特許第6147186号(P6147186)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147186
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】ポリマーカテーテル針先保護具
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/06 20060101AFI20170607BHJP
【FI】
   A61M25/06 500
【請求項の数】9
【全頁数】21
(21)【出願番号】特願2013-504851(P2013-504851)
(86)(22)【出願日】2011年4月12日
(65)【公表番号】特表2013-523374(P2013-523374A)
(43)【公表日】2013年6月17日
(86)【国際出願番号】SE2011050443
(87)【国際公開番号】WO2011129753
(87)【国際公開日】20111020
【審査請求日】2014年3月18日
【審判番号】不服2015-22935(P2015-22935/J1)
【審判請求日】2015年12月28日
(31)【優先権主張番号】1050360-5
(32)【優先日】2010年4月13日
(33)【優先権主張国】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】512262259
【氏名又は名称】ヴィグメッド アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】100116872
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 和子
(72)【発明者】
【氏名】クヌートソン ペール
【合議体】
【審判長】 長屋 陽二郎
【審判官】 関谷 一夫
【審判官】 宮下 浩次
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/010847(WO,A2)
【文献】 国際公開第2009/123025(WO,A1)
【文献】 特表2008−522739(JP,A)
【文献】 特表2005−529717(JP,A)
【文献】 特表2001−514943(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/06 500
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
針先保護具(100)と、針(303)と、針ユニット(300)と、カテーテルユニットとを備える、カテーテル器具(1000)であって、前記カテーテルユニットは、カテーテルハブ(200)と、カテーテル(201)とを備え、前記針先保護具(100)および前記カテーテルハブ(200)は互いから分離可能であり、
前記針(303)は、針先(304)を備え、
前記カテーテルハブ(200)は、カテーテルハブ遠位端およびカテーテルハブ近位端を備え、前記カテーテルハブ遠位端は、そこから延びる前記カテーテル(201)と、カテーテルハブ開口部とを有し、前記カテーテルハブ開口部は、カテーテルハブ環状空間を画定し、
前記針ユニット(300)は、針ユニット遠位端および針ユニット近位端をさらに備え、前記針ユニット遠位端は、そこから延びる前記針(303)を有し、
第1の位置において、前記針(303)は前記カテーテル(201)内に突出し、前記針(303)は、前記針先保護具(100)内に部分的に配置され、前記針ユニット(300)と係合して摺動可能であり、
前記針(303)が完全に引っ込められた第2の位置において、前記針先(304)は前記カテーテル(201)から完全に引き抜かれ、前記針先保護具(100)はその前記針先(304)を遠位で保護し、
停止部材は、完全に引っ込められた第2の位置において前記針先保護具(100)が前記針(303)に対して遠位移動するのを防ぎ、
前記針先保護具(100)が、前記針先保護具(100)と、前記カテーテルユニットの前記カテーテルハブ(200)と、の間の少なくとも1つの接触面を介して、準備位置である前記第1の位置において前記カテーテルユニットの前記カテーテルハブ(200)との接触を維持し、
前記針先保護具(100)の前記少なくとも1つの接触面は、完全にまたは部分的に第1のポリマー材料であり、前記カテーテルユニットの前記カテーテルハブ(200)の前記少なくとも1つの接触面は、完全にまたは部分的に第2のポリマー材料であり、
前記1のポリマー材料は、前記第2のポリマー材料とは異なるポリマーであり、
前記前記1のポリマー材料は、共有結合したOまたはS原子を含む熱可塑性ポリマーであり、前記第2のポリマー材料は、ポリプロピレン、ポリエチレン、またはプロピレン/エチレンコポリマーである、カテーテル器具(1000)。
【請求項2】
前記第2のポリマー材料は、置換または非置換エテンからの少なくとも1つの重合ポリマーを含む、請求項1に記載のカテーテル器具(1000)。
【請求項3】
前記針先保護具(100)は、前記準備位置において前記カテーテルハブ環状空間内に配置される、請求項1または2に記載のカテーテル器具(1000)。
【請求項4】
前記針先保護具(100)は、弾性付勢部分をさらに備え、前記弾性付勢部分は、弾性付勢部分の第1の位置および弾性付勢部分の第2の位置を有し、弾性付勢部分の前記第1の位置は、前記準備位置において前記中空の針(303)の針シャフトに隣接した前記弾性付勢部分により特徴付けられ、弾性付勢部分の前記第2の位置は、前記完全に引っ込められた位置において前記針先(304)を保護する前記弾性付勢部分により特徴付けられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載のカテーテル器具(1000)。
【請求項5】
前記弾性付勢部分は少なくとも1つの弾性アーム(103)を含む、請求項4に記載のカテーテル器具(1000)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの接触面が、前記針先保護具(100)および前記カテーテルハブ(200)を取り外し可能に係合するための少なくとも1つの突起部(101)または摩擦要素を備える、請求項1〜のいずれか一項に記載のカテーテル器具(1000)。
【請求項7】
前記停止部材は、前記針先保護具(100)または前記針ユニット(300)と係合するための前記針先(304)付近の前記針(303)上の拡張領域(305)を備え、それにより、前記針(303)に対する前記針先保護具(100)の遠位移動を防ぐ、請求項1〜のいずれか一項に記載のカテーテル器具(1000)。
【請求項8】
前記停止部材は、遠位端にて前記針先保護具(100)に接続され、近位端にて針ユニット(300)に接続される少なくとも1つの折り畳み可能なストリングもしくはストライプを含み、前記折り畳み可能なストリングまたはストライプの長さは前記針(303)の長さ未満である、請求項1〜のいずれか一項に記載のカテーテル器具(1000)。
【請求項9】
孔(102)と、結合点(105)から延びる弾性アーム(103)とを備える、請求項1〜のいずれか一項に記載のカテーテル器具(1000)において組み立てられるポリマー針先保護具(100)であって、
前記弾性アーム(103)は、静止状態を有し、該静止状態から、軸方向において前記孔(102)を通る自由通路を生じるように付勢されることができ、前記弾性アーム(103)は、前記孔(102)を通して延びる中空の針(303)の針先(304)を保護するためのL字形を有する後方フック延長部(110)を一緒に有し、
前記弾性アーム(103)が前記静止状態にある場合、軸方向において前記孔(102)を長手方向に延びる任意の直線の仮想上の線が、前記弾性アーム(103)の前記L字形における前記結合点(105)と内側の角(104)との間の前記弾性アーム(103)の表面上の点と一致し、
前記弾性アーム(103)が、前記後方フック延長部(110)と協働して偶発的な接触から前記針先(304)を保護する場合、前記任意の直線の仮想上の線が、前記後方フック延長部(110)の表面上の点、または前記結合点(105)と前記角(104)との間の表面上の点と一致し、
前記弾性アーム(103)または前記後方フック延長部(110)は、最大で1つの外部接触点を有し、前記接触点は、前記弾性アーム(103)または前記後方フック延長部(110)が使用される場合、前記中空の針(303)の任意の部分と接触し、
前記針先保護具100は、共有結合したOまたはS原子を含む熱可塑性ポリマーから作製される、ポリマー針先保護具(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテル管の導入についての使用後、針を自動的に安全に保護するためのポリマー針先保護具を含むカテーテル器具に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルなカテーテル管の内側に取り付けられた鋭い中空の針の臨床的利用は、カテーテルの導入に関する医学分野において周知である。このような医療器具において、カテーテル管は、針がカテーテル管の長さに沿って摺動し、伸縮できるように針周囲に密接して配置される。使用前に、針先は、皮膚を容易に貫通できるようにカテーテル管の開口部を通してわずかに突き出ている。皮膚の穿刺および針の導入後、カテーテル管の遠位端は、血管、例えば静脈の内側などの患者の所望の目的とする体腔内に同時に配置される。次いで針は、カテーテルの導入を支援する役割を果たし、カテーテルを通して後方に引っ張られることにより引っ込められる。針を解放すると、カテーテルは、長期間にわたって延び、例えば、周期的投与または液体形態での流体もしくは薬剤の投与もしくは注入、血液試料の収集などを含む、その意図する作動様式に設定される。
【0003】
しかしながら、保護されていない解放された針は、容易に皮膚を貫通する針先の特有の能力と共に、例えば患者の血液または他の体液由来の感染性因子で汚染され得るという事実に起因する深刻な健康被害を生じる。それ故、解放された針を扱う医療従事者は、彼らの皮膚と接触するアクシデントがある場合、対応する疾患、例えばHIVまたは肝炎を獲得する場合がある。とりわけ、このような解放された針に関連する健康被害を回避または軽減するために、特に「フールプルーフ(foolproof)」と称され得る、自動的変形の種類に焦点を当てた種々の種類の針先保護具を開発しようとする試みが多くなされている。
【0004】
自動針先保護具の設計に関連する要因には、医療器具の材料の選択および即時接触部分との保護具の相互作用が含まれる。
【0005】
材料の選択に関して、保護具は、2つの主なカテゴリーである、金属またはポリマーに分けられ得る。金属製のものと比べて、ポリマーまたはプラスチックの針先保護具の利点としては、針がカテーテルから引っ込められる場合、減少したノイズ(音)またはわずかな振動が挙げられる。さらに、それらは、例えば、より広範な設計の機会を提供する、成型により製造され得る。
【0006】
例えば患者の静脈と連通し得る医療装置の一部と接触するように保護具が取り付けられる場合、保護具の設計において鋭端などを含めることを回避することが望まれる。そのような端部または同様の形状は、患者に対して健康被害を表す粒子または薄片の剥離および放出を生じる。従って、カテーテルハブの内側などの医療装置の接触する重要な部分が平滑のみの形状であるように保護具を設計することが望まれる。
【0007】
しかしながら、保護具および医療器具の一部などの2つの胴体の接触する平滑な形状は、特に接触面積が大きく、それらが一緒に加圧される場合、それらの部分の間で顕著な引力を生じ得る。この種類の引力の元になるものには、分子のファンデルワールス相互作用および2つの胴体の表面張力が重要な要因である、2つの胴体の間の分子間引力が含まれる。密接する相互作用表面間の共有結合形成もまた、引力の原因となり得る。この種類の引力は、保護具またはその一部が、その目的とする機能の一部として医療装置の接触部分からまさに解放されようとする場合に顕著になり得る。そして装置から保護具またはその一部を解放するのに必要とされる力は、予想されるよりも顕著に大きくなる。今後、「引力作用」と称される、この作用は、例えばカテーテルハブの内部などの医療装置の一部からの、バネにより付勢されるアームなどの保護具の一部の自動解放に依存する場合、保護具の意図される機能を危険にさえし得る。
【0008】
Poly Medicure Ltdによる特許文献1は、基部に取り付けられた対向する顎部(jaw)の間に針を受容でき、針による影響を受け得る、プラスチック材料から作製され得る、基部を備える静脈内カテーテル装置についての針が安全な装置を開示している。その顎部は、基部から離れて配置された顎部と接続している環を有する。その顎部は、それらが、静脈内カテーテル装置のウィングハウジング内の障害物と相互作用する、拡張された位置の間を移動できる。その顎部は、針先が顎部を通過すると、針先周囲の近くで、拡張された場合、基部と共に針の相対運動を可能にし、顎部が折り畳まれた場合、基部と共に針の相対運動を防ぐ。
【0009】
Donald J.McLeesによる特許文献2は、プラスチック材料から作製され得る針先ガードを記載している。針の存在は外側に広がったガードの端部を維持するので、例えば針がカテーテルから引っ込められるまで、中にきつく保持される保持リングによってカテーテルハブを内側に保持する。その時に、針先のわずかに広がった部分がガードを捕らえ、ガードの端部を先端上に近接させ、ハブからガードを引っ張る。
【0010】
特許文献1および特許文献2に記載されている針先ガードの機能は、針がハブから引っ込められるまで、所定の位置でガードを維持するためにカテーテルハブの内側の1つまたはいくつかの障害物、例えば突起物または溝の存在に依存する。このような障害物の必要性の不都合な点としては、よりシンプルな標準的なカテーテルハブと比べて、より高価であり、製造することが困難である、特別に設計されたカテーテルハブを使用する必要性が挙げられる。さらに、特許文献1または特許文献2のいずれにも、引力作用または対応する現象が記載されていない。従って、それらに記載されている1つまたはいくつかのガードは、この作用を考慮せずに設計されており、それ故、対応するガードの機能性および/または安全性がこのことに起因して妥協され得ることを排除できない。
【0011】
従って、カテーテルハブの導入についての使用後、針の針先を自動的に保護するための改良された器具が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】独国特許第2451153A号明細書
【特許文献2】米国特許第5135504A号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記の不都合な点を考慮して、本発明の目的は、比較的シンプルで標準的なカテーテルハブに使用され得る針先保護具を提供することである。
【0014】
本発明の別の目的は、望まれる機能が引力作用により受ける影響を最低限にする、カテーテル器具を提供することである。
【0015】
本発明のさらに別の目的は、低コストで容易に製造され得る針先保護具を提供することである。
【0016】
本発明のさらに別の目的は、患者および使用者にとって非常に安全である針先保護具を提供することである。
【0017】
本発明のさらに別の目的は、針がカテーテルから引っ込められる場合、わずかな振動および/または音を生じない針先保護具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらおよび他の目的は、以下の説明から明らかになり、ここで、本発明の一態様に係る器具によって達成される。本発明は、針先保護具と、針と、針搬送ユニットと、カテーテルユニットとを備える、カテーテル器具であって、前記カテーテルユニットは、カテーテルハブと、カテーテルとを備え、前記針先保護具および前記カテーテルハブは互いから分離され、前記針は針先を備え、前記カテーテルハブは、カテーテルハブ遠位端およびカテーテルハブ近位端を備え、前記カテーテルハブ遠位端は、そこから延びる前記カテーテルと、カテーテルハブ開口部とを有し、前記カテーテルハブ開口部は、カテーテルハブ環状空間を画定し、前記針搬送ユニットは、針搬送ユニット遠位端および針搬送ユニット近位端をさらに備え、前記針搬送ユニット遠位端は、そこから延びる前記針を有し、前記針が準備位置にある場合、前記針は前記カテーテル内に突出し、前記針は、針先保護具内に部分的に配置され、針搬送ユニットと摺動可能に係合し、前記針が完全に引っ込められた位置にある場合、前記針先は前記カテーテルから完全に引き抜かれ、前記針先保護具は前記針先を遠位部で保護し、完全に引っ込められた位置において、停止部材が、前記針先保護具の前記針に対する遠位部の動きを防ぎ、前記針先保護具が、前記針先保護具と前記カテーテルユニットとの間の少なくとも1つの接触面を介して前記準備位置において前記カテーテルユニットとの接触を維持し、前記針先保護具の前記少なくとも1つの接触面は、少なくとも部分的に第1のポリマー材料であり、前記カテーテルユニットの前記少なくとも1つの接触面は、少なくとも部分的に第2のポリマー材料である、カテーテル器具である。
【0019】
本発明の別の態様によれば、前記1のポリマー材料は、前記第2のポリマー材料とは異なるポリマーであり、前記第2のポリマー材料は、エテンの二重結合が単結合に変換される重合反応により置換または非置換エテンから製造された少なくとも1つのポリマーを含む。
【0020】
本発明のさらに別の態様によれば、前記針先保護具は、前記準備位置において前記カテーテルハブ環状空間内に配置される。
【0021】
本発明のさらに別の態様によれば、前記針先保護具は、第1の位置および第2の位置を有する弾性付勢部分をさらに備え、前記第1の位置は、前記準備位置において前記中空の針の針シャフトに隣接した前記弾性付勢部分により特徴付けられ、前記第2の位置は、前記完全に引っ込められた位置において前記針先を保護する前記弾性付勢部分により特徴付けられる。
【0022】
本発明のさらに別の態様によれば、前記弾性付勢部分は少なくとも1つの弾性アームを含む。
【0023】
本発明のさらに別の態様によれば、前記針搬送ユニットは孔を備える。
【0024】
本発明のさらに別の態様によれば、前記少なくとも1つの接触面が、前記針先保護具および前記カテーテルハブを取り外し可能に係合するための少なくとも1つの突起部または摩擦要素を備える。
【0025】
本発明のさらに別の態様によれば、前記停止部材は、前記針先保護具または前記針搬送ユニットと係合するための前記針先付近の前記針上の拡張領域を備え、それにより、前記針に対する前記針先保護具の遠位部の動きを防ぐ。
【0026】
本発明のさらに別の態様によれば、前記停止部材は、遠位端にて前記針先保護具に接続され、近位端にて針ユニットに接続される少なくとも1つの摩擦要素、または折り畳み可能なストリングもしくはストライプを含み、前記折り畳み可能なストリングまたはストライプの長さは前記針の長さ未満である。
【0027】
本発明の別の態様によれば、孔と、結合点から延びる弾性アームとを備える、カテーテル器具において組み立てられるポリマー針先保護具であって、前記弾性アームは静止状態を有し、該静止状態から、軸方向において前記孔を通る自由通路を生じるように付勢されることができ、前記弾性アームは、前記孔を通して延びる中空の針の針先を保護するためのL字形を有する後方フック延長部を一緒に有し、前記弾性アームが前記静止状態にある場合、軸方向において前記孔を長手方向に延びる任意の直線の仮想上の線が、前記弾性アームの前記L字形における前記結合点と内側の角との間の前記弾性アームの表面上の点と一致し、前記弾性アームが、前記後方フック延長部と協働して偶発的な接触から前記針先を保護する場合、前記任意の直線の仮想上の線が、前記後方フック延長部の表面上の点、または前記結合点と前記角との間の表面上の点と一致し、前記弾性アームまたは前記後方フック延長部は、最大の1つの外部接触点を有し、前記接触点は、使用される場合、前記中空の針の任意の部分と接触する、ポリマー針先保護具が開示される。
【0028】
本発明のさらに別の態様によれば、針先保護具には、少なくとも1つの突起部または少なくとも1つのスリットがさらに設けられるか、または前記針先保護具の外面に、粗い面の形態の摩擦要素が設けられる。
【0029】
本発明のさらに別の態様によれば、針先保護具は、共有結合したOまたはS原子を含む熱可塑性ポリマーから作製される。
【0030】
本発明のさらなる特徴およびその実施形態は、添付の特許請求の範囲に記載される。
【0031】
本発明のこれらおよび他の態様、特徴および利点は、添付の図面を参照して、本発明の非限定的な実施形態の以下の説明から明らかになり、解明されるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】カテーテル管の導入に使用する前の、使用する準備ができている状態のカテーテル器具1000の側面から見た断面図であり、本発明の実施形態に係る針先保護具100と、カテーテルハブ200と、針ユニット300とを備える。
図2】拡張領域305が弾性アーム103の接触点に到達する点まで引っ込められた中空の針303を有するカテーテルハブ200内に適合される図1の針先保護具100の側面から見た断面図である。
図3】拡張領域305が孔102に到達する点まで引っ込められ、それにより、針先保護具100をカテーテルハブ200から分離することを除いて、カテーテルハブ200に対する中空の針303のさらなる後方への移動が防がれる、中空の針303を有するカテーテルハブ200内に適合される図1の針先保護具100の側面から見た断面図である。
図4】カテーテルハブ200から分離されている図1の針先保護具100の側面から見た断面図であり、中空の針303は、孔102の最前端から距離D1に拡張領域305の後端を有して前方に押し出され、それにより、針先304は角(コーナー)104と一致している。
図5】本発明の実施形態に係る、円形の後側106、円形の前側107、円形の後側106および円形の前側107に接続している外面108を有する胴体と、円形の後側106から円形の前側107まで延びる円形孔102と、胴体の前側107から延びる弾性アーム103と、を備える、針先保護具100の斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る、前側107上の円錐形の隆起部109、外面108上の複数の突起部101を備える、針先保護具100の側面から見た図である。
図7】本発明の実施形態に係る、図6の針先保護具100の側面から見た図であり、円錐形の隆起部109が弾性アーム107と融合している。
図8】本発明の実施形態に係る、図6または7の針先保護具100の後側106から見た図である。
図9】本発明の実施形態に係る、針先保護具100の長手方向に延びる均一に分散した湾曲したスリット111を備える針先保護具100の後側106から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
当業者が本発明を実施できるように、本発明の実施形態を添付の図面を参照して以下により詳細に記載する。しかしながら、本発明は多くの異なる形態で具現化されてもよく、本明細書に記載される実施形態に限定されるものと解釈されるべきではない。むしろ、これらの実施形態は、本開示を全体にわたって完全にし、当業者に本発明の範囲を完全に伝えるように提供される。この実施形態は本発明を限定するものではなく、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、添付の図面に例示された特定の実施形態の詳細な説明に使用される専門用語は本発明を限定するものと意図されない。
【0034】
ここで、本発明の実施形態を図1〜9を参照して以下に記載する。
【0035】
カテーテル器具1000
本発明に係るカテーテル器具1000は、実質的に、針先保護具100、針303、針搬送ユニット、およびカテーテルユニットを備える。
【0036】
針303は、好ましくは、中空の針303であるが、他の種類の針、例えば中実の針などであってもよい。
【0037】
針先保護具100は、中空の針303がカテーテルユニットから引っ込められる場合、すなわち完全に後退した位置にある場合、中空の針303の針先304を保護するための手段を備え、それにより、針先保護具100の保護機能が作動される。しかしながら、これらの手段は、準備位置(すぐに使用できる状態)においてなどで保護機能が作動されない場合、中空の針303を、カテーテルユニット内で前後に摺動(スライド)できるようにして、実質的に、使用者が、カテーテル器具1000のカテーテル201の挿入後に、中空の針303を引っ込めることができる。好ましくは、これらの手段は、例えばカテーテル器具1000の準備位置に対応する第1の位置において、中空の針303のシャフトに隣接する、弾性付勢部分を備える。中空の針303の完全に引っ込められた位置に対応する第2の位置において、この弾性付勢部分は、中空の針303が、針先保護具100に対して前方へ押し出されることを防止し、同時に偶発的な接触から針先304を保護する。追加の好適な非弾性手段としては、例えば当該技術分野において公知である、バネにより第2の位置に付勢されるアーム、o−リングなどが挙げられる。
【0038】
カテーテル器具1000は、好ましくは、中空の針303が引っ込められるか、またはカテーテルユニットに対して前方に押し出される場合、中空の針303の長手方向の動きを支援するための針搬送ユニットを備えもよい。針搬送ユニットは、好ましくは、針先保護具100と一体化される。それはまた、別個の部分から構成されてもよいか、またはカテーテル器具1000の他の部分と一体化された部分から構成されてもよい。好ましくは、針搬送ユニットは、中空の針303のシャフトよりわずかに大きい直径を有する孔102などの1つまたは複数の孔により構成される。追加の針搬送ユニットとしては、反対側(両側)から中空の針のシャフトに隣接する、バネ、クリップなどが挙げられる。好ましくは、カテーテルユニットの近位端内、または近位端での針搬送ユニットとカテーテルユニットとの接続は、このように、カテーテルユニットの長手方向に垂直な方向において中空の針303の動きを制限する。
【0039】
カテーテルユニットはカテーテルハブ200を備え、その遠位端からカテーテル201が延びる。カテーテルハブ200の内部容積、すなわちカテーテルハブ環状空間は、カテーテルハブ200の内面、遠位端、および近位開口部の面により制限される。好ましくは、針先保護具100は、カテーテルハブ環状空間内の準備位置においてカテーテルハブ200内部に取り外し可能に取り付けられて、カテーテルハブの近位端で、好ましくはカテーテルハブの環状空間内で針ユニット300の接続を可能にする。有益には、使用するために追加の余分な部分をこのように必要とせず、針ユニット300、カテーテルユニット、および針先保護具100を結合する。しかしながら、本発明の針先保護具100は、当該技術分野において公知のような追加の部分により、カテーテルハブの環状空間の外側でカテーテルハブ200に連結されてもよい。
【0040】
カテーテルハブ200内部に針先保護具100を取り外し可能に取り付けるための手段は、例えば、カテーテルハブ200の内面と接触する外面108などの表面に位置する少なくとも1つの突起部101を含む。このような突起部101は、カテーテルハブ200の内面に印(インプリント)を生成し得る。代替として、カテーテルハブ200の内面に、針先保護具100の接触面において印(インプリント)を生成する少なくとも1つの突起部が設けられてもよい。他の手段は摩擦による結合を含む。カテーテルハブ200の内面および/または針先保護具100の接触面には、次いで、針先保護具100をカテーテルハブ200から取り外すのに必要とされる力を制御するための、当該技術分野において公知の好適な粗さ(粗度)が提供される。従って、それらの表面の1つまたは両方には、粗さ(粗度)の形態で摩擦要素が設けられる。例えば、針先保護具100の外面108には、例えば少なくとも0.4Ra、好ましくは2.2〜3.3Raの粗度を有する粗い面の形態で摩擦要素が設けられてもよい。なおさらなる手段は、弾性付勢部分を含む針先保護具100に位置する1つまたは複数の突起部または溝を含み、それらは、当該技術分野において公知のカテーテルハブ200に位置する、対応する溝または突起部とそれぞれ係合する。中空の針303を引っ込めると、この係合は、針のシャフトによりその静止位置から付勢されている部分の弛緩に起因して外れ、針先保護具100が解放される。針先保護具100にはまた、当該技術分野において公知の好適に成形されたスリット111が設けられてもよく、カテーテルハブ200の内面などのカテーテルユニットの内面と接触する針先保護具100の部分の圧縮を可能にする。この部分が圧縮されない場合、その有効外径は、例えばカテーテルハブ200の内径よりわずかに大きい。この部分が圧縮される場合、有効外径は、例えばカテーテルハブ200の内径と等しいかまたはわずかに小さい。従って、例えばカテーテルハブの環状空間に取り付けられる場合、針先保護具は、内在する摩擦と併せて垂直力によりその中に取り外し可能に保持される。その部分は、好ましくは、圧縮されない寸法に内在的に達しようとする壊れにくいポリマーから作製される。
【0041】
完全に引っ込められた位置において、中空の針303は、停止部材、すなわち係合手段により針先保護具100と係合し、それにより、針先保護具100に対する後方へのさらなる動きが防がれる。従って、針先304は、針先保護具100の近位端を超えて引っ込められることはできない。さらに、針先304は、本明細書上記の針先304を保護するこの位置において針先304を保護するための手段によって保護される。従って、完全に引っ込められた位置において、係合手段は、中空の針303の遠位端から近位端に対する方向において針先保護具100の動きを中空の針303の動きと同時にし(同期し)、それにより、中空の針303の遠位端から近位端に対する方向において中空の針303の後方への動きが、針先保護具100の実質的に同じ後方への動きを生じる。係合手段、すなわち停止部材は、好ましくは、針先保護具100の孔102などの部分と係合する針先304付近の中空の針303のシャフト上に拡張領域305を構成する。他の係合手段は摩擦による連結(結合)を含む。次いで、孔102の内面および針先304付近の中空の針303の外面には、係合を固定するための、当該技術分野において公知の好適な粗度、すなわち摩擦要素が設けられてもよい。追加の係合手段は、針先保護具100に一端で留められ、当該技術分野において公知の針ユニット300に他端で留められた規定された、折り畳まれていない長さを有する折り畳み可能なストリングまたはストライプを含む。完全に引っ込められた位置に到達すると、ストリングまたはストライプはその最大長さまで延び、それにより、針先保護具100に対する中空の針303のさらなる引っ込みが防がれる。好ましくは、折り畳み可能なストリングまたはストライプの長さは針303の長さ未満である。
【0042】
完全に引っ込められた位置まで中空の針303が引っ込められた後、針先保護具100はカテーテルユニットから分離されて、針ユニット300に含まれる針先304が偶発的な接触から防止された状態で針ユニット300の処分を可能にする。このように引っ込められることは、好ましくは、針ユニット300をわずかに後方にグイと(急に)引っ張ること(jerk)によってなされる。カテーテルハブ200内部に針先保護具100を取り外し可能に取り付けるための上記の手段は、好ましくは、当該技術分野において公知であるように適合されて、中空の針303を針先保護具100と係合するための上記の係合手段の意図する機能を妥協せずに、針先保護具100の容易な分離を可能にする。
【0043】
同じポリマー材料から作製された研磨された平らな表面が、異なるポリマー材料から作製された対応する平らな表面より大きな程度で互いに引き合うことが驚くべきことに発見された。理論に束縛されずに、本出願人らは、同じポリマー材料と異なるポリマー材料との間の引力作用のこの相違は、同じポリマー材料と比較して、異なるポリマー材料間の減少したファンデルワールス引力に起因するものと想定する。さらに、理論に束縛されずに、本出願人らは、異なるポリマー材料の2つの接触面にわたる共有結合の形成に関する傾向が、同じポリマー材料の場合と比べて減少すると想定する。同様に、微量の存在するモノマーまたは反応性官能基も要因であり得る。
【0044】
従って、異なる材料から作製されたカテーテル器具(1000)の接触部分、特に所望の機能を達成するために互いから分離されることを必要とするこのような部分を有することにより、引力作用に起因する誤作動の危険性が減少する。特に、それ故、針先保護具100の接触部分は、好ましくは、カテーテルハブ200などのカテーテルユニットの対応する接触部分の材料とは異なる材料から作製される。好ましくは、針先保護具100は第1のポリマー材料から作製され、カテーテルハブ200は第2のポリマー材料から作製される。
【0045】
一実施形態によれば、針先304を保護するための針先保護具100の手段は1つの弾性アーム103を含む。
【0046】
一実施形態によれば、針先304を保護するための針先保護具100の手段は当該技術分野において公知の複数の弾性アームを含む。
【0047】
一実施形態によれば、針先保護具100は、準備位置においてカテーテルハブの環状空間内に配置される。
【0048】
一実施形態によれば、針先保護具100は、準備位置においてカテーテルハブの環状空間の外側に配置される。
【0049】
図1を参照すると、本発明の一実施形態に係る針先保護具100と、カテーテルハブ200と、針ユニット300とを備えるカテーテル器具1000が提供される。針ユニット300には、カテーテルハブ200に接続するための接続手段301と、外部器具、例えばシリンジなどに接続するための接続手段302とが提供される。それは、中空の針303の後端周囲に、成型または接着などの当該技術分野において公知であるように機械的かつ密封して固定され、それにより、針ユニット300の後端から中空の針303の針先304まで、針先304を通して、両方の方向において液体の通過が可能となる。中空の針303は、患者の皮膚を貫通する、金属および通常使用される種類のものおよび医学分野において周知のものから作製され得る。
【0050】
針先保護具100はカテーテルハブ200内部に適合されるので、針先保護具100の外面はカテーテルハブ200の内面と接触する。カテーテルハブ200に対する針先保護具100の動きは、針先保護具100の外面108に位置する、少なくとも1つの突起部101により制限され得る。突起部101は、カテーテルハブ200の内面、およびそれが接触する場所に、対応する印(インプリント)を生成する。中空の針303は、針先保護具100の孔102を通して長手方向に移動できる。孔102は、その中で摺動できる中空の針303に適合される直径を有する。孔102の直径は、例えば、中空の針303の外径よりわずかに大きくてもよいか、または同じであってもよい。中空の針303には、針先304付近に拡張領域305が設けられる。拡張領域305は、有効直径が、後方の中空の針303の方向において針上のいずれの場所よりも大きい中空の針303上の領域である。拡張領域305による中空の針303の有効直径の増加は、この領域が孔102を通して移動できないという効果を有する。
【0051】
針先保護具100には弾性アーム103が設けられ、その弾性アーム103は、中空の針303の外面によって、その3次元平衡状態、すなわち通常の静止位置または静止状態から伸びる。弾性アーム103との接触にもかかわらず、中空の針303は、その弾性アーム103に対して摺動するように配置されるので、長手方向に移動できる。カテーテルハブ200はカテーテル201に接続され、そのカテーテル201は中空の針303と同じ方向において長手方向に延びる。カテーテル201は、好ましくはフレキシブルであり、一般に使用されている種類のものであり、医薬分野において周知のものである。カテーテル201の内径は中空の針303の外径よりわずかに大きくてもよく、中空の針303および拡張領域305がカテーテル201内で摺動できるように配置される。
【0052】
使用できる準備の状態、すなわちカテーテル管を導入するために使用する前に、カテーテル器具1000の以下の特徴が有効である:(i)針ユニット300が接続手段301によりカテーテルハブ200に接続される。(ii)中空の針303が、カテーテルハブ200内に適合される針先保護具100の孔102を通して延び、それにより、カテーテルハブ200に対する針先保護具100の移動が制限される。中空の針303は弾性アーム103と接触するので、その通常の静止位置から付勢される。(iii)中空の針303はさらにカテーテル201を通して延びるので、患者の皮膚の貫通を容易にするために、針先304がカテーテル201の開口部をわずかに超えて突出する。
【0053】
使用できる準備の状態の場合、カテーテル器具1000は、以下の順序の工程に従ってカテーテル201などのカテーテル管を導入するために、看護師または他の医療従事者などの使用者により使用されてもよい:(i)針先304による患者の皮膚の貫通、続いてカテーテル201の開口部が静脈内などの所望の体腔に配置されるようにカテーテル201を挿入する。(ii)医療テープなどを用いる当該技術分野において周知の手段によりカテーテルハブ200を患者の皮膚に固定する。(iii)接続手段301を分離し、続いて針ユニット300を保持し、針先保護具100が分離されるまで、後方へ引っ張ることによって中空の針303を引っ込め、それにより、針先保護具100の弾性アーム103が、針先304を偶発的に皮膚を貫通できないように保護する。
【0054】
図2、3および4を参照して、上記の(iii)に従って中空の針303を引っ込める際に生じる種々の事象の詳細な説明を以下に記載する。
【0055】
中空の針303が、拡張領域305が弾性アーム103の接触点に到達する点まで引っ込められる場合、弾性アーム103はわずかに離れて曲がり、引っ込める力をわずかに増加させて中空の針303を容易に通過させる(図2)。拡張領域305が特定の種類であり、弾性アームが、増加した有効直径を有するいかなる領域とも接触しないように拡張領域305が中空の針303に配置される場合、弾性アームはわずかに離れて曲がらなくてもよい。このような拡張領域305の例としては、突出している隆起部、例えば中空の針303上の、弾性アームの接触点から対向している突き合わせ溶接が挙げられる。他の可能な拡張領域305の例としては、当該技術分野において周知のひだ(クリンプ)または任意の他の突出している歪み(歪曲)が挙げられる。
【0056】
針先304が弾性アーム103の接触点を通過する点まで中空の針303をさらに引っ込めることにより、弾性アーム103はその通常の静止位置の方へ戻ろうとし、弾性アーム103の一部、またはその範囲が針先304の前部に位置する(図3)。弾性アーム103の静止位置は、長手方向軸周囲の中空の針303の回転度と関係なく、弾性アームの角(コーナー)104と結合点105との間に位置する弾性アーム103の表面の点上で、中空の針303の長手方向において針先304が常に突出する。従って、針先304は弾性アーム103により固定され、保護される。
【0057】
この点を超えて後方へ引かれる場合、中空の針303は、弾性アーム103またはその範囲により妨げられずに再び前方へ押し出されることはできない。それ故、使用者が中空の針303を前方へ押すことを試みる場合、針先304は弾性アーム103内にわずかに貫通し得る。好ましくは、弾性アーム103は、この貫通が角104で起こるように配置される(図4)。
【0058】
拡張領域305が孔102に到達する点まで中空の針303をさらに引っ込めることにより、中空の針303は針先保護具100と係合する、すなわち針先保護具100内で詰まる(図3)。中空の針303を引っ込める力のさらなる増加により、針先保護具100がカテーテルハブ200から分離する。従って、中空の針303は、針先保護具100と一緒にカテーテルハブ200から解放され、その針先保護具100は、針先304を効果的に固定し、使用者がその針先304と偶発的に接触することから保護する。針先保護具100をカテーテルハブ200から分離するのに必要とされる力は、とりわけ、中空の針303の範囲および孔102の中心と等しい仮想上の線L1と、カテーテルハブ200の内面と接触する針先保護具100の表面上の2点と一致する、L1と同じ平面に延びる直線である仮想上の線L2との間の角度に依存し、前記点は突起部101の表面の外側に位置する(図3)。好ましくは、この角度は、拡張領域305が孔102に到達するまで中空の針303が引っ込められる場合、針先保護具100がカテーテルハブから分離されないような角度である。しかしながら、針先保護具100は、好ましくは、拡張領域305が孔102に到達する場合、例えば穏やかにグイと後方に引くことなどにより容易に分離される。中空の針303および針先保護具100がカテーテルハブ200から解放される場合、または針先保護具100がカテーテルハブ200内に適合され、針先304が弾性アーム103またはその範囲により固定される場合、拡張領域305の後端が、孔102の最前端から距離D1、前方に動くように、中空の針303は前方に押し出されなければならず、その間、針先304は、角104と一致するまで、弾性アーム103の表面上で摺動し得る(図4)。好ましくは、中空の針303上の拡張領域305の位置は、中空の針303が引っ込められる場合、弾性アーム103またはその範囲が針先304を固定しながら、距離D1が最小化されるように選択される。
【0059】
接続手段301および302は、独立して、使用者が針ユニット300をカテーテルハブ200に接続し、所望されるように、カテーテルハブ200から針ユニット300、および外部装置から針ユニット300をそれぞれ分離できる、種々の接続の種類から選択され得る。そのような接続の種類の例としては、Luer−Lok(登録商標)、Luer−Slip(登録商標)、および当該技術分野において周知の種々の種類のバヨネットソケットなどが挙げられる。好ましくは、接続手段301および302、特に接続手段302は気密であり、血液または任意の他の体液などの気体または液体が通過できない。
【0060】
一実施形態に係る図4を参照すると、中空の針303上の拡張領域305の位置は、中空の針303が引っ込められる場合、弾性アーム103またはその範囲を針先304に固定できるようにしながら、距離D1が最小化されるように選択される。
【0061】
一実施形態によれば、カテーテルハブ200には、その配置を容易にし、その使用を最適化する、当該技術分野において周知の追加の器具などが設けられてもよい。例えば、カテーテルハブ200には、弁、ガスケット、固定器具、針の血液残渣を乾燥させる手段などが設けられてもよい。
【0062】
針先保護具100
本発明の一実施形態に係る図5を参照すると、針先保護具100は、後側106、前側107、後側106および前側107と接続している外面108、好ましくは円形であり、後側106から前側107まで延びる孔102を有する胴体と、その胴体の前側107から延びる弾性アーム103とを備える。後側106および前側107は実質的に平らであってもよく、実質的に互いに平行であってもよい。孔102は、後側106の面、および前側107の面に実質的に垂直に延びてもよい。孔102は、好ましくは、後側106の中心および前側107の中心に実質的に位置する。直線の仮想上の線L2は、後側106と外面108との間の端部(縁)における点P1、および前側107と外面108との間の端部(縁)において点P1から可能な最短の距離の点P2と一致する。いずれかの対の点P1およびP2において、P1からP2に延びる線L2の一部は、好ましくは、外面108と実質的に一致する。孔102の中心を通して長手方向に延びる直線の仮想上の線L1は、好ましくは、いずれかの線L2の面と実質的に一致する。L1と平行し、孔102を通して長手方向に延びる任意の仮想上の直線は、弾性アームがその静止状態にある場合、結合点105(図5に示さず)と、弾性アーム103の角104との間の表面の点と一致する。結合点105は、前側107と、孔102に最も近接する弾性アーム103の側との間の遷移を画定する端部である。弾性アーム103がその静止状態にある場合、角104は、前側107の面に対する弾性アーム103の急な湾曲を画定する。従って、弾性アーム103はL字形状をなし、L字の水平線は弾性アーム103の後方フック延長部110に対応する。本発明に係る針先保護具100の形状は、従来技術の装置と比べて、カテーテルハブ200から分離する時に保護物(シールド)として作用する利点を有する。従って、その保護具は、中空の針303が取り除かれると、カテーテルハブ200の内側から外側に移動し得る血液または体液の液滴に対してそれ自体で優れた保護を提供する。
【0063】
好ましくは、弾性アーム103または後方フック延長部110は、中空の針303の位置とは関係なくカテーテルハブ200の内面と決して接触できないように寸法決めされ、前側107の所定の位置に取り付けられる。そのような接触は、カテーテルハブ200内の針先保護具の意図される配置を脅かす可能性があるからである。
【0064】
好ましくは、弾性アーム103がその静止状態から最大限付勢して動く間(中空の針303の回転に応じて、針先304が異なる配位になる場合)、針先304が角104に固定される、すなわち保護される場合、後方フック延長部110の領域は孔102の突出している領域を完全に覆う。これにより、弾性アーム103が、例えば横から付与される外力により曲げられる事象で針先304がカバーされていない危険性が最小化される。弾性アーム103に対応する1つより多いアームまたは顎部が共同で使用される場合、このような配置(設定(setup))はできない。なぜならそれらはこの点で互いに対向して作用するからである。
【0065】
一実施形態によれば、針先保護具100は円形を有するので、後側106および前側107は、中空の針303の方向に沿って見ると円形を示す。
【0066】
一実施形態によれば、針先保護具100は楕円形状を有するので、後側106および前側107は、中空の針303の方向に沿って見ると楕円形を示す。
【0067】
一実施形態によれば、孔102は後側106および前側107の中心にある。
【0068】
一実施形態によれば、後側106は、3〜6mm、好ましくは3.9〜4.3mm、さらにより好ましくは4.1〜4.15mmの範囲の直径を有する。
【0069】
一実施形態によれば、後側106には円錐形隆起部109が設けられ、その円錐形隆起部109を通して孔102が延びる。従って、孔102の有効長さが長くなり、これにより、例えば、P1とP2との間の距離を増加させることによって外面108の領域を増加させずに中空の針303のより良い誘導が可能となる。さらに、円錐形の領域には、例えば中空の針303が引っ込められると、その中空の針303から血液の残渣を除去する、円形のスクレーパなどの当該技術分野において公知の手段が設けられてもよい。
【0070】
一実施形態によれば、長手方向において外面108の幅、すなわち前側107と後側106との間の距離は0.5〜15mm、好ましくは1〜3mmである。
【0071】
一実施形態によれば、孔102の直径は0.2〜1.5mm、例えば0.62〜0.64mmの範囲である。
【0072】
一実施形態によれば、前側107には、円錐形隆起部109が設けられる(図6)。弾性アーム103および円錐形隆起部の構成、例えば位置決めおよび寸法は、弾性アーム103の意図される機能が妨げられないようになされる。従って、弾性アーム103の静止位置は、長手方向軸周囲の中空の針303の回転度と関係なく弾性アーム103の角104と結合点105との間に配置される弾性アーム103の表面の点上に、孔102に位置する中空の針303(図示せず)の長手方向において、針先304が常に突出するようになされる。円錐形隆起部109が前側107に位置する場合、後側106は好ましくは実質的に平らである。これにより、後側106の表面全体と実質的に接触する道具を利用して針先保護具100をカテーテルハブ内に押すことによって、カテーテルハブ200における針先保護具100の組み立てが容易になり得る。
【0073】
一実施形態によれば、円錐形隆起部109は弾性アーム107と融合する(図7)。従って、弾性アーム103は保護静止位置にさらに付勢され、針先保護具100の機能喪失の危険性を減少させる。さらに、針先保護具100は例えば成型により、より容易に製造され得る。
【0074】
一実施形態によれば、針先保護具100には、外面108に位置する上述の突起部101が設けられる。突起部101は、針先保護具100がカテーテルハブ内に位置する場合、カテーテルハブ200の周囲材料において印(インプリント)を生成する。突起部101とカテーテルハブ200との間の機械的相互作用および突起部101により生成される対応する印(インプリント)は、針先保護具100のカテーテルハブ200からの意図的でない分離の危険性を減少させる。
【0075】
一実施形態によれば、突起部101は、外面108周囲の連続したループで延びる環状突起部である。
【0076】
一実施形態によれば、突起部101は、外面108周囲の連続したループで延びる環状突起部であり、L1に垂直な面に位置する。
【0077】
別の実施形態によれば、突起部101は、それに対する相対運動を防ぐために、点、直線の細長い形状、湾曲した細長い形状、V字形状、および対象物に印(インプリント)を生成する当該技術分野において公知の任意の他の形状、例えば柔らかい地面で使用するのに適したタイヤの表面の形状などからなる群から独立して選択される単一または複数の突起部であってもよい。
【0078】
一実施形態によれば、突起部101は、カテーテルハブ200に印(インプリント)を効果的に達成するために、カテーテルハブ200の内面の硬度より硬い材料から作製されてもよい。好ましくは、突起部101は、針先保護具100の容易かつ経済的に有益な生産を可能にするために、針先保護具100の残りと同じ材料から作製される。
【0079】
一実施形態によれば、突起部101の種類、多重度および寸法は、針先保護具100のカテーテルハブ200からの意図的でない分離が起こり得ず、さらに、中空の針303が引っ込められる場合、意図的な分離を容易にし得るように選択される。例えば、突起部101は、外面108から0.01〜0.3mm、例えば0.03〜0.1mmの範囲の高さで外面108周囲に連続したループで延びる環状突起部であってもよい。
【0080】
一実施形態によれば、突起部101は外面108上の複数の突起部であってもよい(図6〜8)。それらは、後側106と外面108との間の角で開始してもよく、後側106および/または前側107の面に垂直な面で、前側107の方へ延びる。好ましくは、それらは、外面108の延在部に沿って均一に分散される。外面108に沿ったそれらの延在部は、外面108に沿って後側106と前側107との間の10〜95%の距離であってもよい。好ましくは、前側107に最も近い終点は、カテーテルハブ200内への挿入を容易にし得る平滑な傾斜から構成される。外面108上の複数の突起部は、外面108から0.01〜0.3mm、好ましくは0.03〜0.1mm、より好ましくは0.04〜0.06mmの範囲の高さを有し得る。外面108上の複数の突起部は、1〜20個、好ましくは2〜12個の個々の突起部から構成されてもよく、それらは、同じまたは異なる長さおよび/または高さであってもよい。好ましくは、それらは等しい長さおよび高さである。
【0081】
一実施形態によれば、図9を参照すると、針先保護具100にはスリット111が設けられる。これらのスリット111は、1〜20個、好ましくは2〜8個であってもよく、好ましくは外面108周囲に均一に分散される。それらは、後側106から前側107まで針先保護具100の長手方向に実質的に延びてもよい。外面108から中心軸、すなわち線L1に対するそれらの延在部は、外面108から中心軸までの実質的に最短の距離に沿ってあり得るか、または中心軸を交差しない外面108の1点から外面108の他点までの線に沿ってあり得る。前者の場合、スリット111は好ましくは湾曲している。後者の場合、スリット111は湾曲であっても、直線であってもよい。上記のスリット111の利点は、第1の材料から作製されるカテーテルハブ200と、第2の材料の針先保護具100との可能な組み合わせを含み、第1の材料は第2の材料より硬い。なぜなら、所望の機能を達成するための印(インプリント)を生成する必要がないからである。
【0082】
一実施形態によれば、カテーテルハブ200などのカテーテル器具1000のいずれかの他の部分と接触し得る、突起部101または外面108などの針先保護具100のいずれかの部分は、接触し得るカテーテル器具1000の部分の材料と異なる材料から作製される。従って、有益には、引力作用に起因するカテーテル器具1000の故障の危険性が最小化される。
【0083】
一実施形態によれば、外面108の表面、突起部101、およびカテーテルハブ200の内側の接触面は当該技術分野において公知のように研磨されて、それらの表面間の摩擦が最小化される。外面108および突起部101は、好ましくはカテーテルハブ200の内側のポリマーまたはプラスチックの材料と異なる、好ましくはポリマーまたはプラスチックの材料から作製される。従って、カテーテルハブ200から針先保護具100を解放するのに必要とされる力の程度に影響を与え得る摩擦および引力作用などの潜在的な付加的要因が減少される。従って、カテーテルハブ200から針先保護具100を解放するのに必要とされる力は、次いで、突起部101の設計および寸法に主に依存する。これらの付加的要因の減少により、針先保護具100を取り出すのに必要とされる力の少ない変化でカテーテル器具1000の製造および組み立てが可能となり、これにより例えば安全性が高まる。
【0084】
一実施形態によれば、針先保護具100の外面108の傾斜、すなわち線L1とL2との間の角度は、0°〜10°の範囲内、好ましくは4°〜8°の範囲内、さらにより好ましくは6°である。好ましくは、外面108の傾斜は、カテーテル器具1000が使用する準備ができている状態である場合、針先保護具100が取り付けられるカテーテルハブ200の傾斜と実質的に同じである。これにより、外面108とカテーテルハブ200の内側との間の接触表面が最大になり、針先保護具100のカテーテルハブ200からの偶発的な取り外しが妨げられる。
【0085】
一実施形態によれば、針先保護具100の外面108の傾斜、すなわち線L1とL2との間の角度は、シリンジに使用される取付具(フィッティング)(例えばルアーテーパー(Luer taper))などの周知または標準の取り外し可能な円錐取付具(フィッティング)で使用される角度と同じである。従って、有益には、針先保護具100は、例えば容易に利用可能な標準的なカテーテルハブのアセンブリに非常に一般的に適用可能である。
【0086】
一実施形態によれば、針先保護具100はプラスチックまたはポリマー材料から作製される。好ましくは、プラスチックまたはポリマー材料は、強さ、剛性、疲労抵抗、弾力性、およびクリープ変形抵抗のその意図される目的に適切な組み合わせを有する。適切なプラスチックまたはポリマー材料の選択は当業者により容易になされ得る。当業者はまた、プラスチックまたはポリマー材料の範囲をスクリーニングするために、標準的な実験を実施してもよく、それにより、好適なプラスチックまたはポリマー材料が、そのような実験の結果に基づいて選択され得る。好適なプラスチックまたはポリマー材料は、高いクリーム変形抵抗を有する。すなわちそれは、付与される外圧の影響下で恒久的にゆっくり動くまたは変形する低い傾向を有する。それ故、突起部101を有する針先保護具100を備える本発明のカテーテル器具1000などのカテーテル器具は、突起部101の大きなクリープ変形をせずに長期間、組み立てられて準備できた状態で保管され得る。そうでなければ、針先保護具100はカテーテルハブ200から不用意に分離されやすくなる。好適なプラスチックまたはポリマー材料は、さらに、長期間の保管(その間、弾性アーム103は静止状態から押し出される)の後でさえ、弾性アーム103をその静止状態に保持でき、針先304を固定できる好適な弾性および高い3次元記憶を有する。さらに、プラスチックまたはポリマー材料の強さは、好ましくは、針先304がわずかに突き刺すが、その材料を貫通できないような強さである。
【0087】
例えば金属と比べて、針先保護具100の構造に関してプラスチックまたはポリマー材料を使用する利点は、その針先保護具100の様々な細部をより自由に変更できることである。例えば、本発明に係るプラスチックの針先保護具100は、対応する金属物品より簡便に成型され得る。別の利点は、可能な場合には、例えば針のサイズに応じて本発明に係るプラスチックの針先保護具100をカラーコードする(色で塗り分ける)ことを含む。本発明に係るプラスチックまたはポリマーの針先保護具100のさらに別の利点は、針先304が弾性アーム103の角104内にわずかに突き刺さるという事実である。これは、従来技術の「受動的」な保護と比べて「能動的」であり、安全な保護原理を表すので、弾性アーム103は針先304上でさらにロックされ、それ故、安全な位置から動くことが追加的に制限される。本発明に係るプラスチックまたはポリマーの針先保護具100のさらに別の利点は、金属製の針が孔102を摺動し、弾性アーム103上で、金属クリップ上でのおよび/または金属クリップを通る金属製の針の摺動に関連する不快な種類のわずかな振動および音を生じないという事実である。本発明に係るプラスチックまたはポリマーの針先保護具100の別の利点は、金属と比べて、例えばカテーテルハブによって構成され、シリコンガスケットなどを含む、プラスチック周囲から漏出する可能性がある腐食および化学物質との反応に対して、より高い化学的不活性および/または耐化学性である。本発明に係るプラスチックまたはポリマーの針先保護具100などの針先保護具100のさらに別の利点は、1つの機能的部分で成型され、製造され得ることである。すなわち、針先保護具100は、従来技術の他の対応する器具のような1つより多い別個の物品などの組み合わせにより組み立てられる必要がない。それ故、製造コストの減少が得られる。本発明に係るプラスチックまたはポリマーの針先保護具100のさらに別の利点は、針先保護具100、または対応する器具が針を引っ込める際にカテーテルハブから取り除かれる場合、例えばプラスチックカテーテルハブの剥離物による微小プラスチックチップの鋭い縁を放出する金属または他の対応する器具と比べて、非常に減弱した性質である。従って、影響を受ける連結具を通して漏出を生じ得る擦り片の形成の傾向が非常に減少する。
【0088】
一実施形態によれば、針先保護具100は熱可塑性ポリマーから作製される。
【0089】
一実施形態によれば、針先保護具100は、結晶および非結晶の交互領域を含む熱可塑性ポリマーから作製される。
【0090】
一実施形態によれば、針先保護具100は、POM、PBTP、LCP、PA、PSU、PEI、PCおよびPPO/SBからなる群から選択されるプラスチックまたはポリマー材料から作製される。
【0091】
一実施形態によれば、針先保護具100は、スチレンブロックコポリマー、ポリオレフィン混合物、エラストマー合金、熱可塑性ポリウレタン、熱可塑性コポリマー、および熱可塑性ポリアミドからなる群から選択される熱可塑性エラストマーから作製される。
【0092】
一実施形態によれば、針先保護具100は、Styroflex(登録商標)、Kraton(登録商標)、Pellethane(登録商標)、Pebax(登録商標)、Arnitel(登録商標)、Hytrel(登録商標)、Dryflex(登録商標)、Santoprene(登録商標)、Geolast(登録商標)、Sarlink(登録商標)、Forprene(登録商標)、Alcryn(登録商標)、およびEvoprene(登録商標)からなる群から選択されるプラスチックまたはポリマー材料から作製される。
【0093】
一実施形態によれば、針先保護具100は、医薬グレードの液体結晶ポリマー、例えばVectra(登録商標)LCP、ポリエチレン、および超高分子量ポリエチレンからなる群から選択されるプラスチックまたはポリマー材料から作製される。
【0094】
一実施形態によれば、針先保護具100は、ポリスルホンまたはポリオキシメチレンから作製される。
【0095】
一実施形態によれば、針先保護具100には、少なくとも1つの突起部101、弾性アーム103が設けられ、カテーテルハブ200で組み立てるための、強さ、剛性、疲労抵抗、弾性、およびクリープ変形抵抗の好適な組み合わせを有するプラスチックまたはポリマー材料から作製される。例えば、プラスチックまたはポリマー材料は、ポリオキシメチレン(POM)、ポリブチレンテレフタレート(PBTP)もしくはポリスルホン(PSU)、または類似の好適な特性を有する当該技術分野において公知の任意の他の材料であってもよい。好ましくは、プラスチックまたはポリマー材料は、引力作用を最小化するために、カテーテルハブ200の材料とは異なる。多数の標準的なカテーテルハブ200は、重合反応によって置換または非置換エテン(ethene)から製造される少なくとも1つのポリマーから作製され、前記エテン(ethane)の二重結合は単結合、例えばポリプロピレン、ポリエチレン、またはプロピレン/エチレンコポリマーに変換される。従って、POM、PBTPもしくはPSU、またはカテーテルハブ200の材料と同じではない類似の好適な特性を有する当該技術分野において公知の任意の他の材料が、有益には、一般的に適用可能な針先保護具100の材料として使用されてもよい。
【0096】
一実施形態によれば、針先保護具100は、共有結合OまたはS原子を含む熱可塑性ポリマーから作製される。好ましくは、熱可塑性ポリマーは、引力作用を最小化するためにカテーテルハブ200の材料とは異なる。多数の標準的なカテーテルハブ200は、共有結合OまたはS原子を含まないポリマーから作製される。従って、共有結合OまたはS原子を含む熱可塑性ポリマーは、有益には、一般的に適用可能な針先保護具100の材料として使用されてもよい。
【0097】
一実施形態によれば、角104内の角度は、60°〜110°、好ましくは80°〜100°、より好ましくは85°〜95°、最も好ましくは90°の範囲内である。
【0098】
一実施形態によれば、角104から最も突出している部分までのその延長部で測定した後方フック延長部110の長さは、孔102の直径の少なくとも0.5倍、例えば孔102の直径の0.5〜6倍である。好ましくは、針先保護具100がカテーテルハブ200に取り付けられる場合、中空の針303の任意の位置で弾性アーム103の部分がカテーテルハブ200の内面と接触しないように寸法決めされる。
【0099】
一実施形態によれば、後方フック延長部110は、中空の針303が引っ込められる場合、その中空の針303を誘導し、摺動させるように提供され、寸法決めされる、当該技術分野において周知の部分的に円形を有する溝を備えてもよい。
【0100】
一実施形態によれば、弾性アーム103は、中空の針303によりその静止位置から付勢される場合、その最も突出している部分は、結合点105から測定した場合、前側107の直径の0.3〜3倍の範囲であるように寸法決めされてもよい。
【0101】
一実施形態によれば、弾性アーム103の幅および配置は、弾性アーム103、または後方フック延長部110の部分が、中空の針303の任意の位置でカテーテルハブ200の内面と接触しないようになされる。
【0102】
一実施形態によれば、弾性アーム103の幅は、前側107の直径の0.2〜0.9倍の範囲であり、通常の状況下で針先304が外側へ曲がり露出しないように選択される。
【0103】
一実施形態によれば、弾性アーム103の厚さおよび材料は、中空の針303が、通常の条件下で使用者により弾性アーム103を貫通できないように選択される。
【0104】
特許請求の範囲において、「含む/含んでいる」という用語は、他の要素または工程の存在を排除しない。さらに、個々に記載されていても、複数の手段、要素または方法の工程が、例えば単一のユニットまたはプロセッサにより実施されてもよい。加えて、個々の特徴が異なる請求項に含まれる場合であっても、それらは、可能な場合、有益に組み合わされてもよく、異なる請求項に含まれるものは、特徴の組み合わせが実施できず、および/または有益でないということを意味するものではない。加えて、単数形の参照は複数形を排除しない。「1つ(a)」、「1つ(an)」、「第1の」、「第2の」などは、複数を排除しない。請求項における参照番号は、単なる明示的な例として提供され、請求項の範囲を限定するものとして決して解釈されるべきではない。
図1
図2
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図9