特許第6146972号(P6146972)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146972
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】飲料容器の飲みかけキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/02 20060101AFI20170607BHJP
   B65D 43/03 20060101ALI20170607BHJP
   B65D 51/12 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   B65D51/02
   B65D43/03
   B65D51/12
【請求項の数】12
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-186437(P2012-186437)
(22)【出願日】2012年8月27日
(65)【公開番号】特開2014-43259(P2014-43259A)
(43)【公開日】2014年3月13日
【審査請求日】2015年8月25日
(73)【特許権者】
【識別番号】597113860
【氏名又は名称】佐久間 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100148851
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 誠
【審査官】 二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭61−183835(JP,U)
【文献】 米国特許第03850341(US,A)
【文献】 登録実用新案第3016663(JP,U)
【文献】 実開昭63−099843(JP,U)
【文献】 実開昭63−169457(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 35/44 − 35/54
B65D 39/00 − 55/16
CPC B65D 2251/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペットボトルの飲み口の口径に対応し、天板部の外縁から外側下方に向けて口径が増大するように一体的に形成された第一のテーパー部と、
前記ペットボトルの飲み口より大きな口元の第一飲料容器の口径に対応し、前記第一のテーパー部より外側下方に一体的に設けられた、第二のテーパー部とを備え、
前記第一のテーパー部と前記天板部とは、プルトップステイオンタブが起こされた状態で収納可能な、上方に凸形状のプルトップステイオンタブハウジングを構成し、
前記第一のテーパー部の外壁は、複数の飲みかけキャップを重ね置きした場合に双方の密着を防止するように、他方の第一のテーパー部の内壁に当接する少なくとも一つの重畳用凸部を備える
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【請求項2】
請求項1に記載の飲料容器の飲みかけキャップにおいて、
前記第一飲料容器の口元よりさらに大きな口元の第二飲料容器の口径に対応し、前記第二のテーパー部よりさらに外側下方に一体的に設けられた、第三のテーパー部を備える
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【請求項3】
請求項2に記載の飲料容器の飲みかけキャップにおいて、
前記第三のテーパー部の底面は、前記底面を平らな面上に載置した場合に底面全体が前記面上に密着する事を防止するように、少なくとも一つの空気導通用凸部または凹部を備える
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の飲料容器の飲みかけキャップにおいて、
前記重畳用凸部は、平面視において対称な配置に設けられる
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の飲料容器の飲みかけキャップにおいて、
前記第一のテーパー部と前記第二のテーパー部との間に、前記天板部と平行な繋ぎ部を備える
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の飲料容器の飲みかけキャップにおいて、
前記飲みかけキャップは、可撓性の素材で一体的に形成される
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の飲料容器の飲みかけキャップにおいて、
前記第一のテーパー部と前記第二のテーパー部の少なくともいずれか一方の厚さは、前記天板部の厚さよりも薄い
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【請求項8】
第一飲料容器の飲み口の口径に対応し、天板部の外縁から外側下方に向けて口径が増大するように一体的に形成された第一のテーパー部と、
前記第一飲料容器の飲み口より大きな口元の第二飲料容器の口径に対応し、前記第一のテーパー部より外側下方に一体的に設けられた、第二のテーパー部とを備え、
前記第二のテーパー部の底面は、前記底面を平らな面上に載置した場合に底面全体が前記面上に密着する事を防止するように、少なくとも一つの空気導通用凸部または凹部を備え、
前記第一のテーパー部と前記天板部とは、プルトップステイオンタブが起こされた状態で収納可能な、上方に凸形状のプルトップステイオンタブハウジングを構成する
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【請求項9】
請求項8に記載の飲料容器の飲みかけキャップにおいて、
前記第一のテーパー部と前記第二のテーパー部との間に、前記天板部と平行な繋ぎ部を備える
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載の飲料容器の飲みかけキャップにおいて、
前記飲みかけキャップは、可撓性の素材で一体的に形成される
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【請求項11】
請求項8乃至請求項10のいずれか一項に記載の飲料容器の飲みかけキャップにおいて、
前記第一のテーパー部と前記第二のテーパー部の少なくともいずれか一方の厚さは、前記天板部の厚さよりも薄い
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【請求項12】
第一飲料容器の飲み口の口径に対応し、天板部の外縁から外側下方に向けて口径が増大するように一体的に形成された第一のテーパー部と、
前記第一飲料容器の飲み口より大きな口元の第二飲料容器の口径に対応し、前記第一のテーパー部より外側下方に一体的に設けられた、第二のテーパー部とを備え、
前記第一のテーパー部の外壁は、複数の飲みかけキャップを重ね置きした場合に双方の密着を防止するように、他方の第一のテーパー部の内壁に当接する少なくとも一つの重畳用凸部を備えるか、または、前記第二のテーパー部の外壁は、複数の飲みかけキャップを重ね置きした場合に双方の密着を防止するように、他方の第二のテーパー部の内壁に当接する少なくとも一つの重畳用凸部を備え、
前記第一のテーパー部と前記天板部とは、プルトップステイオンタブが起こされた状態で収納可能な、上方に凸形状のプルトップステイオンタブハウジングを構成する
ことを特徴とする飲料容器の飲みかけキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開栓された飲料容器に虫や埃等が進入することを防止する飲料容器の飲みかけキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、ステイオンタブおよびスコアを有する缶蓋を備えた飲料缶のキャップに係わり、特にステイオンタブを引き起こしてスコアを開口した状態で被せることのできる飲料缶のキャップが提案されている。
【0003】
これによれば、現在大量に普及しているステイオンタブおよびスコアを有する缶蓋の飲料缶に対応でき、しかもステイオンタブが引き起こされたままで被せることのできる飲料缶のキャップを提供すること、また、飲料缶からキャップ内に流出した飲料が、キャップ外に流出しないようにした飲料缶のキャップを提供すること、さらに、キャップ内に流出する飲料の量を少なくできるようにした飲料缶のキャップを提供することを目的とする考案であることが記載されている。
【0004】
また、この考案に係る飲料缶のキャップは、略円筒状の缶本体の上端部に、ステイオンタブおよびスコアを有する缶蓋を巻き締め固定し、缶本体の上端部外周縁に巻き締めフランジを形成した飲料缶に被せるキャップであり、このキャップは、缶蓋の全体を覆う天板部と巻き締めフランジの外周に嵌合係合する側壁部とを有し、しかも被せた状態で、天板部の内面と缶蓋の間に、巻き締めフランジの上端よりも高く引き起こされたステイオンタブを許容する空間部を形成するように構成されることが開示されている。
【0005】
そして、この考案のキャップにより、ステイオンタブを巻き締めフランジの上端より高く引き起こしたままで、飲料缶にキャップを適宜に被せることができ、もって、塵埃等から飲み口を保護することができ、しかも、巻き締めフランジの外周にキャップの側壁部を水密構造で嵌合係合させるならば、飲料缶を傾けまたは転倒させても飲料がキャップ外に零れることがないとの作用効果を奏することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3089684号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、ペットボトルや缶コーヒー、缶ビール等の異なる口元口径を有する複数の飲料容器に対応可能な、飲料容器の飲みかけキャップは提案されていない。ペットボトルや缶飲料等に対応可能な飲料容器の飲みかけキャップは、便利であるとともに、飲みかけの飲料容器への虫や埃等の進入・混入を防止し、衛生上の観点からも心理的な安心感を得られるので好ましい。
【0008】
本願発明は、上述の問題点に鑑み為された発明であって、異なる口元口径を有する複数の飲料容器にも対応可能であり、虫や埃の進入・混入を防止できる飲料容器の飲みかけキャップを提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の飲料容器の飲みかけキャップは、ペットボトルの飲み口の口径に対応し、天板部の外縁から外側下方に向けて口径が増大するように一体的に形成された第一のテーパー部と、ペットボトルの飲み口より大きな口元の第一飲料容器の口径に対応し、第一のテーパー部より外側下方に一体的に設けられた、第二のテーパー部とを備え、第一のテーパー部と天板部とは、プルトップステイオンタブが起こされた状態で収納可能な、上方に凸形状のプルトップステイオンタブハウジングを構成することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の飲料容器の飲みかけキャップは、好ましくは第一飲料容器の口元よりさらに大きな口元の第二飲料容器の口径に対応し、第二のテーパー部よりさらに外側下方に一体的に設けられた、第三のテーパー部を備えることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の飲料容器の飲みかけキャップは、さらに好ましくは第三のテーパー部の底面が、少なくとも一つの空気導通用凸部または凹部を備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の飲料容器の飲みかけキャップは、さらに好ましくは第一のテーパー部の外壁が、少なくとも一つの重畳用凸部を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の飲料容器の飲みかけキャップは、さらに好ましくは第一のテーパー部と第二のテーパー部との間に、天板部と平行な繋ぎ部を備えることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の飲料容器の飲みかけキャップは、さらに好ましくは飲みかけキャップが、可撓性の素材で一体的に形成されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の飲料容器の飲みかけキャップは、さらに好ましくは第一のテーパー部と第二のテーパー部の少なくともいずれか一方の厚さは、天板部の厚さよりも薄いことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
異なる口元口径を有する複数の飲料容器にも対応可能であり、虫や埃の進入・混入を防止できる飲料容器の飲みかけキャップを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】飲料容器の飲みかけキャップの中央断面図について説明する図である。
図2】飲みかけキャップを二つ重ねた状態を説明する断面図である。
図3】(a)は飲みかけキャップの平面図であり、(b)は飲みかけキャップの底面図である。
図4】飲みかけキャップを形成する可撓性の素材の典型例としてアロン化成(株)のエラストマー系AR−800シリーズ物性表を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1は、飲料容器の飲みかけキャップ1000の中央断面図(図3(a)の破線A−A’断面図)について説明する図である。飲料容器の飲みかけキャップ1000は、正面、背面、右側面、左側面から観察した中央断面図が同一であってもよい。
【0019】
図1に示すように、飲みかけキャップ1000は、中心が弱冠凹とされた円板状の形状である天板部1010と、天板部1010の辺縁部分から外側下方に傾斜した第一のテーパー部1020とを備える。
【0020】
第一のテーパー部1020は、中心からの距離が例えば25mm乃至29mmの範囲となるように形成されてもよい。これにより、口元口径が25mm乃至29mmの範囲内にあるペットボトルの口元に、第一のテーパー部1020の内壁が当接し、対応することができる。
【0021】
飲みかけキャップ1000は可撓性素材で形成されることが好ましく、ペットボトルの口元に当接した第一のテーパー部1020の内壁は、ペットボトルの円周形状の口元に密着することができるので、虫や埃やゴミ等がペットボトル内に進入することを防止する。
【0022】
また、飲みかけキャップ1000は、第一のテーパー部1020から連続して外方向に張り出した鍔状の繋ぎ部1030を備える。繋ぎ部1030は、天板部1010に平行であってもよく、好ましくは水平に形成される。また、飲みかけキャップ1000は、繋ぎ部1030の外縁から、さらに外側下方に向けて形成された、第二のテーパー部1040を備える。
【0023】
第二のテーパー部1040は、中心からの距離が例えば48mm乃至54mmの範囲として形成されてもよい。これにより、口元外径が48mm乃至54mmの範囲内にある缶コーヒーや緑茶缶等(第一飲料容器)の口元に、第二のテーパー部1040の内壁が当接し、対応することができる。
【0024】
飲みかけキャップ1000は可撓性素材で形成されていることが好ましく、缶コーヒーや緑茶缶等の口元に当接した第二のテーパー部1040の内壁は、缶コーヒー等の円周形状の口元外径に密着することができ、虫や埃やゴミ等がペットボトル内に進入することを防止する。
【0025】
また、飲みかけキャップ1000は、第二のテーパー部1040のさらに外側下方に向けて形成された、第三のテーパー部1050を備えてもよい。また、図1に示すように、第三のテーパー部1050は、中心からの距離が例えば56mm乃至62mmの範囲内として形成されることができる。これにより、口元外径が56mm乃至62mmの範囲内にあるビール缶等(第二飲料容器)の口元に、第三のテーパー部1050の内壁が当接し、対応することができる。
【0026】
飲みかけキャップ1000は可撓性素材で形成されていることが好ましく、ビール缶等の口元に当接した第三のテーパー部1050の内壁は、缶コーヒー等の円周形状の口元外径に密着することができ、虫や埃やゴミ等がペットボトル内に進入することを防止する。第二のテーパー部1040と第三のテーパー部1050との間に、鍔状の繋ぎ部をさらに備えてもよい。この繋ぎ部は、天板部1010と平行に水平に形成してもよい。
【0027】
また、図1から理解できるように、第一のテーパー部1020の外壁には、少なくとも一つの重畳用凸部1060を備える。重畳用凸部1060により、飲みかけキャップ1000を二つ重ねた状態においても、重ねられた二つの飲みかけキャップ1000の間に空間が形成されて、二つの飲みかけキャップ1000が吸盤のように密着して互いに吸着することを防止できる。重畳用凸部1060は、一以上の任意の数を設けることとできる。
【0028】
また、第三のテーパー部1050の底面には、少なくとも一つの空気導通用凸部1070を備える。これにより、食卓等の平らな面上に飲みかけキャップ1000を載置した場合でも、容易に取り上げることが可能となる。
【0029】
仮に、空気導通用凸部1070を備えないとすれば、飲みかけキャップ1000が可撓性の素材で形成されている場合には、食卓等の平らな面に載置した時に、あたかも吸盤のように当該平らな面に吸着することが懸念される。しかし、空気導通用凸部1070により、飲みかけキャップ1000と食卓等とで構成される内部空間に対し、空気が容易に導かれるため、吸着されることを防止できる。また、空気導通用凸部1070に代えて溝を形成し、空気導通用凹部としてもよい。空気導通用凸部1070は、一以上の任意の数を設けることができる。
【0030】
また、図1に示すように、天板部1010と第一のテーパー部1020とは、缶飲料のプルトップステイオンタブが引き起こされた状態(開栓された状態)で収納される、プルトップステイオンタブハウジング1080を構成する。
【0031】
プルトップステイオンタブハウジング1080により、飲みかけキャップ1000の第二のテーパー部1040や第三のテーパー部1050で、缶飲料の口元に蓋した場合でも、当該缶飲料のプルトップステイオンタブが何ら障害となることがなく、適正に缶飲料の円周状の口元外形に第二のテーパー部1040または第三のテーパー部1050の内壁が密着することができる。
【0032】
また、図2は、飲みかけキャップ1000を二つ重ねた状態を説明する断面図である。図2から理解できるように、重畳用凸部1060(1)、(2)は、飲みかけキャップ1000(1)、1000(2)が、重ね置きされた場合に密着して吸着されることを防止することができる。
【0033】
また、図2に示すように、可撓性素材で形成された飲みかけキャップ1000は、繋ぎ部1030(1)、(2)の厚さ(L)が、第一のテーパー部1020(1)、(2)の厚さ(L)よりも好ましくは厚く形成される。
【0034】
これにより、ペットボトルの口元に第一のテーパー部1020の内壁を当接させる場合に、第一のテーパー部1020の内壁がフレキシブルにペットボトルの口元にフィットし、密着することができるので、いわば弱い吸盤のように穏やかな吸着力を発揮することができる。従って、ペットボトルに飲みかけキャップ1000を装着した状態において、多少の振動や揺れが生じた場合においても、飲みかけキャップ1000が容易に外れてしまう懸念を低減できる。
【0035】
また、第二のテーパー部1040と第三のテーパー部1050との厚さは、各々第一のテーパー部1020の厚さ(L)と同一とすることで、第二のテーパー部1040と第三のテーパー部1050とがそれぞれ缶飲料の口元外形辺縁部にフレキシブルにフィットし易くなり、密着することで、穏やかな吸着力で飲みかけキャップ1000が装着されるものとなる。
【0036】
上述した説明からも理解できるように、飲みかけキャップ1000を好ましくは可撓性素材で形成することにより、吸盤のような穏やかな吸着力を発揮し易いものとする。また、各テーパー部1020、1040、1050の厚さが、繋ぎ部1030や天板部1010の厚さに比較して薄く形成されていることにより、飲みかけキャップ1000の全体的な形状を保持しながらも、飲料容器との当接部位においてさらにフレキシブルに飲料容器の円周形状口元外形にピッタリと対応して密着し、これに装着されるものとなる。
【0037】
より具体的には、飲みかけキャップ1000の装着動作時に、飲料容器の口元外形に当接した各テーパー部1020、1040、1050内壁は、上方から軽い押圧力を受けて、飲料容器との当接部位が一時的に弱冠外側に押し広げられるようにして密着する。その後、装着動作が完了して上方からの押圧力が無くなれば、飲みかけキャップ1000はテーパーにより弱冠上方へと戻ろうとするが、一方で吸盤ライクな穏やかな吸着力により飲みかけキャップ1000が下方に吸着力を受けるため、両者の力が均衡した位置でしっかりと飲料容器に装着される。
【0038】
また、飲料自体から気体が発生する炭酸飲料等の場合には、プルトップステイオンタブハウジング1080の減圧状態は内部発生気体により比較的短時間で解消されて吸盤ライクな穏やかな吸着力は比較的短時間で解消されることとなる。この場合においても、口元外形の辺縁部と各テーパー部1020、1040、1050の内壁とがほぼ密着していることにより、飲みかけキャップ1000が外れることはなく、虫や埃等をシャットアウトするキャップ機能は維持される。
【0039】
図3(a)は飲みかけキャップ1000の平面図であり、図3(b)は飲みかけキャップ1000の底面図である。図3(a)、(b)において、重畳用凸部1060と空気導通用凸部1070とは各々一つ及び四つ設ける典型例を示しているが、これに限定されるものではなく、それぞれ一以上の任意の数だけ任意の箇所に設けることができる。空気導通用凸部1070は、例えば高さを1mmの突起としてもよい。なお、図3(a)に示したA−A’破線は、図1の断面位置を示すものである。
【0040】
また、図4は、飲みかけキャップ1000を形成する可撓性の素材の典型例としてアロン化成(株)のエラストマー系AR−800シリーズ物性表を説明する図である。
【0041】
図4において、軟化温度が80℃乃至148℃の素材を用いれば、熱い飲料容器に対しても適用できるので好ましい。また、図4において、硬さ(瞬間値)が50乃至90程度であることが、適正な可撓性を発揮できる観点からは好ましく、適宜PP(ポリプロピレン)をブレンドして硬度調整をしてもよい。
【0042】
図4に示す可撓性素材の他に、ウレタン系やシリコン系、他のエラストマー系の柔らかい樹脂素材を用いることもできる。この場合においても、素材のブレンド等により硬さ(瞬間値)が50乃至90程度とすることが好ましい。
【0043】
また、本実施形態で示した飲みかけキャップ1000は、典型例として三つのテーパー部を備える構成を開示しているが、これに限定されるものではない。例えば、第一のテーパー部1020と第三のテーパー部1050との二つのテーパー部を備える構成としてもよい。また、第二のテーパー部1040と第三のテーパー部1050との二つのテーパー部を備える構成としてもよい。また、ペットボトルと缶飲料とに限定されることはなく、各テーパー部の口径に対応する飲料容器であれば、例えば陶器製のコップ等のキャップとして装着することもできる。
【0044】
上述した飲みかけキャップ1000は、実施形態での説明に限定されるものではなく、本実施形態で説明する技術思想の範囲内かつ自明な範囲内で、適宜その構成や材質及び装着方法等を変更することができる。また、飲みかけキャップ1000は、一体的に形成されることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の飲みかけキャップは、種々の開栓後飲料等の虫・埃等混入防止キャップとして広く適用できる。
【符号の説明】
【0046】
1000・・飲みかけキャップ、1010・・天板部、1020・・第一のテーパー部、1030・・繋ぎ部、1040・・第二のテーパー部、1050・・第三のテーパー部、1060・・重畳用凸部、1070・・空気導通用凸部。
図1
図2
図3
図4