【文献】
Mullen et al.,MR, Ultrasound Fusion: Bridging the Gap between Clinical Benefits, Access and Equipment Utilization,SignalPULSE,GE Healthcare MR Publication[オンライン],2009年,[検索日 2016.06.20]、インターネット<http://www.slideshare.net/bfisekci1/mr-ultrasound-fusion>
【文献】
Tang et al.,Multi-modal Imaging: Simultaneous MRI and Ultrasound Imaging for Carotid Arteries Visualization,Proceedings of the 29th Annual International Conference of the IEEE EMBS,IEEE,2007年 8月,pages 2603-2606
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記超音波パラメータデータおよび前記磁気共鳴パラメータデータを取得(30、32)することは、弾性データ、温度測定データまたは造影剤の潅流データを取得することを含み、
前記パラメータは、弾性特性、温度または造影剤の潅流特性を具える、
請求項1に記載の方法。
前記超音波パラメータデータを前記第1のレートで取得(30)すること、および、前記磁気共鳴パラメータデータを前記第2のレートで取得(32)することは、前記超音波パラメータデータを、前記磁気共鳴パラメータデータを取得することより高速のフレームまたはボリュームレートで取得すること含む、
請求項1に記載の方法。
算出(44)前に、前記第1の値を内挿(40)すること、前記第2の値を内挿(40)すること、あるいは、前記第1の値および前記第2の値を共通の分解能に内挿(40)することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
解剖を表す磁気共鳴および超音波データを使用して、前記第1の値、前記第2の値、あるいは、前記第1の値および前記第2の値の空間位置を動き補正(42)することをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
高いフレームレートのパラメータ画像は、磁気共鳴(MR)および超音波データから生成される。低いフレームレートのMRデータおよび高いフレームレートの超音波データを結合することによって、両方のモードから結合されたパラメータの画像は、超音波取得以上のレートで表される。MRおよび超音波からのパラメータ画像の結合は、良好な信号対雑音比の画像を高いフレームレート/ボリュームレートで提供することができる。
【0012】
図1は、磁気共鳴および超音波パラメータの画像融合のための方法を示す。この方法は、
図3のシステム10または他のシステムによって実施される。動作は、図示の順番あるいは他の順番で実行される。例えば、動作30および32は、交互に、連続して、あるいは、同時に実行される。連続実行のために、取得と、例えば心臓または呼吸のサイクルと、を同期させる付加的な動作を実行することができる。動作40〜46は、動作30、32の取得とリアルタイムに実行され、例えば、取得または走査が生じている間、および/または、走査の数秒間に同一の検査セッションで実行される。
【0013】
追加の動作や異なる動作を設けてもよいし、動作を減らしてもよい。例えば、分解能を変更する動作40および/または動き補正の動作42を設けなくてもよい。他の例では、動作46は、設けられていない。他の例では、心臓、呼吸または他のサイクルと異なる時間であるが、同一類似の段階に取得されるMRおよび超音波データを時間的に整列配置するための動作が設けられている。
【0014】
動作30、32の取得は、超音波システムおよびMRIシステムによって実行される。データは、リアルタイムに、または、走査中に得られる。あるいは、データは、前もって取得されており、データ転送またはメモリへのアクセスによって得られる。
【0015】
動作30において、超音波パラメータデータが取得される。超音波データは、患者を2次元または3次元に音響的に走査することによって取得される。任意の種類の走査、走査フォーマットまたは撮像モードを用いることができる。例えば、高調波イメージングが、添加造影剤の有無にかかわらず用いられる。他の例として、Bモード、カラー・フロー・モード、スペクトル・ドップラー・モード、Mモード、コントラストまたは他の撮像モードが用いられる。
【0016】
解剖的情報またはフロー情報を表す超音波データは、走査によって患者から取得される。データは、患者の点、線、面積または体積を表す。超音波イメージングのために、超音波周波数の波形が送信され、エコーが受信される。音響エコーは電気信号に変換され、患者の領域内でのサンプル位置を表すようにビーム整形される。ビーム整形されたデータはフィルタ処理される、あるいは、調和振動数または基本振動数帯域の情報を分離するような他の処理がなされる。送信波形の1つ以上の高調波のエコーは、処理可能である。
【0017】
ビーム整形データを検出し、例えば強度(Bモード)または速度(フローモード)を決定する。同一位置からのエコー信号のシーケンスを用いて、速度、変化および/またはエネルギーを推定することができる。シーケンスを用いて、造影剤を検出することもできる。例えば、異なる位相および/または振幅を有する送信への反応を追加し、組織またはフローに対する情報を造影剤から分離する。造影剤検出を、潅流のために用いることができる。ビーム整形データからの他の検出技術を用いることができる。検出された超音波情報は、解剖的データである。例えば、Bモードデータは組織構造を表す。他の例として、フローデータは血管に関する位置を示す。さらに他の例では、造影剤データは患者内の造影剤を示す。
【0018】
検出値をフィルタ処理し、ディスプレイ・フォーマットに走査変換することができる。患者を表す超音波データは、超音波処理経路に沿った任意の点からのものであり、例えば、ビーム整形前のチャネルデータ、検出前無線周波数または同相および求積データ、検出データ、または走査変換データである。
【0019】
パラメータは、超音波データから導出可能である。パラメータの超音波データは、解剖の単なる検出反応よりもむしろ患者または走査領域の特性を表す。例えば、パラメータは、温度、弾性および潅流を含む。他のパラメータを用いることもできる。例えば、異なる位置の組織の種類は、スペックル特性、エコー強度、組織構造とのテンプレートマッチングまたは他の処理から決定される。
【0020】
温度パラメータは、他の情報の有無にかかわらず超音波データから導出される。温度測定を実行することによって、さまざまな位置の温度を決定することができる。任意の温度測定を用いることができる。例えば、組織は加熱されると膨張する。膨張を測定すると、温度を示すことができる。温度関連の測定値は、温度を直接的または間接的に示すことができる。例えば、導電率に関連したパラメータまたは含水量の測定(例えば、組織種類の測定)は、温度に間接的に影響を与えうる。一実施形態では、組織変位、音速、後方散乱強度および受信信号の正規化された相関係数の2つ以上、例えば4つ全部が実行される。血管壁の膨張のような他の測定も可能である。
【0021】
組織変位は、1次元、2次元または3次元のオフセットを決定することで測定される。絶対差の最小和または最高相関と関連した変位が決定される。現在の走査データは、参照データセット、例えば以前または初期の走査に対して並進、回転および/または拡大縮小される。最大または充分な類似性と関連したオフセットは、変位として決定される。Bモードまたはハーモニックモードデータを用いているが、他のデータを用いることもできる。1つの位置に対して算出された変位を用いて、検索を改善するまたは他の位置の領域を検索することができる。変位の他の測定を用いることもできる。
【0022】
音速は、加熱前と加熱中の比較から測定可能である。パルスが送信される。エコーが所定の位置から戻る時間を用いて、トランスデューサからその位置までの音速を決定することができる。任意の開口を用いて、例えば、異なる開口を有する同一の位置およびの別個の測定および平均を行うことができる。他の実施形態では、信号は相関している。例えば、ビーム整形後の同相信号および求積信号は、参照信号と相関している。参照信号と現在の信号との間の位相オフセットが決定される。送信波形の周波数(すなわち、超音波周波数)を用いて、位相差を音の時間または速度に換算する。音速の他の測定値を用いることもできる。
【0023】
後方散乱強度は、BモードまたはMモードである。エコー信号のエンベロープの強度またはエネルギーが決定される。
【0024】
受信信号の正規化された相関係数は、測定可能である。検出前のビーム整形データ、例えば同相データおよび求積データは、相互相関している。一実施形態では、1つまたは複数の参照サンプルが取得される。サンプル送信の間か後に、次のサンプルが取得される。位置ごとに、空間ウィンドウ、例えば深さにおける3つの波長は、相関用のデータを定める。ウィンドウは、長さ、面積または体積を定める。現在のデータは、ウィンドウ空間内で、参照データと相関している。正規化された相互相関は、ウィンドウ内のデータに対して実行される。新しいデータが取得されると、さらなる相互相関が実行される。
【0025】
音響パラメータ、物理パラメータあるいはパラメータの変化に関連した温度を測定することができる。温度測定のための他の測定値は、組織弾性、歪み、歪み速度、動き(例えば、変位またはカラーフロー測定)または反射パワー(例えば、後方散乱体断面)を含むことができる。
【0026】
一実施形態では、温度は、例えば米国特許出願番号第2011/0060221号(その開示が本願明細書に参照として取り込まれる)において開示されるように、直接的に測定されるよりはむしろモデルから推定される。上述した種類の情報の1つ以上を、モデルへの入力として用いることができる。実際のデータおよび/または派生情報は、モデルと組み合わせて用いられる解剖的パラメータである。超音波走査に加えて、臨床情報または他の情報は、温度を決定するために取得される。例えば、遺伝情報または組織関連の他のデータは、患者の記録から取り出すことができる。温度関連情報の決定に関与している任意の特徴を用いることができる。
【0027】
温度関連の測定値は、モデルに適用される。あるいは、値(すなわち、測定値またはデータ)は処理され、処理された値が入力される。例えば、値は、空間的および/または時間的にフィルタ処理される。他の例として、異なるタイプの値がその値から算出可能であり、例えば、その値から分散、導関数、正規化、他の関数を決定可能である。他の例では、現在値と参照値または以前の値との間の変化が決定される。時間ウィンドウの値の時間履歴を用いることができる。値は、モデルの特徴として入力される。
【0028】
モデルは、温度または温度分布(すなわち、複数の位置および/または時間における温度)を入力情報から出力する。派生温度は、任意の単位、例えば、華氏または摂氏とすることができる。温度の分解能は任意のレベルにすることができ、例えば、2度または他のレンジで温度を出力することができる。あるいは、温度関連の他の情報、例えば温度変化、量または指数値が出力される。
【0029】
任意のモデル、例えばニューラル・ネットワークまたは区分線形モデルを用いることができる。機械学習に代わるものとして、手動でプログラムされたモデルを用いることができる。一実施形態では、熱分布モデルが用いられる。熱分布モデルは、熱伝導率、密度または異なる組織、流体または構造の他の挙動を構成する。熱分布モデルは、他の位置での温度を決定する。熱分布モデルは、他の時間または時間および位置の両方で温度を決定することができる。
【0030】
他のパラメータは、弾性である。任意の弾性イメージング、例えば歪みまたは歪み速度を用いることができる。歪みまたは弾性の特性を、パラメータとして用いることができる。音響エネルギー、サンパー、心臓の動きまたは他のソースは、弾性測定用の変位を生じさせる応力として提供可能である。
【0031】
歪みまたは弾性に対して、組織の変位は、時間の関数として決定される。変位は、組織データ、例えばBモード超音波データから測定可能である。相関、相互相関、絶対差の最小和または他の類似の測定を用いて、走査間の変位を決定する。変位は、1次元、2次元または3次元で決定される。一実施形態では、米国特許第5107837号、第5293870号、第5178147号、第6508768号または第6558324号(その開示が本願明細書に参照として取り込まれる)に開示された方法またはシステムの任意の1つ以上を用いて、歪み情報としてデータまたはイメージの弾性フレームを生成する。歪みまたは弾性を測定する他の方法を用いることができる。変位は、組織の速度および/または加速度を決定することにより測定可能である。
【0032】
1つ(例えば、速度)、2つ(Bモード相関)またはより多くの(例えば、平均変位)走査に基づいて、歪み場が決定される。歪み場は、複数の位置での歪みを表す。他の実施形態では、変位場または歪み速度場を用いることができる。他の測定値を用いて、歪みまたは変位、例えば速度を表すことができる。
【0033】
一実施形態では、横波は、縦波に加えて、または、縦波に代わるものとして検出される。励起は、空間位置で横波を生成するビームを形成する。ビームが十分に強い所で、横波は発生する。横波は、音響波放出方向に沿った縦波よりゆっくり組織内で伝播する。横波は、応力印加方向に垂直な方向を含むさまざまな方向に伝播する。横波の変位は、励起ビームに対応する位置でより大きい。横波が走査ラインを通って伝播するにつれて、Bモード強度は変化しうる。モニタされた走査ラインに対して、横波から生ずる組織運動の時間側面を表すデータのシーケンスが提供される。例えば、複数の空間位置からのデータは(例えば、走査ラインに沿って)、時間の関数として相関している。深さまたは空間位置の各々に対して、複数の深さまたは空間位置の相関(例えば、プロフィールが算出される点に中心深さがある64の深さのカーネル)が実行される。2次元変位または空間における3次元変位を用いることができる。走査ラインまたはビームとは異なる方向に沿った1次元変位を用いることもできる。所定の時間における最高あるいは充分な相関を有する空間オフセットは、変位量を示す。変位は、異なる時間における所定の位置に対して決定される。所定位置のための時間的プロファイルは、横波または縦波の検出を示す。
【0034】
速度および/または弾性率または弾性の他の複素表現を用いることができる。剪断速度および/または剪断率は、圧力および吸収係数に少なくとも部分的に基づいて決定可能である。吸収係数は、治療されている組織に応じて、想定可能である(例えば、0.5、0.6、0.8または他の値)。加えられた圧力は、送信された励起および減衰の考慮から分かる。
【0035】
他のパラメータは、潅流である。濃度、レート、流入、流出または他の潅流特性は、超音波データから導出される。患者は、複数回走査される。一実施形態では、造影剤を検出するための走査は、造影剤の滅失のための走査と交互に行われる。
【0036】
潅流は、検出された造影剤から検出される。任意の造影剤検出走査モード(例えばハーモニックBモード)を用いることができる。一実施形態では、複数のパルス技術が用いられる。同一または隣接した送信走査ラインに沿う2つ以上の送信が行われる(fired)。例えば、2つのパルス、例えば2つの逆位相のパルスを用いて、偶数次高調波における反応を分離する。造影剤は、偶数次高調波において、組織より強い反応を有することができる。送信パルスに対する異なる位相および/または振幅に加えて、あるいは、その代わりとして、受信信号の異なる重み付けを用いることができる。他の例では、同一位置を表す3つ以上の受信信号を結合し、その位置における非線形の基本的な反応を決定する。対応する送信パルスは、異なる位相および振幅を有する。非線形の基本的な反応は、造影剤に対して組織より大きいので、良好な特性を提供する。再潅流は、複数のパルスの結合を使用して検出される。所定の走査時間における関心領域の組織内の造影剤は検出され、滅失を過ぎた時点の再潅流あるいはその領域に対する造影剤の他の導入を示す。
【0037】
造影剤が破壊された所で検出される潅流は、再潅流である。破壊的な音響エネルギーの送信後、造影剤の再潅流が検出される。再潅流は、任意の技術、例えば造影剤モードを使用して撮像される。原則として、造影剤濃度は、高い潅流レートを有する領域でより急速に増加する。潅流は、時間とともに検出される。
【0038】
潅流は、造影剤反応から導出される。組織に関連する所定の位置に対する潅流の量は、決定可能である。造影剤反応は、単独で潅流濃度を示すことができる。潅流の変化を用いることができる。所定の位置またはボクセルに対して、2回の造影剤反応の相違が決定可能である。データのための走査を、分離する時間で割り算した造影剤反応の量の相違は、潅流レートを示す。
【0039】
パラメータ情報は、所定の時間における患者の領域を表す。パラメータデータは、時間平均とすることができる。患者の領域は、2次元または3次元である。異なる値または同一の値は、異なる位置のために提供される。
【0040】
パラメータ取得は、異なる時間に繰り返される。領域の走査、走査からの超音波データの検出およびパラメータ値の導出は、繰り返される。繰り返しは、異なる時間に領域を表しているパラメータデータを提供する。
【0041】
任意の繰り返しレートを用いることができる。例えば、領域を表すデータの1つのフレームまたはボリュームは、1秒ごとに取得される。他の例では、1秒につき、10以上のフレームまたはボリュームレートである。
【0042】
パラメータの超音波データの任意数のフレームまたはボリュームが取得される。例えば、例えば1、2および3番目の時間に、3セット以上のパラメータデータが取得される。
図2は、7つの異なる時間(t
1〜t
7)でのパラメータの超音波データ(U)の取得を示す。取得は、進行中とすることができる。パラメータデータ、例えば温度測定、弾性または潅流の時間シーケンスは、超音波スキャナから取得される。例えば、複数の温度マップが得られる。
【0043】
動作32において、磁気共鳴(MR)のパラメータデータが取得される。取得は、MRIシステムを使用し、それゆえ、超音波データの取得と同時に実行可能である。あるいは、MRパラメータデータは、超音波データの前後に、または超音波データと交互に取得される。MRIシステムおよび超音波システムは、互いに独立している。あるいは、トランスデューサがMRIシステムの患者ベッドに取り付けられている複合システムが提供される。制御、電子機器または処理は、共有されても分離されてもよい。
【0044】
MRパラメータデータは、MRデータから導出される。磁気共鳴のために、受信したMRデータは、射影強度を示す。断層撮影または他の処理を使用して、異なる位置からの反応強度が決定される。異なるパルス・シーケンスを用いて、走査領域で異なる分子および/または特性を検出することができる。
【0045】
MR解剖データを得ることができる。MR解剖データは、患者の解剖を表す。MR解剖データは、患者のボリュームを表し、例えば、N×M×Oの配置のボクセルを表す。あるいは、MR解剖データは、複数の別々のスライス(例えば、3枚の平行したスライス)を表す。他の実施態様では、MR解剖データは、単一の平面を表す。
【0046】
1つ以上の送信機は、RF励起場を生じる。所望数の送信機が用いられ、対応する数の送信/受信スイッチを介して、RFコイルアレイにおける対応する数のコイルに接続される。コイル素子の複合RF磁場は、対象物内の関心領域の全体にわたって、定められたB1磁場を生成する。RF励起場に応答して対象物によって生じる信号は、コイルアレイによって受信され、受信チャネルのセットの入力端に供給される。受信信号は、ラーモア周波数、または、その周辺にある。B1磁場が生成されないとき、送信/受信スイッチは、受信チャネルの各々をそれぞれのコイル素子に接続する。対象物内の励起スピンによって生じる信号は、受信され、k空間および/または物体空間データとして個別に処理される。
【0047】
パラメータ、例えば温度、弾性または潅流特性を表すデータを取得する任意のMR手順を用いることができる。例えば、T1強調データまたはT2強調データが得られる。他の例として、拡散データが得られる。MR弾性率計測データのために、任意のMR弾性率計測プロセスを用いることができる。一実施形態では、力学的な波の伝播が測定される。力学的な波は、外圧によって、例えば、患者の皮膚に適用される周期的な圧力によって患者内で誘発される。例えば、パッド(すなわち、サンパー)は、患者の腹部に配置され、特定の低い周波数で振動する。周波数は、MRシステムによって関心領域を走査するレートと比較して低い。一実施形態では、音響エネルギーを用いて、患者内の焦点領域で力学的な波を生成する。力学的な波は、硬組織および軟組織とで異なるレートで移動する。
【0048】
力学的な波の伝播を測定するために、MR走査は、異なる時間で実行される。力学的な波に対する組織の反応が測定される。時間とともに力学的な波によって生じる組織の変位、移動の時間および距離は、組織内の力学的な波のレートを示す。プロセッサは、変位の特性に基づいて、組織の剛性を決定する。例えば、力学的な波のレートは、複数のサンプル位置の各々に対して算出される。速度自体が、弾性率計測法のデータとして用いられる。あるいは、ピークで正規化された変位または速度および/またはピークで正規化された変位から算出されたパラメータは、MR弾性率計測法のデータとして用いられる。例えば、剛性または歪みレート情報が、用いられる。
【0049】
一実施形態では、同期した振動増感傾斜磁場(motion-sensitizing gradient)を用いた位相差MR技術は、波伝播のパターンを測定する。結果データは、分析され、剛性または組織の他の機械的特性の定量的なMR弾性率計測法のデータを生成する。例えば、調和振動数が低い音響横波(10Hz〜1.1kHz)は、外部の機械的応力源として用いられる。音響波によって、微小な周期的変位(マイクロメートルの10分の1のオーダ)が生じる。力学的な波(例えば、音響横波)によって、局所的な弾性率の算出は単純化される。なぜなら、局所的な弾性率は、局所的な静的応力分布の推定を必要とすることよりもむしろ、ローカル波長から直接計算されるためである。高感度のMRベースの方法は、組織内の力学的な波に関する情報を得るために走査する。振動増感傾斜磁場は、撮像対象物の内部で生成する音響力学的な波と同期して適用される。これらの振動増感傾斜磁場が存在する場合、スピンの周期的運動は、受信したMR信号に位相シフトを引き起こす。位相シフトは、変位振幅および周期的な振動増感傾斜磁場の数と比例している。小さい振幅同期運動は、機械励起の複数のサイクル上の位相シフトおよび振動増感傾斜磁場波形を蓄積することによって測定可能である。各ボクセルの測定された位相シフトから、各ボクセルの変位振幅は、再構築されたデータにおいて推定される。この変位マップは、対象物内で伝播する力学的な波を示す。周期的な振動増感傾斜磁場は、任意の所望の軸に沿って重畳可能であるので、歪みダイアディック(dyadic)の異なるコンポーネントは非侵襲的に推定可能である。剪断画像を、空間フィルタリングを使用して生成し、ローカル波長を算出することができる。ローカル波長、変位、歪みまたはそれから生ずる情報は、弾性率計測データとして使用される。
【0050】
他のMRパラメータデータは、温度である。任意のMR温度測定技術を用いることができる。例えば、T1強調イメージングにおいて、組織のT1長手方向緩和時間の変化を用いて、温度変化を撮像することができる。T1は、高周波パルスの後、組織が(再)磁化されるのに必要な時間を示す。T1は、共鳴しているプロトンと他の核との間の熱相互作用によって決定される。周波数でシフトする水分子のプロトン共鳴周波数(PRF)によって、周波数の変化を検出できる。水素電子は核を磁場から保護し、核によって見られる磁場を、したがって共振周波数を効果的に低下させる。結合電子において、この効果は減少する。温度の上昇につれて、より多くの結合は、伸ばされ、破壊され、あるいは、曲げられる。その結果、温度の上昇につれて、周波数は減少する。
【0051】
さらに他のパラメータは、潅流である。任意の方法を用いて、MRIを使用している拡散を決定することができる。例えば、T2*緩和時間上のガドリニウムの効果が用いられる。造影剤は、磁場の均一性を局所的に破壊する。その結果、イメージング・ボクセル内の水素核は、異なるローカル磁場を見て、異なる周波数で共鳴する。これは、ひいては、それらの信号の干渉性の損失につながる。それらの信号は、キャンセルし始める。画像において、存在するガドリニウム造影剤の量に応じて、ボクセル(T2*短縮)からの信号が減少する。
【0052】
潅流パラメータは、検出された造影剤から算出される。造影剤の濃度を用いて、潅流を表すことができる。造影剤の変化、流入、流出または他の潅流特性を算出することができる。
【0053】
MRパラメータは、患者の領域の異なる位置に対する値である。領域は、超音波パラメータデータに関する2次元または3次元の同一位置である。あるいは、MRによってパラメータデータによって表される領域は、パラメータの超音波データによって表される領域に重複するが、同一ではない。超音波またはMRパラメータデータは、例えば、データ・レジストレーション、基準ベースの変換または位置センサを使用して同一座標系に変換可能である。
【0054】
エリアまたはボリュームのためのMRパラメータデータは、所定時間の間取得される。取得は、期間と関連しうる。この期間は、1回の取得とみなされる。所定時間の間のデータは、瞬間的な測定値または時間的平均を表すことができる。例えばデータの移動ウィンドウ内で、ある時間での領域を表しているパラメータデータは、他の時間の間のデータを算出するために用いられるデータから算出可能である。
【0055】
MRパラメータデータは、複数回取得される。任意の取得レートを用いることができる。MRパラメータデータのためのレートは、超音波パラメータデータのためのレートより遅い。超音波画像シーケンスは、MRI画像シーケンスと比較してフレームまたはボリュームレートが高い。
図2の例では、MRパラメータデータ(M)の1つのフレームまたはボリュームは、超音波パラメータデータ(U)の3つのフレームまたはボリュームごとに取得されている。MRパラメータデータ(M)は、3回ごとに取得され、他の時は取得されない(例えば、時間2および3(t
2およびt
3)には取得されない)。レートの他の違いを提供することもできる。
【0056】
時間軸、例えば期間を表している各時間は、一般化可能である。MRパラメータデータおよび超音波パラメータデータが同一の時間を表さないが、両方は、ある範囲の時間での患者領域を表すことができる。任意のサイズ範囲、例えば2、1、0.1、0.01または0.5秒を用いることができる。
【0057】
データの各フレームまたはボリュームのための時間は、トリガイベント(例えば、造影剤滅失)またはサイクルと関連しうる。例えば、1つのフレームまたはボリュームの超音波パラメータデータは、心臓サイクルのR波で患者を表すことができ、午後1時23分45秒に取得される。1フレームのMRパラメータデータは、R波で患者を表すことができるが、午後5時43分21秒に取得されてもよい。データが心臓サイクルに対して同一の時間を表すので、両方とも時間t
1に割り当て可能である。あるいは、両方のタイプのデータは、同一類似の(例えば、同一の期間内)絶対時間に取得可能である。各フレームまたはボリュームの取得時のタイムスタンプを用いて、時間領域において、MRパラメータデータを超音波パラメータデータに調整する。
【0058】
動作40において、MRおよび超音波パラメータデータは、共通の分解能に変更される。MRおよび超音波パラメータデータのための空間的分解能は、異なりうる。例えば、異なるタイプのデータによって表される、患者の領域内の位置の空間分布は、異なる。内挿、外挿、フィルタリング、デシメーション、ダウンサンプリング、アップサンプリングまたは他の変換が提供される。MRパラメータデータは超音波パラメータデータの分解能またはサンプル・グリッドに変換され、または、逆も同様である。両方のデータタイプを、サンプル・グリッドの第3の分解能に変換することもできる。
【0059】
動作42において、MRおよび/または超音波データのシーケンスは、動き補正される。補正は、時間とともにデータによって表される位置を調整する。動きが走査に関連して位置をシフトさせる場合、位置は動き補償によって調整可能である。
【0060】
動き推定アルゴリズムを用いて、動き補償した超音波パラメータデータを作成する。同一の動きパラメータは、MRパラメータデータに適用される。関連した時間の超音波に対して見出される動きオフセット(例えば、回転、並進および/または縮尺)は、MRパラメータデータに適用される。あるいは、動き推定がMRパラメータデータに適用され、同一の動きパラメータは、時間的内挿後、超音波パラメータデータに適用される。さらに他の実施形態では、MRパラメータデータおよび超音波パラメータデータは、個別に動き補償される。
【0061】
動き補正は、パラメータデータに適用される。補正を決定する動きの推定は、解剖データを使用する。パラメータデータを導出するために用いられる解剖データまたはパラメータデータのための走査の間取得される解剖データは、動き補償のために使われる。動き推定は、解剖特性を用いてより正確に動作可能である。あるいは、動き推定は、パラメータデータを用いてまたはパラメータデータおよび解剖データの両方を用いて実行される。
【0062】
任意のレジストレーションを、動き補償のために用いることができる。レジストレーションは、リジッドあるいはノンリジッドである。ローカル相互相関(LCC)コスト関数、絶対差の最小和または類似性の他の計測が、動き推定のために用いられる。シーケンスのフレームまたはボリュームは、異なる可能な動きと比較される。異なる並進および/または回転は、試験される。各試験に対して、類似性のレベルは算出される。最も大きなレベルの類似性を有する並進および回転の組み合わせは、データのフレームまたはボリューム間の動きを示す。任意の検索パターン、例えば数の最適化、粗密検索(course-to-fine searching)、サブセット・ベースの検索またはデシメーションデータを使用することができる。並進および回転に加えてスケーリングを用いることができる。
【0063】
1つの基準に対するフレームおよびボリュームの全ての間で動き推定が実行される。あるいは、レジストレーションは、時間的に隣接するフレームまたはボリューム間のシーケンスに沿って実行される。
【0064】
レジストレーションは、2次元または3次元に沿う。並進および回転自由度の任意の組み合わせ、例えば6度(3回転軸および3並進軸)を使用することができる。スケーリングまたはノンリジッド変換を用いることもできる。
【0065】
相関は、セットの全データまたはサブサンプルデータに基づくものとすることができる。相関は、データ用、または、特徴用とすることができる。例えば、複数の特徴は、ユーザによって識別される、または、プロセッサによって自動的に識別される。特徴は、フレームまたはボリューム間で相関している。特徴は、組織境界線、組織領域、骨領域、流体領域、空気領域、それらの組み合わせまたは他の特徴とすることができる。環境データの有無にかかわらず特徴を表しているデータは、相関のために使われる。特徴は、あるセット(例えば、超音波)において、他のセットのデータの全てと整合するように確認され、または、あるセットの特徴は、他のセットの特徴と整合することができる。
【0066】
一回、シーケンスのための並進および回転は、決定される。フレームまたはボリュームは、融合パラメータ値を算出するために、それに応じてシフトされる。融合パラメータ値は、シフトされたフレームまたはボリュームから決定可能である。あるいは、動きを用いて、融合パラメータ値を算出するための異なるフレームまたはボリュームからデータを選択する。
【0067】
動作44において、融合パラメータ値は、MRおよび超音波パラメータデータから算出される。超音波およびMRからのパラメータ値は結合され、融合値を形成する。パラメータ用の値は結合され、例えばMRおよび超音波からの温度を結合する。
【0068】
任意のタイプの結合(例えば重み付け結合)を用いることができる。重み付けによって、あるタイプのデータを他より強調することができ、例えば、超音波よりMRパラメータを重み付けして、信号対雑音比を上昇させる。
【0069】
結合は、所定の位置に対するパラメータ値である。例えば、MRおよび超音波パラメータデータは、200×200ピクセル領域に対して提供される。所定の動き補償された位置(x、y(例えば、x=50、y=123))に対して、シーケンスからのその位置のためのパラメータ値が結合される。MRおよび超音波の両方ための時間上の位置x、yのパラメータ値を用いて、その位置のための融合パラメータ値を決定する。空間的平均化またはフィルタリングを、結合前に用いることができる。融合値の算出は、異なる位置に対して、その位置に適切なパラメータデータを使用して繰り返される。
【0070】
異なる時間の間のパラメータの値が結合される。融合パラメータデータは、あるレートでの時間的サンプリングを表す。レートは、MRまたは超音波取得のレートと同一あるいは相違している。融合画像のデータレートは、超音波取得レートより高くてもよい。超音波データ(
図2a)またはMRデータ(
図2b)の一方が利用できるとき、構成されるべき融合画像が存在する場合、融合画像生成は、時間軸に沿った移動ウィンドウ内部で現在および以前のMRおよび超音波データを用いたフィルタリングプロセスとみなされうる。MRデータおよび超音波データの両方が利用できないとき(
図2c)、構成されるべき融合画像が存在する場合、融合画像生成は、移動ウィンドウ内部で以前のMRおよび超音波データを用いた外挿プロセスとみなされうる。
【0071】
融合パラメータ画像を生成するためのフィルタリングまたは外挿プロセスは、移動ウィンドウにおいて区分的重み付き最小二乗二次曲線当てはめ(フィッティング)によって実行される。移動ウィンドウのサイズ(時間期間)は、少なくとも2つの最新のMRパラメータデータ・ポイントをカバーするのに十分長いように選択される。
図2a、2b、2cは、融合データを生成するための時間のポイントにおける移動ウィンドウの例である。他の実施形態では、移動ウィンドウは、例えば最新の3つ以上のMRパラメータデータ・ポイントをカバーするのに十分長いサイズを有する。
【0072】
一実施形態では、MRおよび超音波パラメータ値の重み付け最小二乗当てはめが実行される。他の当てはめ関数を用いることもできる。超音波およびMRの両方からのパラメータ値を同一関数で用いて、近似曲線(fitted curve)を決定する。任意の曲線、例えば区分的二次関数または高度多項式に当てはめ(近似)可能である。
【0073】
区分的二次関数に当てはめるために、エネルギー関数は最小化される。エネルギー関数は、移動ウィンドウからの超音波およびMRパラメータ値を含む。
図2aの例では、時間t
4における融合画像値を計算するために、移動ウィンドウは形成され、エネルギー関数は、時間τ
1からt
4までパラメータ値を含む。融合画像値f(t
4)は、パラメータ値を使用している重み付け最小二乗当てはめ曲線(fitting curve)によって、任意のポイント(x、y)で得られる。二次曲線f(t)=at
2+bt+cを考慮する。値a、b、cは、以下のエネルギー関数を最小化することによって得られる。
【数1】
ここで、U
tiは時間t
iでポイント(x、y)における超音波パラメータ値であり、M
τjは、時間τ
jでポイント(x、y)におけるMRパラメータ値であり、w
Uおよびw
Mは、それぞれ、超音波およびMRパラメータ値のための重み付け係数である。最小化によって、a、b、cが推定され、時間t
4における融合パラメータ値fは計算可能である。
【0074】
重み付けは、要望に応じて割り当てられる。例えば、重み付けは等しい。他の例では、MRパラメータ値のための重み付けの方が大きい。任意の相対的な重み付けを用いることができる。重み付けは、特定のタイプのデータからの近似曲線に対する相対的な貢献を設定する。
【0075】
移動ウィンドウの当てはめ曲線(fit curve)を使用して、融合パラメータ値を計算することができる。移動ウィンドウは複数の位置または時間にて更新され、当てはめ曲線も同様である。融合パラメータ値は、所望の出力データレートによって必要に応じて全ての位置または時間に対して提供される。
【0076】
動作46において、画像のシーケンスが出力される。各画像は、融合パラメータデータの関数である。シーケンスにおける各画像の各位置の値は、それぞれの当てはめ曲線によって提供される。位置は、2次元または3次元に分布している。画像は、異なる時間における患者の領域のパラメータを表す。任意のカラー変調またはグレイスケール変調またはパラメータ画像のイメージングの表示技術を用ることができる。例えば、各ピクセルは、位置を表す。ピクセル強度および/または色は、その時間および位置に対する融合パラメータ値によって変調される。
【0077】
画像は、表示用に出力され、例えばディスプレイに出力される。あるいは、画像は、データベースに出力され、例えば後の検索のために出力される。
【0078】
重み付け最小二乗曲線を用いて、高いフレームレートの融合パラメータ画像を生成する。融合画像のシーケンスは、超音波取得と関連したレートまたは他のレート、例えば、1秒につき20以上のフレームまたはボリュームのリアルタイムレートで表示可能である。このレートは、MR取得レートより大きくすることができる。
【0079】
別々のモダリティ用の別々の画像が提供可能である。融合パラメータ画像は、グレイスケールの解剖画像上の色としてオーバレイ可能である。グラフィック・オーバレイまたは融合パラメータ画像の他の情報は、ユーザに提示可能である。画像は、ボリューム・データからのレンダリング、または、平面の平面表現である。平面は、走査平面とすることもできるし、走査されたボリュームから抽出された平面とすることもできる。
【0080】
図3は、磁気共鳴および超音波パラメータの画像融合のためのシステム10を示す。システム10は、メモリ12、MRシステム14、超音波システム16、トランスデューサ18、プロセッサ26およびディスプレイ28を含む。追加のコンポーネントまたは異なるコンポーネントを設けることもできるし、コンポーネントを減らすこともできる。例えば、医学画像ネットワークあるいはデータ保管システムとネットワーク接続するために、ネットワークまたはネットワーク接続が設けられる。他の例として、個別のトランスデューサ18を用いて、MR弾性率計測データおよび超音波データを取得する。他の例では、ユーザ・インタフェースが、設けられている。超音波およびMRパラメータデータが転送によって、または、ストレージから取得されるようないくつかの実施形態では、MRシステム14、トランスデューサ18および超音波システム16は、設けられていない。
【0081】
プロセッサ26およびディスプレイ28は、医療画像処理システム、例えば診断または超音波治療システム16、MRシステム14または他のシステムの一部である。あるいは、プロセッサ26およびディスプレイ28は、アーカイブの一部および/または例えば医療記録データベース・ワークステーションまたはサーバに関連した画像処理システムの一部である。他の実施態様では、プロセッサ26およびディスプレイ28は、パーソナル・コンピュータ、例えばデスクトップまたはラップトップ、ワークステーション、サーバ、ネットワークまたはそれらの組み合わせである。
【0082】
ディスプレイ28は、LCD、プロジェクタ、プラズマ・ディスプレイ、CRT、プリンタまたは視覚情報を出力するための既に周知であるか将来開発される他の装置である。ディスプレイ28は、プロセッサ26、メモリ12、MRシステム14または超音波システム16から画像、グラフィックスまたは他の情報を受信する。
【0083】
患者の弾性、温度測定、潅流、それらの組み合わせまたは他のパラメータを表している1つ以上の画像が表示される。画像のパラメータ値の少なくともいくつかは、MRおよび超音波パラメータ値の両方に少なくとも部分的に基づいて決定される。例えば、融合パラメータ値の3次元データセットからレンダリングされる画像は、リアルタイム超音波走査からの画像および/またはMR解剖走査からの画像に隣接して提供される。融合していない超音波またはMRパラメータ画像を表示することもできる。患者の平面領域を示している2次元画像は、表示可能である。任意のタイプのデータを画像生成のために組み合わせたり、実質的に同時に個別に表示することができる。
【0084】
磁気共鳴(MR)システム14は、RFキャビン内、例えばファラデー箱によって分離される部屋内に、超電導磁石、傾斜磁場コイルおよび本体コイルを含む。管状の、すなわち、横方向に開放された検査対象ボアは、視野を包囲する。より開放された構成を提供することもできる。患者ベッド(例えば、患者ガーニーまたはテーブル)は、検査対象、例えば患者を、1つ以上のローカル・コイルの有無にかかわりなく支持する。患者ベッドは、患者の画像を生成するために、検査対象ボア内に移動可能である。受信信号は、例えば、ローカライゼーションのための同軸ケーブルまたは無線リンク(例えば、アンテナを介して)を介してローカル・コイル装置によってMR受信機に送信可能である。
【0085】
MRシステムの他の部分は、同一ハウジング内に、同一室内に(例えば、無線周波数キャビン内に)、同一施設内に、あるいは、遠隔で接続されて提供される。MRシステムの他の部分は、ローカル・コイル、冷却装置、パルス生成システム、画像処理システムおよびユーザインタフェースシステムを含むことができる。既に周知であるか将来開発される任意のMR画像処理システムを用いることができる。MRシステム14の複数のコンポーネントの位置は、RFキャビンの中か外に存在し、例えば、画像処理コンポーネント、断層撮影コンポーネント、発電コンポーネントおよびユーザ・インタフェース・コンポーネントは、RFキャビンの外に存在する。パワーケーブル、冷却線および通信ケーブルは、RFキャビン内のパルス生成、磁気制御および検出システムを、RFキャビン外のコンポーネントに、フィルタ板を介して接続する。
【0086】
MRシステム14は、ソフトウェア、ハードウェアまたはその両方ともによって構成され、患者内の平面またはボリュームを表すデータを取得する。患者を検査するために、複数の磁場は、時間的かつ空間的に互いに連携し、患者へ適用される。超電導磁石30は、0.2テスラから3テスラかそれ以上の範囲の強い主静磁場B
0を生成する。主磁場B
0は、視野においてほぼ均一である。
【0087】
患者の原子核の核スピンは、磁気高周波励振パルスによって発生し、磁気高周波励振パルスは、無線周波アンテナ、例えば全身コイルおよび/またはローカル・コイルを介して送信される。高周波励振パルスは、例えば、パルス列制御装置によって制御されるパルス発生装置によって発生する。高周波増幅器を用いて増幅された後、高周波励振パルスは、本体コイルおよび/またはローカル・コイルに送信される。本体コイルは、1つの部分であるかまたは複数のコイルを含む。信号は所定の周波数帯である。例えば、3テスラ・システム用のMR周波数は、約123MHz±500kHzである。異なる中心周波数または帯域幅を用いることができる。
【0088】
傾斜磁場コイルは、測定の間、傾斜磁場を放散し、選択的な層励起を生じ、測定信号を空間的にコード化する。傾斜磁場コイルは、傾斜磁場コイル制御装置によって制御され、この傾斜磁場コイル制御装置は、パルス発生装置のように、パルス列制御装置に接続されている。
【0089】
励起した核スピンによって放射される信号は、ローカル・コイルおよび/または本体コイルによって受信される。MR断層撮影手順では、高い信号対雑音比(SNR)を有する画像は、ローカル・コイル装置(例えば、ループ、ローカル・コイル)を使用して記録可能である。ローカル・コイル装置(例えば、アンテナシステム)は、患者の上部(前方)、下部(後方)あるいは内部の検査対象の極近傍に配置されている。受信信号は、関連する高周波前置増幅器によって増幅され、アナログ形式あるいはデジタル形式で送信され、さらに処理され、MR受信機によってデジタル化される。
【0090】
記録された測定データは、デジタル化された形で複素数値としてk空間行列に保存される。1次元または多次元フーリエ変換は、対象または患者空間を、k空間行列データから再構築する。
【0091】
MRシステム14は、異なるタイプのデータを取得するように構成可能である。例えば、MRデータは、患者の解剖学を表す。MRデータは、磁場および高周波パルスに対する組織の反応を表す。任意の組織、例えば軟組織、骨または血液を表すことができる。
【0092】
MRシステム14は、専門の機能的または解剖的な情報を取得するように構成可能である。例えば、T1強調、拡散またはT2強調MRデータが取得される。一実施形態では、MRシステム14は、弾性率計測法、温度測定、潅流または他のパラメータの情報を得るために設定される。MR弾性率計測法のために、トランスデューサ18は、患者内の1つ以上の位置に集中する音響放射力を適用することができる。トランスデューサ18の要素からの音響エネルギーの位相和(phased summation)に応答して、音響エネルギーは、縦波および/または横波を焦点領域から伝播させる。MR走査を用いて、変位を測定する。変位振幅は、組織の弾性特性を示すことができる。他のMR弾性率計測法技術を用いることもできる。
【0093】
MRシステム14は、時間とともに患者を走査する。MRデータのフレームまたはボリュームのシーケンスが取得される。MRデータを用いて、エリアまたはボリュームにおける複数の位置のためのパラメータ値を導出する。これらのMRパラメータ値は、超音波システム16を使用して取得されたパラメータと比較して、より良好な信号対雑音比および低速なボリュームまたはフレームレートと関連しうるものである。
【0094】
超音波システム16は、既に周知であるか将来開発される任意の超音波イメージング・システムである。例えば、超音波システム16は、音響エネルギーと電気エネルギーとの間で変換を行うトランスデューサ18を含む。送信ビームフォーマは、トランスデューサ18の異なる要素用の信号を相対的に遅延し、アポダイズする。Bモード、ドップラーまたは他の検出を、ビーム整形された信号に実行する。走査変換器、メモリ、3次元イメージング・プロセッサおよび/または他のコンポーネントを設けることができる。
【0095】
トランスデューサ18は、圧電性あるいは容量性の膜要素の1次元、2次元、あるいは多次元アレイとすることができる。一実施形態では、トランスデューサ18は、患者に対して、患者の外で位置決めするためのハンドヘルドあるいはマシンヘルドのトランスデューサである。他の実施形態では、トランスデューサ18は、患者内で使用されるプローブ、例えば経食道プローブの一部である。例えば、トランスデューサ18は、インターベンションまたは異なる目的のために使用されるカテーテル内の、または、カテーテル上の要素の1次元アレイである。また他の実施形態では、トランスデューサは、MRシステムの患者ベッドに配置されるか、または、MRボア内で走査のために患者に使用するロボットに配置される
【0096】
超音波データは、極座標で出力され、デカルト座標フォーマットに走査変換される。音響エネルギーを用いて、平面および/またはボリュームを走査する。例えば、ボリュームは、複数の隣接する平面を順次走査することによって走査される。任意のフォーマットまたは走査技術を用いることができる。走査されたボリュームは、患者ボリュームの全てと交差または含むことができる。例えば、胸部は、1つ以上の2次元の平面に沿って超音波によって走査される。
【0097】
超音波システム16は、パラメータ値を導出するように構成される。例えば、温度、潅流、弾性または他のパラメータ特性が算出される。パラメータ値は、検出データ、例えば検出組織、流れおよび/または造影剤から決定される。パラメータ値は、フレームまたはボリュームのシーケンス各々に対して導出される。フレームまたはボリュームは、MRパラメータのフレームまたはボリュームのレートより大きいシーケンスのレートを有する。
【0098】
メモリ12は、グラフィックス・プロセッシング・メモリ、ビデオランダムアクセスメモリ、ランダム・アクセス・メモリ、システム・メモリ、ランダム・アクセス・メモリ、キャッシュメモリ、ハードドライブ、光媒体、磁気媒体、フラッシュドライブ、バッファ、データベース、その組み合わせ、またはデータまたはビデオ情報を格納するための既に周知であるか将来開発される他のメモリデバイスである。メモリ12は、画像処理システムの一部、プロセッサ26と関連したコンピュータの一部、データベースの一部、他のシステムの一部または独立した装置である。
【0099】
メモリ12は、3次元の患者ボリュームまたは2次元の患者平面を表しているデータセット(例えば、フレームまたはボリューム)を保存する。患者ボリュームまたは平面は、患者の領域であり、例えば、胸部、腹部、脚部、頭部、腕部またはそれらの組み合わせの範囲内の領域である。患者ボリュームは、MRシステム14および超音波システム16によって走査される領域である。
【0100】
任意の種類のデータ、例えば、医学画像データ(例えば、超音波およびMRパラメータおよび超音波解剖データ)を格納することができる。データは、時間とともに、例えば治療もしくは他の手順の前または途中の患者を表す。
【0101】
格納データは、内挿されるか、または、均一に間隔を置かれた2次元または3次元グリッドに変換されるか、走査フォーマットである。異なるモダリティのためのデータは、同一のグリッドまたはフォーマットに変換可能である。異なる時間からのデータは、動きのアカウント(account of motion)に変更可能である。
【0102】
メモリ12または他のメモリは、磁気共鳴および超音波パラメータの画像融合のために、プログラムプロセッサ26によって実行可能な命令を表すデータを格納している非一時的コンピュータ可読の記憶媒体である。本明細書に記載のプロセス、方法および/または技術を実施するための命令は、コンピュータ可読の記憶媒体またはメモリ、例えば、キャッシュ、バッファ、RAM、取り外し可能媒体、ハードディスクドライブまたは他のコンピュータ可読の記憶媒体に設けられている。コンピュータ可読の記憶媒体は、様々な種類の揮発性および不揮発性記憶媒体を含む。図面に示されているかまたは本明細書に記載されている機能、動作またはタスクは、コンピュータ可読の記憶媒体に保存された1つ以上の命令セットに応答して実行される。機能、動作またはタスクは、命令セット、記憶媒体、プロセッサまたはプロセッシングストラテジの特定の種類とは無関係であり、ソフトウェア、ハードウェア、集積回路、ファームウェア、ミクロコードなどによって単独で、または、協同で実行可能である。同様に、プロセッシングストラテジは、マルチプロセシング、マルチタスキング、並列処理などを含むことができる。
【0103】
一実施形態では、命令は、ローカルシステムまたは遠隔システムによって読み出される取り外し可能媒体装置に保存される。他の実施形態では、命令は、コンピュータ・ネットワークまたは電話線による転送のための遠隔位置に保存される。さらに他の実施形態では、命令は、所定のコンピュータ、CPU、GPUまたはシステム内に保存される。
【0104】
プロセッサ26は、一般のプロセッサ、中央演算処理装置、制御処理装置、グラフィクスプロセッサ、デジタル信号プロセッサ、3次元レンダリングプロセッサ、画像プロセッサ、特定用途向け集積回路、フィールドプログラマブルゲートアレイ、デジタル回路、アナログ回路、それらの組み合わせ、または複数のモダリティからのパラメータ情報を融合するための既に周知であるか将来開発される他の装置である。プロセッサ26は、単一のデバイス、または、シリアルに、パラレルに、あるいは別個に動作する複数の装置である。プロセッサ26は、コンピュータ、例えばラップトップまたはデスクトップ・コンピュータのメインプロセッサとすることもできるし、MRまたは超音波システム14、16のようなより大きいシステムのタスクを処理するためのプロセッサとすることもできる。プロセッサ26は、ソフトウェアおよび/またはハードウェアによって構成されている。
【0105】
プロセッサ26は、超音波およびMRパラメータの情報を結合するように構成されている。プロセッサ26は、MRおよび超音波システム14、16からパラメータの情報を受信する。あるいは、プロセッサ26は、MRおよび超音波データを受信し、超音波パラメータデータおよびMRパラメータデータを生成する。プロセッサ26は、結合前にパラメータデータにフィルタ処理あるいは他の処理を実行することができる。例えば、プロセッサ26は、データを同一のフォーマットまたは分解能に変換する。他の例では、プロセッサ26は、データのシーケンスにより動きを補正する。プロセッサ26はシーケンスを組み立てることができ、例えばMRシーケンスに対して超音波シーケンスの時間的配列を決定することができる。
【0106】
プロセッサ26は、超音波パラメータデータをMRパラメータデータと結合するように構成されている。異なる走査または取得レートのため、融合パラメータデータは、超音波データと一致しているレートとすることができる。一実施形態では、プロセッサは、異なる時間からMRおよび超音波データの重み付け最小二乗当てはめを使用して、フィルタ処理または外挿を行う。他のフィルタリングおよび外挿を用いることもできる。
【0107】
プロセッサ26は、結合パラメータデータを出力する。例えば、平面またはボリュームの複数の位置を表している温度、弾性または潅流データが出力される。データのための値は、両方の画像モダリティに基づく。超音波データは時間的情報に寄与し、MR単独より高いレートでのパラメータ画像を可能にする。MRデータは信号対雑音比に寄与し、超音波単独より多くの信号を有するパラメータの画像を可能にする。
【0108】
出力は、表示用に変換する前のデータ、または、表示用に変換された画像データである。例えば、データは、ディスプレイ上のピクセルのためのRGBデータである。他の例として、データは、レンダリング前のボリュームを表すか、または、ボリュームの2次元レンダリングを表す。
【0109】
各種実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲内において、多数の変更および修正が可能であることを理解されたい。それゆえ、上述した詳細な説明が、制限するためではなく説明のためであり、本発明の趣旨および範囲を定めるのは、すべての等価物を含む以下の特許請求の範囲であることを理解されたい。