(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記天然由来着色剤は、テトラピロール、テトラテルペノイド、キニン、O−複素環式化合物、N−複素環式化合物、金属タンパク質、リポフスチンおよび菌類顔料からなる群の一員であるか、または
前記天然由来着色剤は、ベニバナ、ジャケツイバラ、アカネ、ケルメス、竜血樹、キリンケツヤシ、コチニール、ラック、ブーゲンビリア、アキノキリンソウ、チーク、マリーゴールド、モクセイソウ、サフラン、パリジャタ、インジゴ、タイセイ、サンベリー、ピヴェット、軟体類、ムラサキ、スイレン、カミメボウキ、カンナ、ユリ、イラクサ、バルサム、ダリア、ベニノキ、ブラックベリー、ハンノキ、ロフブラマラ(Rofblamala)、牛心梨、ハルダ、ならびにそれらの混合物および組合せからなる群の一員に由来する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の相変化インク組成物。
【背景技術】
【0002】
概して、相変化インク(固体インクまたは「ホットメルトインク」と称することもある)は、周囲温度で固相であるが、インクジェット印刷装置の高い動作温度では液相で存在する。噴射動作温度において、液体インクの液滴が印刷装置から射出され、直接的に、または中間加熱転写ベルトもしくはドラムを介してインク液滴が記録基板の表面に接触すると、迅速に固化して、所定のパターンの固化インク滴を形成する。相変化インクは、グラビア印刷などの他の印刷技術にも使用されてきた。
【0003】
カラー印刷の相変化インクは、典型的には、相変化インク相溶性着色剤と混合された相変化インク担体組成物を含む。特定の実施形態において、インク担体組成物と、相溶性のある減法第一着色剤とを混合することによって一連の着色相変化インクを形成することができる。減法第一着色相変化インクは、4つの成分染料、すなわちシアン、マゼンタ、イエローおよびブラックを含むことができるが、インクは、これらの4つの色に限定されない。単一染料または染料の混合物を使用することによって、これらの減法第一着色インクを形成することができる。例えば、溶剤赤色染料の混合物を使用することによってマゼンタを得ることができ、またはいくつかの染料を混合することによって複合ブラックを得ることができる。その各々の開示内容が参照により全面的に本明細書に組み込まれている米国特許第4,889,560号明細書、米国特許第4,889,761号明細書および米国特許第5,372,852号明細書には、採用された減法第一着色剤が、色指数(C.I.)溶剤染料、分散染料、変性酸および直接染料ならびに塩基性染料の種類の染料を含むことができることが教示されている。
【0004】
着色剤は、例えば、その開示内容が参照により全面的に本明細書に組み込まれている米国特許第5,221,335号明細書に開示されている顔料を含むこともできる。
【0005】
相変化インクは、出荷および長期間貯蔵時等に室温で固相を維持するため、インクジェットプリンタに望ましい。加えて、液体インクジェットインクでのインクの蒸発によるノズルの詰まりに伴う問題が概ね解消されることによって、インクジェット印刷の信頼性が向上する。さらに、インク液滴が最終記録媒体(例えば、紙および透明材料等)に直接塗布される相変化インクジェットプリンタでは、液滴が基板に接触すると直ちに固化するため、印刷媒体に沿うインクの移動が防止され、ドット品質が向上する。
【0006】
相変化インク担体組成物としての使用に好適な組成物が知られている。当該材料を開示している参考文献のいくつかの代表的な例としては、その各々の開示内容が参照により全面的に本明細書に組み込まれている米国特許第3,653,932号明細書、米国特許第4,390,369号明細書、米国特許第4,484,948号明細書、米国特許第4,684,956号明細書、米国特許第4,851,045号明細書、米国特許第4,889,560号明細書、米国特許第5,006,170号明細書、米国特許第5,151,120号明細書、米国特許第5,372,852号明細書、米国特許第5,496,879号明細書、欧州特許公開第0187352号、欧州特許公開第0206286号、独国特許公開DE4205636AL、独国特許公開DE4205713ALおよびPCT特許出願WO94/04619号が挙げられる。好適な担体材料としては、パラフィン、微結晶ワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、脂肪酸および他のワックス材料、脂肪アミド含有材料、スルホンアミド材料、異なる天然源から作製された樹脂材料(例えばタル油ロジンおよびロジンエステル)、ならびに多くの合成樹脂、オリゴマー、ポリマーおよびコポリマーを挙げることができる。
【0007】
インク噴射装置は、当該技術分野で知られているため、本明細書においては当該装置の詳しい説明は必要ない。その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第6,547,380号明細書に記載されているように、インクジェット印刷システムには、一般に、連続流れ型とドロップ・オン・デマンド型の2種類がある。連続流れ型インクジェットシステムでは、インクが、少なくとも1つのオリフィスまたはノズルを通じて圧力下にて連続的な流れで射出される。その流れが撹乱されて、オリフィスから一定の距離のところで液滴に分解する。分解点において、液滴は、デジタルデータ信号に従って帯電され、各液滴を再循環用の溝、または記録媒体上の特定の位置に誘導するためにその軌道を調整する静電場を通る。ドロップ・オン・デマンド型システムでは、液滴が、デジタルデータ信号に従って、オリフィスから記録媒体上のある位置に直接に排出される。液滴は、記録媒体上に配置されないのであれば、形成または排出されない。
【0008】
少なくとも3種類のドロップ・オン・デマンド型インクジェットシステムがある。1つの種類のドロップ・オン・デマンド型システムは、その主要構成要素として、一端にノズルを有し、他端付近に圧力パルスを生成するための圧電変換器を有するインク充填流路または通路を有する圧電変換装置である。別のドロップ・オン・デマンド型システムは、音響インク印刷として知られる。知られているように、音響ビームは、それが衝突する物体に対して放射圧力を加える。したがって、音響ビームが下から液溜まりの自由表面(すなわち液体/空気界面)に衝突すると、それが液溜まりの表面に対して加える放射圧力が十分なレベルに達して、表面張力の拘束力にもかかわらず、個々の液滴を液溜まりから放出させることができる。ビームを液溜まりの表面またはその付近に集中させると、それが所定量の入力電力に対応して加える放射圧力が強くなる。さらに別の種類のドロップ・オン・デマンド型システムは、熱インクジェットまたはバブルジェット(登録商標)として知られ、高速度の液滴を生成する。この種類のドロップ・オン・デマンド型システムの主要構成要素は、一端にノズルを有し、ノズルの付近に発熱抵抗器を有するインク充填流路である。デジタル情報を表す印刷信号は、オリフィスまたはノズル付近の各インク通路内の抵抗層において電流パルスを発して、直近のインク媒体(通常は水)をほぼ瞬時に蒸発させ、泡を生成させる。オリフィスにおけるインクは、泡が広がるに従って、推進された液滴として追い出される。
【0009】
相変化インクを利用して基板上に直接、または中間転写部材上に印刷する圧電インク噴射装置の典型的な設計、例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第5,372,852号明細書に記載されているものでは、インク噴射ヘッドに対して基板(受像部材または中間転写部材)を4から18回転(漸進的移動)させている間に適宜に着色されたインクを噴射することによって画像が添付される。すなわち、各回転の間で基板に対する印刷ヘッドの小さな移行が生じる。この手法により印刷ヘッドの設計が簡素化され、小さな移動により良好な液滴の位置合わせが確保される。噴射動作温度において、液体インクの液滴が印刷装置から射出され、直接的に、または中間加熱転写ベルトもしくはドラムを介してインク液滴が記録基板の表面に接触すると、迅速に固化して、所定のパターンの固化インク滴を形成する。
【0010】
熱インクジェット法は周知であり、例えば、その各々の開示内容が本明細書に組み込まれている米国特許第4,601,777号明細書、同第4,251,824号明細書、同第4,410,899号明細書、同第4,412,224号明細書および同第4,532,530号明細書に記載されている。
【0011】
記載したように、インクジェット印刷法では、室温で固体であり、高温で液体であるインクを採用してもよい。例えば、参照により本明細書に組み込まれている米国特許第4,490,731号明細書には、紙などの基板上に印刷するために固体インクを分散させる装置が開示されている。ホットメルトインクを採用する熱インクジェット印刷法では、固体インクが、印刷装置内のヒータによって溶融され、従来の熱インクジェット印刷と同様に液体として利用(即ち噴射)される。溶融インクは、印刷基板と接触すると、急速に固化して、着色剤が毛管作用により基板(例えば紙)中に浸透する代わりに基板の表面上に実質的に残留することを可能にすることによって、液体インクで一般に得られるより高い印刷密度を実現する。したがって、インクジェット印刷における相変化インクの利点は、取り扱い時のインクの潜在的な流出をなくすること、印刷密度および品質が広範囲であること、紙の皺および歪みが最小限に抑えられること、ならびにノズル詰まりの危険性がなく、さらにはノズルに栓をすることなく、印刷しない期間を無制限にできることである。
【0012】
本明細書における相変化インクの例は、約23℃から約27℃の温度、例えば室温で固体のインク媒体を含むインクであり、特には、約60℃未満の温度で固体である。しかし、インクは、加熱すると相を変化させ、噴射温度では溶融状態になる。したがって、インクは、インクジェット印刷に好適な高温、例えば約60℃から約150℃の温度における粘度が約1から約20センチポアズ(cp)、例えば約5から約15cpまたは約8から約12cpである。
【0013】
この点において、本明細書におけるインクは、低エネルギーインクであっても高エネルギーインクであってもよい。低エネルギーインクは、約40℃未満の温度で固体であり、約60℃から約100℃、例えば約80℃から約100℃、例えば約90℃から約100℃の噴射温度における粘度が約1から約20センチポアズ、例えば約5から約15センチポアズ、例えば約8から約12cpである。高エネルギーインクは、40℃未満の温度で固体であり、約100℃から約180℃、例えば120℃から約160℃または約125℃から約150℃の噴射温度における粘度が約5から約15センチポアズである。
【0014】
相変化インクでの使用に好適な特定の着色剤が知られているが、相変化インクでの使用に好適な着色剤の範囲を増大させることが望ましい。
【0015】
その全体が参照により本明細書に組み込まれている「相変化インク組成物およびそれに使用される着色剤(Phase Change Ink Compositions And Colorants For Use In The Same)」という名称のMaria Birauらの、2011年1月18日に出願された米国特許出願番号第13/008,783号明細書には、その要約書に、流涎によって引き起こされるインクジェットプリンタの印刷ヘッドおよびノズル汚染、ならびに面板汚染を防止および/または低減するための新規の着色剤ワックスを含む相変化インク組成物が記載されている。特に、相変化インク組成物に使用され、相変化インク成分と相溶性がある、酸基を含む新規の着色剤が提供される。
【0016】
天然着色剤、例えばアリザリンおよびインジゴは、生体に優しいまたは「グリーンな」着色剤として望ましいが、粒径が大きく、顔料粒子への分散剤の結合を可能にする官能価が欠如しているために、当該着色剤を分散させることが困難であるため、相変化インク媒体での使用に適さない。天然由来着色剤のスルホン化類似体は、官能価を含むが、一般には、低極性の固体インク媒体に分散させることが困難である。さらに、これらの化合物の残留塩は、印刷ヘッドにおけるインクから析出し、インクジェットオリフィスの周囲に望ましくない塩環を形成して、確実な噴射性能を阻害し得る。
【0017】
既知の組成物および方法は、それらの意図する目的に適するが、改善された着色剤、より具体的には相変化インクでの使用に好適な改善された着色剤に対する必要性が依然として存在する。また、天然であるか、または天然源に由来するため環境に優しい、相変化インクでの使用に好適な改善された着色剤に対する必要性が依然として存在する。天然系材料および/または生分解性の材料を含有する好適な複合材料を含む相変化インク組成物に対する必要性がさらに存在する。
【0018】
前述の米国特許および特許公開の各々の適宜の成分および方法の態様を、本開示に対してその実施形態において選択してもよい。さらに、本出願全体を通じて、様々な文献、特許および公開特許出願が、識別引用文献により参照される。本出願において参照される文献、特許および公開特許出願の開示内容は、本発明が係わる技術の現状をより十分に説明するために、参照により本開示に組み込まれている。
【発明を実施するための形態】
【0024】
相変化インク組成物は、インク媒体と、任意の分散剤と、脂肪族第四級アンモニウム塩、芳香族第四級アンモニウム塩またはそれらの混合物もしくは組合せで変性された変性天然由来着色剤とを含み、変性天然由来着色剤は、相変化インク媒体と相溶性がある。天然由来着色剤は、顔料、染料、またはそれらの混合物もしくは組合せである。
【0025】
天然着色剤としては、テトラピロール、テトラテルペノイド、キニン、O−複素環式化合物、N−複素環式化合物および金属タンパク質が挙げられる。テトラピロールとしては、ポルフィリンおよびポルフィリン誘導体、さらにはアリル、クロロフィル、ヘム顔料およびビリンが挙げられる。テトラテルペノイドまたはカルテノイドとしては、カロテンおよびキサントフィルが挙げられる。キニンとしては、ベンゾキノン、アントラキノンおよびナフトキノンが挙げられる。フラボノイドなどのO−複素環式化合物としては、アントシアニンおよびフラボノールが挙げられる。N−複素環式化合物としては、ベタラインおよびユーメラニンなどのインジゴイドおよびインドール誘導体、ならびにプテリンおよびプリンなどの置換ピリミジンが挙げられる。オリゴマータンパク質などの金属タンパク質としては、酸素化状態で色を示すヘムエリスリンおよびミオヘムエリトリンなどの鉄系タンパク質が挙げられる。天然着色剤の他の例としては、リポフスチンおよび菌類顔料が挙げられる。天然由来着色剤は、テトラピロール、テトラテルペノイド、キニン、O−複素環式化合物、N−複素環式化合物、金属タンパク質、リポフスチンおよび菌類顔料からなる群の一員から誘導される。
【0026】
所望の色または効果を達成するために、2つ以上の着色剤を任意の割合で混ぜ合わせて、当該所望の色または効果を達成することができる。
【0027】
インジゴおよびアリザリンなどの天然由来顔料を、相変化インク媒体内で相溶性および分散性を有するように誘導体化した。
【0028】
ナトリウム原子(または任意の他のI族アルカリ金属、特にカリウム)を含むように変性された天然由来着色剤を、ナトリウム原子を長鎖アルキル第四級アンモニウム塩で置換するように変性した。この変性により、顔料の粒径が減少した。インジゴカルミンを臭化N,N−ジメチルジオクタデシルアンモニウムで変性すると、透過型電子顕微鏡(TEM)で測定した長さの顔料粒径が、当初の2マイクロメートルを超える粒径から変性後の300ナノメートル未満の粒径に減少した。
図1は、変性されていないインジゴカルミンのTEM写真を示す。
図2は、臭化N,N−ジメチルジオクタデシルアンモニウムで変性されたインジゴカルミンのTEM写真を示す。変性されていないインジゴ顔料は、十分に画定されていない一次粒子の不規則形状の凝集体によって特徴づけられる。これらの凝集体は、典型的には、直径が2マイクロメートルを超える。本開示の変性インジゴ顔料は、粒子の長軸に沿って150ナノメートルから200ナノメートルの範囲の十分に画定された長方形の一次粒子によって特徴づけられる。
【0029】
ナトリウム対イオンを有するスルホン化顔料は、顔料の粒径の低減を支援することができる長鎖アルキル第四級アンモニウム塩でナトリウム対イオンを置換することによって変性される。長アルキル鎖をバイオベースとすることもできる。この新規の変性天然由来着色剤を、同じ着色剤に異なる分散剤を使用することによって、異なる色にすることが可能である。
【0030】
変性天然由来着色剤は、式
【化1】
のインジゴから誘導される。
【0031】
変性天然由来着色剤は、式
【化2】
のインジルビンから誘導される。
【0032】
変性天然由来着色剤は、式
【化3】
のものを含むインジゴイドおよびインジルビノイドから誘導される。
【0033】
変性天然由来着色剤は、式
【化4】
のアリザリンまたはアントラキノンレッドから誘導される。
【0034】
変性天然由来着色剤は、式
【化5】
のアリザリンプルプリンから誘導される。
【0035】
変性天然由来着色剤は、式
【化6】
に関連する表1にあるような天然のアントラキノイドから誘導される。
【表1】
【0036】
表1における符号(a)、(b)および(c)は、以下の式
【化7】
を指す。
【0037】
変性天然由来着色剤を、式
【化8】
のナトリウム対イオンを有するスルホン化インジゴカルミン(インジゴチンとしても知られている)などのスルホン化化合物から誘導することができる。
【0038】
変性天然由来着色剤を、式
【化9】
の2−(1,3−ジヒドロ−3−オキソ−7−スルホナト−2H−インドール−2−イリデン)−3−オキソインドリン−5−スルホン酸二ナトリウムとして知られるスルホン化インジゴから誘導することができる。
【0039】
他の実施形態において、変性天然由来着色剤は、3または4のスルホン化度を有し、式
【化10】
のカリウム対イオンを有するインジゴ顔料を含むこともできる。
【0040】
さらに他の実施形態において、変性天然由来着色剤を、インジルビン−5−スルホン酸およびその塩を含み、遊離酸が式
【化11】
を有するスルホン化インジルビンから誘導することができる。
【0041】
他の実施形態において、本変性天然由来着色剤は、
式
【化12】
のナトリウム対イオンを有するスルホン化アリザリンレッドSから誘導される。
【0042】
他の実施形態において、変性天然由来着色剤を、
式
【化13】
のナトリウム対イオンを有するスルホン酸プルプリンから誘導することができる。
【0043】
天然由来着色剤のスルホネートの対イオンは、ナトリウムおよび/またはカリウムであり得る。
【0044】
天然由来着色剤は、変性天然由来着色剤を固体インク媒体に分散可能にし、さらに印刷ヘッド内部での塩の析出のリスクをなくするアルキル化された第四級アンモニウムまたはオレフェン基でナトリウムを置換することによって変性される。
【0045】
ある実施形態において、脂肪族、オレフェン系もしくは芳香族第四級塩、またはそれらの混合物もしくは組合せを選択することができる。
【0046】
天然由来着色剤は、式
【化14】
(式中、Rは、少なくとも8個の炭素原子を有する長鎖アルキル基であり、Xはハロゲンである)の化合物で変性される。
【0047】
変性天然由来着色剤は、脂肪族第四級アンモニウム塩または芳香族第四級アンモニウム塩およびそれらの混合物である変性成分、ならびに塩素、臭素またはヨウ素などの任意の好適なハロゲン化物を含む。変性に使用される好適なN−アルキル/アリール対イオンは、第四級アンモニウムNH
4、またはテトラブチルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、テトラドデシルアンモニウム、テトラオクタデシルアンモニウム、N,N−ジメチルジオクタデシルアンモニウム、N,N−ジメチルジオクチルアンモニウム、N,N−ジメチルドデシルアンモニウム、N,N,N−トリメチル−1−ドコサンアミニウム、ベヘニルトリメチルアンモニウムおよびN−オクタデシルトリメチルアンモニウムなどの任意のアルキルもしくはアリール第四級アンモニウム、ならびにARQUAD(登録商標)として知られる第四級アンモニウム化合物などの他の第四級アンモニウム化合物からなる群から選択されてもよい。
【0048】
ARQUAD(登録商標)として知られる第四級アンモニウム化合物は、主に塩化アルキルトリメチルアンモニウムであり、式R−N(CH
3)
3Cl(式中、Rは、少なくとも8個の炭素原子を有する長鎖アルキル基である)で表されてもよい。N−アルキルまたはN−アリール対イオンは、
【化15】
(式中、R
1、R
2およびR
3は、同一であっても互いに異なっていてもよく、R
1、R
2およびR
3の各々は、独立に、アルキル、アルコキシ、アリールおよびアルキルアリールカらなる群から選択され、Xはハロゲン原子である)の一方から選択される。アルキル、アルコキシ、アリールおよびアルキルアリール基は、4個以上の炭素原子を有する。第四級アンモニウム対イオンは、
【化16】
(式中、Rは、H、CH
3、任意の直鎖状もしくは分枝状アルキルまたはアルコキシルであり、mは、1から25の整数であり、nは、1から25の整数であり、ある実施形態においてはm+nは2から25である)などのアルコキシレートを含むこともできる。
【0049】
例としては、Ethoquad(登録商標)C/12およびEthoquad(登録商標)C/25が挙げられる。
【0050】
第四級アンモニウム対イオンは、一般式
【化17】
(式中、nは整数であり、ある実施形態においては、nは1から30である)のオリゴマーであり得る。ある実施形態において、第四級アンモニウム対イオンは、ポリ[オキシ−1,2−エタンジイル(ジメチルイミニオ)−1,2−エタンジイル(ジメチルイミニオ)−1,2−エタンジイルクロリド(1:2)]である。塩化ポリキセトニウムは、Advantis Technologies社から商業的に入手可能である。
【0051】
アリール基を含む対イオンとしては、臭化ベンジルトリブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリブチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリエチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化ベンジルトリメチルアンモニウムおよび塩化ベンジルトリメチルアンモニウムが挙げられる。
【0052】
天然由来着色剤は、少なくとも8個の炭素原子または8個を超える炭素原子を有するアルキル鎖を含む脂肪族第四級アンモニウム塩で変性される。
【0053】
脂肪族第四級アンモニウム塩、芳香族第四級アンモニウム塩を天然源から誘導することができる。
【0054】
変性成分は、臭化N,N−ジメチルジオクタデシルアンモニウムであり得る。
【0055】
第四級アンモニア対イオンは、式
【化18】
(式中、Rは、n−ヘプチル、n−ノニル、n−ウンデシル、n−トリデシル、n−ペンタデシル、n−ヘプタデシル、n−ノナデシル、n−ヘネイコシルおよびそれらの混合物である)のエステルクォートであり得る。
【0056】
式R−N(CH
3)
3Cl(式中、Rは、少なくとも8個の炭素原子を有する長鎖アルキル基である)で表される塩化アルキルトリメチルアンモニウムを含む第四級アンモニウム化合物を変性成分として選択することができる。
【0057】
ある実施形態において、変性天然由来着色剤は、式
【化19】
のものである。
【0058】
任意の量の天然由来着色剤と変性成分とを、天然由来着色剤が、構造
【化20】
で表される2−(1,3−ジヒドロ−3−オキソ−5−スルホ−2H−インドール−2−イリデン)−2,3−ジヒドロ−3−オキソ−、三カリウム塩などの、3つのスルホネート基を含む変性インジゴ顔料である場合は1:1の割合、1:2の割合または1:3の割合などで使用することができ、
【0059】
または天然由来着色剤が、構造
【化21】
を含む変性インジゴ顔料などの、4つのスルホネート基を含む変性インジゴ顔料である場合は1:4で使用することができる。
【0060】
天然由来着色剤と変性成分とが100から1000ミリリットルの水の中で接触するように任意の量の水を使用することができる。
【0061】
変性成分を含む天然由来着色剤を40℃から100℃などの任意の温度まで1から6時間の時間をかけて加熱することができる。
【0062】
インジゴカルミンなどのある実施形態において、変性化合物が溶媒および水に対して不溶性になるように変性化合物における顔料特性が維持された。
【0063】
最終製品の粒径は、透過型電子顕微鏡によって測定された体積平均粒径が、典型的には最初の1マイクロメートルの粒径から200ナノメートルまで減少した。
図1は、変性されていないインジゴカルミンの顕微鏡写真を示す。
図2は、臭化N,N−ジメチルジオクタデシルアンモニウムで変性された本開示のインジゴカルミンの顕微鏡写真を示す。
【0064】
ある実施形態において、変性天然由来着色剤は、相変化インク媒体に自己分散する。アリザリンレッドSは、固体インクに自己分散する能力を含む「染料様」特性を得た。
【0065】
変性天然由来着色剤は、相変化インク組成物の全重量に対して任意の量、ある実施形態においては0.1から50重量パーセントの量で相変化インク組成物中に存在し得る。
【0066】
相変化インク組成物は、従来の染料、顔料、ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択されるさらなる着色剤と、場合により、第2の異なる変性天然由来着色剤であるさらなる着色剤とを含むことができる。1つを超える着色剤が含まれる場合は、相変化インク組成物中に存在する着色剤の全量は、所望の色または色相を得るための任意の所望量または有効量、ある実施形態においては、相変化インク組成物の全重量に対して0.1から50重量パーセントの全着色剤量であり得る。
【0067】
相変化インク組成物は、パラフィン、微結晶質ワックス、ポリエチレンワックス、エステルワックス、アミド、脂肪酸および他の蝋様材料、脂肪アミド含有材料、スルホンアミド材料、異なる天然源から作製された樹脂様材料などのインク媒体をさらに含む。
【0068】
ある実施形態において、本明細書における相変化インク組成物は、ポリアルキレンワックス、ポリメチレンワックス、ポリエチレンワックス、またはそれらの混合物、生分解性ワックス、生分解性ポリエチレンワックスを含む。
【0069】
ある実施形態において、本明細書における相変化インク組成物は、低融点ワックス、ポリエチレンワックス、例えば、アルコール、アミド、エステル、ウレタンなど、極性基を有するワックスなどの官能性ワックスをさらに含む。「低融点ワックス」は、融点が120℃未満のワックスを含む。
【0070】
ワックスは、任意の好適な量または所望の量で相変化インク組成物に存在し得る。ある実施形態において、ワックスは、染料系相変化インク組成物の全重量に対して約25重量パーセントから約65重量パーセントの量で相変化インク組成物に存在する。
【0071】
相変化インク組成物は、
【化22】
(式中、RおよびR’は、独立に、37個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基、および47個の炭素原子を有する直鎖状アルキル基から選択され、mは1から30である)またはそれらの混合物などの分散剤を場合により含むことができる。分散剤は、場合によりポリマー分散剤であり得る。
【0072】
ある実施形態において、相変化インクの色を操作するように分散剤を選択することができる。
【0073】
この相変化インク組成物を用いて作製された印刷物は、裸眼で容易に検出可能な金属様外観を有することができる。金属様外観は、セキュリティ特徴として機能することができる。
【0074】
相変化インク組成物は、インクのセキュリティ特徴を向上させ、インクを今日まで利用可能な他の固体インクセキュリティインクと比較してより安全でユニークなものとするさらなる成分を含むことができる。
【0075】
固体インクベース、印刷すると金属様外観を与える顔料、および二重のセキュリティ特徴を有する蛍光染料:通常の観察条件下で金属的外観を有し、典型的には紙幣を認証するための事務所に見られる黒色光などの紫外光源を用いて観察すると有色外観を有する。相変化インクは、インクを偽造することをより困難なものとする枢要な要件であるユニーク性を与える。本発明人は、インクがUV光の下で様々な色、すなわち赤色、緑色および青色を発することを実証した。これらのユニークなインク組成物の印刷性も実証された。
【0076】
従来の金属顔料は、サイズが大きく、固体インクに分散させるのが非常に困難であるが、この変性天然由来着色剤、ある実施形態においては変性インジゴは、容易に分散し、印刷すると金属的外観を有する。
【0077】
ある実施形態において、相変化インク組成物は、固体インクベース材料と、印刷すると金属様外観を与える顔料パッケージと、蛍光染料添加剤とを含む。相変化インクは、通常の観察条件下で観察した場合の金属様外観、およびUV光で活性化させると明色の光を発する能力を含めて、これまで報告されなかったユニークな特性を有する。相変化インクを、トランザクションおよび宣伝用途、ならびに安全梱包印刷などの用途を含む上記の様々な用途に使用することができる。
【0078】
蛍光染料は、典型的には、通常の観察光、例えば室内光または太陽光では無色であり、紫外光で観察すると明光を発する染料である。蛍光染料としては、ローダミン、フルオレセイン、クマリン、ナフタルイミド、ベンゾキサンテン、アクリジン、アゾ、希土類金属イオンの配位錯体が挙げられる。他の好適な蛍光染料としては、Risk Reactorから入手可能なDFSB類、DFPD類およびDFSB−K類のような油および溶剤系染料が挙げられる。
【0079】
本実施形態において、相変化インクは、印刷すると二重金属様外観(可視)および蛍光(UV)特性を有する。二重金属様外観(可視)/蛍光性能は、インクベースと天然由来顔料と蛍光染料成分との組合せに固有の特性でない。インク成分は、両方の特性を与えるように選択される。組み合わせると、この蛍光相変化インク組成物は、以下の特性を含む。
【0080】
(a)一方の側のインクベースおよび/または顔料の吸収スペクトルと蛍光染料の吸収スペクトルとの重複がわずかである(少ないか、または無い)。これにより、活性化UV光が、インク組成物に分散された蛍光染料に到達することが可能になる。そうでなければ、蛍光が活性化されず、または光の強度が有意に低下するため、インク検出性能が劣る。
【0081】
(b)インクベース/顔料パッケージの発光スペクトルと、蛍光染料の発光との重複がわずかである(少ないか、または無い)。
【0082】
(c)蛍光染料が不可視である、すなわち、対象が最小限か、または金属色外観の変化が皆無であるとき、通常の周囲観察光下で無色。
【実施例】
【0083】
アリザリンレッドS、インジゴ、臭化N,N−ジメチルジオクタデシルは、Sigma−Aldrich(登録商標)社から購入した。Arquad(登録商標)316は、Alzo Nobel社から入手した。アリザリンレッドSを、Arquad(登録商標)316を使用して変性した。変性化合物(化合物4)についての収率は、49重量%から89重量%の範囲である。インジゴカルミンを、臭化N,N−ジメチルジオクタデシルアンモニウムを使用して変性し、変性化合物(化合物1)についての収率は、90重量%であった。また、インジゴカルミンを、臭化セチルトリメチルアンモニウムを使用して変性し、変性化合物(化合物2)についての収率は、92重量%であった。インジゴカルミンをArquad(登録商標)316で変性し、変性化合物(化合物3)についての収率は、90重量%であった。変性着色剤の構造を以下の表2に示す。
【表2】
【0084】
インク成分を表3に示す。インク配合物における割合は、重量に基づいている。
【表3】
【0085】
その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されているように調製された分散剤、米国特許第6,309,453号明細書の実施例4に記載されているワックス、米国特許第6,860,930号明細書の実施例2に記載されているトリアミドワックス、Lubrizol社から入手可能なSolsperse(登録商標)17000も実施例に使用されている。
【0086】
実施例1
表2に示される化合物1、すなわち変性インジゴカルミンを以下のように調製した。磁気攪拌および加熱機構を備えた1000ミリリットルビーカに500ミリリットルの脱イオン水および15グラム(0.032モル)のインジゴカルミンを導入した。80℃まで昇温し、その溶液に47.4グラム(0.076モル)の臭化N,N−ジメチルジオクタデシルアンモニウムを添加した。混合物を80℃で2時間加熱した。混合物がまだ高温の間にガラスフリットを使用する濾過により紫色の固体を単離した。生成物を空気乾燥させた後、43グラム(90%)の濃紫色の粉末を得た。
【0087】
実施例2
表2に示される化合物2、すなわち変性インジゴカルミンを以下のように調製した。磁気攪拌および加熱機構を備えた500ミリリットルビーカに200ミリリットルの脱イオン水および5グラム(0.011モル)のインジゴカルミンを導入した。80℃まで昇温し、その溶液に7.81グラム(0.021モル)の臭化セチルトリメチルアンモニウムを添加した。混合物を80℃で2時間加熱した。混合物がまだ高温の間にガラスフリットを使用する濾過により紫色の固体を単離した。生成物を空気乾燥させた後、9.8グラム(92%)の紫色の粉末を得た。
【0088】
実施例3
表2に示される化合物3、すなわちArquad(登録商標)316を含む変性インジゴカルミンを以下のように調製した。磁気攪拌および加熱機構を備えた1000ミリリットルビーカに500ミリリットルの脱イオン水および15グラム(0.032モル)のインジゴカルミンを導入した。80℃まで昇温し、その溶液に23.7グラム(0.038モル)のArquad(登録商標)316を添加した。混合物を80℃で2時間加熱した。混合物がまだ高温の間にガラスフリットを使用する濾過により紫色の固体を単離した。化合物をフリット上で200ミリリットルの蒸留水により2回洗浄した。生成物を空気乾燥させた後、27.5グラム(75%)の青紫色の粉末を得た。
【0089】
実施例4
表2に示される化合物4、すなわち変性アリザリンレッドSを以下のように調製した。磁気攪拌加熱炉を備えた500ミリリットルのビーカに250ミリリットルの蒸留水、8グラム(0.023モル)のアリザリンレッドSを導入した。アリザリンレッドSが溶解すると、その溶液に16.9グラム(0.023モル)のArquad(登録商標)316を添加した。80℃まで昇温し、混合物を1時間にわたって攪拌させた。液体の多くをデカントし、残留するゲルを300ミリリットルのヘキサンに入れた。分液漏斗を使用して、生じた水を分離した。生じた黄色ヘキサン溶液を硫酸マグネシウムで乾燥させ、ブフナー漏斗を使用して液体を濾過により分離した。溶媒を真空中で除去した後、11.52グラム(49%)の濃緑色のペースト状固体を得た。
【0090】
実施例5
固体インクベース。得られる重量百分率が、後の混合工程において添加される顔料および分散剤をも含むように、以下の材料を600ミリリットルのビーカに秤り取った。80.12グラム(50.08%)のポリメチレンワックスA、23.1グラム(14.44%)のトリアミドワックス、24グラムの(15%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、23.1グラム(14.44%)のKE−100樹脂、4グラム(2.5%)のウレタン樹脂および0.496グラム(0.31%)のNAUGARD(登録商標)445。それらの材料を120℃のオーブンで溶融させた。インクベースを1時間にわたって攪拌させ、KST−47濾過装置を使用して5ミクロンのステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0091】
実施例6
変性インジゴカルミン化合物1および米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されている分散剤を含む顔料固体インク。得られる重量百分率が、後の混合工程において添加される顔料および分散剤をも含むように、以下の材料を600ミリリットルのビーカに秤り取った。80.12グラム(50.08%)のポリメチレンワックスA、23.1グラム(14.44%)のトリアミドワックス、24グラムの(15%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、23.1グラム(14.44%)のKE−100樹脂、4グラム(2.5%)のウレタン樹脂、0.496グラム(0.31%)のNAUGARD(登録商標)445および(米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されているように調製された)2.304グラム(1.44%)の分散剤。材料を120℃のオーブンで溶融させ、十分に混合し、次いで120℃に加熱されたUnion Process社から入手可能なSzegvari01アトライタに移し、1800グラムの440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球を充填した。加熱したインペラをその集成体に取りつけ、容器の上部のステンレス鋼球が互いに静かにぶつかり合うようにインペラ速度を調整した。この攪拌溶液に、2.88グラム(1.8%)の実施例1の変性インジゴカルミン化合物1を添加した。顔料インクを毎分300回転で20時間にわたって摩耗させ、最終摩耗混合物をステンレス鋼球から単離し、KST−47濾過装置を使用して、5ミクロンステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0092】
実施例7
変性インジゴカルミン化合物1および米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されている分散剤を含む顔料固体インク。粉砕時間を20時間から42時間に増やしたことを除いては、実施例1のようにして実施例2のインクを調製した。
【0093】
実施例8
変性インジゴカルミン化合物1およびSolsperse(登録商標)17000を含む顔料固体インク。得られる重量百分率が、後の混合工程において添加される顔料および分散剤をも含むように、以下の材料を600ミリリットルのビーカに秤り取った。80.12グラム(50.08%)のポリメチレンワックスA、23.1グラム(14.44%)のトリアミドワックス、24グラムの(15%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、23.1グラム(14.44%)のKE−100樹脂、4グラム(2.5%)のウレタン樹脂、0.496グラム(0.31%)のNAUGARD445および2.304グラム(1.44%)のSOLSPERSE(登録商標)17000。材料を120℃のオーブンで溶融させ、十分に混合し、次いで120℃に加熱されたUnion Process社から入手可能なSzegvari01アトライタに移し、1800グラムの440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球を充填した。加熱したインペラをその集成体に取りつけ、容器の上部のステンレス鋼球が互いに静かにぶつかり合うようにインペラ速度を調整した。この攪拌溶液に、2.88グラム(1.8%)の実施例1の変性インジゴカルミン化合物1を添加した。顔料インクを300RPMで20時間にわたって摩耗させ、最終摩耗混合物をステンレス鋼球から単離し、KST−47濾過装置を使用して、5ミクロンステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0094】
実施例9
変性アリザリンレッドS化合物4を含む顔料固体インク。(52.94%)部(84.7グラム)のポリメチレンワックスA、23.7グラム(14.82%)のトリアミドワックス、21.5グラム(13.42%)のKE−100樹脂、22.8グラム(14.25%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、1.44グラム(0.9%)のウレタン樹脂および0.256グラム(0.17%)のNAUGARD(登録商標)445からなる、溶融し十分に混合したブレンドをホットプレート上の600ミリリットルビーカに入れ、120℃で1時間にわたって攪拌させた。これに対して、実施例4の5.616グラム(3.51%)の変性アリザリンレッドS染料化合物4を徐々に添加した。得られたインクを120℃で2.5時間にわたって攪拌し、5μmのステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0095】
比較例10
変性インジゴカルミン化合物2および米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されている分散剤を含む顔料固体インク。得られる重量百分率が、後の混合工程において添加される顔料および分散剤をも含むように、以下の材料を600ミリリットルのビーカに秤り取った。80.12グラム(50.08%)のポリメチレンワックスA、23.1グラム(14.44%)のトリアミドワックス、24グラムの(15%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、23.1グラム(14.44%)のKE−100樹脂、4グラム(2.5%)のウレタン樹脂、0.496グラム(0.31%)のNAUGARD(登録商標)445および(米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されているように調製された)2.304グラム(1.44%)の分散剤。材料を120℃のオーブンで溶融させ、十分に混合し、次いで120℃に加熱されたUnion Process社から入手可能なSzegvari01アトライタに移し、1800グラムの440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球を充填した。加熱したインペラをその集成体に取りつけ、容器の上部のステンレス鋼球が互いに静かにぶつかり合うようにインペラ速度を調整した。この攪拌溶液に、2.88グラム(1.8%)の実施例2の変性インジゴカルミン化合物2を添加した。顔料インクを300RPMで20時間にわたって摩耗させ、最終摩耗混合物をステンレス鋼球から単離し、KST−47濾過装置を使用して、5ミクロンステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0096】
実施例12
変性インジゴカルミン化合物3および米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されている分散剤を含む顔料固体インク。得られる重量百分率が、後の混合工程において添加される顔料および分散剤をも含むように、以下の材料を600ミリリットルのビーカに秤り取った。80.12グラム(50%)のポリメチレンワックスA、23.1グラム(14.4%)のトリアミドワックス、24グラム(15%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、23.1グラム(14.4%)のKE−100樹脂、(米国特許第6,309,453号明細書の実施例4に記載されているように調製された)4グラム(2.5%)のウレタン樹脂、0.496グラム(0.31%)のNAUGARD(登録商標)445および(その全体が参照により本明細書に組み込まれている米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されているように調製された)2.304グラム(1.44%)のポリマー分散剤。材料を120℃のオーブンで溶融させ、十分に混合し、次いで120℃に加熱されたUnion Process社から入手可能なSzegvari01アトライタに移し、Hoover Precision Products社から入手可能な1800グラムの440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球を充填した。加熱したインペラをその集成体に取りつけ、容器の上部のステンレス鋼球が互いに静かにぶつかり合うようにインペラ速度を調整した。この攪拌溶液に、2.88グラム(1.8%)の実施例3の変性インジゴカルミン化合物3を添加した。顔料インクを300RPMで20時間にわたって摩耗させ、最終摩耗混合物をステンレス鋼球から単離し、Advantec MFS社から商業的に入手可能なKST−47濾過装置を使用して、5ミクロンステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0097】
実施例13
変性インジゴカルミン化合物3およびSOLSPERSE17000を含む顔料固体インク。得られる重量百分率が、後の混合工程において添加される顔料および分散剤をも含むように、以下の材料を600ミリリットルのビーカに秤り取った。80.12グラム(50%)のポリメチレンワックスA、23.1グラム(14.4%)のトリアミドワックス、24グラム(15%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、23.1グラム(14.4%)のKE−100樹脂、(米国特許第6,309,453号明細書の実施例4に記載されているように調製された)4グラム(2.5%)のウレタン樹脂、0.496グラム(0.31%)のNAUGARD(登録商標)445および2.304グラム(1.44%)のポリマー分散剤(The Lubrizol社から入手可能なSOLSPERSE17000)。材料を120℃のオーブンで溶融させ、十分に混合し、次いで120℃に加熱されたUnion Process社から入手可能なSzegvari01アトライタに移し、Hoover Precision Products社から入手可能な1800グラムの440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球を充填した。加熱したインペラをその集成体に取りつけ、容器の上部のステンレス鋼球が互いに静かにぶつかり合うようにインペラ速度を調整した。この攪拌溶液に、2.88グラム(1.8%)の実施例3の変性インジゴカルミン化合物3を添加した。顔料インクを300RPMで20時間にわたって摩耗させ、最終摩耗混合物をステンレス鋼球から単離し、Advantec MFS社から商業的に入手可能なKST−47濾過装置を使用して、5ミクロンステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0098】
比較例14
Sigma−Aldrich(登録商標)からのアリザリンレッドSを含む顔料固体インク。得られる重量百分率が、後の混合工程において添加される顔料および分散剤をも含むように、以下の材料を600ミリリットルのビーカに秤り取った。80.12グラム(50%)のポリメチレンワックスA、23.1グラム(14.4%)のトリアミドワックス、24グラム(15%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、23.1グラム(14.4%)のKE−100樹脂、4グラム(2.5%)のウレタン樹脂、0.496グラム(0.31%)のNAUGARD(登録商標)445および2.304グラム(1.44%)のポリマー分散剤(The Lubrizol社から入手可能なSolsperse(登録商標)17000)。材料を120℃のオーブンで溶融させ、十分に混合し、次いで120℃に加熱されたUnion Process社から入手可能なSzegvari01アトライタに移し、Hoover Precision Products社から入手可能な1800グラムの440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球を充填した。加熱したインペラをその集成体に取りつけ、容器の上部のステンレス鋼球が互いに静かにぶつかり合うようにインペラ速度を調整した。この攪拌溶液に、Sigma−Aldrich(登録商標)から入手した2.88グラム(1.8%)のアリザリンレッドSを添加した。顔料インクを300RPMで20時間にわたって摩耗させ、最終摩耗混合物をステンレス鋼球から単離し、Advantec MFS社から商業的に入手可能なKST−47濾過装置を使用して、5ミクロンステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0099】
比較例15
Sigma−Aldrich(登録商標)のインジゴカルミンおよびSolsperse(登録商標)17000を含む顔料固体インク。得られる重量百分率が、後の混合工程において添加される顔料および分散剤をも含むように、以下の材料を600ミリリットルのビーカに秤り取った。80.12グラム(50%)のポリメチレンワックスA、23.1グラム(14.4%)のトリアミドワックス、24グラム(15%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、23.1グラム(14.4%)のKE−100樹脂、4グラム(2.5%)のウレタン樹脂、0.496グラム(0.31%)のNaugard(登録商標)445および2.304グラム(1.44%)のポリマー分散剤(Lubrizol社から入手可能なSolsperse(登録商標)17000)。材料を120℃のオーブンで溶融させ、十分に混合し、次いで120℃に加熱されたUnion Process社から入手可能なSzegvari01アトライタに移し、1800グラムの440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球を充填した。加熱したインペラをその集成体に取りつけ、容器の上部のステンレス鋼球が互いに静かにぶつかり合うようにインペラ速度を調整した。この攪拌溶液に、2.88グラム(1.8%)のSigma−Aldrich(登録商標)から入手したインジゴカルミンを添加した。顔料インクを300RPMで20時間にわたって摩耗させ、最終摩耗混合物をステンレス鋼球から単離して濾過した。インクは、1.5ポンド毎平方インチ(psi)においてフィルタを全く(1グラムも)通過しなかった。加える圧力を10psiを超える圧力まで増加させたが、インクを濾過することができなかった。濾過時にゲル層がステンエス鋼メッシュ上に形成されて、フィルタを通じてのインクの流れを妨害していることが分かった。
【0100】
実施例16
変性インジゴカルミン化合物2および米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されている分散剤を含み、生分解性ワックスを配合した顔料固体インク。得られる重量百分率が、後の混合工程において添加される顔料および分散剤をも含むように、以下の材料を600ミリリットルのビーカに秤り取った。80.12グラム(50%)のポリエチレン生分解性ワックス、23.1グラム(14.4%)のトリアミドワックス、24グラム(15%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、23.1グラム(14.4%)のKE−100樹脂、4グラム(2.5%)のウレタン樹脂、0.496グラム(0.31%)のNaugard(登録商標)445および(米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されているように調製された)2.304グラム(1.44%)の分散剤。材料を120℃のオーブンで溶融させ、十分に混合し、次いで120℃に加熱されたUnion Process社から入手可能なSzegvari01アトライタに移し、Hoover Precision Products社から入手可能な1800グラムの440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球を充填した。加熱したインペラをその集成体に取りつけ、容器の上部のステンレス鋼球が互いに静かにぶつかり合うようにインペラ速度を調整した。この攪拌溶液に、2.88グラム(1.8%)の実施例2の変性インジゴカルミンを添加した。顔料インクを300RPMで20時間にわたって摩耗させ、最終摩耗混合物をステンレス鋼球から単離し、Advantec MFS社から商業的に入手可能なKST−47濾過装置を使用して、5ミクロンステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0101】
実施例17
変性インジゴカルミン化合物2およびSolsperse(登録商標)17000を含み、生分解性ワックスを配合した顔料固体インク。得られる重量百分率が、後の混合工程において添加される顔料および分散剤をも含むように、以下の材料を600ミリリットルのビーカに秤り取った。80.12グラム(50%)のポリエチレン生分解性ワックス、23.1グラム(14.4%)のトリアミドワックス、24グラム(15%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、23.1グラム(14.4%)のKE−100樹脂、4グラム(2.5%)のウレタン樹脂、0.496グラム(0.31%)のNaugard(登録商標)445(Crompton社)および2.304グラム(1.44%)のポリマー分散剤(Lubrizol社から入手可能なSolsperse(登録商標)17000)。材料を120℃のオーブンで溶融させ、十分に混合し、次いで120℃に加熱されたUnion Process社から入手可能なSzegvari01アトライタに移し、Hoover Precision Products社から入手可能な1800グラムの440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球を充填した。加熱したインペラをその集成体に取りつけ、容器の上部のステンレス鋼球が互いに静かにぶつかり合うようにインペラ速度を調整した。この攪拌溶液に、2.88グラム(1.8%)の実施例1の変性インジゴカルミン化合物を添加した。顔料インクを300RPMで20時間にわたって摩耗させ、最終摩耗混合物をステンレス鋼球から単離し、Advantec MFS社から商業的に入手可能なKST−47濾過装置を使用して、5ミクロンステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0102】
実施例18
生分解性ワックスが配合された変性アリザリンレッドSを含む顔料固体インク。52.94部(84.7グラム)のポリエチレン生分解性ワックス、14.82部(23.7グラム)のトリアミドワックス、13.42部(21.5グラム)のKE−100樹脂、14.25部(22.8グラム)のKEMAMIDE(登録商標)S180、0.9部(1.44グラム)のウレタン樹脂および0.17部(0.256グラム)のNaugard(登録商標)445からなる、溶融し十分に混合したブレンドをホットプレート上の600ミリリットルビーカに入れ、120℃で1時間にわたって攪拌させた。これに対して、実施例4の3.51部(5.616グラム)の変性アリザリンレッドS染料を徐々に添加した。得られたインクを120℃で2.5時間にわたって攪拌し、5μmのステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0103】
表4は、実施例6〜13、比較例14および15ならびに実施例16〜18のインクの概要を示す。
【表4】
【0104】
RFS−III流動計上の50ミリリットルのコーン・プレート構造を使用して、剪断粘度プロファイルを110℃で測定した。1から約251.2s
−1までの範囲の剪断率掃引から1および100s
−1における剪断粘度を測定した。インクの適宜の目標粘度範囲は、約8から約12センチポアズであり、これらの比較剪断率、例えば1および100s
−1の各々における粘度の差を最小限、例えば1センチポアズ未満、例えば0.5センチポアズ未満または0にした場合により良好なニュートン挙動が実現される。流動性調査により、本開示の新規のインクは、ニュートン挙動を示したため、相変化インクジェットインクとしての使用に非常に好適であることが示されている。実施例5、6、7、8、9および15のインクの1および100s
−1における粘度を表5に要約する。
【表5】
【0105】
表5で分かるように、インクは、概ねニュートン挙動を有し、110℃において10から12センチポアズの範囲の粘度を有する。
比較例19
【0106】
変性インジゴカルミンおよび米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されているように調製された分散剤を含む顔料固体インク。得られる重量百分率が、後の混合工程において添加される顔料および分散剤をも含むように、以下の材料を600ミリリットルのビーカに秤り取った。80.12グラム(50%)のポリメチレンワックスB、23.1グラム(14.4%)のトリアミドワックス、24グラムの(15%)のKEMAMIDE(登録商標)S180、23.1グラム(14.4%)のKE−100樹脂、4グラム(2.5%)のウレタン樹脂、0.496グラム(0.31%)のNaugard(登録商標)445(酸化防止剤)および(米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されているように調製された)2.304グラム(1.44%)の分散剤。
【0107】
材料を120℃のオーブンで溶融させ、十分に混合し、次いで120℃に加熱されたUnion Process社から入手可能な01アトライタに移し、1800gの440C型の直径1/8インチのステンレス鋼球を充填した。加熱したインペラをその集成体に取りつけ、容器の上部のステンレス鋼球が互いに静かにぶつかり合うようにインペラ速度を調整した。この攪拌溶液に、2.88グラム(1.8%)の変性インジゴカルミン(化合物1)を添加した。顔料インクを300RPMで20時間にわたって摩耗させ、最終摩耗混合物をステンレス鋼球から単離し、KST−47濾過装置を使用して、5ミクロンステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0108】
実施例20
変性インジゴカルミン、蛍光顔料DFYK−C7および米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されているように調製された分散剤を含む顔料固体インク。ステンレス鋼球から既に単離された最終摩耗インクに添加される3.2グラム(2%)の蛍光染料DFYK−C7を添加したこと以外は実施例18のようにインク配合物を調製および処理した。混合物を120℃で1時間にわたって攪拌させ、次いで5μmのステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0109】
実施例21
変性インジゴカルミン、蛍光顔料DFSB−C0および米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されているように調製された分散剤を含む顔料固体インク。ステンレス鋼球から既に単離された最終摩耗インクに添加される3.2グラム(2%)の蛍光染料DFSB−C0を添加したこと以外は比較例19のようにインク配合物を調製および処理した。混合物を120℃で1時間にわたって攪拌させ、次いで5μmのステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0110】
実施例22
変性インジゴカルミン、Sigma−Aldrich社の蛍光染料2(2−ヒドロキシフェニル(ベンゾチアゾール)、および米国特許第7,973,186号明細書の実施例1に記載されているように調製された分散剤を含む顔料固体インク。ステンレス鋼球から既に単離された最終摩耗インクに添加されるSigma−Aldrich社の3.2グラム(2%)の蛍光染料2(2−ヒドロキシフェニル(ベンゾチアゾール)を添加したこと以外は比較例19のようにインク配合物を調製および処理した。混合物を120℃で1時間にわたって攪拌させ、次いで5μmのステンレス鋼メッシュで濾過した。
【0111】
インクベースに分散された2%の蛍光材料を含有する対照サンプルをも、該量の蛍光添加剤と実施例5による溶融インクベースとを混合し、30分間にわたって攪拌することによって調製した。石英スライドの間に試験インクを挟むことによってUV−VIS分光分析のためのサンプルを調製した。これらのサンプルのUV−VISスペクトル、ならびに蛍光サンプルの発光を記録した。青色、緑色および赤色を発する不可視の蛍光染料を、蛍光要件を満たすための設計によって選択した。
【0112】
図3は、実施例6の固体インクベースおよび顔料パッケージの吸収(UV−VIS)スペクトル、不可視の青色発光蛍光染料DFSB−C0(Risk Reactor社から入手可能)の吸収スペクトル、および比較のための比較例5のインクベースのみに分散された蛍光染料の発光スペクトルを示す。活性波長(365ナノメートルのUV光)において、インク/顔料は最小の吸収を有するのに対して、蛍光染料は強い吸収を有する。これは、(a)一方の側のインクベースおよび/または顔料の吸収スペクトルと蛍光染料の吸収スペクトルとの重複がわずかである(少ないか、または無い)という要件を満たすため、検出過程を通じて蛍光染料の活性化を可能である。また、青色光は、450ナノメートルの波長で発せられ、インク/顔料パッケージによって吸収されないため、(b)インクベース/顔料パッケージの発光スペクトルと蛍光染料の発光スペクトルとの重複がわずかである(少ないか、または無い)という要件を満たすため、容易な検出が可能である。最後に、蛍光染料は、スペクトルの可視範囲に有意な吸収を有さないため、(c)蛍光染料が不可視である、すなわち、対象が最小限か、または金属色外観の変化が皆無であるとき、通常の周囲観察光下で無色であるという要件を満たす。
【0113】
図4は、緑色の不可視蛍光染料である2(2−ヒドロキシフェニル(ベンゾチアゾール)が(a)、(b)および(c)の設計要件を満たすことを示している。それは、520ナノメートルに集中する波長で緑色光を発する。
【0114】
図5は、赤色の不可視蛍光染料であるDFKY−C7が(a)、(b)および(c)の設計要件を満たすことを示している。それは、615ナノメートルに集中する波長で赤色光を発する。
【0115】
したがって、染料は、提供される天然由来顔料であるインクベースで作製された組成物において蛍光発光性であることが示される。
【0116】
2%の蛍光染料を実施例18の固体インク組成物に熱分散させることによって試験インクを調製した。試験インクを2つの石英スライドの間に挟むことによって赤色(a)、緑色(b)、青色(c)および非蛍光添加剤(d)サンプルを調製した。
図6を参照すると、室内光の下では、全てのサンプルが同じに見えることが分かる。しかし、これらの同じサンプルをUV光の下で観察すると、各インクは異なる色を示した。蛍光サンプルは、それぞれ、赤色光、緑色光および青色光を発したのに対して、蛍光添加剤を含まないインク(d)は、発光を示さなかった。これを表7に示す。
【0117】
天然由来顔料および蛍光添加剤パッケージを含む実施例20、21および22のインク、ならびに天然由来顔料のみを含み、蛍光添加剤を含まない実施例6によるインクをXerox(登録商標)Phaser(登録商標)8860プリンタで印刷した。異なる密度を有する異なる被覆範囲を印刷するように目標を選択した。印刷画像の1つは、525×450dpiの解像度でなされ、25ナノグラムの目標液滴質量を有する同一インクについての10%から200%(10%の被覆範囲ずつの段階的漸増)のインクの被覆範囲を示している。どのインクも十分に噴射するとともに、Xerox(登録商標)Phaser(登録商標)8860プリンタで130℃に保持されながら1日後に非常に良好な噴射特性を有していた。どのインクも、黒色、青色、緑色および黄色紙のXerox(登録商標)Color Xpressions、Xeron(登録商標)Color Xpressions Plus、およびXerox Color Xpressions Plus 4200紙基板を含む異なる紙基板上に噴射した。
【0118】
図8は、黒色紙基板上に実施例20の赤色蛍光インクで作製され、蛍光添加剤を有さない同じインク(比較例6)で並列に印刷された印刷物を示す。赤色蛍光印刷物の強い赤色発光を確認することができる。同じ条件下で、比較例6の蛍光添加剤を有さないインクで印刷された領域は、発光しない。
【0119】
赤色の不可視蛍光固体インクは、蛍光を発するか、または発しない全ての種類の白色紙を含む様々な基板上で検出できるため有利である。
図9および
図10は、通常の観察光下での実施例20の蛍光サンプルにより印刷された白色紙(Xerox(登録商標)4200)上の金属様印刷物を示す。サンプルは、
図9に示されるように金属様である。
図10に示されるように、UV光下で観察すると同じサンプルが赤色に見える。
【0120】
インジゴカルミン着色剤を、固体インクにおけるそのゲル化を防止するように変性することができる。変性インジゴカルミンでは、2つの異なる分散剤を使用して2つの異なる色が得られた。すなわち、分散剤を使用した場合は銀灰色であり、Solsperse(登録商標)17000を使用した場合は青紫色であった。アリザリンレッドSでは、Solsperse(登録商標)17000を有する非変性性化合物を含むインクでのバーントオレンジ色から、分散剤を有さない変性天然由来着色剤を含むインクでの金黄色へと色が変化し得る。場合により、さらなる着色剤を相変化インク組成物に含めて、色をさらに調整することができる。
【0121】
さらなる特長は、固体インクベースと、印刷すると金属様外観を与える顔料(変性天然由来着色剤)と、蛍光染料とを含む新規のインク組成物を含む。