特許第6147002号(P6147002)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147002
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】粉体含有油中水型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/37 20060101AFI20170607BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20170607BHJP
   A61K 8/81 20060101ALI20170607BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20170607BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   A61K8/37
   A61K8/06
   A61K8/81
   A61K8/891
   A61Q1/02
【請求項の数】6
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2012-288446(P2012-288446)
(22)【出願日】2012年12月28日
(65)【公開番号】特開2014-129292(P2014-129292A)
(43)【公開日】2014年7月10日
【審査請求日】2015年9月29日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】特許業務法人アルガ特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100077562
【弁理士】
【氏名又は名称】高野 登志雄
(74)【代理人】
【識別番号】100096736
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 俊夫
(74)【代理人】
【識別番号】100117156
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 正樹
(74)【代理人】
【識別番号】100111028
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 博人
(72)【発明者】
【氏名】島崎 巌
【審査官】 團野 克也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−184885(JP,A)
【文献】 特開平11−343211(JP,A)
【文献】 特開2006−225347(JP,A)
【文献】 特開2006−169130(JP,A)
【文献】 特開2007−314655(JP,A)
【文献】 特開2008−050271(JP,A)
【文献】 特開昭63−183511(JP,A)
【文献】 特開2008−050273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
IPC A61K8/00−8/99
A61Q1/00−90/00
DB名 DWPI(Thomson Innovation)
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)HLB値6以下であり、25℃で液状の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤、(B)25℃における粘度が15mPa・s以下の水添ポリイソブテンを粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として5〜20質量%、及び(C)シリコーン系皮膜形成剤を含有する粉体含有油中水型乳化化粧料。
【請求項2】
成分(B)を、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として5〜10質量%含有する請求項1記載の粉体含有油中水型乳化化粧料。
【請求項3】
(D)水を粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として10〜60質量%含有する請求項1又は2記載の粉体含有油中水型乳化化粧料。
【請求項4】
(E)粉体を粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として0.5〜20質量%含有する請求項1〜3のいずれか1項記載の粉体含有油中水型乳化化粧料。
【請求項5】
成分(A)が、ソルビタン脂肪酸エステルである請求項1〜4のいずれか1項記載の粉体含有油中水型乳化化粧料。
【請求項6】
メイクアップ化粧料である請求項1〜5のいずれか1項記載の粉体含有油中水型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体含有油中水型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
油中水型乳化化粧料は外相が油剤であるため、耐水性を付与しやすく、近年乳化タイプのファンデーションやサンスクリーン等に多く用いられている剤型である。しかしその反面、油中水型乳化化粧料は、感触の油っぽさや塗布時の感触の重さが欠点である。その欠点を解消するため、油剤として環状シリコーンやエタノール等の揮発性油剤の利用が挙げられる(特許文献1参照)。またポリエーテルやポリグリセリン等で変性したシリコーン界面活性剤や有機変性粘土鉱物の利用が挙げられる(特許文献2参照)。さらに化粧効果の持続性を高めるため、トリメチルシロキシケイ酸等の皮膜形成剤の利用が挙げられる(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−100413号公報
【特許文献2】特開平5−148121号公報
【特許文献3】特開平7−309714号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1や2のような油中水型乳化化粧料は、油の滲みや分離等の現象が起こりやすく、保存安定性の確保が非常に難しい。また保存安定性を確保しようとワックス等で粘性を上げると感触が悪くなってしまう。このように、保存安定性の良さと感触の良さを併せ持った油中水型乳化化粧料を提供することは非常に難しい状況であった。また、特許文献3の油中水型化粧料でも、感触が重くなる等の欠点が出てしまい、粉体を含有させた油中水型乳化化粧料において、感触が軽くて、化粧持ちが良く、且つ高い安定性を得ることは難しかった。
【0005】
従って、本発明の課題は、感触が軽く、化粧持ちが良く、且つ高い保存安定性を得ることができる粉体含有油中水型乳化化粧料を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明者は、上記課題を解決すべく種々検討した結果、(A)HLB値6以下であり、25℃で液状の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤、及び(C)シリコーン系皮膜形成剤に加えて、5〜20質量%という特定量の水添ポリイソブテンを組み合わせて含有させることで、塗布時の感触が軽く、化粧持ちが良く、且つ保存安定性が高い粉体含有油中水型乳化化粧料が得られることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、(A)HLB値6以下であり、25℃で液状の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤、(B)水添ポリイソブテンを粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として5〜20質量%、及び(C)シリコーン系皮膜形成剤を含有する粉体含有油中水型乳化化粧料を提供することにある。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粉体含有油中水型乳化化粧料は、塗布時の感触が軽く、化粧持ちが良く、さらに保存安定性に優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に用いられる、(A)HLB値6以下であり、25℃で液状の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤としては、例えばソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステルなどの3価〜5価の多価アルコールの脂肪酸エステルが挙げられる。脂肪酸部分の炭素数は8〜20が好ましく、12〜20がより好ましい。多価アルコールに結合する脂肪酸の数は、HLB値によって決定できるが、1〜2個が好ましく、具体的にはモノ、セスキ、ジ等が挙げられる。より好ましいHLB値は5.5以下であり、さらに好ましくは5以下である。また、成分(A)は25℃で液状であることが重要であり、25℃で固体状の多価アルコール脂肪酸エステルでは安定な油中水型乳化化粧料が得られない。
当該多価アルコール脂肪酸エステルの好ましい具体例としては、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0010】
本発明に用いられる、(A)HLB値6以下であり、25℃で液状の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤の含有量は、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として0.3質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、また5質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましい。範囲としては0.3〜5質量%が好ましく、より好ましくは1〜3質量%である。当該範囲内であると、保存安定性に特に優れ、またべたつきがなく、塗布時の感触が特に優れる。
尚、本発明におけるHLB値は下記の川上式(I)により算出されるものを意味する。
HLB=7+11.7log(Mw/Mo) ・・・(I)
ここで式(I)においてMwは親水性基部の分子量、Moは親油性基部の分子量をそれぞれ表す。
【0011】
本発明に用いられる(B)水添ポリイソブテンは、イソブテンとn−ブテンとを共重合した後に水素添加して得られる炭化水素混合物である。高温での保存安定性や塗布時の感触の面から、25℃における粘度が15mPa・s以下のものが好ましく、市販品としては、クローダジャパン社製のCROLATUM LESなどが挙げられる。
【0012】
本発明に用いられる(B)水添ポリイソブテンの含有量は、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として5質量%以上であり、7質量%以上が好ましく、また20質量%以下であり、15質量%以下が好ましい。範囲としては5〜20質量%であり、好ましくは7〜15質量%である。すなわち、含有量が5質量%未満では満足のいく軽くて瑞々しい感触を得ることができず、20質量%超えると、保存安定性の面で悪くなってしまう。
【0013】
本発明に用いられる(C)シリコーン系皮膜形成剤は、皮膜形成能を有するシリコーン又はシリコーン誘導体であれば特に限定されないが、例えば、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリプロピルシルセスキオキサンなどが挙げられ、市販品としては、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製のSR−1000、東レ・ダウコーニング社製のMQ1640Flake Resin、旭化成ワッカーシリコーン社製のPMS MK POWDERなどが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
【0014】
本発明に用いられる(C)シリコーン系皮膜形成剤の含有量は、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましい。また10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。範囲としては0.5〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。当該範囲内であると、皮膜形成剤の効果が十分発揮され、且つ塗布時の感触が重くならない。
【0015】
本発明に用いられる(D)水としては特に限定されないが、精製水などが挙げられる。
【0016】
本発明に用いられる(D)水の含有量は、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として10質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、また60質量%以下が好ましく、55質量%以下がより好ましい。範囲としては10〜60質量%が好ましく、より好ましくは20〜55質量%である。当該範囲内であると、油性感が少なく、塗布時の感触が重くならない。
【0017】
本発明に用いられる(E)粉体としては、化粧品一般に使用される粉体であれば、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず用いることができる。具体的には、酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、カオリン、炭化珪素、硫酸バリウム、ベントナイト、スメクタイト、窒化硼素等の無機粉体類;オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料処理雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類;ラウロイルリシン等のアミノ酸系粉体;ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース等の有機粉体類;シリカ、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、ポリエチレンパウダー、オルガノポリシロキサンエラストマーパウダー、ポリメチルシルセスキオキサンパウダー等の樹脂粉末類;有機タール系顔料、有機色素のレーキ顔料等の色素粉体類;微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられ、これらを1種又は2種以上用いることができる。このうち、特に酸化チタンを含有するのが、隠蔽効果が高く、メイクアップ化粧料、日焼け止め化粧料としての目的を達成させる点で好ましい。酸化チタンは、必要であればアルミナ、シリカ、亜鉛華処理されたものやシリコーン等で疎水処理したものが用いられる。
【0018】
また本発明に用いられる(E)粉体の含有量は、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として0.5質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、また20質量%以下が好ましく、18質量%以下がより好ましい。範囲としては、0.5〜20質量%が好ましく、より好ましくは3〜18質量%である。また酸化チタンの含有量は、(E)粉体の総量を基準として30質量%以上が好ましく、35質量%以上がより好ましく、また100質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましい。範囲としては、30〜100質量%が好ましく、より好ましくは35〜80質量%である。当該範囲内であると、隠蔽効果が高く、メイクアップ化粧料、日焼け止め化粧料としての目的を達成することができ、また塗布時の感触が重くならない。
【0019】
本発明の粉体含有油中水型乳化化粧料には、上記の成分に加えて、必要に応じて他の油性成分、保湿剤、乳化剤、香料、紫外線吸収剤、防腐剤、植物エキス等を含有することができる。
【0020】
本発明の粉体含有油中水型乳化化粧料は、常法、例えば粉体成分を油性成分に分散させ、次いで水相成分を添加して攪拌することにより製造することができる。
【0021】
本発明の粉体含有油中水型乳化化粧料としては、化粧下地、乳化ファンデーション、アイシャドウ等のメイクアップ化粧料、サンスクリーン等の日焼け止め化粧料等が含まれる。
【0022】
上述した実施態様に関し、本発明はさらに以下の実施態様を開示する。
【0023】
<1>(A)HLB値6以下であり、25℃で液状の多価アルコール脂肪酸エステル型界面活性剤、(B)水添ポリイソブテンを粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として5〜20質量%、及び(C)シリコーン系皮膜形成剤を含有する粉体含有油中水型乳化化粧料。
【0024】
<2>成分(A)が、好ましくは3価〜5価の多価アルコールの炭素数8〜20の脂肪酸エステルであり、より好ましくは3価〜5価の多価アルコールの炭素数12〜20の脂肪酸エステルである<1>の粉体含有油中水型乳化化粧料。
<3>成分(A)が、好ましくはソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル及びジグリセリン脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上である<1>又は<2>の粉体含有油中水型乳化化粧料。
<4>成分(A)が、好ましくはモノイソステアリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、セスキイソテアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ジグリセリル及びモノオレイン酸ジグリセリルから選ばれる1種又は2種以上である<1>〜<3>のいずれかの粉体含有油中水型乳化化粧料。
<5>成分(A)の含有量が、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下である<1>〜<4>のいずれかの粉体含有油中水型乳化化粧料。
<6>成分(A)の含有量が、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として、好ましくは0.3〜5質量%、より好ましくは1〜3質量%である<1>〜<5>のいずれかの粉体含有油中水型乳化化粧料。
<7>成分(B)が、25℃における粘度が15mPa・s以下のものである<1>〜<6>のいずれかの粉体含有油中水型乳化化粧料。
<8>成分(B)の含有量が、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として5質量%以上であり、好ましくは7質量%以上であり、また20質量%以下であり、好ましくは15質量%以下である<1>〜<7>のいずれかの粉体含有油中水型乳化化粧料。
<9>成分(B)の含有量が、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として、5〜20質量%であり、好ましくは7〜15質量%である<1>〜<8>のいずれかの粉体含有油中水型乳化化粧料。
<10>成分(C)が、トリメチルシロキシケイ酸、ポリメチルシルセスキオキサン、及びポリプロピルシルセスキオキサンから選ばれる1種又は2種以上である<1>〜<9>のいずれかの粉体含有油中水型乳化化粧料。
<11>成分(C)の含有量が、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、また好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下であり、範囲としては好ましくは0.5〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である<1>〜<10>のいずれかの粉体含有油中水型乳化化粧料。
<12>(D)水の含有量が、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、また好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下である<1>〜<11>のいずれかの粉体含有油中水型乳化化粧料。
<13>(D)水の含有量が、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として、好ましくは10〜60質量%、より好ましくは20〜55質量%である<1>〜<14>のいずれかの粉体含有油中水型乳化化粧料。
<14>(E)粉体が、酸化チタンを含む粉体である<1>〜<13>のいずれかの粉体含有油中水型乳化化粧料。
<15>(E)粉体の含有量が、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、また好ましくは20質量%以下、より好ましくは18質量%以下である<14>の粉体含有油中水型乳化化粧料。
<16>(E)粉体の含有量が、粉体含有油中水型乳化化粧料の総量を基準として、好ましくは0.5〜20質量%、より好ましくは3〜18質量%である<14>又は<15>の粉体含有油中水型乳化化粧料。
【実施例】
【0025】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に詳述するが、本発明はこれによって限定されるものではない。なお、実施例2は参考例である。
【0026】
<評価方法>
(1)使用特性試験
女性パネラー20名の顔面に実施例、比較例の各試料を塗布してもらい、「化粧もちが良い」、「感触が滑らかである」と回答した人数に従って、使用特性を評価した。評価基準は下記の通りである。
【0027】
人数が 15人以上;○
人数が 7〜14人;△
人数が 6人以下 ;×
【0028】
(2)保存安定性試験
所定の方法で調製した試料を0℃、25℃、45℃の恒温槽内に放置し、3週間後の保存安定性を下記の基準に従って評価した。
【0029】
油にじみなし ;○
わずかに油にじみあり;△
油にじみあり ;×
【0030】
<粉体含有油中水型乳化化粧料の調製方法>
油相成分を80℃に加熱して、これに粉体を分散させ、あらかじめ80℃加熱しておいた水相成分を添加し、乳化後室温まで攪拌冷却して、目的の粉体含有油中水型乳化化粧料を得る。
【0031】
<実施例1〜6、比較例1〜3 粉体含有油中水型乳化化粧料>
表1記載の組成の乳化ファンデーションを上記調製方法により製造し、上記各試験を実施した。その結果を併せて表1に示す。
【0032】
【表1】
【0033】
表1より、成分(A)、成分(B)5〜20質量%及び成分(C)を含有する粉体含有油中水型乳化化粧料(乳化フアンデーション)は、化粧持ちが良く、感触が滑らかであって、3週間後の保存安定性試験においても油にじみや油の分離がなく安定であった。一方、界面活性剤として25℃で固体の多価アルコール脂肪酸エステルを用いた場合(比較例1)、水添ポリイソブテンの含有量が5〜20質量%の範囲外の場合(比較例2、3)には、使用特性及び保存安定性が良くなかった。
【0034】
実施例7 乳化ファンデーション
(油相) (質量%)
モノイソステアリン酸ソルビタン((A)成分) 2.0
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 4.0
水添ポリイソブテン((B)成分) 7.0
メチルトリメチコン*3 4.0
(ジメチコン/ビニルジメチコン)クロスポリマー分散体*7 2.0
ポリメチルシルセスキオキサン((C)成分) 2.0
イソノナン酸イソノニル 3.0
大豆由来レシチン 0.2
(水相)
ジプロピレングリコール 5.0
マルチトール 4.0
塩化ナトリウム 1.0
精製水((D)成分) to 100
セージエキス 0.1
加水分解シルク 0.1
(粉体)
酸化チタン((E)成分) 8.0
酸化鉄((E)成分) 1.0
タルク((E)成分) 3.0
板状硫酸バリウム((E)成分) 1.0
アクリル酸アルキルコポリマー*6((E)成分) 1.0
*7 信越化学工業社製 KSG−1610
【0035】
製造方法
油相成分を80℃に加熱して、これに粉体を分散させ、あらかじめ80℃加熱しておいた水相成分を添加し、乳化後室温まで攪拌冷却して、目的の粉体含有油中水型乳化化粧料を得る。
【0036】
実施例8 乳化メイクアップベース
(油相) (質量%)
モノイソステアリン酸ソルビタン((A)成分) 2.0
パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル 4.0
流動パラフィン 7.0
水添ポリイソブテン((B)成分) 10.0
トリベヘン酸グリセリル 2.0
トリメチルシロキシケイ酸((C)成分) 1.0
大豆由来レシチン 0.2
(水相)
精製水((D)成分) to 100
ジプロピレングリコール 5.0
マルチトール 4.0
塩化ナトリウム 0.5
メチルパラベン 0.2
フェノキシエタノール 0.3
加水分解コンキオリン 0.1
ヒアルロン酸Na 0.01
(粉体)
顔料級酸化チタン(平均粒子径250nm)((E)成分) 1.0
微粒子酸化チタン(平均粒子径35nm)((E)成分) 4.0
微粒子酸化亜鉛(平均粒子径20nm)((E)成分) 2.0
赤色226号((E)成分) 0.03
黄酸化鉄((E)成分) 0.17
タルク((E)成分) 3.8
ラウロイルリシン((E)成分) 1.0
アクリル酸アルキルコポリマー*6((E)成分) 0.5
【0037】
製造方法
油相成分を80℃に加熱して、これに粉体を分散させ、あらかじめ80℃加熱しておいた水相成分を添加し、乳化後室温まで攪拌冷却して、目的の粉体含有油中水型乳化化粧料を得る。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、感触が軽く、化粧持ちが良く、且つ保存安定性に優れる粉体含有油中水型乳化化粧料を提供することができる。