通りであり、上述した方法は、更に、
リアクタンス制御回路を用いることにより、アクティブアンテナに関して鏡面対称であるすべての寄生アンテナに対して以下のポーリング動作を実行するステップ、すなわち、
【0301】
のように設定するステップであって、jX
iおよび
【0303】
は、それぞれ、送信端に関して鏡面対称であるi番目の対の寄生アンテナのリアクタンスを表し、L1およびL2は等しくないように設定されているリアクタンス値を表し、鏡面対称である残りの寄生アンテナに対応するリアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、i番目の指向性
図iのパイロット情報であるp
i(n)を受信端に送るために
【0307】
のように設定するステップであって、鏡面対称である残りの寄生アンテナに対応するリアクタンス値はそれぞれ等しく、よって、i番目のミラー指向性図のパイロット情報である
【0311】
が成立する、ステップとを実行するステップを、含む。
【0312】
更に、上述の方法は、受信端によってフィードバックされた最大チャネル容量の指向性図指数i
*を、受信装置を経由して受信するステップを更に含んでおり、指向性図指数i
*は、それぞれの指向性
図iとその鏡像とのチャネル情報を、受信端によって受信されたp
i(n)および
【0314】
に従って推定するステップと、それぞれの指向性
図iとその鏡像とに対応する2つの基底関数のチャネル情報を計算し、それぞれの指向性
図iのチャネル容量を取得して、最適なチャネル容量の指向性図指数i
*を取得するステップとによって、取得され、p
i(n)は、i番目の指向性
図iのパイロット情報を表し、
【0316】
はi番目のミラー指向性図のパイロット情報を表す。
【0317】
更に、送信端においてダイバーシティ利得を取得するソリューションは、詳しくは、次の通りであり得る。
リアクタンス制御回路により、
【0323】
を実現可能とするために、受信端と入力データs
1およびs
2の2つの経路とからの最大チャネル容量の指向性図指数i
*に従って調節するステップを更に含む。
【0327】
の調節における数学的表現の意味は、次のように、上述した対の寄生アンテナのリアクタンス値が等しくならないように、i
*に対応する1対の寄生アンテナの寄生リアクタンスである
【0331】
を調節するステップと、上述した他の寄生アンテナにおいてアクティブアンテナに関して鏡面対称である寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しくなるように、i
*に対応する1対の寄生アンテナ以外の他の寄生アンテナのリアクタンスを調節するステップとを含む。
【0332】
本発明のある実施形態は、更に、単一無線周波数のダブルストリーム送信装置のアンテナシステムを提供し、
図8に示されており、受信端801と送信端802とを含んでいて、送信端802は本発明の実施形態によって提供されるいずれかの単一無線周波数のダブルストリーム送信装置であり、受信端801は、2つのアクティブアンテナを少なくとも含み、それらのアクティブアンテナは両方共に無線周波数リンクと接続されている。
【0333】
図4に示されているように、送信端は、5つのユニットを備えたESPARダイポールアレイのものであり、1つのアクティブアンテナと4つの寄生アンテナとを含み、寄生アンテナは、それぞれが対応する寄生リアクタjX
1〜jX
4と接続され、それぞれの寄生アンテナとアクティブアンテナとの間の距離はdであり、隣接する寄生アンテナの隣接するラジアンは90度である。5つのユニットを備えたESPARアンテナは、同時に3つのデータストリームを送信し得るが、従来技術における3つのユニットを備えたESPARアンテナと同じ問題、すなわち、基底関数の電力を均衡させられないという問題を有する。しかし、2つのデータストリームを送信するために用いられる場合には、5つのユニットを備えたESPARアンテナは、基底関数の電力を均衡させ得るだけでなく、リアクタンスの調整可能な範囲を縮小させることができるため、リアクタンス制御回路の複雑性を低下させる。この技術的効果をどのように達成すべきであるかは、上述した実施形態において既に詳細に例証したので、ここで再度説明を繰り返すことはしない。
【0334】
更に、5つのユニットを備えたESPARダイポールアレイについて既に行った解析から、データストリームの2つの経路は、jX
1,jX
2およびjX
3=jX
4を調節し、また、jX
3,jX
4およびjX
1=jX
2を調節することによって、両方共に、送信され得る。送信アンテナとその鏡像との指向性図は、アクティブアンテナに関して鏡面対称である寄生アンテナの対のリアクタンス値が等しくなく、アクティブアンテナに関して鏡面対称である残りの寄生アンテナのリアクタンス値がそれぞれ等しいことが保証される場合に、変更される。jX
1,jX
2およびjX
3=jX
4が調節される場合には、指向性
図1とその鏡像とを得ることができ、それに対応して、jX
3,jX
4およびjX
1=jX
2が調節される場合には、指向性
図2とその鏡像とを得ることができる。本発明は、更に、指向性図のダイバーシティ利得を得るためには、送信のための指向性図をどのようにして選択すべきかに関する実施形態を提供する。指向性図のダイバーシティ利得を得るために、本発明の実施形態は、特に、以下のソリューションを提供している。すなわち、送信端802のリアクタンス制御回路は、更に、受信端801と入力データs
1およびs
2の2つの経路からとの最大チャネル容量の指向性図指数i
*に従って、
【0340】
を得るように構成されている。上述した受信端801は、送信端802から受信されたp
i(n)および
【0342】
に従って、指向性
図iとその鏡像のチャネル情報とを推定し、それぞれの指向性
図iとその鏡像とに対応する2つの基底関数のチャネル情報を計算して指向性
図iのチャネル容量を取得することにより、最適なチャネル容量の指向性図指数i
*を取得するように構成されている。ここで、p
i(n)は、i番目の指向性
図iのパイロット情報を表し、
【0344】
は、i番目のミラー指向性図のパイロット情報を表す。
【0345】
上述したアンテナの実施形態において、含まれているユニットの分割は論理機能の分割に過ぎず、対応する機能が達成可能である限り、上述した分割に限定されないことに注意すべきである。更に、機能ユニットの特定の名称は、本発明の保護範囲を限定するものではなく、相互に区別をするために便宜上用いられているに過ぎない。更に、当業者であれば、上述した方法の実施形態におけるステップの全部または一部を、対応するハードウェアに命令するプログラムによって実装可能であることを理解するであろう。この対応するプログラムは、コンピュータ可読な記憶媒体に記憶することが可能であり、ここで言及している記憶媒体とは、リードオンリメモリ、磁気ディスクまたは光ディスクなどであり得る。
【0346】
以上の説明は、本発明の保護範囲を限定するものではなく、本発明の好適な実施形態に過ぎない。どのような当業者でも、本発明の開示されている技術的範囲に含まれる改変や置換を容易に想到できるであろうし、そのような改変や置換は本発明の保護範囲に属している。従って、特許請求の範囲の保護範囲は、本発明の保護範囲の全体に及ぶ。
【符号の説明】
【0347】
801 受信端
802 送信端