特許第6146844号(P6146844)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6146844
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】覆工体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/40 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   E21D11/40 C
【請求項の数】6
【全頁数】31
(21)【出願番号】特願2016-226921(P2016-226921)
(22)【出願日】2016年11月22日
【審査請求日】2017年2月17日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593028551
【氏名又は名称】伊藤忠建機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】509250375
【氏名又は名称】奥村 利博
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】奥村 利博
(72)【発明者】
【氏名】阪野 光弘
(72)【発明者】
【氏名】米本 靖久
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 広樹
(72)【発明者】
【氏名】大松 茂幸
【審査官】 亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】 特開平04−149399(JP,A)
【文献】 特開平11−022396(JP,A)
【文献】 特開2001−303899(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E21D 11/00−19/06
E21D 23/00−23/26
E02D 29/045−29/077
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル後方側から覆工体を組み立てる覆工体組立装置への受渡位置まで、覆工体を搬送する覆工体搬送装置であって、
前記覆工体搬送装置は、移動可能な本体枠と、前記本体枠に対してトンネル軸方向に移動して前記覆工体を移動可能な移動棒と、前記本体枠に対するトンネル軸方向における前記覆工体の移動を規制可能な規制棒と、を備え、
前記移動棒は、前記覆工体を押圧可能な押圧爪を備えるとともに、棒軸を中心として前記押圧爪が前記覆工体を押圧可能な位置から押圧不能な位置まで回転可能であって、
前記規制棒は、前記覆工体の前後面に当接可能な規制爪を備えるとともに棒軸を中心として前記規制爪が前記覆工体に当接可能な位置から当接不能な位置まで回転可能であって、
前記覆工体搬送装置は、前記移動棒が前記押圧爪を前記覆工体に押圧可能な位置となるように回転したときは、前記規制棒が前記規制爪を前記覆工体に当接不能な位置となるように回転させ、前記移動棒が前記押圧爪を前記覆工体に押圧不能な位置となるように回転したときは、前記規制棒が前記規制爪を前記覆工体に当接可能な位置となるように回転させることが可能な回転連動機構を備えたことを特徴とする覆工体搬送装置。
【請求項2】
前記覆工体搬送装置は、前記本体枠に前記覆工体を載置可能であって前記本体枠からトンネル前方に移動可能な移動枠を備えており、前記移動枠は、載置された覆工体を前記覆工体組立装置に受け渡す位置まで移動可能であることを特徴とする請求項1に記載の覆工体搬送装置。
【請求項3】
前記移動枠の前記覆工体組立装置に受け渡す位置までの移動は、前記載置された覆工体が前記押圧爪で押圧されること、または、前記移動枠に取付けられた移動枠ジャッキの作動によって移動することを特徴とする請求項2に記載の覆工体搬送装置。
【請求項4】
前記本体枠、前記移動棒および前記規制棒は、関節構造を有することを特徴とするに請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載の覆工体搬送装置。
【請求項5】
前記移動棒および前記規制棒は、覆工体の幅に合わせて前記押圧爪および前記規制爪を着脱自在に取り付けることが可能な複数の取付部を有していることを特徴とするに請求項1乃至請求項4のうちいずれか1項に記載の覆工体搬送装置。
【請求項6】
前記回転連動機構は、前記移動棒と前記規制棒とを連結する連結部材を備えており、前記押圧爪が前記覆工体を押圧可能な位置であって前記規制爪が前記覆工体を当接不能な位置になったときに固定し、前記押圧爪が前記覆工体に押圧不能な位置であって前記規制爪が前記覆工体を当接可能な位置になったときに固定する位置固定機構を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のうちいずれか1項に記載の覆工体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル掘進機で組み立てられる覆工体を搬送する、特に覆工体を組み立てる覆工体組立装置に覆工体を受け渡す覆工体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シールド工法やTBM工法といったトンネル掘削機を用いるトンネル工事には、覆工体を組み立てる覆工体組立装置が採用されることが多い。覆工体組立装置には、分割された覆工体がトンネル後方から搬送され供給される。一般的に覆工体の搬送は、トンネル後方から覆工体組立装置までの大半が台車によって行われ、覆工体組立装置の近くで台車から覆工体搬送装置に積み替えられ、覆工体組立装置に受け渡されることが多い。
【0003】
従来のこのような覆工体搬送装置には、ローラーコンベアやIビームをレールとした電動トロリーが使用されていた。
しかしながら、ローラーコンベアについては、積み替えられた覆工体を人力によって覆工体組立装置まで搬送するため、作業員の労働負担と安全性に問題がある。特に、勾配の大きいトンネルでは問題となる。
また、Iビームをレールとした電動トロリーについては、限定されたトンネル空間内で覆工体組立装置と干渉する場合があり、他の搬送方式に積み替えするなどの対応が必要となる。さらに、Iビームの盛り替え作業も必要となる。
【0004】
このような中、従来技術として特許文献1のようなものもある。
この従来技術は、トンネル掘削機にシールド掘進機、覆工体としてセグメントを用いるシールド工法におけるセグメント送込み装置である。セグメント送込み装置は、固定ガイド部とスライド移動部とからなり、固定ガイド部は、セグメント載置面を有する固定側支持レール部を備えると共に、逆送防止用爪部材を備える。スライド移動部は、セグメント載置面を有するスライド側支持レール部を備えると共に、供給用爪部材を備える。逆送防止用爪部材及び供給用爪部材は、セグメント載置面に対して上下に進退可能で突出するように付勢されていると共に、前方側にセグメント当接面を有し、且つ後方に向って下方に傾斜する傾斜部を備える。後方からセグメントが通過する際に、逆送防止用爪部材や供給用爪部材は、セグメント載置面よりも下方に没入する。
【0005】
セグメントの搬送は、載置されたセグメントの各ピースに供給用爪を当接させ、スライド移動部を前方に移動させてセグメントを送り、スライド移動部を復帰させる際には送られたセグメントの各ピースに固定ガイド部の逆送防止用爪部を当接させ逆送を防止するものである。
そして、固定ガイド部すべてにセグメントが載置されると、スライド移動部を前方に移動して、最前方に載置されたセグメントを覆工体組立装置であるエレクタ装置の周方向の軌道の直下部分に位置させる。これで当該セグメントをエレクタ装置が把持することができるようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−145194号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1の従来技術は、ローラーコンベアや電動トロリーより改善・改良され安全性と効率性が向上している。しかしながら、以下のような問題がある。
逆送防止用爪部材及び供給用爪部材は、セグメントをトンネル後方側から当接する構造となっているので、トンネル線形が上り勾配では問題が生じないが下り勾配では、トンネル前方にセグメントが滑動するおそれがある。
【0008】
逆送防止用爪部材及び供給用爪部材は、セグメント載置面に設けられた爪用開口を介して固定側支持レール部およびスライド側支持レール部の中空部分に付勢機構とともに設けられている。このため、何らかの部材などが開口部や付勢機構に入り込みやすく、開口部の閉塞や付勢機構の不具合も起こしやすい。また、複数の逆送防止用爪部材及び供給用爪部材それぞれが、開口部内に可動部を有しているので、動作不良の発生する割合も高くなりやすい。
【0009】
スライド移動部がセグメントを前方に搬送するごとに、常にスライド移動部の最前部には、エレクタ装置に受け渡すセグメントが載置されていない場合でも、エレクタ装置の周方向の軌道の直下部分に出入りすることになる。このため、エレクタ装置の動作や他の作業と交錯する場合があり、安全性が低下するおそれもある。
【0010】
トンネルの線形が曲線の場合に対応が難しい。また、一つの工事で幅が異なるセグメントを使用する場合は考慮されていない。
【0011】
そこで、本発明の目的は、上記従来技術の問題点を鑑みて、トンネル線形が上下勾配のどちらであっても覆工体の滑動を防止し、動作が安定的で、エレクタ装置の周方向の軌道の直下部分に必要以上にはみ出さず、トンネルの線形やセグメント幅といった各種の工事条件に対応が可能な覆工体搬送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願の覆工体搬送装置は、トンネル後方側から覆工体を組み立てる覆工体組立装置への受渡位置まで、覆工体を搬送するものであって、移動可能な本体枠と、前記本体枠に対してトンネル軸方向に移動して前記覆工体を移動可能な移動棒と、前記本体枠に対するトンネル軸方向における前記覆工体の移動を規制可能な規制棒と、を備え、前記移動棒は、前記覆工体を押圧可能な押圧爪を備えるとともに、棒軸を中心として前記押圧爪が前記覆工体を押圧可能な位置から押圧不能な位置まで回転可能であって、前記規制棒は、前記覆工体の前後面に当接可能な規制爪を備えるとともに棒軸を中心として前記規制爪が前記覆工体に当接可能な位置から当接不能な位置まで回転可能であって、前記覆工体搬送装置は、前記移動棒が前記押圧爪を前記覆工体に押圧可能な位置となるように回転したときは、前記規制棒が前記規制爪を前記覆工体に当接不能な位置となるように回転させ、前記移動棒が前記押圧爪を前記覆工体に押圧不能な位置となるように回転したときは、前記規制棒が前記規制爪を前記覆工体に当接可能な位置となるように回転させることが可能な回転連動機構を備えたことを特徴とする。
【0013】
前記覆工体搬送装置は、前記本体枠に前記覆工体を載置可能であって前記本体枠からトンネル前方に移動可能な移動枠を備えており、前記移動枠は、載置された覆工体を前記覆工体組立装置に受け渡す位置まで移動可能としてもよい。
【0014】
前記移動枠の前記覆工体組立装置に受け渡す位置までの移動は、前記載置された覆工体が前記押圧爪で押圧されることによって移動するようにしてもよい。また、前記移動枠の前記覆工体組立装置に受け渡す位置までの移動は、前記移動枠に取付けられた移動枠ジャッキの作動によって移動するようにしてもよい。
【0015】
前記本体枠、前記規制棒および前記移動棒は、関節構造を有するようにしてもよい。
【0016】
前記移動棒および前記規制棒は、覆工体の幅に合わせて前記押圧爪および前記規制爪を着脱自在に取り付けることが可能な複数の取付部を有するようにしてもよい。
【0017】
前記回転連動機構は、前記移動棒と前記規制棒とを連結する連結部材を備えており、前記押圧爪が前記覆工体を押圧可能な位置であって前記規制爪が前記覆工体を当接不能な位置になったときに固定し、前記押圧爪が前記覆工体に押圧不能な位置であって前記規制爪が前記覆工体を当接可能な位置になったときに固定する位置固定機構を備えるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本願の覆工体搬送装置は、トンネル後方側から覆工体を組み立てる覆工体組立装置への受渡位置まで、覆工体を搬送するものであって、移動可能な本体枠と、前記本体枠に対してトンネル軸方向に移動して前記覆工体を移動可能な移動棒と、前記本体枠に対するトンネル軸方向における前記覆工体の移動を規制可能な規制棒と、を備え、前記移動棒は、棒の周面に前記覆工体を押圧可能な押圧爪を備えるとともに、棒軸を中心として前記押圧爪が前記覆工体を押圧可能な位置から押圧不能な位置まで回転可能であって、前記規制棒は、棒の周面に前記覆工体の前後面に当接可能な規制爪を備えるとともに棒軸を中心として前記規制爪が前記覆工体に当接可能な位置から当接不能な位置まで回転可能であって、前記覆工体搬送装置は、前記移動棒が前記押圧爪を前記覆工体に押圧可能な位置となるように回転したときは、前記規制棒が前記規制爪を前記覆工体に当接不能な位置となるように回転させ、前記移動棒が前記押圧爪を前記覆工体に押圧不能な位置となるように回転したときは、前記規制棒が前記規制爪を前記覆工体に当接可能な位置となるように回転させることが可能な回転連動機構を備えたことにより、トンネル線形が上下勾配のどちらであっても覆工体の滑動を防止することができ、また、移動棒および規制棒を回転させることで、押圧爪および規制爪を覆工体に接するようにするため、覆工体の搬送するための動作が不良になるおそれも低下させることができ、メンテナンス性も向上し、コストが低下する。
【0019】
加えて、前記本体枠に前記覆工体を載置可能であって前記本体枠からトンネル前方に移動可能な移動枠を備えており、前記移動枠は、載置された覆工体を前記覆工体組立装置に受け渡す位置まで移動可能であるので、盛り替えをすることなしに、覆工体組立装置に覆工体を受け渡すことができる。
【0020】
加えて、前記移動枠の前記覆工体組立装置に受け渡す位置までの移動は、前記載置された覆工体が前記押圧爪で押圧されること、または、前記移動枠に取付けられた移動枠ジャッキの作動によって移動するので、覆工体組立装置の周方向の軌道の直下部分に必要以上にはみ出さず、安全性が高い。
【0021】
加えて、前記本体枠、前記移動棒および前記規制棒は、関節構造を有するので、トンネル線形に曲線が存在しても対応が可能である。
【0022】
加えて、前記移動棒および前記規制棒は、覆工体の幅に合わせて前記押圧爪および前記規制爪を着脱自在に取り付けることが可能な複数の取付部を有するので、幅が異なる覆工体が複数用いられるトンネルにおいても対応が可能である。
【0023】
加えて、前記回転連動機構は、前記移動棒と前記規制棒とを連結する連結部材を備えており、前記押圧爪が前記覆工体を押圧可能な位置であって前記規制爪が前記覆工体を当接不能な位置になったときに固定し、前記押圧爪が前記覆工体に押圧不能な位置であって前記規制爪が前記覆工体を当接可能な位置になったときに固定する位置固定機構を備えているので、移動棒の移動中や搬送作業がないときにおいても不意に押圧爪や規制爪の固定が解除されず、安全な作業が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の第1の実施形態における覆工体搬送装置の平面図である。
図2】本発明の第1の実施形態における覆工体搬送装置の平面図である。
図3図1におけるA−A断面図およびB−B断面図である。
図4図1におけるC−C断面図および図2におけるD−D断面図である。
図5図1におけるE−E方向からみた後面図である。
図6】本発明の第1の実施形態における覆工体搬送装置の位置固定機構の作動図である。
図7】本発明の第1の実施形態における覆工体搬送装置の位置固定機構の作動図である。
図8図2におけるア部分拡大図、その側面図およびF−F断面図である。
図9】G−G断面図および図8におけるイ部分拡大図である。
図10図1におけるウ部分拡大図、その側面図およびH−H断面図である。
図11】本発明の第1の実施形態における覆工体搬送装置の動作の説明図である。
図12】本発明の第1の実施形態における覆工体搬送装置の動作の説明図である。
図13】本発明の第1の実施形態における覆工体搬送装置の動作の説明図である。
図14】本発明の第2の実施形態における覆工体搬送装置の平面図である。
図15】本発明の第2の実施形態における覆工体搬送装置の平面図である。
図16図14におけるI−I断面図およびJ−J断面図である。
図17図15におけるK−K断面図およびL−L断面図である。
図18図14におけるエ部分拡大図および図15におけるオ部分拡大図である。
図19図18におけるカ部分拡大図、その側面図およびM−M断面図である。
図20】本発明の第2の実施形態における覆工体搬送装置の動作の説明図である。
図21】本発明の第2の実施形態における覆工体搬送装置の動作の説明図である。
図22】本発明の第2の実施形態における覆工体搬送装置の動作の説明図である。
図23】本発明の第2の実施形態における覆工体搬送装置を曲線配置した平面図である。
図24】本発明の第2の実施形態における覆工体搬送装置を曲線配置した平面図である。
図25】本発明の第3の実施形態における覆工体搬送装置の平面図である。
図26】本発明の第3の実施形態における覆工体搬送装置の平面図である。
図27図25におけるN−N断面図およびO−O断面図である。
図28図26におけるP−P断面図およびQ−Q断面図である。
図29】本発明の第3の実施形態における覆工体搬送装置の動作の説明図である。
図30】本発明の第3の実施形態における覆工体搬送装置の動作の説明図である。
図31】本発明の第3の実施形態における覆工体搬送装置の動作の説明図である。
図32】本発明の第4の実施形態における回転連動機構の平面図および後面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
〔第1の実施形態〕
以下、本発明の第1の実施形態について図面の図1乃至図13と共に説明する。なお、本発明は、第1の実施形態は、トンネル掘削機としてシールド掘進機を用いるシールド工法において覆工体のセグメントを組み立てる覆工体組立装置のエレクタにセグメントを搬送するセグメント搬送装置であるが、この実施形態に限定されないことはいうまでもない。
【0026】
図1は、セグメント搬送装置1をシールド掘進機2の後方に配置したものである。シールド掘進機2は、スキンプレート3の内部で図示しないエレクタによりセグメントを組み立ててトンネルを構築する。シールド掘進機2は、組み立てられた組立済セグメント6にシールドジャッキ4の反力をとって図示しない回転カッターで掘削する。図中のエレクタ受渡線5は、次のセグメントを組み立てる中心線、すなわちトンネル円周方向に移動するエレクタの軌道の中心線であり、この線上で、セグメント搬送装置1からエレクタにセグメントの受け渡しが行われる。
【0027】
図1に示すように、セグメント搬送装置1には、セグメント7が1リング分として5ピースが載置できるようになっている。セグメント搬送装置1に載置されるセグメント7の順序は、エレクタで組み立てられる順序で載置されており、具体的には、トンネル前方側からAセグメント、Aセグメント、Bセグメント、Bセグメント、Kセグメントの順である。そして、トンネル前方から順にエレクタ受渡線5上に搬送される。図2は、最初に組み立てられるAセグメントが、エレクタ受渡線5上に搬送された状態を示している。
【0028】
セグメント搬送装置1は、本体枠10、移動棒20、規制棒30、回転連動機構40、移動枠50を備えている。
セグメント搬送装置1の主な機能は、本体枠10に対してトンネル前後方向に移動する移動棒20によりセグメント7を移動させ、移動棒20を復帰させる際に規制棒30によりセグメント7の移動を防止して、セグメント7を1リング分載置して、移動枠50をトンネル前方に移動させ、エレクタ受渡線5上にセグメント7を順に搬送する。
【0029】
〔本体枠〕
図1乃至図4に示すように、本体枠10は、本体フレーム11、本体載置フレーム12、本体連結フレーム13を備えている。本体フレーム11および本体載置フレーム12は、トンネル軸方向を長手方向とした長尺形状である。本体フレーム11の左右に本体載置フレーム12が並べられ、本体連結フレーム13で、本体フレーム11および本体載置フレーム12を連結されている。
【0030】
図3および図4に示すように、本体枠10は組立済セグメント6上に移動可能に配置されている。本体フレーム11および本体載置フレーム12の組立済セグメント6と接する部分は、本体移動部14としてソリとなっている。そして、図示しないが、本体枠10はシールド掘進機2と連結されシールド掘進機2の移動とともに組立済セグメント6上を移動可能となっている。
なお、本体移動部14はソリに限定されず、ローラーやレール上を走行する車輪であっても良く、本体枠10もシールド掘進機2と連結されておらず、例えばセグメント搬送装置1が自走するものであっても良い。
【0031】
図3および図4に示すように、本体載置フレーム12には、セグメント7が載置される。本体載置フレーム12は、セグメント7が載置されたままトンネル軸方向に移動可能なように本体ローラー15aを備えている。
【0032】
図3(B)に示すように、本体載置フレーム12は、移動棒20を支持する移動棒ガイドアーム16を備えている。図4(A)に示すように、本体載置フレーム12は、移動棒20を支持する移動棒ガイドアーム16を移動枠ガイドレール18を介して備えている。移動棒ガイドアーム16の移動棒ガイド16aは、移動棒20を回転可能であってトンネル軸方向に移動可能に支持する。移動棒ガイド16aは、C型形状であって移動棒ガイドアーム16に固定されている。C型形状であるので、移動棒20が備える押圧爪21がトンネル前後方向に移動するのに支障とならない。移動棒ガイド16aは、後述するように移動棒外棒20aを支持する。
【0033】
図3(A)に示すように、本体載置フレーム12は、規制棒30を支持する規制棒ガイドアーム17を備えている。規制棒ガイドアーム17の規制棒ガイド17aは、規制棒30を回転可能であってトンネル前後方向には移動不能に支持する。規制棒ガイド17aは、リング形状であって規制棒ガイドアーム17に固定されている。具体的には、図10(A)に示すように、規制棒30のトンネル前後側に設けられた規制棒外周リング33で規制棒ガイド17aを挟んで構成することで、トンネル前後方向の移動を規制している。
【0034】
本体枠10は、トンネル軸方向に二分割されて本体枠関節部19で連結されている。このため、トンネル線形に曲線が含まれていても対応が可能となっている。本体枠関節部19は、本体フレーム11の端部に設けられるピン接続構造であるが、これには限定されない。
【0035】
〔移動棒〕
移動棒20は、本体枠10に対してトンネル前後方向に移動して、セグメント7をトンネル前方に搬送するためのものである。移動棒20は、本体枠10と同等の長さで、本体載置フレーム12の内側に設けられている。図2図8および図9に示すように、移動棒ジャッキ22が取付けられるトンネル最前方側の移動棒20は、移動棒外棒20aと移動棒外棒20aに内嵌する移動棒内棒20bとで構成されている。移動棒外棒20aは、棒軸を中心として回転可能であってトンネル前後方向に移動可能である。移動棒内棒20bは、棒軸を中心として回転可能であってトンネル前後方向には移動しない。
【0036】
移動棒20は、図3(A)および図3(B)に示すように、外周に張り出した押圧爪21を備えている。具体的には、移動棒20の外周に押圧爪21が設けられている。押圧爪21は、移動棒20が棒軸を中心として回転することによって、本体ローラー15aに載置されたセグメント7を押圧可能な位置(以下、押圧位置という。)と、押圧不能な位置(以下、引き位置という。)とに切り替えられる。
押圧爪21が押圧位置のときには、移動棒外棒20aが前進して押圧爪21がセグメント7の後面に当接し押圧することで、セグメント7を搬送する。押圧爪21が引き位置のときには、押圧爪21はセグメント7に当接せず、移動棒外棒20aが後退することで、次の工程に対応可能なようになる。
【0037】
押圧爪21は、図1および図2に示すように、1リング分の5ピースのセグメント7がセグメント搬送装置1に並べられたときに対応できるように、1ピースに対して左右2箇所に移動棒20に設けられている。具体的には、一つの移動棒20について5個設けられている。
図10(A)および図10(B)に示すように、移動棒20には、押圧爪取付雌ネジ21bが取付部として複数設けられている。押圧爪21の取付部として設けられた押圧爪取付雄ネジ21aを押圧爪取付雌ネジ21bに螺合することで取り付けられる。押圧爪21が移動棒20に着脱自在で、取り付け場所を変更することで、異なる幅のセグメント7に対しても対応が可能となっている。
【0038】
移動棒20の移動は、移動棒ジャッキ22によって行われる。移動棒ジャッキ22は、図3(A)に示すように一端が移動棒押しアーム23を介して移動棒外棒20aに取付けられ、図3(B)に示すように他端が本体枠10に取付けられている。移動棒ジャッキ22が伸びることで移動棒外棒20aが後退し(図1図11(B)など)、移動棒ジャッキ22が縮むことで移動棒外棒20aが前進する(図2図11(C)など)。移動棒外棒20aの最大前後移動距離、すなわち移動棒ジャッキ22の最大ストロークは、セグメント7の1ピースの幅に対応した距離としているが、それ以上としてもよい。
【0039】
図3(A)に示すように、移動棒ジャッキ22の一端が取付けられる移動棒押しアーム23には、移動棒取付部23aが設けられている。移動棒取付部23aは、リング形状であり移動棒外棒20aが貫通している。図8(A)、図8(B)および図9(B)に示すように、移動棒外棒20aの外周には、移動棒取付部23aを挟んで移動棒外周リング25が設けられており、移動棒取付部23aの移動棒外棒20aに対するトンネル前後方向への移動が規制される。
この構成によって、移動棒外棒20aは、回転可能であるとともに移動棒ジャッキ22の動作によって進退することが可能となっている。
【0040】
移動棒内棒20bは、移動棒外棒20aに回転力を伝達させるものである。図9に示すように、移動棒内棒20bは、移動棒外棒20aに内嵌している。図9(A)および図9(B)に示すように、移動棒内棒20bと移動棒外棒20aとはキー接合され、共に回転するようになっている。本実施形態では、長手方向に沿って、移動棒外棒20aの内周には移動棒外棒キー20a1、移動棒内棒20bの外周には移動棒内棒溝20b1が設けられ、互いに係合する。このような構成とすることで、移動棒外棒20aがトンネル前後方向に移動しても、移動棒内棒20bを回転させることで移動棒外棒20aを回転させ、押圧爪21の位置を切り替えることができる。
移動棒内棒20bは、図1図2図5に示すように、セグメント搬送装置1のトンネル後方端部において移動棒ガイドアーム16により回転可能であってトンネル軸方向に移動不能に支持されている。
【0041】
図1および図2に示すように、移動棒外棒20aは、トンネル軸方向に三分割されて移動棒関節部26で連結されている。このため、トンネル線形に曲線が含まれていても対応が可能となっている。移動棒関節部26は、本体枠関節部19が一箇所であるのに対して、二箇所となっている。これは、移動棒外棒20aがトンネル軸方向に移動するのに対応するためである。
【0042】
移動棒関節部26は、回転するためユニバーサルジョイントとされているが、これには限定されず、フレキシブルジョイントなどであってもよい。また、トンネル線形が曲線での内側の移動棒外棒20aは、トンネル後方側の端部が移動棒押しアーム23で固定されているため、トンネル前方側の端部において、外側の移動棒外棒20aより飛び出すことになる。この飛び出しが支障になる場合には、内側の移動棒関節部26に伸縮型のユニバーサルジョイントを使用する。
【0043】
移動棒外棒20aは、移動棒ガイドアーム16に設けられた移動棒ガイド16aにより回転可能であって、トンネル前後方向に移動可能に支持されている。移動棒外棒20aは、三分割されているが、支持されているのは、図1および図2に示すように、トンネル前方と後方に位置する移動棒外棒20aであって、中央の移動棒外棒20aについては、支持されていない。これは、トンネル線形が曲線の場合に移動棒関節部26が屈曲しても、移動棒外棒20aがトンネル前後方向に移動するのに支障を生じさせないためである。また、図1図2および図8に示すように、C型形状の移動棒ガイド16aは、比較的長い距離で移動棒外棒20aを支持し、支持を確実にしている。図3(B)および図8(A)に示すように、移動棒ガイド16aのC型形状は、押圧爪21が押圧位置であっても、引き位置であってもトンネル前後方向の移動が可能であるような形状となっている。
【0044】
〔規制棒〕
規制棒30は、本体枠10に対してセグメント7が移動しないように規制するためのものである。規制棒30は、本体枠10と同等の長さで、本体載置フレーム12の外側に設けられている。規制棒30は、棒軸を中心として回転可能であってトンネル前後方向には移動不能となっている。
【0045】
規制棒30は、図3(A)および図3(B)に示すように、外周に張り出した規制爪31を備えている。規制爪31は、規制棒30が棒軸を中心として回転することによって、本体ローラー15aに載置されたセグメント7の移動を規制可能な位置(以下、規制位置という。)と、規制不能な位置(以下、開放位置という。)とに切り替えられる。
規制爪31が規制位置のときには、移動しようとするセグメント7の前後面が規制爪31に当接することで、セグメント7の移動を規制する。規制爪31が開放位置のときには、移動しようとするセグメント7の前後面が規制爪31に当接せず、セグメント7の移動が可能となる。
【0046】
規制爪31は、図1および図2に示すように、1リング分の5ピースのセグメント7がセグメント搬送装置1に並べられたときに対応できるように、1ピースに対して前後左右4箇所に規制棒30に設けられている(隣り合うセグメント7のものは兼ねている。)。具体的には、一つの規制棒30について6個設けられている。
図10(A)に示すように、規制棒30にも、移動棒20と同様に規制爪取付雌ネジ31bが取付部として複数設けられている。規制爪31の取付部として設けられた規制爪取付雄ネジ31aを規制爪取付雌ネジ31bに螺合することで取り付けられる。規制爪31が規制棒30に着脱自在であり、取り付け場所を変更することで、異なる幅のセグメント7に対しても対応が可能となっている。
【0047】
規制棒30は、規制棒ガイドアーム17に設けられた規制棒ガイド17aにより回転可能であって、トンネル前後方向に移動不能に支持されている。支持されている箇所は、図1乃至図4に示すように、本体載置フレーム12の所定位置の複数箇所で支持されている。
図10(A)に示すように、規制棒30の外周には、規制棒ガイド17aを挟んで規制棒外周リング33が設けられており、本体枠10に対してトンネル前後方向への移動が規制される。
【0048】
図1および図2に示すように、規制棒30は、トンネル軸方向に二分割されて規制棒関節部34で連結されている。このため、トンネル線形に曲線が含まれていても対応が可能となっている。
規制棒関節部34は、移動棒関節部26と同様に、回転するためユニバーサルジョイントとされているが、これには限定されず、フレキシブルジョイント、伸縮型のユニバーサルジョイントなどであってもよい。
【0049】
〔回転連動機構〕
移動棒20と規制棒30とは連動して回転する。押圧爪21が押圧位置となったときに規制爪31は開放位置となり、押圧爪21が引き位置となったときに規制爪31は規制位置となるように連動して回転する。この連動した回転を実現するものが回転連動機構40である。図1および図2に示すように、回転連動機構40は、セグメント搬送装置1のトンネル後方端部に設けられている。
【0050】
図5(A)および図5(B)に回転連動機構40を示す。移動棒内棒20bは、トンネル後方端部においてその外周に突設された移動棒第一回転部材24aと移動棒第二回転部材24bとを備えている。移動棒第一回転部材24aおよび移動棒第二回転部材24bは、移動棒内棒20bの回転とともに回転する。規制棒30も、トンネル後方端部においてその外周に突設された規制棒回転部材32を備えている。規制棒回転部材32は、規制棒30の回転とともに回転する。移動棒第一回転部材24aの先端と規制棒回転部材32の先端は、棒間連結部材41で連結されており、移動棒内棒20bの回転に連動して規制棒30が回転するようになっている。
なお、図5における本体載置フレーム12は、本体ローラー15aではなく、後述する本体摺動部15bが採用されたものである。
【0051】
左右の移動棒第二回転部材24bの先端は、移動棒連結部材42の両端に設けられた長孔42aに連結されている。移動棒連結部材42を上下することによって、移動棒内棒20bと規制棒30とが回転する。移動棒連結部材42が、上に位置するときに押圧爪21が押圧位置となるとともに規制爪31が開放位置となり(図5(A))、下に位置するときに押圧爪21が引き位置となるとともに規制爪31が規制位置となる(図5(B))ように設定されている。
移動棒連結部材42は、本体フレーム11上に設けられた足踏バネ43により上方向に付勢されている。足踏バネ43の付勢力によって移動棒連結部材42の上位置が定められ、押圧爪21を押圧位置の状態および規制爪31を開放位置で固定することになる。
なお、必要以上に移動棒連結部材42が上昇しないように、ハンドル44の柱部のトンネル後方面に突起を設け、当該突起に移動棒連結部材42の上面を当接させるようにして、規制するようにしてもよい。
【0052】
図5乃至図7に示すように、本体連結フレーム13には、ハンドル取付部13aが設けられ、ハンドル44がトンネル前方に回動可能に立設されている。ハンドル44の柱下端のトンネル前方面には、ハンドル固定バネ46の一端が取付けられている。ハンドル固定バネ46の他端は、本体枠10に取付けられており、ハンドル44をトンネル後方に回転するように付勢している。ハンドル44の柱下端のトンネル後方面には、板状のハンドル規制部45が設けられている。ハンドル規制部45のトンネル前方面が、ハンドル取付部13aのトンネル後方面に当接することで、ハンドル44が立設位置から、トンネル後方に回動するのが規制されている。
【0053】
ハンドル44の柱部には、移動棒連結部材42を下の位置で固定する移動棒連結部材規制部47が設けられている。移動棒連結部材規制部47は、図6および図7で示すように、側面視略三角形状であり、移動棒連結部材規制傾斜面47a、移動棒連結部材規制当接部47b、移動棒連結部材規制突部47cで構成されている。図5(B)に示すように、足踏バネ43の付勢力に抗して移動棒連結部材42に設けられた切欠42bを移動棒連結部材規制当接部47bに係合させることで移動棒連結部材42を下の位置で固定し、押圧爪21を引き位置の状態および規制爪31を規制位置の状態に固定する。
【0054】
押圧爪21と規制爪31の回転を固定するハンドル44と移動棒連結部材42との固定動作について、図6および図7により説明する。
図6は、押圧爪21の押圧位置から引き位置までの動作を示したものである。図6(A)は、移動棒連結部材42が上昇した状態を示したもので押圧爪21は押圧位置に位置している。移動棒連結部材42は、立設したハンドル44の柱部トンネル前方面に接しており移動棒連結部材規制部47の上方に位置している。この状態で、移動棒連結部材42は、足踏バネ43によって上昇した状態で固定されている。
【0055】
ハンドル44が立設した状態から移動棒連結部材42を足で踏込んで下降させる(図6(B))。下降する移動棒連結部材42は、移動棒連結部材規制傾斜面47aに当接することで、ハンドル44はトンネル前方に回転する。ハンドル44の横部材を手で持ちトンネル前方にハンドル44を回転させる(倒す)ように補助してもよい。移動棒連結部材42の切欠42bが、移動棒連結部材規制突部47cより下方になるまで、移動棒連結部材42を下降させる(図6(C))。なお、図5(A)および図5(B)に示すように、移動棒連結部材42が必要以上に下降しないように規制する移動棒連結部材下限規制部49を本体連結フレーム13に突設しておいてもよい。
【0056】
図6(D)に示すように、移動棒連結部材42の踏込みを停止すると、ハンドル固定バネ46によってハンドル44がトンネル後方に立設するように回転するとともに、移動棒連結部材42が足踏バネ43によって上昇することで、移動棒連結部材42の切欠42bと移動棒連結部材規制当接部47bが当接する。これによって、移動棒連結部材42が下降した位置に固定される。また、この固定状態において、ハンドル44がトンネル前方に回転しようとしたり、移動棒連結部材42がトンネル後方に移動しようとしても、移動棒連結部材規制突部47cが切欠42bと係合するので、固定状態が解除されない。
【0057】
図7は、押圧爪21の引き位置から押圧位置までの動作を示したものである。図7(A)は、図6(D)の状態から移動棒連結部材42の切欠42bが、移動棒連結部材規制突部47cより下方になるまで、移動棒連結部材42を足で踏込み下降させたものである。ハンドル44の横部材を手で持ちハンドル44をトンネル前方に回転させ(倒して)、移動棒連結部材規制突部47cと切欠42bとの係合を解除する(図7(B))。足踏バネ43により、移動棒連結部材42が上昇する(図7(C))。ハンドル固定バネ46によりハンドル44がトンネル後方に回転し立設した状態となる(図7(D))。
【0058】
〔移動枠〕
図1および図2に示すように、移動枠50は、本体枠10に対してトンネル前後方向に移動可能に設けられる。移動枠50は、二分割された本体枠10のうち、トンネル前方側の本体枠10に設けられている。移動枠50には、セグメント7が載置可能である。トンネル前方に移動した移動枠50の最もトンネル前方に載置されたセグメント7を図示しないエレクタに受け渡す。
【0059】
図4(A)に示すように、移動枠50は、本体枠10の本体連結フレーム13に設けられた移動枠ガイドレール18上をトンネル前後方向に移動可能に設けられている。移動枠ガイドレール18は、図1図2および図4(A)に示すように、本体載置フレーム12の内側で移動棒20の外側に設けられており、本体枠10よりトンネル前方側にセグメント7の約1ピースの幅分だけ張り出したように設けられている。移動枠ガイドレール18には、移動枠50の移動を案内するとともに、移動枠50の浮き上がりを防止する移動枠ガイドレール係合部18aが設けられている(図4(A))。
【0060】
図1図2および図4に示すように、移動枠50は、移動載置フレーム51と、左右の移動載置フレーム51を連結する移動連結フレーム52を備えている。
移動載置フレーム51は、移動枠ガイドレール18に沿って移動するものであり、セグメント7を載置することが可能である。図4(A)および図10に示すように、移動載置フレーム51には、移動枠移動ローラー54aが設けられており、移動枠ガイドレール18上を転動する。図4(A)に示すように、移動載置フレーム51には、移動載置フレーム係合部51aが設けられ、移動枠ガイドレール係合部18aと係止することで、移動枠50の浮き上がりを防止する。
【0061】
図4(B)に示すように、移動載置フレーム51の移動枠ガイドレール18より張り出したトンネル前方端部には、移動載置フレーム脚部51bが設けられ、組立済セグメント6に接地している。移動連結フレーム52にも移動連結フレーム脚部52aが設けられ、組立済セグメント6に接地している。移動載置フレーム脚部51bと移動連結フレーム脚部52a
の組立済セグメント6との接地する部分は、移動枠50を移動可能とする移動枠移動部56として、本体移動部14と同様にソリが設けられている。
【0062】
本実施形態の移動枠50の本体枠10に対しての移動は、移動枠ジャッキ53によって行われる。図1図2および図4に示すように、移動枠ジャッキ53の一端が本体フレーム11に取り付けられ、他端が移動連結フレーム52に取り付けられている。移動枠ジャッキ53が縮むことで移動枠50が後退し(図1図11など)、移動枠ジャッキ53が伸びることで移動枠50が前進する(図2図13(C))。移動枠50の最大前後移動距離、すなわち移動枠ジャッキ53の最大ストロークは、セグメント7の1ピースの幅に対応した距離としているが、それ以上としてもよい。
【0063】
移動枠50に載置されたセグメント7は、移動棒20の押圧爪21によって移動載置フレーム51上を移動可能である。図4(A)、図4(B)および図10に示すように、移動載置フレーム51には、セグメント7の載置部として移動枠ローラー55aが設けられており、転動することで載置されたセグメント7の押圧爪21による移動が可能となっている。移動載置フレーム51のトンネル前方端部には、図1図2および図4(B)に示すように、移動枠先端ストッパー57が設けられ、移動載置フレーム51上を移動するセグメント7が端部から落ちないようになっている。
【0064】
〔搬送動作〕
図11乃至図13により、セグメント搬送装置1のセグメント7の搬送動作を説明する。
図11(A)に示すセグメント搬送装置1は、押圧爪21を引き位置および規制爪31を規制位置とし、移動棒ジャッキ22を伸ばし、移動枠ジャッキ53は縮んだ状態である。この状態において、最初にエレクタに受け渡す、すなわち最初に組み立てられるセグメント7(Aセグメント)を、本体載置フレーム12のトンネル最後方側に載置する。載置されたセグメント7のトンネル前後方向に規制位置の規制爪31が左右に存在するので、トンネル線形が上り勾配や下り勾配であったとしても、本体ローラー15aの転動によるセグメント7の移動が規制される。
【0065】
図11(B)に示すように、回転連動機構40によって、押圧爪21を押圧位置および規制爪31を開放位置に切り替える。この状態でも、載置されたセグメント7のトンネル前後方向に押圧位置の押圧爪21が左右に存在するので、トンネル線形が上り勾配や下り勾配であったとしても、本体ローラー15aの転動によるセグメント7の移動が規制される。
【0066】
図11(C)に示すように、移動棒ジャッキ22を縮めることで、移動棒外棒20aを移動させ、押圧爪21でセグメント7を押圧する。押圧されたセグメント7は、本体ローラー15aの転動により移動する。移動させる距離は、約1ピースのセグメント7の幅に対応する距離である。押圧中であってもセグメント7のトンネル前方側には、押圧位置の押圧爪21が存在するため、トンネル線形が下り勾配であったとしてもセグメント7のトンネル前方への移動が規制される。
【0067】
図12(A)に示すように、回転連動機構40によって、押圧爪21を引き位置および規制爪31を規制位置に切り替える。
図12(B)に示すように、移動棒ジャッキ22を伸ばして押圧爪21を図11(A)の状態に復帰させる。移動したセグメント7は、規制位置にある規制爪31によって移動が規制される。
図12(C)に示すように、二番目にエレクタに受け渡す、すなわち二番目に組み立てられるセグメント7(Aセグメント)を、本体載置フレーム12のトンネル最後方側に載置する。
【0068】
図11(B)から図12(C)までの工程を、4ピース分のセグメント7が載置されるまで繰り返して、図13(A)に示すように、最後に組み立てられるセグメント7(Kセグメント)を本体載置フレーム12のトンネル前方側に載置し、1リング分である5ピースのセグメント7が載置された状態となる。
セグメント7が順に載置されていく過程では、移動枠50にもセグメント7が移動して載置されることになる。
図13(B)に示すように、回転連動機構40によって、押圧爪21を押圧位置および規制爪31を開放位置に切り替える。
【0069】
図13(C)に示すように、移動棒ジャッキ22を縮めることで、移動棒外棒20aを移動させ、押圧爪21でセグメント7を押圧する。そして、ここでは移動棒ジャッキ22の縮める動作に移動枠ジャッキ53の伸びる動作を同期させて、移動枠50をトンネル前方に移動させる。この動作により、移動枠50のトンネル前方端部に載置されたセグメント7が、エレクタ受渡線5上に位置することになり、エレクタへの受渡しが可能となる。
【0070】
エレクタがセグメント7を受け取るときには、規制爪31を規制位置にしておくほうが好ましい。それは、規制爪31を開放位置にしておくと、エレクタで受け取るセグメント7のトンネル前方側は、移動枠先端ストッパー57により移動が規制されるが、トンネル後方側には、規制爪31が機能しないからである。押圧爪21を押圧位置にしたまま、エレクタでセグメント7を受け取ることも可能であるが、押圧したままであるとセグメント7が特にコンクリート製の場合では、欠けが発生するおそれがある。
【0071】
エレクタに二番目のセグメント7を受け渡す際には、規制爪31を規制位置とした状態で移動棒ジャッキ22を伸ばすとともに、移動枠ジャッキ53を縮めて移動枠50をトンネル後方に戻して、移動枠50のトンネル前方端部に二番目のセグメント7が載置することになる(図13(A)のセグメント搬送装置1の状態)。その後、図13(B)、図13(C)と同様の順序で二番目のセグメント7をエレクタ受渡線5上に搬送する。これを五番目のセグメント7(Kセグメント)まで繰り返す。
このようにすることで、必要以上にエレクタ受渡線5上に移動枠50が入ることがなく、安全性も高くすることができる。
【0072】
〔第2の実施形態〕
本発明の第2の実施形態を図14乃至図24と共に説明する。なお、第1の実施形態と同様の事項については説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
第2の実施形態のセグメント搬送装置1は、本体枠10および移動枠50においてセグメント7を移動可能に載置する載置部の構成として、第1の実施形態の本体ローラー15aおよび移動枠ローラー55aに代えて、本体摺動部15bおよび移動枠摺動部55bとしている。
また、図14および図15に示すように、第2の実施形態のセグメント搬送装置1は、移動枠50の本体枠10に対するトンネル前方への移動について、第1の実施形態の移動枠ジャッキ53を用いず、移動棒20によるセグメント7の押圧によって移動枠50を移動させる。
【0073】
図16および図17(A)に示すように、本体枠10の本体載置フレーム12のセグメント7が載置される面には、本体摺動部15bが設けられている。本体摺動部15bは、摩擦係数が低い材料、例えば超高分子量ポリエチレンといった材料の部材が設けられている。
図17(A)および図17(B)に示すように、移動枠50の移動載置フレーム51のセグメント7が載置される面には、移動枠摺動部55bが設けられている。移動枠摺動部55bも本体摺動部15bと同様、摩擦係数が低い材料の部材が設けられている。
【0074】
移動枠ガイドレール18は、図14図15および図17(A)に示すように、本体載置フレーム12の内側に設けられた移動棒20の内側に設けられており、分割された本体枠10のトンネル前方側にセグメント7の略2ピース分の長さで設けられている。図17(A)に示すように、移動載置フレーム51には、第1の実施形態の移動枠移動ローラー54aに代えて、移動枠移動摺動部54bが設けられており、移動枠ガイドレール18上を摺動する。移動枠移動摺動部54bも本体摺動部15bと同様、摩擦係数が低い材料の部材が設けられている。
このように第1の実施形態の本体ローラー15a、移動枠移動ローラー54aおよび移動枠ローラー55aを用いないため、装置全体の高さを抑えることができる。
【0075】
図17(A)に示すように、移動載置フレーム51の下部フランジが移動載置フレーム係合部51aとなり、移動枠ガイドレール係合部18aと係止することで、移動枠50の浮き上がりを防止する。
第2の実施形態の移動枠50は、第1の実施形態のものよりもトンネル左右方向の幅を狭くしている。これは、後述するように、移動枠50の枠の本体枠10に対する移動を専用の移動枠ジャッキ53を用いず、移動棒ジャッキ22によって行うため軽量化を図ったためである。但し、セグメント7を載置したときの安定性も考慮する必要がある。
【0076】
図14図15および図18に示すように、移動枠50は、本体載置フレーム12のトンネル前方端部に載置されたセグメント7が押圧爪21に押圧されてエレクタ受渡線5に向って移動することに伴って移動するように構成されている。そして、押圧爪21のトンネル後方への移動によって本体載置フレーム12の間に移動し収納されるようになっている。
【0077】
移動枠50がトンネル前方に移動する構成を説明する。図18(A)は、移動枠50がトンネル前方に移動する前の状態である。本体載置フレーム12のトンネル前方端部にはセグメント7が載置されている。また、当該セグメント7は移動載置フレーム51にも載置されている。押圧爪21により当該セグメント7を押し出すと、セグメント7は本体載置フレーム12および移動載置フレーム51を摺動して、移動枠50の移動枠先端ストッパー57に当接することになる。セグメント7が移動枠先端ストッパー57に当接するまでは、図17(B)に示す移動載置フレーム脚部51bが組立済セグメント6に接しており、この摩擦により移動枠50は移動しない。
そして、移動枠先端ストッパー57に当接したセグメント7がさらに押圧爪21によって押圧されトンネル前方に移動すると、セグメント7とともに移動枠50がトンネル前方に移動する(図18(B))。
【0078】
移動枠50がトンネル後方に移動する構成を説明する。図17(A)、図18および図19に示すように、移動載置フレーム51の移動棒20側には、移動棒先端移動コマガイド58がトンネル前後方向に沿って設けられている。移動棒先端移動コマガイド58は、L型形状であり、後述する移動棒20に設けられる移動棒先端移動コマ27bを受けてガイドするようになっている。図19(A)に示すように、移動棒先端移動コマガイド58のトンネル前後方端部には、移動棒先端移動コマストッパー58aが設けられている。
【0079】
図17(A)および図19に示すように、移動棒20の先端の押圧爪21の後側付近の外周には、先端に移動棒先端移動コマ27bを備えた移動棒先端移動アーム27aが、移動棒20に対して回転可能であってトンネル前後方向には移動不能に取り付けられている。そして、移動棒先端移動コマ27bは、移動棒先端移動コマガイド58に受けられるように配置されている。移動棒20が移動棒ジャッキ22によってトンネル後方側に移動すると、移動棒先端移動コマ27bが移動棒先端移動コマストッパー58aに当接して、さらに移動棒先端移動コマ27bがトンネル後方に移動することで、移動枠50がトンネル後方に移動することになる。
【0080】
この構成によって、移動枠50が本体枠10に収納されているとき(図18(A)の状態)には、移動枠50に支障を受けずに移動棒20をトンネル前後方向に移動させることが可能であり、移動枠50が本体枠10からトンネル前方に移動した状態(図18(B)の状態)から、移動棒20のトンネル後方への移動によって移動枠50を本体枠10に収納した状態(図18(A)の状態)にすることができる。
この構成では、第1の実施形態のように移動棒ジャッキ22と移動枠ジャッキ53とを連動させる必要もなく、簡易な制御が可能となる。
【0081】
〔搬送動作〕
図20乃至図22により、セグメント搬送装置1のセグメント7の搬送動作を説明する。
図20(A)に示すセグメント搬送装置1は、押圧爪21を引き位置および規制爪31を規制位置とし、移動棒ジャッキ22を伸ばし、移動枠50は本体枠10に収納されたような状態である。この状態において、最初にエレクタに受け渡す、すなわち最初に組み立てられるセグメント7(Aセグメント)を、本体載置フレーム12のトンネル前方側に載置する。載置されたセグメント7のトンネル前後方向に規制位置の規制爪31が左右に存在するので、トンネル線形が上り勾配や下り勾配であったとしても、本体摺動部15bの摺動によるセグメント7の移動が規制される。
【0082】
図20(B)に示すように、回転連動機構40によって、押圧爪21を押圧位置および規制爪31を開放位置に切り替える。この状態でも、載置されたセグメント7のトンネル前後方向に押圧位置の押圧爪21が左右に存在するので、トンネル線形が上り勾配や下り勾配であったとしても、本体摺動部15bの摺動によるセグメント7の移動が規制される。
【0083】
図20(C)に示すように、移動棒ジャッキ22を縮めることで、移動棒外棒20aを移動させ、押圧爪21でセグメント7を押圧する。押圧されたセグメント7は、本体摺動部15bの摺動により移動する。移動させる距離は、約1ピースのセグメント7の幅に対応する距離である。押圧中であってもセグメント7のトンネル前方側には、押圧位置の押圧爪21が存在するため、トンネル線形が下り勾配であったとしてもセグメント7のトンネル前方への移動が規制される。
【0084】
図21(A)に示すように、回転連動機構40によって、押圧爪21を引き位置および規制爪31を規制位置に切り替える。
図21(B)に示すように、移動棒ジャッキ22を伸ばして押圧爪21を図20(A)の状態に復帰させる。移動したセグメント7は、規制位置にある規制爪31によって移動が規制される。
図21(C)に示すように、二番目にエレクタに受け渡す、すなわち二番目に組み立てられるセグメント7(Aセグメント)を、本体載置フレーム12のトンネル最後方側に載置する。
【0085】
図20(B)から図21(C)までの工程を、4ピース分のセグメント7が載置されるまで繰り返して、図22(A)に示すように、最後に組み立てられるセグメント7(Kセグメント)を本体載置フレーム12のトンネル前方側に載置し、1リング分である5ピースのセグメント7が載置された状態となる。
セグメント7が順に載置されていく過程では、移動枠50にもセグメント7が移動して載置されることになる。
図22(B)に示すように、回転連動機構40によって、押圧爪21を押圧位置および規制爪31を開放位置に切り替える。
【0086】
図22(C)に示すように、移動棒ジャッキ22を縮めることで、移動棒外棒20aを移動させ、押圧爪21でセグメント7を押圧する。そして、先に述べたようにトンネル最前方側に載置されたセグメント7が移動し、移動枠先端ストッパー57に当接し、さらに移動枠50が移動される。この動作により、移動枠50のトンネル前方端部に載置されたセグメント7が、エレクタ受渡線5上に位置することになり、エレクタへの受渡しが可能となる。
【0087】
エレクタに二番目のセグメント7を受け渡す際には、規制爪31を規制位置とした状態で移動棒ジャッキ22を伸ばすと、先に述べたように、移動棒先端移動コマ27bが移動棒先端移動コマストッパー58aに当接し、移動枠50をトンネル後方に戻して、移動枠50のトンネル前方端部に二番目のセグメント7が載置することになる(図22(A)のセグメント搬送装置1の状態)。その後、図22(B)、図22(C)と同様の順序で二番目のセグメント7をエレクタ受渡線5上に搬送する。これを五番目のセグメント7(Kセグメント)まで繰り返す。
このようにすることで、必要以上にエレクタ受渡線5上に移動枠50が入ることがなく、安全性も高くすることができる。
【0088】
〔曲線配置〕
図23および図24は、第2の実施形態をトンネル線形が曲線となったときに配置した状態を示したものである。図23は、移動枠50を本体枠10に収納した状態を示している。図24は、移動枠50を本体枠10に対してトンネル前方に移動させた状態を示している。第1の実施形態と同様に、本体枠関節部19、移動棒関節部26、規制棒関節部34を設けているが、その位置をトンネル前後方向の略中心としてより急な曲線に対応が可能となっている。
【0089】
また、曲線の外側に配置される押圧爪21および規制爪31については、曲線の内側に配置される押圧爪21および規制爪31より、トンネル前後方向にその幅が大きいものとしている。この結果、セグメント搬送装置1にセグメント7を載置して搬送していくと、隣り合うセグメント7の間隔が曲線の外側では広くなり、曲線の内側では狭くなる。このようにすることで、セグメント搬送装置1に配置される複数のセグメント7を、よりトンネルの曲線にあわせて載置することができる。
また、曲線配置したときに、移動棒ジャッキ22を縮めて移動棒外棒20aをトンネル前方に移動させた場合には、分割した各本体枠10が直線になるような力が作用し、移動棒ジャッキ22を伸ばして移動棒外棒20aをトンネル後方に移動させた場合には、分割した各本体枠10がより曲線になるような力が作用することになる。必要に応じて、本体枠関節部19をボルトで固定するなどして、これを防止するようにしてもよい。
【0090】
〔第3の実施形態〕
本発明の第3の実施形態を図25乃至図31と共に説明する。なお、第1乃至第2の実施形態と同様の事項については説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
第3の実施形態のセグメント搬送装置1は、本体枠10に台車枠60を移動可能に載置し、その台車枠60にセグメント7を配置するものであり、移動棒20でセグメント7を移動させ、規制棒30でセグメント7の移動を規制するものである。
【0091】
図25および図26に示すように、本体枠10は、セグメント7の1ピースごとに対応するように分割され、本体枠関節部19で連結されている。分割された各本体枠10には、台車枠60が載置されている。台車枠60は、4つ設けられている。トンネル最前方の台車枠60には、移動枠50が設けられている。各台車枠60は、台車枠関節部66で連結されている。移動棒20は、台車枠60と同様に4つに分割され、移動棒関節部26が設けられている。規制棒30は、本体枠10と同様に5つに分割され、規制棒関節部34が設けられている。このように、第1の実施形態および第2の実施形態より関節部を多くしたためより曲線に対応が可能となっている。
【0092】
図25および図26に示すように、1リング分のセグメント7が載置されてから、移動棒ジャッキ22が縮むことで、台車枠60に載置されたセグメント7が押圧爪21で押圧され台車枠60が本体枠10に対して移動し、トンネル最前方に載置されたセグメント7をエレクタ受渡線5に移動する。
移動棒ジャッキ22は、トンネル最後方側において移動棒外棒20aに一端が固定され、トンネル最後方から三台目の本体枠に他端が固定されている。このように移動棒ジャッキ22の両固定端の間に、本体枠関節部19が存在するため、曲線配置としたときに、移動棒ジャッキ22を縮めると、本体枠10がより曲線となるような力が作用し、移動棒ジャッキ22を伸ばすと、本体枠10が直線になるような力が作用することになる。必要に応じて、本体枠関節部19をボルトで固定するなどして、これを防止するようにしてもよい。
【0093】
図25図26図27(A)、図27(B)および図28(A)に示すように、本体載置フレーム12上には、本体載置レール12aが設けられており、台車枠60の台車車輪62aを転動させる。
【0094】
図25図26図27(A)、図27(B)および図28(A)に示すように、台車枠60は、左右の台車縦フレーム61aと、それらを連結する台車横フレーム61bとを備えている。図25および図26に示すように、台車横フレーム61bに台車枠関節部66が設けられている。台車縦フレーム61aには、台車車輪62aが設けられており、本体載置レール12aに案内される。
図27(C)に示すように、台車車輪62aを設けず、台車縦フレーム61a下部を摩擦係数が低い材料の部材を設けて、台車移動摺動部62bとしてもよい。この場合には、本体載置レール12a上にも摩擦係数が低い材料の部材を設けて、本体載置摺動部12bとしてもよい。
【0095】
図27および図28(A)に示すように、台車枠60の台車縦フレーム61aのセグメント7が載置される面には、本体摺動部15bと同様に台車摺動部63が設けられている。
図28(A)および図28(B)に示すように、移動枠50の移動載置フレーム51のセグメント7が載置される面には、本体摺動部15bと同様に移動枠摺動部55bが設けられている。
【0096】
図27(A)に示すように、移動棒押しアーム23は、第1の実施形態および第2の実施形態同様に、セグメント搬送装置1のトンネル後方端部で移動棒外棒20aを移動棒取付部23aで支持している。移動棒外棒20aには、移動棒外周リング25がトンネル前後方向に移動棒取付部23aを挟んで設けられ、移動棒外棒20aは回転可能であるとともに、移動棒押しアーム23とともにトンネル前後方向に移動可能となっている。
図27(B)に示すように、台車横フレーム61bには、台車移動棒係合部64が設けられている。台車移動棒係合部64は、リング形状であって、移動棒外棒20aを内嵌している。移動棒外棒20aには、移動棒外周リング25が台車移動棒係合部64に対してトンネル前方側にだけ設けられている。この構成によって、台車枠60は、移動棒外棒20aのトンネル前方への移動には、フリーであり、移動棒外棒20aのトンネル後方への移動には拘束され、ともにトンネル後方へ移動する。但し、台車枠60にセグメント7が載置されているときには、移動棒外棒20aの押圧爪21がセグメント7を押圧することで、当該セグメント7を載置した台車枠60がともに移動することになる。
【0097】
図25および図26に示すように、移動枠50は、トンネル最前方の台車枠60に対してトンネル前後方向に移動可能に設けられる。移動枠50には、セグメント7が載置可能である。トンネル前方に移動した移動枠50の最もトンネル前方に載置されたセグメント7を図示しないエレクタに受け渡す。
図28(A)に示すように、移動枠50は、台車枠60の台車横フレーム61bに設けられた台車移動枠ガイドレール65上をトンネル前後方向に移動可能に設けられている。台車移動枠ガイドレール65は、図25図26および図28(A)に示すように、台車縦フレーム61aの内側で移動棒20の内側に設けられている。移動載置フレーム51は、トンネル最前方側の台車枠60よりトンネル前方側にセグメント7の約1ピースの幅分だけ張り出したように設けられている。台車移動枠ガイドレール65には、移動枠50の移動を案内するとともに、移動枠50の浮き上がりを防止する台車移動枠ガイドレール係合部65aが設けられている(図28(A))。
【0098】
第3の実施形態の移動枠50は、台車移動枠ガイドレール65に設けられる以外は、第2の実施形態の移動枠50と同様である。
図28(B)に示すように、第3の実施形態の移動枠50の移動連結フレーム52は、トンネル前方端では、上下に2段設けられており、下の移動連結フレーム52の中央にも移動連結フレーム脚部52aを介して移動枠移動部56としてソリが設けられ、組立済セグメント6に接地している。
【0099】
〔搬送動作〕
図29乃至図31により、セグメント搬送装置1のセグメント7の搬送動作を説明する。
図29(A)に示すセグメント搬送装置1は、押圧爪21を引き位置および規制爪31を規制位置とし、移動棒ジャッキ22を伸ばし、4つの台車枠60はトンネル後方側に移動し、移動枠50は、トンネル前方側の台車枠60から張り出し、本体枠10に収納されたような状態である。この状態において、最初にエレクタに受け渡す、すなわち最初に組み立てられるセグメント7(Aセグメント)を、トンネル最前方側に配置された台車枠60に載置する。トンネル線形が上り勾配や下り勾配で、セグメント7が載置された台車枠60が移動しようとしても、セグメント7のトンネル前後方向に規制位置の規制爪31が左右に存在するので、台車枠60の移動によるセグメント7の移動が規制される。
【0100】
図29(B)に示すように、回転連動機構40によって、押圧爪21を押圧位置および規制爪31を開放位置に切り替える。この状態でも、台車枠60に載置されたセグメント7のトンネル前後方向に押圧位置の押圧爪21が左右に存在するので、トンネル線形が上り勾配や下り勾配であったとしても、台車枠60の移動によるセグメント7の移動が規制される。
【0101】
図29(C)に示すように、移動棒ジャッキ22を縮めることで、移動棒外棒20aを移動させ、押圧爪21で台車枠60に載置されたセグメント7を押圧する。押圧されたセグメント7は、台車枠60ごとトンネル前方へ移動する。移動させる距離は、約1ピースのセグメント7の幅に対応する距離である。押圧中であってもセグメント7のトンネル前方側には、押圧位置の押圧爪21が存在するため、トンネル線形が下り勾配であったとしてもセグメント7が載置された台車枠60のトンネル前方への移動が規制される。
台車枠60はトンネル前方側に移動することになるが、移動枠50は、移動載置フレーム脚部51bと移動連結フレーム脚部52aの移動枠移動部56によって組立済セグメント6に接しており、その摩擦によって、台車枠60がトンネル前方側に移動しても移動しない。
【0102】
図30(A)に示すように、回転連動機構40によって、押圧爪21を引き位置および規制爪31を規制位置に切り替える。
図30(B)に示すように、移動棒ジャッキ22を伸ばして押圧爪21を図29(A)の状態に復帰させる。移動棒20には、移動棒外周リング25が台車移動棒係合部64に対してトンネル前方側にだけ設けられているので、台車枠60もトンネル前方側に移動しようとする。その際に、台車枠60に載置されたセグメント7は、規制位置にある規制爪31によって移動が規制され、台車枠60の台車縦フレーム61a上の台車摺動部63を摺動して、一つトンネル前方側の台車枠60に載置される。すなわちトンネル前方端部に載置されたセグメント7が、一つトンネル前方側に搬送されたことになる。
図30(C)に示すように、二番目にエレクタに受け渡す、すなわち二番目に組み立てられるセグメント7(Aセグメント)を、トンネル最後方側の台車枠60に載置する。
【0103】
図29(B)から図30(C)までの工程を、4ピース分のセグメント7が載置されるまで繰り返して、図31(A)に示すように、最後に組み立てられるセグメント7(Kセグメント)をトンネル前方側の台車枠60に載置し、1リング分となる5ピースのセグメント7が載置された状態となる。
セグメント7が順に載置されていく過程では、移動枠50にもセグメント7が移動して載置されることになる。
図31(B)に示すように、回転連動機構40によって、押圧爪21を押圧位置および規制爪31を開放位置に切り替える。
【0104】
図31(C)に示すように、移動棒ジャッキ22を縮めることで、移動棒外棒20aを移動させ、押圧爪21でセグメント7を押圧する。そして、トンネル前方にセグメント7が載置された台車枠60が移動するとともに、トンネル最前方の移動枠50に載置されたセグメント7が、移動枠先端ストッパー57に当接し、台車枠60と移動枠50が移動される。この動作により、移動枠50のトンネル前方端部に載置されたセグメント7が、エレクタ受渡線5上に位置することになり、エレクタへの受渡しが可能となる。
【0105】
エレクタに二番目のセグメント7を受け渡す際には、規制爪31を規制位置とした状態で移動棒ジャッキ22を伸ばすと、セグメント7は規制されたまま、台車枠60がトンネル後方に移動するとともに、移動棒先端移動コマ27bが移動棒先端移動コマストッパー58aに当接し、移動枠50もトンネル後方に戻り、移動枠50のトンネル前方端部に二番目のセグメント7が載置することになる(図31(A)のセグメント搬送装置1の状態)。その後、図31(B)、図31(C)と同様の順序で二番目のセグメント7をエレクタ受渡線5上に搬送する。これを五番目のセグメント7(Kセグメント)まで繰り返す。
このようにすることで、必要以上にエレクタ受渡線5上に移動枠50が入ることがなく、安全性も高くすることができる。
【0106】
〔第4の実施形態〕
本発明の第4の実施形態を図32と共に説明する。なお、第1乃至第3の実施形態と同様の事項については説明を省略し、異なる点を中心に説明する。
第4の実施形態は、回転連動機構40の回転駆動源としてロータリー弁48を使用したものである。ロータリー弁48は、図32(A)に示すように、移動棒内棒20bと規制棒30のトンネル後方側にそれぞれロータリー弁出力軸48aが取付けられる。ロータリー弁48のエア出入口48bには給排気管が取付けられる。そして、ロータリー弁48を同期させることで、移動棒内棒20bと規制棒30との回転を連動させる。押圧爪21や規制爪31の固定は、エア供給をロックすることで行うことができる。
【0107】
このようにロータリー弁48を使用した場合では、回転連動機構40には、ハンドル44や棒間連結部材41などが必要なくなる。
また、規制棒30の回転駆動と独立させて設けることもできるので、移動棒押しアーム23とともにトンネル前後方向に移動させるようにして移動棒外棒20aに直接設けることができる。よって、移動棒20の移動棒内棒20bを省略することができる。
なお、本実施形態は、ロータリー弁48を4つ用いたものであるが、その数は適宜設定すればよい。例えば、ロータリー弁48を1つとして一つの規制棒30に取り付け、棒間連結部材41や移動棒連結部材42を用いて、他の移動棒20や規制棒30と同期して連動回転させるようにすることができる。
【0108】
〔その他の変形例〕
本発明は上記の実施の形態に限定されるものではない。例えば以下のようなものも含まれる。
本発明の実施形態は、シールド工法におけるセグメントを組み立てるエレクタにセグメントを搬送するセグメント搬送装置を例として説明しているが、TBM工法における覆工体搬送装置にも適用可能である。
また、ジャッキによる押圧動作並びに移動棒および規制棒の回転動作をすべて人力で行うか、油圧、電動、エア駆動等の動力をしようしてもよい。さらに、手動制御、半自動制御、自動制御のいずれも採用することができる。
本発明の実施形態は、1リングを構成するセグメントのピース数が5つの場合のものであったが、本発明はこれに限られず、3ピースや6ピースなどの任意のピース数の場合に適用できるのはいうまでもない。また、本発明の実施形態は、1リング分のセグメントを載置するものであったが、本発明は、これに限られず、0.5リング分や2リング分などの任意のピース数の場合にも適用できる。例えば、急曲線であればセグメントを載置する数を少なくしたり、長距離施工であればセグメントを載置する数を多くするなどして対応が可能である。
【0109】
いずれの実施形態における各技術的事項を他の実施形態に適用して実施例としても良い。
【符号の説明】
【0110】
1 セグメント搬送装置(覆工体搬送装置)
2 シールド掘進機(トンネル掘削機)
3 スキンプレート
4 シールドジャッキ
5 エレクタ受渡線
6 組立済セグメント(組立済覆工体)
7 セグメント(覆工体)
10 本体枠
11 本体フレーム
12 本体載置フレーム
12a 本体載置レール
12b 本体載置摺動部
13 本体連結フレーム
13a ハンドル取付部
14 本体移動部
15a 本体ローラー(載置部)
15b 本体摺動部(載置部)
16 移動棒ガイドアーム
16a 移動棒ガイド
17 規制棒ガイドアーム
17a 規制棒ガイド
18 移動枠ガイドレール
18a 移動枠ガイドレール係合部
19 本体枠関節部
20 移動棒
20a 移動棒外棒
20a1 移動棒外棒キー
20b 移動棒内棒
20b1 移動棒内棒溝
21 押圧爪
21a 押圧爪取付雄ネジ(取付部)
21b 押圧爪取付雌ネジ(取付部)
22 移動棒ジャッキ
23 移動棒押しアーム
23a 移動棒取付部
24a 移動棒第一回転部材
24b 移動棒第二回転部材
25 移動棒外周リング
26 移動棒関節部
27a 移動棒先端移動アーム
27b 移動棒先端移動コマ
30 規制棒
31 規制爪
31a 規制爪取付雄ネジ(取付部)
31b 規制爪取付雌ネジ(取付部)
32 規制棒回転部材
33 規制棒外周リング
34 規制棒関節部
40 回転連動機構
41 棒間連結部材
42 移動棒連結部材
42a 長孔
42b 切欠
43 足踏バネ
44 ハンドル
45 ハンドル規制部
46 ハンドル固定バネ
47 移動棒連結部材規制部
47a 移動棒連結部材規制傾斜面
47b 移動棒連結部材規制当接部
47c 移動棒連結部材規制突部
48 ロータリー弁
48a ロータリー弁出力軸
48b エア出入口
49 移動棒連結部材下限規制部
50 移動枠
51 移動載置フレーム
51a 移動載置フレーム係合部
51b 移動載置フレーム脚部
52 移動連結フレーム
52a 移動連結フレーム脚部
53 移動枠ジャッキ
54a 移動枠移動ローラー
54b 移動枠移動摺動部
55a 移動枠ローラー(載置部)
55b 移動枠摺動部(載置部)
56 移動枠移動部
57 移動枠先端ストッパー
58 移動棒先端移動コマガイド
58a 移動棒先端移動コマストッパー
60 台車枠
61a 台車縦フレーム
61b 台車横フレーム
62a 台車車輪
62b 台車移動摺動部
63 台車摺動部
64 台車移動棒係合部
65 台車移動枠ガイドレール
65a 台車移動枠ガイドレール係合部
66 台車枠関節部
【要約】
【課題】トンネル線形が上下勾配のどちらであっても覆工体の滑動を防止し、動作が安定的で、エレクタ装置の周方向の軌道の直下部分に必要以上にはみ出さず、トンネルの線形やセグメント幅といった各種の工事条件に対応が可能な覆工体搬送装置を提供すること。
【解決手段】セグメント搬送装置1は、本体枠10と、本体枠10に対して前後方向に移動可能であって回転可能な押圧爪21を有する移動棒20と、回転可能な規制爪31を有する規制棒30と、を備えており、押圧爪21をセグメント7に押圧可能な位置となるように回転したときは、規制爪31をセグメント7に当接不能な位置となるように回転させ、押圧爪21をセグメント7に押圧不能な位置となるように回転したときは、規制爪31をセグメント7の前後面に当接可能な位置となるように回転させることを特徴とする。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32