(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147321
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】リチウム電池の排気構造
(51)【国際特許分類】
H01M 2/12 20060101AFI20170607BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20170607BHJP
H01M 10/0566 20100101ALI20170607BHJP
H01M 2/02 20060101ALI20170607BHJP
H01M 10/52 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
H01M2/12 101
H01M10/052
H01M10/0566
H01M2/02 K
H01M10/52
【請求項の数】18
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-238719(P2015-238719)
(22)【出願日】2015年12月7日
(65)【公開番号】特開2016-152231(P2016-152231A)
(43)【公開日】2016年8月22日
【審査請求日】2015年12月7日
(31)【優先権主張番号】104105224
(32)【優先日】2015年2月16日
(33)【優先権主張国】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】515339365
【氏名又は名称】有量科技股▲ふん▼有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】特許業務法人 エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】程 敬義
(72)【発明者】
【氏名】蔡 弘益
【審査官】
田中 永一
(56)【参考文献】
【文献】
国際公開第2014/128909(WO,A1)
【文献】
国際公開第2013/146803(WO,A1)
【文献】
特開2000−335649(JP,A)
【文献】
特開2015−156322(JP,A)
【文献】
特開2006−125559(JP,A)
【文献】
特開2006−332009(JP,A)
【文献】
特開2008−077945(JP,A)
【文献】
特開2014−211994(JP,A)
【文献】
特表2010−503150(JP,A)
【文献】
特開2005−123267(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 2/00 − 2/12
H01M 10/052
H01M 10/0566
H01M 10/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の辺と当該複数の辺の間に形成される収容空間とを有する封入袋と、
前記収容空間に収容される電池要素と、
前記収容空間に収容されるとともに、前記電池要素と接触することでガスを生成する電解液と、
前記封入袋に配置され、前記収容空間に連通して前記収容空間内からガスを排出する少なくとも1つの一方向排気弁と、
を含み、
前記一方向排気弁は、吸水通気部材を有し、前記収容空間内からガスを排出する際に、前記吸水通気部材が前記ガスに付着している前記電解液を吸着することを特徴とするリチウム電池の排気構造。
【請求項2】
前記封入袋の前記複数の辺のうち少なくとも一辺には、少なくとも1つの前記一方向排気弁が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項3】
前記一方向排気弁は、前記複数の辺のうち一辺に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項4】
前記封入袋の前記複数の辺は、複数の封止辺と、折り辺とを含み、
前記一方向排気弁は、前記折り辺に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項5】
前記封入袋の前記複数の辺は、複数の封止辺と、折り辺とを含み、
前記一方向排気弁は、前記複数の封止辺のうち1つの封止辺に配置されていることを特徴とする請求項3に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項6】
前記吸水通気部材は、毛細管組織であることを特徴とする請求項1に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項7】
前記一方向排気弁は、互いに連通する吸気口及び排気口を有する中空シェルと、当該中空シェル内に摺動可能なピストンとを含み、
前記中空シェルには、前記吸気口に対応する位置に前記吸気口と前記排気口とを連通し、前記吸水通気部材を収容する吸水空間が配置されていることを特徴とする請求項1に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項8】
前記ピストンは、前記吸水通気部材と前記排気口との間に摺動可能に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項9】
前記一方向排気弁は、弾性部材をさらに含み、
前記中空シェル内には、前記吸気口から離れた位置に止め輪が配置され、
前記弾性部材は、前記ピストンと前記止め輪との間に弾性支持されていることを特徴とする請求項7に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項10】
前記中空シェルには、通路が開設され、
前記吸水空間は、前記吸気口と前記通路との間を連通して配置され、
前記ピストンのピストンヘッドは、前記通路を閉塞する位置と前記通路を開放する位置との間に摺動自在に設けられていることを特徴とする請求項9に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項11】
前記ピストンヘッドには、前記通路と前記排気口との間を連通するT字状通路が開設されていることを特徴とする請求項10に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項12】
複数の辺と、当該複数の辺の間に形成されて互いに連通する収容空間及び吸水空間を有する封入袋と、
前記収容空間に収容される電池要素と、
前記収容空間に収容されるとともに、前記電池要素と接触することでガスを生成する電解液と、
前記吸水空間に収容される吸水通気部材と、
前記封入袋に配置され、前記吸水空間を介して前記収容空間を連通する少なくとも1つの一方向排気弁と、を含み、
前記一方向排気弁は、前記吸水空間を介して前記収容空間内からガスを排出し、前記ガスに付着している前記電解液が前記吸水空間を通過する際に前記吸水通気部材によって吸着されることを特徴とするリチウム電池の排気構造。
【請求項13】
前記封入袋は、前記収容空間と前記吸水空間とを仕切る仕切り体を有し、
前記仕切り体には、前記収容空間と前記吸水空間とを連通する少なくとも1つの通気孔が開設されていることを特徴とする請求項12に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項14】
前記吸水通気部材は、毛細管組織であることを特徴とする請求項12に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項15】
前記封入袋の前記複数の辺のうち少なくとも一辺には、少なくとも1つの前記一方向排気弁が配置されていることを特徴とする請求項12に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項16】
前記一方向排気弁は、前記複数の辺のうち一辺に配置されていることを特徴とする請求項12に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項17】
前記封入袋の前記複数の辺は、複数の封止辺と、折り辺とを含み、
前記一方向排気弁は、前記折り辺に配置されていることを特徴とする請求項16に記載のリチウム電池の排気構造。
【請求項18】
前記封入袋の前記複数の辺は、複数の封止辺と、折り辺とを含み、
前記一方向排気弁は、前記複数の封止辺のうち1つの封止辺に配置されていることを特徴とする請求項16に記載のリチウム電池の排気構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウム電池に関し、特に、リチウム電池の排気構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子産業の発展とともに様々な電子機器がかなり普及している。携帯用電子機器の製造においては、小型・軽量化が求められている。また、技術の進歩に伴い、携帯用電子機器では高機能化に伴う消費電力が増大している。そのため、電池の寿命を考慮して電子機器を製造することが必要である。
【0003】
したがって、現在、携帯用電子機器の大半は、繰り返し使用することができ、高容量や高エネルギー密度を有するリチウム二次電池を主に採用している。一般に、リチウム電池は、まず、複数の正極板、複数の負極板及び複数のセパレータを積層して電池要素を形成し、次に、アルミラミネートフィルム製の封入袋により電池要素、正極導電タブ、負極導電タブ及び非水電解液(「電解液」と略称する)を封入し、最後に、充電や活性化試験、ガス抜き、電圧測定などの工程を経ることによって作成される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、リチウム電池は、充放電に伴って封入袋内にガスが発生するため、封入袋が徐々に膨張した結果、リチウム電池の金属ケースも膨張した封入袋により変形や膨張すると、携帯用電子機器における近傍の構造が圧迫され、電池構造に悪影響を及ぼす。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、リチウム電池内の封入袋に一定程度のガスが発生すると、一方向排気弁により過剰なガスを直ちに排出し、リチウム電池の変形や膨張の問題を回避することが可能なリチウム電池の排気構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するため、本発明の一実施形態に係るリチウム電池の排気構造は、複数の辺と当該複数の辺の間に形成される収容空間とを有する封入袋と、前記収容空間に収容される電池要素と、前記収容空間に収容されるとともに、前記電池要素と接触することでガスを生成する電解液と、前記封入袋に配置され、前記収容空間に連通して前記収容空間内からガスを排出する少なくとも1つの一方向排気弁と、を含
み、前記一方向排気弁は、吸水通気部材を有し、前記収容空間内からガスを排出する際に、前記吸水通気部材が前記ガスに付着している前記電解液を吸着する。
【0007】
本発明は、従来技術に比べてリチウム電池内の封入袋が一定程度のガスを生成すると、一方向排気弁によって過剰なガスを排出することができるという効果を奏する。
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明の他の実施形態に係るリチウム電池の排気構造は、複数の辺と、当該複数の辺の間に形成されて互いに連通する収容空間及び吸水空間を有する封入袋と、前記収容空間に収容される電池要素と、前記収容空間に収容されるとともに、前記電池要素と接触することでガスを生成する電解液と、前記吸水空間に収容される吸水通気部材と、前記封入袋に配置され、前記吸水空間を介して前記収容空間を連通する少なくとも1つの一方向排気弁と、を含み、前記一方向排気弁は、前記吸水空間を介して前記収容空間内からガスを排出し、前記ガスに付着している前記電解液が前記吸水空間を通過する際に前記吸水通気部材によって吸着される。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、従来技術に比べてリチウム電池内の封入袋が一定程度のガスを生成すると、一方向排気弁により過剰なガスを直ちに排出することができる。さらに、吸水通気部材によってガスに付着している電解液を吸着することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の第1の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の第2の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【
図3】
図2の概略構成を側面から見た断面図である。
【
図4】
図3の一部を拡大して示す要部拡大断面図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【
図6】本発明の第4の実施形態の概略構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。ただし、以下の図面は本発明を説明するためのものであって、これにより本発明を限定するものではない。
【0012】
本発明は、リチウム電池の排気構造を提供するものである。
図1及び
図2は、それぞれ本発明の第1の実施形態及び第2の実施形態を示している。
図5及び
図6は、それぞれ本発明の第3の実施形態及び第4の実施形態を示している。
図3及び
図4は、第2の実施形態を示す他の図である。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態の概略構成を示す断面図である。本発明のリチウム電池の排気構造は、封入袋1と、電池要素2と、少なくとも1つの一方向排気弁3とを含んでいる。
【0014】
封入袋1は、可撓性材料で形成され、複数の辺を有している。具体的に、封入袋1は、アルミラミネートフィルム製の密閉袋体であり、その密閉袋体を二つ折りとした状態で、折り辺14以外の他の3辺を加熱押圧や粘着により封止することによって、3つの封止辺11,12,13が構成されている。このように、3つの封止辺11,12,13と折り辺14との間に収容空間16が形成されている。収容空間16には、電解液が収容されている(図示せず)。
【0015】
電池要素2は、封入袋1の収容空間16内に収容され、電解液に接触している。電池要素2には、正極導電タブ211と負極導電タブ221とが接続されている。正極導電タブ211及び負極導電タブ221は、携帯用電子機器(図示せず)に電気的に接続されるように、封入袋1の封止辺12から延伸している。
【0016】
一方向排気弁3は、封入袋1に配置され、収容空間16と外部とを連通している。収容空間16と外部とを連通することのできる場所であれば、一方向排気弁3が封入袋1のどこに配置されていてもよい。そのため、少なくとも1つの一方向排気弁3を封入袋1の少なくとも1辺に配置することも、本発明のいくつかの実施例のうち1つである。具体的に、3つの封止辺11,12,13及び折り辺14のそれぞれには、少なくとも1つの一方向排気弁3が配置されてもよい。本実施形態において、各辺にそれぞれ1つの一方向排気弁3が配置されていることを例として説明するが、本発明は、複数の辺に1つの一方向排気弁3が配置されてもよく(図示せず)、一辺のみ1つの一方向排気弁3が配置されてもよい(
図1に示す)が、これらに限定されない。
【0017】
図1に示すように、一方向排気弁3は、封入袋1の折り辺14に配置されているため、折り辺14に一方向排気弁3の外周縁を包囲している孔141が形成され、一方向排気弁3が収容空間16と外部とを連通することによって排気することができる。なお、一方向排気弁3は逆止弁であってもよく、一方向に排気可能なものであればよいが、これに限定されない。
【0018】
図3を参照する。電池要素2は、積層された少なくとも1つの正極板21、少なくとも1つの負極板22、及びいずれかの隣接する正極板21と負極板22との間に挟持される少なくとも1つのセパレータ23を含んでいる。ここで、正極板21には、正極導電タブ211が電気的に接続され、負極板22には、負極導電タブ221が電気的に接続され、セパレータ23は、正極板21と負極板22との接触を防止するために用いられる。
【0019】
これにより、リチウム電池を通電する際、電池要素2と電解液との化学反応によりガスが発生しても、封入袋1内がガスの充気により一方向排気弁3の所定圧力まで加圧されると、収容空間16内のガスを一方向排気弁3から外部へ排出することができる。このように、封入袋1が適切に膨張し、リチウム電池の変形や膨張の問題を確実に回避することができる。また、その後リチウム電池はガスが再び発生した場合にも、収容空間16内に所定圧力を超えたガスが一方向排気弁3から外部へ排出されることができる。言い換えれば、一方向排気弁3は、何回でもリチウム電池の排気に用いられることが可能である。
【0020】
図2、
図3及び
図4は、本発明の第2の実施形態の概略構成を示す断面図及び部分拡大図である。第2の実施形態の構成は、第1の実施形態の構成とほとんど同じであるが、その相違点は、第2の実施形態に係るリチウム電池の排気構造は吸水通気部材4をさらに含んでいる。
【0021】
図2、
図3及び
図4に示すように、封入袋1の3つの封止辺11,12,13と折り辺14との間には、吸水空間17がさらに形成されている。収容空間16及び吸水空間17は互いに連通されることで、一方向排気弁3が吸水空間17を介して収容空間16に連通されるようになる。
【0022】
吸水通気部材4は、吸水空間17内に収容され、吸水空間17を通過するガスに付着している電解液を吸着するために用いられる。もちろん、ガスを介さずに収容空間16から吸水空間17に直接浸透してきた電解液も吸水通気部材4によって吸収されることが可能である。吸水通気部材4は、コットンや毛細管組織などの吸水及び通気機能を備えるものであればよいが、これらに限定されない。
図2、
図3及び
図4には、吸水空間17内に配置された毛細管組織が示されている。
【0023】
これにより、リチウム電池の収容空間16内にガスが発生した場合、封入袋1内がガスの充気(
図3に示す)により一方向排気弁3の所定圧力まで加圧されると、一方向排気弁3は、吸水空間17を介して、収容空間16内のガスを外部へ排出するようにしている。このように、本発明の第2の実施形態に係るリチウム電池の排気構造は、収容空間16内のガスを排出する(第1の実施形態の機能を有する)ほか、ガスに付着している電解液が吸水通気部材4によって吸着されることができる。つまり、一方向排気弁3から排出されたガスは、乾燥で電解液が付着していないガスであり、電解液は、浸透又はガスに伴って排出されることがない。
【0024】
また、収容空間16と吸水空間17との間を仕切る方法について、
図2及び
図3に示すように、封入袋1は、収容空間16と吸水空間17とを仕切る仕切り体15を有し、仕切り体15には、少なくとも1つの通気孔150が開設されることで、収容空間16と吸水空間17とが連通されるようになる。本実施形態において、封入袋1には、加熱押圧や粘着により第1仕切り体151及び第2仕切り体152が形成されてもよい。第1仕切り体151及び第2仕切り体152は、通気孔150を形成するように、隣接する端部が互いに間隔を置いて配置されている。第1仕切り体151、第2仕切り体152及び通気孔150によって仕切り体15が構成されている。
【0025】
図4に示すように、第1の実施形態及び第2の実施形態における一方向排気弁3は、主として、中空シェル31、ピストン32、止め輪33及び弾性部材34を含んでいる。中空シェル31は、互いに連通している吸気口311及び排気口312を有している。中空シェル31内には、吸気口311に対応する位置に通路314が開設され、吸気口311から離れた位置に止め輪33が配置されている。ピストン32は、中空シェル31内の通路314と止め輪33との間に摺動可能に配置されている。また、ピストン32のピストンヘッド321には、通路314と排気口312との間を連通するT字状通路322が開設されている。弾性部材34は、ピストン32と止め輪33との間に弾性支持されている。
【0026】
封入袋1内の圧力が一方向排気弁3の所定圧力(弾性部材34の弾性支持力)より小さい場合、弾性部材34の弾性支持力により、ピストン32のピストンヘッド321が通路314を閉塞させる(図示せず)。つまり、収容空間16内のガスは、ピストン32を押し動かすことができないため、排出されることができない。
【0027】
一方、封入袋1内の圧力が一方向排気弁3の所定圧力より大きい場合、収容空間16内のガスはピストン32を押し動かすようになり、ピストン32のピストンヘッド321を通路314から退避させる(
図4に示す)。この時、収容空間16内のガスは、通路314及びT字状通路322を通過し、一方向排気弁3の排気口312から排出される。
【0028】
図5は、本発明の第3の実施形態の概略構成を示す断面図である。第3の実施形態の構成は、第2の実施形態の構成とほとんど同じであるが、その相違点は、第3の実施形態において一方向排気弁3が3つの封止辺11,12,13のうち一辺のみに配置されている。本実施形態において、3つの封止辺のうち封止辺13に一方向排気弁3が配置されていることを例として説明する。このように、封止辺13に一方向排気弁3の外周縁を包囲している孔131が形成されるとともに、仕切り体15が封止辺13に近い位置に配置されることで、仕切り体15と封止辺13との間に吸水空間17が形成されるようになる。そのため、第2の実施形態と同様に、排気及び電解液を吸着する機能を有している。
【0029】
図6は、本発明の第4の実施形態の概略構成を示す断面図である。第4の実施形態の構成は、第2の実施形態の構成とほとんど同じであるが、その相違点は、第4の実施形態において吸水通気部材4が一方向排気弁3a内に配置されている。
【0030】
図6に示すように、一方向排気弁3aにおいて、中空シェル31内には、吸気口311に対応する位置に吸気口311と通路314との間を連通する吸水空間313が配置され、吸水通気部材4は、その吸水空間313内に収容されている。
【0031】
これにより、封入袋1は収容空間16からガスを排出する場合、まず、吸水通気部材4によって一方向排気弁3aの吸水空間313を通過するガスに付着している電解液を吸着し、次に、乾燥で電解液が付着していないガスを一方向排気弁3aの排気口312から排出する。そのため、第2の実施形態と同様に、排気及び電解液を吸着する機能を有している。
【0032】
上述したように、本発明は、従来技術に比べてリチウム電池内の封入袋1が一定程度のガスを生成すると、一方向排気弁3,3aによって過剰なガスを直ちに排出することができ、リチウム電池の変形や膨張の問題を回避することが可能である。
【0033】
また、本発明は、収容空間16と一方向排気弁3,3aとの間に吸水通気部材4をさらに設けることにより、その吸水通気部材4によってガスに付着している電解液を吸着し、電解液は、浸透又はガスに伴って排出されることがない。
【0034】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。本発明にあっては種々の変形が可能であって、かかる変形は、特許請求の範囲内に包含される変形である限り本発明の技術的範囲に包含されることに留意すべきである。
【符号の説明】
【0035】
1…封入袋
11、12、13…封止辺
131…孔
14…折り辺
141…孔
15…仕切り体
150…通気孔
151…第1仕切り体
152…第2仕切り体
16…収容空間
17…吸水空間
2…電池要素
21…正極板
211…正極導電タブ
22…負極板
221…負極導電タブ
23…セパレータ
3、3a…一方向排気弁
31…中空シェル
311…吸気口
312…排気口
313…吸水空間
314…通路
32…ピストン
321…ピストンヘッド
322…T字状通路
33…止め輪
34…弾性部材
4…吸水通気部材