特許第6146970号(P6146970)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146970
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】光源点灯装置及び照明器具
(51)【国際特許分類】
   H05B 37/02 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   H05B37/02 K
   H05B37/02 J
【請求項の数】6
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2012-177388(P2012-177388)
(22)【出願日】2012年8月9日
(65)【公開番号】特開2014-35943(P2014-35943A)
(43)【公開日】2014年2月24日
【審査請求日】2015年7月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】390014546
【氏名又は名称】三菱電機照明株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099461
【弁理士】
【氏名又は名称】溝井 章司
(74)【代理人】
【識別番号】100122035
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 敏雄
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 廣義
(72)【発明者】
【氏名】和田 直樹
【審査官】 安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−010100(JP,A)
【文献】 特開2005−331468(JP,A)
【文献】 特開2012−023277(JP,A)
【文献】 特開2012−095518(JP,A)
【文献】 特開2012−134100(JP,A)
【文献】 特開2012−009772(JP,A)
【文献】 特開2012−004054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源を備える光源回路へ直流電流を供給し、前記光源を点灯する点灯回路と、
前記光源回路及び前記点灯回路の少なくともいずれかに発生したアーク放電を消滅させるために前記点灯回路から前記光源回路への直流電流の供給を停止する供給停止動作を行う放電消滅回路であって、前記アーク放電の発生の有無にかかわらず、前記供給停止動作を繰り返し行う放電消滅回路と
を備え
前記点灯回路は、スイッチング素子を有し、
前記放電消滅回路は、
前記供給停止動作を行う供給停止制御期間では、前記スイッチング素子を不連続モードで制御することにより前記点灯回路の出力電圧を低下させ、前記光源回路への直流電流の供給を停止し、前記供給停止制御期間以外の期間では、前記スイッチング素子を臨界モードで制御することにより、前記光源回路に直流電流を供給する定電流制御を行う光源点灯装置。
【請求項2】
前記放電消滅回路は、
前記供給停止動作を開始したのち、前記光源が発する光の残光が消えるよりも前に、前記供給停止動作を終了する請求項1に記載の光源点灯装置。
【請求項3】
前記点灯回路は、バックコンバータ回路またはフライバックコンバータ回路である請求項1または2に記載の光源点灯装置。
【請求項4】
前記光源点灯装置は、
前記光源回路を流れる電流及び前記点灯回路の出力電圧の少なくともいずれかが、所定の正常範囲から逸脱した場合に、異常が発生したと判定する異常判定部を有し、
前記点灯回路は、
異常が発生したと前記異常判定部が判定した場合に、動作を停止し、
前記異常判定部は、
前記放電消滅回路が前記供給停止動作を行っている間は、前記光源回路を流れる電流及び前記点灯回路の出力電圧の少なくともいずれかが、前記所定の正常範囲から逸脱した場合であっても異常が発生していないと判定する請求項1から3のいずれか1項に記載の光源点灯装置。
【請求項5】
前記異常判定部は、
前記放電消滅回路が前記供給停止動作を終了したのち、所定の時間が経過するまでの間は、前記光源回路を流れる電流及び前記点灯回路の出力電圧の少なくともいずれかが、前記所定の正常範囲から逸脱した場合であっても異常が発生していないと判定する請求項に記載の光源点灯装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の光源点灯装置と、
前記光源点灯装置が備える点灯回路から供給される直流電流により点灯する光源を備える光源回路を接続する光源接続部とを備える照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、LEDなどの光源を点灯する光源点灯装置及び当該光源点灯装置を用いた照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDランプを点灯する照明器具において、点灯中のランプ電圧は直流で数十ボルト以上に達する場合がある。このような照明器具では、LEDランプに供給する直流電流を定電流に制御する点灯回路とLEDランプとの間に介在するソケットからLEDランプが外れると、ソケットの電極とLEDランプの端子との間でアーク放電が発生する場合がある。このアーク放電は、ソケットの電極、LEDランプ、あるいは点灯回路等にストレスやダメージを与える可能性がある。
【0003】
このようなアーク放電を抑止するための従来技術として、出力電圧が可変である電力変換部と、電力変換部からソケットを介してLEDランプに供給される出力電流を検出する電流検出部と、LEDランプに印加される出力電圧を検出する電圧検出部と、電流検出部で検出される出力電流を目標値に一致させるように電力変換部を制御して出力電圧を増減する制御部とを備えたLED点灯装置がある。このLED点灯装置は、出力電流が所定の下限値以上である場合は出力電圧が所定の最大負荷電圧を超えないように制御し、LEDランプとソケットとの間のアーク放電を消滅し易くすることにより、アーク放電の継続時間を短縮するものである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012−9391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
通常、ソケットからLEDランプが外れた場合、電流検出部の検出電流から得られる電流値が下限値未満となるので、制御部の定電流制御が中止される。しかし、LEDランプとソケットとの間でアーク放電が生じた場合、電流値が下限値未満まで減少せず、制御部の定電流制御が継続されてしまうことがある。
【0006】
特許文献1に開示されたLED点灯装置は、電力変換部の出力電圧が最大負荷電圧を超えないように制限することによりアーク放電を消滅し易くし、外れたLEDランプとソケットとの距離が大きくなってアークが引き延ばされて消滅するまでのアーク放電の継続時間の短縮を図っている。
【0007】
しかしながら、特許文献1のLED点灯装置では、出力電流を検出した後に、出力電圧を制御する動作を行っているので、アーク放電の継続を抑止するための構成や制御が複雑になるという課題がある。
【0008】
また、特許文献1のLED点灯装置では、LEDランプとソケットとの間に発生したアーク放電の場合は、上述したように、アークが引き延ばされて消滅するまでの時間を短縮することができるが、微細な亀裂等に発生したアーク放電の場合は、アーク放電が継続してしまう可能性があり、確実にアーク放電を消滅させることができないという課題がある。
【0009】
本発明は、例えば、簡単な構成により確実にアーク放電の継続を抑止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る光源点灯装置は、光源を備える光源回路へ直流電流を供給し、前記光源を点灯する点灯回路と、前記光源回路及び前記点灯回路の少なくともいずれかに発生したアーク放電を消滅させるために前記点灯回路から前記光源回路への直流電流の供給を停止する供給停止動作を行う放電消滅回路であって、前記アーク放電の発生の有無にかかわらず、前記供給停止動作を繰り返し行う放電消滅回路とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係る光源点灯装置によれば、簡単な構成により光源回路への直流電流の供給を停止することができ、確実にアーク放電の継続を抑止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る照明器具の回路構成の一例を示す図である。
図2】実施の形態1に係る点灯回路制御部の供給停止動作の説明のための図である。
図3】実施の形態1に係る点灯回路スイッチング素子のスイッチング動作を示す図である。
図4】実施の形態1に係る照明器具の回路構成の他の例を示す図である。
図5】実施の形態2に係る照明器具の回路構成を示す図である。
図6】実施の形態3に係る照明器具の回路構成を示す図である。
図7】実施の形態4に係る照明器具の回路構成を示す図である。
図8】実施の形態4に係る供給停止制御部の供給停止動作の説明のための図である。
図9】実施の形態5に係る照明器具の回路構成を示す図である。
図10】実施の形態6に係る照明器具の回路構成を示す図である。
図11】実施の形態6に係る保護回路の動作の説明のための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る照明器具の回路構成の一例を示す図である。本実施の形態に係る照明器具100の回路構成について、図1を用いて説明する。
【0014】
照明器具100は、光源回路40のLED41を点灯させる器具である。図1において、照明器具100は、光源点灯装置50と、光源回路40を接続する光源接続部60とを備える。光源点灯装置50は、外部電源10から交流電圧を入力し、所定の直流電流を生成して、光源回路40へ出力する。
【0015】
外部電源10(電源の一例)は、照明器具100に対して交流電圧を供給する交流電源である。外部電源10は、例えば、商用交流電源である。ただし、外部電源10は、交流電源でなくてもよく、例えば、太陽光発電システムなどにより直流電圧を供給する直流電源であってもよい。
【0016】
光源点灯装置50は、直流生成部20と点灯回路30とを備える。
【0017】
直流生成部20は、直流電圧を生成し、点灯回路30に出力する。直流生成部20は、図示は省略するが、ダイオードブリッジで構成された整流回路を備える。直流生成部20は、外部電源10から供給された交流電圧を整流回路により全波整流し、直流電圧を生成する。
【0018】
また、直流生成部20は、力率改善機能を有する直流電圧変換回路を備えていてもよい。この場合、直流生成部20は、力率改善機能を有する直流電圧変換回路により、整流回路から出力された直流電圧を所定電圧に変換して出力する。
【0019】
点灯回路30は、光源回路40に対して所定の直流電流を供給する定電流電源としての機能を有する。点灯回路30の定電流制御動作については後述する。
【0020】
点灯回路30は、点灯回路スイッチング素子5、点灯回路制御部6、コイル7、ダイオード8、コンデンサ9を備えるスイッチング電源回路である。
点灯回路30は、点灯回路スイッチング素子5、点灯回路制御部6、コイル7、ダイオード8、コンデンサ9により、バックコンバータを構成する。
【0021】
点灯回路スイッチング素子5は、直流生成部20が有する2つの出力端子のうちの高電圧側に配置される。点灯回路スイッチング素子5は、例えば、MOSFET、あるいは、トランジスタ等の半導体スイッチング素子である。
点灯回路制御部6は、点灯回路スイッチング素子5のスイッチング(オンオフ)を制御する。
【0022】
コイル7は、電磁誘導素子であり、点灯回路スイッチング素子5がオンのときに電磁誘導によりエネルギーを蓄積する。
ダイオード8は、点灯回路スイッチング素子5がオフのときにオンになり、コイル7から放出されるエネルギーにより流れる回生電流の経路を形成する。
コンデンサ9は、コイル7を流れる電流により充電される。バックコンバータである点灯回路30は、このコンデンサ9からの放電により、光源回路40に供給する光源点灯用の直流電流を出力して光源回路40が備えるLED41を点灯させる。
【0023】
直流生成部20、点灯回路30は、例えば、プリント基板に形成されている。
【0024】
光源回路40は、直流電流を入力して、入力した直流電流により光源が発光する。光源は、例えば、LED41である。光源回路40は、複数個のLED41を備える。図1では、3個のLED41が直列に接続されている。
【0025】
光源回路40は、例えば、LEDランプ等のLEDモジュールである。照明器具100は、LEDモジュールを接続するための光源接続部60を備える。光源接続部60は、例えば、LEDランプを装着するソケット、あるいは、LEDモジュールを接続するためのコネクタ等である。光源回路40は、光源接続部60を介して光源点灯装置50に接続される。
【0026】
次に、上記のように構成された照明器具100において、定電流にてLED41を点灯させるための点灯回路30の定電流制御動作について説明する。
【0027】
点灯回路30は、直流生成部20から直流電圧を入力し、点灯回路制御部6によって点灯回路スイッチング素子5を高周波でスイッチングすることにより、コンデンサ9を充電し、所定の直流電流を出力する。点灯回路30は、このコンデンサ9からの放電により出力される直流電流を光源回路40に供給することにより、LED41を点灯させる。
【0028】
次に、点灯回路30の点灯回路制御部6によるアーク放電を消滅させるための制御動作について説明する。点灯回路制御部6は、定電流制御動作のほかに、アーク放電を消滅させるための制御動作を行う。
【0029】
点灯回路制御部6は、光源回路40及び点灯回路30の少なくともいずれかに発生したアーク放電を消滅させるために、点灯回路30から光源回路40への直流電流の供給を停止する供給停止動作(以下、供給停止制御ともいう)を行う。点灯回路制御部6は、この供給停止動作をアーク放電の発生の有無にかかわらず、周期的に、あるいは、ランダムに繰り返し行う。
【0030】
まず、照明器具100において発生する可能性のあるアーク放電について説明する。
【0031】
照明器具100において、直流電流を流すことによるアーク放電は、LEDランプ(光源回路40)がソケット(光源接続部60)から外れたときに、LEDランプとソケットとの間に発生する場合がある。このようなアーク放電は、光源回路40に発生するアーク放電の一例である。
【0032】
また、光源回路40に発生するアーク放電以外にも、例えば、点灯回路30のプリント基板のパターン配線の微細な亀裂等による断線箇所に発生するアーク放電、あるいは、プリント基板の出力部からソケットへの配線の一部が断線等を起こすなどによるアーク放電等がある。これらのアーク放電は、点灯回路30に発生するアーク放電の一例である。
【0033】
図1において図示は省略しているが、照明器具100は、通常、LEDランプが外れるなどして無負荷状態となった場合には、点灯回路30の高い出力電圧を検出する等して点灯回路30を停止させる保護機能を有する。照明器具100において、絶縁距離が十分に大きな断線が発生した場合には、その断線箇所にはアーク放電は発生しないので、LED41には電流が供給されず、無負荷状態になる。この場合には、照明器具100が有する上記保護機能により、点灯回路30が停止するなどして照明器具100が保護される。
【0034】
しかし、絶縁距離が微少な断線が発生した場合は、その断線箇所にアーク放電が発生し、LED41に電流が供給される。このため、照明器具100は、無負荷状態とならず、点灯回路30は電流の供給を継続してしまい、アーク放電が継続してしまう。
【0035】
そこで、点灯回路制御部6は、光源回路40あるいは点灯回路30に発生するアーク放電を消滅させるために、通常の定電流制御動作のほかに、極めて短い時間だけ光源回路40に対して直流電流の供給を停止する供給停止動作を行う。点灯回路制御部6は、この供給停止動作を、光源点灯装置50におけるアーク放電の発生の有無にかかわらず繰り返し行う。点灯回路制御部6は、アーク放電の発生の有無にかかわらず、点灯回路30から光源回路40への直流電流の供給を繰り返し停止して、アーク放電を消滅させる放電消滅回路の一例である。
【0036】
点灯回路制御部6は、点灯回路30の動作を停止する制御、または、点灯回路30の出力を低下させる制御を行うことにより、光源回路40への直流電流の供給を極めて短い時間だけ停止する。
【0037】
点灯回路制御部6が光源回路40への直流電流の供給を停止する極めて短い時間(以下、電流停止時間ともいう)とは、アーク放電を消滅させるために要する時間よりも長い時間である。点灯回路制御部6が電流停止時間の間だけ光源回路40への直流電流の供給を停止することにより、光源回路40にアーク放電が発生していた場合、点灯回路30の出力部にアーク放電が発生していた場合等には、そのアーク放電を消滅させることができる。点灯回路制御部6が供給停止動作を繰り返すことによるアーク放電の消滅効果及びアーク放電の発生の抑止効果については後述する。
【0038】
図2は、本実施の形態に係る点灯回路制御部6の供給停止動作の説明のための図である。図3は、本実施の形態に係る点灯回路スイッチング素子5のスイッチング動作を示す図である。図2及び図3を用いて、点灯回路制御部6による供給停止動作について詳しく説明する。
【0039】
上述したように、図1に示す照明器具100では、直流生成部20から出力された直流電圧が点灯回路30(バックコンバータ)に印加され、点灯回路制御部6の定電流制御により点灯回路30から所定の直流電流が光源回路40に供給され、LED41が点灯する。さらに、点灯回路制御部6は、LED41の点灯中には、定電流制御とは別に、電流停止時間だけLED41への直流電流の供給を停止する供給停止動作を定期的に、または、ランダムに繰り返し行う。
【0040】
図2(a)は、点灯回路制御部6が、光源回路40への直流電流の供給を停止するための供給停止動作を行っている期間T1(以下、供給停止制御期間T1という)を示している。図2(a)では、点灯回路制御部6は、供給停止動作を周期Trで繰り返すことを示している。ただし、点灯回路制御部6は、供給停止動作をランダムに繰り返してもよい。
【0041】
図2(b)は、供給停止制御期間T1におけるコンデンサ9の電圧の変化を示している。図2(c)は、供給停止制御期間T1に対応するLED41に供給される直流電流の変化を示している。図2(d)は、供給停止制御期間T1に対応するLED41の光出力の変化を示している。
【0042】
図2(a)に示すように、点灯回路制御部6が供給停止制御期間T1に入ると、図2(b)に示すように、コンデンサ9の電圧が徐々に低下する。コンデンサ9の電圧がLED41がオンしない電圧(すなわち、LED41に電流を流すための電圧の下限値(以下、供給停止制御時電圧とする))まで下がると、図2(c)に示すように、LED41への直流電流の供給が停止する。LED41への直流電流の供給が停止する時間を電流停止時間T2とする。
【0043】
LED41への直流電流の供給が停止すると、図2(d)に示すように、LED41の光出力が徐々に低下する。電流停止時間T2が経過し、LED41への直流電流の供給が開始されると、LED41の光出力は徐々に上昇し、元の光出力まで戻る。
【0044】
図2(d)に示すように、電流停止時間T2は、LED41の光出力が低下し始めてからLED41の光出力が零になるまでの時間より短く設定されているので、LED41の光出力が零になることはない。
【0045】
次に、図3を用いて、点灯回路制御部6による供給停止動作の具体例について説明する。
【0046】
図3(a)は、通常の定電流制御において、点灯回路30(バックコンバータ)の点灯回路スイッチング素子5を後述する臨界モードで動作させた場合のコイル7の電流波形を示しており、横軸は時間である。図3(b)は、供給停止動作において点灯回路スイッチング素子5を後述する不連続モードで動作させた場合のコイル7の電流波形を示している。
【0047】
通常の定電流制御においては、点灯回路制御部6は、例えば、臨界モードで点灯回路スイッチング素子5を制御している。臨界モードとは、例えば、図3(a)に示すように、コイル7の電流が零になるとすぐに点灯回路スイッチング素子5をオンにして電流を流し始め、効率よく所定の出力電流を発生するような制御である。図示は省略するが、通常、点灯回路30は出力電流を検出する出力電流検出回路、及び、コイル7に流れる電流を検出するコイル電流検出回路を備えている。点灯回路制御部6は、出力電流検出回路が検出した出力電流の値、及び、コイル電流検出回路が検出したコイル7に流れる電流の値等を用いて臨界モードによる定電流制御を行う。
【0048】
ここで、図3(b)に示すように、点灯回路制御部6が供給停止動作を開始すると(すなわち、供給停止制御期間T1に入ると)、点灯回路制御部6により、点灯回路スイッチング素子5は、電流のピーク値Apを臨界モード時の電流のピーク値よりも低くし、かつ、コイル7の電流が流れ終わっても一定のオフ期間T4の間は次のオン期間に入らない不連続モードで動作するように制御される。
【0049】
これにより、図2(b)及び図2(c)に示すように、コンデンサ9の電圧が低下するとともに、LED41へ流れる直流電流も低下し、コンデンサ9の電圧が供給停止時制御電圧以下になると、LED41へ流れる直流電流が停止する電流停止時間T2が生じる。
【0050】
このように、点灯回路制御部6は、点灯回路30の出力電圧を低下させることにより、点灯回路30から光源回路40への直流電流の供給を停止させる。
【0051】
点灯回路制御部6は、通常の定電流制御においては、点灯回路スイッチング素子5のスイッチング動作を臨界モードで制御し、供給停止制御(供給停止制御期間T1)においては、点灯回路スイッチング素子5のスイッチング動作を不連続モードで制御している。そのため、点灯回路制御部6は、通常の定電流制御から供給停止制御へ移行する場合に、点灯回路スイッチング素子5の動作モードを変更するだけで済むので、制御が簡単になる。
【0052】
あるいは、点灯回路制御部6は、通常の定電流制御においても、点灯回路スイッチング素子5のスイッチング動作を不連続モードで制御し、供給停止制御期間T1においても、点灯回路スイッチング素子5のスイッチング動作を不連続モードで制御してもよい。この場合は、供給停止制御期間T1では点灯回路スイッチング素子5のオフ期間T4に相当する時間を、通常の定電流制御時より長くする。
【0053】
あるいは、点灯回路制御部6は、供給停止制御期間T1の間継続して点灯回路スイッチング素子5をオフにし、点灯回路30の動作を完全に停止させてもよい。これにより、図2(b)及び図2(c)に示すように、コンデンサ9の電圧が低下するとともに、LED41へ流れる直流電流も低下し、コンデンサ9の電圧が供給停止時制御電圧以下になると、LED41へ流れる直流電流が停止する電流停止時間T2が生じる。
【0054】
このように、点灯回路制御部6は、点灯回路30の動作を停止することにより、点灯回路30から光源回路40への直流電流の供給を停止させてもよい。
【0055】
また、点灯回路制御部6には、予め供給停止制御時電圧がメモリに設定されているとしてもよい。この場合、点灯回路制御部6は、供給停止制御期間T1に入ると、出力電圧が供給停止制御時電圧以下となるように点灯回路スイッチング素子5を制御する。これにより、コンデンサ9の電圧は予め設定されている供給停止制御時電圧以下に低下し、LED41へ流れる直流電流が停止する電流停止時間T2が生じることとなる。
【0056】
このように、点灯回路制御部6は、点灯回路30の出力電圧を低下させることにより、点灯回路30から光源回路40への直流電流の供給を停止させてもよい。
【0057】
LED41へ流れる直流電流が停止する電流停止時間T2は、大気中でアークを消滅させるために要する時間で十分であり、例えば、1μs(マイクロ秒)程度である。
【0058】
点灯回路制御部6は、例えば、周期Tr10ms(ミリ秒)〜1000msに対して1μs〜100μsの電流停止時間T2が発生するように点灯回路スイッチング素子5を制御する。周期Tr10ms〜1000msに対して1μs〜100μsという時間は、例えば、その間にLED41の光出力が零になったとしても、人間には視認できない程度の時間である。
【0059】
ここで、点灯回路制御部6(放電消滅回路の一例)が供給停止動作を繰り返し行うことによるアーク放電抑止効果について説明する。
【0060】
点灯回路30のプリント基板の出力部の配線経路に微小なクラックが生じてアーク放電が発生した場合は、点灯回路30から光源回路40への電流供給の停止期間(電流停止時間T2)があるので、この間、点灯回路30の出力部の配線経路に流れる電流も停止し、アーク放電は消滅する。次に、点灯回路30が再び電流を光源回路40に供給しようと動作するが、アーク放電が消滅しているので、新たにアーク放電を引き起こすためには比較的高い電圧が必要となる。この比較的高い電圧により、点灯回路30が有する保護機能が作動し、点灯回路30の動作を停止させることができる。
【0061】
また、点灯回路30の出力部以外の配線経路に微小なクラックが生じてアーク放電が発生した場合は、次のようにアーク放電を消滅させることができる。例えば、点灯回路制御部6が点灯回路スイッチング素子5を完全にオフにすることにより、点灯回路30の動作を停止して供給停止制御を行う場合には、点灯回路30に電流が流れない期間が発生するので、その期間にアーク放電が消滅する。
【0062】
また、例えば、図3(b)に示すように、供給停止制御時、点灯回路スイッチング素子5が不連続モードで動作している場合には、点灯回路スイッチング素子5のオフ期間T4の間に点灯回路30に生じたアーク放電を消滅させることができる。オフ期間T4の間に点灯回路30に生じたアーク放電を消滅させるためには、オフ期間T4を、アーク放電を消滅させるために要する時間より長い時間とする必要がある。
【0063】
また、再びアーク放電が発生して点灯回路30から電流が供給されても、点灯回路制御部6の供給停止制御は繰り返し実行され、点灯回路30が出力電流を停止する動作は繰り返し起きるので、そのたびにアーク放電が消滅する。このようなことを繰り返すことで、点灯回路30の出力部等の微小なクラックが徐々に拡大するなどして次の電流供給時にはアーク放電が発生しにくくなる。またアーク放電が発生しても電流供給の停止期間を設けているのでアーク放電による部品や材料の過熱等の発生を防止することができる。
【0064】
次に、LED41への直流電流の供給の停止が繰り返された場合の、LED41の光出力の変化について説明する。
【0065】
LED41の光出力は、例えば、黄色蛍光体と青色波長との合成による白色発光である。黄色蛍光体は、LED素子内の半導体の挙動による青色波長を吸収して励起し、その後、エネルギーを放出して発光する。このため、黄色蛍光体は青色波長の発生より遅れて発光する。LED素子内の半導体の挙動による青色波長の発生は、電流が停止すると極短時間で停止するが、黄色蛍光体は青色波長の発生より遅れて発光するため、青色波長が停止しても残光がある。
【0066】
図2(c)及び図2(d)に示すように、期間T7は、電流が零になって青色波長が停止しても、黄色蛍光体による残光が残っている期間である。期間T7において、黄色蛍光体による残光は徐々に減衰しているが、残光が零になる前にLED41への電流が再び流れるため光出力が零になることはない。
【0067】
黄色蛍光体による残光が零になる前に供給停止制御期間T1を終了すれば(図2(a))、コンデンサ9の電圧は再び上昇を開始し(図2(b))、光源回路40への出力電流も再び流れる(図2(c))。すると、図2(d)に示すように、LED41の光出力は、LED41の残光がなくなる前に再び上昇し、元の光出力まで回復する。電流が零になって光出力が減衰し始めてから、元の光出力に回復するまでの期間T3が、光出力が低下するが零にはならない光出力低下期間T3となる。
【0068】
このように、LED素子内の半導体の挙動による青色波長は電流が停止すると極短時間で停止することと、黄色蛍光体の応答時間の遅れによる残光とを利用すると、光出力が完全に零になることなく、電流の停止により出力電流の経路中のアーク放電を消滅させることができる。この場合、光源回路40への出力電流の電流停止時間T2は、アーク放電を消滅させるために要する時間よりも長く、かつ、LED41から発せられる光の残光が消える時間よりも短く設定する必要がある。
【0069】
点灯回路制御部6(放電消滅回路)は、供給停止制御を開始したのち、LED41が発する光の残光が消えるよりも前に、供給停止制御を終了する。
【0070】
図4は、本実施の形態に係る照明器具の回路構成の他の例を示す図である。図4を用いて、図1の照明器具100とは異なる回路構成を有する照明器具101について説明する。図4図1に対応する図であり、図1と同様の機能を有する構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0071】
図4において、光源点灯装置50は、点灯回路31を備えている。図1の点灯回路30と図4の点灯回路31との異なる点は、点灯回路スイッチング素子5の配置位置である。
【0072】
図4に示すように、点灯回路スイッチング素子5は、直流生成部20の2つの出力端子のうち低電圧側に配置されている。点灯回路31は、点灯回路スイッチング素子5、点灯回路制御部6、コイル7、ダイオード8、コンデンサ9により、バックコンバータを構成する。
【0073】
点灯回路31における点灯回路スイッチング素子5及び点灯回路制御部6は、上述した点灯回路30における点灯回路スイッチング素子5及び点灯回路制御部6と同様の機能を有するので、その説明を省略する。
【0074】
このように、回路構成が異なるバックコンバータ(点灯回路31)であっても、点灯回路制御部6は放電消滅回路として供給停止動作をすることができる。
【0075】
以上のように、本実施の形態に係る照明器具100,101によれば、点灯回路30,31からの出力電流及び出力電圧を検知する必要がないので、簡単な構成によりアーク放電を消滅させることができる。また、点灯回路30,31から光源回路40へ供給する直流電流を繰り返し停止するので、確実にアーク放電の継続を抑止することができる。
【0076】
また、本実施の形態に係る照明器具100,101によれば、放電消滅回路としての点灯回路制御部6が、供給停止動作を開始したのち、LED41が発する光の残光が消えるよりも前に、供給停止動作を終了するので、LED41の光出力が零になることがなく、例えば撮像機器等への光出力の低下による影響を抑止しつつ、アーク放電を消滅させることができる。
【0077】
あるいは、チラツキなどによる人体や撮像機器などへの大きな影響がない範囲であれば、光出力が零になる期間が生じるように制御してもかまわない。
【0078】
また、本実施の形態に係る照明器具100,101によれば、放電消滅回路としての点灯回路制御部6が、点灯回路30,31の動作を停止する動作、または、点灯回路30,31の出力電圧を低下させる動作を行うことにより、LED41に流れる直流電流が零になり、点灯回路30,31からの直流電流の出力が停止する。これにより、LEDランプ(光源回路40)のソケットからの外れ時に発生したアーク放電に限らず、点灯回路30,31の出力側で発生したアーク放電も消滅させることができるので、LED41等の固体発光素子を安全に点灯することができる。
【0079】
また、本実施の形態に係る照明器具100,101によれば、点灯回路30,31は、スイッチング電源回路であり、点灯回路制御部6は、直流電流を生成する定電流制御を行うとともに、放電消滅回路として点灯回路30,31の動作を停止する動作、または、点灯回路30,31の出力電圧を低下させる動作を行うので、点灯回路制御部6及び点灯回路スイッチング素子5が定電流制御と供給停止制御とを兼ねることができる。
【0080】
本実施の形態に係る照明器具100,101によれば、点灯回路30,31はバックコンバータであり、バックコンバータの点灯回路スイッチング素子5を供給停止制御に用いることができるので、簡単な構成で供給停止制御を行うことができる。
【0081】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0082】
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる回路構成の点灯回路32を備える照明器具102について説明する。
【0083】
図5は、本実施の形態に係る照明器具102の回路構成を示す図である。図1と同様の機能を有する構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0084】
図5に示すように、照明器具102において実施の形態1と異なる点は、点灯回路32が、トランス71を備えるフライバックコンバータである点である。外部電源10、直流生成部20、光源回路40については、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0085】
点灯回路32は、点灯回路スイッチング素子5、点灯回路制御部6、トランス71、ダイオード8、コンデンサ9を備え、フライバックコンバータを構成する。点灯回路スイッチング素子5、点灯回路制御部6、ダイオード8、コンデンサ9は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0086】
点灯回路32(フライバックコンバータ)は、直流生成部20から直流電圧を入力し、点灯回路制御部6によって点灯回路スイッチング素子5を高周波でスイッチングする。点灯回路スイッチング素子5がオンすると、トランス71の一次側巻線に電流が流れ、エネルギーが蓄積される。点灯回路スイッチング素子5がオフすると、この蓄積されたエネルギーにより生じた電流によりダイオード8を介してコンデンサ9が充電される。フライバックコンバータである点灯回路32は、このコンデンサ9からの放電により、光源回路40に供給する光源点灯用の直流電流を出力して光源回路40が備えるLED41を点灯させる。
【0087】
点灯回路32(フライバックコンバータ)の点灯回路制御部6は、放電消滅回路として、点灯回路32から光源回路40への直流電流の供給を停止する供給停止動作を行う。放電消滅回路としての点灯回路制御部6の供給停止動作は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0088】
以上のように、本実施の形態に係る照明器具102では、点灯回路32がフライバックコンバータであっても、フライバックコンバータの点灯回路スイッチング素子5及び点灯回路制御部6をアーク放電の消滅のための供給停止動作に用いることができるので、簡単な構成でアーク放電を消滅させることができる。
【0089】
実施の形態3.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0090】
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる回路構成の点灯回路33を備える照明器具103について説明する。
【0091】
図6は、本実施の形態に係る照明器具103の回路構成を示す図である。図1と同様の機能を有する構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0092】
図6に示すように、照明器具103は、スイッチング素子51と、スイッチング素子51のスイッチングを制御する供給停止制御部61と、点灯回路33とを備える。
【0093】
スイッチング素子51は、例えば、MOSFET、あるいはトランジスタ等の半導体スイッチング素子である。スイッチング素子51は、直流生成部20と点灯回路33との間に直列に電気接続される。スイッチング素子51は、点灯回路33への直流電流を遮断する遮断手段(あるいは、休止手段、停止手段ともいう)である。
【0094】
供給停止制御部61は、スイッチング素子51をオフにすることにより、点灯回路33の動作を停止し、点灯回路33から光源回路40への直流電流の供給を停止する供給停止動作を行う。
【0095】
また、光源回路40は、接続抵抗42を備える。接続抵抗42は、光源回路40の接続を検知するため抵抗である。ただし、この接続抵抗42はなくてもよい。
【0096】
外部電源10、直流生成部20の構成及び機能は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0097】
点灯回路33は、コイル7、点灯回路スイッチング素子5a、点灯回路スイッチング素子5aのスイッチングを制御する点灯回路制御部6a、ダイオード8、コンデンサ9を備え、ブーストコンバータを構成する。
【0098】
点灯回路33(ブーストコンバータ)は、直流生成部20から直流電圧を入力し、点灯回路制御部6aによって点灯回路スイッチング素子5aを高周波でスイッチングする。点灯回路スイッチング素子5aがオンすると、コイル7に電流が流れ、エネルギーが蓄積される。点灯回路スイッチング素子5aがオフすると、この蓄積されたエネルギーによりダイオード8を介してコンデンサ9が充電される。ブーストコンバータである点灯回路33は、このコンデンサ9からの放電により、光源回路40に供給する光源点灯用の直流電流を出力して光源回路40が備えるLED41を点灯させる。
【0099】
本実施の形態に係る点灯回路33(ブーストコンバータ)の点灯回路制御部6aは、LED41を点灯させるための定電流制御を行うが、アーク放電を消滅させるための供給停止動作は行わない。
【0100】
本実施の形態に係る照明器具103では、供給停止制御部61がアーク放電を消滅させるための供給停止動作を行う。供給停止制御部61は、放電消滅回路の一例である。
【0101】
次に、図2を用いて、放電消滅回路としての供給停止制御部61の供給停止動作について説明する。
【0102】
図2(a)に示すように、供給停止制御部61が供給停止制御期間T1の間、継続してスイッチング素子51をオフにすることにより、直流生成部20から点灯回路33に入力される直流電流を遮断する。点灯回路33への直流電流が遮断されると、点灯回路33は、定電流制御による直流電流の生成を停止し、図2(b)に示すように、コンデンサ9の電圧が徐々に低下する。コンデンサ9の電圧が供給停止制御時電圧まで下がると、図2(c)に示すように、LED41への直流電流の供給が停止する電流停止時間T2が生じる。
【0103】
LED41への直流電流の供給が停止すると、図2(d)に示すように、LED41の光出力が徐々に低下する。電流停止時間T2が経過し、LED41への直流電流の供給が開始されると、LED41の光出力は徐々に上昇し、元の光出力まで戻る。LED41の光出力の変化については、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0104】
このように、供給停止制御部61は、点灯回路33に入力される直流電流を遮断する動作を供給停止制御期間T1の間行うので、点灯回路33及び光源回路40にアーク放電が発生していた場合には、そのアーク放電は消滅する。また、実施の形態1で説明したように、放電消滅回路としての供給停止制御部61は、点灯回路33に入力される直流電流を遮断する供給停止動作を、定期的、あるいは、ランダムに繰り返し行うので、点灯回路33及び光源回路40に発生したアーク放電の継続を確実に抑止することができる。
【0105】
また、本実施の形態に係る照明器具103によれば、点灯回路33の構成はどのような構成であってもよい。例えば、本実施の形態のように、点灯回路33としてブーストコンバータを用いてもよい。直流生成部20と点灯回路33との間に直列に配置されたスイッチング素子51とスイッチング素子51を制御する供給停止制御部61を配置することにより、簡単な構成、及び簡単な制御によりアーク放電を消滅させることができる。
【0106】
実施の形態4.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0107】
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる回路構成の照明器具104について説明する。
【0108】
図7は、本実施の形態に係る照明器具104の回路構成を示す図である。図7では、図1と同様の機能を有する構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
図7に示すように、照明器具104は、スイッチング素子51aと、スイッチング素子51aのスイッチングを制御する供給停止制御部61aと、点灯回路30aとを備える。
【0110】
スイッチング素子51aは、例えば、MOSFET、あるいはトランジスタ等の半導体スイッチング素子である。スイッチング素子51aは、点灯回路30aと光源回路40の間に直列に電気接続される。スイッチング素子51aは、光源回路40への直流電流を遮断する遮断手段(あるいは、休止手段、停止手段ともいう)である。
【0111】
供給停止制御部61aは、スイッチング素子51aをオフにすることにより、光源回路40への直流電流の供給を遮断する。供給停止制御部61aは、放電消滅回路の一例である。
【0112】
また、光源回路40は、接続抵抗42を備える。接続抵抗42は、光源回路40の接続を検知するため抵抗である。ただし、この接続抵抗42はなくてもよい。
【0113】
外部電源10、直流生成部20の構成及び機能は、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0114】
点灯回路30aは、コイル7、点灯回路スイッチング素子5a、点灯回路スイッチング素子5aのスイッチングを制御する点灯回路制御部6a、ダイオード8、コンデンサ9を備え、バックコンバータを構成する。バックコンバータについては、実施の形態1で説明したものと同様である。
【0115】
本実施の形態に係る点灯回路30aの点灯回路制御部6aは、LED41を点灯させるための定電流制御を行うが、アーク放電を消滅させるための供給停止動作は行わない。
【0116】
本実施の形態に係る照明器具104では、供給停止制御部61aがアーク放電を消滅させるための供給停止動作を行う。供給停止制御部61aは、スイッチング素子51aをオフにすることにより光源回路40への直流電流の供給を遮断し、アーク放電を消滅させるための供給停止動作を行う。供給停止制御部61aは、放電消滅回路の一例である。
【0117】
図8は、本実施の形態に係る供給停止制御部61aの供給停止動作の説明のための図である。図8(a)は、供給停止制御部61aが、光源回路40への直流電流の供給を停止するための供給停止動作を行っている供給停止制御期間T1を示している。図8(b)は、供給停止制御期間T1におけるLED41に供給される直流電流の変化を示している。図8(c)は、供給停止制御期間T1におけるLED41の光出力の変化を示している。
【0118】
図8(a)に示すように、供給停止制御部61aは、供給停止制御期間T1の間、継続して点灯回路30と光源回路40との間で直流電流を遮断する。供給停止制御部61aは、スイッチング素子51aをオフにすることにより光源回路40への直流電流の供給を遮断する。
【0119】
図8(b)に示すように、光源回路40への直流電流の供給を遮断されると、LED41への直流電流の供給が直ちに停止し、LED41への直流電流の供給が停止する電流停止時間T2が生じる。
【0120】
LED41への直流電流の供給が停止すると、図8(c)に示すように、LED41の光出力が徐々に低下し、電流停止時間T2が経過し、LED41への直流電流の供給が開始されると、LED41の光出力は徐々に上昇し、元の光出力まで戻る。LED41の光出力の変化については、実施の形態1において説明したものと同様である。
【0121】
供給停止制御部61aは、点灯回路30と光源回路40との間で直流電流を遮断するので、光源回路40への直流電流の供給が停止され、光源回路40に発生したアーク放電が消滅する。
【0122】
次に、照明器具104において、装置を保護するための光源点灯装置50の制御動作について説明する。
【0123】
照明器具104において、供給停止制御部61aの供給停止動作により供給停止制御期間T1に入ると、スイッチング素子51aがオフ状態になる。点灯回路30aは定電流特性を有するので、スイッチング素子51aがオフ状態なった瞬間に、点灯回路30aは出力電流を維持しようとして、その出力電圧すなわちコンデンサ9の電圧を通常点灯時(通常の定電流制御時)より上昇させてしまう。その後、供給停止制御期間T1が経過し、再びスイッチング素子51aがオン状態になると、コンデンサ9に充電されていた高い電圧によりLED41には通常時より大きな電流が流れてしまう。
【0124】
上記のような現象を防ぐため、点灯回路30aは、供給停止制御部61aが供給停止動作を行っている間(供給停止制御期間T1の間)、動作を停止する。
【0125】
具体的には、供給停止制御期間T1に入ると、まず、点灯回路30aは、点灯回路スイッチング素子5の動作を停止し、その後に、スイッチング素子51aをオフ状態にする。このように、スイッチング素子51aをオフ状態にするのを遅延させる動作により、スイッチング素子51aが再びオン状態になったときに、LED41に大きな電流が流れてしまうことを防ぐことができる。
【0126】
あるいは、点灯回路30aは、点灯回路スイッチング素子5の動作を停止するのではなく、出力電圧を低下させてもよい。この場合でも、点灯回路30aが出力電圧を低下させてから、スイッチング素子51aをオフ状態にすることにより、スイッチング素子51aが再びオン状態になったときに、LED41に大きな電流が流れてしまうことを防ぐことができる。
【0127】
以上のように、本実施の形態に係る照明器具104によれば、供給停止制御部61aが光源回路40に入力される直流電流を遮断するので、光源回路40にアーク放電が発生していた場合には、そのアーク放電は消滅する。また、実施の形態1で説明したように、放電消滅回路としての供給停止制御部61aは、点灯回路33に入力される直流電流を遮断することによる供給停止動作を、定期的、あるいは、ランダムに繰り返し行うので、光源回路40に発生したアーク放電の継続を確実に抑止することができる。
【0128】
また、本実施の形態に係る照明器具104によれば、放電消滅回路である供給停止制御部61aが供給停止動作を行っている間、点灯回路30aは、動作を停止するか、または、出力電圧を低下させるので、スイッチング素子51a(休止手段)が再びオン状態になる時に、LED41へ大きな電流が流れることを防ぐことができる。
【0129】
実施の形態5.
本実施の形態について、主に実施の形態4との差異を説明する。
【0130】
本実施の形態では、実施の形態4とは異なる回路構成の照明器具105について説明する。
【0131】
図9は、本実施の形態に係る照明器具105の回路構成を示す図である。図9では、図7と同様の機能を有する構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0132】
図9に示すように、照明器具105は、スイッチング素子51bと、スイッチング素子51bのスイッチングを制御する供給停止制御部61bと、コイル72とを備える。
【0133】
スイッチング素子51bは、例えば、MOSFET、あるいはトランジスタ等の半導体スイッチング素子である。スイッチング素子51bは、点灯回路30aに対して光源回路40と並列に電気接続される。言い換えると、スイッチング素子51bは、LED41と並列的に接続されるとともに、コンデンサ9と並列的に接続される。
【0134】
供給停止制御部61bは、スイッチング素子51bをオンにすることにより、光源回路40への直流電流の供給を停止する。また、コイル72はスイッチング素子51bと直列に電気接続されている。供給停止制御部61bは、放電消滅回路の一例である。
【0135】
スイッチング素子51bは、光源回路40への直流電流の供給を停止する停止手段(あるいは、休止手段ともいう)である。
【0136】
供給停止制御部61bによる供給停止制御については、実施の形態4で説明したものと同様である。実施の形態4と異なる点は、スイッチング素子51bが点灯回路30aに対して光源回路40と並列に電気接続されており、供給停止制御部61bはスイッチング素子51bをオンにすることにより、光源回路40への直流電流の供給を停止する点である。
【0137】
本実施の形態では、光源回路40への直流電流の供給を停止する停止手段(休止手段)として、MOSFETなどのスイッチング素子51bを用いて構成したが、これに限られない。光源回路40への直流電流の供給を停止することができれば他のデバイスや構成でもよい。
【0138】
実施の形態6.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0139】
本実施の形態では、実施の形態1とは異なる回路構成の照明器具106について説明する。
【0140】
図10は、本実施の形態に係る照明器具106の回路構成を示す図である。図10では、図1と同様の機能を有する構成には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0141】
図10に示すように、本実施の形態に係る照明器具106は、実施の形態1で説明した照明器具100に、保護回路80を追加した構成である。以下に、保護回路80の機能について説明する。
【0142】
保護回路80は、光源回路40を流れる電流の電流値及び点灯回路30の出力電圧の電圧値の少なくともいずれかが、所定の正常範囲から逸脱した場合に、異常が発生したと判定する。点灯回路30は、異常が発生したと保護回路80が判定した場合に、動作を停止し、照明器具106を保護する。保護回路80は、異常判定部の一例である。
【0143】
保護回路80は、光源回路40を流れる電流の電流値や点灯回路30の出力電圧の電圧値等を検知して、異常が発生したと判定する。保護回路80は、例えば、次のような現象を検知した場合に異常が発生したと判定する。
(1)光源回路40の接続を検知する接続抵抗(図示なし)等を利用して、LEDモジュールが外れたことを検知する。
(2)LED41の電圧が所定値より高いことを検知する。
(3)LED41の電圧が所定値より低いことを検知する。
(4)点灯回路30(コンバータ)の出力電圧が所定値より高いことを検知する。
(5)点灯回路30(コンバータ)の出力電圧が所定値より低いことを検知する。
(6)点灯回路30(コンバータ)の出力電流が所定値より高いことを検知する。
(7)点灯回路30(コンバータ)の出力電流が所定値より低いことを検知する。
【0144】
保護回路80を備えた照明器具106において、点灯回路制御部6が供給停止動作を行うと、光源回路40を流れる直流電流が停止したり、点灯回路30の出力電圧が低下する。すると、点灯回路制御部6の供給停止動作によるものにもかかわらず、保護回路80は異常が発生したと判定し、点灯回路30の動作を停止する。このように保護回路80により点灯回路30が停止した場合は、点灯回路30を復帰するため、人為的あるいは自動的な復帰動作が必要となってしまう。
【0145】
上述した不要な異常検知による点灯回路30の停止を防ぐために、保護回路80は、放電消滅回路である点灯回路制御部6がアーク放電を消滅するための供給停止動作を行っている間は、光源回路40を流れる電流の電流値及び点灯回路30の出力電圧の電圧値の少なくともいずれかが、所定の正常範囲から逸脱した場合であっても、異常が発生していないと判定する。
【0146】
図11は、本実施の形態に係る保護回路80の動作の説明のための図である。図11(a)は、点灯回路制御部6が供給停止動作を行っている供給停止制御期間T1を示した図である。図11(b)は、供給停止制御期間T1の間の保護回路80が動作を停止している保護回路停止期間T5と、供給停止制御期間T1の後の保護回路停止期間T6とを示している。保護回路停止期間T5、あるいは、保護回路停止期間T6をマスク期間とも呼ぶ。
【0147】
図11(a)及び図11(b)に示すように、保護回路80は、点灯回路制御部6による供給停止制御期間T1と同期間である保護回路停止期間T5の間は、動作を停止し、光源回路40を流れる電流の電流値、点灯回路30の出力電圧の電圧値等の異常を検知しないように制御する。
【0148】
以上のように、保護回路80が供給停止制御期間T1(保護回路停止期間T5)の間、動作を停止することにより、点灯回路制御部6の供給停止動作時における不要な異常検知を防ぐことができる。
【0149】
あるいは、保護回路80は、図11(b)に示すように、供給停止制御期間T1が経過しても、さらに、その後の保護回路停止期間T6が経過するまで動作の停止を継続するとしてもよい。言い換えると、保護回路80は、供給停止制御期間T1(保護回路停止期間T5)と保護回路停止期間T6とを合わせた期間の間、動作を停止するとしてもよい。
【0150】
これは、供給停止制御期間T1が経過した直後は、光源回路40を流れる電流の電流値及び点灯回路30の出力電圧の電圧値等がまだ回復していないため、保護回路80が供給停止制御期間T1の経過後、直ちに動作を開始してしまうと、保護回路80の不要な検知により点灯回路30が停止する可能性があるからである。
【0151】
このような事態を防ぐため、保護回路80は、点灯回路制御部6が供給停止動作を終了したのち(すなわち、供給停止制御期間T1の経過後)も継続して保護回路停止期間T6が経過するまでの間は、光源回路40を流れる電流の電流値及び点灯回路30の出力電圧の電圧値の少なくともいずれかが、所定の正常範囲から逸脱した場合であっても、異常が発生していないと判定する。
【0152】
このように、マスク期間を供給停止制御期間T1よりも長く設定し、供給停止制御期間T1の終了後にも保護回路停止期間T6だけ保護回路80の動作を停止させておくことにより、保護回路80が点灯回路制御部6の供給停止動作に起因する異常を不要に検知して、点灯回路30の動作を停止してしまうという不都合を除去できる。
【0153】
以上の実施の形態1〜6では、光源としてLED41を用いて説明したが、例えば、有機ELなどのLED以外の固体光源でも、その動作電圧が高い場合には実施の形態1〜6を適用すると効果がある。
【0154】
また、以上の実施の形態1〜6では、点灯回路としてスイッチング素子を用いたスイッチング電源回路を用いて説明したが、これに限られず、例えば、ツェナ−ダイオードを使った定電圧直流電源等の直流電源でもよい。
【0155】
また、以上の実施の形態3〜6では、電流を遮断するスイッチング素子51,51a,51bとして、MOSFET、あるいは、トランジスタ等の半導体スイッチング素子を用いて説明したが、供給停止制御期間T1においてオフ状態を実現できる手段であれば、他のデバイスあるいは構成でもよい。
【0156】
また、以上の実施の形態3〜6では、光源回路40あるいは点灯回路30,33への直流電流の遮断する遮断手段(あるいは、休止手段、停止手段ともいう)としてスイッチング素子51,51a,51bを用いて説明したが、供給停止制御期間T1において光源回路40あるいは点灯回路30,33への直流電流の遮断(休止、停止)を実現できる手段であれば、例えば、リレースイッチ等の他のデバイスあるいは構成でもよい。
【0157】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらの実施の形態のうち、2つ以上を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、1つを部分的に実施しても構わない。あるいは、これらの実施の形態のうち、2つ以上を部分的に組み合わせて実施しても構わない。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、必要に応じて種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0158】
5,5a 点灯回路スイッチング素子、6,6a 点灯回路制御部、7 コイル、8 ダイオード、9 コンデンサ、10 外部電源、20 直流生成部、30,31,32,33,34 点灯回路、40 光源回路、41 LED、42 接続抵抗、50 光源点灯装置、51,51a,51b スイッチング素子、60 光源接続部、61,61a,61b 供給停止制御部、71 トランス、72 コイル、80 保護回路、100,101,102,103,104,105,106 照明器具、T1 供給停止制御期間、T2 電流停止時間、T3 光出力低下期間、T4 オフ期間、T5,T6 保護回路停止期間。
図1
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図11