特許第6146845号(P6146845)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6146845蓄電システムおよび該蓄電システムの放電制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146845
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】蓄電システムおよび該蓄電システムの放電制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   H02J7/00 302C
【請求項の数】6
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-510487(P2016-510487)
(86)(22)【出願日】2015年3月26日
(86)【国際出願番号】JP2015059393
(87)【国際公開番号】WO2015147171
(87)【国際公開日】20151001
【審査請求日】2016年2月26日
(31)【優先権主張番号】特願2014-68921(P2014-68921)
(32)【優先日】2014年3月28日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】303013763
【氏名又は名称】NECエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106297
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 克博
(74)【代理人】
【識別番号】100129610
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 暁子
(72)【発明者】
【氏名】吉田 廣
(72)【発明者】
【氏名】林 周平
(72)【発明者】
【氏名】永瀬 元晴
【審査官】 田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−261201(JP,A)
【文献】 特開2013−078242(JP,A)
【文献】 特開平05−316721(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00−7/12
7/34−7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電池からの放電によって負荷に対して電力を供給する蓄電システムであって、
並列接続された複数の蓄電池と、
前記複数の蓄電池のそれぞれに対して、放電時の出力電圧値を少なくとも設定する電池蓄電装置と、
を有し、
前記電池蓄電装置は、
前記複数の蓄電池の中から、少なくとも電池残容量又は電池電圧に基づいて少なくとも1つの蓄電池をマスターに割り当て、前記マスターと他の蓄電池との間で、前記出力電圧値が異なるように設定することが可能な放電制御回路を有し、
前記放電制御回路は、前記複数の蓄電池の中から、電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池をマスターに割り当て、マスターに割り当てられない他の蓄電池に対し、前記マスターに割り当てられた蓄電池の実際の電流値との大小関係に応じて出力電圧値を設定する、蓄電システム。
【請求項2】
前記放電制御回路は、前記マスターに割り当てられない蓄電池の残容量または電圧と、前記マスターに割り当てられた蓄電池の電池残容量または電池電圧との差が、予め設定された閾値よりも大きい場合は、前記マスターに割り当てられた蓄電池の実際の電流値との大小関係には依らずに、前記マスターに割り当てられない蓄電池の放電量を抑制するように出力電圧値を調整する請求項1に記載の蓄電システム。
【請求項3】
前記放電制御回路は、マスターに割り当てる蓄電池を予め決められた時間ごとに更新する請求項1または2に記載の蓄電システム。
【請求項4】
並列接続された複数の蓄電池の放電制御方法であって、
前記複数の蓄電池の中から、少なくとも電池残容量または電池電圧に基づいて少なくとも1つの蓄電池をマスターに割り当てるステップと、
前記マスターと他の蓄電池との間で、出力電圧値が異なるように前記複数の蓄電池のそれぞれに出力電圧値を少なくとも設定するステップと、
を有し、
前記マスターを割り当てるステップは、前記複数の蓄電池の中から、電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池をマスターに割り当て、前記出力電圧値を設定するステップは、マスターに割り当てられない他の蓄電池に対し、前記マスターに割り当てられた蓄電池の実際の電流値との大小関係に応じて出力電圧値を設定することを含む放電制御方法。
【請求項5】
前記出力電圧値を設定するステップは、前記マスターに割り当てられない蓄電池の残容量または電圧と、前記マスターに割り当てられた蓄電池の残容量または電圧との差が、予め設定された閾値よりも大きい場合は、前記マスターに割り当てられた蓄電池の実際の電流値との大小関係には依らずに、前記マスターに割り当てられない蓄電池の放電量を抑制するように出力電圧値を調整することを含む請求項4に記載の放電制御方法。
【請求項6】
マスターに割り当てる蓄電池を予め決められた時間ごとに更新するステップをさらに有する請求項4または5に記載の放電制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列接続された複数の蓄電池を有する蓄電システム、およびこの蓄電システムにおける放電制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電源システムの一つとして、複数の蓄電池を用いた電池蓄電装置が知られている。この種の電池蓄電装置では、必要に応じて各蓄電池の充電および放電が行われる。この際、通常、すべての蓄電池が一括で充電および放電される。
【0003】
蓄電池の放電の際、放電を制御するDC/DCコンバータには各蓄電池に対して出力電流(上限)および出力電圧を設定する。しかし、DC/DCコンバータが機器として精度が十分でなかったような場合、各蓄電池の出力電圧に差が生じてしまう。放電量は出力電圧により増減するため、蓄電池間の出力電圧に差が生じることにより放電量に差が生じる。その結果、放電を行うごとに電池残容量が蓄電池間で偏ってしまう。
【0004】
この問題を解決するシステムとして、特許文献1(特開2011−188700号公報)には、互いに隣り合う2系統の蓄電池ユニットの充電状況の差分に基づいて、それらの蓄電池ユニットの放電電流の電流値を制御する(例えば、放電最大電流の電流値を2段階に切り替える)ことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
特許文献1:特開2011−188700号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載のシステムのように電流値のみ切り替えても、負荷が変動する状態によっては、大きい電流値を設定している蓄電池から多く放電されるとは限らない。負荷変動がある中で、放電電流の電流値を等しい値に制御することは困難である。
【0007】
また、隣り合う蓄電池ユニットの充電状況の差分に基づいて放電電流を制御しているが、この場合、隣り合う蓄電池ユニットの比較では差分が閾値以下であっても、全体では閾値を超えることが考えられる。例えば、並列接続された10個の蓄電池ユニットを考える。このとき、隣り合う蓄電池ユニット間での充電状況の差分が1%であっても、両端の2つの蓄電池ユニット間での充電状況の差分は最大で10%に達する可能性がある。そのため、両端の蓄電池ユニットの電池残容量のバランスが悪くなる可能性がある。
【0008】
本発明の目的は、並列接続された複数の蓄電池を有する蓄電システムにおいて、バランスのとれた放電を達成することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の蓄電システムは、蓄電池からの放電によって負荷に対して電力を供給する蓄電システムであって、
並列接続された複数の蓄電池と、
前記複数の蓄電池のそれぞれに対して、放電時の出力電圧値を少なくとも設定する電池蓄電装置と、
を有し、
前記電池蓄電装置は、
前記複数の蓄電池の中から、少なくとも電池残容量又は電池電圧に基づいて少なくとも1つの蓄電池をマスターに割り当て、前記マスターと他の蓄電池との間で、前記出力電圧値が異なるように設定することが可能な放電制御回路を有し、
前記放電制御回路は、前記複数の蓄電池の中から、電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池をマスターに割り当て、マスターに割り当てられない他の蓄電池に対し、前記マスターに割り当てられた蓄電池の実際の電流値との大小関係に応じて出力電圧値を設定する。
【0010】
本発明の放電制御方法は、並列接続された複数の蓄電池の放電制御方法であって、
前記複数の蓄電池の中から、少なくとも電池残容量または電池電圧に基づいて少なくとも1つの蓄電池をマスターに割り当てるステップと、
前記マスターと他の蓄電池との間で、出力電圧値が異なるように前記複数の蓄電池のそれぞれに出力電圧値を少なくとも設定するステップと、
を有し、
前記マスターを割り当てるステップは、前記複数の蓄電池の中から、電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池をマスターに割り当て、前記出力電圧値を設定するステップは、マスターに割り当てられない他の蓄電池に対し、前記マスターに割り当てられた蓄電池の実際の電流値との大小関係に応じて出力電圧値を設定することを含む
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、並列接続された複数の蓄電池から放電する際に、電池残容量の変化に応じて蓄電池の並列バランスをとることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態の基本的な考え方を説明する蓄電システムのブロック図である。
図2】本発明の一実施形態による放電制御をより詳しく説明するための、蓄電システムのブロック図である。
図2A図2に示す放電制御回路の内部構成の一例を示すブロック図である。
図3図2に示した蓄電システムによる放電制御の一例を示すフローチャートである。
図4】本発明の他の実施形態による放電制御手順を示すフローチャートである。
図5図4に示す電池電圧バランス確認ステップの一例のフローチャートである。
図6図4に示す出力電圧値更新ステップの一例のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、蓄電池への充電および蓄電池からの放電を制御する蓄電システムに関するものであるが、本発明は特に放電の制御に特徴を有しており、充電に関しては従来と同様でよい。よって、以下の説明では、充電に関する構成および動作は省略し、放電に関する構成および動作を説明する。
【0014】
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による放電制御の基本的な考え方の一つを説明する。
【0015】
図1に示す蓄電システムは、並列に接続された複数の蓄電池100a〜100cと、各蓄電池100a〜100cにそれぞれ接続された複数の放電器110a〜110cと、電池蓄電装置120と、を有する。
【0016】
電池蓄電装置120は、各放電器110a〜110cの設定を制御し、各蓄電池100a〜100cは、それぞれに接続された放電器110a〜110cの設定に従った出力電流上限値および出力電圧値で放電される。電池蓄電装置120は、複数の蓄電池100a〜100cをマスターおよびスレーブの何れかに割り当て、その割り当てに従って、各放電器110a〜110cに出力電流上限値および出力電圧値を設定する。
【0017】
ここで、蓄電池100aがマスターに割り当てられ、残りの蓄電池100b、100cがスレーブに割り当てられるとする。図1に示すように、スレーブに割り当てられた蓄電池100b、100cには、想定される負荷電力に基づく電圧値(例えば53.5V)が出力電圧値Vsとして設定され、また、負荷電力に基づく電流値(例えば20A)を蓄電池の個数にほぼ均等に割り当てた値(6.67A)が出力電流上限値Isとして設定される。マスターに割り当てられた蓄電池100aには、最大の出力電流上限値Im(例えば10A)、およびスレーブに割り当てられた蓄電池100b、100cよりも低い出力電圧値Vm(例えば52.5V)が設定される。
【0018】
このように、マスターに割り当てられた蓄電池100aとスレーブに割り当てられた蓄電池100b、100cとの間で、出力電圧値に電圧差を生じた状態で放電が実施されることで、各蓄電池100a〜100cからの放電量に差が生じる。より詳しくは、スレーブに割り当てられた蓄電池100b、100cは、マスターに割り当てられた蓄電池100aより高い出力電圧値Vsが設定されるため、設定された出力電流上限値Isの範囲内で優先的に放電される。一方、出力電圧値Vmが低く設定されたマスターの蓄電池100aは、出力電流上限値Imは最大に設定されるため、負荷が必要とする残りの電流を補い、負荷の変動を吸収するように電流が放電されることになる。即ち、想定より負荷が小さい場合はスレーブに割り当てられた蓄電池100b、100cから優先的により多く放電されるが、一方、負荷が想定より増加した場合はスレーブの放電量が出力電流上限値Isで高止まり(スレーブの出力電圧値は自動調整されて低下し)、マスターに割り当てられた蓄電池100aからより多く放電されることになる。
【0019】
マスターとする蓄電池の割り当て方法としては、
(1)電池残容量が最大の蓄電池をマスターに割り当てる
(2)電池残容量が最小の蓄電池をマスターに割り当てる
の2通りの方法があり、各蓄電池の残容量および放電量に応じて両者を切替え、これを定期的に実施する。
【0020】
基本的には、マスターに割り当てられた蓄電池からより多く放電される状況であれば、電池残容量が最大の蓄電池をマスターに割り当てることで、電池残容量の大きい蓄電池からより多く放電させ、電池残量の小さい蓄電池からはより少ない放電量で放電させることが可能となる。これにより、各蓄電池間で電池残容量の差が小さくなるように各蓄電池をバランスよく放電させることが可能となる。一方、スレーブに割り当てられた蓄電池からより多く放電される状況であれば、電池残容量が最小の蓄電池をマスターに割り当てることになる。
【0021】
ただし、各蓄電池の放電量および電池残容量によっては、放電が終了する前に、マスターに割り当てられた蓄電池の電池残容量と他の蓄電池の電池残容量の大小関係が変ってしまうことがあり、このまま放電を続けていくと、マスターと他の蓄電池との間で電池残容量の差が拡大していく。
【0022】
また、放電中に負荷電力が変動した場合も、マスターに割り当てられた蓄電池からの放電量と他の蓄電池(スレーブに割り当てられた蓄電池)からの放電量の大小関係が変ってしまうため、電池残容量の少ない蓄電池のほうが、電池残容量の多い蓄電池よりも優先的に放電されることになる。その結果、マスターと他の蓄電池との間で電池残容量の差が拡大していく。
【0023】
そこで、予め決められた周期で各蓄電池の電池残容量と放電量を測定し、その測定ごとに、マスターに割り当てる蓄電池を見直すことが好ましい。ここで、測定周期は、例えば、30〜120秒とすることができる。
【0024】
具体的な見直し方法としては、例えば、電池残容量が最大の蓄電池からの放電量が最小である場合であって、残容量が最大の蓄電池がマスターである場合は、電池残容量が最小の蓄電池をマスターに割り当て、残容量が最大の蓄電池がマスターではない場合は、電池残容量が最大の蓄電池をマスターに割り当てる。
【0025】
一方、電池残容量が最大の蓄電池からの放電量が最小でない場合であって、残容量が最大の蓄電池がマスターである場合は、再度、電池残容量が最大の蓄電池をマスターに割り当て、残容量が最大の蓄電池がマスターではない場合は、電池残容量が最小の蓄電池をマスターに割り当てる。
【0026】
即ち、予め決められた周期ごとに各蓄電池の放電量および電池残容量を測定し、その結果に応じて電池残容量が最大の蓄電池をマスターに割り当てたり電池残容量が最小の蓄電池をマスターに割り当てたりすることで、放電中に負荷変動が生じた場合であっても、各蓄電池間の電池残容量の差が小さくなるように各蓄電池をバランスよく放電させることが可能となる。
【0027】
以上のように、本実施形態では、マスターとスレーブに割り当てられた蓄電池からの放電量に敢えて差を付けながら、マスターの割り当て方法を定期的に見直すことで、並列接続された複数の蓄電池を有する蓄電システムにおいて、結果的にバランスのとれた放電を達成するものである。
【0028】
次に、図2を参照して本発明の一実施形態をより詳しく説明する。
【0029】
図2に示す蓄電システムは、6つの蓄電池100a〜100fを有する。個々の蓄電池100a〜100fにはそれぞれ放電器110a〜110fが接続されている。各蓄電池100a〜100fは、これら放電器110a〜110fによって、放電中の電流および電圧が個別に制御される。また、電池蓄電装置120が放電器110a〜110fに接続され、電池蓄電装置120は、6つの蓄電池100a〜100fを放電させることにより負荷電力に対して電力を供給する。
【0030】
蓄電池100a〜100fとしては任意の蓄電池を用いることができ、その中でも特に、リチウムイオン二次電池を好ましく用いることができる。また、各蓄電池100a〜100fは、単一のセルで構成されていてもよいし、複数のセルを有する組電池であってもよい。組電池は、直列接続された複数のセルを有していてもよいし、並列接続された複数のセルを有していてもよいし、直列接続された複数のセルからなるセルユニットを複数個並列接続した複合セルユニットを有していてもよい。
【0031】
電池蓄電装置120は、放電制御回路121、2つのD/A(Digital/Analog)コンバータ122および6つのオペアンプ123を有する。放電制御回路121は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only
Memory)、RAM(Random Access Memory)およびI/O(Input/Output)インターフェースなどを有するマイクロコンピュータを用いて構成することができる。そのようなマイクロコンピュータのROMに所定のプログラムが実装されており、CPUが、このプログラムに対応して各種動作を実行することで、放電制御回路121は後述する蓄電池の放電制御を実行することができる。D/Aコンバータ122は、放電制御回路121から出力されたデジタル信号をアナログ信号に変換してオペアンプ123に送る。オペアンプ123は、D/Aコンバータ122から送られたアナログ信号を増幅して放電器110a〜110fへ送る。図2に示す電池蓄電装置120では2つのD/Aコンバータ122を用いているが、D/Aコンバータ122の数は、用いるD/Aコンバータ122のチャネル数に応じて増減することができる。
【0032】
図2Aに示すように、放電制御回路121は、電池残容量測定部121a、電池電圧測定部121b、マスター割り当て部121cおよび出力電圧値設定部121dを有することができる。電池残容量測定部121aは、各蓄電池100a〜100fの電池残容量を測定する。電池電圧測定部121bは、各蓄電池100a〜100fの電池電圧を測定する。放電制御回路121は、電池残容量測定部121aおよび電池電圧測定部121bの何れか一方のみを有していてもよい。
【0033】
マスター割り当て部121cは、少なくとも、電池残容量測定部121aで測定された電池残容量または電池電圧測定部121bで測定された電池電圧に基づいて、詳しくは後述する手順に従って、蓄電池100a〜100fの中から1つ以上の蓄電池をマスターに割り当てる。出力電圧値設定部121dは、マスター割り当て部121cによって割り当てられたマスターと他の蓄電池との間で、出力電圧値が異なるように設定する。
【0034】
次に、図2に示した蓄電システムによる放電制御の一例を、図3のフローチャートを参照しつつ説明する。
【0035】
まず、各蓄電池100a〜100fの電池残容量を測定する(S11)。その結果、例えば、蓄電池100aの電池残容量が最も大きかったとする。次いで、放電制御回路121は、初期設定として、電池残容量の最も大きい蓄電池100aをマスターに割り当て、残りの5つの蓄電池100b〜100fをスレーブに割り当てる(S12)。ここで、蓄電池の電池残容量は、一般にSOC(State of Charge)で表されるが、蓄電池の電池電圧から算出したり、蓄電池の充電量と放電量を加減算したりして算出することができる。電池電圧からの算出は、充放電中の電圧変化が小さい状況が存在する場合は正確に求めることが困難となるので、このような場合は、蓄電池の充電量と放電量を加減算して求めることが望ましい。
【0036】
各蓄電池100a〜100fにマスターおよびスレーブを割り当てたら、放電制御回路121は、マスターおよびスレーブごとに蓄電池100a〜100fの出力電流上限値および出力電圧値を求め、その値をD/Aコンバータ122のレジスタに設定する(S13)。
【0037】
仮に、負荷に必要な想定電力量より、負荷に必要な電流値を30Aとし、また、蓄電池100a〜100fの最大放電電流値が10Aであるとする。この場合、スレーブに割り当てられた蓄電池100b〜100fには、負荷に必要な電流値を6つの蓄電池100a〜100fで均等に割り付けた値である5Aを出力電流上限値として設定する。また、マスターの蓄電池100aには、その蓄電池100aの最大放電電流値である10Aを出力電流上限値として設定する。
【0038】
出力電圧値については、負荷に必要な想定電力量より得られた電圧値が、スレーブに割り当てられた蓄電池100b〜100fの出力電圧値として設定され、マスターに割り当てられた蓄電池100aには、これより低い出力電圧値が設定される。例えば、スレーブの蓄電池100b〜100fの出力電圧値を48Vとした場合、マスターの蓄電池100aの出力電圧値は、それよりも低い47Vなどと設定することができる。
【0039】
設定する出力電圧値および出力電流上限値は、負荷に必要な電力や回路構成、負荷の変動幅などにより最適化することが好ましい。
【0040】
蓄電池100a〜100fの出力電圧値および出力電流上限値がD/Aコンバータ122に設定されると、放電器110a〜110fはその設定に従って蓄電池100a〜100fの放電を開始する。マスターとスレーブとで異なる出力電圧値を設定しているので、出力電圧値の高いスレーブの蓄電池100b〜100fから、設定された出力電流上限値の範囲内で優先的に放電される。一方、出力電圧値が低く設定されたマスターの蓄電池100aには最大の出力電流上限値が設定されているので、負荷が必要とする残りの電流を補い、負荷の変動を吸収するようにマスターの蓄電池100aから供給されることになる。即ち、想定より負荷が小さい場合はスレーブに割り当てられた蓄電池100b〜100fから優先的により多く放電されるが、一方、負荷が想定より増加した場合はスレーブの放電量が出力電流上限値で高止まり(スレーブの出力電圧値は自動調整されて低下し)、マスターに割り当てられた蓄電池100aからより多く放電されることになる。
【0041】
放電中、蓄電池100a〜100fから出力される電流は、電力供給する装置(負荷)の状態やD/Aコンバータ122のレジスタの分解能などの要因により、マスターのほうがスレーブよりも大きい場合もあるし、その逆の場合もある。そのため、各蓄電池100a〜100fの電池残容量および実際の電流値を測定し(S14)、その結果に基づいて、一定条件の下、以下のようにマスターの割り当てを変更する。
【0042】
放電制御回路121は、蓄電池100a〜100fの電池残容量および実際の電流値の測定後、電池残容量が最大の蓄電池の実際の電流値が最小であるか否かを判断する(S15)。電池残容量が最大の蓄電池の実際の電流値が最小であれば、放電制御回路121は、その電池残量が最大の蓄電池が、現在、マスターに割り当てられているか否かを判断する(S16)。電池残容量が最大の蓄電池がマスターに割り当てられていれば、電池残容量が最小の蓄電池をマスターに割り当て(S17)、マスターに割り当てられていなければ、電池残容量が最大の蓄電池をマスターに割り当てる(S18)。
【0043】
電池残容量が最大の蓄電池の実際の電流値が最小であるか否かの判断(S15)において、電池残容量が最大の蓄電池の実際の電流値が最小でない場合にも、放電制御回路121は、その電池残量が最大の蓄電池が、現在、マスターに割り当てられているか否かを判断する(S19)。ここでの判断の結果、電池残容量が最大の蓄電池がマスターに割り当てられていれば、電池残容量が最大の蓄電池をマスターに割り当て(S20)、マスターに割り当てられていなければ、電池残容量が最小の蓄電池をマスターに割り当てる(S21)。
【0044】
以上、電池残容量および実際の電流値の測定後の一連のステップによって、マスターに割り当てられる蓄電池が改めて決定され、残りの蓄電池はスレーブに決定される。放電制御回路121は、決定したマスターおよびスレーブに応じて各蓄電池の出力電流上限値および出力電圧値をD/Aコンバータ122に設定する。これにより、放電器123は、ここで設定されたマスターおよびスレーブに応じた出力電流上限値および出力電圧値に従って各蓄電池100a〜110fの放電を制御する。
【0045】
各蓄電池の出力電流上限値および出力電圧値が設定されて一定の時間が経過した後、放電制御回路121は、再び、各蓄電池の電池残容量および実際の電流値を測定する(S14)。それ以降は放電終了まで、上述した各蓄電池の電池残容量および実際の電流値に基づくマスターの割り当ての設定に関する一連のステップを一定時間ごとに繰り返す。繰り返す時間間隔は、例えば、30〜120秒とすることができ、より好ましくは50〜70秒とすることができる。時間の計測は、放電制御回路121に内蔵されたタイマーのカウントによって行うことができる。放電が終了したかどうかは、蓄電池の電池電圧が予め決められた電圧まで低下したかどうかで判定することができる。
【0046】
以上説明したように、並列接続された複数の蓄電池の放電制御を行うことで、結果的に電池残容量の多い蓄電池からは多くの電力が放出され、電池残容量の少ない蓄電池からは少ない電力が放出される。これにより、複数の蓄電池間で電池残容量が均一になるようにバランスのとれた放電が可能となる。また、特定の蓄電池からのみ放電されることが抑制され、並列接続されたすべての蓄電池の電池残容量が均等に使用されるため、蓄電池ごとの劣化のばらつきを抑制することができる。さらに、マスターとスレーブとで放電量に差をつけることが前提となっているため、放電器などの外部機器の精度がそれほど高くない場合にも適用可能である。
【0047】
なお、出力電流上限値と出力電圧値の設定方法としては、本実施形態の方法に限定されず、マスターとスレーブ間の放電量の差が十分に大きく、マスターとスレーブの切替えが適宜発生して、結果的にバランスのとれた放電が可能であれば、他の方法を用いても良い。例えば、マスターに割り当てた蓄電池に、他の蓄電池より低い出力電圧値を設定するが、出力電流上限値には差を設けない方法、また、マスターに割り当てた蓄電池に、他の蓄電池よりも逆に高い出力電圧値を設定する方法、さらに、各種方法を適宜切替える方法などを適用しても良い。
【0048】
上述した実施形態では、マスターとスレーブとで放電量に差をつけることが前提となっているため、放電器などの外部機器の精度がそれほど高くない場合にも適用可能であった。一方、ある程度は高い精度が期待できる場合であって、マスターとスレーブの電池残容量の差が小さい場合は、出力電圧値を調整して積極的に電流バランスをとっても良く、さらに、マスターとスレーブとで放電量に差をつける方法を併用しても良い。
【0049】
また、上述した実施形態では、電池残容量に基づいてマスターを設定したが、電池残容量は、充放電中の電圧変化が小さい状況が存在しなければ、電池電圧から算出できる。さらに、各電池の充放電特性が均質な場合は、電池電圧の大小がほぼ電池残容量の大小に相当するので、電池残容量の代わりに電池電圧に基づいてマスターを設定しても良い。
【0050】
以下、電池電圧に基づいてマスターおよびスレーブを設定し、マスターとスレーブの電池電圧の差が小さい場合は、出力電圧値を調整して積極的に電流バランスをとる、本発明の他の実施形態を説明する。本形態では、放電制御回路による処理が前述の実施形態と異なり、図2に示したものと同様の蓄電システムを用いることができる。よって、以下の説明では、蓄電システムとしては図2に示したシステムを前提とし、その放電制御回路での処理手順として説明する。
【0051】
図4に、本実施形態による放電制御の全体の流れを示す。図4に示すように、本実施形態では、まず、蓄電池間の電池電圧バランスの確認を行い(S21)、次いで、マスターに割り当てられる蓄電池の確認を行う(S22)。マスターに割り当てられる蓄電池が更新されたら、各蓄電池に対して出力電圧値の調整処理を行う(S23)。この一連の処理が、一定周期で放電終了まで繰り返される。繰り返しは、例えば、放電の開始後、電池蓄電装置に内蔵されたタイマーを起動し、このタイマーのタイムアウトが発生する都度とすることができる。また、繰り返し周期は、例えば、30〜120秒、好ましくは50〜70秒とすることができる。
【0052】
図4に示した各ステップについて、より詳しく説明する。
【0053】
電池電圧バランス確認ステップのフローチャートを図5に示す。このステップでは、まず、各蓄電池の電池電圧を測定する(S31)。すべての蓄電池について電池電圧が測定されたら、測定された各蓄電池の電池電圧を比較し、電池電圧が最大の蓄電池を判定する(S32)。次に、電池電圧が最大の蓄電池と、他の蓄電池の電池電圧との差を求める(S33)。
【0054】
次に、各蓄電池について、求められた電圧差が、予め設定された閾値以下の値であるか否かが判断される(S34)。この閾値は、放電制御回路に内蔵されたメモリまたは外部のメモリに保持されており、必要に応じてオペレータが任意に変更可能である。閾値の具体的な値は、蓄電池の充放電特性、目指すバランスの程度、放電器の精度等に基づいて定めることができるが、例えば、満充電時の電池電圧の1%〜5%の範囲内で適宜設定することが出来る。電池電圧は各蓄電池を構成する単体電池セルの種類や直列接続数によって変化するが、例えば、満充電時4.0Vの単体電池セルが12個直列接続された蓄電池の満充電時の電池電圧48Vに対して、閾値を2%に設定した場合は0.96Vになる。
【0055】
判断の結果、電圧差が閾値以下の値であれば、その蓄電池は並列バランスをとる蓄電池であると判定される(S35)。一方、電圧差が閾値より大きい値であれば、その蓄電池は放電量を抑制する蓄電池であると判定される(S36)。
【0056】
以上のように、電池電圧の並列バランスが極端に崩れている場合には、相対的に電池電圧の小さい蓄電池は放電量を抑制するように制御される。ただし、放電量の抑制は出力電圧値の調整によって行い、放電自体は行われる。
【0057】
再び図4を参照すると、上記の電池電圧バランス確認ステップ(S21)の後、マスターの確認ステップ(S22)が実施される。本形態では、複数の蓄電池の中で電池電圧が最も高い蓄電池をマスターに割り当てる。
【0058】
マスターの蓄電池の確認後、電池電圧バランスの判定結果に基づいて、蓄電池ごとに出力電圧値の調整を行う(S23)。この出力電圧値の調整手順の一例について、図6を参照して説明する。
【0059】
まず、各蓄電池について、放電量を抑制する電池と判定されたものであるか判断される(S41)。図4に示した電池電圧バランス確認ステップ(S21)において、電圧差が閾値以下の値であれば、その蓄電池は並列バランスをとる蓄電池であると判定され(S35)、電圧差が閾値より大きい値であれば、その蓄電池は放電量を抑制する蓄電池であると判定(S36)されているので、その結果を用いることができる。
【0060】
判断の結果、放電量を抑制する電池と判定された蓄電池については、出力電圧値を最小の電圧値に設定する(S42)。ここで、放電制御回路は、蓄電池に設定する出力電圧値として、デフォルト値(例えば48V)と、デフォルト値よりも低い最小値(例えば47.5V)との2段階の電圧値を用意している。最小値は、デフォルト値より0.5〜2V程度小さい値とすることができる。
【0061】
判断の結果、並列バランスをとる蓄電池であると判定された蓄電池については、その蓄電池がマスターに割り当てられているかどうかが判断される(S43)。マスターは、電池電圧が最大の蓄電池に割り当てられるので、電池電圧が他の蓄電池の電池電圧以上の蓄電池は、マスターに割り当てられている可能性がある。マスターに割り当てられていれば、その蓄電池については、設定されている出力電圧値の変更は行わない(S44)。マスターに割り当てられていなければ、その蓄電池の実際の電流値とマスターの蓄電池の実際の電流値との差を求める(S45)。
【0062】
マスターの蓄電池の実際の電流値との差を求めた後、その蓄電池が、図4に示した放電制御処理の中の電池電圧バランス確認ステップ(S21)において、放電量が抑制された蓄電池であったかどうかが判断される(S46)。図4に示したように、本形態において、放電制御処理は一連のステップを繰り返して実施されるが、放電量が抑制された蓄電池であったかどうかは、現在ではなく前回のサイクルでどうであったかが判断の対象である。そして、その蓄電池が、前回のサイクルにおいて放電量が抑制された蓄電池であった場合は、その蓄電池の出力電圧値をデフォルト値(例えば48V)に設定する(S47)。
【0063】
一方、その蓄電池が、前回のサイクルにおいて放電量が抑制された蓄電池でなかった場合は、次に、マスターの蓄電池との間で、実際の電流値の差が予め決められた範囲内であるかどうかが判断される(S48)。判断の結果、実際の電流値の差が予め決められた範囲内であれば、その蓄電池の出力電圧値は設定を変更せず(S49)、予め決められた範囲外であれば、次に、実際の電流値がマスターの蓄電池よりも大きいかどうか判断される(S50)。実際の電流値の差の範囲としては、例えば、蓄電池の最大放電電流値(例えば10A)に対して5%〜20%の範囲内で適宜設定することが出来る。
【0064】
実際の電流値がマスターの蓄電池より大きければ、その蓄電池の出力電圧値の設定を下げ(S51)、マスターの蓄電池の実際の電流値以下であれば、その蓄電池の出力電圧値の設定を上げる(S52)。
【0065】
以上の一連のステップによりすべての蓄電池の出力電圧値を設定し、設定した出力電圧値で放電することで、電池電圧(電池残容量)の小さい蓄電池からの放電が抑制され、電池電圧の差が小さいマスターとスレーブとの間の電流バランスが改善され、結果的に複数の蓄電池間で電池電圧(電池残容量)が均一になるようにバランスのとれた放電が可能となる。また、特定の蓄電池からのみ放電されることが抑制され、並列接続されたすべての蓄電池の電池残容量が均等に使用されるため、蓄電池ごとの劣化のばらつきを抑制することができる。
【0066】
図6に示した一連のステップは、すべて実施する必要はなく、例えば、最初のステップの、放電量を抑制する電池と判定された蓄電池に対しては出力電圧値を最小値に設定するステップのみを実施するなど、必要に応じて1つ以上のステップを省略してもよい。また、本実施形態では、各判断結果に基づき出力電圧値を変更するが、出力電流上限値については、例えば、最大放電電流値(例えば10A)を設定すればよい。また、本実施形態では電池電圧に基づき判断したが、電池残容量に基づき判断しても良い。
【0067】
以上、代表的な実施形態により本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、蓄電池の数は2つ以上であれば特に制限はない。蓄電池の数が多い場合は、マスターに割り当てる蓄電池の数を複数とすることもできる。複数の蓄電池をマスターに割り当てる場合は、例えば、並列接続された複数の蓄電池を、マスターに割り当てられる蓄電池の数に等しい複数のブロックに分け、各ブロックに対して上述した放電制御を実行することができる。
【0068】
放電の際に蓄電池に設定される出力電流上限値および出力電圧値は、上述した実施形態では最多で2段階とし、それぞれマスター用およびスレーブ用に設定していたが、電池残容量(電池電圧)又は実際の電流値の差に応じた分類を増やして、例えば3段階以上とし、必要に応じて出力電流上限値および出力電圧値の少なくとも一方を変更することもできる。
【0069】
また、上述した実施形態では、蓄電システムが有するすべての蓄電池から放電を行っていた。しかし、放電を開始する前に、各蓄電池が放電可能かどうか判定し、放電可能な蓄電池の中から、マスターおよび他の蓄電池の出力電流値や出力電圧値を設定することもできる。例えば、蓄電池が低温になり過ぎたりすぎたり高温になり過ぎたりすると、十分な放電が行えなくなることがある。また、放電器に異常が生じている場合も同様である。そこで、各蓄電池が放電可能かどうかは、各蓄電池の温度測定結果および各放電器の異常発生の有無の少なくとも一方に基づいて判定することができる。
【0070】
さらに、電池残容量で判断する場合に、各蓄電池の満充電時の容量が同一ではない場合、また一部の蓄電池で容量の一部を温存したい場合など、真の電池残容量から一定量を差し引いた残りをその蓄電池の電池残容量と考えてバランス制御を行っても良い。
(付記)
以上、本発明について詳細に説明したが、本明細書は、以下の付記に記載された発明を開示する。ただし、本明細書の開示事項は以下の付記に限定されない。
[付記1]
蓄電池からの放電によって負荷に対して電力を供給する蓄電システムであって、
並列接続された複数の蓄電池と、
前記複数の蓄電池のそれぞれに対して、放電時の出力電圧値を少なくとも設定する電池蓄電装置と、
を有し、
前記電池蓄電装置は、
前記複数の蓄電池の中から、少なくとも電池残容量又は電池電圧に基づいて少なくとも1つの蓄電池をマスターに割り当て、前記マスターと他の蓄電池との間で、前記出力電圧値が異なるように設定することが可能な放電制御回路を有する、蓄電システム。
[付記2]
前記放電制御回路は、マスターに割り当てる蓄電池を予め決められた時間ごとに更新する付記1に記載の蓄電システム。
[付記3]
前記放電制御回路は、電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池、もしくは電池残容量または電池電圧が最小の蓄電池の何れかをマスターを割り当てる付記1または2に記載の蓄電システム。
[付記4]
前記放電制御回路は、電池残容量又は電池電圧が最大の蓄電池からの放電量が最小である場合、前記電池残容量又は電池電圧が最大の蓄電池がマスターである場合は、電池電池残容量又は電池電圧が最小の蓄電池をマスターに割り当て、前記電池残容量又は電池電圧が最大の蓄電池がマスターではない場合は、前記電池残容量又は電池電圧が最大の蓄電池をマスターに割り当てる付記3に記載の蓄電システム。
[付記5]
前記放電制御回路は、電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池からの放電量が最小でない場合、前記電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池がマスターである場合は、再度、前記電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池をマスターに割り当て、前記電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池がマスターではない場合は、電池残容量または電池電圧が最小の蓄電池をマスターに割り当てる付記3に記載の蓄電システム。
[付記6]
前記放電制御回路は、マスターに割り当てた蓄電池に、他の蓄電池よりも低い出力電圧値を設定し、さらに、他の蓄電池よりも大きな出力電流上限値を設定する付記1から5のいずれかに記載の蓄電システム。
[付記7]
前記放電制御回路は、マスターに割り当てられていない他の蓄電池に対して共通の出力電圧値および共通の出力電流上限値を設定する付記6に記載の蓄電システム。
[付記8]
前記放電制御回路は、前記複数の蓄電池の中から、電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池をマスターに割り当て、マスターに割り当てられない他の蓄電池に対し、前記マスターに割り当てられた蓄電池の実際の電流値との大小関係に応じて出力電圧値を設定する付記1または2に記載の蓄電システム。
[付記9]
前記放電制御回路は、前記マスターに割り当てられない蓄電池の残容量または電圧と、前記マスターに割り当てられた蓄電池の電池残容量または電池電圧との差が、予め設定された閾値よりも大きい場合は、前記マスターに割り当てられた蓄電池の実際の電流値との大小関係には依らずに、前記マスターに割り当てられない蓄電池の放電量を抑制するように出力電圧値を調整する付記8に記載の蓄電システム。
[付記10]
並列接続された複数の蓄電池の放電制御方法であって、
前記複数の蓄電池の中から、少なくとも電池残容量または電池電圧に基づいて少なくとも1つの蓄電池をマスターに割り当てるステップと、
前記マスターと他の蓄電池との間で、出力電圧値が異なるように前記複数の蓄電池のそれぞれに出力電圧値を少なくとも設定するステップと、
を有する放電制御方法。
[付記11]
マスターに割り当てる蓄電池を予め決められた時間ごとに更新するステップをさらに有する付記10に記載の放電制御方法。
[付記12]
前記マスターを割り当てるステップは、電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池、もしくは電池残容量または電池電圧が最小の蓄電池の何れかをマスターを割り当てることを含む付記10または11に記載の放電制御方法。
[付記13]
前記マスターを割り当てるステップは、電池残容量又は電池電圧が最大の蓄電池からの放電量が最小である場合、前記電池残容量又は電池電圧が最大の蓄電池がマスターである場合は、電池残容量又は電池電圧が最小の蓄電池をマスターに割り当て、前記電池残容量又は電池電圧が最大の蓄電池がマスターではない場合は、前記電池残容量又は電池電圧が最大の蓄電池をマスターに割り当てることを含む付記12に記載の放電制御方法。
[付記14]
前記マスターを割り当てるステップは、電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池からの放電量が最小でない場合、前記電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池がマスターである場合は、再度、前記電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池をマスターに割り当て、前記電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池がマスターではない場合は、電池残容量または電池電圧が最小の蓄電池をマスターに割り当てることを含む付記12に記載の放電制御方法。
[付記15]
前記出力電圧値を少なくとも設定するステップは、マスターに割り当てた蓄電池に、他の蓄電池よりも低い出力電圧値を設定し、さらに、他の蓄電池よりも大きな出力電流上限値を設定することを含む付記10から14のいずれかに記載の放電制御方法。
[付記16]
前記出力電圧値および出力電流上限値を設定することは、マスターに割り当てられていない他の蓄電池に対して共通の出力電圧値および共通の出力電流上限値を設定することを含む付記15に記載の放電制御方法。
[付記17]
前記マスターを割り当てるステップは、前記複数の蓄電池の中から、電池残容量または電池電圧が最大の蓄電池をマスターに割り当て、前記出力電圧値を設定するステップは、マスターに割り当てられない他の蓄電池に対し、前記マスターに割り当てられた蓄電池の実際の電流値との大小関係に応じて出力電圧値を設定することを含む付記10または11に記載の放電制御方法。
[付記18]
前記出力電圧値を設定するステップは、前記マスターに割り当てられない蓄電池の残容量または電圧と、前記マスターに割り当てられた蓄電池の残容量または電圧との差が、予め設定された閾値よりも大きい場合は、前記マスターに割り当てられた蓄電池の実際の電流値との大小関係には依らずに、前記マスターに割り当てられない蓄電池の放電量を抑制するように出力電圧値を調整することを含む付記17に記載の放電制御方法。
【符号の説明】
【0071】
100a〜100f 蓄電池
110a〜110f 放電器
120 電池蓄電装置
121 放電制御回路
121a 電池残容量測定部
121b 電池電圧測定部
121c マスター割り当て部
121d 出力電圧利設定部
122 D/Aコンバータ
123 オペアンプ
図1
図2
図2A
図3
図4
図5
図6