特許第6147113号(P6147113)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147113
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】流体制御装置用継手および流体制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 27/00 20060101AFI20170607BHJP
   F17D 1/00 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   F16K27/00 C
   F17D1/00
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2013-134447(P2013-134447)
(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-10623(P2015-10623A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年5月30日
(73)【特許権者】
【識別番号】390033857
【氏名又は名称】株式会社フジキン
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】余湖 隆司
(72)【発明者】
【氏名】松田 隆博
(72)【発明者】
【氏名】四方 出
(72)【発明者】
【氏名】野島 新也
【審査官】 加藤 昌人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−183771(JP,A)
【文献】 特開2009−236174(JP,A)
【文献】 特開2008−210982(JP,A)
【文献】 特開2011−117471(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/146780(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 27/00−27/12
F17D 1/00− 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つのラインが、上段に配された複数の流体制御機器と、下段に配された複数の継手部材とによって形成されており、複数のラインが、その入口および出口を同じ方向に向けて並列状に配置され、各ラインは、流体制御機器として、いずれも下面に開口する入口通路および出口通路を有する出口側開閉弁を備えているとともに、出口側開閉弁を支持する継手部材として、いずれも上面に開口する入口通路および出口通路を有し各ラインごとに設けられたブロック状単列用継手と、ラインと直交する方向にのびる流体取出し通路および上面に開口する複数の分岐通路を有し複数のラインにわたって設けられたブロック状複列用継手とを備えている流体制御装置において使用され、
上面が出口側開閉弁の下面に当接して、下面が単列用継手と複列用継手とにまたがって配置されるブロック状継手であって、
一端が下面に開口して単列用継手の出口通路に連通し、他端が上面に開口して出口側開閉弁の入口通路に連通する入口通路と、一端が上面に開口して出口側開閉弁の出口通路に連通し、他端がライン方向出口側に開口する出口通路と、複列用継手の分岐通路の開口を閉鎖する閉鎖部とを有していることを特徴とする流体制御装置用継手。
【請求項2】
出口通路は、一端が上面に開口して出口側開閉弁の出口通路に連通し、他端が側面に開口している請求項1の流体制御装置用継手。
【請求項3】
出口通路は、一端が上面に開口して出口側開閉弁の出口通路に連通し、他端が上面に開口している一端と面一に構成されている請求項1の流体制御装置用継手。
【請求項4】
1つのラインが、上段に配された複数の流体制御機器と、下段に配された複数の継手部材とによって形成されており、複数のラインが、その入口および出口を同じ方向に向けて並列状に配置され、各ラインは、流体制御機器として、いずれも下面に開口する入口通路および出口通路を有する出口側開閉弁を備えているとともに、出口側開閉弁を支持する継手部材として、いずれも上面に開口する入口通路および出口通路を有し各ラインごとに設けられたブロック状単列用継手と、ラインと直交する方向にのびる流体取出し通路および上面に開口する複数の分岐通路を有し複数のラインにわたって設けられたブロック状複列用継手とを備えている流体制御装置において、
上面が出口側開閉弁の下面に当接して、下面が単列用継手と複列用継手とにまたがってブロック状継手が配置されており、ブロック状継手は、一端が下面に開口して単列用継手の出口通路に連通し、他端が上面に開口して出口側開閉弁の入口通路に連通する入口通路と、一端が上面に開口して出口側開閉弁の出口通路に連通し、他端がライン方向出口側に開口する出口通路と、複列用継手の分岐通路の開口を閉鎖する閉鎖部とを有していることを特徴とする流体制御装置。
【請求項5】
ブロック状継手の出口通路は、一端が上面に開口して出口側開閉弁の出口通路に連通し、他端が側面に開口している請求項4の流体制御装置。
【請求項6】
ブロック状継手の出口通路は、一端が上面に開口して出口側開閉弁の出口通路に連通し、他端が上面に開口している一端と面一に構成されている請求項4の流体制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、流体制御装置用継手および流体制御装置に関し、特に、「集積化流体制御装置」と称されている流体制御装置での使用に適した継手およびこのような継手を備えた流体制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置などで使用される流体制御装置においては、1つのラインが、上段に配された複数の流体制御機器と、下段に配された複数のブロック状継手部材とによって形成されており、複数のラインが、その入口および出口を同じ方向に向けて並列状に配置されることにより、パイプや管継手を介さずに流体制御装置を構成する集積化が進んでいる(特許文献1など)。
【0003】
図5は、このような集積化流体制御装置の1例を示すもので、流体制御装置(1)は、複数(図示は6つ)のライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)からなり、上段に配された複数の流体制御機器(2)(3)(4)(5)(6)(7)として、手動弁(2)、フィルタ(3)、入口側2ポート開閉弁(4)、入口側3ポート開閉弁(5)、マスフローコントローラ(流量調整器)(6)および出口側開閉弁(7)が使用されている。各ライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)の入口側には、入口側管継手(8)がそれぞれ設けられており、出口側には、全てのライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)に共通の流体取出し部(9)が設けられている。
【0004】
各流体制御機器(2)(3)(4)(5)(6)(7)は、上方から締め付けられるおねじ部材(20)によって、対応する下段のブロック状継手部材(図示略)に上方に取り出し可能に取り付けられる。
【0005】
流体制御装置(1)は、出口側開閉弁支持構造(51)として、図6に示すように、各出口側開閉弁(7)を支持する継手部材(11)(12)として、各ライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)ごとに設けられたブロック状単列用継手(11)と、複数のライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)全てにまたがって設けられたブロック状複列用継手(12)とを備えている。
【0006】
出口側開閉弁(7)は、いずれも下面に開口する入口通路(7a)および出口通路(7b)を有している。
【0007】
単列用継手(11)は、いずれも上面に開口する入口通路(11a)および出口通路(11b)からなるV字状の通路(11a)(11b)を有している。出口通路(11b)は、出口側開閉弁(7)の入口通路(7a)に連通している。入口通路(11a)は、図示省略するが、マスフローコントローラ(6)の出口通路に連通している。
【0008】
複列用継手(12)は、ライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)と直交する方向にのびる流体取出し通路(12a)および上面に開口する複数の分岐通路(12b)を有している。分岐通路(12b)は、ライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)の数と同じだけ設けられており、流体取出し通路(12a)から上方にのびて出口側開閉弁(7)の出口通路(7b)に連通している。
【0009】
単列用継手(11)の出口通路(11b)と出口側開閉弁(7)の入口通路(7a)とは、シール部(13)を介して突き合わされており、出口側開閉弁(7)の出口通路(7b)と複列用継手(12)の分岐通路(12b)とも、シール部(13)を介して突き合わされている。シール部(13)は、各突き合わせ面に設けられた凹所同士が突き合わされることによって形成された環状の凹所(14)に環状のシール部材(15)が配置されることで形成されている。
【0010】
この流体制御装置(1)では、全てのライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)のうちの1または複数のラインが選択され、そのラインの手動弁(2)および入口側開閉弁(4)(5)が開とされて、所要の流体が供給される。図6に示す出口側開閉弁支持構造(51)においては、出口側開閉弁(7)が開とされ、選択されたライン(例えば(A)(B)(D)など)を流れた流体は、それぞれのラインの出口側開閉弁(7)の出口通路(7b)から複列用継手(12)内の分岐通路(12b)を経て流体取出し通路(12a)に流入し、複列用継手(12)の端部に設けられた流体取出し部(9)から外部へと取り出される。
【0011】
こうして、この流体制御装置(1)によると、全てのライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)のうちのどれを選択するかとこれに流す流体を適宜変更することで、マスフローコントローラ(6)において流量を調整された種々の流体を複列用継手(12)の流体取出し通路(12a)内で混合して流体取出し部(9)から取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2002−349797号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記従来の流体制御装置(1)によると、種々の流体を混合して流体取出し部(9)から取り出すことができる一方、任意のラインの流体だけを別個に取り出すことはできないため、流体の取出しの自由度が十分でないという問題があった。
【0014】
この発明の目的は、複数のラインからの流体の取出しの自由度を向上させることができる流体制御装置用継手およびこのような継手を備えた流体制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この発明による流体制御装置用継手は、1つのラインが、上段に配された複数の流体制御機器と、下段に配された複数の継手部材とによって形成されており、複数のラインが、その入口および出口を同じ方向に向けて並列状に配置され、各ラインは、流体制御機器として、いずれも下面に開口する入口通路および出口通路を有する出口側開閉弁を備えているとともに、出口側開閉弁を支持する継手部材として、いずれも上面に開口する入口通路および出口通路を有し各ラインごとに設けられたブロック状単列用継手と、ラインと直交する方向にのびる流体取出し通路および上面に開口する複数の分岐通路を有し複数のラインにわたって設けられたブロック状複列用継手とを備えている流体制御装置において使用され、上面が出口側開閉弁の下面に当接して、下面が単列用継手と複列用継手とにまたがって配置されるブロック状継手であって、一端が下面に開口して単列用継手の出口通路に連通し、他端が上面に開口して出口側開閉弁の入口通路に連通する入口通路と、一端が上面に開口して出口側開閉弁の出口通路に連通し、他端がライン方向出口側に開口する出口通路と、複列用継手の分岐通路の開口を閉鎖する閉鎖部とを有していることを特徴とするものである。
【0016】
従来の流体制御装置では、複数のラインの全てについて、各ラインに導入された流体は、複列用継手内の流体取出し通路を経て、複列用継手の端部に設けられた流体取出し部から外部へと取り出される。
【0017】
この発明による流体制御装置用継手を使用すると、この継手を使用したラインでは、複列用継手の流体取出し通路を経ることなく、外部に流体を取り出すことができる。そして、この継手を使用しないラインでは、複列用継手の流体取出し通路を共通通路として流体取出し部から外部に流体を取り出すことができる。したがって、この発明による流体制御装置用継手が設けられている流体制御装置では、従来の流体制御装置が有している流体取出し部から外部へと流体を取り出す機能に加えて、この継手が設けられているラインの流体だけを別個に取り出すことができる。これにより、複数のラインからの流体の取出しの自由度を向上させることができる。
【0018】
この発明による流体制御装置は、1つのラインが、上段に配された複数の流体制御機器と、下段に配された複数の継手部材とによって形成されており、複数のラインが、その入口および出口を同じ方向に向けて並列状に配置され、各ラインは、流体制御機器として、いずれも下面に開口する入口通路および出口通路を有する出口側開閉弁を備えているとともに、出口側開閉弁を支持する継手部材として、いずれも上面に開口する入口通路および出口通路を有し各ラインごとに設けられたブロック状単列用継手と、ラインと直交する方向にのびる流体取出し通路および上面に開口する複数の分岐通路を有し複数のラインにわたって設けられたブロック状複列用継手とを備えている流体制御装置において、上面が出口側開閉弁の下面に当接して、下面が単列用継手と複列用継手とにまたがってブロック状継手が配置されており、ブロック状継手は、一端が下面に開口して単列用継手の出口通路に連通し、他端が上面に開口して出口側開閉弁の入口通路に連通する入口通路と、一端が上面に開口して出口側開閉弁の出口通路に連通し、他端がライン方向出口側に開口する出口通路と、複列用継手の分岐通路の開口を閉鎖する閉鎖部とを有していることを特徴とするものである。
【0019】
この発明の流体制御装置によると、従来の流体制御装置が有している流体取出し部から外部へと流体を取り出す機能に加えて、この継手が設けられているラインの流体だけを別個に取り出すことができ、複数のラインからの流体の取出しの自由度を向上させることができる。
【0020】
上記の流体制御装置用継手(ブロック状継手)において、出口通路は、一端が上面に開口して出口側開閉弁の出口通路に連通し、他端が側面に開口していることがあり、また、出口通路は、一端が上面に開口して出口側開閉弁の出口通路に連通し、他端が上面に開口している一端と面一に構成されていることがある。
【0021】
なお、この明細書において、上下は図1の上下をいうものとするが、この上下は便宜的なもので、この発明の流体制御装置は、水平および垂直のいずれでの使用も可能である。
【発明の効果】
【0022】
この発明によると、任意のラインの流体だけを別個に取り出すことができ、複数のラインからの流体の取出しの自由度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、この発明による流体制御装置および流体制御装置用継手の第1実施形態を示す一部を切り欠いた側面図である。
図2図2は、図1の流体制御装置用継手を示す一部を切り欠いた斜視図である。
図3図3は、この発明による流体制御装置および流体制御装置用継手の第2実施形態における流体制御装置用継手を示す一部を切り欠いた斜視図である。
図4図4は、この発明による流体制御装置および流体制御装置用継手の第3実施形態を示す一部を切り欠いた側面図である。
図5図5は、この発明が対象とする流体制御装置の1例を示す平面図である。
図6図6は、図1に対応する従来の流体制御装置を示す一部を切り欠いた側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
【0025】
図1は、この発明の流体制御装置用継手および流体制御装置の第1実施形態を示しており、図2は、この発明の流体制御装置用継手の第1実施形態を示している。
【0026】
この発明の流体制御装置は、図5および図6に示した複数のライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)を備えた流体制御装置(1)における出口側開閉弁支持構造(51)の改良に係るもので、この発明の流体制御装置における出口側開閉弁支持構造(10)は、各ラインごとに上段に配置されている流体制御機器の1つである出口側開閉弁(7)と、各ラインごとに下段に配置されている継手部材の1つである単列用継手(11)と、全てのラインにわたって配置されている継手部材である複列用継手(12)と、出口側開閉弁(7)と単列用継手(11)および複列用継手(12)との間に配置されたこの発明による流体取出し用(流体制御装置用)継手(21)とを備えている。
【0027】
図1に示す出口側開閉弁支持構造(10)は、図6に示した出口側開閉弁支持構造(51)と併用されるもので、例えば、図5に示した6つのライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)のうちの5つが図6に示した出口側開閉弁支持構造(51)とされ、残る1つが図1に示す出口側開閉弁支持構造(10)とされる。
【0028】
図1に示す出口側開閉弁支持構造(10)で使用されている出口側開閉弁(7)、単列用継手(11)および複列用継手(12)は、従来の流体制御装置(1)における出口側開閉弁支持構造(51)と同じものとされている。
【0029】
すなわち、出口側開閉弁(7)は、いずれも下面に開口する入口通路(7a)および出口通路(7b)を有している。単列用継手(11)は、いずれも上面に開口する入口通路(11a)および出口通路(11b)からなるV字状の通路(11a)(11b)を有している。単列用継手(11)の入口通路(11a)は、図示省略するが、マスフローコントローラ(6)の出口通路に連通している。複列用継手(12)は、ライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)と直交する方向にのびる流体取出し通路(12a)および上面に開口する複数の分岐通路(12b)を有している。分岐通路(12b)は、ライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)の数と同じだけ設けられている。
【0030】
図1および図2に示すように、流体取出し用継手(21)は、単列用継手(11)および複列用継手(12)と同様に、ブロック状のもので、ブロック状本体(22)と、本体(22)内に設けられた入口通路(23)および出口通路(24)とを有している。
【0031】
ブロック状本体(22)は、平面から見て、出口側開閉弁(7)の本体部分と同じ大きさであり、上面が出口側開閉弁(7)の下面に当接して、下面が単列用継手(11)と複列用継手(12)とにまたがって配置されている。
【0032】
入口通路(23)は、上下方向にのびており、下端が本体(22)の下面に開口して単列用継手(11)の出口通路(11b)の上端に連通しており、上端が本体(22)の上面に開口して出口側開閉弁(7)の入口通路(7a)の下端に連通している。
【0033】
出口通路(24)は、上端が上面に開口して出口側開閉弁(7)の出口通路(7b)の下端に連通し本体(22)の上下の中程までのびている垂直部(24a)と、垂直部(24a)の下端に連なって垂直部(24a)に直交する方向にのびて本体(22)のライン方向出口側の側面(22a)に開口する水平部(24b)とからなる。本体(22)のライン方向出口側の側面(22a)には、水平部(24b)に連なってライン方向にのび外部との接続を可能とする円筒状接続部(25)が設けられている。
【0034】
出口通路(24)および接続部(25)により、出口側開閉弁(7)の出口通路(7b)は、複列用継手(12)の分岐通路(12b)に連通することなく、外部に接続可能とされている。
【0035】
単列用継手(11)の出口通路(11b)と流体取出し用継手(21)の入口通路(23)とは、シール部(13)を介して突き合わされている。流体取出し用継手(21)の入口通路(23)と出口側開閉弁(7)の入口通路(7a)とも、シール部(13)を介して突き合わされている。出口側開閉弁(7)の出口通路(7b)と流体取出し用継手(21)の出口通路(24)とも、シール部(13)を介して突き合わされている。シール部(13)は、各突き合わせ面に設けられた凹所同士が突き合わされることによって形成された環状の凹所(14)に環状のシール部材(15)が配置されることで形成されている。
【0036】
図1において、複列用継手(12)の分岐通路(12b)は、流体取出し用継手(21)に対応して閉鎖されているのではなく、流体取出し用継手(21)が設けられていない図6に示す出口側開閉弁支持構造(51)において、出口側開閉弁(7)の出口通路(7b)から流出した流体を外部に取り出すことができる形状とされている。そのため、流体取出し用継手(21)を使用した出口側開閉弁支持構造(10)では、複列用継手(12)の分岐通路(12b)の上端から流体が洩れ出すおそれがある。そこで、本体(22)の下面には、複列用継手(12)の分岐通路(12b)の開口を閉鎖する閉鎖部(26)が形成されている。
【0037】
閉鎖部(26)は、シール部(13)と同様の構成であり、本体(22)の下面に設けられた凹所と複列用継手(12)の上面に設けられた凹所とによって囲まれた凹所(14)に環状のシール部材(15)が配置されることで形成されている。
【0038】
図2に示すように、本体(22)には、出口側開閉弁(7)を単列用継手(11)および複列用継手(12)に取り付けるためのおねじ部材(20)を挿通する貫通孔(27)が設けられており、流体取出し用継手(21)は、出口側開閉弁(7)を取り付けるためのおねじ部材(20)によって対応する下段のブロック状継手部材である単列用継手(11)および複列用継手(12)に上方に取り出し可能に取り付けられる。
【0039】
図1に示す出口側開閉弁支持構造(10)は、図5に示した6つのライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)のうちのいずれのラインにも設けることができる。
【0040】
この出口側開閉弁支持構造(10)では、上述のように、複列用継手(12)の流体取出し通路(12a)を経ることなく、外部に流体を取り出すことができる。したがって、この出口側開閉弁支持構造(10)が従来の出口側開閉弁支持構造(51)と併用されていることで、従来の流体制御装置が有している流体取出し部(9)から外部へと流体を取り出す機能に加えて、任意のラインの流体だけを別個に取り出すことができる。これにより、複数のラインからの流体の取出しの自由度を向上させることができる。
【0041】
既存の流体制御装置において、上記の流体取出し用継手(21)を使用する場合、既存の流体制御装置から出口側開閉弁(7)を一旦上方に取り外し、既存の流体制御装置で使用されている部品は全てそのまま使用して、この流体取出し用継手(21)が追加され、この流体取出し用継手(21)および一旦取り外された出口側開閉弁(7)が対応する単列用継手(11)および複列用継手(12)に長いものに変更したおねじ部材(20)によって取り付けられる。こうして、全てのラインにわたって配置されていることで、変更・交換に手間がかかる複列用継手(12)については、変更することなく、任意のラインの流体だけを別個に取り出すことができる流体制御装置が得られる。
【0042】
図3は、この発明の流体制御装置用継手および流体制御装置の第2実施形態を示している。同図に示すように、この実施形態の流体取出し用(流体制御装置用)継手(31)は、外部との接続を可能とする接続部(32)として、管継手構造のものが設けられている。接続部(32)以外は、図1および図2に示した流体制御装置および流体取出し用継手(21)と同じ構成であるので、同じ構成に同じ符号を付してその説明は省略する。
【0043】
図2に示した流体取出し用継手(21)の円筒状接続部(25)は、溶接による接続に適しており、これに対し、図3に示した流体取出し用継手(31)は、管継手による接続に適しており、これらを使い分けることで、取り出した流体の外部への供給を適切に行うことができる。
【0044】
図4は、この発明の流体制御装置用継手および流体制御装置の第3実施形態を示している。
【0045】
この実施形態の出口側開閉弁支持構造(40)は、第1実施形態のものから流体取出し用継手(21)が変更されたもので、各ラインごとに上段に配置されている流体制御機器の1つである出口側開閉弁(7)と、各ラインごとに下段に配置されている継手部材の1つである単列用継手(11)と、全てのラインにわたって配置されている継手部材である複列用継手(12)と、出口側開閉弁(7)と単列用継手(11)および複列用継手(12)との間に配置されたこの発明による流体取出し用(流体制御装置用)継手(41)とを備えている。
【0046】
流体取出し用継手(41)以外の構成は、図1に示す出口側開閉弁支持構造(10)と同一であり、図1に示す出口側開閉弁支持構造(10)と同様の使用形態とされる。すなわち、図6に示した出口側開閉弁支持構造(51)と併用され、例えば、図5に示した6つのライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)のうちの5つが図6に示した出口側開閉弁支持構造(51)とされ、残る1つが図4に示す出口側開閉弁支持構造(40)とされる。
【0047】
出口側開閉弁(7)、単列用継手(11)および複列用継手(12)は、上記と同じ構成であるので、同じ構成には同じ符号を付してその説明を省略する。
【0048】
流体取出し用継手(41)は、単列用継手(11)および複列用継手(12)と同様に、ブロック状のもので、ブロック状本体(42)と、本体(42)内に設けられた入口通路(43)および出口通路(44)とを有している。
【0049】
ブロック状本体(42)は、平面から見て、出口側開閉弁(7)の本体部分よりも出口側に張り出しており、上面が出口側開閉弁(7)の下面に当接して、下面が単列用継手(11)と複列用継手(12)とにまたがって配置されている。
【0050】
入口通路(43)は、上下方向にのびており、下端が本体(42)の下面に開口して単列用継手(11)の出口通路(11b)の上端に連通しており、上端が本体(42)の上面に開口して出口側開閉弁(7)の入口通路(7a)の下端に連通している。
【0051】
出口通路(44)は、V字状とされており、上端が上面に開口して出口側開閉弁(7)の出口通路(7b)の下端に連通し本体(42)の上下の中程まで斜め下方にのびている開閉弁側半部(44a)と、開閉弁側半部(44a)の下端に連なって斜め上方にのびて本体(42)の上面の出口側開閉弁(7)の本体部分よりも出口側に張り出している面(42a)に開口する取出し側半部(44b)とからなる。
【0052】
取出し側半部(44b)の端部は、外部との接続を可能とする適宜な通路ブロックの通路とシール部を介して連通可能とされている。取出し側半部(44b)の端部には、第1実施形態と同様の円筒状接続部が設けられているようにしてもよい。いずれにしろ、流体取出し用継手(41)により、出口側開閉弁(7)の出口通路(7b)は、複列用継手(12)の分岐通路(12b)に連通することなく、外部に接続可能とされている。
【0053】
単列用継手(11)の出口通路(11b)と流体取出し用継手(41)の入口通路(43)とは、シール部(13)を介して突き合わされている。流体取出し用継手(41)の入口通路(43)と出口側開閉弁(7)の入口通路(7a)とも、シール部(13)を介して突き合わされている。出口側開閉弁(7)の出口通路(7b)と流体取出し用継手(41)の出口通路(44)とも、シール部(13)を介して突き合わされている。シール部(13)は、各突き合わせ面に設けられた凹所同士が突き合わされることによって形成された環状の凹所(14)に環状のシール部材(15)が配置されることで形成されている。
【0054】
図4において、複列用継手(12)の分岐通路(12b)は、流体取出し用継手(41)に対応して閉鎖されているのではなく、流体取出し用継手(41)が設けられていない図6に示す出口側開閉弁支持構造(51)において、出口側開閉弁(7)の出口通路(7b)から流出した流体を外部に取り出すことができる形状とされている。そのため、流体取出し用継手(41)を使用した出口側開閉弁支持構造(40)では、複列用継手(12)の分岐通路(12b)の上端から流体が洩れ出すおそれがある。そこで、本体(42)の下面には、複列用継手(12)の分岐通路(12b)の開口を閉鎖する閉鎖部(46)が形成されている。
【0055】
閉鎖部(46)は、シール部(13)と同様の構成であり、本体(42)の下面に設けられた凹所と複列用継手(12)の上面に設けられた凹所とによって囲まれた凹所(14)に環状のシール部材(15)が配置されることで形成されている。
【0056】
図示省略するが、本体(42)には、出口側開閉弁(7)を単列用継手(11)および複列用継手(12)に取り付けるためのおねじ部材(20)を挿通する貫通孔が設けられており、流体取出し用継手(41)は、出口側開閉弁(7)を取り付けるためのおねじ部材(20)によって対応する下段のブロック状継手部材である単列用継手(11)および複列用継手(12)に上方に取り出し可能に取り付けられる。
【0057】
図4に示す出口側開閉弁支持構造(10)は、図5に示した6つのライン(A)(B)(C)(D)(E)(F)のうちのいずれのラインにも設けることができる。
【0058】
この出口側開閉弁支持構造(40)では、上述のように、複列用継手(12)の流体取出し通路(12a)を経ることなく、外部に流体を取り出すことができる。したがって、この出口側開閉弁支持構造(40)が従来の出口側開閉弁支持構造(51)と併用されていることで、従来の流体制御装置が有している流体取出し部(9)から外部へと流体を取り出す機能に加えて、任意のラインの流体だけを別個に取り出すことができる。これにより、複数のラインからの流体の取出しの自由度を向上させることができる。
【0059】
既存の流体制御装置において、上記の流体取出し用継手(41)を使用する場合、既存の流体制御装置から出口側開閉弁(7)を一旦上方に取り外し、既存の流体制御装置で使用されている部品は全てそのまま使用して、この流体取出し用継手(41)が追加され、この流体取出し用継手(41)および一旦取り外された出口側開閉弁(7)が対応する単列用継手(11)および複列用継手(12)に長いものに変更したおねじ部材(20)によって取り付けられる。こうして、全てのラインにわたって配置されていることで、変更・交換に手間がかかる複列用継手(12)については、変更することなく、任意のラインの流体だけを別個に取り出すことができる流体制御装置が得られる。
【符号の説明】
【0060】
(7):出口側開閉弁(流体制御機器)、(7a):入口通路、(7b):出口通路、(10):出口側開閉弁支持構造(流体制御装置)、(11):単列用継手(継手部材)、(11a):入口通路、(11b):出口通路、(12):複列用継手(継手部材)、(12a):流体取出し通路、(12b):分岐通路、(21)(41):流体取出し用(流体制御装置用)継手、(23)(43):入口通路、(24)(44):出口通路、(26)(46):閉鎖部
図1
図2
図3
図4
図5
図6