特許第6147367号(P6147367)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6147367ハイドロゲル石鹸組成物、ハイドロゲル石鹸、及びその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147367
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】ハイドロゲル石鹸組成物、ハイドロゲル石鹸、及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20170607BHJP
   A61Q 19/10 20060101ALI20170607BHJP
   A61K 8/02 20060101ALI20170607BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20170607BHJP
   A61K 8/42 20060101ALI20170607BHJP
【FI】
   A61K8/73
   A61Q19/10
   A61K8/02
   A61K8/44
   A61K8/42
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-559169(P2015-559169)
(86)(22)【出願日】2013年9月27日
(65)【公表番号】特表2016-509064(P2016-509064A)
(43)【公表日】2016年3月24日
(86)【国際出願番号】KR2013008665
(87)【国際公開番号】WO2014185597
(87)【国際公開日】20141120
【審査請求日】2015年8月19日
(31)【優先権主張番号】10-2013-0055435
(32)【優先日】2013年5月16日
(33)【優先権主張国】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】515227383
【氏名又は名称】ジェイティー カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】JT CO.,LTD
(74)【代理人】
【識別番号】110000981
【氏名又は名称】アイ・ピー・ディー国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンテク
【審査官】 天野 皓己
(56)【参考文献】
【文献】 特開2012−206946(JP,A)
【文献】 特開2002−255769(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/078039(WO,A1)
【文献】 特開平02−180811(JP,A)
【文献】 特表平11−503179(JP,A)
【文献】 特開昭63−291545(JP,A)
【文献】 特開昭57−162799(JP,A)
【文献】 特表2002−510745(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00 − 8/99
A61Q 1/00 − 90/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル化剤1〜10重量%、界面活性剤5〜35重量%、保湿剤2〜30重量%、硬化剤0.05〜2重量%、及び精製水30〜80重量%を含み、
前記界面活性剤として、TEAココイルグルタメート及びラウラミドDEAのみを含むことを特徴とする、ハイドロゲル石鹸組成物。
【請求項2】
前記ゲル化剤は、グアーガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アラビアガム、ジェランガム、CMC(Carboxymethylcellulose)、カロブ豆ガム、及びコンニャクのうちから選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1に記載のハイドロゲル石鹸組成物。
【請求項3】
前記保湿剤は、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール、ハイルロニックアシッド、ポリグルタミックアシッド、及びソディウムPCAのうちから選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載のハイドロゲル石鹸組成物。
【請求項4】
前記硬化剤は、カルシウムクロライド、ポタシウムクロライド、及び水酸化カルシウムのうちから選択された1種以上を含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載のハイドロゲル石鹸組成物。
【請求項5】
着香剤、着色剤、保存剤、及び金属イオン封鎖剤のうちから選択された1種以上の添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載のハイドロゲル石鹸組成物。
【請求項6】
前記ゲル化剤、前記界面活性剤、前記保湿剤、前記硬化剤、及び前記精製水を含む組成物100重量部に対し、前記着香剤0.05〜2重量部、前記着色剤0.01〜1重量部、前記保存剤0.001〜0.5重量部、及び前記金属イオン封鎖剤0.001〜0.5重量部を含むことを特徴とする、請求項に記載のハイドロゲル石鹸組成物。
【請求項7】
精製水にゲル化剤、保湿剤、及び硬化剤を添加した後、40℃〜90℃に加温した後、攪拌及び溶解させて混合物を製造するステップと、
前記混合物に界面活性剤を添加後、攪拌を遂行してハイドロゲル石鹸溶液を製造するステップと、
0℃〜45℃にハイドロゲル石鹸溶液を冷却させるステップと、
を含み、
前記界面活性剤として、TEAココイルグルタメート及びラウラミドDEAのみを含むことを特徴とする、ハイドロゲル石鹸組成物の製造方法。
【請求項8】
冷却されたハイドロゲル石鹸溶液に着香剤、着色剤、保存剤、及び金属イオン封鎖剤のうちから選択された1種以上の添加剤を投入及び攪拌させるステップをさらに含むことを特徴とする、請求項に記載のハイドロゲル石鹸組成物の製造方法。
【請求項9】
請求項1からのいずれか一項の石鹸組成物で製造されたハイドロゲル石鹸であって、
pHが5.0〜7.0であり、ブルックフィールド粘度計(Brookfield viscometer)で測定時、粘度が35℃〜55℃で1,800cps〜9,500cpsであることを特徴とする、ハイドロゲル石鹸。
【請求項10】
硬度が500〜700dyne/cmであることを特徴とする、請求項に記載のハイドロゲル石鹸。
【請求項11】
ゾル−ゲル転移温度が28℃〜34℃であることを特徴とする、請求項に記載のハイドロゲル石鹸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイドロゲル石鹸組成物、ハイドロゲル石鹸、及びその効果的に製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、軟らかい、または硬い固体形態の石鹸は製造する方法によって、CP、MP、HP、液状石鹸などに区分される。上記のような一般石鹸の場合、脂肪酸または植物性オイルを溶解して水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウムで石鹸化反応をさせて適切な添加物を混合して製造され、pH8.0以上の強アルカリ性を帯びているので保湿成分をたくさん添加しなければ洗顔後に皮膚がつっぱるか、または皮膚に刺激がありえるという問題がある。
【0003】
最近、老若男女にかかわらず美容に対する関心が増加するにつれて、洗顔または風呂に入る時、石鹸を使用するよりはフォームクレンジング及び/又はボディクレンザなどを使用するような趨勢が増加しているが、このような製品は液体形態であるので、別途の保管容器を必要とするため、石鹸に比べてその製造コスト及び/又は売り値が高いという問題がある。
【0004】
ゼラチンを用いたゼリー石鹸(韓国公開番号2004−53807号)は、バブル力及び洗浄力はあるが、容易にもろくなり、石鹸の特性上、水に露出した時に粘りつきが多くて、充分水洗いをしなければ、残余物が残るという問題があり、水化ゲル石鹸(韓国公開番号2009−10344号)の場合、ゲル化剤と脂肪酸との配合によりpHが多少高くアルカリ性を帯びて、弾力のあるジェル石鹸が作れないという問題がある。
【0005】
したがって、皮膚に対する刺激を最小化及び保湿剤の投入量を減少させるためには、中性または弱酸性を有するようにしなければならず、これと共に石鹸の使用目的である洗浄力の向上と共に、多様な形態に製造できる成形性に優れる新たな石鹸組成物及び石鹸に対する要求が増大している実状がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】韓国公開番号2004−53807号
【特許文献2】韓国公開番号2009−10344号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らはたいへんな研究の末に、洗浄力と保湿力に優れ、かつ適正なpHを有し、特に成形性に優れる石鹸を作ることができる最適の組成及び組成比を見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、新たなハイドロゲル石鹸組成物、その製造方法、及びこれによって製造したハイドロゲル石鹸を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明は、ハイドロゲル石鹸組成物に関するものであって、ゲル化剤1〜10重量%、界面活性剤5〜35重量%、保湿剤2〜30重量%、硬化剤0.05〜2重量%、及び精製水30〜70重量%を含むことを特徴とする。
【0009】
また、本発明は、ハイドロゲル石鹸の製造方法に関するものであって、精製水にゲル化剤、保湿剤、及び硬化剤を添加した後、40℃〜90℃に加温させた後、攪拌及び溶解させて混合物を製造するステップ;前記混合物に界面活性剤を添加後、攪拌を遂行してハイブリッド石鹸溶液を製造するステップ;及び0℃〜45℃にハイブリッド石鹸溶液を冷却させるステップ;を含む工程を経てハイドロゲル石鹸を製造することを特徴とすることができる。
【0010】
また、本発明は前述したハイブリッド石鹸組成物で製造されたハイブリッド石鹸であって、pH5.0〜7.0であり、ブルックフィールド粘度計(Brookfield viscometer)で測定時、粘度が35℃〜55℃で1,800cps〜9,500cpsであることを特徴とすることができ、また、硬度500〜700dyne/cm2であることを特徴とすることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、一般の石鹸より洗浄力や保湿力がはるかに優れ、弱酸性または中性(pH5.0〜7.0)を有して皮膚刺激も緩和させ、適正温度を維持時には、多様な形態に成形可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0013】
本発明のハイドロゲル石鹸組成物は、ゲル化剤、界面活性剤、保湿剤、硬化剤、及び精製水を含み、より詳しくは、ゲル化剤1〜10重量%、界面活性剤5〜35重量%、保湿剤2〜30重量%、硬化剤0.05〜2重量%、及び精製水30〜80重量%を含むことができる。
【0014】
本発明の組成物の1つである前記ゲル化剤は、本発明において石鹸の支持体または支持台の役割をするものであって、グアーガム、寒天、カラギーナン、アルギン酸ナトリウム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、アラビアガム、ジェランガム、CMC(Carboxymethylcellulose)、カロブ豆ガム、及びコンニャクのうちから選択された1種以上を使用することができ、その用途によって適切なゲル化剤を混合して使用することができる。そして、その使用量はハイドロゲル石鹸の全体重量のうちの1〜10重量%を、好ましくは1〜5重量%を、より好ましくは1〜3重量%を使用する。この際、ゲル化剤を1重量%未満使用した時、石鹸組成物がゲル形成できないことがあり、保湿力、バブル力などが良好ではないという問題があることがあり、10重量%を超過して使用すれば水洗い力が落ちることがあるので、前記範囲内で使用することがよい。
【0015】
本発明の組成物の1つである前記界面活性剤は、本発明において、洗浄剤の役割をし、アルキルサルフェート系界面活性剤、アルキルエーテルサルフェート系界面活性剤、アミノ酸誘導体系界面活性剤、スルホサクシネート系界面活性剤、アルカノアマイド系界面活性剤、アルキルベタイン系界面活性剤、アムフォジアセテート系界面活性剤、及び天然界面活性剤のうちから選択された1種以上を使用することができる。
【0016】
そして、好ましくは、洗浄力と気泡安定度のために陰イオン界面活性剤で、かつコラーゲンの主要素であるアミノ酸誘導体系界面活性剤と共に、皮膚保湿及び坑菌機能が優れ、洗浄能力が卓越し、皮膚トラブル予防及び改善に効果的な界面活性剤であるアルキルエーテルサルフェート系界面活性剤及びスルホサクシネート系界面活性剤のうちから選択された1以上の界面活性剤を2種または3種混合して使用することがよい。そして、より好ましくは、前記アミノ酸誘導体系界面活性剤、アルキルエーテルサルフェート系界面活性剤、及び/又はスルホサクシネート系界面活性剤と共にアルキルベタイン系界面活性剤を追加して使用することができるが、アルキルベタイン系界面活性剤は豊富なバブルと、皮膚にマイルドな界面活性剤であって、粘度形成に良好で、かつ陽イオン性を有するので、坑菌力及びコンディショニング効果を得ることができる。
【0017】
そして、前記アルキルサルフェート系界面活性剤はアンモニウムラウリルサルフェート及びTEA−ラウリルサルフェートのうちから選択された1種以上を含むことができ、前記アルキルエーテルサルフェート系界面活性剤はソディウムラウレスサルフェート及びアンモニウムラウレスサルフェートのうちから選択された1種以上を含むことができる。そして、アミノ酸誘導体系界面活性剤はTEAココイルグルタメート、ディソディウムラウロイルグルタメート、ソディウムラウロイルグルタメート、ソディウムココイルアラニネート、及びソディウムココイルリンゴアミノ酸のうちから選択された1種以上を含むことができ、スルホサクシネート系界面活性剤はディソディウムラウレススルホサクシネート、及びディソディウムラウロイルスルホサクシネートのうちから選択された1種以上を含むことができる。また、前記アルカノアマイド系界面活性剤はラウラミドDEA、コカミドMEA,及びコカミドDEAのうちから選択された1種以上を含むことができ、前記アルキルベタイン系界面活性剤は皮膚刺激がほとんどない界面活性剤であって、ラウラミドプロピルベタイン、コカミドプロピルベタイン、及びババスアミドプロピルベタインのうちから選択された1種以上を含むことができ、前記アムフォジアセテート系界面活性剤はディソディウムココアムフォジアセテート、及びディソディウムラウロアムフォジアセテートのうちから選択された1種以上を含むことができる。そして、前記天然界面活性剤はポタシウムオリベート、ポタシウムオリボイルPCA、及びデシルグルコシドのうちから選択された1種以上を含むことができる。
【0018】
本発明において、界面活性剤の使用量はハイドロゲル石鹸全体重量のうちの5〜35重量%を、好ましくは10〜30重量%を、より好ましくは10〜25重量%を使用する。この際、ゲル化剤が5重量%未満であれば、豊富なバブル形成が困難であり、35重量%を超過して使用すればバブル力は豊富であるが、保湿剤及びゲル水溶液の量が相対的に減少してゲルの硬度や、皮膚刺激、水洗いなどが落ちるという問題が生じうる。
【0019】
本発明の組成物の1つである前記保湿剤は、保湿効果を追加的に与えるために使用するものであって、グリセリン、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ソルビトール、ハイルロニックアシッド、ポリグルタミックアシッド、及びソディウムPCAのうちから選択された1種以上を使用することができる。そして、使用量はハイドロゲル石鹸全体重量のうちの2〜30重量%を、好ましくは5〜28重量%を、より好ましくは10〜25重量%を含むことがよく、この際、2重量%未満であれば皮膚保湿力が落ちることがあり、30重量%を超過する場合、界面活性剤の量が相対的に減少して充分のバブル力と保湿力を有し難いという問題が生じうる。
【0020】
本発明の組成物の1つである前記硬化剤は、本発明において硬化速度を調節する役割をするものであって、カルシウムクロライド、ポタシウムクロライド、及び水酸化カルシウムのうちから選択された1種以上を使用することができる。そして、その使用量はハイドロゲル石鹸全体重量のうちの0.05〜2重量%を、好ましくは0.1〜1.5重量%を、より好ましくは0.1〜1重量%を使用することがよいし、この際、その使用量が10.05重量%未満であれば、その使用量が少な過ぎて硬化時間が長くかかり、2重量%を超過して使用すれば、その使用量が多過ぎて凝固が速く、成形性が落ちることがあるので、前記範囲内で使用することがよい。
【0021】
そして、本発明の組成物の1つである精製水は溶媒役割をするものであって、その使用量は他の組成物の使用量により定まり、好ましくはハイドロゲル石鹸全体重量のうちの30〜80重量%を含むことができる。
【0022】
本発明のハイブリッドゲル石鹸組成物は、前述したゲル化剤、界面活性剤、保湿剤、硬化剤、及び精製水の他に添加剤をさらに含むことができ、前記添加剤は着香剤、着色剤、保存剤、及び金属イオン封鎖剤のうちから選択された1種以上を含むことができる。そして、その適正使用量は前記ゲル化剤、界面活性剤、保湿剤、硬化剤、及び精製水を含む組成物100重量部に対し、着香剤0.05〜2重量部、着色剤0.01〜1重量部、保存剤0.001〜0.5重量部、及び金属イオン封鎖剤0.001〜0.5重量部を使用することが好ましい。
【0023】
以下、本発明のハイブリッドゲル石鹸を製造する方法について説明する。
【0024】
本発明は、精製水にゲル化剤、保湿剤、及び硬化剤を添加した後、40℃〜90℃に加温させた後、攪拌及び溶解させて混合物を製造するステップ;前記混合物に界面活性剤を添加後、攪拌を遂行してハイブリッド石鹸溶液を製造するステップ;及び0℃〜45℃にハイブリッド石鹸溶液を冷却させるステップ;を含む工程を経てハイブリッドゲル石鹸を製造することができる。
【0025】
また、前記製造方法は、冷却されたハイブリッド石鹸溶液に着香剤、着色剤、保存剤、及び金属イオン封鎖剤のうちから選択された1種以上の添加剤を投入及び攪拌させるステップをさらに含むことができる。
【0026】
前記混合物を製造するステップにおいて、40℃〜90℃に、好ましくは40℃〜70℃に加温するが、加温する理由は、攪拌及び溶解を容易にし、組成物が均等によく混合されるようにするためのものであって、40℃未満では、攪拌及び溶解時、組成物がよく溶解できないことがあり、90℃を超過する場合、保湿剤などの有効性分の変性があり、ゲル強度が落ちることがあるので、前記範囲温度内に加温させた後、攪拌及び溶解させることがよい。
【0027】
前述したハイブリッドゲル石鹸組成物を前記のような方法により製造した本発明のハイブリッドゲル石鹸は、pH5.0〜7.0、好ましくはpH5.5〜7.0であって、皮膚刺激が少ない、かつ優れたバブル力、洗浄力を有することができる。
【0028】
また、本発明のハイブリッドゲル石鹸はブルックフィールド粘度計(Brookfield viscometer)で測定時、粘度が35℃〜55℃で1,800cps〜9,500cpsを有することができる。また、本発明のハイブリッドゲル石鹸は、硬度500〜700dyne/cm2、好ましくは550〜680dyne/cm2を有することができる。また、本発明のハイドロゲル石鹸は、ゾル−ゲル転移温度が28℃〜34℃、好ましくは28℃〜32℃である特徴を有する。
【0029】
以下、本発明を実施形態に基づいてより詳しく説明する。しかしながら、本発明の権利範囲が以下の実施形態により限定されるものではない。
【0030】
(実施形態)
実施形態1:ハイドロゲル石鹸の製造
1Lのビーカーに精製水を投入した後、ゲル化剤としてカラギーナンとキサンタンガム1:1重量比で混合した混合液を、保湿剤としてグリセリンを、そして、硬化剤としてカルシウムクロライドを添加した後、50℃に加温させた後、15分間攪拌及び溶解させて混合物を製造した。
【0031】
次に、前記混合物に界面活性剤としてラウラミドプロピルベタインを添加後、攪拌を遂行してゲル化剤2.5重量%、界面活性剤25重量%、保湿剤10重量%、硬化剤1重量%、及び精製水61.5重量%を含むハイブリッド石鹸溶液を製造した。
【0032】
次に、前記ハイブリッド石鹸溶液100重量部に対し、着香剤0.3重量部、着色剤0.1重量部、保存剤0.4重量部、及び金属イオン封鎖剤0.02重量部を投入した後、攪拌してハイブリッドゲル石鹸を製造した。
【0033】
次に、25℃下に前記ハイブリッド石鹸溶液を放置して冷却させた。
【0034】
実施形態2〜5及び比較例1
前記実施形態1と同一な方法によりハイブリッドゲル石鹸を製造し、かつ以下の<表1>のような組成を有するようにハイブリッドゲル石鹸を製造して実施形態2〜5及び比較例1を実施した。
【0035】
【表1】
【0036】
実験例1:物性測定実験
前記実施形態1〜2及び比較例1〜5で製造したハイブリッドゲル石鹸のゲル形成有無、弾性、バブル力、水洗い力、皮膚刺激度、及び保湿力を測定し、その結果を以下の<表2>に示した。
【0037】
ゲル形成有無は肉眼で確認し、pH測定はpH測定器(製造社:EUTECH/Singapore モデル名:PC−700)で測定し、弾性は硬度測定計(製造社:SUN SCIENTIFIC CO.,LTD モデル名:LCR−200D、2pin、120mm/min)で測定し、保湿力は水分測定器(製造社:SCALAR corp. MOISTURECHECKER モデル名:MY−3088)で測定した。また、バブル力、水洗い力、皮膚刺激度は10名の品質評価団を選定して評価した。
【0038】
【表2】
【0039】
前記<表2>の実験結果を見ると、実施形態1〜5の場合では、全般的に優れたゲル形成、弾性、バブル力、水洗い力、皮膚刺激度、及び保湿力を有することを確認することができた。それに対して、ゲル化剤を1重量%未満に使用した比較例1の場合、ゲルが形成されず、したがって、弾性力がほとんどなく、バブル力などもよくないという結果を示した。
【0040】
また、界面活性剤を40重量%超過して使用した比較例2の場合、実施形態1〜5よりゲル形成度及び弾性が良好ではなく、皮膚刺激度がよくない結果を示した。
【0041】
さらに、ゲル化剤を10重量%超過して15重量%を使用した比較例3の場合、水洗い力がよくなかった。
【0042】
実験例2:粘度測定実験
実施形態1で製造したハイドロゲル石鹸をウォーターバス(WATER BATH、昌信科学Co,C−WBE)で55℃〜20℃まで各々の温度で15分ずつ温度を維持しながらブルックフィールド粘度計(Brookfield viscometer)を用いて粘度を測定し、その結果を以下の<表3>に示した。
【0043】
【表3】
【0044】
前記<表3>の実験結果を見ると、55℃で1,830cpsを有し、温度が低くなるほど粘度が増加する傾向を示し、35℃で9,380cpsを有することを確認することができる。そして、30℃からは24,060cpsに粘度が急激に増加したが、これにより、本発明のハイブリッドジェル石鹸のゾル(SOL)−ゲル(GEL)転移温度が28〜34℃、詳細には28〜32℃位であることを確認することができた。
【0045】
実験例3:硬度測定実験
実施形態及び比較例で製造したハイドロゲル石鹸を、1日熟成期間を経た後、各々のゲルの硬度を測定し、その結果を以下の<表4>に示した。
【0046】
【表4】
【0047】
前記<表4>のゲル硬度実験結果を見ると、実施形態1〜5の場合、硬度が500〜700間であり、適正な硬度を有することを確認することができた。それに対して、比較例1の場合、ゲルが形成できなくて硬度測定が不可能であった。また、比較例2の場合、硬度が低過ぎるという問題があった。
【0048】
実験例4:ハイブリッドゲル石鹸で洗顔後、皮膚内の水分測定
皮膚タイプ別の石鹸使用前後の水分測定を(製造社:SCALAR corp. MOISTURE CHECKER モデル名:MY−3088)行い、その結果を以下の<表5>に示した。
【0049】
脂性タイプ5人と乾性タイプ5人を対象に、石鹸使用前と使用後の水分測定度をチェックして平均値を計算した。
【0050】
【表5】
【0051】
実施の結果、一般洗顔用石鹸(脂肪酸を石鹸化反応させた製品)で洗顔時、水分感が一番落ち皮膚がつっぱる現象を示し、市中の使用頻度の最も高いフォームクレンジング製品による洗顔時では、バブル力や洗浄力は優れるが、目や鼻に入った時、痛いという反応が大半であった。
【0052】
一方、実施形態1で製造したハイブリッドゲル石鹸で洗顔した後には、フェイシャルクリームをつけた後で見られる水分度を示した。
【0053】
実施形態6〜9及び実験例5:界面活性剤の種類に従うゲル形成度測定実験
前記実施形態1と同一な方法によりハイドロゲル石鹸を製造し、かつゲル化剤として、キサンタンガム、カラギーナン、及び寒天を2:1:1重量比で混合した混合ゲル化剤を使用し、界面活性剤は以下の<表6>のような組成を有するようにして実施形態6〜9を各々実施した。
【0054】
次に、界面活性剤の種類を異にして製造した実施形態6〜9のハイブリッドゲル石鹸の各々に対するゲル形成度を測定し、その結果を以下の<表6>に示した。そして、ゲル形成度は品質評価団が5点基準に相対評価したものであって、1:非常に悪い、2:悪い、3:普通、4:良い、5:非常に良い、との基準で評価した。
【0055】
【表6】
【0056】
前記<表6>を見ると、界面活性剤はアルキルベタインとアミノ酸誘導体を使用した実施形態6及びアミノ酸誘導体とアルカノアマイドを使用した実施形態7が優れるゲル形成度を示した。このことから、ゲル形成度が優れるハイブリッドを製造するために界面活性剤を混合して使用する時には、アルキルベタイン系界面活性剤及びアミノ酸誘導体系界面活性剤を混合して使用するか、またはアミノ酸誘導体系界面活性剤及びアルカノアマイド界面活性剤を混合して使用することが有利であることを確認することができた。