特許第6147024号(P6147024)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルスレックス・インコーポレイテッドの特許一覧

<>
  • 特許6147024-関節窩拡張ブロック 図000002
  • 特許6147024-関節窩拡張ブロック 図000003
  • 特許6147024-関節窩拡張ブロック 図000004
  • 特許6147024-関節窩拡張ブロック 図000005
  • 特許6147024-関節窩拡張ブロック 図000006
  • 特許6147024-関節窩拡張ブロック 図000007
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147024
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】関節窩拡張ブロック
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/30 20060101AFI20170607BHJP
   A61B 17/56 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   A61F2/30
   A61B17/56
【請求項の数】7
【外国語出願】
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-35752(P2013-35752)
(22)【出願日】2013年2月26日
(65)【公開番号】特開2013-172965(P2013-172965A)
(43)【公開日】2013年9月5日
【審査請求日】2016年1月27日
(31)【優先権主張番号】12157196.2
(32)【優先日】2012年2月27日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】513047039
【氏名又は名称】アルスレックス・インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100157440
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 良太
(74)【代理人】
【識別番号】100173521
【弁理士】
【氏名又は名称】篠原 淳司
(74)【代理人】
【識別番号】100153419
【弁理士】
【氏名又は名称】清田 栄章
(72)【発明者】
【氏名】フィリップ・アルディ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファネ・ナウディン
【審査官】 松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2005/0049710(US,A1)
【文献】 特表2009−545364(JP,A)
【文献】 欧州特許出願公開第02135566(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28−/2/46
A61B 17/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つの金属および/または合成樹脂材料を備え、かつ上腕骨を保持するための接触面(20)と関節窩に接触するための据付け面(11)を有する関節窩インプラント(10)において、
関節窩インプラント(10)が関節窩の表面を関節窩の側面まで拡張するのに適しており、さらに関節窩インプラントが、関節窩の側面にネジ止めされるべきネジ(40)の頭を保持するためのネジ頭収容領域を備えた少なくとも一つの孔(21,22)を備えていること、および
少なくとも一つの凹部が、据付け面(11)と接触面(20)の間にあり、その間を通って少なくとも一つの縫合糸アンカーが骨内に付けられていることを特徴とする関節窩インプラント。
【請求項2】
関節窩インプラント(10)の本体が、ほぼ立方体形状であり、かつ接触面(20)を形成している凹部を備えていることを特徴とする請求項1に記載の関節窩インプラント。
【請求項3】
関節窩インプラント(10)の本体が、丸みを付された縁部を備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の関節窩インプラント。
【請求項4】
関節窩インプラント(10)の本体が、工具によりインプラントを保持するための少なくとも一つの手段(23)を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の関節窩インプラント。
【請求項5】
工具によりインプラントを保持するための少なくとも一つの手段(23)が、回転を防止するために非円形を有する孔であることを特徴とする請求項4に記載の関節窩インプラント。
【請求項6】
据付け面(11)が骨の成長を促進させる3次元構造を備えていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の関節窩インプラント。
【請求項7】
関節窩インプラント一式が、請求項1〜6のいずれか一つに記載の複数の異なる大きさの関節窩インプラントを備えていることを特徴とする関節窩インプラント一式。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に肩関節前方不安定症の治療において肩の安定性を増すためのインプラントに関する。
【背景技術】
【0002】
前方関節窩の損傷は、前方肩関節脱臼により起こる。バンカート病変としても知られるこのような損傷により、肩の不安定症は続く。特許文献1と特許文献2は、関節窩に烏口状骨移植片(coracoid graft)を固定することによりこのような損傷を治すための器具および方法を開示している。この場合、摘出(harvesting)、成形、穴あけおよびシャトリング(shuttling)には、極めて長い時間と外科医の特殊な技量が必要である。カップ状および球状の関節プロテーゼは、特許文献3〜7に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際特許出願公開第2008/015670号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第2135566号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第1815825号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1510190号明細書
【特許文献5】仏国特許出願公開第2825263号明細書
【特許文献6】仏国特許出願公開第2843293号明細書
【特許文献7】仏国特許出願公開第2578162号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明による解決すべき課題は、損傷/退化した前方関節窩を簡素化し、このような損傷/退化を治すための信頼性のある工具を外科医に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題の解決手段は、独立請求項に記載されている。従属請求項は、本発明のさらに付加えた改善点に関係する。
【0006】
関節窩インプラントは、解剖学的成形体である。関節窩インプラントは全面接合ではない。その代わりに、今ある関節、特に関節窩への拡張体である。関節窩インプラントのサイズは、関節窩の大きさの一部にすぎない。関節窩インプラントは、金属および/または合成樹脂材料を有している。さらに、関節窩インプラントは、チタニウム、ステンレス等の金属、あるいはPEEK等の合成樹脂材料から成る。関節窩インプラントは、さらにこのような材料の組合せから成っていてもよい。関節窩インプラントは、関節窩へ取付けるための手段を備えている。取付けはネジあるいは他の固定手段により行われる。関節窩インプラントは、関節窩の面を拡張し、かつ上腕骨頭部あるいはその少なくとも一部を担持するのに適した接触面を備えている。接触面はほぼ平らであるか、あるいは僅かに彎曲している。接触面は、完全な関節プロテーゼのように、球状でもカップ状でもない。関節窩インプラントは、関節の連結領域への直接の接触部を備えていない。
【0007】
従来技術と比較してこのインプラントの主たる長所は、摘出、成形および孔あけに必要な時間と手間が節約できることである。さらに関節窩インプラントは、より容易に設置および固定ができる。固定時および固定後の破損あるいは再吸収等の自己移植の失敗は、従来技術のようには起こりにくい。従来技術から知られる関節プロテーゼと比べて、軟骨表面をすべて除去する必要がない。
【0008】
関節窩インプラントの本体は、ほぼ立方体形状であり、接触面はインプラントの先端面に凹部があるのは好ましい
関節窩インプラントの本体が丸みを付された縁部を有しているとさらに好ましい。
【0009】
さらに好ましい実施例において、関節窩インプラントは、関節窩に関節窩インプラントを取付けるためのネジを挿入するための少なくとも一つの孔を有している。孔はネジ頭収容領域を備えているのが好ましく、かつこの孔により、ネジは所定の範囲の角度で据付けることができる。最も好ましいのは孔が二つあることである。
【0010】
別の実施例において、工具を用いてインプラントを保持するための少なくとも一つの手段がある。この工具は取っ手でもよい。保持手段は回転を防止するための非円形を有する孔であるのが好ましい。
【0011】
据付け面と接触面の間に少なくとも一つの凹部があるのが好ましい。このような凹部はいくつあってもよい。
【0012】
関節窩インプラントは、骨の大きさと関節窩の欠陥の大きさに合った様々なサイズで利用できるのが好ましい。
【0013】
関節窩インプラント一式は、異なる大きさのインプラントの選択肢を有しているのが好ましい。
【0014】
本発明の別の態様は、断裂したおよび/または悪化した前方肩関節を治すための方法に関する。第一工程で、損傷した箇所を関節窩から除くか、あるいは関節窩が悪化している場合は、インプラント接触面への骨をリフレッシュさせる。同時にあるいは次の工程で、据付け面を好ましくはシェーバーおよび/または截骨刀を使用して関節窩に取付ける。次の工程では、関節窩インプラントの適切な大きさを選定する。次いで選定された関節窩インプラントを、好ましくはインプラント保持工具を使用して関節窩に位置決めする。その次の工程で、関節窩内に穴あけされるべき孔の位置に印を付ける。代替え案として、孔を穴開け治具としての関節窩インプラントを使用して直接穴開けしてもよい。次いで、ネジを孔にねじ込む。別の代替え案として、ネジをネジ込みせず、あるいは予備の固定線なしで挿入してもよい。インプラントの大きさを選定するような幾つかの工程は、方法の結果に影響を与えることの無い他の工程と順番を変えてもよい。
【0015】
以下に、図に関連した実施例に基づいて、本発明を一般的な発明の構想の限定をすることなく実例を用いて説明する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】関節窩インプラントを示す図である。
図2】関節窩インプラントの若干変更された構成を示す図である。
図3】関節窩インプラントの切欠き図である。
図4】保持具取付けられた関節窩インプラントを示す図である。
図5】関節窩50に取付けられた関節窩インプラントを示す図である。
図6】関節窩にネジ止めされた関節窩インプラントの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0017】
図1には本発明の好ましい実施例が示してある。関節窩インプラント10は据付け面11を備えており、この据付け面によりインプラントは関節窩に取付けられている。据付け面11は、間接窩に接触している3次元構造を有してもよく、骨の成長を促進する。関節窩インプラントは立方体形状を備えているのが好ましい。関節窩インプラントは、関節窩への固定と関節窩表面への適合が許容される限りほかのどの形状も有してよい。据付け面と反対側に後部面12がある。先端面14は接触面20として使用される凹部を有していてもよく、この接触面は、関節窩50の面形状、および上腕骨との接合部分に合っている。底面13が先端面に対向している。第一の側面15と第二の側面16があり、これらの側面は丸みを付されているのが好ましい。第一の側面15には、孔23があり、この孔は少なくとも一つの案内ピンでインプラントを位置合わせするのに使用されており、この案内ピンはかつて骨の中に配置されていた。
【0018】
さらに、このような孔は、インプラントを保持するための取っ手によって使用されている。二つの孔21,22は、据付け面から後部面まで関節窩インプラントの中を貫通している。これらの孔はネジ40の頭を保持するためのネジ頭収容領域を備えた内部形状を有している。これらの孔により、所定の角度範囲でネジの向きを調節することが、据付けに自由度を与えることができる。
【0019】
図2は、関節窩インプラントの若干変更された構成を示す。この場合、側壁15,16は丸みを付されていない。さらにネジ40は孔20の中を通って挿入されている。このネジはセルフカットネジであるのが好ましい。据付け面11と接触面20の間に、複数の縫合糸アンカーが骨の中に付けられている。このような凹部がいくらでもあってもよい。
【0020】
図3には、関節窩インプラントの断面図が示してある。さらに、この図はネジ40を保持するための典型的な孔21,22の形状を示している。さらに、骨へのインプラントの固定を改善するための突出部29が側面図で示してある。少なくとも一つのこのような突出部があるのが好ましく、複数のこのような突出部があるのが最も好ましい。
【0021】
図4で、インプラント10は保持工具30に取付けられた状態で示してある。この保持工具はシャフト32に取付けられた取っ手31を備えている。シャフトはインプラントの孔23内に嵌合する端部を有する。外科医はネジ孔をあけおよび/またはネジを挿入する際に、関節窩における選定された位置でインプラントを保持する。
【0022】
図5は関節窩50の一方の側面に取付けられたインプラント10を示す。インプラントは関節窩を拡張するにすぎず、インプラントを差し替えしない。
【0023】
図6では、関節窩50の横断面図が、ネジ40を用いて関節窩に取付けられたインプラント10の横断面図でもって示してある。
【符号の説明】
【0024】
10 関節窩インプラント
11 据付け面
12 後部面
13 底面
14 先端面
15 第一の側面
16 第二の側面
20 接触面
21 第一の孔
22 第二の孔
23 孔
24 第三の孔
25 突出部
26 斜面
29 突出部
30 インプラント保持工具
31 取っ手
32 シャフト
40 ネジ
50 関節窩
図1
図2
図3
図4
図5
図6