特許第6147435号(P6147435)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6147435ロック可能なロッカースイッチ、そのようなロック可能なロッカースイッチを含む電気回路、及びそのようなロック可能なロッカースイッチをアンロックしかつロックする方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6147435
(24)【登録日】2017年5月26日
(45)【発行日】2017年6月14日
(54)【発明の名称】ロック可能なロッカースイッチ、そのようなロック可能なロッカースイッチを含む電気回路、及びそのようなロック可能なロッカースイッチをアンロックしかつロックする方法
(51)【国際特許分類】
   H01H 3/20 20060101AFI20170607BHJP
   H01H 23/02 20060101ALN20170607BHJP
【FI】
   H01H3/20 Z
   !H01H23/02 M
【請求項の数】28
【全頁数】25
(21)【出願番号】特願2016-535009(P2016-535009)
(86)(22)【出願日】2013年11月29日
(65)【公表番号】特表2016-538701(P2016-538701A)
(43)【公表日】2016年12月8日
(86)【国際出願番号】IB2013003085
(87)【国際公開番号】WO2015079280
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2016年7月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】503083889
【氏名又は名称】ボルボ トラック コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100163212
【弁理士】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100156535
【弁理士】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(74)【代理人】
【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄
(72)【発明者】
【氏名】ネグリ,オリヴィエ
(72)【発明者】
【氏名】バレロン,レミ
【審査官】 片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】 特開2008−192350(JP,A)
【文献】 特開平07−304424(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 3/20
H01H 23/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロック可能なロッカースイッチ(1;101)であって、
−回動経路(4;104)を定める固定部分(2;102);
−前記回動経路(4;104;304)に沿って、少なくとも第1の回動位置と第2の回動位置との間で回動軸(X6;X106)の回りに回動するように調整された回動部分(6;106);
−磁気的に作動可能なロック要素(8;108)であり、
−前記ロック要素(8;108)が、前記回動経路(4;104)を横切って前記固定部分と前記回動部分の両方に係合して前記回動部分(6;106)の回動を防止する少なくとも一つのロック位置と、
−前記ロック要素(8;108)が前記回動経路(4;104)のそばに位置して、前記回動部分(6;106)が前記回動経路(4;104)内で回動できるようにする少なくとも一つの解放位置と、
の間で前記固定部分(2;102)に対し移動するように調整されたロック要素(8;108);
を少なくとも含み、
前記ロック可能なロッカースイッチ(1;101)が、前記回動部分(6;106)に取り付けられると共に、少なくとも、
−前記ロック要素(8;108)を前記解放位置に付勢する磁気作用を制御要素(10;110)が発生させる制御位置と、
−前記制御要素(10;110)が前記磁気作用の発生を停止させる休止位置、
との間で前記回動部分(6;106)に対して移動可能な、前記制御要素(10;110)を更に含んでいる、ロック可能なロッカースイッチ(1;101)。
【請求項2】
前記ロック要素(8)は前記解放位置において前記回動部分(6)内に完全に収容され、かつ前記ロック要素(8)は前記ロック位置において前記回動部分(6)から前記固定部分(2)内に部分的に突出する、請求項1に記載のロック可能なロッカースイッチ(1)。
【請求項3】
前記固定部分(2)は前記回動経路(4)と連通する少なくとも一つの開口(12、14)を定め、前記回動部分(6)は少なくとも一つの他の開口(30)を定め、前記ロック要素(8)は前記解放位置において前記少なくとも一つの他の開口(30)内に完全に収容され、かつ前記ロック要素(8)は前記ロック位置において前記回動部分(6)から前記固定部分(2)の前記少なくとも一つの開口(12、14)内に部分的に突出する、請求項2に記載のロック可能なロッカースイッチ(1)。
【請求項4】
前記固定部分(2)は前記第1の回動位置と前記第2の回動位置に対応する少なくとも2つの開口(12、14)を定める、請求項3に記載のロック可能なロッカースイッチ(1)。
【請求項5】
前記ロック要素(108)は前記解放位置において前記固定部分(102)内に完全に収容されるように調整され、かつ前記ロック要素(108)は前記ロック位置において前記固定部分(102)から前記回動部分(106)内に部分的に突出する、請求項1に記載のロック可能なロッカースイッチ(101)。
【請求項6】
前記回動部分(102)は前記回動経路(104)と連通する少なくとも一つのキャビティ(112、114)を定め、前記固定部分(102)は少なくとも一つの他のキャビティ(130)を定め、前記ロック要素(108)は前記解放位置において前記固定部分(102)に形成されている前記少なくとも一つの他のキャビティ(130)内に完全に収容され、かつ前記ロック要素(108)は前記ロック位置において前記固定部分(102)から前記回動部分(102)の前記少なくとも一つのキャビティ(112、114)内に部分的に突出する、請求項5に記載のロック可能なロッカースイッチ(101)。
【請求項7】
前記回動部分(102)は前記第1の回動位置と前記第2の回動位置に対応する少なくとも2つのキャビティ(112、114)を定める、請求項6に記載のロック可能なロッカースイッチ(101)。
【請求項8】
前記制御要素(10;110)は、少なくとも前記制御位置と前記休止位置との間で手動により移動可能に設計される、請求項1乃至7のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ(1;101)。
【請求項9】
前記制御要素(10;110)を前記休止位置に向けて弾力的に付勢するように調整された少なくとも一つのばね(16;116)を更に含む、請求項1乃至8のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ(1;101)。
【請求項10】
前記制御要素(10;110)は平行移動で移動可能である、請求項1乃至9のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ(1;101)。
【請求項11】
前記回動部分(6;106)は実質的に平坦な部分(6.10;106.10)を有し、前記制御要素(10;110)は、前記実質的に平坦な部分(6.10;106.110)上で直線の平行移動軸(Y10;Y110)に沿って移動可能である、請求項10に記載のロック可能なロッカースイッチ(1;101)。
【請求項12】
前記直線の平行移動軸(Y10;Y110)は前記回動軸(X6;X106)に対し直交している、請求項11に記載のロック可能なロッカースイッチ(1;101)。
【請求項13】
前記回動部分(6;106)は実質的に円柱形状、好ましくは半円柱形状の部分(6.4;106.104)を含んでおり、前記回動経路(4;104)は、前記円柱状部分(6.4;106.104)を回動可能に支持するのに適した実質的に凹状の円柱表面を有している、請求項1乃至12のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ(1;101)。
【請求項14】
前記実質的に凹状の円柱状の部分(4.6)は、前記固定部分(2)の各開口(12、14)の傍に配置されると共に各開口(12、14、212、214)に向かって次第に増加する角度あるいは曲率を有する、少なくとも一つの案内斜面(219.1、219.2)を定める、請求項13、又は請求項3又は4のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ。
【請求項15】
前記実質的に円柱状の部分(104.106)は、前記回動部分(106)の各キャビティ(112、114)の傍に配置されると共に各キャビティ(112、114、212、214)に向かって次第に増加する角度あるいは曲率を有する、少なくとも一つの案内斜面(219.1、219.2)を定める、請求項13、又は請求項6又は7のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ。
【請求項16】
前記回動部分(106)を前記第1の回動位置に向けて弾力的に付勢するように調整された、少なくとも一つのロッカーばね(120)を更に含む、請求項1乃至15のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ(101)。
【請求項17】
前記ロック要素(8;108)を前記少なくとも一つのロック位置に移動させるのに適する弾力的な作用を及ぼすように設計された、弾力的な付勢要素(22;122)を更に含み、前記弾力的な作用は前記磁気的な作用よりも弱い、請求項1乃至16のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ(1;101)。
【請求項18】
前記ロック要素(8;108)は前記ロック軸(Z8;Z108)に沿って平行移動すると共に前記回動経路(4;104)を横切るように配置され、前記回動軸(X6;X106)は好ましくは前記回動軸(Z6;Z106)に対して垂直であり、かつ前記ロック要素(8;108)は好ましくは実質的に円柱形状のピンを含む、請求項1乃至17のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ(1;101)。
【請求項19】
前記ロック要素(8)は金属材料、例えば合金鋼から作られた磁気ロック部品を含み、かつ前記制御要素(10)は磁性材料、好ましくは永久磁石から作られた磁気制御部分を含み、前記制御要素(10)は前記制御位置において前記ロック要素(8)上に前記磁気作用を及ぼす、請求項1乃至4のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ(1)。
【請求項20】
前記ロック可能なロッカースイッチ(101)は、電気的に励起されたときに前記ロック要素(108)上に前記磁気作用を及ぼす電磁ソレノイド(124)を更に含み、かつ前記ロック可能なロッカースイッチ(101)は、前記電磁ソレノイド(124)に接続されると共に少なくとも前記回動部分(106)内に延在して、前記制御要素(110)が前記制御位置にあるときに前記制御要素(110)と協働して前記電磁ソレノイド(124)を電気的に励起させるようになっている、制御回路(126)を更に含む、請求項1、5、6又は7に記載のロック可能なロッカースイッチ(101)。
【請求項21】
前記電磁ソレノイド(124)は前記固定部分(102)内に収容され、前記制御回路(126)は前記回動経路(104)上にかつ前記固定部分(102)内に延在して前記電磁ソレノイド(124)と電気的に接触している、請求項20に記載のロック可能なロッカースイッチ(101)。
【請求項22】
前記電磁ソレノイド(124)は、例えば鉄系軟磁性材料といった強磁性体から成るコアを有している、請求項21に記載のロック可能なロッカースイッチ(101)。
【請求項23】
前記制御要素(110)は前記制御位置において前記制御回路(126)を閉じるように設計されている、請求項20乃至22のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ(101)。
【請求項24】
前記制御回路(126)は、前記制御要素(110)が前記制御位置にあるときに前記電磁ソレノイド(124)を励起させるために、前記制御要素(110)によって起動されて前記制御回路(126)を電気的に閉じるように前記回動部分(106)内に配置されたマイクロスイッチ(128)を含む、請求項23に記載のロック可能なロッカースイッチ(101)。
【請求項25】
前記回動部分は、前記第1の回動位置及び前記第2の回動位置を含む少なくとも3つの回動位置の間で、前記回動経路内で前記回動軸の回りに回動するように配置されている、請求項1乃至24のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチ。
【請求項26】
自動車の少なくとも一つの電気要素(51)に電力を供給するための電気回路(50)であって、前記電気回路(50)は請求項1乃至25のいずれかに記載したロック可能なロッカースイッチ(1;101)を含み、前記ロック可能なロッカースイッチ(1;101)は、前記回動部分(6;106)が前記第1の回動位置において前記電気回路(50)内の電力供給を起動させ、かつ前記回動部分(6;106)が前記第2の回動位置において前記電気回路(50)内の電力供給の起動を停止させるように配置されている、電気回路(50)。
【請求項27】
請求項1乃至25のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチをアンロックするアンロック方法であって、前記アンロック方法は、
−501)前記制御要素(10;110)を前記休止位置から前記制御位置に手動で移動させる段階;
−502)前記ロック要素(8;108)を前記固定部分(2;102)に対して前記少なくとも一つのロック位置から前記少なくとも一つの解放位置に移動させるべく、前記ロック要素(8;108)を磁気的に作動させる段階;及び、
−503)前記回動部分(6;106)を前記回動経路(4;104)に沿わせて少なくとも第1の回動位置と第2の回動位置との間で回動軸(X6;X106)の回りに回動させる段階、
を含む方法。
【請求項28】
請求項1乃至25のいずれかに記載のロック可能なロッカースイッチをロックするロック方法であって、前記ロック方法は、
−601)前記制御要素(10;110)を前記制御位置から前記休止位置に移動させる段階;
−602)前記ロック要素(8;108)が前記少なくとも一つのロック位置に戻るようにする段階、
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はロック可能なロッカースイッチ、例えば自動車の一つあるいは複数の電気要素に電力を供給する電気回路に適しているロック可能なロッカースイッチに関する。更に本発明は、自動車の一つあるいは複数の電気要素に電力を供給するための電気回路に関する。また本発明は、そのようなロック可能なロッカースイッチをアンロックするアンロック方法、及びそのようなロック可能なロッカースイッチをロックするためのロック方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、固定部分と、第1及び第2の回動位置の間で固定部に対し回動できる回動可能部分と、それらの固定部分及び回動可能部分に係合して一体にロックし、かつそれとは反対にそれらを解放すべく可動な磁気ロックとを備えるロック装置を開示している。
【0003】
特許文献1のロック可能なロッカースイッチの主な欠点は、その機能を実行するために多数の構成要素を必要とすることであり、そのことはこのロック装置をロックしかつアンロックするために極めて扱いにくくかつ面倒なものにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,685,183号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、いくつかの観点から、特に車両の電気回路にとって、そのロック可能なロッカースイッチを改良する余地があるように見える。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、コンパクトで、信頼でき、かつ取り扱いが容易なロック可能なロッカースイッチを提供することにある。
【0007】
本発明の主題は、ロック可能なロッカースイッチであって、
−回動経路を定める固定部分;
−回動経路に沿って、少なくとも第1の回動位置と第2の回動位置との間で回動軸の回りに回動するように調整された回動部分;
−磁気的に作動可能なロック要素であり、そのロック要素が、
・回動経路を横切って固定部分と回動部分の両方に係合して回動部分の回動を防止する少なくとも一つのロック位置と、
・ロック要素が回動経路のそばに位置して、回動部分が回動経路内で回動できるようにする少なくとも一つの解放位置との間で、
固定部分に対し移動するように調整されたロック要素;
を少なくとも含み、そのロック可能なロッカースイッチが、
−回動部分に取り付けられると共に少なくともロック要素を解放位置に付勢する磁気作用を制御要素が発生させる制御位置と、
−制御要素が磁気作用の発生を停止させる休止位置、
との間で回動部分に対して移動可能な制御要素、を更に含んでいる、ロック可能なロッカースイッチである。
【0008】
本願の全体にわたって「磁性材料」という表現は、予め定められた磁力の下で、付勢要素が及ぼす力よりも強い磁気的な結合を生じさせることができるあらゆる材料を意味する。従って、その予め定められた磁力は、あるいは弾力的な付勢要素が及ぼす付勢力に抗してロック要素を移動させることができる。磁性材料の実施例には、例えば、強磁性体を含めることができる。
【0009】
従って、そのようなロック可能なロッカースイッチは、コンパクトで、信頼でき、取り扱うのが容易であり得る。それが必要とすることは、オペレータが回動部分を回動させあるいは揺動させると共に制御要素をスライドさせることだけであるからである。
【0010】
一実施形態によると、ロック要素は解放位置において回動部分内に完全に収容され、かつロック要素はロック位置において回動部分から固定部分内に部分的に突出する。
【0011】
従って、そのような回動部分内への収容は、ロック要素が迅速にかつ確実に回動経路を横切って突出できるようにする。
【0012】
一実施形態によると、固定部分は回動経路と連通する少なくとも一つの開口を定め、回動部分は少なくとも一つの他の開口を定め、ロック要素は解放位置において少なくとも一つの他の開口内に完全に収容され、かつロック要素はロック位置において回動部分から固定部分の少なくとも一つの開口内に部分的に突出する。
【0013】
従って、固定部分のそのような開口は、ロック要素を受け入れるために製造が容易である。
【0014】
一実施形態によると、固定部分は第1の回動位置と第2の回動位置に対応する少なくとも2つの開口を定める。
【0015】
従って、そのような開口は、少なくとも2つの異なる位置のロック要素を受け入れるために製造が容易である。
【0016】
一実施形態によると、ロック要素は解放位置において固定部分内に完全に収容されるように配置され、かつロック要素はロック位置において固定部分から回動部分内に部分的に突出する。
【0017】
従って、固定部分のそのような適応は、ロック要素が急速に回動経路を横切って外へ突出することを可能にし、急速に、そして、確実に、回動部分の旋回を止める。
【0018】
一実施形態によると、回動部分は回動経路と連通する少なくとも一つのキャビティを定め、固定部分は少なくとも一つの他のキャビティを定め、ロック要素は解放位置において少なくとも一つの他の開口内に完全に収容され、かつロック要素はロック位置において固定部分から回動部分の少なくとも一つのキャビティ内に部分的に突出する。
【0019】
従って、回動部分のそのようなキャビティは、ロック要素を受け入れるために製造が容易である。
【0020】
一実施形態によると、回動部分は第1の回動位置と第2の回動位置に対応する少なくとも2つのキャビティを定める。
【0021】
従って、そのようなキャビティは、少なくとも2つの異なる位置のロック要素を受け入れるために製造が容易である。
【0022】
一実施形態によると、制御要素は、少なくとも制御位置と休止位置との間で手動により移動可能に設計される。
【0023】
従って、そのような制御要素はオペレータが容易に取り扱うことができる。
【0024】
一実施形態によると、制御要素を休止位置に向けて弾力的に付勢するように調整された少なくとも一つのばねを更に含む。
【0025】
従って、そのようなばねは制御要素をその休止位置に自動的に戻し、従ってオペレータのこの段階の達成を容易にする。
【0026】
一実施形態によると、制御要素は平行移動で移動可能である。
【0027】
従って、そのようなスライドする制御要素は、製造、組み立て及び使用が容易である。
【0028】
一実施形態によると、回動部分は実質的に平坦な部分を有し、制御要素はその実質的に平坦な部分上で直線の平行移動軸に沿って移動可能である。
【0029】
従って、そのような平坦部分は、製造が容易で制御要素のスライドを容易にする。従って、この構造により、本発明のロック可能なロッカースイッチは、技術的な観点からは簡単でかつ極めて信頼できる。
【0030】
一実施形態によると、直線の平行移動軸は回動軸に対して直交する。
【0031】
従って、そのように直交する直線の平行移動軸は、製造及び使用が容易なロック可能なロッカースイッチの設計を助ける。
【0032】
一実施形態によると、回動部分は実質的に円柱形状、好ましくは半円柱形状の部分を含んでおり、かつ回動経路は、円柱状部分を回動可能に支持するのに適した実質的に凹状の円柱表面を有する。
【0033】
従って、そのような円柱状の部分及び表面は、回動部分にとって効果的な回動経路を定める。
【0034】
一実施形態によると、実質的に凹状の円柱状表面は、固定部分の各開口の傍に配置されると共に固定部分の各開口に向かって次第に増加する角度あるいは曲率を有する、少なくとも一つの案内斜面を定める。
【0035】
従って、そのような案内斜面はロック要素を固定部分の開口内に案内し、それはオペレータのロック位置への到達を助ける。
【0036】
一実施形態によると、実質的に円柱状の部分は、回動部分の各キャビティの傍に配置されると共に回動部分の各キャビティに向かって次第に増加する角度あるいは曲率を有する、少なくとも一つの案内斜面を定める。
【0037】
従って、そのような案内斜面はロック要素を固定部分のキャビティ内に案内し、それはオペレータのロック位置への到達を助ける。
【0038】
一実施形態によると、ロック可能なロッカースイッチは、回動部分を第1の回動位置に向けて弾力的に付勢するように配置された少なくとも一つのロッカーばねを更に含む。
【0039】
従って、そのようなロッカーばねは、回動部分をその第1の回動位置に自動的に戻すことができ、オペレータのこの段階の達成を容易にする。
【0040】
一実施形態によると、ロック可能なロッカースイッチは、ロック要素を少なくとも一つのロック位置に移動させるのに適する弾力的な作用を及ぼすように設計された、弾力的な付勢要素を更に含み、その弾力的な作用は磁気的な作用よりも弱い。
【0041】
従って、そのようなロッカーばねはロック要素をロック位置に自動的に戻すことができ、オペレータのこの段階の達成を容易にし、あるいはこの段階を達成するための特定のアクチュエータ若しくは設計の必要性を不要にする。
【0042】
一実施形態によると、ロック要素はロック軸に沿って平行移動すると共に回動経路を横切るように配置され、ロック軸は好ましくは回動軸に対して垂直であり、かつロック要素は好ましくは実質的に円柱形状のピンを含む。
【0043】
従って、そのようなスライドするロック要素は、製造が容易でありかつ組み立てが簡潔である。
【0044】
一実施形態によると、ロック要素は金属材料、例えば合金鋼から作られた磁気ロック部品を含み、かつ制御要素は磁性材料、好ましくは永久磁石から作られた磁気制御部分を含み、制御要素は制御位置においてロック要素上に磁気作用を及ぼす。
【0045】
従って、そのような材料は、制御要素及びロック要素に磁気的な作用を生じさせうる。
【0046】
一実施形態によると、ロック可能なロッカースイッチは、電気的に励起されたときにロック要素上に磁気作用を及ぼす電磁ソレノイドを更に含む。この実施形態によると、ロック可能なロッカースイッチは、電磁ソレノイドに接続されると共に少なくとも回動部分内に延在する制御回路を更に含み、制御回路は、制御要素が制御位置にあるときに制御要素と協働して電磁ソレノイドを電気的に励起させるようになっている。制御要素が制御位置にあるときに、制御要素は制御回路が電磁ソレノイドを励起させることを可能にする。制御位置にある制御要素は起動し、従ってロック要素を解放位置に向けて付勢する磁気作用を生じさせる。
【0047】
そのような電磁ソレノイドは制御回路と共に、ロック要素をロック位置に迅速にかつ確実に移動させることができる。
【0048】
一実施形態によると、電磁ソレノイドは固定部分内に収容され、制御回路は回動経路上にかつ固定部分内に延在して電磁ソレノイドと電気的に接触する。
【0049】
従って、電磁ソレノイド及び制御回路のそのような位置決めは、ロック可能なロッカースイッチを極めてコンパクトなものにする。
【0050】
一実施形態によると、電磁ソレノイドは、例えば鉄、または軟鋼など鉄系軟磁性材料といった強磁性体から成るコアを有する。
【0051】
従って、そのようなコアは効率的な電磁ソレノイドの製造を可能にする。
【0052】
一実施形態によると、制御要素は制御位置において制御回路を閉じるように設計される。
【0053】
従って、そのような設計は、ロック可能なロッカースイッチのロックを容易にする。
【0054】
一実施形態によると、制御回路は、制御要素が制御位置にあるときに電磁ソレノイドを励起させるために、制御要素によって起動されて制御回路を電気的に閉じるように回動部分内に配置されたマイクロスイッチを含む。
【0055】
従って、回動部分に配置されたそのようなマイクロスイッチは、コンパクトなロック可能なロッカースイッチを設計するために有利である。
【0056】
一実施形態によると、回動部分は、第1の回動位置と第2の回動位置を含む少なくとも3つの回動位置の間で、回動軸の回りで回動経路内を回動するように配置される。
【0057】
従って、3つあるいはより多くの回動位置により、そのようなロック可能なロッカースイッチは、例えば自動車のいくつかの電気回路の電力供給を引き起こすことができる。
【0058】
また、本発明の主題は、自動車の少なくとも一つの電気要素に電力を供給するための電気回路であって、その電気回路は本発明によるロック可能なロッカースイッチを含み、ロック可能なロッカースイッチは、回動部分が第1の回動位置において電気回路内の電力供給を起動させ、かつ回動部分が第2の回動位置において電気回路内の電力供給の起動を停止させるように配置される。ロック可能なロッカースイッチは、例えば、イグニションロックあるいはADRスイッチロックである。ADRという略語は「危険貨物の道路による国際輸送に関する取り決め」を意味し、かつADRスイッチロックは、車両の電気回路からバッテリーを分離するために伝統的に用いられている安全スイッチである。
【0059】
従って、そのような電気回路は、迅速にかつ確実に少なくとも一つの状態にロックすることができる。
【0060】
本発明の他の主題は、前述したロック可能なロッカースイッチをアンロックするためのアンロック方法であって、そのアンロック方法は、
−制御要素を休止位置から制御位置に手動で移動させる段階;
−ロック要素を固定部分に対して少なくとも一つのロック位置から少なくとも一つの解放位置に移動させるべく、ロック要素を磁気的に作動させる段階;
−回動部分を回動経路に沿わせて少なくとも第1の回動位置と第2の回動位置との間で回動軸の回りに回動させる段階、
を含む。
【0061】
従って、そのようなアンロック方法は、ロック可能なロッカースイッチをオペレータが確実にかつ容易にアンロックできるようにする。
【0062】
本発明の更に他の主題は、前述したロック可能なロッカースイッチを係止するロック方法であって、そのロック方法は、
−制御要素を制御位置から休止位置に移動させる段階;及び、
−ロック要素が少なくとも一つのロック位置に戻るようにする段階、
を含む。
【0063】
従って、そのようなロック方法は、ロック可能なロッカースイッチをオペレータが確実にかつ容易にロックできるようにする。
【0064】
本発明のこれらの及び他の特徴及び利益は、添付された図面を考慮しつつ、本発明の主題の実施形態を非限定的な実施例として表す以下の説明を読むと、直ちに明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【0065】
本発明のいくつかの実施形態の以下の詳細な説明は、添付図面と関連して読まれるとより良く理解される。しかしながら本発明はここに開示される特定の実施形態に限定されない。
【0066】
図1】第1実施形態のロック可能なロッカースイッチの概略断面図であり、回動部分は第1の回動位置にあり、ロック要素はロック位置にあり、かつ制御要素は休止位置にある。
図2図1のロック可能なロッカースイッチの図1と類似の図であり、回動部分は第1の回動位置にあり、ロック要素は解放位置にあり、かつ制御要素は制御位置にある。
図3図1のロック可能なロッカースイッチの図1と類似の図であり、回動部分は第2の回動位置にあり、ロック要素は解放位置にあり、かつ制御要素は制御位置にある。
図4図1のロック可能なロッカースイッチの図1と類似の図であり、回動部分は第2の回動位置にあり、ロック要素はロック位置にあり、かつ制御要素は休止位置にある。
図5図1のロック可能なロッカースイッチの、図1における矢印Vに沿った概略上面図であり、制御要素は休止位置にある。
図6図1のロック可能なロッカースイッチの図5と類似の図であり、制御要素は制御位置にある。
図7図1のロック可能なロッカースイッチに属する固定部分の、図1の平面に平行な平面で切り取った概略斜視図である。
図8図1のロック可能なロッカースイッチに属する回動部分及び制御要素の図7と類似の図である。
図9図1の配置における図1のロック可能なロッカースイッチの図7と類似の図である。
図10図2の配置における図1のロック可能なロッカースイッチの図7と類似の図である。
図11図3の配置における図1のロック可能なロッカースイッチの図7と類似の図である。
図12図4の配置における図1のロック可能なロッカースイッチの図7と類似の図である。
図13図7の平面XIIIに沿った概略断面図である。
図14】第2実施形態のロック可能なロッカースイッチの図1と類似の概略断面図であり、回動部分は第1の回動位置にあり、ロック要素はロック位置にあり、かつ制御要素は休止位置にある。
図15図14のロック可能なロッカースイッチの図であり、回動部分は第1の回動位置にあり、ロック要素は解放位置にあり、かつ制御要素は制御位置にある。
図16図14のロック可能なロッカースイッチの図14と類似の図であり、回動部分は第2の回動位置にあり、ロック要素は解放位置にあり、かつ制御要素は制御位置にある。
図17図14のロック可能なロッカースイッチの図14と類似の図であり、回動部分は第2の回動位置にあり、ロック要素はロック位置にあり、かつ制御要素は休止位置にある。
図18図14のロック可能なロッカースイッチの、図14における矢印XVIIIに沿った概略上面図であり、制御要素は休止位置にある。
図19図14のロック可能なロッカースイッチの図18と類似の図であり、制御要素は制御位置にある。
図20図14のロック可能なロッカースイッチに属する固定部分の、図1の平面に平行な平面で切り取った図7と類似の概略斜視図である。
図21図14のロック可能なロッカースイッチに属する回動部分及び制御要素の図8と類似の図である。
図22図14の配置における図14のロック可能なロッカースイッチの図9と類似の図である。
図23図15の配置における図14のロック可能なロッカースイッチの図9と類似の図である。
図24図16の配置における図14のロック可能なロッカースイッチの図9と類似の図である。
図25図17の配置における図14のロック可能なロッカースイッチの図9と類似の図である。
図26図21の平面XXVIに沿った概略断面図である。
図27図1乃至図26に表されているロック可能なロッカースイッチの回動部分の概略断面図である。
図28図1乃至図26のいずれに例示されているロック可能なロッカースイッチを含む本発明による電気回路の概略図である。
図29図1乃至図26のいずれかに例示されているロック可能なロッカースイッチに関するアンロック方法を示す概略流れ図である。
図30図1乃至図26のいずれかに例示されているロック可能なロッカースイッチに関するロック方法を示す概略流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0067】
図1図13は、固定部分2と回動部分6を含むロック可能なロッカースイッチ1を示している。固定部分2は回動の経路4を定めている。回動部分6は、(図5及び図6に見える)回動軸X6の回りで回動経路4に沿って回動するように配置されている。回動部分6は、第1の回動位置(図1図2図9及び図10)と第2の回動位置(図3図4図11及び図12)の間で回動するように配置されている。
【0068】
図3あるいは図8に見える様に、回動部分6は、回動軸X6の回りの半円柱形状とし得る、実質的に円柱状の部分6.4を含んでいる。回動部分6は、好ましくは、実質的に円柱状の部分6.4を切り取る、実質的に平坦な部分6.1を含んでいる。
【0069】
図3図4又は図7に見える様に、回動経路4は、円柱状部分6.4を回動自在に支持するのに適した実質的に凹状の円柱表面4.6を有している。この実質的に凹状の円柱表面4.6は、実質的に円柱状の部分6.4とほぼ同じ直径及び同じ幅を有している。
【0070】
例えば、実質的に凹状の円柱表面4.6の直径D1は、好ましくは15mmから70mmの間、より好ましくは25mmから50mmの間であり、かつ実質的に円柱状の部分6.4の直径D2はD1から半径方向の可動隙間を減じたものにほぼ等しい。直径及び幅は、回動軸X6に垂直にかつ平行にそれぞれ測定される。
【0071】
実質的に凹円柱状の表面4.6及び実質的に円柱状の部分6.4の対応する直径D1、D2のため、回動部分4は、回転経路4に沿ってピボット式あるいは揺動する運動の固定部2を中心に回転することができる。
【0072】
ロック可能なロッカースイッチ1は、磁気的に作動可能であると共に、ロック位置(図1図4図9及び図12)と解放位置(図2図3図10及び図11)との間で固定部分2に対して移動するように調整された、ロック要素8を更に含んでいる。
【0073】
ロック位置(図1図4図9及び図12)において、ロック要素8は、回動経路4を横切ると共に、固定部分2と回動部分4の両方に係合して回動部分6の回動を防止する。言い換えると、ロック位置において、ロック要素8は回動部分6から固定部分2へと部分的に突出する。
【0074】
解放位置(図2図3図10及び図11)において、ロック要素8は回動経路4から少し離れた位置にあり、回動部分6は回動経路4内で回動することができる。より詳しくは、解放位置において、ロック要素8は回動部分6の内部に完全に収容されて回動経路4から少し離れた位置にある。
【0075】
図1図13の実施形態に表されているように、ロック要素8を収容するために、固定部分2は、回動経路4と連通する少なくとも2つの開口12及び14を定めることができる。開口12は第1の回動位置(図1図2図9及び図10)に対応し、その一方で開口14は第2の回動位置(図3図4図11及び図12)に対応する。
【0076】
回動部分6は、完全に解放位置(図2、3、10及び11)のロック要素8に適応するように設計された開口30を有する。特に、回動部分6のこの開口30の深さは、ロック要素8の高さよりわずかに大きい。
【0077】
更に、ロック可能なロッカースイッチ1は、回動部分6に取り付けられると共に、制御位置(図2図3図6図10及び図11)と休止位置(図1図4図5図9及び図12)との間で回動部分6に対して移動可能な、制御要素10を含んでいる。
【0078】
制御位置(図2図3図6図10及び図11)において、制御要素10は、ロック要素8をその解放位置(図2図3図10及び図11)に付勢する磁気作用F10を生じる。休止位置(図1図4図5図9及び図12)において、制御要素10は磁気作用F10が生じないようにする。ロック可能なロッカースイッチ1の通常動作時には、制御位置(図2図3図6図10及び図11)はロック要素8の解放位置に対応し、その一方で休止位置(図1図4図5図9及び図12)はロック要素8のロック位置に対応する。
【0079】
このため、制御要素10は、休止位置において、制御要素10が磁気作用F10を及ぼすにはロック要素8から離れ過ぎており、従ってロック要素8をそのロック位置(図1図4図9及び図12)に残すように、設計することができる。特に、制御要素10とロック要素8の材料は、制御位置(図2図3図10及び図11)においてのみ作用する磁気作用F10を得るべく選択することができる。
【0080】
制御要素10は、制御位置(図2図3図6図10及び図11)と休止位置(図1図4図5図9及び図12)との間で、手動により移動可能であるよう設計されている。制御要素10は、ユーザの手によって操作しやすいボタンを形成するように設計することができる。
【0081】
図1図13の実施例において表したように、制御要素10は、回動部分6の実質的に平坦な部分6.1上へ、平行移動において移動可能である。制御要素10は、ここでは回動軸X6に直交する直線平行移動軸Y10(図2図3図11図12に見られる)に沿って移動可能である。
【0082】
ロック可能なロッカースイッチ1は、制御要素10を休止位置(図1図4図5図9及び図12)に向けて弾力的に付勢するように調整された、少なくとも一つのばね16を更に含んでいる。このため、ばね16は、より歪むように、すなわち圧縮ばねの場合には、制御位置(図2図3図6図10及び図11)においては休止位置(図1図4図5図9及び図12)におけるよりも圧縮されるように、配置することができる。ばね16は、ここでは圧縮コイルばねである。図5及び図6の実施例において、制御要素10は中空キャビティを定めており、かつばね16はこの中空キャビティの軸Y10に沿って位置している。ばね16の一方の軸方向端部は制御要素10の内壁に取り付けられており、他方の軸方向端部は平坦部分6.1の取付点17を介して回動部分6に取り付けられている。
【0083】
ロック可能なロッカースイッチ1は、ロック要素8をロック位置(図1図4図9及び図12)に動かすのに適した弾力作用F22(図1図4及び図10)を及ぼすように設計された、弾力的な付勢要素22を更に含んでいる。弾力的な作用F22は、制御位置において作用する磁気作用F10より弱い。従って、弾力的な作用F22は、ロック要素8が解放位置に動くことを防止できない。
【0084】
ロック要素8は、例えば実質的に円柱形状のロックピンによって形成されている。ロックピン8を完全に収容することができる回動部分6の開口30は、開口30の内部へのロックピンの滑り動きを許可するために、ロックピンの直径よりわずかに大きい直径の実質的に円柱状の対応する形状を有している。ロック要素8は、ロック軸Z8に沿って平行移動すると共に、回動経路4を横切るように配置されている。ロック軸Z8は、回動軸X6に対して垂直である。ロック軸Z8はまた、ここでは直線方向に平行移動する軸Y10に対して垂直である。
【0085】
制御要素10は好ましくは永久磁石から成る磁気制御部分を含んでおり、かつロック要素8は永久磁石によって磁気的に引き付けることができる金属材料を含んでいて、制御要素10は制御位置(図2図3図10及び図11)においてロック要素8上に磁気作用F10を及ぼす。
【0086】
図7及び図13に見える様に、ロック要素8の開口12あるいは14の内部への移動を案内するために、実質的に凹状の円柱表面4.6は2つの案内斜面19.1及び19.2を定めている。案内斜面19.1及び19.2は、図7及び図8図12までには見えているが、それらは概略的な図1図4には示されていない。案内斜面19.1は開口12のそばに配置され、かつ案内斜面19.2は開口14のそばに配置されている。案内斜面19.1及び19.2は、それらの開口12あるいは14の各々に向かって次第に増加する角度を有している。
【0087】
図14図26は、第2実施形態のロック可能なロッカースイッチ101を図示している。図1図13を参照して上述したロック可能なロッカースイッチ1の説明は、以下に述べる顕著な相違を除いて、ロック可能なロッカースイッチ101に移し換えることができる。
【0088】
ロック可能なロッカースイッチ101の要素のうち、ロック可能なロッカースイッチ1の要素のそれに類似しあるいは対応する構造あるいは機能を有するものには、同じ参照符号に100を加算して割り当てられている。従って、固定部分102、回動部分106、回動経路104、回動軸X106、ロック軸Z108を有するロック要素108、起動して磁気作用F110を生じさせるのに適した直線平行移動軸Y110を有する制御要素10、回動部分106上の実質的に円柱状の部分106.104と実質的に平坦な部分106.110、固定部分102上の実質的に凹状の円柱表面104.106、御要素110を休止位置に向けて弾力的に付勢するばね116、制御要素10が休止位置(図14図17図18図22図25)にあるときにロック要素108をロック位置に向けて移動させるべく弾力的な作用を及ぼすように設計された弾力的な付勢要素122を定めることができる。
【0089】
図15図16図23及び図24は、ロック要素108の解放位置と制御要素110の制御位置を図示している。図14図17図22及び図25は、ロック要素108のロック位置と制御要素110の休止位置を図示している。
【0090】
ロック可能なロッカースイッチ101はロック可能なロッカースイッチ1と異なる。その理由は、第1実施形態において、その解放位置(図2、3、10及び11)のロック要素8が回動部分6において完全に収容されるのに対して、その解放位置(図15、16、23及び24)のロック要素108は固定部分102のキャビティ130において完全に収容されることにある。
【0091】
これとは反対に、ロック可能なロッカースイッチ101は、ロック可能なロッカースイッチ1とは異なっている。ロック要素108は、そのロック位置(図14図17図22及び図25)において固定部分102から部分的に突出して回動部分106に入るが、第1実施形態におけるロック要素8は、ロック位置(図1図4図9及び図12)において回動部分6から部分的に突出して固定部分2に入るからである。
【0092】
同様に、ロック可能なロッカースイッチ101はロック可能なロッカースイッチ1と異なる。その理由は、回動部分106は回動経路104に連通する少なくとも2つのキャビティ112及び114を定めるが、固定部分2は回動経路4に連通する少なくとも2つの開口12及び14を定めることにある。ロック可能なロッカースイッチ101においては、キャビティ112が第1回動位置(図14図15図22及び図23)に対応し、かつキャビティ114が第2回動位置(図16図17図24及び図25)に対応する。
【0093】
これとは反対に、ロック可能なロッカースイッチ101は、ロック可能なロッカースイッチ1とは異なっている。ロック要素108はその解放位置(図15図16図23及び図24)において固定部分102の内部に完全に収容され、かつロック要素108はそのロック位置(図14図17図22及び図25)において固定部分102から部分的に突出して一つのキャビティ12あるいは114に入るが、ロック要素8はロック位置(図1図4図9及び図12)において回動部分6から部分的に突出して開口12あるいは14に入るからである。
【0094】
また、ロック可能なロッカースイッチ101は、ロック可能なロッカースイッチ1とは異なっている。図21及び図26に見える様に、実質的に円柱状の部分部104.106が、キャビティ112及び114のそばにそれぞれ配置されると共に、それらの各キャビティ112あるいは114に向けて次第に増加する角度をそれぞれ有している、2つの案内斜面219.1及び219.2を定めているからである。案内斜面219.1及び219.2は図21図25に見えるが、それらは概略的な図14図17には図示されていない。
【0095】
更に、ロック可能なロッカースイッチ101はロック可能なロッカースイッチ1と異なっている。ロック可能なロッカースイッチ101は、電磁ソレノイド124が電気的に励起されたときに、ロック要素108に磁気作用F110を及ぼすべく調整された電磁ソレノイド124を含んでいるからである。電磁ソレノイド124が及ぼす磁気作用は、弾力的な付勢要素122が及ぼす作用よりも強い。弾力的な付勢要素122及び電磁ソレノイド124は、明瞭さのために、図20図25にではなく図14図17に表されている。
【0096】
ロック可能なロッカースイッチ101は、電磁ソレノイド124に接続された制御回路126を含んでいる。制御回路126は回動部分106の内部に延在し、制御要素110が制御位置にあるときに、制御要素110と協働して電磁ソレノイド124を電気的に励起させるようになっている。制御要素が制御位置にあるときに、制御要素110は、制御回路126が電磁ソレノイド124を励起できるようにしている。制御位置にある制御要素110は起動し、従って弾力的な付勢要素122による反対方向の作用に抵抗してロック要素を解放位置に付勢する磁気作用を生じさせる。
【0097】
電磁ソレノイド124は、固定部分2に収容されている。図14図17に見える様に、制御回路126は、回動経路104の上にかつ固定部分102に内部に延在して、電磁ソレノイド124と電気的に接触している。また、電磁ソレノイド124は、ここでは、例えば鉄あるいは軟鋼といった鉄系の軟磁性材料である強磁性体から成る磁性材料を含むコアを含んでいる。
【0098】
制御要素110は、制御位置(図15図16図19図23及び図24)にあるときに、制御回路126を閉じるように設計されている。回動部分106は、制御要素110が制御位置(図19)にあるときに制御回路126を起動させるように調整された、例えばマイクロスイッチ128を含むことができる。変形例(表されていない)において、制御要素110は、制御要素110の上に調整された金属部品から成る電気スイッチを形成し、制御位置において、制御回路126がその金属部品によって閉じられるようにする。
【0099】
図27に見える様に、第1及び第2実施形態のロック可能なロッカースイッチ1、101は、第1の回動位置(図1、2、9、10、14、15、22及び23)に向けて回動部分6,106を弾力的に付勢するように調整されたロッカーばね120を更に含むことができる。言い換えると、ユーザが回動部分6、106を解放するときに、ロッカーばね120は回動部分第1の回動位置に自動的に戻す。そのようなロッカーばねが無いと、第1の回動位置に戻すために、ユーザは回動部分6、106を押さなければならない。
【0100】
図28は、自動車の少なくとも一つの電気要素51に電力を供給する電気回路50を図示している。電気回路50は、ロック可能なロッカースイッチ1を含んでいる。ロック可能なロッカースイッチ1は、回動部分6が第1の回動位置において電気回路50への電力供給を起動させると共に、回動部分6が第2の回動位置において電気回路50への電力供給の起動を停止させるように調整されている。代わりに、電気回路50は、ロック可能なロッカースイッチ1に代えてロック可能なロッカースイッチ101を含むことができる。他の代替案において、回動部分6、106は第2の回動位置において電気回路50への電力供給を起動させると共に、回動部分6、106は第1の回動位置において電気回路50への電力供給の起動を停止させる。ロック可能なロッカースイッチ1あるいは101は、例えばイグニションのロックとしてあるいはADRスイッチのロックとして用いることができる。
【0101】
図29に図示されるように、作動の際に、ロック可能なロッカースイッチ1あるいは101をアンロックするためのアンロック方法は、
−501)制御要素10あるいは110を、休止位置(図1図4図9図12図14図17図18図21図22図25)から制御位置(図2図3図10図11図15図16図19図23及び図24)へと手動で移動させる段階、
−502)ロック要素8あるいは108を、固定部分2あるいは102に対し、そのロック位置からその解放位置へと、ばね22、122の付勢力に抗して移動させるべく磁気的に起動させる(F10、F110)段階;
−503)回動部分6あるいは106を、第1の回動位置(図3図4図9図10図16図17図24及び図25)と第2の回動位置(図1図2図11図12図14図15図22図23)の間で、回動経路4あるいは104に沿って回動軸X6、X106の回りに回動させる段階、
を含む。
【0102】
図30に図示されるように、作動の際に、ロック可能なロッカースイッチ1あるいは101をロックするロック方法は、
−601)制御要素10、110を制御位置から休止位置に移動させる段階;
−602)ロック要素8、108が少なくとも一つのロック位置に戻るようにする段階、
を含む。
【0103】
段階601)において、制御要素10、110は、手動作用により、あるいはばねが設けられているときにはばね16あるいは116が生じさせる付勢力により制御位置から休止位置に移動することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 ロッカースイッチ
2 固定部分
4 回動経路
6 回動部分
8 ロック要素
10 制御要素
12 開口/キャビティ
14 開口/キャビティ
16 ばね
17 取付点
22 付勢要素
30 開口
50 電気回路
51 電気要素
101 ロッカースイッチ
102 固定部分
104 回動経路
106 回動部分
108 ロック要素
110 制御要素
112 キャビティ
114 キャビティ
116 ばね
120 ロッカーばね
122 付勢要素
124 電磁ソレノイド
126 制御回路
128 マイクロスイッチ
130 キャビティ
F10 磁気作用
F110 磁気作用
X6 回動軸
X106 回動軸
Y10 直線平行移動軸
Y110 直線平行移動軸
Z8 ロック軸
Z108 ロック軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30