(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
エンジンの駆動力を駆動輪に伝達するためのベルト式無段変速機と遠心式クラッチとを有する鞍乗り型車両に備えられ、乗員によるアクセル操作を検出し、検出されたアクセル操作に応じたアクセル開度を出力するアクセル開度センサと、前記アクセル開度センサの出力に基づいて目標スロットル開度を算出し、スロットル弁の開度が目標スロットル開度に一致するようにフィードバック制御する電子制御スロットル制御部と、前記鞍乗り型車両の加速度を算出する加速度算出部と、前記鞍乗り型車両の車速を算出する車速算出部と、を有する車両用電子制御装置において、
前記電子制御スロットル制御部は、前記車速算出部によって算出された前記鞍乗り型車両の車速が所定範囲内にあり、前記アクセル開度センサによって算出されたアクセル開度から前記乗員によるアクセル操作を検出し、且つ、前記加速度算出部によって算出された前記鞍乗り型車両の前後方向における加速度が所定範囲にある場合に、重力方向の加速度に基づいて目標スロットル開度を補正することを特徴とする車両用電子制御装置。
前記電子制御スロットル制御部は、前記鞍乗り型車両の前後方向の加速度が、鞍乗り型車両が後退する方向の加速度である場合に、前記遠心式クラッチが係合するように前記目標スロットル開度を補正することを特徴とする請求項1に記載の車両用電子制御装置。
前記電子制御スロットル制御部は、前記鞍乗り型車両の前後方向の加速度が、鞍乗り型車両が前進する方向の加速度であり、且つ、所定値未満である場合に、重力方向の加速度に基づいて前記目標スロットル開度を補正することを特徴とする請求項1に記載の車両用電子制御装置。
前記電子制御スロットル制御部は、前記加速度算出部によって所定値を超えるロール方向の加速度が算出された場合に、重力方向の加速度に基づく前記目標スロットル開度の補正を禁止することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の車両用電子制御装置。
前記鞍乗り型車両の燃料タンク内の残燃料量を検出する残燃料量検出部を更に備え、前記電子制御スロットル制御部は、前記残燃料量検出部によって検出された残燃料量に基づいて、前記加速度算出部によって算出された加速度を補正することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の車両用電子制御装置。
前記電子制御スロットル制御部は、前記鞍乗り型車両の機種固有のエンジン回転数変化量と車速変化量との比である基準比を予め記憶しておき、前記鞍乗り型車両の走行時におけるエンジン回転数変化量と車速変化量との比である実際比を算出し、前記基準比と前記実際比とに基づいて前記目標スロットル開度を補正することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の車両用電子制御装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本発明者の検討によれば、特許文献1が開示するような遠心式クラッチでは、運転者がアクセル操作を行ってから遠心式クラッチが接続するまでの間に遅れ時間が発生する。特に、鞍乗り型車両を登坂路で発進させる場合には、運転者は、ブレーキを掛けた状態でアクセル操作を行うことによってスロットル弁を開き、エンジンの回転数を徐々に上昇させながらブレーキを徐々に解除することによって鞍乗り型車両を発進させることになるが、かかる場合に遠心式クラッチが接続するまでの間に遅れ時間が発生すると、運転者のアクセル操作の巧拙によっては、遅れ時間が発生している間に鞍乗り型車両が不要に後退してしまい、運転者に不快感を与えてしまう可能性がある。
【0006】
本発明は、以上の検討を経てなされたものであり、運転者等の乗員のアクセル操作の巧拙によらずに登坂路等で鞍乗り型車両を円滑に発進させることができる車両用電子制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の目的を達成するべく、本発明は、エンジンの駆動力を駆動輪に伝達するためのベルト式無段変速機と遠心式クラッチとを有する鞍乗り型車両に備えられ、乗員によるアクセル操作を検出し、検出されたアクセル操作に応じたアクセル開度を出力するアクセル開度センサと、前記アクセル開度センサの出力に基づいて目標スロットル開度を算出し、スロットル弁の開度が目標スロットル開度に一致するようにフィードバック制御する電子制御スロットル制御部と、前記鞍乗り型車両の加速度を算出する加速度算出部と、前記鞍乗り型車両の車速を算出する車速算出部と、を有する車両用電子制御装置において、前記電子制御スロットル制御部は、前記車速算出部によって算出された前記鞍乗り型車両の車速が所定範囲内にあり、前記アクセル開度センサによって算出されたアクセル開度から前記乗員によるアクセル操作を検出し、且つ、前記加速度算出部によって算出された前記鞍乗り型車両の前後方向における加速度が所定範囲にある場合に、重力方向の加速度に基づい
て目標スロットル開度を補正することを第1の局面とする。
【0008】
また、本発明は、第1の局面に加えて、電子制御スロットル制御部は、前記鞍乗り型車両の前後方向の加速度が、鞍乗り型車両が後退する方向の加速度である場合に、前記遠心式クラッチが係合するように前記目標スロットル開度を補正することを第2の局面とする。
【0009】
また、本発明は、第1の局面に加えて、前記電子制御スロットル制御部は、前記鞍乗り型車両の前後方向の加速度が、鞍乗り型車両が前進する方向の加速度であり、且つ、所定値未満である場合、重力方向の加速度に基づいて前記目標スロットル開度を補正することを第3の局面とする。
【0010】
また、本発明は、第1から第3の局面のいずれかに加えて、前記電子制御スロットル制御部は、前記加速度算出部によって所定値を超えるロール方向の加速度が算出された場合に、重力方向の加速度に基づく前記目標スロットル開度の補正を禁止することを第4の局面とする。
【0011】
また、本発明は、第1から第4の局面のいずれかに加えて、前記鞍乗り型車両の燃料タンク内の残燃料量を検出する残燃料量検出部を更に備え、前記電子制御スロットル制御部は、前記残燃料量検出部によって検出された残燃料量に基づいて、前記加速度算出部によって算出された加速度を補正することを第5の局面とする。
【0012】
また、本発明は、第1から第5の局面のいずれかに加えて、前記電子制御スロットル制御部は、前記鞍乗り型車両の機種固有のエンジン回転数変化量と車速変化量との比である基準比を予め記憶しておき、前記鞍乗り型車両の走行時におけるエンジン回転数変化量と車速変化量との比である実際比を算出し、前記基準比と前記実際比とに基づいて前記目標スロットル開度を補正することを第6の局面とする。
【発明の効果】
【0013】
以上の本発明の第1の局面にかかる車両用電子制御装置によれば、電子制御スロットル制御部が、車速算出部によって算出された鞍乗り型車両の車速が所定範囲内にあり、アクセル開度センサによって算出されたアクセル開度から乗員によるアクセル操作を検出し、且つ、加速度算出部によって算出された鞍乗り型車両の前後方向における加速度が所定範囲にある場合に、重力方向の加速度に基づいて目標スロットル開度を補正するものであるため、例えば、登坂路での発進時に、運転者等の乗員がアクセル操作をしているのにもかかわらずそのアクセル操作が足らないために発進がうまくできない状況が発生することを抑制することができ、アクセル操作の不足や遅れといった運転者等の乗員のアクセル操作の巧拙によらずに登坂路等で鞍乗り型車両を円滑に発進させることができる。
【0014】
また、本発明の第2の局面にかかる車両用電子制御装置によれば、電子制御スロットル制御部が、鞍乗り型車両の前後方向の加速度が、鞍乗り型車両が後退する方向の加速度である場合に、遠心式クラッチが係合するように目標スロットル開度を補正するものであるため、登坂路においてアクセル操作が不足しても、またアクセル操作が遅れても、鞍乗り型車両が後退することを抑制することができる。
【0015】
また、本発明の第3の局面にかかる車両用電子制御装置によれば、電子制御スロットル制御部が、鞍乗り型車両の前後方向の加速度が、鞍乗り型車両が前進する方向の加速度であり、且つ、所定値未満である場合に、重力方向の加速度に基づいて目標スロットル開度を補正するものであるため、アクセル操作に応じた鞍乗り型車両の加速特性をより向上させることができる。
【0016】
また、本発明の第4の局面にかかる車両用電子制御装置によれば、電子制御スロットル制御部が、加速度算出部によって所定値を超えるロール方向の加速度が算出された場合に、重力方向の加速度に基づく目標スロットル開度の補正を禁止するものであるため、鞍乗り型車両が転倒には至らないような角度で傾斜していた場合、換言すれば、発進時に乗員が鞍乗り型車両を支えきれなくなるような傾斜状態時であっても、スロットル開度が開け方向に駆動されることを防いで、乗員に不快感を与えることを抑制することができる。
【0017】
また、本発明の第5の局面にかかる車両用電子制御装置によれば、鞍乗り型車両の燃料タンク内の残燃料量を検出する残燃料量検出部を更に備え、電子制御スロットル制御部が、残燃料量検出部によって検出された残燃料量に基づいて、加速度算出部によって算出された加速度を補正するものであるため、残燃料量が多く鞍乗り型車両の慣性重量が重くなっている場合であっても、鞍乗り型車両の加速性能を確保することができる。
【0018】
また、本発明の第6の局面にかかる車両用電子制御装置によれば、電子制御スロットル制御部が、鞍乗り型車両の機種固有のエンジン回転数変化量と車速変化量との比である基準比を予め記憶しておき、鞍乗り型車両の走行時におけるエンジン回転数変化量と車速変化量との比である実際比を算出し、基準比と実際比とに基づいて目標スロットル開度を補正するものであるため、機差、乗員体重の違い、積載される荷物の重量の違い等、鞍乗り型車両の個体差によってその加速性能にばらつきが発生することを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を適宜参照して、本発明の実施形態における車両用電子制御装置につき、詳細に説明する。
【0021】
〔鞍乗り型車両の構成〕
まず、本実施形態における車両用電子制御装置が適用される鞍乗り型車両の構成につき、詳細に説明する。
【0022】
本実施形態における車両用電子制御装置が適用される鞍乗り型車両は、エンジンの駆動力を駆動輪である後輪に伝達するためのベルト式無段変速機と、発進クラッチとしての遠
心式クラッチと、を備える。
【0023】
ここで、ベルト式無段変速機は、詳細な図示は省略するが、エンジン側の第1プーリ、後輪側の第2プーリ、第1プーリ及び第2プーリ間に巻回されて第1プーリから第2プーリにエンジンの駆動力を伝達するドライブベルト、第2プーリに固設されてウエイト係止部を外周縁部に弾性支持したドライブプレート、ドライブプレートの外周側に近接しながらそれを覆うクラッチアウタ、及びクラッチアウタに固設されて後輪に駆動力を伝達するドライブシャフトを備える。
【0024】
詳しくは、ドライブベルトに対する第1プーリ及び第2プーリの巻回径は、鞍乗り型車両の速度(車速)に応じて連続的に可変であり、このように第1プーリ及び第2プーリの巻回径が変化することによって、ベルト式無段変速機の変速が実行される。また、遠心式クラッチは、エンジンが始動されていないか、又は、エンジンが始動されていても、ドライブベルトを介してドライブプレートにエンジンの駆動力が伝達されると、ドライブプレートが回転するが、ドライブプレートの回転速度が所定閾値未満である場合には、ドライブプレートのウエイト係止部は、ドライブプレートの外周側に近接しながらそれを覆うクラッチアウタの受け部とは離間されたままでそれに係止されず、遠心式クラッチは、駆動力を後輪側に伝達しない絶たれた状態にある。一方で、エンジンが始動されて、ドライブベルトを介してドライブプレートにエンジンの駆動力が伝達されると、ドライブプレートが回転し、ドライブプレートの回転速度が所定閾値以上になると、主としてそのウエイト係止部の慣性力でその姿勢が弾性支持力に抗して変化しクラッチアウタの受け部に係止され、遠心式クラッチが接続された状態になる。これにより、エンジンの駆動力が、ドライブシャフトを介して後輪に伝達される。
【0025】
つまり、遠心式クラッチのドライブプレートの回転速度をこのような所定閾値未満に維持することができるように、エンジンの回転速度を所定の範囲内に抑えれば、遠心式クラッチが断たれた状態を維持することができる一方で、エンジンの回転速度をこのような範囲の上限を超える値にすれば、遠心式クラッチを接続状態にして鞍乗り型車両を加速させることができることになる。
【0026】
〔車両用電子制御装置の構成〕
次に、
図1及び
図2を参照して、本実施形態における車両用電子制御装置の構成につき、詳細に説明する。
【0027】
図1(a)は、本実施形態における車両用電子制御装置の加速度センサによる鞍乗り型車両の加速度の検出方向を示す模式図であり、
図1(b)は、本実施形態における車両用電子制御装置の加速度センサによって検出可能な鞍乗り型車両の挙動を示す図である。また、
図2は、本実施形態における車両用電子制御装置の構成を示すブロック図である。
【0028】
図1(a)に示すように、鞍乗り型車両Aは、X軸の正方向を前進方向とし、その中央部分が原点Oにある状態でX−Z平面内に配置されている。また、鞍乗り型車両Aは、
図1(a)に示すXYZ座標系において、X軸並進動作、Y軸並進動作、Z軸並進動作、X軸回り回転(ロール回転)動作、Y軸回り回転(ピッチ回転)動作、及びZ軸回り回転(ヨー回転)動作の6自由度の挙動をとり得る。
【0029】
図2に示すように、本実施形態における車両用電子制御装置10は、鞍乗り型車両に搭載され、図示を省略するCPU(Central Processing Unit)やメモリ等を有するマイクロコンピュータ等の演算処理装置を含み、典型的にはECU(Electronic Control Unit)である。車両用電子制御装置10は、メモリから必要な制御プログラム及び制御データを読み出して、目標スロットル開度算出
処理用等の制御プログラムを実行する。
【0030】
具体的には、車両用電子制御装置10は、アクセル開度算出部11、吸気圧算出部12、エンジン温度算出部13、車速算出部14、加速度算出部15、燃料レベル検出部16、エンジン回転数算出部17、スロットル開度算出部18、燃料点火制御部19、目標スロットル開度算出部20、偏差算出部21、スロットル開度フィードバック(F/B)制御部22、及びモータ駆動出力部23を備えている。これらは、車両用電子制御装置10内において、CPUの機能ブロックとして実現されてもよいし、電気回路として実現されてもよい。また、目標スロットル開度算出部20、偏差算出部21及びスロットル開度F/B制御部22は、電子制御スロットル制御部Cを構成する。
【0031】
アクセル開度算出部11は、アクセル開度センサ31からの出力信号に基づいて、アクセル開度及びその変化量を算出し、このように算出したアクセル開度及びその変化量を示す信号を燃料点火制御部19及び目標スロットル開度算出部20に出力する。
【0032】
吸気圧算出部12は、吸気圧センサ32からの出力信号に基づいて、吸入空気の圧力(吸気圧)を算出し、このように算出した吸気圧を示す信号を燃料点火制御部19及び目標スロットル開度算出部20に出力する。
【0033】
エンジン温度算出部13は、エンジン温度センサ33からの出力信号に基づいて、エンジン1の温度を算出し、このように算出したエンジン1の温度を示す信号を燃料点火制御部19及び目標スロットル開度算出部20に出力する。
【0034】
車速算出部14は、車速センサ34からの出力信号に基づいて、鞍乗り型車両の車速を算出し、このように算出した車速を示す信号を燃料点火制御部19及び目標スロットル開度算出部20に出力する。
【0035】
加速度算出部15は、加速度センサ35からの出力信号に基づいて、鞍乗り型車両の加速度を算出し、このように算出した加速度を示す信号を燃料点火制御部19及び目標スロットル開度算出部20に出力する。
【0036】
ここで、
図1(b)に示すように、加速度センサ35を利用して、鞍乗り型車両のX軸方向(車両前後方向)の加速度を検出することによって、鞍乗り型車両のピッチ回転動作及びヨー回転動作を検出でき、鞍乗り型車両のY軸方向(車両左右方向)の加速度を検出することによって、鞍乗り型車両のロール回転動作及びヨー回転動作を検出でき、また鞍乗り型車両のZ軸方向(車両上下方向)の加速度を検出することによって、鞍乗り型車両のロール回転動作及びピッチ回転動作を検出することができる。
【0037】
燃料レベル検出部16は、燃料レベルセンサ38からの出力信号に基づいて、鞍乗り型車両の燃料タンク内の燃料レベル(残燃料量)を検出し、このように検出した燃料レベルを示す信号を目標スロットル開度算出部20に出力する。
【0038】
エンジン回転数算出部17は、クランクセンサ36からの出力信号に基づいて、エンジン1の回転数を算出し、このように算出したエンジン1の回転数を示す信号を燃料点火制御部19及び目標スロットル開度算出部20に出力する。
【0039】
スロットル開度算出部18は、スロットル開度センサ37からの出力信号に基づいて、エンジン1の吸気系に設けられたスロットル弁2の開度(実スロットル開度)を算出し、このように算出した実スロットル開度を示す信号を燃料点火制御部19、目標スロットル開度算出部20及び偏差算出部21に出力する。
【0040】
燃料点火制御部19は、アクセル開度算出部11、吸気圧算出部12、エンジン温度算出部13、車速算出部14、加速度算出部15、エンジン回転数算出部17、及びスロットル開度算出部18からの出力信号に基づいて、燃料噴射システムFI及び点火システムIGを制御することによりエンジン1への燃料供給動作及びエンジン1の点火動作を制御する。
【0041】
目標スロットル開度算出部20は、アクセル開度算出部11、吸気圧算出部12、エンジン温度算出部13、車速算出部14、加速度算出部15、燃料レベル検出部16、エンジン回転数算出部17、及びスロットル開度算出部18からの出力信号に適宜基づいて、スロットル弁2の目標開度(目標スロットル開度)を算出する。目標スロットル開度算出部20は、このように算出した目標スロットル開度を示す信号を偏差算出部21に出力する。
【0042】
偏差算出部21は、スロットル開度算出部18からの出力信号が示す実スロットル開度と、目標スロットル開度算出部20からの出力信号が示す目標スロットル開度と、の偏差を算出し、このように算出した偏差を示す信号をスロットル開度F/B制御部22に出力する。
【0043】
スロットル開度F/B制御部22は、偏差算出部21からの出力信号が示す偏差に基づいて、実スロットル開度が目標スロットル開度になるようにモータ駆動出力部23に制御信号を出力する。
【0044】
モータ駆動出力部23は、スロットル開度F/B制御部22からの制御信号に従って、スロットル弁2を駆動するための駆動信号をモータMに出力する。ここで、目標スロットル開度算出部20、偏差算出部21及びスロットル開度F/B制御部22から成る電子制御スロットル制御部C、モータ駆動出力部23、スロットル弁2並びにモータMを含むスロットルシステムは、電子制御スロットルシステムである。
【0045】
このような構成を有する車両用電子制御装置10は、以下に示す目標スロットル開度算出処理を実行することにより、乗員のアクセル操作の巧拙によらずに登坂路で鞍乗り型車両を円滑に発進させる。以下、本実施形態における車両用電子制御装置10が実行する目標スロットル開度算出処理の流れについて、
図3及び
図4を適宜参照しながら説明する。
【0046】
〔目標スロットル開度算出処理〕
図3(a)は、本実施形態における目標スロットル開度算出処理の流れを示すフローチャートであり、
図3(b)は、実際比RNVの基準比RNV_refに対する実際比RNVの比RNV/RNV_refと目標スロットル開度TRGの補正量dTRG_rnvとの関係を示す制御マップである。また、
図4(a)は、
図3(a)に示す目標スロットル開度算出処理の続きを示すフローチャートであり、
図4(b)は、燃料タンク内の燃料レベルFLと鞍乗り型車両の加速度の補正係数MGとの関係を示す制御マップであり、
図4(c)は、後退時における鞍乗り型車両のZ軸方向の加速度の補正量GZmと目標スロットル開度加算量dTRGGとの関係を示す制御マップであり、
図4(d)は、前進時における鞍乗り型車両のZ軸方向の加速度の補正量GZmと目標スロットル開度加算量dTRGGとの関係を示す制御マップである。
【0047】
図4(a)のフローチャートに示すように、本実施形態における目標スロットル開度算出処理は、鞍乗り型車両のイグニッションスイッチがオフ状態からオン状態に切り換えられたタイミングで開始となり、目標スロットル開度算出処理はステップS1の処理に進む。かかる目標スロットル開度算出処理は、鞍乗り型車両のイグニッションスイッチがオン
状態である間、繰り返し実行される。
【0048】
ステップS1の処理では、車両用電子制御装置10が、目標スロットル開度算出処理において算出等される各種パラメータの内でリセットすべきものをリセットする初期化処理を実行する。これにより、ステップS1の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS2の処理に進む。
【0049】
ステップS2の処理では、車速算出部14が、鞍乗り型車両の車速VSPを算出し、算出された車速VSPを示す信号を目標スロットル開度算出部20に出力する。これにより、ステップS2の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS3の処理に進む。
【0050】
ステップS3の処理では、エンジン回転数算出部17が、鞍乗り型車両のエンジン1の回転数NEを算出し、算出されたエンジン1の回転数NEを示す信号を目標スロットル開度算出部20に出力する。これにより、ステップS3の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS4の処理に進む。
【0051】
ステップS4の処理では、アクセル開度算出部11が、鞍乗り型車両のアクセル開度APを算出し、算出されたアクセル開度APを示す信号を目標スロットル開度算出部20に出力する。これにより、ステップS4の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS5の処理に進む。
【0052】
ステップS5の処理では、電子制御スロットル制御部Cの目標スロットル開度算出部20が、ステップS4の処理によりアクセル開度算出部11から出力されたアクセル開度AP等に基づいて、目標スロットル開度TRGを算出する。これにより、ステップS5の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS6の処理に進む。
【0053】
ステップS6の処理では、目標スロットル開度算出部20が、イグニッションスイッチがオン状態に切り換えられてから実際比RNVが学習されたか否かを判別する。判別の結果、実際比RNVが学習された場合には、目標スロットル開度算出部20は、目標スロットル開度算出処理をステップS17の処理に進める。一方で、判別の結果、実際比RNVが学習されていない場合には、目標スロットル開度算出部20は、目標スロットル開度算出処理をステップS7の処理に進める。
【0054】
ステップS7の処理では、目標スロットル開度算出部20が、スロットル弁2の開度THが所定開度Aより小さいか否か、換言すれば過度な加速操作がないか否かを判別することによって実際比RNVの学習が許可されるべき状態にあるか否かを判別する。判別の結果、スロットル弁2の開度THが所定開度Aより小さい場合には、目標スロットル開度算出部20は、実際比RNVの学習が許可されるべき状態にあると判断し、目標スロットル開度算出処理をステップS8の処理に進める。一方で、判別の結果、スロットル弁2の開度THが所定開度Aより小さくない場合には、目標スロットル開度算出部20は、実際比RNVの学習が許可されるべき状態にないと判断し、目標スロットル開度算出処理をステップS16の処理に進める。
【0055】
ステップS8の処理では、目標スロットル開度算出部20が、スロットル弁2の開度THが所定開度Aより小さく、且つ、鞍乗り型車両の車速VSPが所定車速VSPAより遅いか否か、換言すれば鞍乗り型車両の状態が停止状態に近いか否かを判別することによって実際比RNVを学習する前提条件が成立しているか否かを判別する。判別の結果、スロットル弁2の開度THが所定開度Aより小さく、且つ、鞍乗り型車両の車速VSPが所定車速VSPAより遅い場合には、目標スロットル開度算出部20は、実際比RNVを学習
する前提条件が成立していると判断し、目標スロットル開度算出処理をステップS9の処理に進める。一方で、判別の結果、そうでない場合には、目標スロットル開度算出部20は、実際比RNVを学習する前提条件が成立していないと判断し、目標スロットル開度算出処理をステップS16の処理に進める。
【0056】
ステップS9の処理では、目標スロットル開度算出部20が、実際比RNVを算出するための前提条件値を取得済みであるか否かを判別する。判別の結果、実際比RNVを算出するための前提条件値を取得済みである場合には、目標スロットル開度算出部20は、目標スロットル開度算出処理をステップS11の処理に進める。一方で、判別の結果、実際比RNVを算出するための前提条件値を取得済みでない場合には、目標スロットル開度算出部20は、目標スロットル開度算出処理をステップS10の処理に進める。
【0057】
ステップS10の処理では、目標スロットル開度算出部20が、車速算出部14及びエンジン回転数算出部17を介して鞍乗り型車両の車速VSP_Ra及びエンジン回転数NE_Raを実際比RNVを算出するための前提条件値として検出する。これにより、ステップS10の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS11の処理に進む。
【0058】
ステップS11の処理では、目標スロットル開度算出部20が、スロットル弁2の開度THが所定開度Bより大きく、且つ、スロットル弁2の開度THが所定開度Cより小さく、且つ、鞍乗り型車両の車速VSPが所定車速VSPBより速く、且つ、鞍乗り型車両の車速VSPが所定車速VSPCより遅いか否かを判別することによって実際比RNVの学習条件が成立しているか否かを判別する。ここで、スロットル弁2の開度THに関しては、所定開度A<所定開度B<所定開度Cの関係にあり、鞍乗り型車両の車速VSPに関しては、所定車速VSPA<所定車速VSPB<所定車速VSPCの関係にある。判別の結果、スロットル弁2の開度THが所定開度Bより大きく、且つ、スロットル弁2の開度THが所定開度Cより小さく、且つ、鞍乗り型車両の車速VSPが所定車速VSPBより速く、且つ、鞍乗り型車両の車速VSPが所定車速VSPCより遅い場合には、目標スロットル開度算出部20は、実際比RNVの学習条件が成立していると判断し、目標スロットル開度算出処理をステップS12の処理に進める。一方で、判断の結果、そうでない場合には、目標スロットル開度算出部20は、実際比RNVの学習条件が成立していないと判断し、目標スロットル開度算出処理をステップS16の処理に進める。
【0059】
ステップS12の処理では、目標スロットル開度算出部20が、車速算出部14及びエンジン回転数算出部17を介して鞍乗り型車両の車速VSP_Rb及びエンジン回転数NE_Rbを検出する。これにより、ステップS12の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS13の処理に進む。
【0060】
ステップS13の処理では、目標スロットル開度算出部20が、ステップS10の処理において検出された車速VSP_Ra及びエンジン回転数NE_RaとステップS12の処理において検出された車速VSP_Rb及びエンジン回転数NE_Rbとを用いて、実際比RNV(=(NE_Rb−NE_Ra)/VSP_Rb−VSP_Ra))を算出する。これにより、ステップS13の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS14の処理に進む。
【0061】
ステップS14の処理では、目標スロットル開度算出部20が、ステップS13の処理において算出された実際比RNVを学習し、この学習値をメモリに記憶する。これにより、ステップS14の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS15の処理に進む。
【0062】
ステップS15の処理では、目標スロットル開度算出部20が、
図3(b)に示すような実際比RNVの基準比RNV_refに対する実際比RNVの比RNV/RNV_refと目標スロットル開度TRGの補正量dTRG_rnvとの関係を示す制御マップをメモリから読み出して参照しながら、ステップS14の処理において算出された実際比RNVをメモリから読み出して、RNV/RNV_refの値に対応する目標スロットル開度TRGの補正量dTRG_rnvを算出する。ここで、実際比RNVは、現在の目標スロットル開度算出処理の対象となっている鞍乗り型車両の実測値に基づくものであるが、基準比RNV_refは、目標スロットル開度算出処理の対象となる鞍乗り型車両の機種固有の値として予め規定されているものである。また、
図3(b)に示すように、RNV/RNV_refの値が1よりも大きくなると、補正量dTRG_rnvは正の値として与えられ、RNV/RNV_refの値が大きくなるにつれて、補正量dTRG_rnvの傾きは徐々に小さくなった後に一定値に落ち着く。これにより、ステップS15の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS17の処理に進む。
【0063】
ステップS16の処理では、目標スロットル開度算出部20が、目標スロットル開度TRGの補正量dTRG_rnvを0に設定する。これにより、ステップS16の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS17の処理に進む。
【0064】
ステップS17の処理では、加速度算出部15が、鞍乗り型車両のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の加速度GX、GY及びGZを算出し、算出された加速度GX、GY、GZを示す信号を目標スロットル開度算出部20に出力する。これにより、ステップS17の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS18の処理に進む。
【0065】
ステップS18の処理では、燃料レベル検出部16が、鞍乗り型車両の燃料タンク内の燃料レベルFLを検出し、検出された燃料レベルFLを示す信号を目標スロットル開度算出部20に出力する。これにより、ステップS18の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS19の処理に進む。
【0066】
ステップS19の処理では、目標スロットル開度算出部20が、
図4(b)に示すような燃料タンク内の燃料レベルFLと鞍乗り型車両の加速度の補正係数MGとの関係を示す制御マップをメモリから読み出して参照しながら、ステップS18の処理において検出された燃料レベルFLに対応する加速度の補正係数MGを算出する。ここで、
図4(b)に示すように、燃料レベルFLの値が大きくなるにつれて、補正係数MGは1から徐々に大きくなった後に一定値に落ち着く。つまり、これは、燃料レベルFLの値が大きい程、鞍乗り型車両の慣性重量が大きくなることを考慮して、補正係数MGを1から徐々に大きく設定していることを意味する。これにより、ステップS19の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS20の処理に進む。
【0067】
ステップS20の処理では、目標スロットル開度算出部20が、ステップS17の処理において加速度算出部15から出力された加速度GX、GY、GZにステップ19の処理において算出された補正係数MGを乗算することによって、加速度GX、GY、GZの補正値GXm、GYm、GZmを算出する。これにより、ステップS20の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS21の処理に進む。
【0068】
ステップS21の処理では、目標スロットル開度算出部20が、ステップS20の処理において算出されたZ軸方向の加速度の補正値GZmが所定量aより小さく、且つ、Y軸方向の加速度の補正値GYmの絶対値が所定量bより大きいか否かを判別する。判別の結果、Z軸方向の加速度の補正値GZmが所定量aより小さく、且つ、Y軸方向の加速度の補正値GYmの絶対値が所定量bより大きい場合には、目標スロットル開度算出部20は、目標スロットル開度算出処理をステップS22の処理に進める。一方で、判別の結果、
そうでない場合には、目標スロットル開度算出部20は、目標スロットル開度算出処理をステップS23の処理に進める。
【0069】
ステップS22の処理では、目標スロットル開度算出部20が、鞍乗り型車両が過度に傾いている、つまり転倒している又は転倒に近い状態にあると判断し、スロットル弁2を全閉状態に制御すると共に、燃料点火制御部19が、エンジン1の駆動を停止すると共にする。これにより、ステップS22の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS34の処理に進む。
【0070】
ステップS23の処理では、目標スロットル開度算出部20が、車速算出部11によって算出された鞍乗り型車両の車速VSPが所定車速以上であるか否かを判別する。判別の結果、車速VSPが所定車速以上である場合には、目標スロットル開度算出部20は、スロットル開度算出処理をステップS29の処理に進める。一方で、判別の結果、車速VSPが所定車速以上でない場合には、目標スロットル開度算出部20は、スロットル開度算出処理をステップS24の処理に進める。
【0071】
ステップS24の処理では、目標スロットル開度算出部20が、アクセル開度算出部11によって算出されたアクセル開度に基づいてアクセル操作があったか否かを判別する。判別の結果、アクセル操作があった場合には、目標スロットル開度算出部20は、スロットル開度算出処理をステップS25の処理に進める。一方で、判別の結果、アクセル操作がなかった場合には、目標スロットル開度算出部20は、スロットル開度算出処理をステップS28の処理に進める。
【0072】
ステップS25の処理では、目標スロットル開度算出部20が、ステップS20の処理において算出されたY軸方向の加速度の補正値GYmの絶対値が所定値cより小さいか否かを判別する。判別の結果、補正値GYmの絶対値が所定値cより小さい場合には、目標スロットル開度算出部20は、スロットル開度算出処理をステップS26の処理に進める。一方で、判別の結果、補正値GYmの絶対値が所定値cより小さくない場合には、目標スロットル開度算出部20は、スロットル開度算出処理をステップS28の処理に進める。
【0073】
ステップS26の処理では、目標スロットル開度算出部20が、ステップS20の処理において算出されたX軸方向の加速度の補正値GXmが所定量fより小さいか否かを判別することによって鞍乗り型車両が後退しているか否かを判別する。判別の結果、補正値GXmが所定量fより小さい場合には、目標スロットル開度算出部20は、鞍乗り型車両が後退していると判断し、スロットル開度算出処理をステップS27の処理に進める。一方で、判別の結果、補正値GXmが所定量fより小さくない場合には、目標スロットル開度算出部20は、鞍乗り型車両は後退していないと判断し、スロットル開度算出処理をステップS28の処理に進める。
【0074】
ステップS27の処理では、目標スロットル開度算出部20が、
図4(c)に示すような後退時における鞍乗り型車両のZ軸方向の加速度の補正値GZmと目標スロットル開度加算量dTRGGとの関係を示す制御マップをメモリから読み出して参照しながら、ステップS20の処理において算出された補正値GZmに対応する目標スロットル開度加算量dTRGGを算出する。ここで、
図4(c)に示すように、補正値GZmの値が負であって小さくなるにつれて、目標スロットル開度加算量dTRGGは0から徐々に大きくなった後に一定値に落ち着く。つまり、ステップS27の処理に至った場合には、鞍乗り型車両は、転倒していない又は転倒しそうにない状態であって、且つ、前進しようとしている状態にあるが、前進方向の加速度が小さい状態にあるため、路面の傾斜により後退する傾向も考えられるため、路面の後傾に対応する補正値GZmの負の大きさに対応して、ウエ
イト係止部がクラッチアウタの受け部に係止されて遠心式クラッチが接続状態になる以上のエンジン回転数NE、つまりドライブプレートの回転数を与える目標スロットル開度加算量dTRGGを算出するものである。これにより、ステップS27の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS34の処理に進む。
【0075】
ステップS28の処理では、目標スロットル開度算出部20が、目標スロットル開度加算量dTRGGを0に設定する。これにより、ステップS28の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS34の処理に進む。
【0076】
ステップS29の処理では、目標スロットル開度算出部20が、アクセル開度算出部11によって算出されたアクセル開度に基づいてアクセル操作があったか否かを判別する。判別の結果、アクセル操作があった場合には、目標スロットル開度算出部20は、スロットル開度算出処理をステップS30の処理に進める。一方で、判別の結果、アクセル操作がなかった場合には、目標スロットル開度算出部20は、スロットル開度算出処理をステップS33の処理に進める。
【0077】
ステップS30の処理では、目標スロットル開度算出部20が、ステップS20の処理において算出されたY軸方向の加速度の補正値GYmの絶対値が所定量dより小さいか否かを判別する。判別の結果、補正値GYmの絶対値が所定量dより小さい場合には、鞍乗り型車両は転倒しそうにない状態にあるため、目標スロットル開度算出部20は、スロットル開度算出処理をステップS31の処理に進める。一方で、判別の結果、補正値GYmの絶対値が所定量dより小さくない場合には、鞍乗り型車両は転倒はしていないものの転倒直前の状態にあるため、目標スロットル開度算出部20は、スロットル開度算出処理をステップS33の処理に進める。
【0078】
ステップS31の処理では、目標スロットル開度算出部20が、ステップS20の処理において算出されたX軸方向の加速度の補正値GXmが所定量eより大きいか否かを判別することによって鞍乗り型車両が前進しているか否かを判別する。判別の結果、補正値GXmが所定量eより大きい場合には、目標スロットル開度算出部20は、鞍乗り型車両は前進していると判断し、スロットル開度算出処理をステップS32の処理に進める。一方で、判別の結果、補正値GXmが所定量eより大きくない場合には、目標スロットル開度算出部20は、鞍乗り型車両は前進していないと判断し、スロットル開度算出処理をステップS33の処理に進める。なお、ステップS31の処理では、ステップS20の処理において算出されたX軸方向の加速度の補正値GXmが所定量eよりも充分に大きい所定量以上である場合には、今以上の鞍乗り型車両の加速性能の増強は不要であるので、補正値GXmがこのように充分に大きい所定量未満であるという条件を付加して、かかる条件を満足する場合に、目標スロットル開度算出部20が、スロットル開度算出処理をステップS32の処理に進めることが好ましい。
【0079】
ステップS32の処理では、目標スロットル開度算出部20が、
図4(d)に示すような前進時における鞍乗り型車両のZ軸方向の加速度の補正値GZmと目標スロットル開度加算量dTRGGとの関係を示す制御マップをメモリから読み出して参照しながら、ステップS20の処理において算出された補正値GZmに対応する目標スロットル開度加算量dTRGGを算出する。ここで、
図4(d)に示すように、補正値GZmの値が正であって大きくなるにつれて、目標スロットル開度加算量dTRGGは0より大きい所定の一定値から徐々に小さくなった後に0に落ち着く。つまり、ステップS32の処理に至った場合には、鞍乗り型車両は、転倒していない又は転倒しそうにない状態であって、且つ、ある程度の前進方向の加速度で前進しようとしている状態にあるため、その加速性能を増強すべく、路面が後傾はしていない平坦な状態、つまり補正値GZmが正の値であって0に近い場合に、目標スロットル開度加算量dTRGGをより大きな値として算出するもので
ある。これにより、ステップS32の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS34の処理に進む。
【0080】
ステップS33の処理では、目標スロットル開度算出部20が、目標スロットル開度加算量dTRGGを0に設定する。これにより、ステップS33の処理は完了し、目標スロットル開度算出処理はステップS34の処理に進む。
【0081】
ステップS34の処理では、目標スロットル開度算出部20が、ステップS5の処理で算出した目標スロットル開度TRGに、ステップS15の処理で算出した補正量dTRG_rnv、並びにステップS27の処理又はステップS32の処理で算出した目標スロットル開度加算量dTRGGを加算した値を新たな目標スロットル開度TRGとして算出する。これにより、ステップS34の処理は完了し、スロットル開度算出処理はステップS2の処理に戻る。
【0082】
以上の説明から明らかなように、本実施形態の構成においては、電子制御スロットル制御部Cが、車速算出部14によって算出された鞍乗り型車両の車速が所定範囲内にあり、アクセル開度センサ31によって算出されたアクセル開度から乗員によるアクセル操作を検出し、且つ、加速度算出部15によって算出された鞍乗り型車両の前後方向における加速度が所定範囲にある場合に、重力方向の加速度に基づいて目標スロットル開度を補正するものであるため、例えば、登坂路での発進時に、運転者等の乗員がアクセル操作をしているのにもかかわらずそのアクセル操作が足らないために発進がうまくできない状況が発生することを抑制することができ、アクセル操作の不足や遅れといった運転者等の乗員のアクセル操作の巧拙によらずに登坂路等で鞍乗り型車両を円滑に発進させることができる。
【0083】
また、電子制御スロットル制御部Cが、鞍乗り型車両の前後方向の加速度が、鞍乗り型車両が後退する方向の加速度である場合に、遠心式クラッチが係合するように目標スロットル開度を補正するものであるため、登坂路においてアクセル操作が不足しても、またアクセル操作が遅れても、鞍乗り型車両が後退することを抑制することができる。
【0084】
また、電子制御スロットル制御部が、鞍乗り型車両の前後方向の加速度が、鞍乗り型車両が前進する方向の加速度であり、且つ、所定値未満である場合に、重力方向の加速度に基づいて目標スロットル開度を補正するものであるため、アクセル操作に応じた鞍乗り型車両の加速特性をより向上させることができる。
【0085】
また、電子制御スロットル制御部が、加速度算出部15によって所定値を超えるロール方向の加速度が算出された場合に、重力方向の加速度に基づく目標スロットル開度の補正を禁止するものであるため、鞍乗り型車両が転倒には至らないような角度で傾斜していた場合、換言すれば、発進時に乗員が鞍乗り型車両を支えきれなくなるような傾斜状態時であっても、スロットル開度が開け方向に駆動されることを防いで、乗員に不快感を与えることを抑制することができる。
【0086】
また、鞍乗り型車両の燃料タンク内の残燃料量を検出する残燃料量検出部16を更に備え、電子制御スロットル制御部Cが、残燃料量検出部16によって検出された残燃料量に基づいて、加速度算出部15によって算出された加速度を補正するものであるため、残燃料量が多く鞍乗り型車両の慣性重量が重くなっている場合であっても、鞍乗り型車両の加速性能を確保することができる。
【0087】
また、電子制御スロットル制御部Cが、鞍乗り型車両の機種固有のエンジン回転数変化量と車速変化量との比である基準比を予め記憶しておき、鞍乗り型車両の走行時における
エンジン回転数変化量と車速変化量との比である実際比を算出し、基準比と実際比とに基づいて目標スロットル開度を補正するものであるため、機差、乗員体重の違い、積載される荷物の重量の違い等、鞍乗り型車両の個体差によってその加速性能にばらつきが発生することを抑制することができる。
【0088】
なお、本実施形態においては、鞍乗り型車両の個体差によるその加速性能のばらつきが実質的に無視し得る場合等には、ステップS6からステップS16までの処理を省略してもかまわない。
【0089】
また、本発明は、構成要素の形状、配置、個数等は前述の実施形態に限定されるものではなく、かかる構成要素を同等の作用効果を奏するものに適宜置換する等、発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることはもちろんである。