【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、コンパクトで、信頼でき、かつ取り扱いが容易なロック可能なロッカースイッチを提供することにある。
【0007】
本発明の主題は、ロック可能なロッカースイッチであって、
−回動経路を定める固定部分;
−回動経路に沿って、少なくとも第1の回動位置と第2の回動位置との間で回動軸の回りに回動するように調整された回動部分;
−磁気的に作動可能なロック要素であり、そのロック要素が、
・回動経路を横切って固定部分と回動部分の両方に係合して回動部分の回動を防止する少なくとも一つのロック位置と、
・ロック要素が回動経路のそばに位置して、回動部分が回動経路内で回動できるようにする少なくとも一つの解放位置との間で、
固定部分に対し移動するように調整されたロック要素;
を少なくとも含み、そのロック可能なロッカースイッチが、
−回動部分に取り付けられると共に少なくともロック要素を解放位置に付勢する磁気作用を制御要素が発生させる制御位置と、
−制御要素が磁気作用の発生を停止させる休止位置、
との間で回動部分に対して移動可能な制御要素、を更に含んでいる、ロック可能なロッカースイッチである。
【0008】
本願の全体にわたって「磁性材料」という表現は、予め定められた磁力の下で、付勢要素が及ぼす力よりも強い磁気的な結合を生じさせることができるあらゆる材料を意味する。従って、その予め定められた磁力は、あるいは弾力的な付勢要素が及ぼす付勢力に抗してロック要素を移動させることができる。磁性材料の実施例には、例えば、強磁性体を含めることができる。
【0009】
従って、そのようなロック可能なロッカースイッチは、コンパクトで、信頼でき、取り扱うのが容易であり得る。それが必要とすることは、オペレータが回動部分を回動させあるいは揺動させると共に制御要素をスライドさせることだけであるからである。
【0010】
一実施形態によると、ロック要素は解放位置において回動部分内に完全に収容され、かつロック要素はロック位置において回動部分から固定部分内に部分的に突出する。
【0011】
従って、そのような回動部分内への収容は、ロック要素が迅速にかつ確実に回動経路を横切って突出できるようにする。
【0012】
一実施形態によると、固定部分は回動経路と連通する少なくとも一つの開口を定め、回動部分は少なくとも一つの他の開口を定め、ロック要素は解放位置において少なくとも一つの他の開口内に完全に収容され、かつロック要素はロック位置において回動部分から固定部分の少なくとも一つの開口内に部分的に突出する。
【0013】
従って、固定部分のそのような開口は、ロック要素を受け入れるために製造が容易である。
【0014】
一実施形態によると、固定部分は第1の回動位置と第2の回動位置に対応する少なくとも2つの開口を定める。
【0015】
従って、そのような開口は、少なくとも2つの異なる位置のロック要素を受け入れるために製造が容易である。
【0016】
一実施形態によると、ロック要素は解放位置において固定部分内に完全に収容されるように配置され、かつロック要素はロック位置において固定部分から回動部分内に部分的に突出する。
【0017】
従って、固定部分のそのような適応は、ロック要素が急速に回動経路を横切って外へ突出することを可能にし、急速に、そして、確実に、回動部分の旋回を止める。
【0018】
一実施形態によると、回動部分は回動経路と連通する少なくとも一つのキャビティを定め、固定部分は少なくとも一つの他のキャビティを定め、ロック要素は解放位置において少なくとも一つの他の開口内に完全に収容され、かつロック要素はロック位置において固定部分から回動部分の少なくとも一つのキャビティ内に部分的に突出する。
【0019】
従って、回動部分のそのようなキャビティは、ロック要素を受け入れるために製造が容易である。
【0020】
一実施形態によると、回動部分は第1の回動位置と第2の回動位置に対応する少なくとも2つのキャビティを定める。
【0021】
従って、そのようなキャビティは、少なくとも2つの異なる位置のロック要素を受け入れるために製造が容易である。
【0022】
一実施形態によると、制御要素は、少なくとも制御位置と休止位置との間で手動により移動可能に設計される。
【0023】
従って、そのような制御要素はオペレータが容易に取り扱うことができる。
【0024】
一実施形態によると、制御要素を休止位置に向けて弾力的に付勢するように調整された少なくとも一つのばねを更に含む。
【0025】
従って、そのようなばねは制御要素をその休止位置に自動的に戻し、従ってオペレータのこの段階の達成を容易にする。
【0026】
一実施形態によると、制御要素は平行移動で移動可能である。
【0027】
従って、そのようなスライドする制御要素は、製造、組み立て及び使用が容易である。
【0028】
一実施形態によると、回動部分は実質的に平坦な部分を有し、制御要素はその実質的に平坦な部分上で直線の平行移動軸に沿って移動可能である。
【0029】
従って、そのような平坦部分は、製造が容易で制御要素のスライドを容易にする。従って、この構造により、本発明のロック可能なロッカースイッチは、技術的な観点からは簡単でかつ極めて信頼できる。
【0030】
一実施形態によると、直線の平行移動軸は回動軸に対して直交する。
【0031】
従って、そのように直交する直線の平行移動軸は、製造及び使用が容易なロック可能なロッカースイッチの設計を助ける。
【0032】
一実施形態によると、回動部分は実質的に円柱形状、好ましくは半円柱形状の部分を含んでおり、かつ回動経路は、円柱状部分を回動可能に支持するのに適した実質的に凹状の円柱表面を有する。
【0033】
従って、そのような円柱状の部分及び表面は、回動部分にとって効果的な回動経路を定める。
【0034】
一実施形態によると、実質的に凹状の円柱状表面は、固定部分の各開口の傍に配置されると共に固定部分の各開口に向かって次第に増加する角度あるいは曲率を有する、少なくとも一つの案内斜面を定める。
【0035】
従って、そのような案内斜面はロック要素を固定部分の開口内に案内し、それはオペレータのロック位置への到達を助ける。
【0036】
一実施形態によると、実質的に円柱状の部分は、回動部分の各キャビティの傍に配置されると共に回動部分の各キャビティに向かって次第に増加する角度あるいは曲率を有する、少なくとも一つの案内斜面を定める。
【0037】
従って、そのような案内斜面はロック要素を固定部分のキャビティ内に案内し、それはオペレータのロック位置への到達を助ける。
【0038】
一実施形態によると、ロック可能なロッカースイッチは、回動部分を第1の回動位置に向けて弾力的に付勢するように配置された少なくとも一つのロッカーばねを更に含む。
【0039】
従って、そのようなロッカーばねは、回動部分をその第1の回動位置に自動的に戻すことができ、オペレータのこの段階の達成を容易にする。
【0040】
一実施形態によると、ロック可能なロッカースイッチは、ロック要素を少なくとも一つのロック位置に移動させるのに適する弾力的な作用を及ぼすように設計された、弾力的な付勢要素を更に含み、その弾力的な作用は磁気的な作用よりも弱い。
【0041】
従って、そのようなロッカーばねはロック要素をロック位置に自動的に戻すことができ、オペレータのこの段階の達成を容易にし、あるいはこの段階を達成するための特定のアクチュエータ若しくは設計の必要性を不要にする。
【0042】
一実施形態によると、ロック要素はロック軸に沿って平行移動すると共に回動経路を横切るように配置され、ロック軸は好ましくは回動軸に対して垂直であり、かつロック要素は好ましくは実質的に円柱形状のピンを含む。
【0043】
従って、そのようなスライドするロック要素は、製造が容易でありかつ組み立てが簡潔である。
【0044】
一実施形態によると、ロック要素は金属材料、例えば合金鋼から作られた磁気ロック部品を含み、かつ制御要素は磁性材料、好ましくは永久磁石から作られた磁気制御部分を含み、制御要素は制御位置においてロック要素上に磁気作用を及ぼす。
【0045】
従って、そのような材料は、制御要素及びロック要素に磁気的な作用を生じさせうる。
【0046】
一実施形態によると、ロック可能なロッカースイッチは、電気的に励起されたときにロック要素上に磁気作用を及ぼす電磁ソレノイドを更に含む。この実施形態によると、ロック可能なロッカースイッチは、電磁ソレノイドに接続されると共に少なくとも回動部分内に延在する制御回路を更に含み、制御回路は、制御要素が制御位置にあるときに制御要素と協働して電磁ソレノイドを電気的に励起させるようになっている。制御要素が制御位置にあるときに、制御要素は制御回路が電磁ソレノイドを励起させることを可能にする。制御位置にある制御要素は起動し、従ってロック要素を解放位置に向けて付勢する磁気作用を生じさせる。
【0047】
そのような電磁ソレノイドは制御回路と共に、ロック要素をロック位置に迅速にかつ確実に移動させることができる。
【0048】
一実施形態によると、電磁ソレノイドは固定部分内に収容され、制御回路は回動経路上にかつ固定部分内に延在して電磁ソレノイドと電気的に接触する。
【0049】
従って、電磁ソレノイド及び制御回路のそのような位置決めは、ロック可能なロッカースイッチを極めてコンパクトなものにする。
【0050】
一実施形態によると、電磁ソレノイドは、例えば鉄、または軟鋼など鉄系軟磁性材料といった強磁性体から成るコアを有する。
【0051】
従って、そのようなコアは効率的な電磁ソレノイドの製造を可能にする。
【0052】
一実施形態によると、制御要素は制御位置において制御回路を閉じるように設計される。
【0053】
従って、そのような設計は、ロック可能なロッカースイッチのロックを容易にする。
【0054】
一実施形態によると、制御回路は、制御要素が制御位置にあるときに電磁ソレノイドを励起させるために、制御要素によって起動されて制御回路を電気的に閉じるように回動部分内に配置されたマイクロスイッチを含む。
【0055】
従って、回動部分に配置されたそのようなマイクロスイッチは、コンパクトなロック可能なロッカースイッチを設計するために有利である。
【0056】
一実施形態によると、回動部分は、第1の回動位置と第2の回動位置を含む少なくとも3つの回動位置の間で、回動軸の回りで回動経路内を回動するように配置される。
【0057】
従って、3つあるいはより多くの回動位置により、そのようなロック可能なロッカースイッチは、例えば自動車のいくつかの電気回路の電力供給を引き起こすことができる。
【0058】
また、本発明の主題は、自動車の少なくとも一つの電気要素に電力を供給するための電気回路であって、その電気回路は本発明によるロック可能なロッカースイッチを含み、ロック可能なロッカースイッチは、回動部分が第1の回動位置において電気回路内の電力供給を起動させ、かつ回動部分が第2の回動位置において電気回路内の電力供給の起動を停止させるように配置される。ロック可能なロッカースイッチは、例えば、イグニションロックあるいはADRスイッチロックである。ADRという略語は「危険貨物の道路による国際輸送に関する取り決め」を意味し、かつADRスイッチロックは、車両の電気回路からバッテリーを分離するために伝統的に用いられている安全スイッチである。
【0059】
従って、そのような電気回路は、迅速にかつ確実に少なくとも一つの状態にロックすることができる。
【0060】
本発明の他の主題は、前述したロック可能なロッカースイッチをアンロックするためのアンロック方法であって、そのアンロック方法は、
−制御要素を休止位置から制御位置に手動で移動させる段階;
−ロック要素を固定部分に対して少なくとも一つのロック位置から少なくとも一つの解放位置に移動させるべく、ロック要素を磁気的に作動させる段階;
−回動部分を回動経路に沿わせて少なくとも第1の回動位置と第2の回動位置との間で回動軸の回りに回動させる段階、
を含む。
【0061】
従って、そのようなアンロック方法は、ロック可能なロッカースイッチをオペレータが確実にかつ容易にアンロックできるようにする。
【0062】
本発明の更に他の主題は、前述したロック可能なロッカースイッチを係止するロック方法であって、そのロック方法は、
−制御要素を制御位置から休止位置に移動させる段階;及び、
−ロック要素が少なくとも一つのロック位置に戻るようにする段階、
を含む。
【0063】
従って、そのようなロック方法は、ロック可能なロッカースイッチをオペレータが確実にかつ容易にロックできるようにする。
【0064】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利益は、添付された図面を考慮しつつ、本発明の主題の実施形態を非限定的な実施例として表す以下の説明を読むと、直ちに明らかとなる。