特許第6147166号(P6147166)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147166
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】荷重試験装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 99/00 20110101AFI20170607BHJP
【FI】
   G01M99/00 Z
【請求項の数】8
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-236726(P2013-236726)
(22)【出願日】2013年11月15日
(65)【公開番号】特開2015-96825(P2015-96825A)
(43)【公開日】2015年5月21日
【審査請求日】2016年9月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000196705
【氏名又は名称】西部電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090697
【弁理士】
【氏名又は名称】中前 富士男
(74)【代理人】
【識別番号】100176142
【弁理士】
【氏名又は名称】清井 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100127155
【弁理士】
【氏名又は名称】来田 義弘
(74)【代理人】
【識別番号】100159581
【弁理士】
【氏名又は名称】藤本 勝誠
(72)【発明者】
【氏名】前田 徹
【審査官】 山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】 特開2003−028758(JP,A)
【文献】 特開2012−057959(JP,A)
【文献】 特開平09−033413(JP,A)
【文献】 特開平10−221231(JP,A)
【文献】 特開平06−194286(JP,A)
【文献】 実開昭55−116231(JP,U)
【文献】 登録実用新案第3072735(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 99/00
G01N 3/00 − 3/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
昇降部を有する駆動装置の負荷検査を行うにあたって、前記昇降部に荷重をかける荷重試験装置であって、
それぞれ切欠きが形成され、積み重ねられた複数の板状のウエイトと、前記切欠きに挿入する突出片を有する支持体と、前記支持体が取り付けられ、前記昇降部に連結されるウエイトハンガとを備え、
前記複数のウエイトはそれぞれ、前記切欠きの水平位置が、上下に接している前記ウエイトで異なり、前記支持体は、前記切欠きに前記突出片が挿入された前記ウエイトの1つ上にある前記ウエイトを、該突出片で下から支持し、前記昇降部と共に上昇して、前記突出片が前記切欠きに挿入された前記ウエイトより上方にある前記ウエイトを吊上げることを特徴とする荷重試験装置。
【請求項2】
請求項1記載の荷重試験装置において、積み重ねられた前記複数のウエイトからなるウエイト群は、前記切欠きの形成位置が異なる第1、第2のウエイトが交互に配され、前記ウエイトハンガは、前記支持体が取り付けられる第1、第2の装着機構を備え、前記支持体は、前記第1の装着機構に取り付けられて、前記突出片が平面視して前記第1のウエイトの前記切欠きの形成位置に配置され、前記第2の装着機構に取り付けられて、前記突出片が平面視して前記第2のウエイトの前記切欠きの形成位置に配置されることを特徴とする荷重試験装置。
【請求項3】
請求項2記載の荷重試験装置において、前記第1、第2のウエイトは同じ厚みであり、前記第2の装着機構は、前記第1の装着機構に比べて、前記第1のウエイトの厚み分、高い位置で前記支持体を保持することを特徴とする荷重試験装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の荷重試験装置において、積み重ねられた前記複数のウエイトには、2つの縦孔が設けられ、該2つの縦孔にはそれぞれ、ロッドが挿通し、前記支持体によって吊上げられた前記ウエイトは、前記2つのロッドに沿って昇降することを特徴とする荷重試験装置。
【請求項5】
請求項4記載の荷重試験装置において、前記ロッドが上下に貫通している前記ウエイトハンガは、前記ロッドに接して前記ウエイトハンガを該ロッドに沿って昇降させるガイド車輪を備えることを特徴とする荷重試験装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の荷重試験装置において、前記昇降部と前記ウエイトハンガの連結には、上下方向にあそびのある接続構造が用いられていることを特徴とする荷重試験装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の荷重試験装置において、前記支持体を前記ウエイトに固定する固定手段が設けられていることを特徴とする荷重試験装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の荷重試験装置において、前記支持体は複数種類あって、それぞれ上下方向の長さが異なることを特徴とする荷重試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重量物を昇降する駆動装置の負荷検査の際に、昇降部に荷重をかける荷重試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
昇降部を有する駆動装置に所定の質量の物体を昇降させる負荷検査、あるいは、物体の強度検査を行うにあたっては、検査の対象物に荷重をかける装置が用いられ、その具体例が、特許文献1に記載されている。
特許文献1の装置は、上下方向にそれぞれ間隔を空けて配置された複数のウエイトリング(ウエイトの一例)の下位置を出発点としてウエイト掛止環を上昇させ、最も低い位置にあるウエイトリングから上に向かってウエイトリングを順に重ねることができ、重ねられたウエイトリングの数によって、検査対象物にかかる荷重を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6−194286号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置は、複数のウエイトリングそれぞれを間隔を空けて支持する掛止段部の構造が複雑で、その設計が容易でなく、経済的でないという課題があった。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされるもので、複雑な構造を要することなくウエイトを支持可能な荷重試験装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的に沿う本発明に係る荷重試験装置は、昇降部を有する駆動装置の負荷検査を行うにあたって、前記昇降部に荷重をかける荷重試験装置であって、それぞれ切欠きが形成され、積み重ねられた複数の板状のウエイトと、前記切欠きに挿入する突出片を有する支持体と、前記支持体が取り付けられ、前記昇降部に連結されるウエイトハンガとを備え、前記複数のウエイトはそれぞれ、前記切欠きの水平位置が、上下に接している前記ウエイトで異なり、前記支持体は、前記切欠きに前記突出片が挿入された前記ウエイトの1つ上にある前記ウエイトを、該突出片で下から支持し、前記昇降部と共に上昇して、前記突出片が前記切欠きに挿入された前記ウエイトより上方にある前記ウエイトを吊上げる。
【0006】
本発明に係る荷重試験装置において、積み重ねられた前記複数のウエイトからなるウエイト群は、前記切欠きの形成位置が異なる第1、第2のウエイトが交互に配され、前記ウエイトハンガは、前記支持体が取り付けられる第1、第2の装着機構を備え、前記支持体は、前記第1の装着機構に取り付けられて、前記突出片が平面視して前記第1のウエイトの前記切欠きの形成位置に配置され、前記第2の装着機構に取り付けられて、前記突出片が平面視して前記第2のウエイトの前記切欠きの形成位置に配置されるのが好ましい。
【0007】
本発明に係る荷重試験装置において、前記第1、第2のウエイトは同じ厚みであり、前記第2の装着機構は、前記第1の装着機構に比べて、前記第1のウエイトの厚み分、高い位置で前記支持体を保持するのが好ましい。
【0008】
本発明に係る荷重試験装置において、積み重ねられた前記複数のウエイトには、2つの縦孔が設けられ、該2つの縦孔にはそれぞれ、ロッドが挿通し、前記支持体によって吊上げられた前記ウエイトは、前記2つのロッドに沿って昇降するのが好ましい。
【0009】
本発明に係る荷重試験装置において、前記ロッドが上下に貫通している前記ウエイトハンガは、前記ロッドに接して前記ウエイトハンガを該ロッドに沿って昇降させるガイド車輪を備えるのが好ましい。
【0010】
本発明に係る荷重試験装置において、前記昇降部と前記ウエイトハンガの連結には、上下方向にあそびのある接続構造が用いられているのが好ましい。
【0011】
本発明に係る荷重試験装置において、前記支持体を前記ウエイトに固定する固定手段が設けられているのが好ましい。
【0012】
本発明に係る荷重試験装置において、前記支持体は複数種類あって、それぞれ上下方向の長さが異なるのが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る荷重試験装置は、それぞれ切欠きが形成され、積み重ねられた複数の板状のウエイトを備え、複数のウエイトはそれぞれ、切欠きの水平位置が、上下に接しているウエイトで異なり、支持体は、切欠きに突出片が挿入されたウエイトの1つ上にあるウエイトを、突出片で下から支持し、昇降部と共に上昇して、突出片が切欠きに挿入されたウエイトより上方にあるウエイトを吊上げるので、複数のウエイトをそれぞれ間隔を空けて支持する必要がなく、複数のウエイトを支持する構造の簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態に係る荷重試験装置の正面図である。
図2】同荷重試験装置の側面図である。
図3】ウエイトハンガの説明図である。
図4】同ウエイトハンガの説明図である。
図5】(A)、(B)はそれぞれ、第1のウエイト及び第2のウエイトの説明図である。
図6】駆動装置に荷重をかけた状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
図1図2に示すように、本発明の一実施の形態に係る荷重試験装置10は、昇降部11を有する駆動装置の負荷検査を行うにあたって、昇降部11に荷重をかける装置である。以下、詳細に説明する。
【0016】
荷重試験装置10は、図1図2に示すように、積み重ねられた複数の板状のウエイト12と、ウエイト12を下から支持して吊上げる複数の支持体13と、複数の支持体13が取り付けられ、昇降部11に連結されたウエイトハンガ14を備えている。
ウエイトハンガ14は、図1図3に示すように、駆動装置の昇降部11であるピンラック(ラダー)に、金属製のアタッチメント15を介して連結されている。
【0017】
荷重試験装置10が備えるアタッチメント15は、上下方向に長く、上側が、図1図2に示すように、アタッチメント15を左右に貫通する複数(1本であってもよい)のピン16によって、昇降部11に固定され、下側が、図3に示すように、アタッチメント15を左右に貫通するピン17によって、ウエイトハンガ14に取り付けられている。
ここで、駆動装置の昇降部はピンラックに限定されない。例えば、昇降部は、チェーンやワイヤーロープであってもよく、昇降部の構造に応じたアタッチメントを用いることにより、様々なタイプの昇降部にウエイトハンガ14を連結することができる。
【0018】
ウエイトハンガ14は、図1図4に示すように、水平配置されたベースプレート18上に間隔を有して固定された2本のH形鋼19、20を有している。H形鋼19、20は、それぞれウェブ19a、20aを垂直(鉛直)に配置した状態で、ベースプレート18の前側及び後側で左右方向に配されている。
ベースプレート18上には、図3図4に示すように、左右方向の中央近傍に、前後方向に長い金属板21、22が間隔を空けて立設している。金属板21(金属板22についても同じ)は、前側が、H形鋼19の上下のフランジ19b、19c間に嵌入され、H形鋼19のウェブ19aに接した状態でH形鋼19に固定され、後側が、H形鋼20の上下のフランジ20b、20c間に嵌入され、H形鋼20のウェブ20aに接した状態でH形鋼20に固定されている。
【0019】
金属板21、22には、それぞれ上下方向に長い貫通孔23が形成され、金属板21の貫通孔23及び金属板22の貫通孔23に、左右方向に配されたピン17の左側及び右側がそれぞれ挿通している。ピン17の左側及び右側には、ピン17が金属板21、22の各貫通孔23から抜け落ちるのを防止する金具24がそれぞれ固定され、ピン17は、貫通孔23に沿って昇降可能な状態で、金属板21、22に取り付けられている。
なお、図4では、金具24の記載が省略されている。
【0020】
H形鋼19(H形鋼20についても同じ)には、図1図3図4に示すように、左側に、金属プレート25、26が立設した状態で固定されている。金属プレート25は、ウェブ19aの前方にウェブ19aから間隔を空けて配置され、上下がそれぞれフランジ19b、19cに固定され、金属プレート26は、ウェブ19aの後方にウェブ19aから間隔を空けた位置で、上下がそれぞれフランジ19b、19cに固定されている。H形鋼20の左側に固定された金属プレート25、26は、それぞれウェブ20aの後方及び前方にウェブ20aから間隔を空けて配置されている。
そして、H形鋼19には、右側にも左側と同様に、立設した金属プレート27、28が、それぞれウェブ19aの前後にウェブ19aから間隔を空けて固定され、H形鋼20にも、右側に、立設した金属プレート27、28が、それぞれウェブ20aの後方及び前方にウェブ20aから間隔を空けて固定されている。
【0021】
金属プレート25(金属プレート26、27、28についても同じ)には、2つの貫通孔29、30が設けられ、貫通孔29と比較してウエイトハンガ14の中心近くにある貫通孔30は、貫通孔29より高い位置に形成されている。
H形鋼19(H形鋼20についても同じ)には、ウェブ19aの左側に、貫通孔29より大きい貫通孔31、及び、貫通孔30より大きい貫通孔32が形成され、ウェブ19aの右側にも、貫通孔29より大きい貫通孔31、及び、貫通孔30より大きい貫通孔32が形成されている。
【0022】
各中心が直線上に配置された金属プレート25の貫通孔29、H形鋼19の貫通孔31、及び、金属プレート26の貫通孔29には、図1図2に示すように、ピン33が水平に挿通し、各中心が直線上に配置された金属プレート25の貫通孔30、H形鋼19の貫通孔32、及び、金属プレート26の貫通孔30にも、ピン33aが水平に挿通している。
ウエイトハンガ14の前左側に取り付けられたピン33、33aはそれぞれ、ウエイトハンガ14から抜け落ちるのを防止する構造を備え、前側がウエイトハンガ14から突出している。
【0023】
上下に長い支持体13には、上側に図示しない連結孔が形成されている。ウエイトハンガ14の前左側にあるピン33(ピン33aについても同じ)は、ウエイトハンガ14から突出した部分で、支持体13の連結孔を貫通し、その先側に、支持体13がピン33から抜け落ちるのを防止する抜け止め金具34が装着されて、支持体13をウエイトハンガ14に固定することができる。
【0024】
ウエイトハンガ14の前右側にも、各中心が直線上に配置された金属プレート27の貫通孔29、H形鋼19の貫通孔31、及び、金属プレート28の貫通孔29を、水平に挿通したピン33と、各中心が直線上に配置された金属プレート27の貫通孔30、H形鋼19の貫通孔32、及び、金属プレート28の貫通孔30を、水平に挿通したピン33aとが取り付けられている。ピン33、33aがウエイトハンガ14から前側に突出した部分で支持体13の連結孔を貫通できる点、ピン33、33aにそれぞれ抜け止め金具34が装着される点は、ウエイトハンガ14の前右側と前左側で同じである。
そして、ウエイトハンガ14の前左側及び前右側において、主としてピン33とピン33に装着される抜け止め金具34によって、支持体13をウエイトハンガ14に取り付ける第1の装着機構が構成され、主としてピン33aとピン33aに装着される抜け止め金具34によって、支持体13をウエイトハンガ14に取り付ける第2の装着機構が構成されている。
【0025】
ウエイトハンガ14の後側にも左右にそれぞれ、ウエイトハンガ14の前側と同様に、ピン33、33aが取り付けられており、支持体13の連結孔を貫通するピン33、33aには、抜け止め金具34がそれぞれ装着可能である。
ウエイトハンガ14の後左側及び後右側においても、主としてピン33とピン33に装着される抜け止め金具34によって、支持体13をウエイトハンガ14に取り付ける第1の装着機構が構成され、主としてピン33aとピン33aに装着される抜け止め金具34によって、支持体13をウエイトハンガ14に取り付ける第2の装着機構が構成されている。
ウエイトハンガ14が、前左側、前右側、後左側、及び、後右側それぞれに備えている第1、第2の装着機構は、第1の装着機構が、第2の装着機構に比べ、低い位置で、かつ、ウエイトハンガ14の中心まで遠い位置に配されている。
【0026】
また、ウエイトハンガ14の下方には複数(本実施の形態では29個)の板状のウエイト12が積み重ねられている。積み重ねられた複数のウエイト12はそれぞれ、図1図5(A)、(B)に示すように、平面視して、略矩形の金属板の幅方向両端に2つずつ切欠き35が形成され、1つのウエイト12に合計で4つの切欠き35が設けられている。各ウエイト12の長手方向は左右方向に沿っている。
【0027】
支持体13は、図2図5(A)に示すように、下側に、この切欠き35に挿入可能な突出片36を備えている。ウエイト12より厚みが薄い突出片36は、ウエイト12の幅方向内側に向かって突出し、半分以上が切欠き35内に収まる形状を備えている。本実施の形態では、突出片36は直方体の形状を有しているが、これに限定されない。
ウエイト12には、切欠き35の形成位置が異なる第1、第2のウエイト12があり、第1、第2のウエイト12は、交互に積み重ねられている。即ち、積み重ねられた複数のウエイト12からなるウエイト群38は、第1、第2のウエイト12が交互に配されている。
【0028】
ウエイトハンガ14の前左側(前右側、後左側及び後右側についても同じ)において、ウエイトハンガ14の前左側に存する第1の装着機構は、ウエイト群38が備える第1のウエイト12の切欠き35の上方に配されている。支持体13は、その第1の装着機構に取り付けられて、突出片36が、平面視して、第1のウエイト12の切欠き35の形成位置に配置される。
従って、第1の装着機構に取り付けられた支持体13は、昇降部11の昇降による高さ調整によって、突出片36をウエイト群38が備える特定の第1のウエイト12の切欠き35内に挿入可能である。
【0029】
ウエイトハンガ14の前左側(前右側、後左側及び後右側についても同じ)において、ウエイトハンガ14の前左側に存する第2の装着機構は、ウエイト群38が備える第2のウエイト12の切欠き35の上方に配されている。支持体13は、その第2の装着機構に取り付けられて、突出片36が、平面視して、第2のウエイト12の切欠き35の形成位置に配置される。従って、第2の装着機構に取り付けられた支持体13も、昇降部11の昇降による高さ調整によって、突出片36をウエイト群38が備える特定の第2のウエイト12の切欠き35内に挿入可能である。
【0030】
そして、第1、第2のウエイト12は同じ(実質的に同じ)厚みであり、ウエイトハンガ14の前左側(前右側、後左側及び後右側についても同じ)において、第2の装着機構は、第1の装着機構に比べて、第1のウエイト12の厚み分(第2のウエイト12の厚み分)、高い位置で支持体13を保持する。このため、第1の装着機構に取り付けられ、突出片36が第1のウエイト12の切欠き35に挿入された支持体13は、第2の装着機構へ取り付けられることで、昇降部11の昇降を要することなく、一つ上に積まれている第2のウエイト12の切欠き35に、突出片36を挿入することができる。
【0031】
本実施の形態では、第2のウエイト12の上に第1のウエイト12を重ねた際に、平面視して、第2のウエイト12の4つの切欠き35は視認できない。
ここで、積み重ねられた複数のウエイト12(以下、単にウエイト12というときは、2つのウエイト12の両方を含むものとする)はそれぞれ、切欠き35の水平位置が、上下に接している(隣接している)ウエイト12で異なっているため、一のウエイト12の切欠き35に挿入された突出片36は、支持体13の上昇により、そのウエイト12の1つ上にあるウエイト12を下から押し上げることになる。
【0032】
また、ウエイト12には、図5(A)、(B)に示すように、幅方向中心に2つの貫通孔37が間隔を空けて形成されている。
そして、複数のウエイト12を積み重ねたウエイト群38には、図1に示すように、各ウエイト12の貫通孔37が連続して形成された2つの縦孔39、39aが左右方向に間隔を空けて設けられ、この2つの縦孔39、39aにはそれぞれ、ロッド40、40aが挿通されている。
【0033】
ロッド40(ロッド40aについても同じ)は、図2に示すように、下側が、ロッド40の傾きを調整可能な向き変更機構41に連結され、上側が、図1図3に示すように、ウエイトハンガ14を上下に貫通している。本実施の形態では、ロッド40、40aが向き変更機構41によって、共に鉛直に保たれている。
ウエイトハンガ14は、図3に示すように、ロッド40に接する複数のガイド車輪42及びロッド40aに接している複数のガイド車輪42を備えているため、ウエイトハンガ14は、ロッド40、40aに対する相対的な水平位置が所定範囲内に保たれている。
向き変更機構41が固定されている水平プレート43には、基礎部材44が固定され、ウエイト群38は基礎部材44上に載せられている。
【0034】
次に、荷重試験装置10を用いて所定の荷重を昇降部11にかける駆動装置の動力検査について説明する。
まず、ウエイトハンガ14の前左側、前右側、後左側、及び、後右側に支持体13を1つずつ取り付ける。このとき、4つの支持体13が、図1図2に示すように、同じ高さに配置されるように、ウエイトハンガ14の前左側、前右側、後左側、及び、後右側において、2箇所ずつある支持体13の取付け位置を選択して、4つの支持体13の突出片36を同一高さに配置する。
【0035】
ウエイト群38は、積み重ねられた29個のウエイト12を備えている。支持体13は、上から10個目〜19個目までのウエイト12を吊上げるために使用される。荷重試験装置10は、この支持体13の他、上から1個目〜9個目までのウエイト12を吊上げるための支持体(以下、「支持体S1」ともいう)と、上から20個目から〜29個目までのウエイト12を吊上げるための支持体(以下、「支持体S2」ともいう)を有している。支持体13、S1、S2は、それぞれ上下方向の長さが異なり、その長さは、支持体S1<支持体13<支持体S2である。
【0036】
仮に、一番上に積まれたウエイト12のみを吊上げるために、支持体S1の代わりに支持体S2を用いると、支持体S1を用いる場合に比べ、ウエイトハンガ14を高い位置まで上昇する必要があり、ウエイト群38とウエイト群38の上方に配される駆動装置の距離を長くしなければならない。
このことから、本実施の形態では、長さの異なる複数種類の支持体を、吊上げようとするウエイト12の数に応じて使い分けることにより、ウエイト群38と駆動装置の間に確保すべき距離を短くして、負荷試験に要するスペースのコンパクト化を図っている。
【0037】
4つの支持体13の突出片36を同一高さに配置した後、昇降部11の昇降により、4つの支持体13をウエイトハンガ14と共に昇降させて、各突出片36を一のウエイト12(以下、「ウエイト12W」ともいう)と同一の高さに配置し、昇降部11の昇降を止める。4つの支持体13の下側をウエイト群38に近づけ、ウエイト12Wの4つの切欠き35に4つの支持体13それぞれの突出片36を挿入する。
各ウエイト12には、図1に示すように、側部に複数の螺子穴45が設けられている。この螺子穴45に雄螺子46を取り付け支持体13の下側をウエイト12に押し付けて固定する補助片47によって、突出片36が切欠き35に挿入された状態を安定的に維持できるようにする。本実施の形態では、支持体13をウエイト12に固定する固定手段が、主として、補助片47及び雄螺子46によって構成されているが、これに限定されないのは言うまでもない。
【0038】
昇降部11の上昇により、4つの支持体13を、昇降部11と共に上昇させて、ウエイト12W(切欠き35に突出片36が挿入されたウエイト12)の1つ上にあるウエイト12(以下、「ウエイト12W’」ともいう)を、4つの突出片36で下から支持する。更に、4つの支持体13を昇降部11と共に上昇させて、ウエイト12Wの上に積まれていたウエイト12W’をウエイト12Wから引き離し、図6に示すように、ウエイト12W(突出片36が切欠き35に挿入されたウエイト12)より上方にあるウエイト12を、その4つの支持体13で吊上げる。
【0039】
ウエイト12の吊上げによって昇降部11にかかる荷重の大きさは、4つの支持体13が吊上げているウエイト12の数によって決定される。
昇降部11にかかる荷重の大きさをL、4つの支持体13によって吊上げられているウエイト12の数をN、1つのウエイト12の質量をMw、昇降部11に吊上げられるウエイト12以外の部材(ウエイトハンガ14、支持体13等)の全体質量をMtとすると、Lは、L=N*Mw+Mtで算出される。
【0040】
本実施の形態では、Mw=Mt=1トンで、ウエイト12は全部で29個あるため、昇降部11に対して最大で30トンの荷重をかけることができる。
なお、駆動装置が2つの昇降部を備えている場合、2つの荷重試験装置10を並列に配置して、各昇降部に1つの荷重試験装置10を連結することで、駆動装置に対し、最大で合計60トンの荷重をかけることができる。
【0041】
そして、予め定められた手順に従い、荷重をかけられた昇降部11の昇降を行った後、吊上げていたウエイト12を元の位置に戻して、ウエイト12W’をウエイト12Wの上に積んだ状態にする。
ウエイト12及びウエイトハンガ14は、昇降部11と共に昇降する際、ロッド40、40aにそれぞれ接している複数のガイド車輪42によって、ロッド40、40aに沿って安定的に昇降する。即ち、複数のガイド車輪42は、ロッド40、40aにそれぞれ接して、ウエイトハンガ14と支持体13によって吊上げられたウエイト12とをロッド40、40aに沿って昇降させる。
【0042】
また、図3図4に示すように、アタッチメント15を金属板21、22に連結するピン17とピン17が挿通している2つの貫通孔23の間には、上下方向にあそびがある(即ち、昇降部11とウエイトハンガ14を連結する部品であるピン17と金属板21、22は、上下方向に空間的なゆとりをもって結合されている)。アタッチメント15は、このあそびによって、ピン17及び金属板21、22を含む荷重試験装置10の各構成部材に変形を生じさせることなく、特定の範囲で、ピン17と共に昇降することができる。このピン17と2つの貫通孔23の連結により、昇降部11とウエイトハンガ14の連結に用いられている上下方向にあそび(上下方向に空間的なゆとり)のある接続構造が構成されている。
このことから、突出片36が一のウエイト12の上に接している状態で、特定の範囲で昇降部11を降下しても、荷重試験装置10の各構成部材に変形等の不具合が発生するのを回避可能である。
【0043】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は、上記した形態に限定されるものでなく、要旨を逸脱しない条件の変更等は全て本発明の適用範囲である。
例えば、積み重ねられた複数のウエイトは、切欠き位置が異なる2種類のウエイト(即ち、第1、第2のウエイト)が順に配されている必要はなく、切欠き位置が異なる3種類以上のウエイトが順に配されていてもよい。
また、昇降部とウエイトハンガを連結する上下方向にあそびのある接続構造は、金属板に形成された貫通孔とピンの間にあそびを設けるものに限定されず、例えば、アタッチメント及び昇降部を貫通するピンとアタッチメントとの間にあそびを設けるものでもよい。
そして、ウエイトは、全てが同じ厚みである必要はなく、全てが同じ質量である必要もない。
更に、ガイド車輪をウエイトハンガの代わりにウエイトに備えさせて、ウエイトをロッドに沿って昇降させることもできる。
【符号の説明】
【0044】
10:荷重試験装置、11:昇降部、12:ウエイト、13:支持体、14:ウエイトハンガ、15:アタッチメント、16、17:ピン、18:ベースプレート、19:H形鋼、19a:ウェブ、19b、19c:フランジ、20:H形鋼、20a:ウェブ、20b、20c:フランジ、21、22:金属板、23:貫通孔、24:金具、25〜28:金属プレート、29〜32:貫通孔、33、33a:ピン、34:抜け止め金具、35:切欠き、36:突出片、37:貫通孔、38:ウエイト群、39、39a:縦孔、40、40a:ロッド、41:向き変更機構、42:ガイド車輪、43:水平プレート、44:基礎部材、45:螺子穴、46:雄螺子、47:補助体
図1
図2
図3
図4
図5
図6