(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
紙おむつの製造ラインや製袋、包装ラインなどでは、多数のウェブが供給される。例えば、資材用の不織布や包装用のフィルムなどがリールに巻き取られた状態で供給される。かかるウェブの供給に使用されるリールは、従来、紙製の芯材をプラスチックや金属等で形成された一対の円板状のフランジによって挟んで形成されている。具体的には、芯材内に複数のボルトを配置して、両フランジをボルトに固定して、芯材と一対のフランジを備えたリールを形成している。しかも、両フランジに対して芯材が移動するようになっているとウェブの巻き取りなどができなくなるので、両フランジによって芯材を軸方向から強く挟み込んで、芯材と両フランジが相対的に移動しないようにしている。
【0003】
上述したようなリールは、通常、繰り返し使用されるので、使用回数が多くなれば芯材が損傷する。一方、フランジは芯材に比べて耐久性が高いので、芯材が損傷しても再使用できる場合が多い。このため、芯材が損傷した場合には、両フランジをボルトから外して芯材だけを交換した後、両フランジを再度ボルトに固定して、リールを再使用している。
【0004】
ところで、ウェブの巻き取り巻き戻しを安定して行う上では、両フランジ間の間隔(以下、リール幅という)がウェブの幅と同等かわずかに長い(数mm程度)状態であること必要である。製造ラインなどに供給されるウェブは、製品の仕様やウェブの用途によってその幅が異なるので、各ウェブに適したリール幅を有するリールを使用することが望ましい。
【0005】
しかし、紙おむつなどの製造ラインでは、多数のウェブが同時に使用されるだけでなく、一種類のウェブでも一日数十〜数百本が消費される。このため、製品の仕様変更があった場合に製造ラインにウェブを安定供給する上では、異なるリール幅を有するリール(つまり各ウェブに適したリール幅を有するリール)を常時多数保管しておけなければならず、リールを保管する場所やコストが膨大になる。
【0006】
一方、リールは、上述したように、芯材を一対のフランジによって挟んで形成されているので、芯材を交換すれば自由にリール幅を変更できる。つまり、製品の仕様変更の際に芯材を交換するようにすれば、一つのリールを他種類のウェブに対応させることができるので、リールを保管する場所やコストを抑えることができる。
【0007】
しかるに、従来のリールは、その両フランジが複数本のボルトによって固定されている。しかも、芯材と両フランジが相対的に移動しないように、両フランジによって芯材を軸方向から強く挟み込むようにしている。このため、両フランジを取り外して芯材を交換する作業は非常に大変であり、一つの製造ラインに供給する一種のウェブに使用されるリールについて芯材を交換する場合には、半日から1日必要となる。
【0008】
紙おむつなどの製造ラインにウェブを供給するために使用されるリールではないが、他の用途に使用されるリールについて、芯材自体を交換することなくリール幅を変更できる技術が特許文献1、2に開示されている。
【0009】
特許文献1には、リールを、同径の芯がフランジの内面に形成された左右一対の分割リールで構成し、一方の芯の先端に小径の部分(突起)を設け、他方の芯に一方の芯の突起を挿入できる穴を設けたものが開示されている。そして、特許文献1には、一方のフランジの芯の突起を他方のフランジの芯の穴に挿入する挿入量を調整すれば、リール幅を変更できる旨が記載されている。
【0010】
また、特許文献2には、一対のフランジと、一対のフランジの間に配置されるハブとを備えたリールにおいて、一対のフランジの互いに対向する面上に異なる長さを有する複数の突起を設け、ハブの端面に異なる深さを有する複数の孔を形成したものが開示されている。そして、特許文献2には、一対のフランジの突起を嵌合させるハブの端面の孔を変更すれば、リール幅を変更できる旨が開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0019】
つぎに、本発明の実施形態を図面に基づき説明する。
本発明の可変式リールは、ウェブが巻きつけられるリールであって、巻きつけるウェブを変更することができるようにしたこと、つまり、リール幅を変更できるようにしたことに特徴を有するものである。
【0020】
本発明の可変式リールに巻きつけられるウェブは、例えば、紙、不織布、フィルム等の素材を帯状にしたものであり、紙おむつの製造ラインや製袋、包装ラインなどにおいて使用されるものである。
本発明の可変式リールは、かかるウェブを製造ラインなどにおいて高速(例えば、50m/min程度)で巻き戻したり、ウェブを高速で巻き取ったりするために使用されるリールに適している。
【0021】
つぎに、本実施形態の可変式リール1の構造を説明する。
図1に示すように、本実施形態の可変式リール1は、芯2と、この芯2を挟むように設けられた一対のフランジ8,8とを備えたものである。通常のリールでは、芯は、ウェブが巻きつけられる機能だけ、または、ウェブが巻きつけられる機能と一対のフランジを連結する機能の両方を有しているものが一般的である。
しかし、本実施形態の可変式リール1は、外芯3と連結部材20とを備えた芯2を設け、各機能を各部材にそれぞれに負担させるようにしている。具体的には、芯2の外芯3と連結部材20は、連結部材20が一対のフランジ8,8を連結する機能を有し、外芯3がウェブが巻きつけられる機能を有するように設けられている。
【0022】
以下、本実施形態の可変式リール1の各部を詳細に説明する。
【0023】
(フランジ8の説明)
まず、一対のフランジ8,8は、外形が円形に形成された板状のフランジ部材8fと、ボス部材8bとを備えている。
【0024】
フランジ部材8fは、その中心部に貫通孔hが形成された板状の部材である。つまり、フランジ部材8fは、環状に形成されているのである。
【0025】
このフランジ部材8fの貫通孔hには、ボス部材8bが取り付けられている。このボス部材8bは、フランジ部材8fの貫通孔hに挿入されるボス
材bと、フランジ
材fと、を備えている。ボス
材bは、円筒状であって、フランジ部材8fの貫通孔hに挿入すると、フランジ部材8fの中心がボスbの中心軸上に位置するように形成されている。つまり、フランジ
材fの中心軸がボスbの中心軸と同軸となるように形成されているのである。
【0026】
なお、ボス部材8bは、ボス
材bの挿入端(貫通孔hに挿入する端部)からフランジ
材fの挿入端側の表面までの距離が、フランジ部材8fの板厚よりも長くなるように形成されていることが好ましい。つまり、ボス
材bの挿入端をフランジ部材8fの貫通孔hに挿入すると、挿入した側の面と反対側の面からボス
材bの挿入端が突出した状態となるように、ボス部材8bは形成されていることが好ましいが、その理由は後述する。
また、ボス部材8bには、後述する連結部材20の複数本の軸状部材21が挿通される貫通孔が形成されているが、その理由は後述する。
【0027】
(芯2の説明)
この一対のフランジ8,8の互いに対向する内面8a間には、芯2が設けられている。上述したように、芯2は、円筒状の中空な外芯3と、その外芯3の内部に配設された連結部材20と、を備えている。
【0028】
(外芯3の説明)
外芯3は、複数の円筒状部材から構成されている。例えば、
図1であれば、3つの円筒状部材3a〜3cによって、外芯3が形成されている。
各円筒状部材3a〜3cは、いずれもその外径が同じ長さになるように形成されている。このため、各円筒状部材3a〜3cの中心軸が同軸上に位置するように配置すれば、外面に段差ができない中空かつ長尺な外芯3を形成することができる。
【0029】
また、
図1において、円筒状部材3a,3bのフランジ8側の端部は、その内径がフランジ8におけるボス部材8bのボスbの外径と同じ長さになるように形成されている。このため、円筒状部材3a,3bのフランジ8側の端部にボス部材8bのボスbを挿入すれば、円筒状部材3a,3bの中心軸、つまり、外芯3の中心軸をフランジ8の中心軸と同軸とすることができるのである。
【0030】
なお、各円筒状部材3a〜3c同士は、その中心軸が同軸上に位置した状態で連結されかつ相対的な回転が固定されるようになっている。例えば、各円筒状部材3a〜3cの軸方向の端面に、係合突起または係合凹みを形成しておけば、これらを係合することによって、互いに位置決めできしかも相対的な回転を固定することができる。つまり、後述するような回転固定機構によって相対的な回転を固定することが可能である。
【0031】
また、円筒状部材3aと一方のフランジ8および/または円筒状部材3bと他方のフランジ8は、可変式リール1を組み立てたときに、相対的に中心軸周りの回転が固定されるようになっていることが好ましい。例えば、円筒状部材3a,3bの端面や各フランジ8の内面に係合
凸部または係合
凹部を形成しておけば、これらを係合することによって、互いに位置決めできしかも相対的な回転を固定することができる。つまり、後述するような回転
拘束機構によって相対的な回転を固定することが可能である。
【0032】
(連結部材20の説明)
図1に示すように、連結部材20は、その両端がそれぞれフランジ8のボス部材8bに連結された、複数本の軸状部材21を備えている。
各軸状部材21は、一対の軸材21a,21bと、一対の軸材21a,21bの両端を連結する連結具21cとから構成されている。
連結具21cは、両端部に雌ネジ孔が形成された部材であり、各雌ネジ孔に一対の軸材21a,21bの雄ネジがそれぞれ螺合している。
このため、一対の軸材21a,21bと連結具21cとの螺合する長さ(軸方向の長さ)を変化させれば、軸状部材21の長さを変更することができるのである。
なお、この連結具21cは、例えば、両端が開口した管状部材の両端内面に雌ネジを形成して形成することができるし、連結具21cとして、公知のターンバックルを使用することも可能である。
【0033】
(本実施形態の可変式リール1のリール幅調整方法)
以上のごとき構造を有する本実施形態の可変式リール1では、以下のようにリール幅が調整される。
【0034】
(本実施形態の可変式リール1の組立)
まず、本実施形態の可変式リール1を組み立てる方法を説明する。
なお、以下では、とくに説明しない場合には、外芯3とは、複数の筒状部材3a〜3cを連結して形成されたものを意味している。
【0035】
まず、一方のフランジ8(
図1では左側のフランジ8)のボス部材8bに連結部材20の軸状部材21の一端を固定する。ボス部材8bに連結部材20の軸状部材21の一端を固定する方法はとくに限定されない。例えば、
図1に示すように、ボス部材8bに形成されている貫通孔に軸状部材21の軸材21aの一端を挿通する。そして、ボス部材8bをその両側からナットで挟むようにすれば、軸状部材21をボス部材8b(つまり一方のフランジ8)に固定することができる。
【0036】
なお、ボス部材8bに形成されている貫通孔を雌ネジ孔とすれば、この雌ネジ孔に軸材21aの一端を螺合することによっても軸状部材21をボス部材8bに固定することができる。
【0037】
ついで、外芯3内に連結部材20の軸状部材21が位置するように、外芯3を配置する。つまり、一方のフランジ8のボス部材8bに立設された状態となっている軸状部材21に外芯3を被せるように配置する。このとき、外芯3を構成する筒状部材3aの一端がボス部材8bのボスbと嵌合するように配置する。すると、外芯3の中心軸と一方のフランジ8の中心軸が一致する。
【0038】
次いで、外芯3の他端(筒状部材3cの他端、
図1では右端)に他方のフランジ8を配置する。このとき、ボス部材8bに形成されている貫通孔に軸状部材21の軸材21bの他端を挿通する。
また、外芯3を構成する筒状部材3bの他端が他方のフランジ8のボス部材8bのボスbと嵌合するように配置する。すると、外芯3の中心軸と他方のフランジ8の中心軸とが一致した状態となる。つまり、一対のフランジ8,8の中心軸と外芯3の中心軸とを一致させることができるのである。
【0039】
そして、軸状部材21の軸材21bの他端にナットを螺合させれば、一対のフランジ8,8の中心軸と外芯3とが幅方向に移動しないように固定することができ、可変式リール1を組み立てることができるのである。
【0040】
(本実施形態の可変式リール1の幅変更)
つぎに、一対のフランジ8,8間の距離を変更する作業を説明する。
【0041】
まず、軸状部材21の軸材21bの他端(
図1および
図2では右端)からナットを取り外して、他方のフランジ8を取り外す。そして、外芯3を構成する筒状部材3b,3cを取り外した後、筒状部材3bを取り付ける。つまり、外芯3を筒状部材3a,3bだけで構成されるようにする(
図3参照)。
そして、上記と同様にして他方のフランジ8を取り付ければ、筒状部材3cの長さの分だけ幅が狭くなった本実施形態の可変式リール1を組み立てることができる。
【0042】
なお、筒状部材3bを、別の筒状部材(つまり筒状部材3bよりも軸方向の長さが短い筒状部材)と交換しても、可変式リール1の幅を狭くすることができる。
【0043】
なお、筒状部材3cの長さの分だけ可変式リール1の幅が狭くなっているので、軸状部材21の軸方向の長さも短くする必要がある。なぜなら、他方のフランジ8から軸状部材21が突出している部分が長くなり、可変式リール1の取り扱いの邪魔になるからである。
上述した例では、一対の軸材21a,21bが連結具21cと螺合する長さを短くすることによって、軸状部材21の長さを可変式リール1の幅に適した長さに変更することができる。
【0044】
また、外芯3を構成する筒状部材の数を増やしたり、軸方向の長さが長い筒状部材と交換したりすれば、可変式リール1の幅を広くすることができる。もちろんこの場合には、一対の軸材21a,21bが連結具21cと螺合する長さを長くすることによって、軸状部材21の長さを可変式リール1の幅に適した長さに変更することができる。
【0045】
また、外芯3を構成する筒状部材の数を増やしたり、軸方向の長さが長い筒状部材と交換したりすれば、可変式リール1の幅を広くすることができる。もちろんこの場合には、一対の軸材21a,21bが連結具21cと螺合する長さを長くすることによって、軸状部材21の長さを可変式リール1の幅に適した長さに変更することができる。
【0046】
なお、上記例では、他方のフランジ8を完全に外芯3(つまり軸状部材21)から分離した後、筒状部材を追加したり除去したりする場合を説明した。しかし、全ての筒状部材または一部の筒状部材として、円弧状部材(C字状)の開口端を連結することによって筒状部材とした部材(C字状部材)としてもよい。この場合、C字状部材の開口端を分離して開口端を開けば、側方(軸状部材21の径方向または外芯3の径方向)にC字状部材を除去したり、側方(軸状部材21の径方向または外芯3の径方向)からC字状部材を入れたりすることができる。すると、かかるC字状部材の軸長よりも長い隙間を筒状部材3a,3b間などに形成すれば、C字状部材を配置したり取り除いたりできるので、他方のフランジ8を完全に外芯3から分離する場合に比べて、リール幅の変更を短時間で行うことができる。
【0047】
(連結部材20について)
連結部材20を構成する軸状部材21を設ける数やその位置はとくに限定されないが、外芯3の中心軸に対して、軸対象となるように設けることが好ましい。すると、可変式リール1の幅方向から加わる力が外芯3の中心軸周りに均等に加わるので、幅方向から加わる力に対する耐久性を高くすることができる。
【0048】
なお、連結部材20は、一対のフランジ8,8を連結でき、両者間の距離を変更できる構成であればよく、とくに限定されない。例えば、後述するような内芯4としてもよい。
しかし、上記例のように、連結部材20として複数の軸状部材21を使用すれば、連結部材20を軽量化することができるので、可変式リール1も軽量化することが可能となるので好ましい。
【0049】
とくに、軸状部材21に、板状やブロック状の支持部材25を設けて、この支持部材25の外面が外芯3の内面に接するように配設しておけば、支持部材25を介して、外芯3に加わる荷重を連結部材20の複数の軸状部材21にも負担させることができる。すると、外芯3の強度を小さくすることが可能となる。例えば、外芯3の壁厚を薄くすることができる。すると、外芯3も軽量化することができるので、可変式リール1をさらに軽量化することができる。
【0050】
また、支持部材25の形状や、支持部材25を設ける数はとくに限定されないが、支持部材25の外面と外芯3の内面が面接触しかつその接触面積ができるだけ大きくなるような形状であることが好ましい。
【0051】
(フランジ8について)
上記例では、フランジ8,8が、フランジ部材8fとボス部材8bとから構成されており、しかも、両者が着脱できる場合を説明した。しかし、両者は着脱できないように固定されていてもよいし、一体で形成されていてもよい。
しかし、両者が着脱できるようにしておけば、フランジ部材8fを変更すれば、可変式リール1に巻きつけるシート状部材の量を変更することができるという利点が得られる。
【0052】
つぎに、他の実施形態の可変式リール1の構造を説明する。
図4に示すように、他の実施形態の可変式リール1は、上述した連結部材20として、複数本の軸状部材21に代えて、内芯4を設けたことに特徴を有している。
また、以下の説明では、リール幅を変更する際に、スペーサ10を使用する場合を説明している。このスペーサ10も、特許請求の範囲にいう外芯3を構成する筒状部材に相当するのは、いうまでもない。
【0053】
以下、他の実施形態の可変式リール1の各部を詳細に説明する。
まず、一対のフランジ8,8は、外形が円形に形成された板状の部材である。
この一対のフランジ8,8の互いに対向する内面8a間には、芯2が設けられている。上述したように、芯2は、円筒状の中空な外芯3と、その外芯3の内部に配設された内芯4とを備えている。なお、外芯3と内芯4は、互いの中心軸が一致するように配設されている。
【0054】
外芯3は、その両軸端のうち、一方の軸端(
図4では左方の軸端、以下、外芯3の一端という)が一方のフランジ8(
図4では左方のフランジ8、以下、単に一方のフランジ8という)に固定されている。一方、外芯3の他方の軸端(
図4では右方の軸端、以下、外芯3の他端という)が他方のフランジ8(
図4では右方のフランジ8、以下、単に他方のフランジ8という)に対して着脱可能に設けられている。なお、外芯3の他方の軸端と他方のフランジ8との連結する部分の構造は後述する。
【0055】
内芯4は、外芯3が固定されている一方のフランジ8に基端が固定された雄軸5と、他方のフランジ8に基端が固定された雌軸6と、から構成されている。
雄軸5はその先端に雄ネジが形成された雄ネジ部5aを有しており、雌軸6はその先端から雌ネジが形成された雌ネジ部6aを有している。
このために、外芯3の他端から外芯3内の空間に雌軸6を挿入して、雄軸5の雄ネジ部5aに雌軸6の雌ネジ部6aを螺合させれば、雄軸5と雌軸6を連結することができる。言い換えれば、内芯4によって一対のフランジ8,8を連結することができる。
なお、上記例では、一方のフランジ8に雄軸5が固定され、他方のフランジ8に雌軸6が固定された場合を説明したが、雌軸6を一方のフランジ8に固定し、雄軸5を他方のフランジ8に固定してもよいのは、いうまでもない。
【0056】
また、
図4に示すように、本実施形態の可変式リール1は、外芯3の他端と他方のフランジ8との間に配設し得るスペーサ10を備えている。このスペーサ10は、外芯3と実質的に同じ断面形状に形成された略円筒状の部材である。具体的には、スペーサ10は、その外径が外芯3の外径と同じ長さに形成されている。
このスペーサ10は、外芯3の他端と他方のフランジ8との間に配設したときに、その中心軸周りの回転が後述する回転固定機構によって固定される。
【0057】
(本実施形態の可変式リール1のリール幅調整方法)
以上のごとき構造を有する本実施形態の可変式リール1では、以下のようにリール幅が調整される。
【0058】
まず、外芯3の他端から外芯3内の空間に雌軸6を挿入する。この際、外芯3の他端と他方のフランジ8との間にはスペーサ10を配置せずに、雌軸6の雌ネジ部6aを雄軸5の雄ネジ部5aに螺合させる。そして、他方のフランジ8を回転させて、外芯3の他端が他方のフランジ8の内面8aに接触するまで雌軸6の雌ネジ部6aを雄軸5の雄ネジ部5aにねじ込む。すると、外芯3の軸長と同じ長さのリール幅を有する可変式リール1を形成するこができる(
図4(A))。この可変式リール1には、外芯3の軸長よりもわずかに幅が狭いウェブを巻きつけることができる。
【0059】
図4(A)の可変式リール1のリール幅を変更する場合には、以下のようにする。
まず、他方のフランジ8を回転させて、雌軸6の雌ネジ部6aと雄軸5の雄ネジ部5aとの螺合を外し、外芯3の他端から雌軸6を取り外す。ついで、外芯3の他端にスペーサ10を配置する。このとき、外芯3の他端とスペーサ10の一端が密着し、かつ、スペーサ10の中心軸が外芯3の中心軸と一致するように配置する。すると、スペーサ10の外径と外芯3の外径が同じ長さであるので、外芯3の外面とスペーサ10の外面が面一の状態となる。
【0060】
ついで、スペーサ10の他端からスペーサ10および外芯3内の空間に雌軸6を挿入して、雌軸6の雌ネジ部6aを雄軸5の雄ネジ部5aに螺合させる。そして、他方のフランジ8を回転させて、スペーサ10の他端が他方のフランジ8の内面8aに接触するまで雌軸6の雌ネジ部6aを雄軸5の雄ネジ部5aにねじ込めば、外芯3の他端と他方のフランジ8の内面8aとの間にスペーサ10が挟まれた状態で固定される。
【0061】
この場合、スペーサ10の軸長の分だけ、
図4(A)の状態に比べて、雌軸6の雌ネジ部6aと雄軸5の雄ネジ部5aとの螺合量が短くなる。逆にいえば、内芯4の長さが長くなるので、一対のフランジ8,8間の距離が長くなる。
【0062】
すると、内芯4の長さと同等のリール幅、つまり、外芯3の軸長とスペーサ10の軸長とを合わせた長さのリール幅を有する可変式リール1を形成するこができる(
図4(B))。すると、外芯3の軸長よりも幅が広いウェブを巻きつけることができる可変式リール1が形成される。
【0063】
また、上記と同様の手順で外芯3の他端と他方のフランジ8との間に配置するスペーサ10を交換する、または、スペーサ10を外せば、リール幅を変更することができる。
【0064】
以上のごとく、本実施形態の可変式リール1では、内芯4の雌軸6と雄軸5とを連結分離して、雌軸6の雌ネジ部6aと雄軸5の雄ネジ部5aとの螺合量を変化させれば、内芯4の長さ、つまり、一対のフランジ8,8間の距離を変更することができるので、リール幅を変更することができる。
【0065】
また、リール幅を外芯3の軸長よりも長くする場合には、リール幅と外芯3の軸長の差と同じ長さのスペーサ10を外芯3の他端と他方のフランジ8の内面8aとの間に配置する。
すると、外芯3とスペーサ10によって、一対のフランジ8,8間を連続する筒状の芯を形成することができる。つまり、外芯3の途中や外芯3とフランジ8との間に隙間がない状態とすることができる。
しかも、スペーサ10は円筒状であって、その外径が外芯3の外径が同じ長さであるので、外芯3とスペーサ10の連結部分には段差ができない。つまり、外芯3の外周面とスペーサ10の外周面を面一の状態とすることができる。
したがって、本実施形態の可変式リール1を使用すれば、ウェブを外芯3に高速で巻き付けたり巻き戻したりしても、ウェブが変形したり傷ついたりすることを防ぐことができる。
【0066】
また、一対のフランジ8,8間を連続する筒状の芯形成可変式リール1に対してその軸方向から圧縮するような力が加わっても、その力を外芯3とスペーサ10によって支えることができるので、リール幅が変化してしまうことを防ぐことができる。
【0067】
なお、可変式リール1に対してその軸方向に引っ張る力が加わった場合でも、内芯4の雌軸6と雄軸5とが螺合しているので、その力を内芯4が支えることができるから、リール幅が広がってしまうことを防ぐことができる。もちろん、ボルトなどによって一対のフランジ8,8間が離間しないようにしておけば、確実にリール幅の変化を防ぐことができる。この場合でも、従来に比べて使用するボルトの本数を少なくすることができるので、リール幅を変更する作業の際の作業工数や作業時間を短くすることができる。
【0068】
(内芯4の軸長を調整する他の構造)
上記例では、内芯4を、雄ネジ部5aを有する雄軸5と、雌ネジ部6aを有する雌軸6とによって形成した場合を説明した。かかる構造とすれば、上述したように、雄軸5の雄ネジ部5aと雌軸6の雌ネジ部6aが螺合する長さを変更するだけでリール幅を変更することができるので、リール幅を簡単に変更することができる。しかも、両者の螺合量は連続的に変えることができるので、リール幅を連続的に変化させることができる。すると、スペーサ10の軸長を調整すれば、リールに巻きつけることができるウェブの自由度を高くすることができる。
【0069】
一方、内芯4の軸長を調整する機構は、上述したような構造に限定されない。内芯4を、先端に係合
部5bを有する雄軸5と、先端に係合
部5bと係合し得る
被係合
部6bを有する雌軸6と、によって形成してもよい。
【0070】
例えば、
図8に示すように雌軸6に
被係合
部6bを形成した場合には、一方のフランジ8を移動させて雌軸6が雄軸5から離す。そして、雌軸6を軸周りに回転して、再度雌軸6を雄軸5に向けて接近させれば、雄軸5の
係合部5bの先端面を、雌軸6の先端面において
被係合
部6bの形成されていない部分と突き合わせることができる。すると、雄軸5の
係合部5bの長さの分だけ、内芯4の軸長を変更することができる。つまり、雄軸5の係合
部5bを雌軸6の
被係合
部6bに係合させた場合には、内芯4の軸長を短くして、リール幅を短くできる。一方、雄軸5の
係合部5bの先端面を雌軸6の先端面に突き合わせれば、内芯4の軸長を長くでき、リール幅を長くすることができる。
【0071】
なお、雌軸6に深さの異なる
被係合
部6bを形成してもよい。この場合には、すると、雄軸5の係合
部5bを係合する
被係合
部6bを変更すれば、内芯4の軸長を、深さの異なる
被係合
部6bの数に応じただけ変更できる。すると、リール幅の調整を多段で行うことができるので、一つの可変式リール1で3つ以上のウェブに対応させることができる。
【0072】
また、雄軸5の
係合部5bや雌軸6の
被係合部6bの配置、また、雄軸5の
係合部5bや雌軸6の
被係合部6bの形状はとくに限定されない。しかし、雄軸5の
係合部5bの先端面および雌軸6の
被係合部6bの底面が、各軸の軸方向と直交する平坦面に形成されていれば、雄軸5と雌軸6の連結部分でも可変式リール1に対してその軸方向から圧縮するような力を支えることができる。そして、雄軸5において同じ長さの
係合部5bを複数設け、かつ、雌軸6において同じ深さを有する
被係合部6bを複数設ければ、安定した状態で上記力を支えることができる。とくに、
係合部5bおよび
被係合部6bを等角度間隔で形成した場合には、各
係合部5bおよび
被係合部6bにバランスよく力が加わるので、より安定した状態で上記力を支えることができる。
【0073】
(スペーサ10の構成)
なお、上記例では、雄軸5と雌軸6を完全に分離した後、外芯3から雌軸6を一端抜いてスペーサ10を配置するようにした。しかし、スペーサ10を複数の円弧状部材(上述したC字状部材)から形成し、かかる複数の円弧状部材を組み合わせることによって円筒状となるようにすれば、外芯3から雌軸6を抜かなくても、スペーサ10を外芯3の他端と他方のフランジ8との間に配置することができる。すると、スペーサ10の軸長よりも長い隙間を外芯3の他端と他方のフランジ8の間に形成するだけで、スペーサ10を配置したり取り除いたりできるので、リール幅の変更を短時間で行うことができる。
【0074】
(外芯3とフランジ8の固定について)
芯2の外芯3は、一対のフランジ8,8に対して相対的にその軸周りに回転しないように、その一方の軸端が一方のフランジ8に連結されている。両者を連結する方法は上記機能を満たすのであれば、とくに限定されず、例えば、ボルトなどによって連結してもよいし、接着剤などによって固定してもよい。
【0075】
また、芯2の外芯3の他端は、他方のフランジ8に対して着脱可能に連結されるが、両者を連結する方法はとくに限定されず、ボルトなどによって連結してもよい。
【0076】
さらに、
図5および
図6に示すように、他方のフランジ8に、複数の係合
凸部8bを設け、芯2の外芯3の他端面に各係合
凸部8bが係合しうる複数の係合
凹部3gを設けてもよい。
【0077】
例えば、
図5および
図6では、他方のフランジ8の内面8aには、先端が山形に形成された係合
凸部8bが4つ設けられている。この4つの係合
凸部8bは、外芯3の中心軸を中心とする円に沿って、90度間隔で配設されている。一方、外芯3の他端面には、係合
凸部8bの先端と同形状の係合
凹部3gが、90度間隔で4箇所形成されている。すると、4つの係合
凸部8bを、4つの係合
凹部3gにそれぞれ係合させれば、外芯3と他方のフランジ8の相対的な回転を機械的に固定できる。したがって、外芯3を安定した状態で一対のフランジ8,8に固定しておくことができる。
【0078】
なお、係合
凸部8bおよび係合
凹部3gの形状はとくに限定されず、両者が係合すると、フランジ8の内面8aと外芯3の他端面との間に隙間が形成されないような構造を有していればよい(
図9参照)。
【0079】
(回転固定機構について)
外芯3を構成する複数の筒状部材(スペーサ10も含む)同士または、外芯3とフランジ8とが相対的にその軸周りに回転しないように、回転固定機構を設けておくことが好ましい。回転固定機構は、上記の機能を満たすのであれば、その構成はとくに限定されないが、筒状部材やフランジ8の内面に係合突起や係合凹みを設けて回転固定機構としてもよい。
【0080】
具体的には、
図7に示すように、外芯3とフランジ8の間にスペーサ10を設ける場合であれば、スペーサ10の一端に、他方のフランジ8に形成されている係合突起8bと同様の形状を有する係合突起10bを設ける。一方、外芯3の他端には、芯2の外芯3の他端面に設けられている係合凹み3gと同様の形状を有する係合凹み3gを設ける。
すると、スペーサ10と外芯3との相対的な軸周りの回転を機械的に固定できるので、スペーサ10と外芯3とを安定した状態で固定しておくことができる。
【0081】
なお、外芯3が複数の筒状部材(
図1であれば筒状部材3a〜3c)で構成されている場合には、筒状部材3a,3cの一端(
図1では右端)に係合突起を設け、筒状部材3b,3cの他端(
図1では左端)に係合凹みgを設ける。すると、筒状部材3a〜3cの相対的な回転を固定できる。
【0082】
なお、外芯3(つまり複数の筒状部材)やスペーサ10、フランジ8に形成される係合突起および係合凹みの形状はとくに限定されず、例えば、
図9(A)、(B)に示すような形状とすることができる。
また、
図9(C)に示すような形状、つまり、各部材の端面同士を単に面接触させるだけの構造としてもよい。この場合でも、端面同士を押し付ける力が十分に強ければ、各部材同士が相対的にその軸周りに回転しない状態に維持することも可能である。