(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記スクリュー駆動手段が、手動で回転される第一のスプロケット、この第一のスプロケットを回転操作するハンドル、前記スクリューの軸に直結された第二のスプロケット、および前記第一のスプロケットと第二のスプロケットとに巻回された環状のチェーンから構成されていることを特徴とする請求項4記載の無電源浄水システム。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0018】
《第1の実施形態》
図1および
図2はそれぞれ、本発明の第1の実施形態による無電源浄水システムを示す一部破断側面図および平面図である。なお
図1においては図示の都合上、各構成要素の高さ位置は正確に示してあるが、それらの水平面内の位置は実際と異なるものもある。各構成要素の水平面内の位置は、
図2において正確に示してある。
【0019】
これらの図に示される通り本実施形態による無電源浄水システムは、例えば概略有底の円筒状に形成された処理水槽1と、同じく概略円筒状に形成された濾過装置2とを有している。一例として処理水槽1は内径および高さが共に1200mm程度に形成され、後述のようにして浄化された処理水を貯留する。一方濾過装置2は概略円筒状に形成された濾過槽3内に例えば砂、アンスラサイトからなる濾過材層4を有し、上方から供給された浄化対象の原水をこの濾過材層4により濾過して浄化するものである。
【0020】
上記濾過槽3の上端に近い位置において処理水槽1の内部には、原水導入管10が配設されている。この原水導入管10は例えばビニルホース等からなり、その上流端は、処理水槽1の外に取り付けられた3方弁11に接続されている。そしてこの原水導入管10の下流端は、濾過槽3の上端に近い位置においてその内部に連通されている。なお、以下の説明においては煩雑化を避けるため、細かい配管類、例えば配管継手とビニルホースとの間に介設される短管等に関しては適宜説明を省略する。
【0021】
図3は、上記3方弁11の部分を
図2の矢印A方向から見た状態と、この3方弁11に続く構造の側面形状を示すものである。以下、この
図3も参照して説明を続ける。3方弁11は処理水槽1の外に配された原水供給ホース12と、逆洗排水ホース13とに接続されており、この3方弁11を手動操作することにより濾過槽3の内部は、原水供給ホース12と逆洗排水ホース13のいずれか一方に選択的に連通されるようになっている。
【0022】
上記原水供給ホース12の上流端、つまり3方弁11に接続された端部と反対側の端部には夾雑物を捕捉するストレーナ14が取り付けられ、この部分は、浄化対象の原水Wが存在する例えば川、沼等の水源15内に沈められる。そして原水供給ホース12の途中には、原水ポンプ16が介設されている。この原水ポンプ16はハドルレバー17を有する手動操作型のものであり、架台18の上に取り付けられている。原水ポンプ16は、作業者によってハドルレバー17が
図3の矢印
C方向に往復揺動されると、水源15内の原水Wを汲み上げ、原水供給ホース12および3方弁11を介して濾過槽3内に供給する。
【0023】
なお本実施形態では、次亜塩素酸ソーダ点滴器19および凝集剤点滴器20が設けられ、それらの各点滴管19aおよび20aが、原水ポンプ16の吸込口に接続された配管16aに接続されている。それにより、濾過装置2に送られる前の原水Wに、次亜塩素酸ソーダ水溶液および、ポリ塩化アルミニウム(PAC)等の凝集剤が添加される。
【0024】
次に
図1および
図2に戻って、濾過装置2について説明する。この濾過装置2は、後述する濾過材層が充填される濾過槽3を有している。濾過槽3は、例えばその上部と下部がそれぞれ円板状のプレート21、22で閉じられた円筒形の槽であり、処理水槽1内に配され架台23の上に固定されている。濾過槽3の上端に近い位置においてその側面には原水供給管24が取り付けられ、そこに前述した原水導入管10の下流端が接続されている。
【0025】
下部のプレート22は多数のストレーナ(図示せず)が組み込まれたものであり、その上に、濾過材層4が配される。濾過材層4は一例として下側から、有効径が0.6mmで均等係数が1.4、比重が1.4程度の砂からなる層、および有効径が0.6mmで均等係数が1.4、比重が0.75程度のアンスラサイトからなる層が積層されて構成されている。なお
図1においては、砂からなる層の上端位置をL1で、アンスラサイトからなる層の上端位置をL2で示してある。
【0026】
濾過槽3の上部には、濾過材洗浄装置25が配設されている。この濾過材洗浄装置25は、下端が開放した状態で濾過槽3内に配置された外筒26、その内部に回転自在に配置されたスクリュー27、このスクリュー27の軸27aをベアリングを介して回転自在に支承する軸支持部28、前記プレート21に固定されたベース板29、このベース板29上の軸支部に回転自在に保持された回転軸30、この回転軸30に固定された第一のスプロケット31、この第一のスプロケット31と同軸固定されたハンドル32、前記スクリュー軸27aに直結された第二のスプロケット33、第一のスプロケット31と第二のスプロケット33とに巻回された環状のチェーン34、およびチェーン34を覆うカバー35から構成されている。
【0027】
なお本実施形態では、上記要素28〜35によりスクリュー駆動手段が構成されている。この濾過材洗浄装置25の作用については後に詳述する。
【0028】
また架台23には、ドレン管36が固定されている。このドレン管36はその上流端が下部のプレート22の下において濾過槽3内に開口し、それに続く部分が処理水槽1内を水平に延び、そして下流端が処理水槽1の外に位置するように配設されており、その下流端に近い部分にはドレンバルブ37が介設されている。また上部のプレート21には、空気抜き配管38が取り付けられ、この空気抜き配管38には空気抜き弁39が介設されている。
【0029】
前述の濾過材層4によって濾過された処理水は、プレート22のストレーナを通過して架台23の上に溜まる。濾過槽3の側面には、上記プレート22の下側において処理水出口管40が取り付けられており、濾過により浄化された処理水はこの処理水出口管40から槽外に流出する。
【0030】
処理水出口管40にはティー(チーズ)41が接続され、このティー41から立ち上げられた配管42の上端には、例えばビニルホース等からなる処理水流出管43の一端が接続されている。この処理水流出管43は、処理水槽1に取り付けられた配管44を介して、処理水槽1外のティー45に接続されている。
【0031】
図4は、上記ティー45の近辺を
図2の矢印B方向から見た状態を示すものである。以下、この
図4も参照して説明を続ける。ティー45には、手動操作される捨水出口弁46と、同じく手動操作される処理水出口弁47とが接続されている。処理水出口弁47には、例えばビニルホース等からなる処理水導入管48の上流端が接続されている。この処理水導入管48は、処理水槽1に取り付けられた処理水流入管49の上流端に接続され、この処理水流入管49の下流端は処理水槽1内に開放されている。一方、上記捨水出口弁46には捨水排水ホース60が接続されている。
【0032】
また処理水槽1には、給水管50が取り付けられている。この給水管50の上流端は処理水槽1内に開口し、下向きとされたその下流端は処理水槽1の外に開口し、そしてその途中には蛇口51が介設されている。処理水槽1内に貯えられた処理水は、この蛇口51を開操作することにより、給水管50から取り出されて利用される。この処理水は、前述の次亜塩素酸ソーダ点滴器19から添加された次亜塩素酸ソーダにより滅菌されているので、飲料水として用いることも可能である。勿論、この処理水は飲料水として利用する外、例えば食料品やその他の物品を洗う洗浄用水、水洗トイレに流す洗浄水等として利用することも可能である。
【0033】
また処理水槽1には、その底部に近い高さ位置においてドレン管52が取り付けられている。このドレン管52の上流端は処理水槽1内に開口し、その下流端は処理水槽1の外に開口し、そしてその途中にはドレン弁53が介設されている。さらに処理水槽1には、その上端に近い高さ位置においてオーバーフロー管54が取り付けられている。このオーバーフロー管54の一端は処理水槽1内に開口し、下向きとされたその他端には、オーバーフローホース55が接続されている。
【0034】
さらに処理水槽1には、その底部に近い高さ位置において処理水流出管61が取り付けられている。この処理水流出管61の上流端は処理水槽1内に開口し、その下流端は処理水槽1の外に開口し、そこにビニルホース等からなる処理水供給ホース62の一端が接続されている。この処理水供給ホース62の他端は、逆洗ポンプ63の吸込口に接続された配管63aに接続されている。逆洗ポンプ63はハドルレバー64を有する手動操作型のものであり、架台68の上に取り付けられている。逆洗ポンプ63は、作業者によってハドルレバー64が
図1の矢印D方向に往復揺動されると、処理水槽1内の処理水を汲み上げて逆洗水供給管65に送る。
【0035】
上記逆洗水供給管65は処理水槽1に取り付けられ、その下流端、すなわち逆洗ポンプ63に接続されている端部と反対側の端部は処理水槽1内に開口し、ビニルホース等からなる逆洗水供給ホース66および逆止弁67を介して、前述したティー41に連通している。
【0036】
以下、本実施形態の無電源浄水システムの作用について説明する。本システムの濾過装置2により原水Wを浄化する際には、3方弁11が、原水供給ホース12を濾過槽3の内部と連通させる状態に設定される。また捨水出口弁46は閉じられる一方、処理水出口弁47は開かれる。そして作業者の手動操作によって原水ポンプ16のハドルレバー17が前述したように往復揺動されると、原水ポンプ16が水源15内の原水Wを汲み上げ、原水供給ホース12および3方弁11を介して濾過槽3内に供給する。濁質を含み得る原水Wは、重力によって濾過層3内の濾過材層4を上から下に通過し、その際濁質が濾過材層4に捕捉されて、浄化された処理水が得られる。この処理水は、プレート22のストレーナを通過して架台23の上に溜まり、処理水出口管40から濾過槽3の外に流出する。
【0037】
なお濾過槽3としては、例えば最大処理水量が1000(リットル)/時程度のものが適用される。また原水ポンプ16としては、例えば吸水揚程および押上揚程がそれぞれ最高6m、15m程度で、最大吐出量が0.65L/1ストローク程度のものが好適に用いられる。この程度の原水ポンプ16が適用された場合、原水送水量は、ハドルレバー17を1分当たり約25回往復揺動させた場合で16L/分程度となる。
【0038】
なお前記凝集剤点滴器20から原水Wに凝集剤が添加されることにより、細かい粒子からなる濁質が凝集してフロック化されて、濾過効果が高められる。また次亜塩素酸ソーダ点滴器19から原水Wに次亜塩素酸ソーダが添加されて処理水が滅菌される。
【0039】
濾過槽3の外に流出した処理水は、ティー41、配管42、処理水流出管43、配管44、処理水槽1外のティー45、処理水出口弁47、処理水導入管48を経て、処理水流入管49から処理水槽1内に落下し、そこに貯えられる。この処理水は、適宜給水管50から取り出して利用される。ここで、処理水槽1内に貯えられる処理水の水位は、通常の使用状況下では、最低で
図1にL3で示す給水管50の取付レベルとなり、また最高で同じく
図1にL4で示す原水供給管24の取付レベルとなる。
【0040】
処理水槽1内に貯えられた処理水は、飲用等として利用される他、濾過装置2の逆洗に利用される。以下、この逆洗について説明する。この逆洗を行う際には前記3方弁11が、逆洗排水ホース13を濾過槽3の内部と連通させる状態に設定される。また処理水出口弁47および捨水出口弁46は共に閉じられる。この状態下で、作業者の手動操作によって逆洗ポンプ63のハドルレバー64が前述したように往復揺動されると、逆洗ポンプ63が処理水槽1内の処理水を汲み上げ、処理水流出管61、処理水供給ホース62、逆洗水供給管65、逆洗水供給ホース66、逆止弁67、ティー41および処理水出口管40を介して、プレート22の下側から濾過槽3の内部に供給する。
【0041】
清浄なこの処理水は逆洗水としてプレート22のストレーナを通過し、濾過材層4に下側から流入する。こうして逆洗水が供給されると、濾過材層4を構成している濾過材が展開して膨張する。そこで、濾過材層4の各濾過材に捕捉されていた濁質が逆洗水の中に浮遊して、それらは上方に押し流される。こうして濁質を含むようになった逆洗水は原水供給管24から濾過層3の外に流出し、3方弁11を通過し、逆洗排水ホース13を流れて所定の場所に捨てられる。以上の逆洗処理により、濾過材層4を構成する濾過材が洗浄されることになる。
【0042】
ここで逆洗ポンプ63としては、例えば吸水揚程および押上揚程がそれぞれ最高6m、15m程度で、最大吐出量が2L/1ストローク程度のものが好適に用いられる。この程度の逆洗ポンプ63が適用された場合、処理水の送水量は、ハドルレバー64を1分当たり約30回往復揺動させた場合で58L/分程度となる。
【0043】
上述のように逆洗水が供給されたとき各濾過材は、層をなしている場合と比べると高さが10〜20%増す程度展開するが、逆洗が終了して逆洗水の供給が断たれると、元通り濾過材層4を構成するように成層化する。そのとき、濾過材の砂はアンスラサイトよりも比重が大であるため、元通り砂の層は下方に、そしてアンスラサイトの層はその上に形成されるようになる。
【0044】
なお逆止弁67は、処理水が逆洗水として逆洗水供給ホース66から濾過槽3側に流れることを許容するが、それとは逆に、濾過槽3内で浄化された処理水が逆洗水供給ホース66側に流れることを阻止する。
【0045】
この無電源浄水システムにおいては、以上説明した逆洗と並行して、前述の濾過材洗浄装置25により濾過材を洗浄することも可能となっている。以下、その点について詳しく説明する。逆洗が行われている際に、この濾過材洗浄装置25のハンドル32が作業者の手動操作により回転されると、その回転力が第一のスプロケット31、環状のチェーン34および第二のスプロケット33を介してスクリュー軸27aに伝達され、スクリュー27が外筒26の内部で回転する。なお第一のスプロケット31の径は第二のスプロケット33よりも大とされているので、スクリュー27はハンドル32の回転速度よりも増速される。
【0046】
スクリュー27は外筒26と共にスクリューコンベアを構成しており、上述のようにしてスクリュー27が回転すると、逆洗水およびそれに混合した濾過材が外筒26内を上方に移送される。その際に濾過材はスクリュー27の螺旋羽根によって揉み洗いされ、そこに付着していた濁質が剥離される。こうして洗浄された濾過材は、外筒26の上部空間(スクリュー27よりも上に有る空間)周りにおいてこの外筒26に複数設けられた図示外の開口から筒外に排出され、濾過槽3内に落下する。そこで、濾過材は何回か濾過材洗浄装置25内を通過するようになり、その都度濾過材から濁質が剥離される。
【0047】
この際も、剥離した濁質を含む逆洗水は前述と同様に原水供給管24から濾過層3の外に流出し、3方弁11を通過し、逆洗排水ホース13を流れて所定の場所に捨てられる。以上のようにして濾過材洗浄装置25による濾過材洗浄処理を行うことにより、濾過材層4を構成する濾過材がより高度に洗浄されるようになる。
【0048】
なお、スクリュー27の外周面と外筒26の内面との間の間隙は、濾過材である砂およびアンスラサイトの最大粒径よりも大きい寸法に設定されている。その理由は次の通りである。すなわち、濾過材は上方に移送されるとき、スクリュー27の回転による遠心力によってその外周側に向かうが、上記寸法が設定されていれば、スクリュー27の外周面と外筒26の内面との間で濾過材が押しつぶされて破砕されることが防止される。
【0049】
なお、以上述べた濾過材の逆洗がなされているとき、濾過材から剥離した濁質の一部が、濾過材層4が形成される前にプレート22のストレーナを下に通過していることも起こり得る。そこで、この逆洗が終了した直後の原水濾過時には、適宜の間、処理水出口弁47が閉じられると共に捨水出口弁46が開かれ、濁質が混入している可能性の有る処理水が捨水排水ホース60から所定の場所に捨てられる。
【0050】
以上説明した通り、本実施形態の無電源浄水システムによれば、原水供給、逆洗水供給および、濾過材洗浄装置25による濾過材洗浄処理がすべて手作業によってなされ得るので、商用電源を利用できない辺地においても浄化された飲料水等を簡便に得ることが可能になる。そして特に原水供給、逆洗水供給はそれぞれ手作業で直接動かされる原水ポンプ16、逆洗ポンプ63を利用してなされるので、足踏みペダルによる駆動力をチェーンや歯車からなる複雑な伝達手段を用いてポンプに伝達させるような場合と比べれば、より低いコストで浄水システムを構築可能となる。また濾過材洗浄装置25におけるスクリュー27の駆動も、基本的に第一のスプロケット31、ハンドル32、第二のスプロケット33および環状のチェーン34からなる簡単な機構によってなされるので、濾過材洗浄装置25の製造コストを抑えることができ、この点からも、より低いコストで浄水システムを構築可能となる。
【0051】
また本実施形態の無電源浄水システムにおいては、処理水槽1の内部に濾過装置2が配置されているので、処理水槽1と有効容量が同じ処理水槽を濾過装置2と別に設ける場合と比べて、それら両者を設置するスペースが小さくて済み、浄水システムのコンパクト化が達成される。
【0052】
さらに本実施形態の無電源浄水システムは、上述した通り商用電源を使用できない所でも利用可能であるので、辺地や、自然災害を蒙った地域等に運搬して使用する可搬型浄水システムとしても好適なものであるが、処理水槽1の内部に濾過装置2が配置されていれば、運搬も容易なものとなる。
【0053】
《第2の実施形態》
図5および
図6はそれぞれ、本発明の第2の実施形態による無電源浄水システムを示す一部破断側面図および側面図であり、各図の表示箇所はそれぞれ
図1、
図3に対応している。なおこれらの
図5および
図6において、
図1〜4中の要素と同等の要素には同番号を付してあり、それらについての説明は特に必要のない限り省略する(以下、同様)。
【0054】
以下、本実施形態の無電源浄水システムについて、主に、
図1〜4に示した第1の実施形態と異なる点を挙げて説明する。本実施形態の無電源浄水システムにおいては、前述した捨水出口弁46および処理水出口弁47が処理水槽1内に配置されている。すなわち、処理水槽1内で立ち上げられた配管42の上端にティー45が接続され、このティー45の両側に捨水出口弁46および処理水出口弁47が接続されている。これらの捨水出口弁46および処理水出口弁47の開閉設定は、第1の実施形態におけるのと同様になされる。
【0055】
処理水出口弁47は配管70を介してティー71に接続され、このティー71には上方から延びる次亜塩素酸ソーダ導入管72が接続されている。本実施形態において原水Wを濾過して得られた処理水は、上記配管42、ティー45、処理水出口弁47および配管70を経てティー71から処理水槽1内に落下し、そこに貯えられる。また本実施形態では、次亜塩素酸ソーダ点滴器19が処理水槽1に取り付けられ、そこから次亜塩素酸ソーダ導入管72を介して、次亜塩素酸ソーダが処理水槽1内の処理水に添加される。
【0056】
そして
図6に示す通り、原水ポンプ16の吸込口に接続された配管16aには、凝集剤点滴器20からの点滴管20aのみが接続されている。なおこの凝集剤点滴器20や、原水Wに次亜塩素酸ソーダを注入する次亜塩素酸ソーダ点滴器19は、上記配管16aではなく、原水供給ホース12の途中に点滴管19aや20aを接続するように構成されてもよい。
【0057】
本実施形態の無電源浄水システムにおいても、原水供給、逆洗水供給および、濾過材洗浄装置25による濾過材洗浄処理がすべて手作業により、第1の実施形態におけるのと同様になされるので、商用電源を利用できない辺地においても浄化された飲料水等を簡便に得ることが可能になる。そして、システムの低コスト化、コンパクト化および運搬の容易化についても、第1の実施形態におけるのと同様のことが言える。
【0058】
《第3の実施形態》
図7は、本発明の第3の実施形態による無電源浄水システムを示す一部破断側面図であり、その表示箇所は
図5に対応している。以下、本実施形態の無電源浄水システムについて、主に、
図5および
図6に示した第2の実施形態と異なる点を挙げて説明する。本実施形態の無電源浄水システムにおいては、
図5の逆洗ポンプ63に相当するポンプが、原水ポンプおよび逆洗ポンプとして併用されている。そこで以下の説明では、このポンプ63を併用ポンプと称することとする。
【0059】
この併用ポンプ63の吸込口に接続された配管63aは、3方弁75に接続されている。この3方弁75には配管76を介して原水供給ホース12が、また配管77を介して処理水供給ホース62が接続されている。原水供給ホース12の先端は
図6に示したのと同様にして、ストレーナ14が取り付けられた上で水源15内に沈められる。3方弁75は、原水供給ホース12と処理水供給ホース62のいずれかを選択的に配管63aに(つまり併用ポンプ63の吸込口に)接続するように操作される。
【0060】
一方、併用ポンプ63の吐出口に接続された配管63bは3方弁78に接続され、そしてこの3方弁78には逆洗水供給管65が接続されると共に、配管79が接続されている。配管79には原水供給ホース80の上流端が接続され、この原水供給ホース80の下流端は、3方弁11に接続されている。つまりこの原水供給ホース80は、
図6に示す原水供給ホース12に代わるものとして3方弁11に接続されている。3方弁78は、逆洗水供給管65と原水供給ホース80のいずれかを選択的に併用ポンプ63の吐出口に接続するように操作される。そして併用ポンプ63の吸込口に接続された配管63aには、凝集剤点滴器20からの点滴管20aが接続されている。
【0061】
本実施形態のシステムにより原水Wを浄化する際、3方弁75は配管63aに原水供給ホース12を接続する状態に設定され、3方弁78は配管63bに原水供給ホース80を接続する状態に設定される。この状態で併用ポンプ63のハドルレバー64が往復揺動されると、併用ポンプ63が水源15の原水Wを汲み上げ、原水供給ホース12、3方弁75、配管63a、配管63b、3方弁78、配管79、原水供給ホース80および3方弁11を介して濾過槽3内に供給する。
【0062】
他方、本実施形態のシステムにより濾過材を逆洗する際、3方弁75は配管63aに処理水供給ホース62を接続する状態に設定され、3方弁78は配管63bに逆洗水供給管65を接続する状態に設定される。この状態で併用ポンプ63のハドルレバー64が往復揺動されると、併用ポンプ63が処理水槽1内の処理水を汲み上げ、処理水供給ホース62、配管63a、配管63b、逆洗水供給管65、逆洗水供給ホース66、逆止弁67、ティー41および処理水出口管40を介して、プレート22の下側から濾過槽3の内部に供給する。
【0063】
この清浄な処理水(逆洗水)による逆洗は、先に説明したのと同じようにしてなされる。また、その逆洗と並行して、濾過材洗浄装置25による濾過材洗浄を行い得ることも前述と同様である。
【0064】
《第4の実施形態》
図8および
図9はそれぞれ、本発明の第4の実施形態による無電源浄水システムを示す一部破断側面図および側面図であり、各図の表示箇所はそれぞれ
図5、
図6に対応している。以下、本実施形態の無電源浄水システムについて、主に、
図5および6に示した第2の実施形態と異なる点を挙げて説明する。本実施形態の無電源浄水システムは基本的に、原水供給用および逆洗水供給用にそれぞれ、モータで駆動されるポンプも適宜使用可能とされている点において、
図5および6に示したシステムと相違するものである。
【0065】
すなわち本実施形態においては、
図9に示すように、モータで駆動される水中ポンプからなる電動原水ポンプ85が水源15内に配設されている。この電動原水ポンプ85の吐出口には原水供給ホース86が接続され、この原水供給ホース86は流量調整弁87を介した上で、原水供給ホース12と並列的に3方弁11の1つの口に接続されている。なお、このように2つの原水供給ホース86、12を並列的に1つの口に接続するためには、各ホースに適宜配管を接続した上で、それらの配管を例えばティー等に接続させればよい。
【0066】
また
図8に示すように、同じくモータで駆動される水中ポンプからなる電動逆洗ポンプ88が処理水槽1の中に配設されている。この電動逆洗ポンプ88の吐出口には逆洗水供給ホース89が接続され、この逆洗水供給ホース89は逆洗水供給ホース66と並列的に逆止弁67の1つの口に接続されている。なお、このように2つの
逆洗水供給ホース89、
66を並列的に1つの口に接続するためには、上記と同様に各ホースに適宜配管を接続した上で、それらの配管を例えばティー等に接続させればよい。
【0067】
上述した電動原水ポンプ85および電動逆洗ポンプ88にはそれぞれ、
図9に示す太陽電池(ソーラーパネル)90で発電された電力が電力線91、92を介して供給されるようになっている。なお太陽電池90からの電力線93と、電力線91および92との間には切替スイッチ94が設けられ、電動原水ポンプ85および電動逆洗ポンプ88のいずれか一方に選択的に電力供給がなされる。これらの電動原水ポンプ85および電動逆洗ポンプ88としては、例えば12Vの直流電流で駆動し、最大吐出量が90L/分、最大全揚程が4m程度のものが好適に用いられる。
【0068】
本実施形態のように原水供給および逆洗水供給が、手動操作型のポンプと、太陽電池から電力を受ける電動ポンプのいずれかを用いて実行可能になっていれば、十分な日照がある場合は電動ポンプを利用して省力化を図ることができ、その一方、日照が不足している場合や、電動ポンプが故障したりメンテナンスを受けたりしている場合でも手動操作型のポンプを用いることにより、浄水システムの稼働率を高く維持可能となる。
【0069】
《第5の実施形態》
図10および
図11はそれぞれ、本発明の第5の実施形態による無電源浄水システムを示す一部破断側面図および側面図であり、各図の表示箇所はそれぞれ
図8、
図9に対応している。本実施形態の無電源浄水システムは、上述した第
4の実施形態の無電源浄水システムと比べると、手動操作型の原水ポンプ16および逆洗ポンプ63が取り除かれ、電動原水ポンプ85だけで原水供給を、そして電動逆洗ポンプ88だけで逆洗水供給を行うように構成されている。このような浄水システムは、年間を通して十分な日照がある地域で使用するのに適している。