(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
プランジャーは、筒の内部表面と封止して係合するための封止手段を取り付けられた遠位に配置されたピストンを含み、前記ピストンは、中心開口を形成されており、それによって圧力センサーは、筒組立体先端と流体連通状態にあり、表示された出力は、圧力読みであることを特徴とする請求項1に記載の注射器。
封止手段と筒組立体先端の間の筒の内部の容積及び従って流体室の圧力を調節するために、所望の圧力読みが表示されるまで、プランジャーは、軸方向に変位可能であることを特徴とする請求項2に記載の注射器。
流体室は、医療チューブを包囲するカフであり、前記カフは、通常、弁によって周囲加圧空気から隔離されており、注射器が前記弁を包囲する連結チューブに結合されかつ筒組立体先端が前記弁を起動させるときにプランジャーの軸方向変位時に調節可能である圧力を持つことを特徴とする請求項4に記載の注射器。
医療チューブは、気管内チューブ、気管切開チューブ、喉頭マスク気道チューブ、カニューレ、及びカテーテルからなる群から選ばれることを特徴とする請求項7に記載の注射器。
差圧センサーは、第一圧力口が第一絶対圧力センサーと関連しかつ周囲空気に露出された第二圧力口が第二絶対圧力センサーと関連するように構成された二つの絶対圧力センサーを含むことを特徴とする請求項1に記載の注射器。
回路構成は、分析モードまたは圧力測定モードの操作時には休止状態に設定され、次いで目覚め事象に応答して活性状態に設定されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の注射器。
【背景技術】
【0002】
患者の肺への開放気道を与える気管内チューブ(ETT)は、挿管として知られる方法で、患者の気管中に挿入される。ETTの遠位端近くにあり、かつETT壁内に埋め込まれた細い導管と連通状態のバルーン状カフは、気管内で膨張され、ETTの周りの漏れを防止する。
【0003】
患者に挿管しかつ通気パラメーターを設定した後、医師は、注射器によってカフを膨張し、不正確な接触聴診器によって漏れをチェックする。カフは、気管組織への損傷を防止するためにカフ内圧力(ICP)が40cmH
2Oを越えないことを確保しながら、一般的に20〜30cmH
2Oの圧力に膨張される。長期の挿管中に過度に膨張したカフは、粘膜気管狭窄、潰瘍、瘻孔、及び肉芽腫を含む気管粘膜を損傷しやすい。カフは、気管壁に対して適切に封止し、かつ呼吸器関連肺炎(VAP)を導きやすい分泌物の吸引及び胃酸流入を防止するために十分に膨張されることが重要である。
【0004】
ICPを測定するための一般的な従来技術は、注射器の筒の内部と流体連通状態に置かれたアナログ指示器による。しかし、ICPが調節されている間に注射器の筒の内部容積は変動し、従って筒及び連結装置の瞬間容積がICPを導くために知られていることが必要であるので、圧力の読みは正確ではない。
【0005】
ICPを測定するための別の従来技術法は、カフの入口弁にデジタルマノメーターを取り付けることによる。しかし、マノメーターは嵩高く、かつ高価な装置であり、それは常に利用可能でない。最も一般的なマノメーターは、必要な圧力を与えるために一つ以上の圧力センサー及び簡単な回路構成を使用する小さな電池で電力を供給される装置である。しかし、マノメーターは、使用時に、追加の導管容積のためにカフ内の圧力を低下する導管の連結を必要とし、従って読みの精度を低下する。
【0006】
予め設定された圧力の連続制御を可能にするためにマイクロコントローラー、ポンプ、及び弁によってICPを測定するために電池または交流電力を供給された圧力調節器もまた、使用される。これらの装置は有意な容積と重量を持つものであるので、それらはETTチェック弁に直接連結されることができず、追加の導管及び設置手順を必要とする。それらの高いコストがそれらの幅広い使用を制限する。
【0007】
ICPを測定または調節するための別の従来装置は、カフ、例えばPosey Company,Arcadia,CAにより製造されたPosey Cufflator(商標)中に手動で空気をポンピングするためのインフレーター球を含む。カフは、インフレーター球と流体連通状態にあるので、ICPは、装置が取り付けられている間に球の追加容積のために、及びETTからの装置のゆっくりした取り外し時に変動する傾向があり、これは、空気の不測の流れ及び圧力の不正確性を起こす。そのかなりのコストの結果として、かかる従来技術の装置は、再使用され、それは交差汚染、及び挿管された患者の感染に導く。
【0008】
医療スタッフは、患者が挿管されている間にICPを日常的に監視するように、例えばシフト毎に一度監視するように指示され、適切な気管封止を示す許容圧力範囲内であり続けることを確実にする。
【0009】
しかし、特に集中治療室(ICU)での医療スタッフの過剰な負担のため、高価なICP圧力測定装置の不足のため、または操作するのが困難な装置もしくは不正確な装置のため、この管理基準は、守られないことが多い。
【0010】
US2010/0179488は、内部圧力センサーを持つ注射器を開示し、それは、注射器の筒;筒内のピストン;ばねの第一位置でピストンに結合されたばね、但し、ばねは流体圧力に応答して注射器中空部内で可動である第二部分を持つ;及び流体の圧力を示すためにばねの第二部分の複数の位置に関係付けられた指示器を持つ圧力センサーを含む。ばねはベローズであることができる。流体室は、気管内チューブカフと流体連通状態にあることができる。
【0011】
ばね力、及びシールと筒の間のスライド摩擦に対抗するために遠位方向の変位時にかなりの力がプランジャーに付与されなければならない。この従来技術の注射器の別の欠点は、それが筒に対して可動である圧力指示器を含むことであり、従って正確な読みを確保するために変動する抵抗力によって絶えず較正されなければならないことである。
【0012】
他の医療手順で使用するための圧力指示注射器は、EP0589439,GB1568283,IE922955,WO82/03553,WO82/03555,WO87/01598,WO92/07609,WO93/01573,US4064879,US4710172,US4759750,US5163904,US5259838,US5270685,US5295967,US5449344,US5722955,及びUS2004/0254533に開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の目的は、ICPを正確に測定するための注射器を提供することである。
【0014】
本発明の追加の目的は、医療チューブを包囲するカフを膨張または収縮しながら、ICPを調節するための、かつICPの正確な読みを与えるための比較的安価な注射器を提供することである。
【0015】
本発明の追加の目的は、同時にICPを調節しかつ圧力調節操作時にカフに添加されたまたはカフから除去されたガスの容積を示すための注射器を提供することである。
【0016】
本発明の追加の目的は、交差汚染及び患者の感染を防止するように使い捨て可能である十分に安価な圧力調節注射器を提供することである。
【0017】
本発明の追加の目的は、通常の注射器によって必要とされる手の力で操作可能である圧力調節注射器を提供することである。
【0018】
本発明の追加の目的は、一度限りで較正可能な圧力調節注射器を提供することである。
【0019】
本発明のさらに追加の目的は、追加の設置手順を必要とすることなしに医療チューブのチェック弁に連結されることができる圧力調節注射器を提供することである。
【0020】
本発明の他の目的及び利点は、説明が進むと明らかとなるだろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明は、流体室と流体連通状態に配置可能な管状先端で終わる筒組立体、前記筒組立体の筒内で手動でかつ軸方向に変位可能であるプランジャー、前記流体室内の圧力の変化を示す一つ以上の電気信号を発生させるためにその遠位端に隣接して前記プランジャー上に装着された圧力センサー、前記発生された信号を処理するために前記プランジャー内に収容された回路構成、及び前記処理された信号を示す出力を表示するための前記プランジャー上に装着されたディスプレイを含む圧力調節注射器であって、前記出力は、前記管状先端が前記流体室と流体連通状態に位置されているときに前記プランジャーの軸方向変位で変化可能である、圧力調節注射器を提供する。
【0022】
一態様では、プランジャーは、筒の内部表面と封止して係合するための封止手段を取り付けられた遠位に配置されたピストンを含み、前記ピストンは、中心開口を形成されており、それによって圧力センサーは、筒組立体先端と流体連通状態にあり、表示された出力は、圧力読みである。
【0023】
一態様では、センサーは、筒組立体先端と流体連通状態の第一圧力口、及びプランジャーと筒組立体の間の隙間を通してかつプランジャーの空所領域を通して流れる周囲加圧空気と流体連通状態の第二圧力口を持つ差圧センサーであり、処理回路構成は、流体室の圧力と周囲圧力の間の圧力差を計算しかつディスプレイに送るために適合されている。
【0024】
一態様では、周囲圧力は、較正された値である。
【0025】
一態様では、注射器は、瞬間的に押し下げられたときに圧力測定モードを開始するために、電池及び処理装置と電気連通状態の近位に配置された制御ボタンをさらに含む。
【0026】
一態様では、較正された値をディスプレイに出力するための較正モードは、制御ボタンが予め定められた時間より長く押し下げられかつ筒組立体先端が周囲加圧空気と流体連通状態にあるときに開始される。
【0027】
一態様では、較正モードは、圧力差が予め定められた値より大きいときに停止される。
【0028】
一態様では、封止手段と筒組立体先端の間の筒の内部の容積及び流体室の圧力を調節するために、所望の圧力読みが表示されるまで、プランジャーは、軸方向に変位可能である。
【0029】
一態様では、所望の圧力差の読みが表示された後に、プランジャーは、筒組立体に解放可能に固定可能である。
【0030】
一態様では、差圧センサーは、圧電圧力センサーである。
【0031】
一態様では、流体室は、気管内チューブを包囲するカフであり、前記カフは、通常、チェック弁によって周囲加圧空気から隔離されており、注射器が前記チェック弁を包囲するチューブに結合されかつ筒組立体先端が前記チェック弁のピストンを押圧して変位するときにプランジャーの軸方向変位時に調節可能である圧力を持つ。
【0032】
一態様では、差圧センサーは、第一圧力口が第一絶対圧力センサーと関連しかつ第二圧力口が第二絶対圧力センサーと関連するように構成された二つの絶対圧力センサーを含む。
【0033】
一態様では、回路構成は、分析モードで操作可能であり、その間、発生された信号は周波数または時間領域で分析される。回路構成は、分析モードまたは圧力測定モードの操作時には休止状態に設定され、次いで目覚め事象に応答して活性状態に設定されることができる。
【0034】
従来技術では、ICPは、試行錯誤工程により調節され、それにより圧力は、マノメーターまたはいずれかの他の計器によって監視され、注射器は、多数の試みの後に所望の圧力が達成されるまで多数の操作によって取り扱われる。
【0035】
対照的に、本発明は、加圧流体を送出するための方法であって、管状先端で終わる筒組立体、前記筒組立体の筒内で軸方向に変位可能であるプランジャー、前記プランジャーの遠位端に隣接して前記プランジャー上に装着されている電気信号を発生させるための圧力センサー、前記発生された信号を処理するための前記プランジャー内に収容された回路構成、及び前記処理された信号を示す出力を表示するための前記プランジャー上に装着されたディスプレイを含む注射器を準備し;前記先端を流体室と流体連通状態に配置し;圧力測定モードを開始し、それにより前記流体室内の圧力の変化を示す前記電気信号が発生され、前記信号と関連した出力が前記ディスプレイ上に表示され;そして所望の流体送出操作が実施されるまで、前記表示された出力に応答して流体送出要素を手動で取り扱う工程を含む方法を指向する。
【0036】
一態様では、表示された出力は、流体室内の圧力レベルである。
【0037】
一態様では、注射器の遠位先端は、流体室と流体連通状態にある弁と起動関係に置かれることによって流体室と流体連通状態に配置され、プランジャーは、流体室内の圧力を調節するように取り扱われる。
【0038】
一態様では、加圧流体は、医療チューブを包囲するカフに送出され、前記医療チューブは、気管内チューブ、気管切開チューブ、喉頭マスク気道チューブ、カニューレ、及びカテーテルからなる群から選ばれる。
【0039】
一態様では、プランジャーは、タイヤを膨張するように取り扱われる。
【0040】
一態様では、流体室は、脊髄管内に位置された硬膜外空間であり、かつこの硬膜外空間は、注射器の遠位先端に針を固定し、硬膜外空間中への貫入を示す圧力の減少が表示されるまで前記針を脊椎骨に貫入させることによって同定され、それにより薬物が前記針を介して硬膜外空間中に注入される。
【0041】
一態様では、加圧流体は、傷付いた血管から出血するのを停止するために収縮期圧未満で出血損傷部位に送出される。
【0042】
一態様では、表示された出力は、発生された信号のスペクトル分析誘導出力である。
【0043】
一態様では、流体送出要素は、ベンチレーターであり、スペクトル分析誘導出力は非同期呼吸を患っている及び補助された換気を必要とする患者の現在の呼吸状態の表示を提供する。
【0044】
一態様では、医療チューブを包囲するカフが破裂したかどうかまたは前記カフを膨張するための導管が閉塞されたかどうかの表示が、分析モードで提供される。
【0045】
本発明の注射器は、少なくとも次の利点を提供する:
1.それは、ICPの測定及び調節を同時に行う。
2.それは、直ちに表示可能であるICPの正確なデジタル読みを提供する。
3.それは、安価である。
4.それは、使用者に優しい。
5.それは、軽量である。
6.それは、操作のモードを変化させるために、及びICPを調節するために、片手で取り扱われることができる。
7.瞬間ICPは、長期間、維持されることができる。
8.それは、一人の患者によって使用されるための専用の装置であり、使い捨て可能であり、患者間の交差感染を防ぐ。
【発明を実施するための形態】
【0067】
本発明は、圧力センサー及び対応する回路構成が収容されているプランジャーを含む、小型の電子的に制御された圧力調節注射器である。この注射器は、以下に記載される四つのモードで操作可能である:(1)圧力測定モード、(2)圧力調節モード、(3)較正モード、及び(4)分析モード。この注射器は、その使用者に優しく、正確で、信頼性のある操作性にもかかわらず、使い捨てされることができるように十分に安価である。
【0068】
以下の説明は、ETTを包囲するカフの圧力を調節するために適合されている注射器に関する。本発明の圧力調節注射器はまた、気管切開チューブ(TRT)、喉頭マスク気道(LMA)チューブ、及びカフ付きカニューレまたはカテーテルを含む他のカフ付き医療チューブと共に操作可能であることは理解されるだろう。
【0069】
図1は、本発明の一実施態様による、一般的に数字10によって示された注射器の前面断面図を示す。
【0070】
注射器10は、筒組立体5と、筒組立体5の筒6の内部内で手動で変位可能であり、かつ筒6に所定の相対位置で固定可能であるプランジャー15を含む。筒組立体5は、近位開口1を持ち、それは、プランジャー本体の直径より大きな直径を持ち、干渉なしにプランジャー15の変位を可能にし、圧力測定の目的のためにプランジャー15と筒6の間の半径方向の隙間20に沿った周囲空気の通過を可能にする。
【0071】
圧力測定に応答して電気信号を送る差圧センサー21(例えば圧電圧力センサー)が、プランジャー15の遠位端に隣接して装着され、筒6の遠位端9から遠位方向に延びる管状注射器先端8と流体連通状態にあり、前記先端を通して加圧空気が、カフへ排出可能である。電気信号は、回路構成23によって増幅された後、プランジャー15内に埋め込まれたケーブル24を介して処理回路構成に送られ、その結果、圧力読みが、プランジャー15の近位端32に装着されているディスプレイ28上で見ることができるだろう。操作の異なるモードを開始するための制御ボタン37(例えばプッシュボタン)も、プランジャー15の近位端32に装着される。増幅及び処理回路構成がプランジャー15内に収容されたとしても、このプランジャーは、従来のプランジャーと同じ寸法を持ち、同じ容易さで近位方向及び遠位方向に変位可能である。
【0072】
注射器10は、圧力センサー21がICPと周囲圧力の両方を感知し、それによりそれらの間の差圧を表示することを可能にするように構成されることが好適である。
【0073】
図2及び3はそれぞれ、プランジャー15が筒組立体から除去されたときのプランジャー15の前面及び側面図を示す。プランジャー15は、長い本体16を含み、それは、材料費を減少させるために減少した厚さの領域14を持って形成されることができる。のこぎり状歯19が、筒組立体に一時的に固定されるために本体16から半径方向に突出する部材51の一つ以上の限られた周囲上を縦方向に延びる領域上にのみ形成されることができる。各周囲領域は、歯担持部材51と係合されるロッカーリング4(
図10−11)の構造に依存して、数度から45度、またはそれより大きい範囲であり、例えば30度の角度の範囲である。
【0074】
ケーブル24は、各半径方向に突出する部材21と隣接している本体16の中心部分内に埋め込まれることができる。ケーブル24から分岐するケーブル部分24a及び24bは、各歯担持部材51の上に垂直に延びるダクト33を通して延び、それぞれディスプレイ28及び接点29に連結される。逆L形状をした構造の装着板27が、本体16の近位端に付着される。装着板の凹んだ垂直部分にディスプレイ28が装着されている。ケーブルダクト33は、装着板27の頂部及び近位端32に装着されている薄い環状フランジ31を通して突出し、前記フランジ31に対して垂直である。
【0075】
円筒状制御ボタン37が、ばね43によってケーブルダクト33に付着される。フランジ31、またはプランジャー15のいずれかの他の部分が保持されている間に制御ボタン37が押し下げられると、制御ボタン37の遠位端に付与された電気伝導部分34が、ケーブルダクト33内に装着された接点29と電気連結され、操作のモードの一つを開始する。接点29は、近位端32内に装着されているかまたはプランジャー15のいずれかの他の部分に配置されている処理回路構成及び電池と電気的連通状態にある。
【0076】
プランジャー15は、中空の長いピストン17を持ち、その外部中空部内に筒の内部表面と封止係合するためのそれぞれ二つの間隔を置いた薄い環状の封止要素18及び19が装着されている。本体16から遠位方向に延びるアバットメント22が、封止要素18に隣接してピストン17の近位部分内にプレス嵌めされる。中空部分26は、材料の使用を最少にするために、さらに隙間20(
図1)を通しての周囲加圧空気の通過を可能にするために、アバットメント22内に形成されることができる。
【0077】
ピストン17の内部は、圧力センサー21の形状に対して補完的な形状をしたシートを形成され、センサー21のICP口25がピストン17の外部と流体連通状態にあるようにピストン17の遠位縁36から近位方向に延びる。圧力センサー21、増幅回路構成23、及びケーブル24は、封止要素19に対してわずかに近位方向にある領域でピストン17の内部に取り付けられる回路基板30に連結される。図示されていないけれども、センサー21の周囲圧力口が、回路基板30への連結のためにピン35を通して延び、アバットメント22を通して流れる周囲加圧空気を感知する。代替的に、周囲圧力口は、プランジャー本体内に形成された凹所を通して流れる周囲加圧空気を感知することができる。
【0078】
圧力センサーによって発生された信号を処理するための回路構成は、ASIC技術の使用によるような多くの異なる方式で構成されることができることは理解されるだろう。
【0079】
図18は、電子圧力センサーを内部に収容された注射器110を示すが、この注射器は、ETT弁65(それは例えばチェック弁またはポペット弁である)を包囲するチューブ63に結合されている。弁65は、カフ74が適切に膨張されているかどうかを決定する手動触知のために使用されるパイロットバルーン66と流体連通状態にあり、このバルーンから細い導管69がETT71に延びる。接点73でETT71の壁内に埋め込まれている導管69は、ETT71をその遠位領域で包囲するカフ74まで延び、カフの内部と流体連通状態にある。注射器は、例えば10cc,20cc,30cc,50cc,100cc、または200cc、またはいずれかの他の所望の容積を持つことができる。
【0080】
注射器先端108は、注射器がチューブ63に、例えばLuerロックまたはスリップチューブによって結合されるとき、弁65の軸上を十分押圧するように、または弁65の軸といずれかの他の起動関係にあるように構成され、チェック弁の変位を起こす。従って、注射器110の筒の内部、すなわちプランジャーと注射器先端108の間の加圧空気のための可変容積は、注射器がチューブ63と結合されるときにカフ74の内部と流体連通状態にある。従って、プランジャーの変位は遠位方向であれ、近位方向であれ、ICPを調節するだろう。カフ74が所望の圧力を達成した後、ICPは、注射器110をチューブ63から取りはずして弁65をその正常の閉じられた位置に戻させることによって保持されることができる。チューブ63は、注射器に連結されたときにICPに悪影響を及ぼさないように最小容積のものである。
【0081】
圧力センサーは、筒の内部に面するプランジャーの遠位端内に装着され、従って、そのICP口もカフ74と流体連通状態にある。圧力センサーが、差圧タイプのものであるとき、すなわち周囲圧力とICPとの間の圧力の差を感知するために適合されているとき、圧力読みは、瞬間筒容積から独立しており、従って、間違えることがありえることがない。
【0082】
注射器10は、
図1では圧力測定モードで操作可能であるように示されているが、先端8は、ETT弁を包囲するチューブに結合され、プランジャー15は、ICPに最適に露出されるために遠位方向に変位され、好ましくは最も遠位の位置に設定される。ICPの例示的圧力読みは、ディスプレイ28の表示64によって示される。
【0083】
圧力調節モード時には、ピストンは、筒内の中間位置に変位される。
【0084】
もし圧力読みが過剰のICPを示すなら、プランジャー15は、カフ内に閉じ込められた空気の幾らかをチェック弁を介して解放するために、圧力読みが所望の値に低下するまで単に近位方向に変位される。
【0085】
圧力調節モードはまた、ICPを増加させるために操作されることができる。筒の内部に空気の新しい投入量を入れるために、注射器10はまず、弁チューブから取りはずされねばならない。プランジャー15が次に筒組立体から取りはずされると、空気の新しい投入量が次いで筒の内部12に入れられることができる。注射器10は弁チューブから取りはずされているので、圧力センサー21の両方の圧力口は大気圧に露出され、ディスプレイ28は、
図4に示されるように、0の差圧読みを示すはずである。
【0086】
もし何らかの理由のためにディスプレイ28が0の差圧読みを示さないなら、較正モードを開始するために制御ボタン37が押し下げられ、それによりディスプレイはゼロになる。
【0087】
ディスプレイがゼロになった後、プランジャー15は、
図5に示されるように、所望の差圧67が達成されて表示されるまで、筒の内部12の容積を減少するように遠位方向に変位され、それによりICPを増加させる。所望の圧力が達成された後、臨床医が圧力読みを監視する。もし圧力読みが変化したら、プランジャー15は、なされるべきICPの変化に応答して近位方向にまたは遠位方向に変位される。
【0088】
図6は、圧力読みを出力するための処理回路構成81のブロック図を示す。処理回路構成81は、圧力センサー76、センサー76によって発生されたデータを処理するための処理装置77、センサー76及び処理装置77に電力を供給するための電池79、圧力読みディスプレイ28、及び所望の操作モードを開始するための制御ボタン37を含む。
【0089】
制御ボタン37が、処理回路構成81を起動して圧力測定モードを開始するために押し下げられるとき、信号Cが処理装置77に送られる。圧力センサー76は次いで、それぞれがICP口の絶対圧力及び周囲圧力口の絶対圧力を示す信号A及びBを処理装置77に送る。処理装置77は、これに応答してICP口と周囲圧力口の圧力の間の差を計算し、計算された差圧読みの値をディスプレイ28に出力する。示された表示は、もし電池79の電力レベルが予め定められた値以下であるなら点滅することができる。
【0090】
センサー76は、ICP口が第一絶対圧力センサーと関連しかつ周囲圧力口が第二絶対圧力センサーと関連するように構成された二つの絶対圧力センサーを含む。または代替的に、センサー76は、単一信号を処理装置77に送る差圧センサーである。
【0091】
較正モードは、制御ボタン37が予め定められた時間(例えば3秒間)押し下げられるときに開始される。制御ボタン37が予め定められた時間より長い持続閉鎖のために押し下げられた後、信号Dが処理装置77に送られ、それにより信号A及びBは削除され、ゼロの較正された表示がディスプレイ28上に示される。
【0092】
図7は較正モード時の操作方法を示す。制御ボタンが工程83で押し下げられた後、処理装置は、工程85で制御ボタン接点が持続的な回路構成閉鎖を実現するかどうかを決定する。もし制御ボタン接点が一時的な閉鎖を実現することが決定されたなら、工程89で圧力測定モードが開始される。しかし、もし制御ボタン接点が持続的な閉鎖を実現するなら、処理装置は、出力された差圧読みが予め定められた値(例えば2mmHg)より大きいかどうかを工程87で決定する。もし差圧読みが予め定められた値より大きいなら、圧力読みが実施されていることを示し、較正モードの開始は妨げられ、差圧値が表示される。しかし、もし出力された差圧値が予め定められた値未満であるなら、較正モードが開始され、ディスプレイは工程91でゼロにされ、それにより較正された周囲圧力を規定する。次の圧力読みがなされるとき、処理装置は、ICP口での圧力と較正された周囲圧力との間の差を工程93で計算し、計算された差圧読みの値を工程95でディスプレイに出力する。
【0093】
所望のICPが達成された後、プランジャーは、ICPの監視を容易にするために筒組立体に固定される。
図8〜12は、プランジャーを筒組立体に固定するための手段の一実施態様を示す。しかし、他の固定手段も本発明の範囲内にあることは理解されるだろう。
【0094】
図8は筒組立体5を示す。筒組立体5は、筒6の直径より有意に小さい直径の遠位注射器先端8を備えた中空筒6を含む。ウイング要素3が、筒6の近位端から半径方向外向きに延び、上部ロッカーリング4と係合される。可視目盛マーク2が、筒6上に付与され、カフ中に注入された空気の容積を臨床医に示す。
【0095】
図9に示されるように、ウイング要素3の内部表面8は、筒6の内部表面11より小さい直径を持つ。ロッカーリングと係合するための二つの突起7が、ウイング要素3から上向きに突出する。
【0096】
図10及び11に示されたロッカーリング4は、平坦で相互に平行な上面84及び下面86を持ち、それらは、真直ぐで相互に平行な前縁38及び後縁39によって、及び間隔を置いた凸状側面41及び42によって規定される。凸状側面41及び42のそれぞれは、前縁38と後縁39の間に水平方向に延び、下面86から下向きに延びる。下面86に平行なリップ44が、各側面41及び42の底から内向きに延びる。ウイング要素3の二つの端部領域13(
図9)のそれぞれは、下面86とリップ44の間の対応する空間47内に受け入れ可能である。リップ44の内方縁45から内向きに間隔を置かれており、かつ二つの突起7(
図9)と一列になることができる二つの凹み46が、下面86内に形成されている。
【0097】
中心穴49が、ロッカーリング4内に形成されている。穴49は、真直ぐな縁38及び39にそれぞれ面する二つの間隔を置いた同心の第一円周縁53及び54によって、及び凸状側面41及び42にそれぞれ面する二つの間隔を置いた同心の第二円周縁56及び57によって規定される。各第二円周縁の半径は、各第一円周縁の半径より小さく、半径方向に配向した縁59は、第一円周縁の端部から第二円周縁の最も接近した端部まで下向きに延びる。
【0098】
次に、
図12A−Cに関連して、ウイング要素3は、真直ぐで相互に平行な前縁68及び後縁69を持って、かつ間隔を置いた凸状側面61及び62を持って構成されているロッカーリング4と同様の形状を持つように示されている。ウイング要素3の真直ぐな縁68と69の間の間隔は、ロッカーリング4の真直ぐな縁38と39の間の間隔と実質的に等しく、一方、ウイング要素3の側面61と62の間の間隔は、ロッカーリング4の側面41と42の間の間隔より小さい。
【0099】
ウイング要素3と係合したロッカーリング4を持つために、ロッカーリングはまず、ロッカーリング4の真直ぐな縁がウイング要素3の真直ぐな縁に対して実質的に垂直になるように、
図12Aに示されたようにウイング要素の上に配置される。ロッカーリング4は次いで、ロッカーリング4のリップ44の一端がウイング要素3の対応する側面と係合することを確保しながら、
図12Bに示されたように回転される。ロッカーリング4が
図12Cに示されたように90度回転された後、ウイング要素3の各突起7が、ロッカーリング4の対応する凹み46と係合され、ウイング要素3の各端部領域13が、ロッカーリング4の対応する空間47内に受け入れられる。
【0100】
筒組立体構成のおかげで、一つの角度位置のプランジャー15は、その歯担持部材51とロッカーリング4の第一円周縁53及び54(
図11)との間の干渉をもたらすことなく軸方向に変位可能である。しかし、
図13に示されたように、プランジャー15のフランジ31が第二角度位置に回転されるとき、歯担持部材51は、ロッカーリング4の対応する第二円周縁56または57(
図11)に固定されるようになり、プランジャーは、そこから移動されることなく所望のICPを発生した選択された軸方向位置に保持されることができる。それにもかかわらず、プランジャー15は、もし望むなら、筒組立体に固定された後にラチェット式に変位されることができる。
【0101】
プランジャー15が回転される間に歯担持部材51がロッカーリング4に固定されるようになるとき、ロッカーリングの対応する表面に沿って歯のスライド作用からもたらされるプランジャーの軸方向変位は、有意ではなく、筒の内部を測定する際の不一致は、無視してもよい。歯担持部材51の縦方向に間隔を置かれた歯19の間の隙間G(
図2)は、プランジャーのかかる有意ではない軸方向変位を確保するために選ばれる。例えば20mmの内径を持つ注射器に対しては、縦方向隙間は、0.5〜1.5mmの長さであり、わずか0.16mLの筒の内部の測定において不一致をもたらすにすぎない。
【0102】
筒の内部12がカフと流体連通状態にある間に、プランジャー15は、近位方向に有意に変位されることができ、例えば、
図14に示されるように最大の範囲まで近位方向に変位されることができ、表示された差圧読み75は、大気圧以下の圧力の表示(すなわち示されるように三つの表示の負の表示値)であることができる。大気圧以下の圧力を達成する能力は、カフを簡単かつ迅速に収縮させることを可能にする。
【0103】
本発明の注射器はまた、身体の内腔から蓄積された液体を吸引するために使用されることができる。負の差圧はまた、身体の抵抗によって発生されることができ、体液を筒の内部12中に吸引することを可能にする。
【0104】
本発明の別の実施態様が、
図15〜17に示されている。
【0105】
図15に示されるように、注射器110は、筒組立体105及びプランジャー115を含む。増幅及び処理回路構成を含む印刷回路基板(PCB)124が、プランジャー115内に収容され、圧力センサー21からフランジ131まで延びる。PCB124は、プランジャー115の縦軸と一致することができる。電池179がまた、プランジャー115内に、例えばPCB124の中心開口内に嵌合されて、収容される。制御ボタン137が、PCB124に実質的に垂直に配置され、U形状の収容部材139内に形成された開口を介してアクセス可能である。前記U形状の収容部材139は、フランジ131から遠位方向に延び、プランジャー115の近位端132から外向きに突出する。制御ボタン137はプランジャー本体から半径方向に突出するので、プランジャー115は、制御ボタンが押し下げられるときに変位されないだろう。ディスプレイ28(
図17)はまた、制御ボタン137に対して反対側に凹んでいる近位端132内に収容されるが、見ることができる。センサー21、ディスプレイ28、制御ボタン137、及び電池179は、全てPCB124と電気連結され、差圧読みを提供するために上記のように作動する。
【0106】
この実施態様では、縦方向に延びる歯要素119は、一時的に筒組立体105に固定されるためにプランジャー115の周囲本体116の一つ以上の限定された円周領域内に一体的に形成される。円周領域の最上方部分はディスプレイ28の下にあり、その最下方部分はセンサー21の上にある。フランジ131の回転は、歯要素119の少なくとも一つの領域が筒組立体105のロッカーリング4に固定されるようになり、プランジャー115がそこから移動されることなく所望のICPを発生する選択された軸方向位置に保持されることを可能にする。
【0107】
図16及び17はそれぞれ、注射器110の前面及び断面図を示す。ETT弁を包囲するチューブと係合するための管状係合要素114は、筒106から遠位方向に延び、筒106より小さい直径のものである。注射器先端108は、係合要素114より小さい直径のものであり、そこから遠位方向に延びる。
【0108】
ピストン部材117が、円筒状プランジャー本体117から遠位方向にかつ半径方向内向きに延びている。筒106と封止して係合するためのガスケット部材119は、ピストン部材117内に形成された溝に結合される。センサー21を固定するための及びピストン部材117内に形成された中心開口を通過するための管状センサー保持器133は、ガスケット部材119によって担持される。センサー保持器133から遠位方向に延び、センサー保持器113より有意に小さい直径を持つ環状片134が、ガスケット部材119内に嵌合され、センサー21のICP口25が注射器先端108と流体連通状態となることを可能にする。圧力センサー21の一つ以上の周囲圧力口136は、プランジャー115の空隙領域141を通して流れる周囲加圧空気に露出されるように、PCB179から半径方向に間隔を置かれている。
【0109】
図1の注射器10は、ガスケット部材119、PCB124、半径方向に突出する制御ボタン137、または内部に収容された電池179のような、注射器110の一つ以上の特徴を持って構成されることができることは理解されるだろう。
【0110】
分析モードは、予め定められた時間(例えば3秒)以内に、予め定められた回数(例えば2回)、制御ボタンを押し下げることによって開始されることができる。分析モード中に、処理装置は、スペクトル分析を実施し、または圧力測定に応答して発生される電気信号の予め定められた周波数領域分析を実施する。分析モード中に、処理装置は、予め定められた時間の間、低電力休止状態にあることができ、次いでカフ膨張導管が閉塞されたとき、またはある測定を実施するために予め定められた時間が経過した後にICPが予め定められた閾値を越えるかまたは予め定められた閾値未満であるときのような目覚め事象に応答して、活性状態に設定されることができる。危険の場合、音響要素が間欠的な音またはブザー音を発することができる。
【0111】
図19は、注射器110が操作可能である典型的な呼吸システム140を示す。呼吸システム140は、対象者の呼吸を補助するために、圧力P
Vで空気の投入量をETT71の主内腔を介して気管147及び肺148へ送出するためのベンチレーター145を含み、P
Tの気管圧力を達成する。気管壁と封止関係にあるように適合されたカフ74は、導管69を介して注射器110の筒の内部と流体連通状態にある。注射器110の差圧センサーは、周囲圧力P
AとICP P
Cの間の圧力の差を測定する。
【0112】
P
Cは、吸気と呼気によるP
Tの変化に応答して変動する。時々、気道からの蒸気は、浸透性カフ74を通して浸透する。蒸気は、蒸気の比較的高い温度とETTの比較的低い温度の間の温度差のためにETT71上で凝縮する。凝縮した液滴は、膨張するカフ74のための導管69を湿潤し、閉塞する。従って、導管69を介してなされたICPの圧力読みは、実際のICPのものではなく、弁65(
図18)と凝縮した液滴の間に捕えられた空気の圧力を反映する。
【0113】
カフが閉塞しているかどうかを医療スタッフがこれまで決定することができなかった従来技術装置の使用とは対照的に、本発明の処理回路構成による発生した信号の分析は、カフが閉塞しているかどうかを容易に示すだろう。カフ74は、もし信号振幅が、選択された時間期間を通してずっと振動するならば、良好な操作性を示す。しかし、もし振幅が実質的に一定のままであるならば、カフ膨張導管が閉塞していると決定され、これは、メンテナンス手順が実行されなければならないことを示す。閉塞の度合いは、瞬間的に受け取られた波形を、正常に振動する信号の記憶された波形と比較することによっても決定されることができる。発生された信号の分析は、メンテナンス手順(一般的に、プランジャーを遠位方向に変位させて、凝縮した液滴をカフ中に追いやること)の実行の後であっても、信号の振幅がゼロの一定値に留まり、気管圧P
Tに応答して変動しない場合、カフが破裂していることを示すこともできる。
【0114】
図20に示されるように、発生された信号の分析は、呼吸速度を検出するために使用されることができる。時間の関数として与えられたICPを分析することによって、呼吸速度(これは、ICPの変化速度に直接影響を与える)も決定されることができる。データが20Hzの速度でサンプリングされる示された例では、患者は、1分間当たり13サイクルの速度で呼吸することが見出された。各呼吸サイクル151内に、小さい振幅及び持続時間を有し、主サイクル141を調節する複数の副サイクル153を見ることができる。各副サイクル153は、血液パルスの一部を代表する。血液パルスのデジタル分析は、例えば患者が高血圧(この症状は、触診によって常に決定されることができるとは限らない)にかかっている場合を決定するために極めて役に立つことができる場合もある。
【0115】
図21に示されるパワースペクトル密度のグラフにおいて、発生された信号の分析は、分散フーリエ変換(DFT)を使用することによって時間領域から周波数領域にデータを変換することによって実行されることができる。時間領域に発生されたピークは、容易に計数されることができ、それによって周波数領域に発生されたピークと相関させられることができる。呼吸サイクル151は、異なる特性帯域幅によってパルス153とは区別されることができる。示されたパルスは、1分間当たり約80ビットである。
【0116】
発生された信号のスペクトル分析は、非同期呼吸のため、(ベンチレーター145の操作が患者の自然の吸気及び呼気を補助する)補助された換気を必要とする患者にとって極めて役に立つことができ、生命を救うものですらありうる。従来技術の方法によれば、医療スタッフは、現在の呼吸状態(つまり、患者が現在、吸気しているのかそれとも呼気しているのか)を決定することができない場合がある。結果として、ベンチレーターが実行している呼吸操作は、有害であったり、または患者が実際に必要としているものとは反対であったりすることがありうる。対照的に、本発明は、特定の呼吸操作が開始されなければならない実際の瞬間を医療スタッフが知ることを可能にする。従って、医療スタッフは、Ambu A/S,Ballerup,Denmarkによって製造されるもののようなベンチレーターを手動で操作し、ベンチレーターの吸気または呼気工程を患者の自然の呼吸反射運動と同期させることができる。
【0117】
本発明の注射器は、ETTを包囲するカフのための、またはTRTを包囲するカフのための、または気道管理のために咽頭中に挿入される咽頭マスクを包囲するカフのための、または尿道カテーテル用のカフのための、IPCを測定及び調節する両方の目的のために使用されることができる。
【0118】
図22に示されるように、流体室内の圧力は、注射器によって調節されることができる。注射器のプランジャーはまず、工程161において近位方向に変位されて、空気の投入量を筒の内部に入れる。次に、注射器の遠位先端が、工程163において、弁軸が注射器の先端によって起動されるまで、流体室と流体連通状態にある弁(例えばチェック弁またはポペット弁)を包囲する本体中に十分に挿入される。圧力調節手順中ずっとセンサーによって圧力読みを実行するために、制御ボタンが工程165において押し下げられる。次に、プランジャーは、工程167において遠位方向に変位され、空気の投入量が流体室中に導入され、流体室内の現在の圧力が表示される。もし流体室内の圧力が所望の値未満であるなら、注射器は、工程169において弁から分離され、弁要素はその座に戻り、流体室を封止する。次に、これらの操作は、工程171において、所望の圧力が達成されるまで繰り返される。
【0119】
もし流体室の圧力が所望の圧力より大きいなら、プランジャーは、工程173において近位方向に変位され、一方、遠位先端は、弁と起動関係にある。もし流体室の圧力が所望の圧力より大きいなら、注射器は、工程175において弁から分離され、次に、プランジャーは、工程177において遠位方向に変位されて、受け取った流体を排出する。次に、遠位先端は、再び弁と起動関係にもたらされ、これらの操作は、工程181において、所望の圧力が達成されるまで繰り返される。
【0120】
所望の圧力が達成された後、プランジャーは、工程183において筒組立体に解放可能に固定され、次に、制御ボタンを追加的に押し下げることによって分析モードが工程185において開始される。
【0121】
代替的に、分析モードは、圧力調節プロセスから独立して開始されることができ、例えば、予め定められた時間期間に、または予め定められた間隔の後で、または医療スタッフの裁量に従って開始されることができる。分析モードは、一般的にプランジャーが筒の遠位端に配置されているときに開始され、データは、予め定められた時間期間(例えば、1分間)、サンプリングされる。
【0122】
注射器は、生命をおびやかす状況において上述のようにカフ中の圧力を調節するために、または傷付いた犠牲者の出血損傷部位において止血を達成するか、もしくは連続的な血管血液流を確実にするために使用されることができる。従来技術の方法は、内出血または外出血の間に血液流を停止させる止血帯などの使用を伴なう。しかし、もし血液流が4〜6時間の長期間、中断されると、肢は壊疽を起こしうる。本発明の注射器を使用すると、加圧流体は、損傷部位に送達されて、傷付いた血管を通した出血を停止させる。加圧流体は、傷付いた肢を通る連続的な血液流を確実にするために、収縮期圧未満の圧力で、直接またはカフを付けられた医療チューブによって適用されることが好ましい。適用された流体の圧力は、注射器によって監視または調節されることができる。
【0123】
血液流または器官中に適用される液体の圧力を監視して調節することによって、かかる流体移動に通常伴う薄い血管壁を有する患者の痛みは、有利に緩和されることができる。
【0124】
注射器は、人間または動物の身体構造に接触していない流体室中の圧力を調節するためにも使用されることができる。例えば、自転車のタイヤは、100ccの容積を有する注射器が使用される場合、膨張されたタイヤの圧力が正確に決定されることができない従来の空気ポンプが使用される場合よりもずっと所望の圧力に膨張されることができる。
【0125】
注射器は、身体内の流体室の相対的圧力を監視するためにも使用されることができる。
【0126】
脊髄管の内部に位置するが硬膜の外部に位置する硬膜外空間中へ微麻酔の主目的でカテーテルによって薬物を注入することは、危険な手順である。なぜなら、脊髄を包囲する脳脊髄液は、硬膜の内部に位置され、脳骨髄液を加圧下で含む蜘蛛膜層の破裂を回避するために大きな注意を払うことが必要であるからである。硬膜外空間は、大気圧未満の圧力によって特徴付けられ、硬膜外空間中への貫入は、ディスプレイを見ることによって明確に同定されることができる。注射器の針は、筒の内部と硬膜外空間との間の流体連通を可能にするために、軸方向の開口または他のいかなるタイプの開口も有することができる。注射器の針は、硬膜外空間中への貫入を示す圧力の急速な低下が見られるまで、脊椎骨を通してゆっくりと挿入され、その後、薬物が注入される。針の導入中の抵抗の減少によって硬膜外空間を同定する従来技術の方法は、本発明の方法より信頼性に劣る。
【0127】
本発明のいくつかの実施態様が例示のために記載されてきたが、本発明は、本発明の精神から離れることなく、または特許請求の範囲を超えることなく、多くの改変、変形及び適合、ならびに当業者の範囲内である多数の等価物または代替解決策の使用によっても実行できることは明らかであるだろう。