(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6146988
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】集合住宅
(51)【国際特許分類】
E04H 1/02 20060101AFI20170607BHJP
E04B 7/18 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
E04H1/02
E04B7/18 A
【請求項の数】11
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-244943(P2012-244943)
(22)【出願日】2012年11月6日
(65)【公開番号】特開2014-92012(P2014-92012A)
(43)【公開日】2014年5月19日
【審査請求日】2015年10月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390037154
【氏名又は名称】大和ハウス工業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000109152
【氏名又は名称】株式会社デザインアーク
(74)【代理人】
【識別番号】100096839
【弁理士】
【氏名又は名称】曽々木 太郎
(72)【発明者】
【氏名】福田 稔久
(72)【発明者】
【氏名】泊 美穂
(72)【発明者】
【氏名】安部 博文
【審査官】
兼丸 弘道
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03996709(US,A)
【文献】
特開2004−162499(JP,A)
【文献】
特開2007−051421(JP,A)
【文献】
特開平05−079141(JP,A)
【文献】
特開2001−053324(JP,A)
【文献】
特開平01−210564(JP,A)
【文献】
特開平07−269090(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 1/02−1/04
E04B 7/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の平屋住宅を隣接させて配設してなる集合住宅であって、
前記各平屋住宅は矩形状とされ、前記隣接する各住戸の中央部に中庭が隣接させて設けられ、
前記中庭を望む住居部の中央にリビングが配設され、
屋上に周回状に屋上庭園が設けられ、
前記リビングの屋根が、前記周回状に設けられた屋上庭園からの視界を遮るために前記屋上庭園と直交するよう前記平屋住宅の幅方向に波型状とされ、前記波型の頂部に採光窓が配設されてなる
ことを特徴とする集合住宅。
【請求項2】
中庭に屋上庭園への階段が配設されてなることを特徴とする請求項1記載の集合住宅。
【請求項3】
階段がラセン階段とされてなることを特徴とする請求項2記載の集合住宅。
【請求項4】
ラセン階段の上り口上の半ピッチ分の踏板が回転収納可能とされてなることを特徴とする請求項3記載の集合住宅。
【請求項5】
ラセン階段の踏板下のスペースが収納スペースとされてなることを特徴とする請求項3記載の集合住宅。
【請求項6】
屋上庭園の通路に日除けが配設されてなることを特徴とする請求項1記載の集合住宅。
【請求項7】
日除けがシート型太陽電池とされてなることを特徴とする請求項6記載の集合住宅。
【請求項8】
床下に中庭から出し入れ可能な収納設備が配設されてなることを特徴とする請求項1記載の集合住宅。
【請求項9】
収納設備が上下に突出した化粧版を有してなることを特徴とする請求項8記載の集合住宅。
【請求項10】
連通している中庭の隣接住戸との境界に開閉式柵が配設されてなることを特徴とする請求項1記載の集合住宅。
【請求項11】
複数個が偶数個とされてなることを特徴とする請求項1記載の集合住宅。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集合住宅に関する。さらに詳しくは、各住戸のブライバシーを保ちながら、集合住宅の住民相互のコミュニケーションが図られる集合住宅に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の一形式として集合住宅が知られている。集合住宅においては、複数の家族が施設を共有するため、種々の問題が生じている。そのため、従来より、集合住宅における居住性を改善するため、種々の提案がなされている。
【0003】
例えば、特許文献1には、
図12に示すように、中庭を囲むようにして複数棟の集合住宅101が配置された集合住宅101の配置構造Kにおいて、中庭の中央部から集合住宅101に向けて延びる通路102を放射状に配置し、さらに中庭の周囲に中庭を囲むように通路103を配置して、集合住宅101,101間で住人の行き来を容易にしたものが提案されている。
【0004】
特許文献2には、開口部が最大限に確保される集合住宅を提供することを目的として、
図13に示すように、矩形状に整地された敷地内に通路201と、その通路201を挟んでその両側に複数の住戸202を通路201に沿ってそれぞれ長屋風に連続して配置し、そして各住戸202はその住戸202の一部がその住戸202と隣接する住戸202との間に平面視矩形状に突出した形状の住戸突出部203と専用の中庭204と駐車場205を配置してなる集合住宅200が提案されている。
【0005】
特許文献3には、比較的狭い1区画の土地を有効に活用し、住戸外のプライベート空間および住戸内のプライバシーを確保し、防犯性に優れた共同住宅を提供することを目的として、
図14に示すように、1区画の敷地に複数の住居棟が個別に建設される共同住宅300であって、敷地は複数の住居棟301が建設された部分と、建設部分以外の部分であり、複数の住居棟301に居住する全ての居住者が使用可能な共有部分302とを備えてなるものが提案されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1および特許文献3の提案にあっては、独自の庭が欲しいという要求に応えることはできない。
【0007】
特許文献2の提案にあっては、中庭204と称されていても通路201に面しているため、独自の庭といえても、完全な中庭204とは言えない。
【0008】
また、いずれの提案においても屋上の活用については、何等の提案もなされていない。
【0009】
さらに、いずれの提案においても平屋の集合住宅についての提案はなされていない。
【0010】
なお、可動収納式ラセン階段については、特許文献4に提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2000−274093号公報
【特許文献2】特開2007−321493号公報
【特許文献3】特開2010−285806号公報
【特許文献4】特開平5−79141号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明はかかる従来技術の課題に鑑みなされたものであって、中庭が確保されるとともに、屋上も有効活用がされてなる平屋の集合住宅を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の集合住宅は、複数個の平屋住宅を隣接させて配設してなる集合住宅であって、前記各平屋住宅は矩形状とされ、前記隣接する各住戸の中央部に中庭が隣接させて設けられ
、前記中庭を望む住居部の中央にリビングが配設され、屋上に周回状に屋上庭園が設けられ、前記リビングの屋根が、前記周回状に設けられた屋上庭園からの視界を遮るために前記屋上庭園と直交するよう前記平屋住宅の幅方向に波型状とされ、前記波型の頂部に採光窓が配設されてなることを特徴とする。ここで、複数個は偶数個とされるのが好ましい。
【0014】
本発明の集合住宅においては、中庭に屋上庭園へのラセン階段などの階段が配設されてなるのが好ましい。階段がラセン階段とされた場合、ラセン階段の上り口上の半ピッチ分の踏板が回転収納可能とされていたり、ラセン階段の踏板下のスペースが収納スペースとされていたりするのがさらに好ましい。
【0015】
また、本発明の集合住宅においては、屋上庭園の通路に日除けが配設されてなるのが好ましい。その場合、日除けがシート型太陽電池とされてなるのがさらに好ましい。
【0018】
また、本発明の集合住宅においては、床下に中庭から出し入れ可能な収納設備が配設されてなるのが好ましく、
収納設備が上下に突出した化粧版を有してなるのがさらに好ましい。
【0019】
また、本発明の集合住宅においては、連通している中庭の隣接住戸との境界に開閉式柵が配設されてなるのがさらに好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は前記の如く構成されているので、都会であっても広い中庭を持つことができるとともに、平屋であるので家事が楽であるという優れた効果を奏する。
【0021】
屋上に周回状に屋上庭園
が配設されている本発明の好ましい形態においては、都会にあってもさらに広い庭を持つことができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る集合住宅の一階平面図である。
【
図4】同実施形態における単一住戸の一階平面図であって、逆コの字状を呈するものである。
【
図5】同実施形態におけるリビングの屋根の概略図である。
【
図6】同実施形態におけるラセン階段の概略図であって、上り口上の半ピッチ分の踏板が収納された状態を示す。
【
図7】同上り口上の半ピッチ分の踏板が引き出された状態を示す。
【
図8】同実施形態におけるスライド式収設備の説明図である。
【
図10】キッチンの床下に設けられた床下収納設備の概略図である。
【
図11】本発明の変形例の概略図であって、屋上庭園の通路にオーニングテント風に太陽電池を配設した状態を示す。
【
図12】特許文献1の提案に係る集合住宅の概略図である。
【
図13】特許文献2の提案に係る集合住宅の概略図である。
【
図14】特許文献3の提案に係る集合住宅の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付図面を参照しながら本発明を実施形態に基づいて説明するが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではない。
【0024】
本発明の一実施形態に集合住宅Kを
図1〜
図3に示す。
【0025】
集合住宅Kは、
図1〜
図3に示すように、6戸の平屋10を一棟の集合住宅Kとしてなるものとされる。各住戸10は矩形状とされ、各住戸10の隣接する中央部に中庭11が連通させて設けられてなるものとされる。つまり、住居部12は、
図1および
図4に示すように、平面視においてコの字状または逆コの字状を呈している。なお、
図4に示す例は、逆コの字状を呈するものである。
【0026】
住居部12は、中央に居間(以下、リビングともいう)が配置された構成とされ、居間(リビング)が各要素、つまり一方に設けられた主寝室および主寝室に隣接する子供部屋と、反対側に設けられたダイニングおよびその奥に設けられたキッチンに通ずるようにされている。
【0027】
リビングの屋根にはリビングの採光のために採光窓が設けられているが、後述する遊歩道や屋上庭園からの視線を遮るため、
図5に示すように、屋根13は幅方向に波型状とされ、それ頂部に採光窓14が設けられるようにされている。
【0028】
屋上20には、
図2に示すように、住民共用の遊歩道21が周回状に設けられるとともに、屋上庭園22が点在させて設けられている。遊歩道21や屋上庭園22により住民相互のコミュニケーションの促進が図られる。また、この遊歩道21および屋上庭園22により中庭11に加えて広い庭を持つことができ、生活をより楽しむことができる。
【0029】
遊歩道21へは、中庭11の適宜位置、例えば角に設けられたラセン階段25(
図2参照)により上がるようにされている。ラセン階段25の上り口上の半ピッチ分の踏板26は、
図6および
図7に示すように、収納可能とされて中庭11のスペースを無用に占有することがないようにされている。なお、上側の踏板26の下は、収納スペースとされて収納ボックス27が置かれるようにされてもよい(
図6および
図7参照)。
【0030】
また、中庭11の隣接住戸10との境界には、図示はされていないが、プライバシーを確保するため、高さが2メートル程度の開閉式柵が設けられている。なお、開閉式柵に替えて固定式柵とされてもよい。
【0031】
床下には、
図8に示すように、中庭11から操作できるようにされたスライド式収納庫31が収納されるようにされた床下収納設備30が設けられている。スライド式収納庫31は三方向に設けられている(
図8(b)参照)。つまり、スライド式収納庫31は、リビングの床下、子供室の床下およびキッチンの床下に収納されるようにして設けられている。これにより、平屋のデメリットである収納スペース不足を解消できる。
【0032】
ここで、スライド式収納庫31の正面版32は、
図9に示すように、上下に突出した化粧版とされてもよい。
【0033】
なお、スライド式収納庫31は、
図10に示すように、キッチンの床下にクロス状に設けられるようにされてもよい。
【0034】
このように、本実施形態によれば、平屋の良さ、例えば家族のコミュニケーションが図りやすい、室内で子供が階段から落ちるおそれがない、掃除なとの家事が楽といった平屋の良さを確保しながら、中庭11の他に広い庭も得ることができる。
【0035】
以上、本発明を実施形態に基づいて説明してきたが、本発明はかかる実施形態のみに限定されるものではなく、種々改変が可能である。
【0036】
例えば、
図11に示すように、屋上庭園の通路にオーニングテント風にシート型太陽電池40を配設して日除け通路としながら発電をするようにされてもよい。しかして、太陽電池40を設置することにより、集合住宅Kにおける電力料金の低減が図られる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は住宅産業に適用できる。
【符号の説明】
【0038】
K 集合住宅
10 住戸
11 中庭
12 住居部
13 屋根
14 採光窓
20 屋上
21 遊歩道
22 屋上庭園
25 ラセン階段
26 踏板
27 収納ボックス
30 床下収納設備
31 スライド式収納庫
32 正面版
40 シート型太陽電池