(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146850
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】液滴ディスペンサー
(51)【国際特許分類】
A61M 31/00 20060101AFI20170607BHJP
A61J 1/05 20060101ALI20170607BHJP
B65D 83/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
A61M31/00
A61J1/05 313C
B65D83/00 G
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-207736(P2012-207736)
(22)【出願日】2012年9月21日
(65)【公開番号】特開2013-66712(P2013-66712A)
(43)【公開日】2013年4月18日
【審査請求日】2015年4月27日
(31)【優先権主張番号】10 2011 083 355.2
(32)【優先日】2011年9月23日
(33)【優先権主張国】DE
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】512245713
【氏名又は名称】アプタル ラドルフツエル ゲーエムベーハ
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】マティアス・ヴォシェレ
【審査官】
久島 弘太郎
(56)【参考文献】
【文献】
特開2007−007324(JP,A)
【文献】
特開平03−251249(JP,A)
【文献】
特開2006−181540(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2010/0006600(US,A1)
【文献】
特開昭62−225261(JP,A)
【文献】
特開2008−232741(JP,A)
【文献】
特開2004−184159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 31/00
A61J 1/05
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴の形態(40)で医薬液体を放出するための液滴ディスペンサー(10)であって、
−ハウジング、
−スクイーズボトルとして構成された液体貯蔵器(12)、及び
−液体を抽出するための放出開口(16)、但し放出開口(16)がハウジングの壁を貫通し、放出開口(16)に出口弁(18)が割り当てられている、
を有するものにおいて、
放出開口(16)がハウジングの外側上の液滴形成領域(32,34,36)によって包囲され、この液滴形成領域(32,34,36)が、
−垂直に下方に向く放出開口(16)と液滴ディスペンサーの整列線に対して少なくとも外部領域(36)において、下方にかつ放出開口(16)に向かって先細になる形状を有し、かつ
−親水性設計を有する
ことを特徴とする液滴ディスペンサー(10)。
【請求項2】
液滴形成領域(32,34,36)が、液滴形成領域(32,34,36)より低い親水性を有する包囲領域(22)によって包囲されることを特徴とする請求項1に記載の液滴ディスペンサー(10)。
【請求項3】
液滴形成領域(32,34,36)が、境界縁(28)によって外側上で画定され、この境界縁(28)が最大0.2mmの曲率半径を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴ディスペンサー(10)。
【請求項4】
液滴形成領域(32,34,36)が、水平面において液滴形成領域(32,34,36)の平行射影のような寸法を有し、垂直に下方に向く放出開口と液滴ディスペンサーの整列線に対して0.4mm2〜24mm2の射影面積、好ましくは3mm2〜7mm2の射影面積を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液滴ディスペンサー(10)。
【請求項5】
液滴形成領域(32,34,36)の親水性が、ハウジングの壁を形成するプラスチックの部分被覆によって確立され、包囲領域(22)が好ましくはこのプラスチックの非被覆区域によって形成されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液滴ディスペンサー(10)。
【請求項6】
液滴形成領域(32,34,36)の親水性が、全体として親水性材料からなるハウジング区域(30′)によって確立され、包囲領域(22)が好ましくは第二ハウジング区域の表面によって形成され、その中に第一ハウジング区域(30′)が挿入されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液滴ディスペンサー(10)。
【請求項7】
液滴形成領域がハウジングの液滴形成体(30″)の外部表面によって形成され、この液滴形成体が球状キャップの形状を有し、その球表面が同じ直径の半球の球表面を越えるものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の液滴ディスペンサー(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴の形態で医薬液体を放出するための液滴ディスペンサーに関する。この場合において、かかる一般的な液滴ディスペンサーは、ハウジング及び液体貯蔵器、並びに液体を抽出するための放出開口を有し、放出開口はハウジングの壁を貫通し、放出開口に出口弁が割り当てられている。
【背景技術】
【0002】
様々な薬剤を投与するための液滴ディスペンサーは従来技術から一般に知られている。それらは液体貯蔵器を有し、それは例えばスクイーズボトルとして具体化されることができ、放出開口を下方に向けて同時に圧縮する結果として放出開口を通して液体の送出をもたらす。もし意図したように使用されるなら、かかる液滴ディスペンサーの放出開口の外側上に液滴が形成され、前記液滴は、放出された量の液体の最も大きな部分が主要な液滴の形でちぎれるように導く十分なサイズに達したら液滴ディスペンサーから分離する。技術的手段によってほとんど避けることができない液滴の残りは通常、放出開口の周囲に残留する。
【0003】
液滴の形態で抽出される薬剤の投与量が通常、液滴の数に関して特定されるので、一定サイズの分離する主要な液滴を得ることが極めて重要である。
【0004】
上述の液滴の残りは過去において問題があることが見い出された。放出開口に割り当てられた出口弁を持たない液体ディスペンサーの場合には、この液滴の残りは通常、液体貯蔵器に前もって形成された負圧によってボトル内に吸引されて戻される。しかしながら、圧力に依存して開放する出口弁を通常持つ一般的な液滴ディスペンサーの場合、液滴ディスペンサー内への戻り経路は放出工程の終了の後に液滴の残りに対して遮断され、従って液滴の残りは放出開口の外側上に残留する。これは、この液滴の残りが汚染物の運搬体となりうるので問題である。それゆえ、液滴の残りができるだけ早く蒸発することが望ましい。
【発明の概要】
【0005】
本発明の目的は、液滴の残りの特に素早い蒸発を可能にする程度まで一般的な液滴ディスペンサーを開発することである。さらに、各液滴の液体容積がほとんど一定である液滴ディスペンサーを提供することである。
【0006】
本発明によれば、この目的は、本発明の第一態様によれば、放出開口がハウジングの外側上の液滴形成領域によって包囲され、この液滴形成領域が、垂直に下方に向く放出開口と液滴ディスペンサーの整列線に対して少なくとも外部領域において、下方にかつ放出開口に向かって先細になる形状を有し、さらに親水性設計を有することによって達成される。
【0007】
従って、本発明は特に、液滴形成領域の造形及び設計に関し、それは、意図されるように使用されるとき、放出される液滴がその前に少なくとも最も大きい部分に付着し、ディスペンサーから分離する領域である。この液滴形成領域の外部領域の下方に先細になる造形は特に、錐体状又は錐台状造形を意味するものとして理解されるべきであり、例えばボール状形状も可能である。その側面領域は放出開口の外側上に配置され、親水性の実施形態を有する。
【0008】
この上述の領域の親水性の実施形態は、20℃の水の基準条件下で、上述の水と領域の間の親水性の程度を特定する接触角が20°以下、特に10°以下であることを意味するものとして理解される。
【0009】
先細と親水性設計の組み合わせを持つ放出開口を包囲する液滴形成領域は、特に液滴の残りの蒸発時間に関して有利であることがわかった。液滴形成領域の平坦設計と比較すると、ディスペンサーに残留する液滴の残りの等しい外部直径下では、この設計はより大きな面積を与え、その上に液滴の残りが分布される。さらに、液滴の残りが通常、より小さい容積を有することが観察された。
【0010】
容量分析的に減少した液滴の残りが分布される、この拡大された領域は、乾燥時間の減少に導く。従って、平坦な液滴形成領域上の水滴が、本発明に従って少なくとも一部において錐形/先細及び親水性を有する設計と同じ外部直径を有する液滴形成領域と比較すると約4倍の蒸発時間を有することが他の部分では変化していない条件下で観察することができた。
【0011】
原理的には、この蒸発時間の減少の利点は、それが親水性設計を有する限定された液滴形成領域だけでなく、その外側のディスペンサー全体であっても与えられる。しかしながら、規定された液滴サイズを作るためには、液滴形成領域が空間的に限定されるなら有利であると考えられる。例えば、これは、液滴形成領域より低い親水性を有する包囲領域によって液滴形成領域が包囲されることによって達成されることができる。液滴形成領域を包囲する包囲領域の親水性は、上述の境界条件下では、それが20°より大きい、好ましくは45°より大きい接触角に導くようなものであることが好ましい。液滴形成領域と包囲領域の間の親水性に関して与えられる急激な差は、主要な液滴と液滴の残りの分離が、液体が液滴形成領域の外側限界によって包囲領域の部分に前もって到達することなしに通常起こることを生じさせる。
【0012】
それに対して代替的に、又は追加的に、最大0.2mmの曲率半径を有する境界縁によって外側上の液滴形成領域を画定することが可能である。かかる境界縁は、同様に、液体が前述の境界縁によって親水性液滴形成領域を離れる前に主要な液滴が液滴の残りから離れる傾向を増加することに導く。境界縁は、親水性に劣る包囲領域とともに実施されることが好ましい。しかしながら、境界縁の外側領域が同様に親水性設計を有し、それゆえ境界縁が、液体が液滴形成時に液滴形成領域の境界を越えて進まないための唯一の責任を持つ実施形態ももちろん実施可能である。
【0013】
液滴形成領域は、水平面における液滴形成領域の平行射影が、垂直に下方に向く放出開口と液滴ディスペンサーの整列線に対して、0.4mm
2〜24mm
2の射影面積、好ましくは3mm
2〜7mm
2の射影面積を有するような寸法を持つ。
【0014】
ここで、水平面上の平行射影によって形成される射影面積は、液滴形成領域の外側縁によってのみ決定される射影面積を意味するとして理解されるべきである。それゆえ、放出開口の射影は同様にこの射影面積の一部である。0.4mm
2〜24mm
2の上述のサイズ範囲は10μl〜80μlの液滴の形成のために好適であることが見い出された。望まれることが多い約30〜40μlの液滴サイズは上述の範囲の小さめのところによって達成される。
【0015】
先細又は錐形の造形の結果として、放出開口の領域における液滴形成領域及び外部領域は当然、上述の値より大きい全体面積になる。後者は射影に関するものであるからである。減少した蒸発時間を確実にする射影面積と比較して拡大されているのは、まさしくこの実際の液滴形成領域である。
【0016】
液滴形成領域で所望の親水性を生み出すことに関しては、多数の選択肢がある。従って、第一の好ましい変形例では、親水性を確立するためにハウジングの壁を形成するプラスチックの部分被覆が与えられる。液滴形成領域のまわりの包囲領域が親水性に劣るようにするために、包囲領域はこのプラスチックの非被覆区域によって形成されることができる。親水性はまた、部分的な放射線照射によって得られることができる。従って、この実施形態では、親水性を生み出すために予め親水性でなかったプラスチックの被覆/放射線照射がなされる。プラスチックの基本的な特性は、包囲領域においてそこに与えられた親水性をより弱くする目的のために使用されることができる。
【0017】
この実施形態に対する代替例として、液滴形成領域の親水性が、全体として親水性材料からなるハウジング区域によって確立されることができる。この場合において親水性が低い包囲領域が望ましいなら、それは特に、この包囲領域を形成する第一ハウジング区域に第二ハウジング区域の表面が固定して接続されることによって確立されることができる。特に、第一ハウジング区域は第二ハウジング区域の切り出し部に挿入されることができる。従って、この変形例では、個々のハウジング区域の被覆工程又は放射線照射工程をなしですますことができる。むしろ、異なる親水性を有する材料からハウジング区域を作ることができる。
【0018】
例えば、表面を親水性にするためには、これらは、親水性を有するポリマーで被覆されることができる。親水性を有するポリマーの例は、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、グリセリルメタクリレート(GMA)、グリセリルメチルメタクリレート(GMMA)、N−ビニルピロリドン(NVP)、メタクリル酸(MAA)、メチルメタクリレート(MMA)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVA)又はポリデキストロースである。これらの材料は被覆材料として好適であるだけではない。むしろ、対応する成分が全体としてそれからなることができる。アルミニウムのような金属の蒸着もまた、一般に親水性の有意な増加をもたらす。
【0019】
問題の表面領域はまた、例えばプラズマ処理によって親水性にすることができる。これは一般に、極めて低い圧力のプラズマ反応器中で実施される。プラズマは、表面と反応する反応種、例えばイオン及び遊離ラジカルを含み、プラズマの物理的特性の性質に常に依存して、表面を化学的に変性することができる。酸素又はアルゴンプラズマは親水性化のために使用されることが多い。
【0020】
さらに、所望の親水性を確立することに関してDE 112006001297 T5及びDE 102007049587 A1を参照されたい。これらの親水性材料及び表面の生成に関する開示内容は参考として本開示の主題にされる。
【0021】
ナノ架橋シリコン−有機化合物の使用は特に有利であることが見い出された。
【0022】
本発明の既に述べた第一態様とともに実施されることが好ましい本発明の第二態様によれば、一般的な液滴ディスペンサーの液滴形成領域がハウジングの液滴形成体の外部表面によって形成され、この液滴形成体が球状キャップの形状を有し、その球表面が同じ直径の半球の球表面を越える大きさである。
【0023】
かかる実施形態の場合において、液滴形成体は、半球を越える球体の部分のように見える。出口開口の領域における球形状からの必然的に与えられたずれは、この場合において無視することができる。本発明のこの態様に関して重要であることは、液滴形成領域が球状体の赤道領域を形成し、両側に向かってそれを越えることである。液滴形成体は、球の直径と比較すると減少されたウェブによってハウジングの他の区域に接続されることが好ましい。サイズに関して半球を越える体としての液滴形成体の実施形態は、液滴ディスペンサーの正確な垂直整列線から独立して一定の液滴サイズを得ることを可能にする。これは少なくとも、液滴のサイズに影響を持たない垂直方向の整列線から15°までの液滴ディスペンサーの角度の可能性を与える。
【図面の簡単な説明】
【0024】
請求項を別として、本発明のさらなる態様及び利点はまた、図面に基づいて説明される本発明の好ましい例示的な実施形態の以下の記述から明らかになる。
【
図1】
図1は、本発明の液滴ディスペンサーを全体図で示す。
【
図2a-2c】
図2a−2cは、
図1の液滴ディスペンサーの出口ユニットの第一実施形態を示す。
【
図3】
図3は、液滴ディスペンサーの出口ユニットの第二代替実施形態を示す。
【
図4a-4c】
図4a−4cは、液滴ディスペンサーの出口ユニットの第三代替実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、本発明による液滴ディスペンサーの全体図を示す。液滴ディスペンサー10は、スクイーズボトルとして具体化される、液体貯蔵器12を有する。使用位置では、液滴ディスペンサー10の出口ユニット14は下方に向けられている。この出口ユニットは出口開口16を含み、それはディスペンサー10の閉鎖状態では弁ピン18によって閉鎖される。弁ピン18は、弁の一部であり、
図1では点線によって示され、それは液滴ディスペンサー10内の液体圧力に依存して開閉する。出口開口16を通して液体貯蔵器12から液体を放出するためには、液体貯蔵器12は手によって圧縮される。これは、圧力の増加を起こし、弁ピン18を変位することによって弁を開放する。もし意図したように使用されるなら、出てくる液体は出口開口16の領域に集まり、そこで液滴を形成し、その大部分は特定のサイズに到達した後にディスペンサーから分離し、一方、液滴の残りとして言及される小部分は出口ユニット14の出口領域に残る。
【0026】
図2a−2cは、
図1のディスペンサーの出口ユニット14を拡大した形で示す。放出配置14の構造設計は、
図2aを参照してより詳細に説明される。出口ユニット14の外部形状は二つの相互に隣接した錐台形区域20,30を持つことを確認することができる。もし意図したように使用されるなら、錐形区域30の側方領域32は、液滴が液滴ディスペンサー10から分離する前に液滴の付着が解放されるのに役立つ。出口開口16を包囲する、端領域34及び内部表面36は同様に、この液滴付着のために役立つ。この付着を簡単にするために、特に出口開口16に出現する液体が重力に逆らって側方領域32に沿って上方にうろつくために、上述の領域32,34,36は親水性設計を持つ。
図2a,2b及び2cでは、これは、ここで描かれた点線により明瞭にされている。この点線の領域では、錐形区域30及び錐形区域20の両方を形成する一体化部分の表面は、被覆50の結果として、または放射線照射の結果として、親水性設計を持つ。対照的に、側方領域32に隣接する上部錐台形区域20の側方領域22は親水性設計を持たず、むしろ親水性加工をしていない材料表面を持つ。
【0027】
錐台形区域20,30を形成する構成要素の材料は、例えばHDPEであることができる。材料として、HDPEは親水性であり、従って液体としての水との接触角は約80°である。親水性表面32,34,36の領域では、この接触角は、被覆の結果として5°未満である。
【0028】
鋭がった縁の境界縁28は側方領域22,32の間に与えられ、前記縁は約0.2mmの曲率半径を有する。この境界縁は、液滴を放出するときに、以下で説明した機能を支持する。
【0029】
図2bは、液滴形成のプロセスを示す。液体貯蔵器12に対して力を付与する結果として、液体は、わずかに開放された出口弁の場合には、圧縮されて放出開口16を通って出て、
図2bに描かれるように出たところに集まる。ここでは、液体が側方領域32の外側に沿って上方にはうが、その幾何学的設計の結果として及び側方領域22の疎水性設計の結果として境界縁28を越えて進むことはないという事実が特に目立つようにされている。従って、液滴形成領域の外部直径2は明確に規定される。
【0030】
液滴40の容積が増加すると、液滴40が液滴ディスペンサー10から分離する傾向が増加する。特に液滴形成領域の幾何学的形状に依存する液滴のサイズが達成されると、液滴は切り離され(図示せず)、液滴の大きな部分、即ち主要な液滴はディスペンサー10から分離する。ディスペンサー10上にまだ残る全てのものは、
図2cに示されている液滴の残り42である。今まで液滴の残りが残留するのを完全に避けることは可能でなかった。しかしながら、
図2cに示されるように、記載されかつ示された設計はこの液滴の残り42の極めて有利な形状をもたらすことができる。直径2を有する平坦な円形領域より有意に大きい、相対的に大きい液滴形成領域32,34,36の結果として、残っている量の液体は極めて良好に分布され、従って液体の層厚さは小さい。それゆえ、
図2cの液滴の残り42は素早く蒸発するだろう。比較的大きい液滴形成領域32,34,36に加えて、この役割を有するものは、いわば、液滴の残り42の内部容積の実質的な部分が錐形区域30によって満たされていることである。
【0031】
図3は、機能性に関して前の実施形態に対応する代替実施形態を示す。
図3による実施形態の明確な特徴は、側方領域32、端領域34、及び出口開口16の方に向く領域36が別個の体30′上に与えられ、それが本質的に親水性の材料からなることにある。例えば、この材料は、挿入された添加物によって親水性にされることができる。この別個の体30′は、側方領域22を形成する体20′の切り出し部内に挿入され、例えば圧力嵌合によってそこに保持される。
【0032】
図4a−4cの実施形態は、
図2a−2cの実施形態と再び同様なものである。なぜならば、ここでは放出ユニット14の外側を形成する一体化の体が与えられ、その体は親水性に導く被覆50を部分的に与えられているにすぎないからである。しかしながら、
図2a−2cの実施形態とは異なり、ここでは、放出ユニット14の外部領域が球状キャップ30″の形状を有し、その外側が上で特定したような被覆50を与えられるという明確な特徴が実施されている。この外部被覆及び上述の形状の効果は、
図2a−2cを参照して説明した効果と同様である。拡大された表面は、放出後に残る液滴の残りが素早く蒸発できることを再び達成することができる。
【0033】
ここで、球状キャップ形状の表面の明確な特徴は特に
図4b及び4cに表われている。球状キャップ形状は、液滴ディスペンサー10からの分離の瞬間に形成する液滴40の容積及び液滴40のサイズが、もはや液滴ディスペンサーの正確な位置合わせに依存しないことに導くことを確認することができる。即ち、
図4cは、たとえ液滴ディスペンサー10が約15°傾斜したとしても、液滴の容積は影響を受けないことを示す。従って、たとえ液滴ディスペンサー10が極めて正確に取り扱われなくても正確な投与量が確保される。