(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
トランスおよび前記トランスの一次側に接続されたスイッチング手段を備え、前記スイッチング手段のスイッチング動作により一次側直流電圧から交流電圧を生成し、当該交流電圧を直流化して二次側直流電圧を生成し、前記トランスの二次側に設けられた負荷が通常動作状態である場合に前記二次側直流電圧を前記負荷に供給し、前記負荷が待機状態である場合に前記二次側直流電圧が前記負荷に供給されるのを停止させるスイッチング電源装置であって、
前記二次側直流電圧の電圧値を検出して前記トランスの一次側にフィードバックする電圧検出部と、
前記負荷が待機状態である場合に、前記二次側直流電圧の電圧値と予め設定された最小スイング電圧値との大小関係に基づいてオン指令を出力する一方、前記二次側直流電圧の電圧値と予め設定された最大スイング電圧値との大小関係に基づいてオフ指令を出力し、かつ前記負荷が通常動作状態である場合に、前記オン指令を出力するスイッチング動作指令部と、
前記オン指令が入力された場合に、前記スイッチング動作を実行させるとともに、前記電圧検出部からフィードバックされた電圧値が予め設定された目標電圧範囲に収まるように前記スイッチング手段のデューティ比またはスイッチング周波数を制御する一方、前記オフ指令が入力された場合に、前記スイッチング動作を停止させる制御部と、
前記負荷が待機状態である場合に前記電圧検出部への電圧供給を遮断する遮断部と、
を有し、
前記遮断部により前記電圧検出部への電圧供給が遮断されると、前記電圧検出部からフィードバックされる電圧値が前記二次側直流電圧の実際の電圧値とは無関係になり、
前記最大スイング電圧値は前記目標電圧範囲の下限値よりも大きく、前記最小スイング電圧値は前記目標電圧範囲の下限値よりも小さいことを特徴とするスイッチング電源装置。
前記スイッチング動作指令部は、前記負荷が待機状態である場合に、前記二次側直流電圧の電圧値が前記最小スイング電圧値を下回ったのをきっかけとして前記オン指令を出力し、当該電圧値が前記最大スイング電圧値を上回るまで前記オン指令を出力し続ける一方、前記二次側直流電圧の電圧値が前記最大スイング電圧値を上回ったのをきっかけとして前記オフ指令を出力し、当該電圧値が前記最小スイング電圧値を下回るまで前記オフ指令を出力し続けることを特徴とする請求項1に記載のスイッチング電源装置。
【背景技術】
【0002】
従来から、主出力電圧と当該主出力電圧を降圧して得た従出力電圧とを出力する2出力型スイッチング電源装置が知られており(例えば、特許文献1参照)、近年では、負荷が待機状態である場合にスイッチング動作の実行と停止を交互に繰り返す(スイング動作を行う)
図6に示すような2出力型スイッチング電源装置1Cも知られている。
【0003】
この2出力型スイッチング電源装置1Cは、トランスT1の一次側に接続されたnチャネルMOSトランジスタからなるスイッチング手段Q1と、スイッチング手段Q1を制御する制御部IC1と、主出力電圧となる二次側直流電圧Vcc3の電圧値を検出して制御部IC1にフィードバックする電圧検出部2と、制御部IC1に対してオン/オフ指令を出力するスイッチング動作指令部3と、トランスT1の二次側に接続された負荷が待機状態である場合にオフ状態となるスイッチング素子Q4と、負荷の状態に応じてOUT端子の状態を変える負荷状態通知回路IC4と、二次側直流電圧Vcc3を降圧するDC/DCコンバータ回路IC5とを備えている。2出力型スイッチング電源装置1Cは、負荷が通常動作状態である場合に主出力電圧(例えば、24.0V)および従出力電圧(例えば、5.0V)を出力し、負荷が待機状態である場合に従出力電圧(例えば、5.0V)のみを出力する。
【0004】
制御部IC1は、ON/OFF端子を有しており、ON/OFF端子の電位がローレベルになると、スイッチング手段Q1のスイッチング動作を実行させる一方、ON/OFF端子の電位がハイレベルになると、スイッチング手段Q1のスイッチング動作を停止させる。
【0005】
スイッチング動作指令部3は、負荷が通常動作状態である場合、制御部IC1に対してオン指令を出力する。具体的には、負荷状態通知回路IC4のOUT端子の状態に応じてスイング回路IC3がローレベルの信号を出力し、フォトカプラPC2がオフ状態となり、nチャネルMOSトランジスタからなるスイッチング素子Q2がオン状態となる。これにより、制御部IC1のON/OFF端子の電位がローレベルとなり、制御部IC1がスイッチング手段Q1のスイッチング動作を実行させる。
【0006】
一方、負荷が待機状態である場合、スイッチング動作指令部3は、制御部IC1に対してオン指令とオフ指令を交互に出力する。オン指令に基づいて制御部IC1がスイッチング動作を実行させると、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が上昇する一方、オフ指令に基づいて制御部IC1がスイッチング動作を停止させると、電圧検出部2、スイッチング動作指令部3、DC/DCコンバータ回路IC5および負荷等で発生する電力損失により、二次側直流電圧Vcc3の電圧値は徐々に低下する。その結果、2出力型スイッチング電源装置1Cでは、
図7に示すように、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が予め設定された最大スイング電圧値Vcc3_max(例えば、22.4V)と予め設定された最小スイング電圧値Vcc3_min(例えば、8.0V)との間でスイングする。このように、スイッチング動作の実行と停止を交互に繰り返して二次側直流電圧Vcc3をスイングさせる動作のことを「スイング動作」という。
【0007】
図8は、
図7の期間Taにおける二次側直流電圧Vcc3の電圧値およびスイッチング手段Q1の状態を示す図である。同図に示すように、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が最小スイング電圧値Vcc3_minを下回るまでは(時間t
1以前)、スイッチング動作指令部3はオフ指令を出力し、制御部IC1はスイッチング手段Q1のスイッチング動作を停止させる。二次側直流電圧Vcc3の電圧値が最小スイング電圧値Vcc3_minを下回ってから最大スイング電圧値Vcc3_maxを上回るまでは(時間t
1〜時間t
2)、スイッチング動作指令部3はオン指令を出力し、制御部IC1はスイッチング手段Q1のスイッチング動作を実行させる。そして、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が最大スイング電圧値Vcc3_maxを上回ると(時間t
2以降)、スイッチング動作指令部3はオフ指令を出力し、制御部IC1はスイッチング手段Q1のスイッチング動作を停止させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、上記従来の2出力型スイッチング電源装置1Cでは、スイッチング動作指令部3からオン指令が出力されている間、制御部IC1は、電圧検出部2からフィードバックされた二次側直流電圧Vcc3の電圧値が予め設定された目標電圧範囲に収まるように、スイッチング手段Q1のデューティ比を制御する。
【0010】
具体的には、フィードバックされた電圧値が
図7に示す目標電圧範囲の下限値Vo1_min(例えば、23.4V)よりも小さい場合、制御部IC1は、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が大きくなるようにスイッチング手段Q1のデューティ比を大きくする。一方、フィードバックされた電圧値が目標電圧範囲の上限値Vo1_max(例えば、24.6V)よりも大きい場合、制御部IC1は、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が小さくなるようにスイッチング手段Q1のデューティ比を小さくする。
【0011】
また、フィードバックされた電圧値が目標電圧範囲内に収まっている場合、すなわち、フィードバックされた電圧値が所定の目標電圧値(例えば、24.0V)とほぼ一致している場合、制御部IC1は、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が維持されるようにスイッチング手段Q1のデューティ比をほとんど変化させない。このため、最大スイング電圧値Vcc3_maxが目標電圧値に近い値に設定されていると、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が最大スイング電圧値Vcc3_maxに近づくにつれて当該電圧値の変化率(デューティ比の変化率)が小さくなり、当該電圧値が最大スイング電圧値Vcc3_maxに達するのに過大な時間がかかったり、当該電圧値が最大スイング電圧値Vcc3_maxに達することなくスイング動作が行われなかったりするおそれがある。そこで、2出力型スイッチング電源装置1Cでは、確実にスイング動作が行われるように、最大スイング電圧値Vcc3_maxを目標電圧範囲の下限値Vo1_minよりも小さな値に設定している(
図7参照)。
【0012】
その結果、2出力型スイッチング電源装置1Cでは、最大スイング電圧値Vcc3_maxと最小スイング電圧値Vcc3_minとの差が小さくなり、スイッチング手段Q1のスイッチング動作を停止させる期間(
図7のTb2の期間)を十分に確保できず、スイング動作時のスイッチング損失を十分に低減させることができないという問題があった。
【0013】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、その課題とするところは、スイング動作時における効率を改善し得るスイッチング電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明に係るスイッチング電源装置は、(1)トランスおよびトランスの一次側に接続されたスイッチング手段を備え、スイッチング手段のスイッチング動作により一次側直流電圧から交流電圧を生成し、当該交流電圧を直流化して二次側直流電圧を生成し、トランスの二次側に設けられた負荷が通常動作状態である場合に二次側直流電圧を負荷に供給し、負荷が待機状態である場合に二次側直流電圧が負荷に供給されるのを停止させるスイッチング電源装置であって、二次側直流電圧の電圧値を検出してトランスの一次側にフィードバックする電圧検出部と、負荷が待機状態である場合に、二次側直流電圧の電圧値と予め設定された最小スイング電圧値との大小関係に基づいてオン指令を出力する一方、二次側直流電圧の電圧値と予め設定された最大スイング電圧値との大小関係に基づいてオフ指令を出力し、かつ負荷が通常動作状態である場合に、オン指令を出力するスイッチング動作指令部と、オン指令が入力された場合に、スイッチング動作を実行させるとともに、電圧検出部からフィードバックされた電圧値が予め設定された目標電圧範囲に収まるようにスイッチング手段のデューティ比またはスイッチング周波数を制御する一方、オフ指令が入力された場合に、スイッチング動作を停止させる制御部と、負荷が待機状態である場合に電圧検出部への電圧供給を遮断する遮断部と、を有し、遮断部により電圧検出部への電圧供給が遮断されると、電圧検出部からフィードバックされる電圧値が二次側直流電圧の実際の電圧値とは無関係にな
り、最大スイング電圧値は目標電圧範囲の下限値よりも大きく、最小スイング電圧値は目標電圧範囲の下限値よりも小さいことを特徴とする。
【0015】
この構成によれば、負荷が待機状態である場合に電圧検出部への電圧供給を遮断することで、電圧検出部での電力損失をなくすことができる。その結果、スイッチング動作停止時における二次側直流電圧の電圧値の低下がより緩やかになり、スイッチング動作を停止させる期間が長くなるので、スイング動作時におけるスイッチング損失を低減させることができる。
【0016】
また、この構成によれば、負荷が待機状態である場合に、電圧検出部からフィードバックされる電圧値が二次側直流電圧の実際の電圧値とは無関係になるので、二次側直流電圧の電圧値が目標電圧範囲に近づくにつれて当該電圧値の変化率(デューティ比の変化率)が小さくなるということがなくなり、最大スイング電圧値を目標電圧範囲の下限値よりも小さな値に設定しなければならないという制限をなくすことができる。
【0017】
さらに、この構成によれば、最大スイング電圧値と最小スイング電圧値との差が大きくなり、スイッチング動作を停止させる期間がより長くなるので、スイング動作時におけるスイッチング損失をより低減させることができる。
【0019】
上記
(1)のスイッチング電源装置では、
(2)スイッチング動作指令部は、負荷が待機状態である場合に、二次側直流電圧の電圧値が最小スイング電圧値を下回ったのをきっかけとしてオン指令を出力し、当該電圧値が最大スイング電圧値を上回るまでオン指令を出力し続ける一方、二次側直流電圧の電圧値が最大スイング電圧値を上回ったのをきっかけとしてオフ指令を出力し、当該電圧値が最小スイング電圧値を下回るまでオフ指令を出力し続けるよう構成できる。
【0020】
上記
(1)または(2)のスイッチング電源装置では、
(3)電圧検出部は、フォトカプラの発光ダイオードおよびシャントレギュレータからなる直列回路と、直列回路に対して並列に接続され、かつ分圧点がシャントレギュレータのリファレンス端子に接続された分圧抵抗回路と、制御部に接続されたフォトカプラのフォトトランジスタと、を有し、直列回路の一端が遮断部に接続され、かつ他端がトランス二次側の低電位ラインに接続されるよう構成できる。
【0021】
上記
(3)のスイッチング電源装置では、
(4)遮断部は、負荷が待機状態である場合にオフ状態となるスイッチング素子からなり、スイッチング素子は、電流路の一端がトランス二次側の高電位ラインに接続され、かつ電流路の他端が直列回路の一端に接続されていてもよい。
【0022】
また、上記
(3)のスイッチング電源装置では、
(5)遮断部は、負荷が待機状態である場合に、二次側直流電圧が負荷に供給されるのを遮断するスイッチング素子からなり、電圧検出部は、スイッチング素子よりも負荷側に設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、スイング動作時における効率を改善し得るスイッチング電源装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明に係るスイッチング電源装置の好ましい実施形態について、フライバックコンバータの出力側にDC/DCコンバータ回路を接続した2出力型スイッチング電源装置(2出力絶縁型DC/DCコンバータ)を例に挙げて説明する。
【0026】
[第1実施形態]
図1に、本発明の第1実施形態に係るスイッチング電源装置1Aを示す。同図に示すように、スイッチング電源装置1Aは、一次側主巻線N1、二次側主巻線N2および補助巻線N3を有するトランスT1を備え、当該トランスT1の二次側に設けられた負荷(不図示)が通常動作状態である場合に、負荷に主出力電圧(例えば、24.0V)および従出力電圧(例えば、5.0V)を供給し、負荷が待機状態(軽負荷状態)である場合に、負荷に従出力電圧(例えば、5.0V)のみを供給する。
【0027】
スイッチング電源装置1Aは、トランスT1(なおトランスT1については、●印の側を一端側、反対側を他端側とする)の他、トランスT1の一次側主巻線N1に接続されたnチャネルMOSトランジスタからなるスイッチング手段Q1と、スイッチング手段Q1を制御する制御部IC1と、主出力電圧となる二次側直流電圧Vcc3の電圧値を検出して制御部IC1にフィードバックする電圧検出部2と、制御部IC1に対してオン/オフ指令を出力するスイッチング動作指令部3と、pチャネルMOSトランジスタからなるスイッチング素子Q3を有する遮断部4と、pチャネルMOSトランジスタからなるスイッチング素子Q4と、負荷状態通知回路IC4と、二次側直流電圧Vcc3を降圧して従出力電圧を生成するDC/DCコンバータ回路IC5と、を備えている。
【0028】
制御部IC1は、Vcc端子、GND端子、FB端子およびON/OFF端子を有するスイッチング電源制御用ICである。Vcc端子は、起動用抵抗R1を介して一次側主巻線N1の一端に接続され、かつ整流ダイオードD1および平滑コンデンサC2からなる整流平滑回路を介して補助巻線N3の一端に接続されている。FB端子は、電圧検出部2を構成する第1フォトカプラPC1の第1フォトトランジスタのコレクタに接続されている。ON/OFF端子は、スイッチング動作指令部3を構成するスイッチング素子(本実施形態では、nチャネルMOSトランジスタ)Q2の電流路の一端(ドレイン)に接続されている。
【0029】
制御部IC1は、ON/OFF端子の電位がローレベルになると、スイッチング手段Q1のスイッチング動作を実行させる一方、ON/OFF端子の電位がハイレベルになると、スイッチング手段Q1のスイッチング動作を停止させる。また、制御部IC1は、スイッチング手段Q1のスイッチング動作を実行させる際、電圧検出部2からフィードバックされた電圧値が予め設定された目標電圧範囲に収まるように、スイッチング手段Q1のデューティ比(オン幅)またはスイッチング周波数を制御する。なお、本実施形態では、制御部IC1は、スイッチング手段Q1のデューティ比を制御するものとする。
【0030】
電圧検出部2は、一端が遮断部4を構成するスイッチング素子Q3の電流路の他端(ドレイン)に接続され、かつ他端が二次側主巻線N2の一端に接続された分圧抵抗回路R4、R5と、アノードが分圧抵抗回路R4、R5の一端に接続された第1フォトカプラPC1の第1発光ダイオードと、アノードが分圧抵抗回路R4、R5の他端に接続され、カソードが第1発光ダイオードのカソードに接続され、かつリファレンス端子が分圧抵抗回路R4、R5の分圧点に接続されたシャントレギュレータIC2と、コレクタが制御部IC1のFB端子に接続され、かつエミッタが制御部IC1のGND端子に接続された第1フォトカプラPC1の第1フォトトランジスタと、を有する。
【0031】
電圧検出部2は、スイッチング素子Q3がオン状態(負荷が通常動作状態)の場合、二次側主巻線N2に誘起された交流電圧を整流ダイオードD2および平滑コンデンサC3からなる整流平滑回路で直流化した二次側直流電圧Vcc3の電圧値を検出して制御部IC1にフィードバックする。
【0032】
より詳しくは、電圧検出部2は、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が予め設定された目標電圧値(例えば、24.0V)よりも大きい場合、二次側直流電圧Vcc3の電圧値と目標電圧値との差分に応じて第1フォトカプラPC1の第1発光ダイオードに流れる電流を増加させ、第1フォトカプラPC1の第1フォトトランジスタが吸い込むコレクタ電流を増加させる。その結果、制御部IC1のFB端子の電位が下がるため、制御部IC1は、下がった量に応じてスイッチング手段Q1のデューティ比を小さくする。
【0033】
一方、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が目標電圧値よりも小さい場合、電圧検出部2は、二次側直流電圧Vcc3の電圧値と目標電圧値との差分に応じて第1発光ダイオードに流れる電流を減少させ、第1フォトトランジスタのコレクタ電流を減少させる。その結果、制御部IC1のFB端子の電位が上がるため、制御部IC1は、上がった量に応じてスイッチング手段Q1のデューティ比を大きくする。
【0034】
さらに、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が目標電圧値とほぼ一致している場合、すなわち、当該電圧値が目標電圧範囲の上限値Vo1_max(例えば、24.6V)と目標電圧範囲の下限値Vo1_min(例えば、23.4V)との間にある場合、第1発光ダイオードに流れる電流はほとんど変化することなく、第1フォトトランジスタのコレクタ電流もほとんど変化しない。その結果、制御部IC1のFB端子の電位がほとんど変化しないため、制御部IC1は、スイッチング手段Q1のデューティ比をほとんど変化させない。
【0035】
また、スイッチング素子Q3がオフ状態(負荷が待機状態)の場合、電圧検出部2は、二次側直流電圧Vcc3の電圧値を検出することができないため、制御部IC1にフィードバックする電圧値が二次側直流電圧Vcc3の実際の電圧値とは無関係になる。
【0036】
より詳しくは、電圧検出部2では、第1フォトカプラPC1の第1発光ダイオードに電流が流れなくなるので、第1フォトカプラPC1の第1フォトトランジスタが吸い込むコレクタ電流がゼロになる。その結果、制御部IC1のFB端子の電位が大幅に上がるため、制御部IC1は、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が目標電圧値よりもはるかに小さいと認識して、スイッチング手段Q1のデューティ比を最大にする。このため、スイッチング電源装置1Aでは、従来のスイッチング電源装置1Cとは異なり、後述する最大スイング電圧値Vcc3_maxを目標電圧範囲の下限値Vo1_minよりも小さな値に設定しなければならないという制限をなくすことができる。
【0037】
遮断部4を構成するスイッチング素子Q3は、ソースが整流平滑回路を構成する整流ダイオードD2のカソードに接続され、ドレインが第1フォトカプラPC1の第1発光ダイオードのアノードに接続され、かつゲートがスイッチング素子Q4のゲートおよび分圧抵抗回路R7、R8の分圧点に接続されている。スイッチング素子Q3は、負荷が通常動作状態である場合にオン状態となる一方、負荷が待機状態である場合にオフ状態となる。
【0038】
スイッチング素子Q4は、ソースが整流ダイオードD2のカソードおよびスイッチング素子Q3のソースに接続され、ドレインが主出力電圧を出力する高電位側の出力端子に接続されている。スイッチング素子Q4は、スイッチング素子Q3と同様に、負荷が通常動作状態である場合にオン状態となる一方、負荷が待機状態である場合にオフ状態となる。
【0039】
負荷状態通知回路IC4は、負荷の状態に応じた外部信号が入力されるIN端子と、従出力電圧を出力する低電位側の出力端子に接続されたGND2端子と、スイッチング動作指令部3を構成するスイング回路IC3のON/OFF端子および抵抗R7を介してスイッチング素子Q3、Q4の制御端子(ゲート)に接続されたOUT端子と、を有する。より詳しくは
図2に示すように、負荷状態通知回路IC4は、nチャネルMOSトランジスタからなるスイッチング素子Q5で構成されている。スイッチング素子Q5の制御端子(ゲート)がIN端子に相当し、スイッチング素子Q5の電流路の一端(ドレイン)がOUT端子に相当し、スイッチング素子Q5の電流路の他端(ソース)がGND2端子に相当する。
【0040】
負荷状態通知回路IC4では、負荷が通常動作状態である場合、ハイレベルの外部信号がIN端子に入力される。これにより、スイッチング素子Q5がオン状態(導通状態)になるので、OUT端子の電位がローレベルになり、整流ダイオードD2および平滑コンデンサC3からなる整流平滑回路から出力された電流が分圧抵抗回路R7、R8を流れる。その結果、抵抗R8で電圧降下が発生してスイッチング素子Q3、Q4のゲート−ソース間電圧が増大して、スイッチング素子Q3、Q4がオン状態となる。一方、負荷が待機状態である場合、ローレベルの外部信号がIN端子に入力される。これにより、スイッチング素子Q5がオフ状態(非導通状態)になるので、OUT端子の電位がハイレベルになり、上記整流平滑回路から出力された電流は分圧抵抗回路R7、R8を流れなくなる。その結果、スイッチング素子Q3、Q4のゲート−ソース間電圧が低下して、スイッチング素子Q3、Q4がオフ状態となる。
【0041】
再び
図1を参照して、スイッチング動作指令部3は、スイング回路IC3と、第2フォトカプラPC2と、スイッチング素子(nチャネルMOSトランジスタ)Q2とを有し、負荷が通常動作状態である場合に制御部IC1に対してオン指令を出力する一方、負荷が待機状態である場合に制御部IC1に対してオン指令とオフ指令とを交互に出力する。
【0042】
スイッチング素子Q2は、ドレインが制御部IC1のON/OFF端子に接続され、ソースが低電位側の入力端子に接続され、かつゲートが抵抗R2を介して制御部IC1のVcc端子に接続されている。また、スイッチング素子Q2のゲート−ソース間には、抵抗R3が介装されている。
【0043】
第2フォトカプラPC2の第2フォトトランジスタは、コレクタがスイッチング素子Q2のゲートに接続されており、かつエミッタがスイッチング素子Q2のソースに接続されている。第2フォトカプラPC2の第2発光ダイオードは、アノードが抵抗R6を介してスイング回路IC3のOUT端子に接続され、かつカソードがスイング回路IC3のGND1端子に接続されている。
【0044】
スイング回路IC3は、スイッチング素子Q3のソースとスイッチング素子Q4のソースとの接続点に接続されたVcc3端子と、負荷状態通知回路IC4のOUT端子に接続されたON/OFF端子と、主出力電圧を出力する低電位側の出力端子に接続されたGND1端子と、抵抗R6を介して第2フォトカプラPC2の第2発光ダイオードに接続されたOUT端子と、を有する。
【0045】
より詳しくは
図3に示すように、スイング回路IC3は、一端がVcc3端子に接続され、かつ他端がGND1端子に接続された抵抗R12およびツェナーダイオードZD1からなる直列回路と、当該直列回路に並列に接続された分圧抵抗回路R10、R11と、反転入力端子(−端子)が抵抗R12およびツェナーダイオードZD1の接続点に接続され、非反転入力端子(+端子)が分圧抵抗回路R10、R11の分圧点に接続され、かつ出力端子がOUT端子および抵抗R9を介して非反転入力端子(+端子)に接続されたオペアンプAmp1と、を有する。なお、オペアンプAmp1は、ON/OFF端子にも接続されている。
【0046】
ON/OFF端子からオペアンプAmp1にローレベルの信号が入力された場合、すなわち負荷状態通知回路IC4のOUT端子の電位がローレベルの場合(負荷が通常動作状態である場合)、オペアンプAmp1の出力はローレベルに固定される。これにより、スイング回路IC3のOUT端子からローレベルの信号が出力されて、第2フォトカプラPC2はオフ状態となる。第2フォトカプラPC2がオフ状態となると、スイッチング素子Q2のゲート−ソース間には、抵抗R3で発生する電圧降下分の電圧差が生じるので、スイッチング素子Q2がオン状態となる。その結果、制御部IC1のON/OFF端子がローレベルとなり、制御部IC1はスイッチング手段Q1のスイッチング動作を実行させる。
【0047】
一方、ON/OFF端子からオペアンプAmp1にハイレベルの信号が入力された場合、すなわち負荷状態通知回路IC4のOUT端子の電位がハイレベルの場合(負荷が待機状態である場合)、オペアンプAmp1は、後述するヒステリシス動作を行う。
【0048】
すなわち、オペアンプAmp1は、Vcc3端子の電圧値(二次側直流電圧Vcc3の電圧値)が予め設定された最小スイング電圧値Vcc3_min(例えば、8.0V)を下回ったのをきっかけとしてローレベルの信号を出力し、Vcc3端子の電圧値が予め設定された最大スイング電圧値Vcc3_max(例えば、23.6V)を上回るまでローレベルの信号を出力し続ける一方、Vcc3端子の電圧値が最大スイング電圧値Vcc3_maxを上回ったのをきっかけとしてハイレベルの信号を出力し、Vcc3端子の電圧値が最小スイング電圧値Vcc3_minを下回るまでハイレベルの信号を出力し続ける。
【0049】
これにより、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が最小スイング電圧値Vcc3_minを下回ってから最大スイング電圧値Vcc3_maxを上回るまでの間は、第2フォトカプラPC2がオフ状態となり、スイッチング素子Q2がオン状態となるので、制御部IC1は、スイッチング手段Q1のスイッチング動作を実行させる。一方、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が最大スイング電圧値Vcc3_maxを上回ってから最小スイング電圧値Vcc3_minを下回るまでの間は、第2フォトカプラPC2がオン状態となり、スイッチング素子Q2がオフ状態となるので、制御部IC1は、スイッチング手段Q1のスイッチング動作を停止させる。
【0050】
制御部IC1がスイッチング手段Q1のスイッチング動作を実行させると、二次側直流電圧Vcc3の電圧値は上昇し、制御部IC1がスイッチング手段Q1のスイッチング動作を停止させると、スイッチング動作指令部3、DC/DCコンバータ回路IC5および負荷等で発生する電力損失により、二次側直流電圧Vcc3の電圧値は徐々に低下する。その結果、
図4に示すように、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が最大スイング電圧値Vcc3_maxと最小スイング電圧値Vcc3_minの間でスイングする。
【0051】
スイッチング電源装置1Aでは、負荷が待機状態である場合、スイッチング素子Q3がオフ状態となり制御部IC1にフィードバックされる電圧値が二次側直流電圧Vcc3の実際の電圧値とは無関係になるので、二次側直流電圧Vcc3の電圧値が目標電圧範囲に近づくにつれて当該電圧の変化率(デューティ比の変化率)が小さくなるということはなくなる。このため、スイッチング電源装置1Aでは、最大スイング電圧値Vcc3_maxを目標電圧範囲の下限値Vo1_minよりも大きな値に設定することができる。なお、負荷が待機状態から通常動作状態に切り替わった際に目標電圧範囲の上限値Vo1_maxを超える主出力電圧が負荷に供給されないように、最大スイング電圧値Vcc3_maxを目標電圧範囲の上限値Vo1_max以下の値に設定することが好ましい。
【0052】
また、スイッチング電源装置1Aでは、負荷が待機状態である場合、スイッチング素子Q3がオフ状態となることにより電圧検出部2への電圧供給が遮断されるので、電圧検出部2で電力損失が発生しない。このため、スイッチング電源装置1Aでは、スイッチング手段Q1のスイッチング動作停止時における二次側直流電圧Vcc3の電圧値の低下を、従来のスイッチング電源装置1Cよりも緩やかにすることができる。
【0053】
結局、スイッチング電源装置1Aでは、最大スイング電圧値Vcc3_maxを目標電圧範囲の下限値Vo1_minよりも大きな値に設定することができ、しかも、スイッチング手段Q1のスイッチング動作停止時における二次側直流電圧Vcc3の電圧値の低下を緩やかにすることができるので、スイッチング動作を停止させる期間(
図4のTb1の期間)を従来のスイッチング電源装置1Cよりも長くすることができる。したがって、本実施形態に係るスイッチング電源装置1Aによれば、スイング動作時におけるスイッチング手段Q1のスイッチング損失を低減させることができ、スイング動作時における効率を改善することができる。
【0054】
[第2実施形態]
図5に、本発明の第2実施形態に係るスイッチング電源装置1Bを示す。同図に示すように、スイッチング電源装置1Bは、スイッチング素子Q4が遮断部4’を構成していること、電圧検出部2がスイッチング素子Q4よりも負荷側に接続されていること、およびスイッチング素子Q3を備えていないこと以外、第1実施形態に係るスイッチング電源装置1Aと大部分が共通している。
【0055】
スイッチング電源装置1Bでは、負荷が待機状態である場合、スイッチング素子Q4がオフ状態となることにより電圧検出部2への電圧供給が遮断されるので、電圧検出部2で電力損失が発生しない。このため、スイッチング電源装置1Bでは、第1実施形態に係るスイッチング電源装置1Aと同様に、最大スイング電圧値Vcc3_maxを目標電圧範囲の下限値Vo1_minよりも大きな値に設定することができ、しかも、スイッチング手段Q1のスイッチング動作停止時における二次側直流電圧Vcc3の電圧値の低下を緩やかにすることができるので、スイッチング動作を停止させる期間を長くすることができる。したがって、本実施形態に係るスイッチング電源装置1Bによれば、スイング動作時におけるスイッチング手段Q1のスイッチング損失を低減させることができ、スイング動作時における効率を改善することができる。
【0056】
以上、本発明に係るスイッチング電源装置の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態の構成に限定されるものではない。
【0057】
例えば、上記第1実施形態では、遮断部4をpチャネルMOSトランジスタからなるスイッチング素子Q3で構成し、上記第2実施形態では、遮断部4’をpチャネルMOSトランジスタからなるスイッチング素子Q4で構成しているが、遮断部4、4’は、負荷が待機状態である場合に電圧検出部2への電圧供給を遮断することができるのであれば、適宜構成を変更することができる。
【0058】
電圧検出部2は、二次側直流電圧Vcc3の電圧値を検出して、当該電圧値を制御部IC1にフィードバックすることができるのであれば、適宜構成を変更することができる。
【0059】
スイッチング動作指令部3は、負荷が待機状態である場合に、二次側直流電圧Vcc3の電圧値と最小スイング電圧値Vcc3_minとの大小関係に基づいてオン指令を出力する一方、二次側直流電圧Vcc3の電圧値と最大スイング電圧値Vcc3_maxとの大小関係に基づいてオフ指令を出力し、かつ負荷が通常動作状態である場合に、オン指令を出力するのであれば、適宜構成を変更することができる。
【0060】
制御部IC1は、スイッチング動作指令部3からオン指令が出力された場合に、スイッチング手段Q1のスイッチング動作を実行するとともに電圧検出部2からフィードバックされた電圧値が目標電圧範囲に収まるようにスイッチング手段Q1のデューティ比またはスイッチング周波数を制御する一方、スイッチング動作指令部3からオフ指令が出力された場合に、スイッチング手段Q1のスイッチング動作を停止させることができるのであれば、適宜構成を変更することができる。例えば、ON/OFF端子を流れる電流量に応じてスイッチング手段Q1のスイッチング動作を実行/停止させたり、FB端子を流れる電流量に応じてスイッチング手段Q1のデューティ比を制御したりする構成をとることができる。
【0061】
スイッチング手段Q1として、nチャネルMOSトランジスタ以外のトランジスタや、その他のスイッチング素子を用いることができる。
【0062】
負荷状態通知回路IC4は、従出力電圧の電圧値および負荷に供給される負荷電流の電流値に基づいて負荷が通常動作状態であるか待機状態であるかを判定し、外部信号を不要とする構成をとることができる。
【0063】
また、上記各実施形態では、主出力電圧を出力する主出力回路としてフライバックコンバータを例に挙げて説明したが、フライバックコンバータにかえてフォワードコンバータやLLC共振コンバータ等の任意のコンバータを用いることができる。
【0064】
さらに、本発明は、2出力絶縁型DC/DCコンバータ以外のスイッチング電源装置にも、適宜適用することができる。