特許第6147345号(P6147345)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147345
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】ニトロ誘導体からアミンへの還元方法
(51)【国際特許分類】
   C07B 43/04 20060101AFI20170607BHJP
   C07C 209/34 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 209/36 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 211/07 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 211/52 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 213/02 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 215/08 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 215/68 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 217/84 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 217/86 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 221/00 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 223/06 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 225/22 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 227/04 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 229/08 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 229/60 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 231/12 20060101ALI20170607BHJP
   C07C 233/43 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   C07B43/04
   C07C209/34
   C07C209/36
   C07C211/07
   C07C211/52
   C07C213/02
   C07C215/08
   C07C215/68
   C07C217/84
   C07C217/86
   C07C221/00
   C07C223/06
   C07C225/22
   C07C227/04
   C07C229/08
   C07C229/60
   C07C231/12
   C07C233/43
【請求項の数】13
【全頁数】8
(21)【出願番号】特願2015-530387(P2015-530387)
(86)(22)【出願日】2013年9月5日
(65)【公表番号】特表2015-527381(P2015-527381A)
(43)【公表日】2015年9月17日
(86)【国際出願番号】EP2013068371
(87)【国際公開番号】WO2014037444
(87)【国際公開日】20140313
【審査請求日】2016年6月30日
(31)【優先権主張番号】MI2012A001489
(32)【優先日】2012年9月6日
(33)【優先権主張国】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】515061640
【氏名又は名称】デクスレチェム ジーエムビーエイチ
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(72)【発明者】
【氏名】ベナグリア,マウリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】ボンシニョーリ,マルティナ
【審査官】 山本 昌広
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−307369(JP,A)
【文献】 特開平10−36300(JP,A)
【文献】 特開2001−270851(JP,A)
【文献】 特開平11−246576(JP,A)
【文献】 特開2000−256305(JP,A)
【文献】 特表2007−537030(JP,A)
【文献】 特開2008−127345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07B 43/00−43/10
C07C 209/00−237/52
CAplus(STN)
CASREACT(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物、又は複素芳香族化合物に存在するニトロ基のアミンへの還元方法であって、前記化合物を、塩基の存在下でトリクロロシランと反応させる、前記方法。
【請求項2】
1から5までの範囲にある、ニトロ基に対するトリクロロシランのモル比が使用される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ニトロ基に対するトリクロロシランのモル比が3.5である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記塩基が、2級又は3級アミンからなる群から選ばれる有機塩基である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記有機塩基が、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
1から10までの範囲にある、ニトロ基に対する塩基のモル比が使用される、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記ニトロ基に対する塩基のモル比が5である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ニトロ基が芳香族化合物又は複素芳香族化合物に存在し、かつ前記塩基がトリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記ニトロ基が脂肪族化合物又は脂環式化合物に存在し、かつ前記塩基がジイソプロピルエチルアミンである、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記ニトロ基がアルケンに存在する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記ニトロ基が、二重又は三重炭素−炭素結合;カルボニル;ハロゲン;C1−C4ヒドロキシアルキル;アリルエーテル;C7−C18アリールアルキルエーテル;C1−C4アシルアミノ;ニトリル;カルボキシル;C1−C4アルキルエステル、C6−C14アリールエステル若しくはC7−C18アリールアルキルエステルからなる群から選ばれるカルボキシルエステル又はチオカルボキシルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を含む化合物に存在する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記官能基が、アセチル、ホルミル、ヒドロキシメチル、ベンジルエーテル、アセチルアミノ、ベンジルエステルからなる群から選ばれる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ニトロ基のアミンへの還元の終了時に、前記化合物が単離されない、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリクロロシラン及び有機塩基の使用に基づき、ニトロ基からアミノ誘導体を生成する還元方法に関するものである。アミノ誘導体は、一般的に、薬学及び農畜食料産業、並びにファインケミストリーにおいて関心を持たれている化合物の、様々な化合物群の合成において有用である。
【背景技術】
【0002】
ニトロ誘導体は有機合成における重要な出発物質である。ニトロ誘導体は通常アミノ誘導体の前駆体として使用される。多くの芳香族ニトロ誘導体は、商業的に使用可能であるか、又は適切な芳香族前駆体のニトロ化により容易に得られるものである。脂肪族ニトロ誘導体は、Michael又はHenry反応により容易に得ることができる。
【0003】
ニトロ誘導体からアミンへの還元は、典型的に接触水素化(Chem.Rev.1996,96,2035−2052)又は、触媒の存在下における水素化ホウ素ナトリウム(Catal.Lett.2008,123,264−268)、若しくは適切な触媒によって活性化されたヒドラジン(Adv.Synth.Catal.2007)、亜鉛若しくはスズのような金属(Tetrahedron Lett.2003,44,7783−7787.C)などの他のさまざまな方法、並びにヨウ素サマリウム(J.Org.Chem.2001,66,919−924)、並びにモリブデン及びパラジウムの複合物(Org.Lett.2005,7,5087−5090)を用いるものなど数多くの方法によってもまた行われる。
【0004】
一般に知られている触媒システムにはさまざまな問題がある。たとえば、有機金属触媒の場合は、貴金属の使用がしばしば必要であるため、第1に費用面の問題を含み;さらに、金属種による生成物の汚染の問題、並びに廃水の処分及び適切な処理の問題を考慮しなければならない。上記は、たとえば薬学において潜在的に関心を持たれている有機化合物の調製における、それら触媒システムの使用に対して重大な障害となるためである。さらに、ほぼ全ての触媒システムは還元方法として水素添加を含み、かつ結果として特定の設備が必要となることに留意すべきである。
【0005】
代替となる方法はスズ塩の使用に基づくものであり、このスズ塩の毒性は反応生成物の潜在的な汚染及び廃水処理工程に関連する重大な問題を明らかに含んでいる。
【0006】
一般に知られている触媒の場合、それらの合成は、しばしば直接的なものではなく、かつ、多くの工程を含んだ、連続した合成を必要とする。これは、それらの分子が安価でもなく、容易に得られるものでもないことを意味する。
【0007】
いずれにしても、全ての既存の方法には、基質に存在する官能基についての化学選択性及び汎用性の欠如の問題がある。
【0008】
その結果として、ニトロ誘導体をアミンに還元する方法の特定に対し、特に、経済的でもある、新しい適切な方法論(U.Sharma,P.K.Verma,N.K.V.Kumar,M.Bala,B.Singh,Chem.Eur.J.2011,17,5903)の開発に対しては、大いに関心が持たれている;これに関連して、特に有機分子の合成に関心を持っている企業の注目は、水素添加の代替となるものであり、毒性のない試薬を用い、環境への影響が小さく、かつ金属種を用いないものである還元方法に集中している。該有機分子は複合物を含み、キラル又は非キラルであってもよいが、複数の官能基が存在することによって特徴づけられ、それらの扱い易さについて、高い化学選択性がある方法論を使用することを確実に必要とするものである。
【0009】
シリルハイドライド(シラン誘導体)はケイ素−水素結合を含む、低毒性かつ価格の低い化合物である。シラン誘導体は、その進行が不十分であり、得られる収率が低いものであるニトロアレンの還元反応において使用される(Zh.Obshch.Khim,1972,42,176−180;Dokl.Akad.Nauk.,1970,195,352−355)。Wilkinson触媒(RhCl(PPh)と組み合わされたトリエチルシランは芳香族ニトロ誘導体のアニリンへの還元に用いられ(Synth.Comm.1996,26,973−980)、一方で、炭素上のパラジウムにトリエチルシランを添加することによる、その反応場での水素分子の生成は、中性条件下でのニトロ基の還元を引き起こす(J.Org.Chem.,2007,72,6599−6601)。脂肪族ニトロ誘導体は、Pd(OAc)の存在下で、トリエチルシランにより対応するヒドロキシルアミンに還元される(Org.Lett.,2005,7,5087−5090)。
【0010】
トリクロロシランは、他の基質の還元剤として広く使用される非常に低価格の試薬である(M.Benaglia,S.Guizetti,L.Pignataro,Coord,Chem.Rev.2008,252,492)。たとえばイミン及びケトイミンから対応するアミノ化合物を得るために、炭素−窒素二重結合を還元する試薬として、ルイス塩基の存在下において該試薬を使用することが、下記文献に記載されている(S.Guizzetti,M.Benaglia,Eur.J.Org.Chem.,2010,5529−5541)。ニトロ誘導体の還元に対するトリクロロシランの使用は知られていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】Chem.Rev.1996,96,2035−2052
【非特許文献2】Catal.Lett.2008,123,264−268
【非特許文献3】Adv.Synth.Catal.2007
【非特許文献4】Tetrahedron Lett.2003,44,7783−7787.C
【非特許文献5】J.Org.Chem.2001,66,919−924
【非特許文献6】Org.Lett.2005,7,5087−5090
【非特許文献7】U.Sharma,P.K.Verma,N.K.V.Kumar,M.Bala,B.Singh,Chem.Eur.J.2011,17,5903
【非特許文献8】Zh.Obshch.Khim,1972,42,176−180;Dokl.Akad.Nauk.,1970,195,352−355
【非特許文献9】Synth.Comm.1996,26,973−980
【非特許文献10】J.Org.Chem.,2007,72,6599−6601
【非特許文献11】Org.Lett.,2005,7,5087−5090
【非特許文献12】M.Benaglia,S.Guizetti,L.Pignataro,Coord,Chem.Rev.2008,252,492
【非特許文献13】S.Guizzetti,M.Benaglia,Eur.J.Org.Chem.,2010,5529−5541
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、脂肪族化合物、脂環式化合物、芳香族化合物又は複素芳香族化合物に存在するニトロ基のアミンへの還元方法であり、典型的には塩基である適切な添加剤の存在下で、前記化合物をトリクロロシランと反応させるものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
たとえば、水素化法により攻撃されうるものを含む、分子に存在する他の官能基と反応することなしに、ニトロ基を還元するので、該還元方法は極めて化学選択的である。
【発明の効果】
【0014】
本発明の方法は、金属種による還元生成物の汚染の問題を含まない。さらに、反応終了時には、使用後の試薬は、完全に非毒性の誘導体に変換され、水系廃水として処理することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の目的のために、「脂肪族化合物」という用語は、炭素−炭素単結合(アルカン)、炭素−炭素二重結合(アルケン)若しくは炭素−炭素三重結合(アルキン)を含み、直鎖又は分岐鎖を有する有機化合物を意味する。
【0016】
「脂環式化合物」という用語は上記に定義しているとおり、炭素結合が芳香族環を形成しないものである、有機脂肪族化合物を意味する。
【0017】
「芳香族化合物」という用語は、芳香族構造である1つ又は複数の環状炭素構造を有する有機化合物を意味する。前記芳香族化合物は、単環式又は多環式である。芳香族化合物の例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン及びフェナントレンがある。
【0018】
「複素芳香族化合物」という用語は上記に定義しているとおり、1つ又は複数の芳香族環の炭素原子が酸素原子、硫黄原子若しくは窒素原子によって置き換えられている、有機芳香族化合物である。複素芳香族化合物の例としては、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、ピリダジン、トリアジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサゾ−ル、イソオキサゾール、トリアゾ−ル、テトラゾール、キノリン、イソキノリン、インドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、ベンゾチアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾール、カルバゾール、1,2,4−チアジアゾール、その他のものなどがある。
【0019】
本発明の方法において使用される、ニトロ基に対するトリクロロシランのモル比は、1〜5までの範囲であり、好ましくは3.5である。
【0020】
本反応は、典型的には2級及び3級有機アミンである、有機塩基の存在下で行われる。この例としては、トリエチルアミン(TEA)、N,N−ジエチルイソプロピルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)、ジエチルアミン、トリプロピルアミン及びトリオクチルアミンなどがある。典型的には、ニトロ基に対する塩基のモル比は1〜10までの範囲にある、好ましくは3〜5までの範囲にあるものが使用される。ジイソプロピルエチルアミンは脂肪族ニトロ誘導体の還元に好んで使用されるのに対し、トリエチルアミン又はジイソプロピルエチルアミンは、芳香族ニトロ誘導体又は複素芳香族ニトロ誘導体の還元に好んで使用される。
【0021】
本方法は通常、有機溶媒の存在下で行われる。有機溶媒は塩素化溶媒、芳香族溶媒若しくは極性溶媒又はそれらの混合物であってもよく、好ましくはジクロロメタン、クロロホルム、アセトニトリル、プロピオニトリル、トルエン、ベンゼン、クロロベンゼン及びテトラヒドロフランである。好ましくはアセトニトリルである。
【0022】
上記反応は−50℃〜35℃の温度、好ましくは0℃〜15℃の温度において有効に行われ、かつ2時間から48時間までの範囲にある時間、典型的には15時間で通常完了する。
【0023】
本発明の方法においては、アキラル及びキラルアミノ化合物が高収率で得られる。本方法は潜在的に還元されうる他の多くの官能基の存在下において、しかしながら、それらは変化せずに、ニトロ基を還元させる高い化学選択性を有する。したがって、本発明の一実施形態において、アミンへ還元されるニトロ誘導体は、さらに、二重若しくは三重炭素−炭素結合;カルボニル、好ましくはアセチル基若しくはホルミル基;ハロゲン;C1−C4ヒドロキシアルキル、好ましくはヒドロキシメチル基;アリルエーテル;C7−C18アリールアルキルエーテル、好ましくはベンジルエーテル;C1−C4アシルアミノ、好ましくはアセチルアミノ基;ニトリル;カルボキシル;C1−C4アルキルエステル、C6−C14アリールエステル若しくはC7−C18アリールアルキルエステルから選択されるカルボキシルエステル若しくはチオカルボキシルエステル、好ましくはベンジルエステルからなる群から選ばれる少なくとも1つの官能基を含み、又は該ニトロ誘導体は、反応条件によっては必ずしもアミンへ還元されない他のニトロ基を含む。
【0024】
本発明の方法は、多段階工程の一工程として使用されうる。ここで得られるアミノ誘導体は、任意の方法の下で、単離されずに、連続した合成における変換に使用される。
【0025】
本発明の方法は、非常に経済的な反応条件の下で成立する。ほぼ全ての場合でより厳しい条件及び反応混合物の加熱処理が必要である、有機金属を用いる大多数の系とは異なり、本方法は、その穏やかな反応条件及び高い操作の簡易性のために、産業上の利用にとって魅力あるものとなる。
【0026】
反応混合物の処理はまた、還元剤及びそれからなる生成物を可溶化する水溶液による簡単な洗浄工程を含む。ここで有機相において実質上は既に純度があるアミノ誘導体については、しばしばさらなる精製を必要としない。
【0027】
最後に、本発明の方法のさらなる優位点はトリクロロシラン及びその反応生成物の非毒性である。
【0028】
ここで本発明について、以下に記載する実施例により説明する。
【実施例】
【0029】
実施例1−脂肪族ニトロ誘導体の還元の一般的な手順
【化1】
DIPEA(5mmol/eq)を、攪拌した状態で、15℃にて1−ニトロ−n−ヘキサンのアセトニトリル溶液(1mmol/eq)に加えた。新たに蒸留したトリクロロシラン(3.5mmol/eq)をシリンジにて滴下した。15℃にて18時間攪拌した後、該反応は10%NaOHを加えることにより終了し、かつ混合物をAcOEtにより抽出した。有機相を1つにまとめてNaSOにより乾燥、ろ別及び減圧濃縮することにより、対応するアミンを定量的収率にて得た。
【0030】
実施例2
実施例1において記載したものと同様の手順を用いて、スキーム1並びにスキーム2のそれぞれにおいて記載されたとおり、2−ニトロプロパン−1−オール及び3−ニトロプロパン酸のような官能化された脂肪族基質を還元し、対応するアミンを定量的収率にて得た。
【化2】
【化3】
【0031】
実施例3−芳香族ニトロ誘導体の還元の一般的な手順
DIPEA(5mmol/eq)を、攪拌した状態で、15℃にて芳香族ニトロ誘導体のアセトニトリル溶液(1mmol/eq)に加えた。新たに蒸留したトリクロロシラン(3.5mmol/eq)をシリンジにて滴下した。15℃にて18時間攪拌した後、該反応はNaHCO飽和水溶液を加えることにより終了し、かつ混合物をAcOEtにより抽出した。有機相を1つにまとめてNaSOにより乾燥、ろ別及び減圧濃縮することにより、対応するアミンを得た。
【0032】
上記方法を別の芳香族ニトロ基質に適用し、かつトリエチルアミン(TEA)を塩基として使用することにより(スキーム3)、対応するアミンを下記表に記載した収率によって得た。
【化4】
【表1】