特許第6146827号(P6146827)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6146827電話交換装置および方法並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146827
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】電話交換装置および方法並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/42 20060101AFI20170607BHJP
   H04M 11/10 20060101ALI20170607BHJP
   H04Q 3/58 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   H04M3/42 Z
   H04M11/10
   H04Q3/58 101
【請求項の数】6
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-178196(P2015-178196)
(22)【出願日】2015年9月10日
(65)【公開番号】特開2017-55278(P2017-55278A)
(43)【公開日】2017年3月16日
【審査請求日】2015年9月10日
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399040405
【氏名又は名称】東日本電信電話株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000121
【氏名又は名称】アイアット国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森本 龍
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 洋美
(72)【発明者】
【氏名】小林 誠
【審査官】 山田 倍司
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−098270(JP,A)
【文献】 特開平04−107044(JP,A)
【文献】 特開2002−135419(JP,A)
【文献】 特開平11−355821(JP,A)
【文献】 特開平08−289021(JP,A)
【文献】 特開昭63−256046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/00
1/24− 3/00
3/16− 3/20
3/38− 3/58
7/00− 7/16
11/00−11/10
99/00
H04Q 3/58− 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上の内線電話機を収容し、前記内線電話機を外線インタフェースを介して外線網との通信を可能とする電話交換装置であって、
前記内線電話機と外線網との通話を自動的に録音する録音手段を備え、
前記録音手段が録音を開始すると、ボタン操作が録音機能操作状態になる電話交換装置において、
前記録音手段の録音開始時に前記内線電話機の特定のボタンが操作されると、ボタン操作をPB信号の送出を可能とするPB信号送出機能操作状態に切り替える切替手段を備える、
ことを特徴とする電話交換装置。
【請求項2】
請求項1記載の電話交換装置であって、
前記切替手段は、前記内線電話機の外線発信時に、前記外線網からの応答が自動音声応答装置であった場合に、前記PB信号送出機能操作状態に切り替える、
ことを特徴とする電話交換装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電話交換装置であって、
前記切替手段は、前記内線電話機でPB信号を送出する旨のボタンが操作された場合、通話録音を停止してPB信号を送出する、
ことを特徴とする電話交換装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の電話交換装置であって、
前記切替手段は、前記内線電話機で通話録音の停止を求めるボタン操作が行われた場合、通話録音を停止する、
ことを特徴とする電話交換装置。
【請求項5】
1以上の内線電話機を収容し、前記内線電話機を外線インタフェースを介して外線網との通信を可能とする電話交換装置の通信方法であって、
前記内線電話機と外線網との通話を自動的に録音し、録音が開始されると、ボタン操作が録音機能操作状態になる
電話交換装置の通信方法において、
通話の録音開始時に、前記内線電話機の特定のボタンが操作されることによって、ボタン操作をPB信号の送出を可能とするPB信号送出機能操作状態に切り替える、
ことを特徴とする電話交換装置の通信方法。
【請求項6】
情報処理装置にインストールすることにより、請求項1から4のいずれか1項に記載の電話交換装置の各手段の機能を実現するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電話交換装置および方法並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ボタン電話装置または構内交換機(PBX Private Branch Exchange)などの電話交換装置には、自動通話録音機能がある。
【0003】
この通話録音機能は、例えばいたずら電話や脅迫電話や詐欺電話等のめいわく電話や通話記録を残すために設けられている。内線電話機を収容するボタン電話の主装置には、音声の蓄積部が設けられており、通話の度に、ボタン電話の主装置では、録音を行うことができる。
電話交換装置の自動通話録音機能については特許文献1に示すような技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−107044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このようなボタン電話装置での自動通話録音機能では、通話録音を開始すると、内線電話機のボタン操作は、通話録音の操作に変わってしまう。すなわち、通話録音を開始すると、通話録音を終了するか否かの指示、あるいは通話録音を消去するか否かの指示、あるいは通話録音を再生するか否かの指示等のボタン操作を受け付ける機能に移る。
【0006】
一方、発信先に自動音声応答装置があった場合、自動音声応答装置の音声ガイダンス等に応じて内線電話機のボタンを操作してプッシュボタン信号(以下PB信号(push button signal)という)を送出する必要がある。しかし、自動音声録音機能が起動すると、ダイヤルボタン操作は録音機能操作になってしまうため、外線の通話相手が音声案内であった場合、内線電話機のダイヤルボタン操作を行っても、PB信号が送出できなくなる。また、自動通話録音の場合、ユーザは、録音していることを通常は認識していないため、音声案内に発信した場合に、PB信号が送出できないと不具合が生じたと誤認してしまうことがあった。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するもので、外線発信時の自動通話録音の開始時に、PB信号の送出の有無を選択することができるようにして、自動録音機能を有する電話交換装置において、PB信号を送出できなくなったり、不具合が生じたと誤認する問題を生じないようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第一の観点は、電話交換装置である。すなわち、1以上の内線電話機を収容し、内線電話機を外線インタフェースを介して外線網との通信を可能とする電話交換装置であって、内線電話機と外線網との通話を自動的に録音する録音手段を備え、録音手段が録音を開始すると、ボタン操作が録音機能操作状態になる電話交換装置において、録音手段の録音開始時に前記内線電話機の特定のボタンが操作されると、ボタン操作をPB信号の送出を可能とするPB信号送出機能操作状態に切り替える切替手段を備える、ことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第二の観点は、電話交換装置の通信方法である。すなわち、1以上の内線電話機を収容し、内線電話機を外線インタフェースを介して外線網との通信を可能とする電話交換装置の通信方法であって、内線電話機と外線網との通話を自動的に録音し、録音が開始されると、ボタン操作が録音機能操作状態になる、電話交換装置の通信方法において、通話の録音開始時に、内線電話機の特定のボタンが操作されることによって、ボタン操作をPB信号の送出を可能とするPB信号送出機能操作状態に切り替える、ことを特徴とする。
【0010】
なお、情報処理装置にインストールすることにより、上記の電話交換装置の各手段の機能を実現できる。
【発明の効果】
【0011】
内線電話機から外線発信し、通信相手が音声案内であった場合に、音声案内に対応するPB信号を送出できなくなることがなくなる。また、ユーザが誤認することもない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明のボタン電話装置の構成を示す図である。
図2】第一の実施の形態におけるシーケンスを示す図である。
図3】第一の実施の形態において内線電話機のLCDに表示される画面例を示す図である。
図4】第二の実施の形態におけるシーケンスを示す図である。
図5】第二の実施の形態において内線電話機のLCDに表示される画面例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明一実施の形態の電話交換装置としてのボタン電話装置の構成を示す図である。なお、この明細書では、ボタン電話装置として説明するが、1以上の内線電話機を収容して電話交換を行うことは構内交換装置(PBX)でも同じである。
【0014】
本実施の形態のボタン電話装置は、主装置1に複数の内線電話機2−1、2−2が接続され、外線網4に接続される。主装置1は、内線インタフェース制御部11、呼処理制御部12、記憶部13、システムデータ部14、VM部15、外部インタフェース制御部16を備える。
【0015】
内線電話機2−1、2−2は、内線インタフェース制御部11を介して主装置1に収容される。また、外線網4へは、外線インタフェース制御部16を介して接続される。呼処理制御部12は、主装置1内に存在している内線/外線の発着信呼を制御する。記憶部13は、通話録音を記憶する。システムデータ部14は、主装置1の各種設定を管理し、例えば、本実施の形態の「外線発信自動通話録音時のダイヤル操作の有無」の設定を管理する。VM部15は、通話録音を制御する。請求項でいう録音手段の録音開始時に、内線電話機の特定のボタンが操作されることによって、PB信号の送出を可能とする状態に切り替える機能は、システムデータ部14、VM部15が担う。
【0016】
なお、上記の主装置1の各部は、機能の観点からその構成を述べたものであり、CPU(中央演算処理装置 Central Processing Unit)とメモリと通信用回路とを備えた情報処理装置を主装置1とし、制御用プログラムを主装置1のメモリにインストールすることにより、上述の内線インタフェース制御部11、呼処理制御部12、記憶部13、システムデータ部14、VM部15、外線インタフェース制御部16の各部の機能を実現できることはいうまでもない。
【0017】
外線網4には、音声案内として、自動音声応答装置5が接続されており、主装置1からの着信後に音声ガイダンスを流して、発信側である内線電話機2(以下複数の内線電話機2−1、2−2・・を総称して内線電話機2という)のダイヤル操作によるPB信号を受け取り、内線呼出しや着信呼の転送をして適切な担当部署へ取り次ぐ機能を有している。
【0018】
つぎに、本発明の第一の実施の形態の動作を図2、3を参照して説明する。図2は、本発明の第一の実施の形態での動作のシーケンスを示す図であり、図3は内線電話機2のLCD(liquid crystal display)表示器の画面に表示される表示例を示す図である。
【0019】
ユーザが自動通話録音設定されている内線電話機2から主装置1を介して外線網4に外線発信する(ステップS1)。
【0020】
外線網4側は、IVR(Interactive Voice Response)等の機能のある自動音声応答装置5により主装置1へ応答を返す。主装置1では、応答のタイミングでシステムデータ部14の制御により、VM部15へ録音要求を通知し、VM部15は、通話録音を開始する(ステップS2)。
【0021】
通話録音対象呼が、「外線発信で自動通話録音」であるため、主装置1は、システムデータ部14の制御により、内線電話機2のLCD表示器へ、PB信号送出有無の画面を表示させる(ステップS3)。この表示は、図3に示すように、「PB信号を送出しますか?」との文言と、「いいえ」、「はい」の選択を表示し、「いいえ」、「はい」として押下するボタンと、選択の決定ボタンを指示する。例えば、「音量“△”(大)、または、音量“▽”(小)で移動し、“決定”押下で選択」というように、音量の選択ボタンと決定ボタンを用いる。あるいは、特定のボタン、例えば、「*」ボタンを押下する操作であってもよい。この表示に対する選択決定には、どのようなボタン操作を用いてもよい。
【0022】
内線電話機2のLCD表示器へのPB信号送出有無の選択画面の表示と同時に、主装置1は、システムデータ部14の制御により、LCD表示器の表示タイマを起動して計時を開始する。タイマ終了までに、ユーザが内線電話機2にて決定操作を行わなかった場合には、LCDの表示は終了し、通話録音制御が継続し、終話まで、PB信号送出はできない(ステップS4)。
【0023】
ユーザは、外線網側の自動音声応答装置8からの応答音声ガイダンスを聴き、PB信号送出の必要性を判断して、内線電話機2を操作し、PB信号送出の決定操作を実施する。「はい」の選択動作を行うと、主装置1は、内線電話機2からのキー情報を受け取り、VM部15へ通話録音の停止要求を行う。VM部15は、通話録音の停止を実行する(ステップS5)。
【0024】
通話録音の停止に伴い、ユーザからのダイヤル情報は、VM部15を介さずに主装置1から外線網4側の自動音声応答装置5へPB信号音を送出することが可能となる。これにより、ユーザは、IVR等の自動音声応答装置5からの音声ガイダンスに応答可能となる。
【0025】
つぎに第二の実施の形態の動作を図4、5を参照して説明する。図4は、第二の実施の形態でのシーケンスを示す図であり、図5は内線電話機のLCD表示器に表示される表示例を示す図である。
【0026】
ユーザが、自動通話録音設定されている内線電話機2から主装置1を介して外線網4に外線発信する(ステップS11)。外線網4側は、IVRの機能のある自動音声応答装置5により主装置1へ応答を返す。主装置1では、応答のタイミングでシステムデータ部14の制御により、VM部15へ録音要求を通知し、VM部15は、通話録音を開始する(ステップS12)。通話録音対象呼が、「外線発信で自動通話録音」であるため、主装置1は、システムデータ部14の制御により、内線電話機2のLCD表示器へ、PB信号送出有無の画面を表示させる(ステップS13)。ここまでは、第一の実施の形態と同様である。
【0027】
第二の実施の形態では、LCD表示器に、「PB信号を送出するか、VM制御を継続するか」の選択画面を表示させる(ステップS15)。この表示は、終話まで表示される。
【0028】
ユーザは、外線網側の自動音声応答装置8からの応答ガイダンス等を聴き、PB信号送出の必要性を判断し、PB信号送出の有無を選択する。選択は、LCD表示器の表示により、対応するボタンを操作することによりPB信号送出の有無を選択する。図5(a)に示す例は、通話録音の選択(VM制御)かPB信号送出かを選択し、決定ボタンを押下することで「PB信号を送出する」を決定した表示例を示している。
【0029】
主装置1は、PB信号送出の決定があると、内線電話機2からのキー情報を受け取り、VM部15を介さずに外線網4へPB信号を送出する(ステップS16)。
選択操作により、ユーザからのダイヤル情報は、VM部15を介さずに、主装置1から外線網4側の自動音声応答装置5へPB信号音を送出することが可能となる。これにより、ユーザは、適応的音声応答装置等の自動音声応答装置5からの音声ガイダンス案内に応答可能となる。
【0030】
ユーザは、通話録音の機能である録音の一時停止や再開、録音終了などの操作を行いたい場合には、継続して表示されているLCD画面から、VM制御(通話録音)を選択する決定を行う(ステップS17)。VM制御が選択されると、主装置1は、内線電話機2からのキー情報を受け取り、VM部15へダイヤル情報を送るように制御を切り替える。ユーザからのダイヤル情報は、VM部15に送られ、録音の一時停止や再開、あるいは録音終了などの操作が可能となる(ステップS18)。図5(b)は、VM制御が選択されたことを示す内線電話機2のLCD表示器の表示例を示す。
【0031】
なお、LCDの表示は、移行を指示するボタンと決定ボタンを用いて選択を行う例であり、「PB信号の送出」、「VM制御」の選択をどのようなボタン操作で行ってもよい。また、内線電話機2の操作がタッチパネル方式である場合には、LCD表示された指示マークをタッチするによっても操作は可能である。
【0032】
さらに、上述の実施の形態の説明では、LCD画面に選択メニューを表示して、その表示に応じて操作することで、PB信号の送出を可能とする説明をした。しかし、LCD画面に選択メニューを表示しなくても、PB信号を送出することは可能である。例えば、音声案内によって特定のボタンを押下することでPB信号に送出することも可能である。昨今のコールセンター等の自動音声応答装置では、ダイヤル信号種別がダイヤルパルスに設定されていることを知らずに電話をしてくる顧客を考慮して、「ダイヤルパルス設定をされている場合、*ボタンを押下して、PB信号に切り替えてから、ダイヤルボタンを押下してください」等の音声メッセージを送出する場合がある。このような場合も音声メッセージに応じてボタン操作することでPB信号に切り替えることが可能である。
【0033】
以上のように、従来は、自動通話録音機能があった場合、発信先が音声案内等のPB信号を必要とする場合、一旦終話し、ボタン電話装置を「自動通話録音設定:OFF」とした後に、電話をかけ直していたが、その必要がなくなった。さらに、かけ直す必要がなく、一連の通話状態でPB信号送出等の操作が可能であるため、発信者の負担が軽減される。また、課金が発生する外線網への発信の場合には費用負担が少なくなる。
【符号の説明】
【0034】
1 主装置
2−1、2−2 内線電話機
4 外線網
5 自動音声応答装置
11 内線インタフェース制御部
12 呼処理制御部
13 記憶部
14 システムデータ部
15 VM部
16 外部インタフェース制御部
図1
図2
図3
図4
図5